JP4735156B2 - 円筒状像担持体、電子写真感光体、画像形成装置、およびカートリッジ - Google Patents

円筒状像担持体、電子写真感光体、画像形成装置、およびカートリッジ Download PDF

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Description

本発明は、円筒状の像担持体に係るものであって、該像担持体を用いて画像を形成する際に発生する振動を抑制し、振動音などの異音を防止する技術に関する。
本発明は、円筒状像担持体等で発生する振動、および振動音を防止する為に可撓性体を有する該像担持体に関する。
円筒状の像担持体は、例えば電子写真技術を利用した画像形成装置等に用いられるが、現像の際に用いたトナー粒子の残分を除去するクリーニング部材、帯電器、などの各種部材の接触による摩擦振動や、帯電器に印加された電圧による振動などによって像担持体が共鳴するなどして、異音が生じることがある。
異音の問題を解決するために、例えばクリーナーとの振動音を防止するためには、円筒状像担持体の内部に円筒体の剛性、強度を増すために防振部材が挿入される。防振部材としては、円筒状像担持体に化学変化による硬化剤を内包させる技術(例えば、特許文献1参照)、円筒状像担持体に特定の硬度を持つ可撓性体を内包させる技術(例えば、特許文献2参照)、円筒状像担持体内部に金属弾性体を密着させる技術(例えば、特許文献3参照)、特定の形状の部材を内包させる技術(例えば、特許文献4参照)などが知られている。
特開平5−188838号公報 特開平5−188839号公報 特開平5−142922号公報 特開2000−250358号公報
しかしながら、従来知られた防振部材に係る技術では、振動を充分に抑えて要求される防振効果を発揮することが困難であった。また、防振部材を内包させるための製造方法が複雑で製造困難である上にコストが高いという問題や、防振部材自体の製造が困難である上にコストが高いという問題点があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、特殊な製造装置や製造方法を用いることなく、容易に防振部材を円筒状像担持体内部に設置することが可能であって、しかも振動を抑制する効果が高く、高性能の防振効果を発揮し、結果、静粛性に優れた高性能の像担持体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、鳴動防止するための防振部材を、筒状の湾曲した可撓性体とすることにより、高性能の防振効果を発揮する上に容易且つ効率的に該防振部材を設置することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の第1の要旨は、内部に筒状の湾曲した可撓性体を有し、かつ該可撓性体が筒状の形状に対して直線の仮想軸を与えることができない形状であることを特徴とする、円筒状像担持体に存する。本発明の第2の要旨は、内部に筒状の湾曲した可撓性体を有する電子写真感光体であって、画像形成装置内において該電子写真感光体に部材が接触配置されるように用いられることを特徴とする、電子写真感光体に存する。本発明の第3の要旨は、内部に筒状の湾曲した可撓性体を有する円筒状の電子写真感光体を用い、該電子写真感光体に接触配置される部材を有する画像形成装置に存し、本発明の第4の要旨は、内部に筒状の湾曲した可撓性体を有する円筒状の電子写真感光体、および該電子写真感光体に接触配置される部材を有するカートリッジに存する。
筒状の湾曲した可撓性体は、実用撓み弾性が0.015〜1.0kg/cmのものであることが好ましく、可撓性体の前記円筒状像担持体に対する重量比が、0.1〜3.0であることが好ましい。
本発明によれば、安価な可撓体を用いて容易且つ効率的に該可撓性体を有する像担持体を製造することが可能であって、しかも円筒状像担持体の振動を効果的に抑制することが可能となる高性能の防振効果を発揮し、結果、静粛性に優れた高性能の像担持体を提供することできる。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜実施することができる。
本発明の円筒状像担持体は、内部に筒状の湾曲した可撓性体を有するものである。該可撓性体は、円筒状の像担持体内部の空間に挿入して設置され、画像形成装置の各種部材から発生する摩擦振動や、帯電器に印加された電圧により発生する振動などによって、像担持体が共鳴するなどして異音が生じることを防止する。
本発明の可撓性体は、筒状であって湾曲しているものであるが、筒状の一部が切れたもので筒として連続していないものであっても、実質上筒状であれば適用可能であり、湾曲の形状や程度も制限するものではない。また、筒状の形態については、中空のものであれば、断面の(円筒状像担持体に挿入した状態での、円筒状像担持体の仮想中心軸に対して直角の面を仮想断面とする)形状に制限は無いが、好ましくは、円状または楕円状のものである。
また、該可撓性体は湾曲しているものであるが、該可撓性体の筒状の形状に対して直線の仮想軸を与えることができない形状であればどのようなものであってもかまわない。本発明においては、湾曲の程度を規定する指標を「実用撓み指標」として、可撓性体としての弾性の程度を「実用撓み弾性」として定めるものとする。
実用撓み指標は、該可撓性体を内包する最小体積の円筒体である「指標円筒体」を仮定した場合の、該円筒体の直径をt(mm)とし、該可撓性体を設置する円筒状像担持体の内径をD(mm)とした場合に、t/Dで表すものとする。
本発明に係る可撓性体の実用撓み指標は、効果的な防振効果を発揮させるために、通常1.0以上、好ましくは1.03以上、より好ましくは1.24以上であって、通常2.0以下、好ましくは1.5以下である。
実用撓み弾性は、該可撓性体を、指標円筒体の中心軸を含む断面と同形状の二枚の平行板で挟む場合に、前記平行板の距離が最大となるように該可撓性体を水平に静置し、静置した該可撓性体を、前記平行板の距離を縮めることにより該可撓性体を設置する円筒状像担持体の内径相当距離まで変形させたときに要する変形応力F(kgf/cm)をプッシュプルゲージで測定し、筒状可撓性体の長さL(cm)とした場合に、F/L(kgf/cm)で表すものとする。
本発明に係る可撓性体の実用撓み弾性は、効果的な防振効果を発揮させるために、通常0.015以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上であり、通常1.0以下、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.5以下である。
本発明に係る可撓性体の重量は、振動を抑制する効果に大きな影響を及ぼす。可撓性体を設置する円筒状像担持体の重量をW(g)とした場合の、可撓性体の重量W(g)の比率であるW/Wは、効果的な防振効果を発揮させるために、通常0.1以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上であって、通常5.0以下、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.1以下である。
本発明に係る可撓性体の長さとしては、感光体ドラムに密着して感光体ドラムの帯電音、及び振動音等の騒音が防止できるものであれば特に限定されないが、感光体ドラムの長さに対する比率が、0.2〜1であるものが好ましく、感光体ドラムの両端にフランジを設置する場合には、その嵌入量を勘案すれば、0.2〜0.9がより好ましく、ドラムにより効率的に密着し帯電音等を防止する観点からは、0.6〜0.9が更に好ましい。また、可撓性体を複数個設置しても良い。
本発明に係る可撓性体を構成する材料としては、可撓性を有するものであればどのようなものでもかまわず、成形が容易である等の観点より合成樹脂製のものが好ましい。材料とする合成樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、ナイロン、ポリエステル、ポリブタジエン等の可撓性を有する樹脂;ポリブタジエン等の非共役ジエン系ゴム;スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等のエラストマー類およびそれらのグラフト変性物;クロロプレンゴムやネオプレンゴム等ゴム類、が挙げられる。また、可撓性の程度を調整するために、樹脂中に繊維、ワイヤー、フィラー等を含ませることが好ましい。
本発明の効果は、該像担持体が静電特性を利用した電子写真感光体である場合により効果的なものとなり好ましい。特に、電子写真感光体表面に接触する部材を適用している場合に発生する振動音を効果的に抑制することができる。
本発明の円筒状像担持体としては、公知の如何なる構成のものも適用可能であるが、一例として、特に本発明の効果が顕著に得られる円筒状電子写真感光体について、以下に詳細に説明する。
円筒状電子写真感光体は、導電性の支持体上に感光層を有してなる。
導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料やアルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫合金)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙などが主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のため、適当な抵抗値を持つ導電性材料を塗布したものでも良い。
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化処理、化成皮膜処理等を施してから用いても良い。陽極酸化処理を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、導電性支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。
導電性支持体と感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。
下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子が挙げられる。一種類の粒子のみを用いても良いし複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタンおよび酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
また、金属酸化物粒子の粒径としては、種々のものが利用できるが、中でも特性および液の安定性の面から、平均一次粒径として10nm以上100nm以下が好ましく、特に好ましくは、10nm以上50nm以下である。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、フェノキシ、エポキシ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等が単独あるいは硬化剤とともに硬化した形で使用できるが、中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は良好な分散性、塗布性を示し好ましい。
バインダー樹脂に対する無機粒子の添加比は任意に選べるが、10wt%から500wt%の範囲で使用することが、分散液の安定性、塗布性の面で好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性および塗布性から0.1μmから25μmが好ましい。また下引き層には、公知の酸化防止剤等を添加しても良い。
本発明の電子写真感光体が積層型感光体である場合、その電荷発生層に使用される電荷発生材料としては例えばセレニウム及びその合金、硫化カドミウム、その他無機系光導電材料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料などの有機顔料等各種光導電材料が使用でき、特に有機顔料、更にフタロシアニン顔料、アゾ顔料が好ましい。これらの微粒子をたとえばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテルなどの各種バインダー樹脂で結着した形で使用される。この場合の使用比率はバインダー樹脂100重量部に対して30から500重量部の範囲より使用され、その膜厚は通常0.1μmから1μm、好ましくは0.15μmから0.6μmが好適である。
電荷発生物質としてフタロシアニン化合物を用いる場合、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属、またはその酸化物、ハロゲン化物等の配位したフタロシアニン類が使用される。3価以上の金属原子への配位子の例としては、上に示した酸素原子、塩素原子の他、水酸基、アルコキシ基などがあげられる。特に感度の高いX型、τ型無金属フタロシアニン、A型、B型、D型等のチタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等が好適である。なお、ここで挙げたチタニルフタロシアニンの結晶型のうち、A型、B型についてはW.HellerらによってそれぞれI相、II相として示されており(Zeit. Kristallogr.159(1982)173)、A型は安定型として知られているものである。D型は、CuKα線を用いた粉末X線回折において、回折角2θ±0.2゜が27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とする結晶型である。フタロシアニン化合物は単一の化合物のもののみを用いても良いし、いくつかの混合状態でも良い。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いても良いし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じせしめたものでも良い。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質としては特に限定されず、電荷輸送物質として公知の任意の物質を用いることが可能である。公知の電荷輸送物質の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。これらの電荷輸送物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで併用しても良い。
バインダー樹脂は膜強度確保のために使用される。電荷輸送層のバインダー樹脂としては、例えばブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が好ましい。これらのバインダー樹脂は、適当な硬化剤を用いて熱、光等により架橋させて用いることもできる。これらのバインダー樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで用いても良い。
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送物質を20重量部以上の比率で使用する。中でも、残留電位低減の観点から30重量部以上が好ましく、更には、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から40重量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、電荷輸送物質を通常は150重量部以下の比率で使用する。中でも、電荷輸送材料とバインダー樹脂との相溶性の観点から110重量部以下が好ましく、耐刷性の観点から80重量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から70重量部以下が最も好ましい。
電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、長寿命、画像安定性の観点、更には高解像度の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常50μm以下、好ましくは45μm以下、更には30μm以下の範囲とする。
分散型感光層の場合には、上記のような配合比の電荷輸送媒体中に、前記の電荷発生物質が分散される。
その場合の電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下より好ましくは0.5μm以下で使用される。感光層内に分散される電荷発生物質の量は少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があり、例えば好ましくは0.5〜50重量%の範囲で、より好ましくは1〜20重量%の範囲で使用される。
感光層の膜厚は通常5〜50μm、より好ましくは10〜45μmで使用される。またこの場合にも成膜性、可とう性、機械的強度等を改良するための公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、例えばシリコ−ンオイル、フッ素系オイルその他の添加剤が添加されていても良い。
感光層の上に、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けても良い。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を軽減する目的で、表面の層にはフッ素系樹脂、シリコーン樹脂等を含んでいても良い。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいても良い。
本実施の形態が適用される電子写真感光体の調製方法は特に限定されないが、通常、これらの感光体を構成する各層は、電子写真感光体の感光層形成方法として公知な、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ノズル塗布法、バーコート法、ロールコート法、ブレード塗布法等により支持体上に塗布して形成される。これらの中でも生産性の高さから浸漬塗布方法が好ましい。
各層の形成方法としては、層に含有させる物質を溶剤に溶解または分散させて得られた塗布液を順次塗布するなどの公知の方法が適用できる。
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、後述する本発明に係る電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。図1では帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示しているが、他にもコロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。帯電装置には電圧を印加して所定の電位に均一帯電させるが、帯電装置に印加する電圧としては、直流電圧であっても、直流に交流を重畳した電圧であっても良い。交流としては周期的に変化する電圧であればどのような周期波形を有するものであってもかまわない。電圧の範囲としては直流電圧の場合、正または負の100〜4000V、好ましくは300〜3000Vである。重畳する交流電圧としてはピーク間電圧が100〜4000V、好ましくは300〜3000Vである。
なお、電子写真感光体1及び帯電装置2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(以下適宜、感光体カートリッジと言う)として、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計されている。そして、例えば電子写真感光体1や帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、後述するトナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1,帯電装置2,トナーが全て備えられたカートリッジを用いることもある。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LEDなどが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄,ステンレス鋼,アルミニウム,ニッケルなどの金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコーン樹脂,ウレタン樹脂,フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコーン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼,アルミニウム,銅,真鍮,リン青銅などの金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法などを用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73がそなえられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73がそなえられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス,アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
前記画像形成装置において、電子写真感光体表面に接触する部材を適用している場合に具体的に電子写真感光体表面に接触する部材としては、帯電装置2、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6があげられる。
帯電装置2が、電子写真感光体表面に接触している場合、特に振動を発生させる原因として帯電部材に重畳印加される交流電圧が上げられ、このような場合に本発明は特に有効である。また、クリーニング装置6の摩擦による振動が発生している場合にも、本発明は特に有効である。
以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて説明するが、画像形成装置は一般の装置開発に供せられる汎用機を使用したが、本発明はその要旨を超えない限りこれらに限定されるものではない。
<感光体の製造>
(1)下引き層用分散液の調液
下引き層用分散液は、次のようにして製造した。即ち、平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、12%/3%/1%/3%/1%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度16.0%の下引き層用分散液とした。
Figure 0004735156
(2)電荷発生層形成用塗布液の調液
CuKα特性X線によるX線回折チャートにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2)27.3°に最大回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10部と、1,2−ジメトキシエタン150部を混合し、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を作製した。
また、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商名デンカブチラール#6000C)5部を1,2−ジメトキシエタン95部に溶解し、固形分濃度5%のバインダー溶液を作製した。先に作製した顔料分散液160部、バインダー溶液100部、適量の1,2−ジメトキシエタンと、適量の4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2を混合し、固形分濃度4.0重量%、1,2−ジメトキシエタン:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン=9:1(重量比)の電荷発生層形成用塗布液を調整した。
(3)電荷輸送層形成用塗布液の調液
電荷輸送物質(a)50部、下記構造式(b)に示す酸化防止剤8部、下記繰り返し構造式(c)のポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量約30000)100部を、テトラヒドロフラン:トルエン=80:20(重量比)の混合溶媒に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調整した。
Figure 0004735156
(4)層形成および組立
外径が60mm、内径58mm、厚さ1mm、長さ344mm、重量Wが172gのアルミニウムシリンダー(フランジ嵌合部が各10mm)を用い、その表面に浸漬塗工によ
り、下引き層用分散液にて乾燥後の膜厚が2μmの下引き層を、次いで電荷発生層形成用塗布液にて乾燥後の膜厚が0.4μmの電荷発生層を、更に電荷輸送層形成用塗布液にて乾燥後の膜厚が18μmの電荷輸送層を設けた。このようにして得られた円筒状電子写真感光体内部に、下記実施例1〜9および下記比較例1〜5に記載の可撓性体を設置した。
下記実施例1〜9および下記比較例1〜5に記載の円筒状電子写真感光体を、A4横送り、画像形成速度32枚/分、磁性1成分トナーによるジャンピング現像、交流重畳直流印加の電子写真感光体に接触配置されるローラ帯電器による帯電、解像度600dpi×600dpiを特徴とする、パナソニックコミュニケーション社製、Workio3200に装着し、常温常湿下にて画像形成を行った。
<評価方法>
円筒状電子写真感光体の発生する騒音を、騒音計(カスタム社製 騒音計SL-1350型;IEC651 Type-2 C-mode規格準拠)で、該感光体中央から垂直に上方20cmの高さ位置で
騒音を測定した。
<実施例1>
筒状可撓性体として外径56mm、内径46mm、長さ240mm、重量233gの糸網入りクロロプレンゴムの湾曲チューブを使用した。
撓みtは62mm、応力Fは2.4kgf/cmで、実用撓み指標は1.07、実用撓み弾性は0.10、対基材重量比は1.35であった。当該電子写真感光体を用いてプロセスカートリッジを組み立て、画像形成装置を稼働させた。画像形成装置の作動騒音は44デシベル(振れ幅2デシベル)であった。
<実施例2>
筒状可撓性体として外径56mm、内径42mm、長さ240mm、重量311gの糸網入りクロロプレンゴムの湾曲チューブを使用した。
撓みtは60mm、矯正応力Fは2.4kgf/cmで、実用撓み指標は1.03、実用撓み弾性は0.10、対基材重量比1.81であった。当該電子写真感光体を用いてプロセスカートリッジを組み立て、画像形成装置を稼働させた。画像形成装置の作動騒音は45デシベル(振れ幅2デシベル)であった。
<実施例3>
筒状可撓性体として外径56mm、内径46mm、L長さ310mm、重量298gのクロロプレンゴムの湾曲チューブを使用した。
撓みtは72mm、矯正応力Fは2.4kgf/cmで、実用撓み指標は1.24、実用撓み弾性は0.077、対基材重量比1.73であった。当該電子写真感光体を用いてプロセスカートリッジを組み立て、画像形成装置を稼働させた。画像形成装置の作動騒音は45デシベル(振れ幅2デシベル)であった。
<実施例4>
筒状可撓性体として外径56mm、内径48mm、長さ310mm、重量243gのクロロプレンゴムの湾曲チューブを使用した。
撓みtは76mm、矯正応力Fは2.6kgf/cmで、実用撓み指標は1.31、実用撓み弾性は0.084、対基材重量比1.41であった。当該電子写真感光体を用いてプロセスカートリッジを組み立て、画像形成装置を稼働させた。画像形成装置の作動騒音は47デシベル(振れ幅2デシベル)であった。実施例3程ではないが作動音は静かであった。基材壁面との接触長が長く、チューブの接触部が波行しているような音が微かにする。
<実施例5>
筒状可撓性体として外径56mm、内径46mm、長さ240mm、重量231gの糸網入り塩ビ管の湾曲チューブを使用した。
撓みtは62mm、矯正応力Fは0.75kgf/cmで、実用撓み指標は1.07、実用撓み弾性は0.031、対基材重量比1.34であった。当該電子写真感光体を用いてプロセスカートリッジを組み立て、画像形成装置を稼働させた。画像形成装置の作動騒音は47デシベル(振れ幅2デシベル)であった。実施例1程ではないが静かな作動音であった。撓み弾性が低下したため、内壁への押しつけ圧が減少しチューブ自体が振動する傾向が生じ、基材の振動と重なり微かなうなりが発生しだしていると見られる。
<実施例6>
筒状可撓性体として実施例1より短い外径56mm、内径46mm、長さ80mm、重量77gの糸網入りクロロプレンゴムの湾曲チューブを使用した。
撓みtは62mm、矯正応力Fは2.0kgf/cmで、実用撓み指標は1.07、実用撓み弾性は0.14、対基材重量比0.45であった。当該電子写真感光体を用いてプロセスカートリッジを組み立て、画像形成装置を稼働させた。画像形成装置の作動騒音は48デシベル(振れ幅2デシベル)であった。実施例1ほどではないが、静粛な作動音であった。重量が軽くなり基材振動により可撓体が浮き上がり同じ振動数で振動する傾向が発生してきていると思われる。
<実施例7>
筒状可撓性体として外径56mm、内径46mm、長さ310mm、重量350gの鋼ワイヤー入りクロロプレンゴムの湾曲チューブを使用した。
撓みtは62mm、矯正応力Fは15kgf/cmで、実用撓み指標は1.07、実用撓み弾性は0.48、対基材重量比2.03であった。当該電子写真感光体を用いてプロセスカートリッジを組み立て、画像形成装置を稼働させた。画像形成装置の作動騒音は44デシベル(振れ幅2デシベル)であった。
<実施例8>
筒状可撓性体として外径56mm、内径46mm、長さ310mm、重量350gの鋼ワイヤー入りクロロプレンゴムの湾曲チューブを使用した。
撓みtは64mm、矯正応力Fは19kgf/cmで、実用撓み指標は1.10、実用撓み弾性は0.61、対基材重量比2.03であった。当該電子写真感光体を用いてプロセスカートリッジを組み立て、画像形成装置を稼働させた。画像形成装置の作動騒音は46デシベル(振れ幅2デシベル)であった。作動騒音値に大きな変化は無いものの、電子写真感光体の回転にあわせ周期的に騒音が変動することから、可撓性体の押し圧により電子写真感光体が極微少に変形したことが考えられる。
<実施例9>
筒状可撓性体として外径56mm、内径40mm、長さ310mm、重量501gの鋼ワイヤー入りクロロプレンゴムの湾曲チューブを使用した。
撓みtは62mm、矯正応力Fは16kgf/cmで、実用撓み指標は1.07、実用撓み弾性は0.52、対基材重量比2.91であった。当該電子写真感光体を用いてプロセスカートリッジを組み立て、画像形成装置を稼働させた。画像形成装置の作動騒音は48デシベル(振れ幅2デシベル)であった。
<比較例1>
筒状可撓性体を使用しないで製造した電子写真感光体を用いてプロセスカートリッジを組み立て、画像形成装置を稼働させた。画像形成装置の作動騒音は52デシベル(振れ幅
2デシベル)であった。
<比較例2>
筒状可撓性体として実施例2で使用した糸網入りクロロプレンゴムの湾曲チューブの代わりに、穴のない、外径56mm、長さ240mm、重量955gの鋼ワイヤー入りクロロプレンゴムの直棒を使用して電子写真感光体を組み立てた。尚、対基材重量比5.55であったが、直棒であるため、撓みt、矯正応力F、並びに実用撓み指標、実用撓み弾性は規定できなかった。当該電子写真感光体を用いてプロセスカートリッジを組み立て、画像形成装置を稼働させた。画像形成装置の作動騒音は55デシベル(振れ幅2デシベル)であった。電子写真感光体が発生する騒音に直棒が電子写真感光体回転中動く打音と駆動ギアの騒音が認められた。
<比較例3>
筒状可撓性体として、比較例2で用いた鋼ワイヤー入りクロロプレンゴムの直棒の代わりに、外径56mmの、長さ240mm、重量962gの鋼ワイヤー入りクロロプレンゴムの直棒を使用して電子写真感光体を組み立てた。尚、対基材重量比5.59であったが、直棒であるため、撓みt、矯正応力F、並びに実用撓み指標、実用撓み弾性は規定できなかった。当該電子写真感光体を用いてプロセスカートリッジを組み立て、画像形成装置を稼働させた。画像形成装置の作動騒音は54デシベル(振れ幅2デシベル)であった。駆動ギアの騒音のみが認められた。
<比較例4>
筒状可撓性体として、比較例3で用いた鋼ワイヤー入りクロロプレンゴムの直棒の代わりに、外径25mmの、長さ240mm、重量677gのバネ鋼の湾曲棒を使用して電子写真感光体を組み立てた。尚、対基材重量比3.94、撓みt59.0mm、矯正応力F28.0kgf/cm、実用撓み指標1.02、実用撓み弾性1.17であった。当該電子写真感光体を用いてプロセスカートリッジを組み立て、画像形成装置を稼働させた。画像形成装置の作動騒音は53デシベル(振れ幅2デシベル)であった。バネ鋼棒による押し圧により電子写真感光体が偏芯した局在騒音が認められた。
<比較例5>
筒状可撓性体として、比較例4で用いたバネ鋼の湾曲棒の代わりに、外径1mm、長さ240mm、重量1.21gのバネ鋼の湾曲棒を使用して電子写真感光体を組み立てた。尚、対基材重量比0.01、撓みt80.0mm、矯正応力F0.32kgf/cm、並びに実用撓み指標1.38、実用撓み弾性0.01であった。当該電子写真感光体を用いてプロセスカートリッジを組み立て、画像形成装置を稼働させた。画像形成装置の作動騒音は53デシベル(振れ幅2デシベル)であった。バネ鋼棒が波動共振し電子写真感光体内壁を打つ騒音が認められた。
以上の結果を下記表1に纏める。
Figure 0004735156
可撓性体を設置することにより作動騒音レベルが低下するが、可撓性体の電子写真感光体内壁への押し圧が不足した場合には作動騒音を抑える効果が低下するばかりか、可撓性体自体が振動しうなりを発生し作動騒音レベルが上昇する。
一方で、過剰に押し圧が高いと微小な電子写真感光体の変形によると考えられる周期的な作動騒音レベルを増加させる現象がおきる。また、可撓性体重量が軽すぎる場合には、可撓性体が波行し、重すぎる場合には駆動ギアに負荷をかけることにより、いずれも作動騒音レベルを上昇させる現象がおきる。
画像形成装置を説明する図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置

Claims (7)

  1. 内部に筒状の湾曲した可撓性体を有し、かつ該可撓性体が筒状の形状に対して直線の仮想軸を与えることができない形状であることを特徴とする円筒状像担持体。
  2. 前記可撓性体が、該可撓性体を内包する最小体積の円筒体である指標円筒体を仮定した場合の、該円筒体の直径をt(mm)とし、該可撓性体を設置する円筒状像担持体の内径をD(mm)とした場合に、実用撓み指標(t/D)が1.0以上、2.0以下であることを特徴とする、請求項1に記載の円筒状像担持体。
  3. 前記可撓性体が、実用撓み弾性が0.015〜1.0kg/cmのものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の円筒状像担持体。
  4. 前記可撓性体の前記円筒状像担持体に対する重量比が、0.1〜3.0であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の円筒状像担持体。
  5. 筒状の湾曲し、かつ筒状の形状に対して直線の仮想軸を与えることができない形状である可撓性体を内部に有する電子写真感光体であって、画像形成装置内において該電子写真感光体表面に部材が接触配置されるように用いられることを特徴とする、電子写真感光体。
  6. 筒状の湾曲し、かつ筒状の形状に対して直線の仮想軸を与えることができない形状である可撓性体を内部に有する円筒状の電子写真感光体を用い、該電子写真感光体表面に接触配置される部材を有する画像形成装置。
  7. 筒状の湾曲し、かつ筒状の形状に対して直線の仮想軸を与えることができない形状である可撓性体を内部に有する円筒状の電子写真感光体、および該電子写真感光体表面に接触配置される部材を有するカートリッジ。
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