JP4734721B2 - ブラインド装置 - Google Patents

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JP4734721B2
JP4734721B2 JP2001021139A JP2001021139A JP4734721B2 JP 4734721 B2 JP4734721 B2 JP 4734721B2 JP 2001021139 A JP2001021139 A JP 2001021139A JP 2001021139 A JP2001021139 A JP 2001021139A JP 4734721 B2 JP4734721 B2 JP 4734721B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の窓等の開口部に配されて、当該開口部を開閉するためのブラインド装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
この種のブラインド装置では、一般に、開口部の上部に左右の縦枠を橋絡して回転軸が設けられ、この回転軸の両端にはスプロケットホイールが取付けられ、各スプロケットホイールには走行体の一つであるチェーンが掛けられ、チェーンには多数のスラットの各端部を支持するリンク機構が連結され、電動モータ等の作動により回転軸が回転されると、各スプロケットホイールが回転されてチェーンが走行され、チェーンの走行によりリンク機構を介して多数のスラットが上昇、下降され、而して建物の窓等の開口部を開放、閉鎖するようになっている。
【0003】
斯かるブラインド装置では、閉鎖完了後は、スラットが簡単に持ち上げられて開口部が開放されないように、通常、チェーンは案内通路に保持されて不撓状態にされていると共に、電動モータの出力回転軸には制動が加えられて、最下端のスラットを持ち上げても、リンク機構を容易に折り畳めないようになっている。
【0004】
ところで、チェーン走行に必要な電力の供給を期待し得ないような例えば故障、停電等において、手動にて容易に開口部を開放し得るようになっていることが、ブラインド装置には要求されるのである。
【0005】
そこで、スラットに並置された持ち上げ自在な作動棒と、連結手段によるリンク機構の下部へのチェーンの連結を解除するように、作動棒の持ち上げを連結手段に伝達する伝達機構とを有した解除機構付きブラインド装置が提案されており、斯かる提案のブラインド装置は、故障、停電等において、閉鎖した開口部を手動により簡単且つ迅速に開放することができ、初期の目的を十分に満足し得るものであるが、作動棒の持ち上げとスラットの持ち上げとの二つの手動操作を要する。
【0006】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、例えば故障、停電等において、閉鎖した開口部を一挙動でしかも小さい手動操作力でより簡単かつ迅速に開放することができるブラインド装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の態様のブラインド装置は、開口部に並置された多数のスラットと、各スラットを昇降させる昇降手段とを具備したブラインド装置であって、昇降手段は、各スラットを支える折り畳み自在なリンク機構と、走行によりリンク機構の下端を持ち上げてリンク機構の折り畳みを行わせる走行体と、この走行体を走行させる走行装置とを具備しており、走行装置は、走行体に対する走行力を発生する電動モータと、手動引き下げ操作により走行体に対する走行力を発生する手動走行力発生手段と、電動モータ及び手動走行力発生手段からの走行力を走行体に伝達する伝達手段とを具備しており、手動走行力発生手段は、手動引き下げ操作により電動モータの出力回転軸に対する制動を同時的に解除するようになっている。
【0008】
本発明の第一の態様のブラインド装置によれば、走行体に対する走行力を発生する手動走行力発生手段に対する手動引き下げ操作により電動モータの出力回転軸に対する制動を同時的に解除するようになっているために、例えば故障、停電等において、閉鎖した開口部を一挙動でしかも小さい手動操作力でより簡単かつ迅速に開放することができる。
【0009】
本発明の第二の態様のブラインド装置は、第一の態様のブラインド装置において、手動引き下げ操作後に、手動走行力発生手段を初期状態に復帰させる復帰手段を更に具備している。
【0010】
第二の態様のブラインド装置によれば、復帰手段により手動走行力発生手段を初期状態に復帰させることができるために、必要な開口量が得られるまで手動引き下げ操作を繰り返して行うことができ、しかも、故障、停電等の解除後に手動走行力発生手段の回復に手間を取らせることがなく、再度の故障、停電等に直ちに手動走行力発生手段を利用できる。
【0011】
復帰手段の好ましい例としては、本発明の第三の態様のブラインド装置のように、渦巻きばねを具備しているものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されず、その他の弾性手段であってもよい。
【0012】
本発明の第四の態様のブラインド装置は、第一から第三のいずれかの態様のブラインド装置において、電動モータの作動による走行体に対する走行力の手動走行力発生手段への伝達を禁止する禁止手段を更に具備している。
【0013】
本発明の第五の態様のブラインド装置では、第一から第四のいずれかの態様のブラインド装置において、伝達手段は、回転自在な回転軸と、この回転軸に固着されていると共に、走行体が掛け回された回転体とを具備しており、電動モータの出力回転軸は、伝達手段の回転軸に連結されており、手動走行力発生手段は、紐状体と、この紐状体が掛けられた転向プーリと、この転向プーリを介して紐状体が巻き付けられていると共に、伝達手段の回転軸に装着された巻き取りプーリと、転向プーリを回転自在に支持する揺動自在なアームと、このアームに連結された他の紐状体とを具備しており、紐状体の引き下げにより下端のスラットからの少なくとも所定枚数が少なくとも所定距離だけ上昇されるようになっていると共に、アームが揺動されて他の紐状体を介して電動モータの出力回転軸に対する制動が解除されるようになっている。
【0014】
本発明において、走行体としては、好ましい例としてチェーンを挙げることができるが、その他の例えばタイミングベルト、ワイヤ等であってもよく、また、走行体が掛け回された回転体としては、走行体にチェーンが用いられる際には、スプロケットホイールを、タイミングベルト、ワイヤ等が用いられる際には、歯付プーリ等を好ましい例として挙げることができる。
【0015】
次に本発明を、その実施の形態を示す図に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらに何等限定されないのである。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1から図10において本例のブラインド装置1は、一対の縦枠2及び3と、縦枠2及び3間の開口部P(図19参照)に並置された多数のスラット4と、各スラット4を昇降させる昇降手段5とを具備している。
【0017】
昇降手段5は、各スラット4を支えるように、各スラット4の両端部に取付部材6を介して連結されていると共に、縦枠2及び3内に夫々配された折り畳み自在なリンク機構7と、A及びB方向の走行によりリンク機構7の下端を持ち上げてリンク機構7の折り畳みを行わせるように、リンク機構7の下端に連結されていると共に、縦枠2及び3内に夫々配された走行体としてのチェーン8と、チェーン8をA及びB方向に走行させる走行装置9と、チェーン8の撓みを禁止する禁止機構10とを具備している。
【0018】
縦枠2側のリンク機構7、チェーン8及び禁止機構10の夫々は、縦枠3側のそれと同様に構成されているので、以下、縦枠2側のリンク機構7、チェーン8及び禁止機構10について特に詳細に説明する。
【0019】
リンク機構7は、一対の互いに並置された縦リンク部材列15及び16と、縦リンク部材列15及び16の夫々に回動自在に連結された横リンク部材列17と、縦リンク部材列15及び16に相対的な上下方向の位置変化を生じさせて、スラット4を傾動させるチルト機構18と、横リンク部材列17の下端をチェーン8の下端に連結する連結機構19とを具備している。
【0020】
縦リンク部材列15は、軸21を介して互いに回動自在に連結された複数の縦リンク部材22からなり、縦リンク部材列16は、軸23を介して互いに回動自在に連結された複数の縦リンク部材24からなり、横リンク部材列17は、一端が一つ置きの軸21を介してリンク部材列15に、他端が一つ置きの軸23を介してリンク部材列16にそれぞれ回動自在に連結されてなる複数の横リンク部材25からなる。
【0021】
縦リンク部材22及び24には、リンク部材列15及び17の屈曲(折り畳み)方向を規定する規制片26が一体的に設けられている。各横リンク部材25のほぼ中央部に一端が一体的に固着された取付部材6は、縦枠2に形成された上下方向に伸びる案内路27を通って伸長して、縦枠2の外側においてスラット4を取付けている。
【0022】
チルト機構18は、軸受30(図12参照)を介して回転軸31に回転自在に設けられた回転体32と、回転軸31が貫通していると共に、回転体32の回転と共に回転するように回転体32に固着された取付部材33と、夫々の一端が軸34及び35を介して回動自在に取付部材33に、夫々の他端が軸21及び23を介して最上位の縦リンク部材22及び24の夫々の上端に夫々回動自在に連結された可撓性のワイヤ36及び37と、ワイヤ36及び37の回動方向を規定するばね38及び39と、チェーン8のA及びB方向の走行において回転体32に回転を生じさせるクラッチ機構40とを具備している。
【0023】
ばね38及び39の夫々は、一端がワイヤ36及び37の夫々の一端に、他端が取付部材33に夫々係止されていると共に、中央で軸34及び35の夫々に巻かれており、縦リンク部材列15及び16が折り畳まれる際に、ワイヤ36及び37を弾性的に付勢して図15に示すように回動させるようになっている。
【0024】
クラッチ機構40は、回転体32に軸46を介して回動自在に取付けられた爪部材47と、爪部材47が係合するように縦枠2にブラケット等を介して支持された係合ピン48と、爪部材47に当接して爪部材47の係合ピン48への係合を解除するように、チェーン8に設けられた係合突起49とを具備している。
【0025】
爪部材47は、係合ピン48に係合する凹所50を有した爪部51と、係合突起49に当接する当接部52(図12参照)とを一体的に有しており、回転体32には、係合突起49の当接部52への当接のために、係合突起49の当接部52への接近を許容する切欠き53が形成されている。
【0026】
クラッチ機構40は、チェーン8のA方向の走行においては、係合突起49の当接部52への当接により爪部材47を回動させて爪部51の凹所50と係合ピン48との互いの係合を解除し、これにより回転体32を回転可能にした後にチェーン8のA方向の走行と共に回転体32を回転させる一方、チェーン8のA方向と逆のB方向の走行においては、係合突起49の当接部52への当接の解除により爪部材47を回動させて爪部51の凹所50と係合ピン48とを互いに係合させ、これにより回転体32を係合ピンを介して縦枠2に固定して回転不可能とするようになっている。
【0027】
チルト機構18は、チェーン8のA方向の走行による係合突起49の当接部52への当接で、回転体32を介して取付部材33を図5において反時計回りの方向に揺動させて、ワイヤ36を下降させる一方、ワイヤ37を上昇させ、チェーン8のB方向の走行による係合突起49の当接部52への当接の解除で、回転体32を介して取付部材33を図5において時計回りの方向に揺動させて、ワイヤ36を上昇させる一方、ワイヤ37を下降させるようになっている。
【0028】
最下位の取付部材6を介してチェーン8の下端62を最端の横リンク部材25に連結する連結機構19は、最下位の取付部材6に回動自在に連結されていると共に、案内路27に案内されて上下動自在である可動体61と、一端が可動体61に回動かつ直動自在に、他端がチェーン8の下端62にピン63を介して回動自在に連結されたアーム64と、一端がチェーン8の下端62に、他端がアーム64にそれぞれ係止され、中央部がピン63に巻かれていると共に、チェーン8とアーム64との間に配されたねじりコイルばね65とを具備している。
【0029】
可動体61には取付部材6が回動自在に貫通しており、アーム64は一端に長孔66を有しており、可動体61に固着されたピン67が長孔66に挿通されていることにより、アーム64は、一端で可動体61に回動かつ直動自在に連結されており、ばね65は、チェーン8の下端62に対してアーム64を図6において時計回りの方向に回動させるように、チェーン8の下端62に対してアーム64を弾性的に付勢し、これにより可動体61を案内路27に沿って下方に移動させるようにしている。
【0030】
走行装置9は、チェーン8に対する走行力を発生する電動モータ71と、手動引き下げ操作によりチェーン8に対する走行力を発生する手動走行力発生手段72と、電動モータ71及び手動走行力発生手段72からの走行力をチェーン8に伝達する伝達手段73と、手動引き下げ操作後に、手動走行力発生手段72を初期状態に復帰させる復帰手段74と、電動モータ71の作動によるチェーン8に対する走行力の手動走行力発生手段72への伝達を禁止する禁止手段75とを具備している。
【0031】
減速機81及びブラケット82を介して縦枠2に支持された電動モータ71は、電力が供給されてその出力回転軸を回転させる際には、当該出力回転軸の制動を解除し、電力が供給されないでその出力回転軸を回転させない際には、当該出力回転軸を自由回転させないように制動する制動機構と、この制動機構を強制的に制動解除状態に設定するレバー83とを有しており、この制動機構は、電動モータ71への電力の供給と共に電磁的に作動して電動モータ71の出力回転軸の制動を解除し、電力の供給の停止と共に電磁的な作動を停止して機械的な作動により電動モータ71の出力回転軸の制動を行うようになっており、レバー83は、その作動により制動機構における機械的な作動による電動モータ71の出力回転軸の制動を解除するようになっている。
【0032】
建物の室内側に配される手動走行力発生手段72は、紐状体としての可撓性のワイヤ85と、ワイヤ85が掛けられた回転自在な転向プーリ86及び87と、転向プーリ86及び87を介してワイヤ85が巻き付けられていると共に、回転軸31に一方向クラッチ96及び禁止手段75を介して装着された巻き取りプーリ88と、転向プーリ86及び87を軸89及び90を介して夫々回転自在に支持する揺動自在なアーム91と、一端がアーム91に、他端が転向プーリ92を介してレバー83に連結された他の紐状体としての可撓性のワイヤ93と、アーム91を軸90の周りで図4において時計回りの方向に弾性的に付勢するねじりコイルばね94と、ワイヤ85の垂れ下げ端に固着された把持部材95と、巻き取りプーリ88の一方の方向の回転を禁止手段75を介して回転軸31に伝達する一方、巻き取りプーリ88の他方の方向の回転を禁止手段75及び回転軸31に対して空転させる前記の一方向クラッチ96とを具備している。
【0033】
アーム91は、軸90を介してブラケット101に図4において時計回りの方向及び反時計回りの方向に揺動自在に支持されており、ねじりコイルばね94は、中央部が軸90に巻かれていると共に、一端がアーム91に、他端がブラケット101に夫々係止されて、アーム91とブラケット101との間に配されて、アーム91を図4において時計回りの方向に弾性的に付勢しており、ブラケット101は縦枠3に固着されており、転向プーリ92は、軸102を介してL型支持金具103に回転自在に支持されており、L型支持金具103はブラケット101に固着されている。
【0034】
手動走行力発生手段72は、人手により把持部材95が把持されてワイヤ85が下方に引き下げられることにより、巻き取りプーリ88を一方の方向に回転させて一方向クラッチ96及び禁止手段75を介して回転軸31を回転させると共に、図16に示すようにアーム91を反時計回りの方向に揺動させてワイヤ93を引っ張ってレバー83を揺動させるようになっている。
【0035】
一方向クラッチ96は、人手によるワイヤ85の下方への引き下げで巻き取りプーリ88が一方の方向に回転される際には、斯かる回転を禁止手段75を介して回転軸31に伝達して回転軸31を回転させる一方、人手によるワイヤ85の下方への引き下げが解除されて復帰手段74によりワイヤ93を巻き取る方向の巻き取りプーリ88の他方の方向の回転に際しては、斯かる回転を回転軸31に伝達しないようにして当該回転では回転軸31を回転させないようになっている。
【0036】
伝達手段73は、電動モータ71の出力回転軸の回転を減速する前記の減速機81と、減速機81の出力回転軸の回転が伝達される前記の回転軸31と、回転軸31の一端に固着されていると共に、チェーン8が掛け回された回転体としてのスプロケットホイール111とを具備している。
【0037】
回転軸31は、縦枠2及び3に夫々取付けられたブラケット112及び113に各端で回転自在に支持されており、スプロケットホイール111は、ブラケット112と回転体32との間に配されており、スプロケットホイール111と同様のスプロケットホイールが回転軸31の他端にも固着されており、このスプロケットホイールには、縦枠2内に配されたチェーン8と同様にして縦枠3内に配されたチェーンが掛け回されている。
【0038】
伝達手段73は、走行力としての電動モータ71の出力回転軸の回転力を減速機81、回転軸31及びスプロケットホイール111を介してチェーン8に伝達する一方、走行力としてのワイヤ85の下方への引き下げ力を巻き取りプーリ88、一方向クラッチ96、禁止手段75、回転軸31及びスプロケットホイール111を介してチェーン8に伝達するようになっている。
【0039】
本例では、電動モータ71の出力回転軸は、減速機81を介して回転軸31に連結されているが、このように間接的に電動モータ71の出力回転軸を回転軸31に連結する代わりに、電動モータ71の出力回転軸を回転軸31に直接に連結してもよく、また、電動モータ71の出力回転軸を回転軸31として用いてもよい。
【0040】
復帰手段74は、ブラケット101にねじ等により固着されたハウジング115と、回転軸31と同心に配された渦巻きばね116とを具備しており、ハウジング115の円筒部117と巻き取りプーリ88の円筒部118との間に配された渦巻きばね116の一端は、巻き取りプーリ88の円筒部118に固着されており、その他端は、ハウジング115の円筒部117に固着されている。
【0041】
復帰手段74は、ワイヤ85の下方への引き下げによる巻き取りプーリ88の一方の方向の回転で、渦巻きばね116を縮径させて弾性力を蓄え、ワイヤ85の下方への引き下げの解除で、蓄えた弾性力により巻き取りプーリ88を他方の方向に回転させて、巻き取りプーリ88にワイヤ85の巻き取りを行わせて、手動走行力発生手段72を初期状態に復帰させるようになっている。
【0042】
禁止手段75は、一方向クラッチ96の内周面に固着されていると共に、回転軸31が回転自在に貫通しており、円板部119を一体的に有した円筒体120と、円筒体120のボール収容溝121に配された三個のボール122と、三個のボール122を互いに分離する三個の半円筒部123を側面に一体的に有していると共に、回転軸31が回転自在に貫通した円板部材124と、一端127が円板部119に、他端128が円板部材124に夫々固着されていると共に、円筒部117の内周面に沿って配された半環状のばね129と、一端130が円板部材124に固着されている一方、他端135が自由端となっていると共に、円筒部117の内周面に摩擦接触して、円板部材124に制動を与えている半環状のばね136とを具備している。
【0043】
円板部119及び円板部材124の夫々の外周面は、円筒部117の内周面に低摩擦をもって摺動自在に接触しており、ボール収容溝121は、三個の円弧面125と、三個の円弧面125の夫々の間に配された平坦面126とで規定されており、三個の円弧面125と回転軸31の表面との間の空間には、ボール122が隙間(余裕)をもって配されるようになっており、三個の平坦面126と回転軸31の表面との間の空間には、ボール122が配されないようになっている。
【0044】
禁止手段75は、回転軸31が単独で回転される際、即ち電動モータ71の作動により回転軸31が回転される際には、各ボール122が円弧面125と回転軸31の表面との間の空間に配されるようにして(図17参照)、回転軸31の回転を円筒体120に伝達しないようにし、円筒体120が単独で回転される際、即ちプーリ88の一方の方向の回転により円筒体120がばね129の縮径を伴いながら円板部材124に対して回転される際には、各ボール122が円弧面125と回転軸31の表面との間の空間から平坦面126と回転軸31の表面との間の楔空間に移行されるようにして(図18参照)、ボール122を介して円筒体120の回転を回転軸31に伝達すると共に、円筒体120の回転に基づくばね129の一定以上の縮径で、円板部材124をばね129を介してばね136を引き摺りながら同方向に回転させるようになっている。こうして、禁止手段75は、ワイヤ85の引っ張りによる巻き取りプーリ88の一方の方向の回転を回転軸31に伝達する一方、回転軸31の単独の回転を巻き取りプーリ88に伝達しないようになっている。
【0045】
禁止手段75は、ワイヤ85の引っ張りが解除されて円筒体120に巻き取りプーリ88からの回転力が付与されなくなると、ばね136をもって制動された円板部材124に対してばね129の拡径弾性力により円筒体120を前記と逆に回転させ、各ボール122を平坦面126と回転軸31の表面との間の楔空間から円弧面125と回転軸31の表面との間の空間に移行させる(図17参照)。
【0046】
禁止機構10は、縦枠2に一体的に形成された一対の案内壁131及び132と、ブラケット112に固着されて、スプロケットホイール111の外周の周りに配されたチェーン押え133及び134とを具備しており、チェーン8は、一対の案内壁131及び132間、チェーン押え133及びスプロケットホイール111間並びにチェーン押え133及び134間の通路を通って走行し、これらの一対の案内壁131及び132並びにチェーン押え133及び134によりその撓みが阻止されている。
【0047】
尚、チェーン8のA方向の走行において、スラット4、縦リンク部材22及び24並びに横リンク部材25の自重により縦リンク部材列15及び16が伸張される場合には、必要により禁止機構10を省いてもよい。
【0048】
以上のブラインド装置1では、リンク部材列15及び16が伸長された状態では、各スラット4は、図11に示すようにほぼ垂直に傾動されて縦枠2及び3間の開口部Pを完全に閉鎖しており、また、図14に示すように、チェーン8に設けられた係合突起49は、切欠き53に配されて爪部材47の当接部52と当接している。この状態から電動モータ71が作動されると、減速機81を介する回転軸31の回転により、スプロケットホイール111が回転されてチェーン8がB方向に走行される。
【0049】
チェーン8のB方向の走行により係合突起49も回転軸31を中心として時計回りの方向に移動され、係合突起49のこの移動により回転体32も、図13に示すように時計回りの方向に回動され、回転体32の回動により、ワイヤ36が上方に引っ張られ、ワイヤ37が下方に下げられ、而して、ワイヤ36及び37の差動的な上昇、下降により、図5及び図6に示すように、リンク部材列16に対してリンク部材列15が相対的に上方に持ち上げられて、横リンク部材25のそれぞれがほぼ水平に回動され、これにより図1及び図2に示すようにスラット4のそれぞれもほぼ水平に回動されて簾状にされる。
【0050】
更にチェーン8がB方向に走行されると、係合突起49が切欠き53から抜け始め、係合突起49の切欠き53からの抜けにより、係合突起49が次には爪部51に当接して爪部材47を軸46を中心として回動させ、爪部51の凹所50と係合ピン48とを互いに係合させる。図12に示すように、爪部51の凹所50が係合ピン48に係合することにより、回転体32の回転は阻止されてその状態に保持される。
【0051】
チェーン8のB方向の走行が続行されることにより、連結機構19によりチェーン8の下端62に連結された最下位の横リンク部材25が上昇され始め、これと共に下位側の縦リンク部材列15及び16から折り畳まれ始め、この折り畳みにより、横リンク部材25に取付部材6を介して支持されたスラット4が下方から順次重ね合わされる。図15に示すように、上方においてスラット4が全て重ね合わされると、検出器等からの信号により電動モータ71の作動が停止され、開口部が完全開放された状態が維持される。
【0052】
開口部が完全開放された状態又は開口部の途中開放状態で、電動モータ71が前記と逆に作動されると、チェーン8がA方向に走行され、これによりリンク部材列15及び16は上方より伸長され始め、上位のスラット4よりその重ね合わせが解除され始める。リンク部材列15及び16が全て伸長されてスラット4もまたその重ね合わせが全て解除されると、図12に示すように、係合突起49が切欠き53に挿入され始め、この挿入により図13に示すように、係合突起49が爪部材47の当接部52に当接して爪部材47を回動させて、凹所50の係合ピン48への係合を解除し、この解除により係合突起49の移動と共に回転体32は、図14に示すように前記と逆に反時計回りの方向に回転され、ワイヤ37が上方に引っ張られ、ワイヤ36が下方に下げられ、ワイヤ36及び37のこのような差動的な上昇、下降によりリンク部材列15及び16に相対的変位が生じて、リンク部材列15及び16に横リンク部材17及び取付部材6を介して支持されたスラット4は逆に傾動され、図11に示すように開口部を完全に閉鎖するようになる。その後、検出器等からの信号により電動モータ71の作動が停止され、開口部が完全閉鎖された状態が維持される。
【0053】
電動モータ71の上記の作動及び逆作動における回転軸31の回転は、禁止手段75により巻き取りプーリ88には伝達されず、したがって斯かる場合においては、巻き取りプーリ88は、ワイヤ85を繰り出したり、巻き込んだりしないようになっている。
【0054】
ブラインド装置1では、開口部が完全閉鎖された後において、直ちに電動モータ71の作動が停止されず、チェーン8が若干A方向に更に走行されても、チェーン8の下端62にピン63を介して回動自在に連結されたアーム64自体がばね65の弾性力に抗してピン67を中心として回動しかつ可動体61に対して直動して、可動体61の更なる下方移動を生じさせないようになっている。
【0055】
開口部の完全閉鎖状態で又は図1及び図2に示すスラット4の簾状での開口部の閉鎖状態で、人手により把持部材95が把持されてワイヤ85が下方に引き下げられると、ワイヤ85を介して巻き取りプーリ88が一方の方向に回転されると共に、アーム91がねじりコイルばね94の弾性力に抗して揺動され、アーム91の揺動によりワイヤ93を介してレバー83が揺動されて電動モータ71の出力回転軸に対する機械的な制動が解除され、この制動が解除された状態で、巻き取りプーリ88の回転により一方向クラッチ96及び禁止手段75を介して回転軸31が回転され、回転軸31の回転で、スプロケットホイール111を介してチェーン8がB方向に走行されて、前記と同様にして、ほぼ水平方向になった最下位のスラット4から持ち上げられて、図19に示すように開口部が一部開放される。開口部の開放量が少ない場合には、ワイヤ85の下方への手動引き下げを繰り返すようにする。
【0056】
開口部の一部開放後に、ワイヤ85の下方への手動引き下げを解除すると、巻き取りプーリ88は、渦巻きばね116に蓄えられた弾性力により逆回転されてワイヤ85を巻き戻し、アーム91は、ねじりコイルばね94の弾性力により時計回りの方向に揺動されてワイヤ93の引っ張りを解除し、而して、ワイヤ93によるレバー83の揺動は解除されて、電動モータ71の出力回転軸に対する機械的制動は復帰され、自重等によるスラット4の下降は阻止されて、開口部の一部開放は維持される。巻き取りプーリ88の逆回転は、一方向クラッチ96により回転軸31には伝達されず、これによっても開口部の一部開放は維持される。
【0057】
以上のように本例のブラインド装置1では、開口部Pを閉鎖するように下降されたスラット4において、ワイヤ85の引き下げにより下端のスラット4からの少なくとも所定枚数が少なくとも所定距離L、具体的には人が通過できる高さLだけ上昇されるようになっていると共に、アーム91が揺動されてワイヤ93を介して電動モータ71の出力回転軸に対する制動が解除されるようになっている。
【0058】
したがって、ブラインド装置1によれば、例えば故障、停電等において、手動走行力発生手段72に対する一挙動のしかも小さい力をもった手動操作で、閉鎖した開口部をより簡単かつ迅速に開放することができる。
【0059】
上記の例において、走行体としては、一端(下端62)及び他端141を有する有端のチェーン8に限定されず、無端チェーンでもよく、この場合には、スプロケットホイール111に加えて他のスプロケットホイールを配置して、両スプロケットホイール間に無端チェーンを掛け渡すようにするとよく、走行体として斯かる無端チェーンを用いると禁止機構10を省き得る。加えて、走行体としては、タイミングベルト等でもよく、タイミングベルトを用いる場合には、スプロケットホイール111に代えて歯付プーリを用いるとよい。また、伝達手段73において、減速機81を省いて構成してもよく、この場合、必要に応じて、速度制御可能な電動モータ71を用いてもよい。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、例えば故障、停電等において、閉鎖した開口部を一挙動でしかも小さい手動操作力でより簡単かつ迅速に開放することができるブラインド装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の態様の好ましい例の斜視図である。
【図2】図1に示す例の一部破断斜視図である。
【図3】図1に示す例の一方の縦枠側の上部側面図である。
【図4】図1に示す例の他方の縦枠側の上部側面図である。
【図5】図1に示す例の一部説明図である。
【図6】図1に示す例の一部説明図である。
【図7】図1に示す例の一部説明図である。
【図8】図1に示す例の一部説明図である。
【図9】図1に示す例の一部説明図である。
【図10】図9に示すX−X線矢視断面図である。
【図11】図1に示す例の動作説明図である。
【図12】図1に示す例の動作説明図である。
【図13】図1に示す例の動作説明図である。
【図14】図1に示す例の動作説明図である。
【図15】図1に示す例の動作説明図である。
【図16】図1に示す例の動作説明図である。
【図17】図1に示す例の動作説明図である。
【図18】図1に示す例の動作説明図である。
【図19】図1に示す例の動作説明図である。
【符号の説明】
1 ブラインド装置
4 スラット
5 昇降手段
7 リンク機構
8 チェーン
9 走行装置
71 電動モータ
72 手動走行力発生手段
73 伝達手段

Claims (3)

  1. 開口部に並置された多数のスラットと、各スラットを昇降させる昇降手段とを具備したブラインド装置であって、昇降手段は、各スラットを支える折り畳み自在なリンク機構と、走行によりリンク機構の下端を持ち上げてリンク機構の折り畳みを行わせる走行体と、この走行体を走行させる走行装置とを具備しており、走行装置は、走行体に対する走行力を発生する電動モータと、手動引き下げ操作により走行体に対する走行力を発生する手動走行力発生手段と、電動モータ及び手動走行力発生手段からの走行力を走行体に伝達する伝達手段と、電動モータの作動による走行体に対する走行力の手動走行力発生手段への伝達を禁止する禁止手段とを具備しており、手動走行力発生手段は、手動引き下げ操作により電動モータの出力回転軸に対する制動を同時的に解除するようになっており、伝達手段は、回転自在な回転軸と、この回転軸に固着されていると共に、走行体が掛け回された回転体とを具備しており、電動モータの出力回転軸は、伝達手段の回転軸に連結されており、手動走行力発生手段は、紐状体と、この紐状体が掛けられた転向プーリと、この転向プーリを介して紐状体が巻き付けられていると共に、伝達手段の回転軸に装着された巻き取りプーリと、転向プーリを回転自在に支持する揺動自在なアームと、このアームに連結された他の紐状体と、巻き取りプーリの一方の方向の回転を禁止手段を介して伝達手段の回転軸に伝達する一方、巻き取りプーリの他方の方向の回転を禁止手段及び伝達手段の回転軸に対して空転させる一方向クラッチとを具備しており、紐状体の引き下げにより下端のスラットからの少なくとも所定枚数が少なくとも所定距離だけ上昇されるようになっていると共に、アームが揺動されて他の紐状体を介して電動モータの出力回転軸に対する制動が解除されるようになっており、巻き取りプーリは一方向クラッチ及び禁止手段を介して伝達手段の回転軸に装着されており、禁止手段は、一方向クラッチの内周面に固着されていると共に、伝達手段の回転軸が回転自在に貫通しており、円板部を一体的に有した円筒体と、この円筒体のボール収容溝に配された三個のボールと、当該三個のボールを互いに分離する三個の半円筒部を側面に一体的に有していると共に、伝達手段の回転軸が回転自在に貫通した円板部材と、一端が円板部に、他端が円板部材に夫々固着されていると共に円筒部の内周面に沿って配された半環状のばねと、一端が円板部材に固着されている一方、他端が自由端となっていると共に、円筒部の内周面に摩擦接触して、円板部材に制動を与えている半環状のばねとを具備しており、電動モータの出力回転軸の回転による伝達手段の回転軸の回転を円筒体に伝達しない一方、巻き取りプーリの一方の方向の回転による円筒体の回転を三個のボールを介して伝達手段の回転軸に伝達するようになっているブラインド装置。
  2. 手動引き下げ操作後に、手動走行力発生手段を初期状態に復帰させる復帰手段を更に具備している請求項1に記載のブラインド装置。
  3. 復帰手段は、渦巻きばねを具備している請求項2に記載のブラインド装置。
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