JP4734059B2 - 電力取引入札支援システムと方法、およびプログラム - Google Patents

電力取引入札支援システムと方法、およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、電力取引所への入札を支援するための技術に関するものである。
一般に、電力スポット市場の入札支援システムにおいては、入札者が実際に取引可能な入札量と、取引によって収益を上げることのできる入札価格を決定することが必要である。
従来、このような電力スポット市場の入札支援システムとしては、発電事業者が、電力の予測価格と、発電設備の種々の特徴量から、最適な入札量および最適な入札価格を決定するという技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
また、電力需要に応じて効率的な電源配分を行う技術としては、水を最大限有効に利用して火力燃料費を最小にする水火協調方程式等が存在している(例えば、非特許文献1参照)。
特開2001−331691 丸善株式会社発行、小向敏彦・色川彰一・加藤政一著、「電力システム工学」、第9章、1999年9月
上述したような従来の電力取引の入札支援システムにおいては、最適な入札量と最適な入札価格の算出方法が確立されていないため、入札量と入札価格を決定することが困難であった。
また、発電設備が発電する電力のうち、市場での取引以外に相対取引などですでに売り先が決定している電力を考慮できないことや、入札者が発電事業者に限定されていることから、一般の電気事業者や特定規模電気事業者など、小売需要のある事業者の入札量や入札価格を決定することが困難であった。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、一般の電気事業者や特定規模電気事業者、発電事業者などの入札者に対して、電力取引所における最適な売りと買いの入札価格および入札量の決定を支援できる電力取引入札支援システムと方法、およびプログラムを提供することである。
本発明は、上記のような目的を達成するために、入札者の限界費用曲線を作成し、限界費用曲線から電力取引によって利益を上げることのできる入札データを作成し、想定した取引価格に対する想定収益を計算することにより、電力取引所における最適な売りと買いの入札価格および入札量の決定を支援できるようにしたものである。
本発明の電力取引入札支援システムは、電力取引所への入札を支援する電力取引入札支援システムにおいて、限界費用曲線作成手段、入札データ作成手段、収益計算手段、記憶手段、インタフェース手段を備えたことを特徴としている。ここで、限界費用曲線作成手段は、需要予測データ、発電ユニットの運用に関する特性データ、および発電計画に関するデータを用いて、限界費用曲線を作成する手段である。入札データ作成手段は、限界費用曲線作成手段によって作成された限界費用曲線から、電力取引所へ入札するための入札データを作成する手段である。収益計算手段は、入札データ作成手段によって作成された入札データと、想定取引価格データを用いて、想定取引量を計算し、計算された想定取引量と前記発電ユニットの運用に関する特性データを用いて、想定収益を計算する手段である。記憶手段は、計算条件および計算結果を保存する手段であり、インタフェース手段は、データの入力および結果表示を行う手段である。
本発明の電力取引入札支援方法および電力取引入札支援プログラムは、上記システムの特徴を、方法およびコンピュータプログラムの観点からそれぞれ把握したものである。
このような特徴を有する本発明によれば、入札者の限界費用曲線を作成し、作成した限界費用曲線から電力取引によって利益を上げることのできる入札データを作成し、想定した取引価格に対する想定収益を計算することにより、作成した入札データが、想定する電力取引価格に対して、どの程度利益を上げることができるかを事前に評価することができるため、適切な入札を支援することができる。
なお、本発明において重要な用語の定義は次の通りである。
「需要予測データ」は、過去の需要実績に基づいて電力需要を予測したデータである。
「発電ユニットの運用に関する特性データ」は、電源となる発電ユニットの運用に関する各種の特性データを意味する広い概念であり、発電ユニットの出力の他、火力ユニットや水力ユニットといった電源種別に応じた特性データを含む。
「発電計画に関するデータ」は、入力やデータ伝送などにより与えられるか予め用意される発電計画データに限らず、発電計画を作成するための各種のデータを含む広い概念である。
「想定取引価格データ」は、過去の取引実績に基づいて電力取引所での取引価格を想定したデータである。
本発明によれば、一般の電気事業者や特定規模電気事業者、発電事業者などの入札者に対して、電力取引所における最適な売りと買いの入札価格および入札量の決定を支援できる電力取引入札支援システムと方法、およびプログラムを提供することができる。
以下には、本発明に係る電力取引入札支援システムの複数の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
[第1の実施形態]
[構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムの構成を示すブロック図である。この図1に示すように、本実施形態の電力取引入札支援システムは、コンピュータ上に実現された、演算部1、インタフェース部2、記憶部3、通信部4、から構成されている。各部1〜4の詳細は次の通りである。
演算部1は、限界費用曲線作成部11、入札データ作成部12、収益計算部13を備えている。ここで、限界費用曲線作成部11は、需要予測データ、発電ユニットの運用に関する特性データ、および発電計画に関するデータを用いて、限界費用曲線を作成する部分である。入札データ作成部12は、限界費用曲線作成部11により作成された限界費用曲線を元に、マークアップデータと分割データを用いて、入札データを作成する部分である。収益計算部13は、入札データ作成部12によって作成された入札データと、電力取引所の想定取引価格データを用いて、想定取引量を計算し、計算された想定取引利用と発電ユニットの運用に関する特性データを用いて、想定収益を計算する部分である。
なお、このような演算部1は、具体的には、コンピュータのメインメモリとそれに記憶された電力スポット市場の入札支援用として特化されたプログラム、そのプログラムによって制御されるCPU、等により実現される。
インタフェース部2は、データ入力部21と、データ出力部22から構成されている。ここで、データ入力部21は、ユーザの操作に応じた信号をコンピュータに入力するマウスやキーボード等の入力装置であり、データ出力部22は、データ入力部21で入力されたデータ、および演算部1で処理された取引結果や評価結果をユーザに対して表示または出力するディスプレイ、プリンタ等の出力装置である。すなわち、インタフェース部2は、コンピュータとユーザとの間のやり取りを行う部分であり、一般的に「ユーザインタフェース」等と呼ばれる部分である。
また、データ入力部21によって入力される具体的なデータは、過去の需要実績に基づいて電力需要を予測した需要予測データや、電源データ、発電計画データの他、想定取引価格データや、入札パラメータであるマークアップデータおよび分割データ等である。ここで、発電計画データは、各発電ユニットの発電スケジュール、出力変更可否、電力系統の予備力の情報を含む。
また、電源データは、発電ユニットに関する各種のデータであり、発電ユニット名や、火力ユニット、水力ユニットといった電源種別と、その運用に関する特性データを含む。発電ユニットの運用に関する特性データは、発電ユニットの出力の他、火力ユニットであれば、最大・最小出力や最小運転・停止時間、および起動費や燃料消費に関する特性データ等を含み、水力ユニットであれば、使用水量特性を含み、揚水ユニットであれば、ポンプ出力やポンプ効率、貯水池容量等を含む。
記憶部3は、演算部1でデータ処理を行うための各種の計算条件を予め保存するとともに、演算部1による計算結果を保存する部分である。この記憶部3は、コンピュータの各種のメモリや補助記憶装置等により実現される。
通信部4は、通信ネットワーク5を介して、電力取引所システム6への入札データの送信や、需給制御システム7からの需給計画に関するデータの受信等を行う。
[動作の概略]
図2は、以上のような構成を有する本実施形態に係る電力取引入札支援システムによる入札評価シミュレーション動作の概略を示すフローチャートである。
この図2に示すように、電力取引入札支援システムはまず、インタフェース部2によりデータ入力を行うか、あるいは、記憶部3からデータ読み込みを行うか、または、その両方を行うことにより、演算部1で処理する対象となるデータを用意する(S201)。すなわち、前述したような、需要予測データ、発電ユニットの運用に関する特性データ、発電計画データ、想定取引価格データ、入札パラメータであるマークアップデータおよび分割データ等が用意される。
なお、これらのデータの一部あるいは全てを、電力系統の需給制御システム7から通信ネットワーク5を介して通信部4により受信し、記憶部3に保存するとともに、演算部1に用意するようにしてもよい。
次に、電力取引入札支援システムは、演算部1の限界費用曲線作成部11により、限界費用曲線作成処理として、需要予測データ、電源データ、発電計画に関するデータを用いて、発電計画の発電コストを計算し、需要が増減した場合に燃料費が増減する割合を表す限界費用を、発電ユニットの出力が変化しうる範囲で計算して限界費用曲線を作成する。限界費用曲線作成部11は、計算した発電コストや作成した限界費用曲線を記憶部3に記憶するとともにインタフェース部2によりユーザに対して表示する(S202)。
また、この限界費用曲線作成処理(S202)において、発電計画に関するデータとして、発電計画データが予め用意されない場合には、限界費用曲線作成部11は、需要予測データと電源データに基づいて、火力ユニットや水力ユニットなどの発電ユニットを経済的に出力配分する発電計画およびその発電コストを計算して、発電コストが最小となる発電計画を決定する。この場合に、限界費用曲線作成部11は、計算した発電計画や発電コスト、および作成した限界費用曲線を記憶部3に記憶するとともにインタフェース部2によりユーザに対して表示する。
演算部1は、ここで、予め用意されている入札パラメータであるマークアップデータおよび分割データの全ての組合せについて、各組合せごとに、入札パラメータ単位のループ処理(LOOP1)として、入札データ作成部12による入札データ作成処理(S203)と収益計算部13による収益計算処理(S204)を順次行う。
まず、入札データ作成処理(S203)において、入札データ作成部12は、限界費用曲線作成処理(S202)により作成された限界費用曲線から、入札パラメータであるマークアップデータと分割データの今回の組合せを用いて複数の入札データを作成し、作成した入札データを記憶部3に記憶するとともに、インタフェース部2によりユーザに対して表示する。
次に、収益計算処理(S204)において、収益計算部13は、入札データ作成処理(S203)により作成された複数の入札データと、予め用意された電力取引所の想定取引価格を用いて、複数の想定取引量を計算し、計算された想定取引量と限界費用曲線作成処理(S202)により作成された限界費用曲線を用いて、複数の想定収益を計算し、計算結果を記憶部3に記憶するとともに、インタフェース部2によりユーザに対して表示する。
演算部1は、入札パラメータであるマークアップデータおよび分割データの全ての組合せについて、以上のような入札データ作成処理(S203)と収益計算処理(S204)を含む入札パラメータ単位のループ処理(LOOP1)を繰り返すことにより、入札パラメータの組合せの数に応じた複数の入札データを作成し、各入札データの収益計算結果を求めることができる。
演算部1は、入札パラメータの全ての組合せについてループ処理(LOOP1)を繰り返した後、入札パラメータの組合せの数に応じて作成された複数の入札データに対する収益計算結果を、帳票やグラフとして表示画面に出力し、あるいは印刷を行う。演算部1はまた、インタフェース部2によりユーザから結果表示要求がなされた場合には、その要求内容に応じて、記憶部3に記憶されている入力データ、発電計画および発電コスト、限界費用曲線、入札データ、および収益計算結果等を、帳票やグラフとして表示画面に出力し、あるいは印刷を行う(S205)。
演算部1はまた、インタフェース部2によりユーザに対して複数の入札データやその収益計算結果等を表示した際に、ユーザから入札データの選択と入札実行要求がなされた場合には、選択された入札データを、通信部4から通信ネットワーク5を介して、電力取引所システム6へ送信することにより、入札を実行する(S206)。
[処理の詳細]
以下には、上記のような入札評価シミュレーション動作における処理の詳細について、より具体的に説明する。
[入力画面例]
図3〜図6は、演算部1で処理する対象となるデータを用意する場合の一例として、ユーザの入力操作に応じて、インタフェース部2により各種のデータを入力する場合に表示される入力画面例を示す図である。
図3は、需要予測データの入力画面例を示しており、時間(商品)ごとに需要予測データを入力する画面である。この図3に示すように、「0:00〜0:30」、「0:30〜1:00」、「1:00〜1:30」等の所定の間隔(この例では30分間隔)の時間(商品)ごとに、「1200[MW]」、「1100[MW]」、「1000[MW]」、等の需要予測値を設定できるようになっている。
図4は、電源データの入力画面例を示しており、図4(a)は、発電ユニットの電源種別や出力などの定義を入力する入力画面例である。この図4に示すように、複数の発電ユニットについて、ユニットごとに、「ユニットA」〜「ユニットF」等のユニット名称、「火力」、「水力」、「揚力」、「原子力」等の電源種別、および出力値を設定できるようになっている。また、図4(b)〜(c)は、図4(a)の各ユニットの電源種別に応じた特性データの入力画面例である。
図4(b)は、図4(a)に示す「ユニットA」、「ユニットB」等の火力ユニットについて、最大・最小出力や最小運転・停止時間、および起動費や燃料消費に関する特性データを入力する入力画面例を示している。図4(c)は、図4(a)に示す「ユニットC」、「ユニットD」等の水力ユニットについて、使用水量特性を入力する入力画面例であり、図4(d)は、図4(a)に示す「ユニットE」等の揚水ユニットについて、ポンプ出力やポンプ効率、電池容量を入力する入力画面例である。
図5は、発電計画データの入力画面例を示しており、時間(商品)ごとに各発電ユニットの出力を設定できるようになっている。この図5の例では、図3に示した需要予測値を、図4に示した発電ユニット「ユニットA」〜「ユニットF」により分担する場合の発電計画データの一例が示されている。
図6は、入札パラメータの入力画面例を示している。図6(a)は、マークアップデータの入力画面例であり、売りと買いで異なるマークアップを設定できるようになっている。図6(b)は、分割データを入力する画面であり、売りと買いで独立に分割幅を設定できるようになっている。また、これらの入札パラメータとして、複数のデータが設定可能であり、設定された複数のデータの中から、入札評価シミュレーションを実施するパラメータを選択できるようになっている。
[限界費用曲線作成処理]
前述したように、限界費用曲線作成処理(S202)において、発電計画に関するデータとして、発電計画データが予め用意されない場合には、限界費用曲線作成部11は、需要予測データと電源データに基づいて、火力ユニットや水力ユニットなどの発電ユニットを経済的に出力配分する発電計画およびその発電コストを計算して、発電コストが最小となる発電計画を決定する。
図7は、一日の電力需要予測データに対して発電ユニットを配分した発電計画の一例を示す図である。この図7中に破線で示すように、需要予測データは、一日の間で変化するため、この需要の変化に追従するように発電ユニットの出力を変化させる必要がある。その際、それぞれの発電ユニットの起動停止および出力は、発電コストが小さくなるように決定される。そして、このように決定された発電計画においては、需要の変化に対する発電コストの変化が定量的に計算可能であり、需要の単位変化量当たりにおける発電コストの変化量を限界費用、限界費用を需要の変化に対してプロットすることにより、限界費用曲線が作成される。
図8は、以上のような発電計画の作成を含む限界費用曲線作成処理(S202)の一例を示すフローチャートである。以下には、この図8を参照しながら、限界費用曲線作成処理(S202)の詳細について説明する。
図8に示すように、限界費用曲線作成部11はまず、需要予測データから固定出力の発電ユニット出力や他社受電電力分を減じ、経済的な発電計画を作成する対象である火力・揚水ユニット分担需要を計算する(S801)。
そして、火力・揚水ユニット分担需要に対して、火力ユニットの発電計画を作成し、解の候補とする(S802)。この火力ユニット発電計画は、例えば、並列優先順位に基づくユニットコミットメントや経済負荷配分により計算することができる。また、この場合の経済負荷配分は、下記の式(1)に示す需給バランス式と、式(2)に示す等増分燃料費則に基づいて計算することができる(例えば、非特許文献1参照)。
Figure 0004734059
ここで、一般に、火力ユニットの燃料費特性Fi(Piiは、図9(a)に示すように、発電出力Piに対して下に凸な曲線であり、その増分燃料費dFi/dPiは、図9(b)に示すように、発電出力Piに対する増加関数で表される。ここでは、火力ユニットの最大・最小出力を考慮するために、この増分燃料費は、図9(c)のような増加関数で表されるものとする。
次に、解の候補の発電計画に対して、低効率の火力ユニットの出力を揚水ユニットで持ち替えることにより、揚水ユニットの発電計画を作成し、火力ユニットの発電計画を修正して、新たな発電計画を作成する(S803)。そして、新たな発電計画の発電コストが、解の候補である前回の発電計画の発電コストより小さい場合(S804のYES)は、新たな発電計画を解の候補とし、次に低効率の火力ユニットの持ち替え計算を行う(S803)。また、発電コストが小さくならない場合(S804のNO)は、解の候補の発電計画を最終の発電計画とする。ここで、発電コストは、次式(3)により計算される。
Figure 0004734059
なお、以上の処理(S801〜S804)によって得られる発電計画の代わりに、前述したように、インタフェース部2により予め入力されるかあるいは記憶部3に予め用意された発電計画データ、または、電力系統の需給制御システム7から通信ネットワーク5を介して通信部4により受信した発電計画データ等を用いる場合には、これらの処理は省略可能である。
最後に、限界費用曲線作成部11は、最適負荷配分を行った火力ユニット増分燃料費を積み重ねて、限界費用曲線を作成する(S805)。以下には、限界費用曲線の計算方法について説明する。
すなわち、前述した式(2)より、経済負荷配分を行う火力ユニットは全て、限界費用がλとなる点で運転されることになるため、ある限界費用λが与えられたとき、経済負荷配分を行う火力ユニットの出力は、次式(4)により計算することができる。
Figure 0004734059
ここで、(dFi/dPi-1は、dFi/dPiの逆関数を表す。したがって、限界費用曲線λ(P)は、式(4)を経済負荷配分対象の火力ユニットについて合計し、再び逆関数を求めることにより、下記の式(5)によって表すことができる。
Figure 0004734059
図10は、限界費用曲線の一例を示す図である。図10(a)は、3機の火力ユニットの増分燃料費を示し、図10(b)は、これら3ユニットからなる系の限界費用曲線を示す。この図10に示すように、限界費用曲線は、各ユニットの増分燃料費を横軸(出力軸)方向に積み重ねた曲線となる。また、図10(c)は、図10(b)の限界費用曲線を表形式で示す出力画面例であり、図10(b)に「●」で示す各端点の座標を表示している。
一般に、火力ユニットの燃料費特性は、出力の二次関数で表されることが多く、その場合、増分燃料費は出力の一次関数で表される。このとき、限界費用曲線は区分線形な増加関数で表すことができるため、線分の端点の情報によって限界費用曲線を表現することができる。
[入札データ作成処理]
図11は、入札データ作成処理(S203)の一例を示すフローチャートであり、図12は、限界費用曲線から、マークアップデータと分割データを用いて入札データを作成する例を示す図である。以下には、これらの図11および図12を参照しながら、入札データ作成処理(S203)の詳細について説明する。
図11に示すように、入札データ作成処理(S203)は、時間(商品)単位のループ処理(LOOP11)を商品の数だけ繰り返す処理である。
すなわち、入札データ作成部12は、時間(商品)単位のループ処理(LOOP11)として、まず、分割データを用いて、限界費用曲線を複数のバンドに分割する(S1101)。この分割データは、図6(b)の入力画面例で示したような出力幅や、個数などによって与えられる。図12は、需要から出力増側に2バンド、出力減側に3バンドに分割した場合の例を示している。
次に、入札データ作成部12は、分割されたバンドごとに、限界費用ブロックを作成する(S1102)。図12に示すように、限界費用ブロックは、バンド内の出力に対して価格一定の線分を階段状につないだブロックとして与えられ、出力が需要予測値より大きい範囲では、常に限界費用曲線以上となるように、また、出力が需要予測値より小さい範囲では、常に限界費用曲線以下となるように作成される。
図12では、発電出力合計値が需要予測値V0からV0+V1[MW]まではC1[円/kWh]、V0+V1[MW]からV0+V1+V2[MW]まではC2[円/kWh]の限界費用ブロックが作成されている。あるいは、この限界費用ブロックは、バンド内の限界費用の平均値を階段状につないで作成されてもよい。
そして、入札データ作成部12は、この限界費用ブロックに対して、下記の式(6)によってマークアップを行い、入札データを作成する(S1103)。
入札価格=a*限界費用ブロック価格+b … 式(6)
ここで、マークアップデータa,bは、図6(a)の入力画面例で示したような、売りと買いで別々に設定された定数データであるとする。また、それぞれの入札価格に対応する入札量は、対応する限界費用ブロックの入札量とする。図12では、P1=aC1+b[円/kWh]、P2=aC2+b[円/kWh]によって売り入札価格P1、P2が設定され、最終的に、(価格[円/kWh],量[MW])=(P1,V1)、(P2,V2)の2組の売り入札データが作成される。同様に、買い入札量としては、(価格[円/kWh],量[MW])=(p1,v1)、(p2,v2)、(p3,v3)の3組の買い入札データが作成される。
図13は、以上のようにして作成された入札データの一例を示す図である。この図13に示すように、入札データは、時間(商品)ごとに、買い入札量が正、売り入札量が負となるように、入札価格順に並べて表示される。なお、図13中において、符号「****」は、具体的な数値を意味している。以降の各図面中においても、符号「****」の意味は同様である。
以上のような入札データ作成処理で作成した入札データを用いることにより、売り入札であれば限界費用曲線より常に高い価格で、また、買い入札であれば限界費用曲線より常に低い価格で行うことができる。したがって、これらの入札が約定し、取引が成立した場合には、電気を発電コストより高い価格で売るか、あるいは発電コストより安い価格で買うかのいずれかとなるため、取引時に確実に利益を上げることが可能となる。
[収益計算処理]
図14は、収益計算処理(S204)で用いられる想定取引価格データの入力画面例を示す図であり、時間(商品)ごとに異なる価格データを設定できるようになっている。図15は、収益計算処理(S204)の一例を示すフローチャートである。以下には、この図15を参照しながら、収益計算処理(S204)の詳細について説明する。
収益計算部13は、時間(商品)単位のループ処理(LOOP12)として、まず、入札データ作成処理(S203)で得られた入札データと、図14に示すように予め用意された想定取引価格データとから、想定取引量を計算する(S1501)。
図16は、想定取引量の具体的な計算方法の一例を示す図である。この図16に示すように、入札データに対して想定取引価格が与えられた場合、グラフの交点から想定取引量を求めることができる。図16では、想定取引価格が、入札データ中の最も低い売り入札価格P1以上の場合は売り取引が成立し、図16中の想定取引価格Pa、すなわち、P1≦Pa<P2である想定取引価格Paに対して、取引量はV1となる。また、想定取引価格が、入札データ中の最も高い買い入札価格p1以下の場合は買い取引が成立し、図16の想定取引価格Pb、すなわち、p3<Pb≦p2である想定取引価格Pbに対して、取引量はv1+v2となる。
次に、収益計算部13は、想定取引価格と想定取引量、および発電コストの増減量から売り取引または買い取引の想定収益を計算する(S1502)。この場合、想定収益は、売り取引が成立した場合には、下記の式(7)により、また、買い取引が成立した場合には、下記の式(8)により、それぞれ計算することができる。
想定収益=想定取引価格×想定取引量−発電コストの増加量 … 式(7)
想定収益=発電コストの減少量−想定取引価格×想定取引量 … 式(8)
図17は、想定収益を示す図である。図中において、想定収益は、太い線で囲んだ部分、すなわち、想定取引量における限界費用曲線と想定取引価格の間の面積により表される。想定取引価格がPaの場合、前述したように売り取引が成立するため、取引が成立した場合の発電コストの増加量をΔC1とすると、想定収益は、式(7)から、Pa・V1−ΔC1となる。また、想定取引価格がPbの場合、前述したように買い取引が成立するため、取引が成立した場合の発電コストの減少量をΔc1+Δc2とすると、想定収益は、式(8)から、Δc1+Δc2−Pb・(v1+v2)である。
なお、発電コストの増減量については、想定取引量を考慮して発電計画、発電コストを計算し、限界費用曲線作成処理(S202)により計算された発電コストを減じることによって計算することもできる。
以上のような想定取引量の計算(S1501)、想定収益の計算(S1502)を含む商品ごとのループ処理(LOOP12)を商品数だけ繰り返した後、収益計算部13は、計算された時間(商品)単位の売買収益を積算して、一日の収益を計算する(S1503)。
[結果表示処理、入札実行処理]
前述したように、演算部1は、入札パラメータであるマークアップデータおよび分割データの全ての組合せについて、以上のような入札データ作成処理(S203)と収益計算処理(S204)を繰り返すことにより、入札パラメータの組合せの数に応じた多数の入札データを作成し、各入札データの収益計算結果を求めることができる。
図18は、そのような入札データ作成処理(S203)と収益計算処理(S204)の繰り返しにより複数の入札パラメータの組合せに対して得られた収益計算結果のグラフ形式の結果表示画面例を示す図である。この場合、複数の入札パラメータの組合せとして、5つのマークアップデータa1〜a5および3つの分割データ1〜3の各組合せとして得られる15の組合せが示されている。
図18は、縦軸を想定収益とし、横軸にマークアップデータa1〜a5を配置して、個々の分割データを、個々のマークアップデータa1〜a5の想定収益を示す点を線分で結んだ折れ線グラフにより表現したものであり、分割データとマークアップデータの各組合せは、それにより得られる入札データを表現している。この図18から、分割データ2とマークアップデータa3の組合せにより得られる入札データが、最も利益が大きいことが確認できる。
図19は、図18と同様に、5つのマークアップデータa1〜a5および3つの分割データ1〜3の各組合せに対して得られた収益計算結果の結果表示画面例を示す図であり、特に、想定収益と取引量を、表形式で示す図である。
この図19において、想定収益が最大となる入札データ、すなわち、分割データ2とマークアップデータa3の組合せとして表現される入札データの欄は、背景と異なる色で表示されており、容易に識別できるようになっている。また、収益が第2、第3となる入札データ、すなわち、分割データ1とマークアップデータa2、および分割データ3とマークアップデータa4、の各組合せとして表現される入札データの欄は、背景や収益最大となる入札データの欄と異なる色で表示されている。なお、図中では、このような色の相違は、ハッチングの有無および種類の相違により表現している。
演算部1は、結果表示処理(S205)において、インタフェース部2によりユーザに対して、図18や図19に示すような複数の入札データに対する収益計算結果を示す結果表示画面を表示する。そして、このような結果表示画面の表示に対して、ユーザから入札データの選択と入札実行要求がなされた場合には、演算部1は、選択された入札データを、通信部4から通信ネットワーク5を介して、電力取引所システム6へ送信することにより、入札を実行する(S206)。
したがって、ユーザは、図18や図19に示すような結果表示画面上で、複数の入札データの想定収益を確認した後、入札実行に使用する入札データを選択することにより、入札を実行することができる。
[効果]
以上のような第1の実施形態によれば、入札者の限界費用曲線を作成し、作成した限界費用曲線から電力取引によって利益を上げることのできる入札データを作成し、想定した取引価格に対する想定収益を計算することにより、作成した入札データが、想定する電力取引価格に対して、どの程度利益を上げることができるかを事前に評価することができるため、適切な入札を支援することができる。
また、入札パラメータとして、複数の分割データと複数のマークアップデータを組合せて、各組合せごとに入札データを作成することにより、複数の入札データを容易に作成することができる。そして、それら複数の入札データに対する複数の想定収益を計算して、それらの想定収益を並べて表示することにより、ユーザは、入札データの想定収益を比較することで、収益の高い最適な入札データを容易に選択することができる。さらに、そのような想定収益の表示において、色分けなどにより収益の高い入札データを他の入札データとは差別化して強調表示することにより、ユーザは、収益の高い最適な入札データをより容易に選択することができる。
そしてまた、ユーザの入札データの選択に応じて、選択された入札データを電力取引所システムへ送信して入札を実行することができるため、ユーザにとっては、入札データの選択だけで、最適な入札データによる入札を極めて容易に実行できる。
[第2の実施形態]
[構成]
図20は、本発明の第2の実施形態に係る電力取引入札支援システムの構成を示すブロック図である。この図20に示すように、本実施形態の電力取引入札支援システムは、第1の実施形態における収益計算部13に、収益の確率分布を計算する確率分布計算部14を追加した点であり、他の構成は、第1の実施形態と同様である。
[動作]
図21は、以上のような構成を有する本実施形態に係る電力取引入札支援システムによる入札評価シミュレーション動作の概略を示すフローチャートである。この図21に示すように、本実施形態における入札評価シミュレーション動作において、第1の実施形態と異なる点は、次の通りである。
すなわち、本実施形態においてはまず、第1の実施形態における収益計算処理(S201)とは異なり、複数の想定取引価格データを用いて、想定取引価格データ単位のループ処理を含む収益計算処理(S2001)を行う。また、複数の需要予測データを用いて、需要予測データ単位のループ処理(LOOP2)として、限界費用曲線作成処理(S202)、入札データ作成処理(S203)、および収益計算処理(S2001)を行う。本実施形態においてはさらに、この需要予測データ単位のループ処理(LOOP2)の後に、確率分布計算部14による確率分布計算処理(S2002)を行う。
なお、上記のような複数の需要予測データおよび複数の想定取引価格データは、データ入力/読み込み処理(S201)において用意する。
図22は、複数の需要予測データの入力画面例を示す図であり、需要予測データとして、複数の需要予測データを、時間(商品)ごとに設定できるようになっている。また、図23は、複数の想定取引価格データの入力画面例を示す図であり、想定取引価格データとして、複数の想定取引価格を、時間(商品)ごとに設定できるようになっている。
上記のように、本実施形態において、演算部1は、需要予測データ単位のループ処理(LOOP2)として、限界費用曲線作成処理(S202)、入札データ作成処理(S203)、および収益計算処理(S2001)という一連の処理を実行する。
図24は、この需要予測データ単位のループ処理(LOOP2)のうち、収益計算処理(S2001)の一例を示すフローチャートである。この図24に示す収益計算処理(S2001)と、第1の実施形態における図15の収益計算処理(S204)との相違は、想定取引価格データ単位のループ処理(LOOP21)を行う点である。
すなわち、この図24に示す収益計算処理(S2001)において、収益計算部13は、複数の想定取引価格データに対して、想定取引価格データ単位のループ処理(LOOP21)として、想定取引量計算処理(S1501)、想定収益計算処理(S1502)を含む時間(商品)単位のループ処理(LOOP22)を繰り返した後、一日の収益計算S1503を実行する。
本実施形態において、演算部1は、以上のような需要予測データ単位のループ処理(LOOP2)を、全ての需要予測データ、想定取引価格データに対して実行した後、確率分布計算部14による確率分布計算処理として、入札パラメータの各組合せごとに、収益の確率分布を示す期待値と標準偏差を計算し、計算結果を記憶部3に記憶するとともに、インタフェース部2によりユーザに対して表示する(S2002)。
図25は、以上のような需要予測データごとの限界費用曲線作成処理(S202)、入札データ作成処理(S203)、および収益計算処理(S2001)の繰り返しと確率分布計算処理(S2002)により複数の入札パラメータの組合せに対して得られた収益の確率分布計算結果の結果表示画面例を示す図である。この場合、複数の入札パラメータの組合せとして、5つのマークアップデータa1〜a5および3つの分割データ1〜3の各組合せとして得られる15の組合せが示されている。
図25は、縦軸を想定収益とし、横軸にマークアップデータa1〜a5を配置して、個々の分割データの確率分布を、個々のマークアップデータa1〜a5の想定収益の期待値を示す点を線分で結んだ折れ線グラフと、標準偏差を示すバーにより表現したものであり、分割データとマークアップデータの各組合せは、それにより得られる入札データを表現している。この図25から、分割データ2とマークアップデータa3の組合せにより得られる入札データが、最も利益の期待値が大きいこと、および、その標準偏差が他の入札データと同等であることが確認できる。
図26は、複数の入札パラメータの組合せに対して得られた収益の確率分布計算結果のリスクとリターンを表す結果表示画面例を示す図である。図26は、複数の入札データの期待値μを縦軸に、標準偏差σを横軸にプロットしたグラフにより表現したものであり、原点から引かれた直線は、原点と標準偏差に対する期待値が最大となる入札データとを結ぶ直線である。この図26から、リスクに対するリターンが最大となる入札データを容易に選択することができる。
[効果]
以上のような第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、さらに次のような効果が得られる。
まず、複数の需要予測データに対して、入札者の限界費用曲線を作成し、作成した限界費用曲線から電力取引によって利益を上げることのできる入札データを作成し、想定した取引価格に対する想定収益を複数の取引価格データに対して計算することにより、作成した入札データが、想定する電力取引価格に対して、どの程度利益を上げることができるかについてのリスクとリターンを事前に評価することができる。したがって、より適切な入札を支援することができる。
また、複数の入札データに対するリスクとリターンの関係をグラフ等により画面表示することにより、ユーザは、リスクに対するリターンが最大となる最適な入札データを容易に選択することができる。なお、ユーザが、最適な入札データを選択するだけで最適な入札データによる入札を極めて容易に実行できる点は、第1の実施形態と同様である。
[第3の実施形態]
[構成・動作]
本発明の第3の実施形態に係る電力取引入札支援システムの構成は、図20に示した第2の実施形態に係る電力取引入札支援システムの構成と同様であり、第2の実施形態と異なる点は、入札評価シミュレーション動作のみである。
すなわち、本実施形態の入札評価シミュレーション動作においては、需要予測データおよび想定取引価格データとして、確率分布モデルにより表現されるデータを用いる。また、限界費用曲線作成処理(S202)、入札データ作成処理(S203)、および収益計算処理(S2001)という一連の処理を、需要予測データごとではなく、モンテカルロ試行単位のループ処理(LOOP3)として行う。
なお、上記のような需要予測データおよび想定取引価格データの確率分布モデルは、データ入力/読み込み処理(S201)において用意する。図28は、具体的に用意される確率分布モデルとして、期待値と分散を指定した正規分布で表現された確率分布モデルの一例を示している。
図29は、需要予測データおよび想定取引価格データの確率分布モデルの入力画面例を示す図であり、図29(a)は需要予測データの入力画面例、図29(b)は想定取引価格データの入力画面例をそれぞれ示している。この図29に示すように、時間ごとの平均と分散(標準偏差)を設定することによって、需要予測データや想定取引価格データの正規分布モデルを設定することができる。
本実施形態において、演算部1は、以上のようにして設定した需要予測データおよび想定取引価格データの確率分布モデルを用いて、モンテカルロ試行単位のループ処理(LOOP3)を、全てのモンテカルロ試行に対して実行した後、確率分布計算部14による確率分布計算処理として、入札パラメータの各組合せごとに、収益の確率分布を示す期待値と標準偏差を計算し、計算結果を記憶部3に記憶するとともに、インタフェース部2によりユーザに対して表示する(S2002)。
このような本実施形態の一連の処理により複数の入札パラメータの組合せに対して得られる収益の確率分布計算結果は、第2の実施形態により得られる結果と同様の確率分布であるため、図25、図26と同様のグラフ形式で結果表示することができる。
[効果]
以上のような第3の実施形態によれば、第2の実施形態の効果に加えて、さらに次のような効果が得られる。
まず、確率分布モデルで表現された需要予測データに対して、入札者の限界費用曲線を作成し、作成した限界費用曲線から電力取引によって利益を上げることのできる入札データを作成し、確率分布モデルで表現された想定取引価格に対する想定収益を計算することにより、作成した入札データが、不確実な需要予測データおよび不確実な想定取引価格に対して、どの程度のリスクとリターンを発生するかを事前に評価することができる。したがって、不確実性を考慮した適切な入札を支援することができる。
また、複数の入札データに対するリスクとリターンの関係をグラフ等により画面表示することにより、ユーザが、リスクに対するリターンが最大となる最適な入札データを容易に選択することができる点、および、ユーザが、最適な入札データを選択するだけで最適な入札データによる入札を極めて容易に実行できる点は、第2の実施形態と同様である。
[他の実施形態]
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他にも多種多様な変形例が実施可能である。まず、図面に示したシステム構成やフローチャートは、一例にすぎず、具体的な機能構成、動作手順や各処理の詳細は適宜選択可能である。例えば、前記複数の実施形態を適宜組み合わせて、ユーザのニーズに応じた入札評価シミュレーション動作を選択的に行うようにしてもよい。
さらに、前述した実施形態においては、本発明の手法を、コンピュータのハードウェアとプログラムによりシステムおよび方法として実現する場合について説明したが、本発明の手法は、電力取引入札支援用として特化されたコンピュータプログラムのみの形態でも実現可能である。
すなわち、本発明は、入札者の限界費用曲線を作成し、限界費用曲線から電力取引によって利益を上げることのできる入札データを作成し、想定した取引価格に対する想定収益を計算するものである限り、その具体的な実施形態は自由に選択可能である。
本発明の第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムの構成を示すブロック図。 第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムによる入札評価シミュレーション動作の概略を示すフローチャート。 第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける需要予測データの入力画面例を示す図。 第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける電源データの入力画面例を示す図であり、(a)は発電ユニットの定義の入力画面例を示す図、(b)は火力ユニットの特性データの入力画面例を示す図、(c)は水力ユニットの特性データの入力画面例を示す図、(d)は揚水ユニットの特性データの入力画面例を示す図。 第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける発電計画データの入力画面例を示す図。 第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける入札パラメータの入力画面例を示す図であり、(a)はマークアップデータの入力画面例を示す図、(b)は分割データの入力画面例を示す図。 第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムにより、一日の電力需要予測データに対して発電ユニットを配分した発電計画の一例を示す図。 第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける限界費用曲線作成処理の一例を示すフローチャート。 第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムで処理する火力ユニットの燃料費特性に関するデータの一例を示す図であり、(a)は燃料費特性グラフ、(b)は増分燃料費特性グラフ、(c)は最大最小出力を考慮した増分燃料費特性グラフ。 第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける限界費用曲線作成処理により作成した限界費用曲線の一例を示す図であり、(a)は3台の火力ユニットの増分燃料費特性グラフ、(b)は3台の火力ユニットから作成された限界費用曲線のグラフ、(c)は限界費用曲線の出力画面例を示す図。 第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける入札データ作成処理の一例を示すフローチャート。 第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける入札データ作成処理による入札データの作成例を示す図。 第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける入札データ作成処理により作成された入札データの一例を示す図。 第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける想定取引価格データの入力画面例を示す図。 第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける収益計算処理の一例を示すフローチャート。 第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける収益計算処理による想定取引量の計算方法の一例を示す図。 第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける収益計算処理による想定収益の計算方法の一例を示す図。 第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける結果表示処理による収益計算結果のグラフ形式の結果表示画面例を示す図。 第1の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける結果表示処理による収益計算結果の表形式の結果表示画面例を示す図。 本発明の第2の実施形態に係る電力取引入札支援システムの構成を示すブロック図。 第2の実施形態に係る電力取引入札支援システムによる入札評価シミュレーション動作の概略を示すフローチャート。 第2の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける複数の需要予測データの入力画面例を示す図。 第2の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける複数の想定取引価格データの入力画面例を示す図。 第2の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける収益計算処理の一例を示すフローチャート。 第2の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける結果表示処理による収益計算結果のグラフ形式の結果表示画面例を示す図。 第2の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける結果表示処理による収益計算結果のリスクとリターンを表すグラフ形式の結果表示画面例を示す図。 本発明の第3の実施形態に係る電力取引入札支援システムによる入札評価シミュレーション動作の概略を示すフローチャート。 第3の実施形態に係る電力取引入札支援システムで処理する需要予測データおよび想定取引価格データの確率分布モデルの一例を示す図。 第3の実施形態に係る電力取引入札支援システムにおける需要予測データおよび想定取引価格データの確率分布モデルの入力画面例を示す図であり、(a)は需要予測データの入力画面例を示す図、(b)は想定取引価格データの入力画面例を示す図。
符号の説明
1…演算部
11…限界費用曲線作成部
12…入札データ作成部
13…収益計算部
14…確率分布計算部
2…インタフェース部
21…データ入力部
22…データ出力部
3…記憶部
4…通信部
5…通信ネットワーク
6…電力取引所システム
7…需給制御システム

Claims (8)

  1. 需要予測データ、発電ユニットの運用に関する特性データ、および発電計画に関するデータを用いて、限界費用曲線を作成する限界費用曲線作成手段と、
    前記限界費用曲線作成手段によって作成された限界費用曲線から、電力取引所へ入札するための入札データを作成する入札データ作成手段と、
    前記入札データ作成手段によって作成された入札データと、想定取引価格データを用いて、想定取引量を計算し、計算された想定取引量と前記発電ユニットの運用に関する特性データを用いて、想定収益を計算する収益計算手段と、
    計算条件および計算結果を保存する記憶手段と、
    データの入力および結果表示を行うインタフェース手段
    を備えたことを特徴とする電力取引入札支援システムにおいて、
    前記限界費用曲線作成手段は、
    前記需要予測データから固定出力の電力分を減じ、発電計画を作成する対象であるユニットの負担需要を計算し、
    前記負担需要のうち、火力ユニットの発電計画を作成し、その発電計画にかかる発電コストを第1の解の候補とし、
    火力ユニットの発電計画の低効率の部分を、水力発電ユニットの発電計画と持ち替え新たな発電計画を作成し、その発電計画にかかる発電コストを第2の解の候補とし、
    前記第1と第2の解の候補の発電コストを比較し、第2の解の候補が小さい場合にはその解の候補を新たな第1の解の候補とし、前記火力ユニットの次に低効率の火力ユニットの発電計画の低効率の部分を、水力発電ユニットの発電計画と持ち替え新たな発電計画を作成し、その発電計画にかかる発電コストを新たな第2の解の候補とし、第1と第2の解の候補の発電コストを比較し、第2の解の候補が小さくならない場合には、第1の解の候補の発電計画を最終の発電計画とし、その最終の発電計画より、限界費用曲線を作成したものであり、
    前記入札データ作成手段は、
    分割データを用いて限界費用曲線を複数のバンドに分割し、
    分割されたバンドごとに、バンド内の出力に対して価格一定の線分を階段状につないでなる限界費用ブロックを、需要予測値より大きい出力範囲では限界費用曲線以上となり、かつ、需要予測値より小さい出力範囲では限界費用曲線以下となるように作成するか、あるいは、バンド内の限界費用の平均値を階段状につないで限界費用ブロックを作成し、この限界費用ブロックに対してマークアップデータを用いてマークアップを行い、複数の入札データを作成するものである
    ことを特徴とする電力取引入札支援システム。
  2. 前記入札データ作成手段は、複数の入札データを作成するように構成され、
    前記収益計算手段は、複数の入札データと想定取引価格データを用いて、複数の想定取引量を計算し、計算された複数の想定取引量と前記発電ユニットの運用に関する特性データを用いて、複数の想定収益を計算するように構成され、
    前記収益計算手段によって計算された複数の想定収益を、前記インタフェース手段により並べて表示させる手段を備えた
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力取引入札支援システム。
  3. 通信ネットワークを介してデータの通信を行う通信手段と、
    入札データの1つを選択することにより、前記通信手段を介して取引所への入札を実行する手段を備えた
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力取引入札支援システム。
  4. 通信ネットワークを介してデータの通信を行う通信手段と、
    前記発電計画に関するデータとして、電力系統の需給制御を行うシステムから伝送されるデータを前記通信手段を介して取得するように構成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電力取引入札支援システム。
  5. 前記需要予測データおよび前記想定取引価格データのいずれか一方、あるいは両方について、複数のデータが用いられ、
    前記収益計算手段は、前記需要予測データおよび前記想定取引価格データのうち、複数のデータが用いられているデータに対して収益の確率分布を求めるように構成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電力取引入札支援システム。
  6. 前記需要予測データおよび前記想定取引価格データのいずれか一方、あるいは両方は、確率分布モデルにより表現されるデータであり、
    前記収益計算手段は、モンテカルロシミュレーションによって収益の確率分布を求めるように構成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電力取引入札支援システム。
  7. 演算部、記憶部、インタフェース部を有するコンピュータを利用して、電力取引所への入札を支援する電力取引入札支援方法において、
    前記演算部により、
    需要予測データ、発電ユニットの運用に関する特性データ、および発電計画に関するデータを用いて、限界費用曲線を作成する限界費用曲線作成ステップと、
    前記限界費用曲線作成ステップによって作成された限界費用曲線から、電力取引所へ入札するための入札データを作成する入札データ作成ステップと、
    前記入札データ作成ステップによって作成された入札データと、想定取引価格データを用いて、想定取引量を計算し、計算された想定取引量と前記発電ユニットの運用に関する特性データを用いて、想定収益を計算する収益計算ステップを行い、
    前記記憶部により、計算条件および計算結果を保存する記憶ステップを行い、
    前記インタフェース部により、データを入力する入力ステップおよび結果を表示する結果表示ステップを行う、
    ことを特徴とする電力取引入札支援方法において、
    前記限界費用曲線作成ステップは、
    前記需要予測データから固定出力の電力分を減じ、発電計画を作成する対象であるユニットの負担需要を計算するステップと、
    前記負担需要のうち、火力ユニットの発電計画を作成し、その発電計画にかかる発電コストを第1の解の候補とし、
    火力ユニットの発電計画の低効率の部分を、水力発電ユニットの発電計画と持ち替え新たな発電計画を作成し、その発電計画にかかる発電コストを第2の解の候補とするステップと、
    前記第1と第2の解の候補の発電コストを比較し、第2の解の候補が小さい場合にはその解の候補を新たな第1の解の候補とし、前記火力ユニットの次に低効率の火力ユニットの発電計画の低効率の部分を、水力発電ユニットの発電計画と持ち替え新たな発電計画を作成し、その発電計画にかかる発電コストを新たな第2の解の候補とし、第1と第2の解の候補の発電コストを比較し、第2の解の候補が小さくならない場合には、第1の解の候補の発電計画を最終の発電計画とするステップと、
    その最終の発電計画より、限界費用曲線を作成するステップからなり、
    前記入札データ作成ステップは、
    分割データを用いて限界費用曲線を複数のバンドに分割するステップと、
    分割されたバンドごとに、バンド内の出力に対して価格一定の線分を階段状につないでなる限界費用ブロックを、需要予測値より大きい出力範囲では限界費用曲線以上となり、かつ、需要予測値より小さい出力範囲では限界費用曲線以下となるように作成するか、あるいは、バンド内の限界費用の平均値を階段状につないで限界費用ブロックを作成し、この限界費用ブロックに対してマークアップデータを用いてマークアップを行い、複数の入札データを作成するステップとからなる
    ことを特徴とする電力取引入札支援方法。
  8. コンピュータを利用して、電力取引所への入札を支援する電力取引入札支援プログラムにおいて、
    需要予測データ、発電ユニットの運用に関する特性データ、および発電計画に関するデータを用いて、限界費用曲線を作成する限界費用曲線作成手段と、
    前記限界費用曲線作成手段によって作成された限界費用曲線から、電力取引所へ入札するための入札データを作成する入札データ作成手段と、
    前記入札データ作成手段によって作成された入札データと、想定取引価格データを用いて、想定取引量を計算し、計算された想定取引量と前記発電ユニットの運用に関する特性データを用いて、想定収益を計算する収益計算手段
    を前記コンピュータに実現させることを特徴とする電力取引入札支援プログラムにおいて、
    前記限界費用曲線作成手段は、
    前記需要予測データから固定出力の電力分を減じ、発電計画を作成する対象であるユニットの負担需要を計算し、
    前記負担需要のうち、火力ユニットの発電計画を作成し、その発電計画にかかる発電コストを第1の解の候補とし、
    火力ユニットの発電計画の低効率の部分を、水力発電ユニットの発電計画と持ち替え新たな発電計画を作成し、その発電計画にかかる発電コストを第2の解の候補とし、
    前記第1と第2の解の候補の発電コストを比較し、第2の解の候補が小さい場合にはその解の候補を新たな第1の解の候補とし、前記火力ユニットの次に低効率の火力ユニットの発電計画の低効率の部分を、水力発電ユニットの発電計画と持ち替え新たな発電計画を作成し、その発電計画にかかる発電コストを新たな第2の解の候補とし、第1と第2の解の候補の発電コストを比較し、第2の解の候補が小さくならない場合には、第1の解の候補の発電計画を最終の発電計画とし、その最終の発電計画より、限界費用曲線を作成したものであり、
    前記入札データ作成手段は、
    分割データを用いて限界費用曲線を複数のバンドに分割し、
    分割されたバンドごとに、バンド内の出力に対して価格一定の線分を階段状につないでなる限界費用ブロックを、需要予測値より大きい出力範囲では限界費用曲線以上となり、かつ、需要予測値より小さい出力範囲では限界費用曲線以下となるように作成するか、あるいは、バンド内の限界費用の平均値を階段状につないで限界費用ブロックを作成し、この限界費用ブロックに対してマークアップデータを用いてマークアップを行い、複数の入札データを作成するものである
    ことを特徴とする電力取引入札支援プログラム。
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