JP4732869B2 - カラムの製造方法およびカラム - Google Patents

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Description

本発明は、カラムの製造方法およびカラムに関するものである。
例えば、液体クロマトグラフィーは、円筒状の管体(キャピラリー)と、管体内に収納された固定相よりなるクロマトグラフィー用のカラムを用い、液状の試料を、管体内を通過させて、試料に接触した固定相における試料中の各成分に対する吸着特性や分配係数の差異に基づく移動速度の差を利用してこれを相互分離する技術である。
ところで、クロマトグラフィー用のカラムとしては、カラム内に、担体粒子を充填することによって固定相が形成される粒子充填型カラムがある。
この粒子充填型カラムは、一般に、カラムの下端部にフィルターが装着され、このフィルターの上側に、粒子状の担体(担体粒子)を充填することによって充填床(固定相)が形成される。さらに、この充填床の上側にも、フィルターが装着される。
ここで、下側のフィルターは、充填床がカラムの下端部から脱落してしまうのを阻止するためのものであり、上側のフィルターは、充填床の上端面の平坦性を保持するためのものである。
このような構成のカラムは、一般に、カラム自体が大型である場合には優れた分離特性が得られる。しかし、小型(特に、細径)である場合には、以下のような問題が生じる。
すなわち、細径カラムは、少量のサンプルを使用して、これを高精度・高感度に分析する目的で用いられる場合が多い。
しかし、前述のようなフィルターを使用するカラムでは、充填床によって分離された成分の一部が、下側のフィルター付近で生じる乱流によって再び混合されることがある。サンプル量が少ない場合に、このような混合が生じると、分離した成分に対して、混合されてしまった成分の割合が大きくなることから、高精度・高感度な分析が困難になる。
また、担体粒子によって構成された充填床では、担体粒子同士の隙間によって分子拡散、乱流が発生し、このことがカラム分離能の低下の原因になる。
この担体粒子同士の隙間は、担体粒子の粒子径が小さいほど小さくなるので、高精度・高感度分析に用いられる細径カラムでは、粒子径の小さい担体粒子を用いるのが好ましい。
しかし、前述のようなフィルターを使用する構成では、粒子径の小さい担体粒子を使用すると、担体粒子がフィルターに目詰まりし、カラムが劣化してしまう。
このような課題に対しては、近年、三次元ネットワーク状の骨格とその空隙とが一体となった、いわゆる、モノリスカラムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1に記載のモノリスカラムは、多孔質ガラスや多孔質セラミックよりなる骨格の細孔中に、さらにミクロ細孔を有する多孔質ガラスまたは多孔質ポリマーを充填することによって構成されたものである。
このモノリスカラムは、樹脂製の管体内に収納された状態で、例えば、液体を供給するポンプに接続される。
このようなモノリスカラムは、多孔質部分が一体化した骨格構造を有していることにより、フィルターを使用することなく管体内に固定することができる。
したがって、フィルターを使用することによる不都合、すなわちフィルター付近で生じる乱流による成分の混合、フィルターの目詰まり、カラムの圧力上昇等を回避することができる。
しかし、このようなモノリスカラムには、管体の内壁面と固定相との間に隙間を有しており、この隙間を流れる液体の流速は、多孔質の固定相を流れる液体の流速より速い。このため、管体内を流れる液体の流速にバラツキが生じ、試料中の各成分を確実に分離する特性(分離性能)が十分に発揮されないという問題がある。
特開2002−296258号公報
本発明の目的は、例えば、細径化した場合でも、良好な分離性能が得られ、高精度・高感度な分析を行うことができるカラムの製造方法、およびかかるカラムの製造方法により製造されたカラムを提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜()の本発明により達成される。
(1) 管体内に、固定相となる複数の粒子を充填する第1の工程と、
前記粒子が充填された前記管体に対して、熱処理を施すことにより、前記粒子同士を固着させて前記固定相を形成するとともに、該固定相の一部と前記管体の内壁面とを固着させる第2の工程とを有し、
前記第1の工程における前記管体および前記粒子は、それぞれリン酸カルシウム系化合物を主成分とする同種のセラミックス材料を成形してなる成形体、または、該成形体を仮焼成してなる仮焼結体で構成されていることを特徴とするカラムの製造方法。
これにより、例えば、細径化した場合でも、良好な分離性能が得られ、高精度・高感度な分析を行うことができるカラムが得られる。
また、これにより、粒子同士および固定相と管体の内壁面とを、それぞれ強固に固着することが比較的容易となる。
また、管体の内壁面および固定相において、試料中の成分に対して、同等の吸着特性および分配特性が得られる。
また、固定相を、多様な等電点を有するタンパク質の分離に利用できるようになる。
(2) 前記第1の工程において、前記管体を構成している前記仮焼結体および前記粒子を構成している前記仮焼結体は、その焼結の程度がほぼ等しいものである上記(1)に記載のカラムの製造方法。
これにより、熱処理の際に、粒子と管体とがほぼ等しい収縮率で収縮するので、熱処理によって得られる固定相と、管体の内壁面との間に隙間が生じ難く、管体の内壁面に固定相が確実に固着したカラムを得ることができる。
(3) 前記リン酸カルシウム系化合物は、ハイドロキシアパタイトまたはリン酸三カルシウムを主成分とするものである上記(1)または(2)に記載のカラムの製造方法。
これにより、固定相に、タンパク質やDNA等の生体由来成分を極めて効率よく吸着させることができる。
(4) 前記第2の工程において、前記熱処理の温度は、1200〜1450℃である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のカラムの製造方法。
これにより、セラミックス材料の分解を防止しつつ、熱処理による粒子および管体の焼結が確実になされるとともに、粒子同士および固定相と管体の内壁面とをそれぞれ確実に固着することができる。
(5) 上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のカラムの製造方法により製造されたことを特徴とするカラム。
これにより、例えば、細径化した場合でも、良好な分離性能が得られ、高精度・高感度な分析を行うことができるカラムが得られる。
本発明によれば、粒子が充填された管体に対して、熱処理を施すことにより、粒子同士が固着して固定相を形成するとともに、固定相の一部と管体の内壁面とが固着するので、固定相と管体の内壁面との間に隙間が生じ難くなり、カラム全体を流れる液体の流速のバラツキを抑制することができる。これにより、例えば、管体を細径化した場合でも、良好な分離性能が得られ、高精度・高感度な分析を行い得るカラムを得ることができる。
また、熱処理に供される管体および粒子は、それぞれ、セラミックス材料を成形してなる成形体、または、この成形体を仮焼成してなる仮焼結体で構成されているので、粒子同士および固定相と管体の内壁面とを、それぞれ強固に固着することができる。
また、熱処理に供される管体および粒子が、それぞれ、セラミックス材料の成形体を仮焼成してなる仮焼結体で構成されている場合、それらの焼結の程度がほぼ等しいものであれば、管体の内壁面に固定相がより確実に固着したカラムを得ることができる。
以下、本発明のカラムの製造方法およびカラムを添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のカラムの実施形態を示す模式図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
ここで、本発明のカラムは、例えば、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー用のカラムとして用いることができる。
以下では、本発明のカラムを、液体クロマトグラフィー用のカラムに適用した場合を代表に説明する。
図1に示すカラム1は、液状の試料(以下、省略して「液体試料」と言うこともある。)を、管体2内を通過させることによって、試料中の各成分を、その吸着特性や分配係数の差異に基づく移動速度の差を利用して相互分離するものである。
このカラム1は、管体2と、管体2内に収納された固定相3とを有している。
図1に示す管体2は、中空部(内空)21を有する円筒状をなしている。管体2が、このように円筒状をなしていることにより、管体2の内壁面と固定相3との間に隙間が生じ難くなる。
また、この管体2の一方の端部は、液体試料を注入する注入口を構成し、他方の端部は、試料中から分離された各成分が排出される排出口を構成する。
管体2の形状は、円筒状の他、種々の横断面形状を有する筒状であってもよい。
このような管体2内の中空部(内空)21の横断面積、すなわち、液体試料が通過する方向と垂直な方向での断面積は、0.001〜1.0mm程度であるのが好ましく、0.01〜0.2mm程度であるのがより好ましい。このような細い管体2を有するカラム1に対して本発明を適用することにより、少量の液体試料であっても、高精度・高感度な分析を行うことができる。
管体2の中空部21には、固定相3が収納されている。
この固定相3は、液体試料と接触することによって、液体試料に含まれる成分の少なくとも一部を保持(捕捉)するとともに、溶出液と接触することによって、保持した成分を、その保持力の差に応じて脱離するものである。
固定相3における成分を保持する機構は、特に限定されないが、例えば、静電的結合、固定相3に存在する孔への捕捉、タンパク質とリガンド(例えば、抗原と抗体)との結合、特定の官能基に対する親和性等が挙げられる。
図1に示す固定相3は、三次元ネットワーク状の骨格31と、液体(液体試料および溶出液)の流路となる空隙32とを有し、その一部が管体2の内壁面に対して固着している。
これにより、フィルターを使用しなくとも、固定相3を管体2の内壁面に固定することができるため、フィルターを省略することができる。その結果、フィルターを使用することによる不都合、すなわちフィルター付近の空隙によって液体に生じた乱流による成分の混合、フィルターの目詰まり、管体2の内部の圧力上昇による管体2の破損等を回避することができる。
また、固定相3と、管体2の内壁面とが固着することによって、固定相3と管体2の内壁面との間に隙間が生じ難くなるので、カラム1全体を流れる液体の流速のバラツキを抑制することができる。
このようなことから、例えば、管体2を細径化した場合でも、良好な分離性能が得られ、高精度・高感度な分析を行うことができるカラム1が得られる。
また、本実施形態では、固定相3の骨格31は、複数の粒子33が連結(固着)することによって形成されている。このような骨格31は、表面積が大きいこと、すなわち、試料中の成分との接触面積が大きいことから、試料中の成分を効率よく保持することができる。
この場合、粒子33の平均粒径は、0.1〜50μm程度であるのが好ましく、1〜10μm程度であるのがより好ましい。これにより、固定相3の表面積を十分に確保することができるので、粒子33の成分の保持率をより向上させることができる。なお、粒径が小さ過ぎると、粒子33同士の隙間を液体が流れ難くなり、各成分の分離に長時間を要するおそれがある。
固定相3の比表面積は、10〜1000m/g程度であるのが好ましく、50〜200m/g程度であるのがより好ましい。これにより、固定相3は、試料中の成分の十分な保持効率を確保しつつ、液体を通液する際に破損しない程度の機械的強度を有したものとなる。
本発明では、このような管体2および粒子33が、それぞれセラミックス材料で構成されている。
セラミックス材料は、化学的に安定であり、また耐熱性に優れる。したがって、このようなセラミックス材料を管体2および固定相3の構成材料として使用することにより、例えば、固定相3に不可逆的に吸着したタンパク質や脂質等を、強アルカリで溶解させて洗浄除去したり、有機化合物を加熱燃焼により気化させて除去することが可能となる。その結果、極少量のタンパク質成分等を、精密かつ高速で、繰り返し分析することが可能になる。
また、セラミックス材料の優れた耐熱性を利用して、管体2の排出口近傍に、有機化合物を水素炎によって燃焼し、イオン化することによって検出を行う水素炎炭素イオン化検出器を設置し、排出口から排出される有機化合物を検出することが可能である。
さらに、管体2および粒子33が、それぞれセラミックス材料で構成されていると、高温下で、セラミックス材料同士を接触させることにより、これらの相互拡散が容易に生じて、粒子33同士および粒子33(固定相3)と管体2の内壁面とを、それぞれ強固に固着することが比較的容易であるという利点も有する。
セラミックス材料としては、リン酸カルシウム系化合物、酸化アルミニウム系化合物、酸化ジルコニウム系化合物、酸化ケイ素系化合物、酸化チタン系化合物等が挙げられるが、分離する成分が特にタンパク質の場合には、リン酸カルシウム系化合物を主成分とするものが好ましい。リン酸カルシウム系化合物は、生体親和性が高く、陽イオン交換性と陰イオン交換性の両方の性質を示すため、例えば、タンパク質のカルボキシル基およびアミノ基のいずれとも相互作用する。このため、多様な等電点に分布した各種タンパク質の分離に利用できる。
なお、リン酸カルシウム系化合物は、タンパク質の他、核酸等の生体由来成分の分離にも適するものである。
リン酸カルシウム系化合物としては、特に限定されず、Ca/P比が1〜2を満足する各種化合物を用いることができ、例えば、ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))、フッ素アパタイト(Ca10(PO)、塩素アパタイト(Ca10(POCl)、リン酸三カルシウム(Ca(PO)、二リン酸カルシウム(Ca)、リン酸一水素カルシウム(CaHPO)等のうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
これらの中でも、リン酸カルシウム系化合物としては、ハイドロキシアパタイトまたはリン酸三カルシウムを主成分とするものが好ましい。これらのリン酸カルシウム系化合物は、生体材料として用いられるものであり、タンパク質やDNA等の生体由来成分を極めて効率よく吸着するものである。
なお、これらのリン酸カルシウム系化合物は、例えば、湿式合成法、乾式合成法、水熱合成法等によって合成することができる。この場合、リン酸カルシウム系化合物中には、その合成の際に残存する物質(原料等)または合成の過程で生じる二次反応生成物等が含まれていてもよい。
また、管体2および固定相3は、異なる種類のセラミックス材料で構成されていてもよいが、同種のセラミックス材料で構成されているのが好ましい。これにより、管体2の内壁面も、試料中の成分に対して、固定相3と同等の吸着特性および分配特性を示すものとなる。
したがって、例えば、管体2(カラム1)を細径化することによって、固定相3の表面積に対して管体2の内壁面の面積の比率が大きくなり、管体2の内壁面が試料中の成分に及ぼす影響が無視できなくなる場合でも、試料を高精度・高感度に分析することができる。
また、管体2を細径化した場合には、管体2の内壁面も試料中の成分の分離に利用できることから、カラム1の固定相3に求める高い分離性能を維持することができる。
次に、図1に示すカラムを用いて行う液体試料の分離方法を、固定相および管体の構成材料としてリン酸カルシウム系化合物を使用した場合を例にして説明する。
まず、カラム1に緩衝液を送液し、固定相3中の空隙32を、緩衝液によって満たしておく(プライミングを行う)。
緩衝液の種類としては、分離を行う混合試料によって異なるが、例えば、トリエタノールアミン塩酸−水酸化ナトリウム緩衝液、ベロナ−ル(5,5−ジエチルバルビツル酸ナトリウム)−塩酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、グリシルグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール−塩酸緩衝液、ジエタノールアミン−塩酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、ホウ酸ナトリウム−塩酸緩衝液、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液、炭酸ナトリウム−炭酸水素ナトリウム緩衝液、ホウ酸ナトリウム−水酸化ナトリウム緩衝液、炭酸水素ナトリウム−水酸化ナトリウム緩衝液、リン酸緩衝液、リン酸二ナトリウム−水酸化ナトリウム緩衝液、塩化カリウム−水酸化ナトリウム緩衝液、ブリトン−ロビンソン緩衝液、GTA緩衝液等の各種緩衝液(緩衝剤を含有する液体)差が挙げられる。
また、液体試料を調製する。
試料としては、特に限定されないが、ペプチド、タンパク質、核酸等の生体由来成分等が挙げられ、具体的には、例えば、血液、唾液、DNA、糖類、酵素等が挙げられる。
この調製した液体試料をカラム1に注入する。
注入された液体試料は、固定相3の空隙32を、その一方の端部から他方の端部に向かって通過しつつ、固定相3と接触する。そして、液体試料中の成分の少なくとも一部は、その荷電状態に応じた吸着力で固定相3の表面に吸着される。
一方、固定相3に付着しなかった成分は、固定相3の下端に到達し、排出口から排出される。そして、所定量の液体試料を固定相3に通液したところで、液体試料の注入を停止する。これにより、試料中の所定の成分が固定相3に吸着される。
ここで、固定相3(粒子33)が、前述したようにリン酸カルシウム系化合物で構成されていると、生体由来成分が特に効率よく吸着する。
液体試料の通液速度は、0.01〜10μL/分程度であるのが好ましく、0.1〜5μL/分程度であるのがより好ましい。これにより、固定相3を液体試料が通液するのに長時間を要し、その間に生体由来成分等が変質・劣化するのを防止しつつ、試料中の成分の十分な吸着効率を確保することができる。
次に、カラム1に溶出液を送液し、固定相3に吸着した成分を溶出させる。
溶出液としては、例えば、前述したのと同種の緩衝液であって、そのpHまたは塩濃度等を変化させたもの、あるいは添加物を添加したもの等を使用することができる。
送液された溶出液は、固定相3の空隙32を、その一方の端部から他方の端部に向かって通過しつつ、固定相3と接触する。固定相3に溶出液が接触すると、例えば、固定相3の表面の荷電状態が変化すること等が一要因となり、固定相3に付着していた成分が、固定相3に対する吸着力の差に基づいて順次溶出液中に溶出し、排出口から排出される。
そして、この排出された溶出液に対して、連続的に成分測定を行うことにより、試料の分析を行うことができる。または、溶出液を連続的に複数の分画で回収することにより、試料に含まれる特定の成分を分離・回収することができる。
溶出液の通液速度は、0.01〜10μL/分程度であるのが好ましく、0.1〜5μL/分程度であるのがより好ましい。これにより、固定相3を溶出液が通液するのに長時間を要し、その間に生体由来成分等が変質・劣化するのを防止しつつ、分析に必要十分な量の成分を効率よく回収することができる。
次に、本発明のカラムの製造方法を、図1に示すカラムを製造する場合を例にして説明する。なお、ここでは、固定相および管体の構成材料としてリン酸カルシウム系化合物を使用する場合を例に説明する。また、リン酸カルシウム系化合物の合成方法としては、湿式合成法を代表に説明する。湿式合成法によれば、高価な製造設備を必要とせず、比較的容易かつ効率よくリン酸カルシウム系化合物を合成することができる。
図2および図3は、図1に示すカラムの製造方法を説明するための図(模式図)である。なお、以下の説明では、図2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
[1]粒子の製造
まず、例えば容器(図示せず)内で、リン酸水溶液またはリン酸塩水溶液と、カルシウム塩水溶液とを混合して、これらを反応させてリン酸カルシウム系化合物を含むスラリーを得る。
リン酸塩としては、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。
また、カルシウム塩としては、水酸化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム等が挙げられる。
次に、得られたスラリーを乾燥させ、リン酸カルシウム系化合物の粒子33を得る。
この乾燥の方法としては、スプレードライ装置等を用いた噴霧乾燥法が好適に使用される。かかる方法によれば、粒子33を、より確実かつ短時間で得ることができる。
乾燥温度は、100〜300℃程度であるのが好ましく、150〜250℃程度であるのがより好ましい。
次に、このようにして得られた粒子33を分級し、所望の粒径の粒子33を回収する。
回収した粒子33の平均粒径は、0.1〜30μm程度であるのが好ましく、2〜20μm程度であるのがより好ましい。ここで回収した粒子33は、本工程[1]および後述する工程[3]の熱処理において収縮するが、前記範囲の平均粒径の粒子33を回収することにより、工程[3]の熱処理後において、前述の適正な粒径範囲の粒子33が得られる。
次に、回収した粒子33に、熱処理(仮焼成)を施す。これにより、粒子33は収縮し、緻密化が進行する。
粒子33に対して熱処理を施す方法としては、例えば、炉等による加熱、プラズマとの接触、マイクロ波の照射、レーザー光の照射等が挙げられる。
具体的な熱処理の条件は、粒子33の構成材料の組成、体積および重量等に応じて適宜設定されるが、例えば、熱処理の温度が、400〜1250℃程度であるのが好ましく、700〜1200℃程度であるのがより好ましい。このような温度範囲内で熱処理を施すことにより、リン酸カルシウム系化合物が分解したり、焼結することなく熱処理を施すことができる。
また、この温度範囲は、後述する工程[3]の熱処理より低温であるため、本工程[1]において、粒子33中の液相成分が急激に揮発して、粒子33に亀裂やボイド等が生じることを確実に防止することができる。
また、熱処理の時間は、0.5〜10時間程度であるのが好ましく、1〜5時間程度であるのがより好ましい。これにより、熱処理を確実に行うことができる。なお、熱処理の時間が前記上限値を超えてもよいが、熱処理のそれ以上の進行は期待できない。
また、昇温速度は、好ましくは10〜200℃/時間程度、より好ましくは30〜100℃/時間程度とされる。これにより、粒子33中の液相成分が急激に揮発して、粒子33に亀裂やボイド等が生じることをより確実に防止することができる。
また、熱処理の雰囲気としては、合成物がリン酸カルシウム系化合物である場合には、例えば、大気、酸素ガス、窒素ガス、アルゴンガス、または、減圧下等が挙げられる。また、その他の合成物の場合には、例えば、減圧下、または、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等の不活性ガス等が挙げられる。
なお、この熱処理(仮焼成)は、後述する工程[3]に供される管体2の焼結の程度(熱履歴)に応じて行えばよい。具体的には、後述する工程[3]において、管体2の焼結の程度が粒子33の焼結の程度と同等かそれ以下となるように、選択的に熱処理を行うようにすればよい。例えば、後述する工程[3]に供される管体2が、スラリーを成形してなる未焼結の成形体である場合には、本工程における熱処理を省略することもできる。仮焼成を省略した場合、粒子33および管体2の熱履歴をほぼ等しくすることができ、後述する工程[3]の熱処理(本焼成)に際して、粒子33と管体2とがほぼ等しい収縮率で収縮するので、固定相3と管体2の内壁面との間に隙間が生じ難く、管体2の内壁面に固定相3が確実に固着したカラム1を得ることができる。
なお、この場合、仮焼成に伴う粒子33の焼結の程度は、後述する工程[3]の本焼成において、焼結がさらに進行し得る程度(未完全焼結)であることは言うまでもない。
[2]管体の製造
まず、前記工程[1]と同様にして、リン酸カルシウム系化合物を含むスラリーを得る。
次に、得られたスラリーを、例えば、射出成形法、押出し成形法、プレス成形法等の各種成形方法により所定の形状に成形して、管体2を得る。なお、この管体2の形状寸法は、後述する熱処理における収縮分等を考慮して決定される。
そして、得られた管体2に対しては、例えば、自然乾燥、温風乾燥、フリーズドライ、真空乾燥等の方法により、乾燥がなされる。
次に、乾燥後の管体2に、熱処理(仮焼成)を施す。
この管体2に対する熱処理は、熱処理後の管体2の焼結の程度(熱履歴)が、後述する工程[3]に供される粒子33の焼結の程度(熱履歴)よりも小さい条件で行うことが好ましい。
そして、本工程の仮焼成で得られた管体2の焼結の程度は、前述の工程[1]で得られた粒子33の焼結の程度と同等またはそれ以下であることが好ましく、同等であることがより好ましい。これにより、後述する工程[3]の熱処理(本焼成)に際して、粒子33と管体2とがほぼ等しい収縮率で収縮する、あるいは粒子33の収縮率よりも管体2の収縮率の方が大きい状態で収縮するので、固定相3と管体2の内壁面との間に隙間が生じ難く、管体2の内壁面に固定相3がより確実に固着したカラム1を得ることができる。
この熱処理は、前記工程[1]と同様の方法および条件で行うことができる。
なお、本工程で仮焼成された管体2の焼結の程度は、後述する工程[3]の本焼成において、焼結がさらに進行し得る程度(未完全焼結)であることは言うまでもない。
また、この熱処理(仮焼成)は、後述する工程[3]に供される粒子33の焼結の程度(熱履歴)に応じて行えばよく、例えば、後述する工程[3]に供される粒子33が、スラリーを成形してなる未焼結の成形体である場合には、省略することもできる。この場合、前記工程[1]の場合と同様に、管体2の内壁面に固定相3が確実に固着したカラム1を得ることができる。
また、本工程を省略し、別途製造された管体2を用いるようにしてもよい。
[3]カラムの製造
まず、図2(a)に示すように、得られた粒子33を、管体2内に充填する(第1の工程)。
この粒子33の充填は、例えば、(1)複数の粒子33を含む粒子含有液を管体2内に供給するとともに、粒子33を管体2の一端側に向けて移動させて充填し、次いで、粒子含有液中の液成分を除去する方法、または、(2)複数の粒子33を管体2内に供給し、次いで、粒子33を圧密化して充填する方法等によって行うことができる。
このうち、(1)の方法によれば、粒子含有液を用いることにより、粒子33が管体2内を移動し易くなるため、粒子33を、より容易かつ効率よく管体2内に充填することができる。
(1)における粒子33の移動方法では、例えば、粒子含有液を供給した管体2の一端側を鉛直下方に向けて放置し、粒子33の自然沈降を利用して充填する方法の他、図3に示すような粒子充填手段10を使用して充填する方法を用いることもできる。
この粒子充填手段10は、遠心分離機等の回転機構に取り付け回転させることにより、粒子33に対して、管体2の一端側に向かう遠心力を与えることができ、粒子33をより効率よく移動させることができる。
このような粒子充填手段10は、端部が回転機構の回転軸に取り付けられた円筒状のリザーバー101と、リザーバー101の他端部にネジによって取り付けられた円筒状のフィッティング102と、フィッティング102の中空部に、底部が回転軌道の外側を向くように嵌め込まれた有底筒状のガラス管103とを有する。
ガラス管103は、粒子33を充填すべき管体2の長さより長いものである。そして、複数の管体2を、その一端側がガラス管103の底部に突き当たるまで、ガラス管103内に収納する。
また、リザーバー101の中空部には、粒子33を含む粒子含有液が供給される。
このような状態で、遠心分離機等で粒子充填手段10を回転させる。これにより、リザーバー101内に供給された粒子含有液中の粒子33は、遠心力によって回転軌道の外側に向かって移動し、管体2内に供給される。このとき、粒子33には、回転軌道の外側に向かう遠心力が常に働いているため、粒子33は、管体2の一端側から順次充填される。そして、管体2内の全体が粒子33で充填されるまで粒子充填手段10を回転させる。
このような粒子充填手段10を使用し、遠心力を利用することにより、管体2内に、より高密度で粒子33を充填するとともに、1回の操作で多数の管体2内に容易に粒子33を充填することができる。
また、粒子含有液中の液成分の除去は、例えば、自然乾燥、温風乾燥、フリーズドライ、真空乾燥等の各種乾燥により行うことができる。
なお、粒子含有液中の液成分としては、特に限定されないが、例えば、蒸留水、イオン交換水、RO水のような各種水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンのようなアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、n−ヘキサン、石油エーテル、トルエン、ベンゼン、キシレンのような炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸メチルのようなエステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメトキシエタン、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、グリース、シリコーンオイル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
一方、(2)の方法によれば、回転機構等の装置を用いることなく、粒子33を管体2内に容易に充填することができる。
(2)の方法では、例えば、粒子33を治具等で一端側に向けて圧縮することにより圧密化して充填する方法の他、粒子33を供給した管体2の一端側を鉛直下方に向け、管体2に振動を与えることにより圧密化して充填する方法を用いることもできる。
この振動は、例えば、タッピング、超音波照射等の方法で与えることができる。このように振動を与えることで圧密化することにより、粒子33および管体2の変形を確実に防止しつつ、粒子33を管体2内に効率よく充填することができる。
次に、粒子33が充填された管体2に、熱処理(本焼成)を施す(第2の工程)。
これにより、粒子33同士、および、固定相3と管体2の内壁面との間で、相互拡散による固着が生じる。これにより、粒子33同士が連結してなる骨格31が形成されるとともに、この骨格31と管体2の内壁面とが固着される。その結果、図2(b)に示すように、骨格31と空隙32とを有する固定相3と、この固定相3に固着した管体2とを有するカラム1が得られる。
なお、このとき、前述したように、管体2の焼結の程度(熱履歴)が、粒子33の焼結の程度(熱履歴)と同等かそれ以下であれば、粒子33と管体2の内壁面とが接触しつつ収縮し、これらがより確実に固着してなるカラム1が得られる。
この熱処理では、焼成温度までの昇温を、段階的に行うのが好ましい。具体的には、例えば、第1の昇温速度で第1の温度まで昇温した後、第2の昇温速度で第2の温度(焼成温度)まで昇温する。その後、第2の温度で一定時間保持した後、徐冷する。
このように昇温を段階的に行うことにより、粒子33同士、および、固定相3と管体2の内壁面とを、粒子33と管体2の形状を維持しつつ固着することができる。
ここで、第1の昇温速度は、60〜900℃/時間程度であるのが好ましく、300〜600℃/時間程度であるのがより好ましい。これにより、粒子33中または管体2中に残存する液相成分の急激な揮発を防止しつつ、効率よく昇温することができる。
第1の温度は、300〜1200℃程度であるのが好ましく、300〜1000℃程度であるのがより好ましい。これにより、後の第2の温度による焼結が均一になされるよう、粒子33および管体2の全体をほぼ均一の温度となるようにすることができる。その結果、焼結の偏りを防止し、焼結後の粒子33および管体2の形状が変形するのを防止することができる。
第2の昇温速度は、第1の昇温速度より遅い速度に設定され、第1の昇温速度によって異なるが、30〜200℃/時間程度であるのが好ましく、50〜150℃/時間程度であるのがより好ましい。これにより、後の第2の温度における熱処理により、粒子33および管体2の焼結がより均一になされる。
第2の温度は、第1の温度より高い温度に設定され、第1の温度によって異なるが、1200〜1450℃程度であるのが好ましく、1200〜1400℃程度であるのがより好ましい。これにより、リン酸カルシウム系化合物(セラミックス材料)の分解を防止しつつ、熱処理による粒子33および管体2の焼結が確実になされるとともに、粒子33同士および固定相3と管体2の内壁面とをそれぞれ確実に固着することができる。
また、第2の温度における保持時間は、第2の温度によって若干異なるが、0.5〜10時間程度であるのが好ましく、1〜5時間程度であるのがより好ましい。これにより、粒子33および管体2の焼結の際の形状変形を最適化して、これらの形状を維持しつつ、前述の固着を確実に行うことができる。
また、熱処理の際の雰囲気は、前記工程[1]および工程[2]と同様の雰囲気とするのが好ましい。
このような熱処理は、前記工程[1]および工程[2]と同様の方法および条件で行うことができる。
以上のような条件で熱処理を施すことにより、粒子33の粒子形状を、より確実に維持しつつ、粒子33同士および固定相3と管体2の内壁面とをそれぞれ固着して、カラム1を製造することができる。
以上、本発明のカラムの製造方法およびカラムの実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されることはない。
また、本発明のカラムの製造方法およびカラムは、例えば、前述したような工程に、必要に応じて、1または2以上の任意の目的の工程を追加することもできる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.カラムの製造
(実施例1)
[1] まず、リン酸水溶液と水酸化カルシウム水溶液とを混合し、ハイドロキシアパタイトを含有するスラリーを得た。
[2] 次に、このハイドロキシアパタイト含有スラリーを、スプレードライ装置を用いて200℃で乾燥することにより、ハイドロキシアパタイト粒子(HA粒子)を得た。次いで、このHA粒子を分級した。
[3] 次に、このHA粒子を電気炉に搬入し、50℃/時間の昇温速度で400℃まで昇温し、この温度で4時間保持した。
[4] 次に、ハイドロキシアパタイト含有スラリーを、射出成形装置により円筒状に成形したキャピラリー(管体)を得た。続いて、このキャピラリーを室温にて乾燥した。
[5] 次に、このキャピラリーを電気炉に搬入し、50℃/時間の昇温速度で1050℃まで昇温し、この温度で4時間保持することにより、外径:1.70mm、内径:185μmのキャピラリーを得た。
[6] 次に、前記工程[3]で得られたHA粒子を電気炉に搬入し、50℃/時間の昇温速度で1050℃まで昇温し、この温度で4時間保持することにより、HA粒子に仮焼成を施し、平均粒径10μmのHA粒子を得た。
[7] 前記工程[5]で得られたキャピラリーの一端部に漏斗を差し込み、この漏斗を介して、キャピラリー内に前記工程[6]で得られたHA粒子を投入した。その後、タッピング法によって、HA粒子を、キャピラリーの他端部側から順次充填し、圧密化した。
[8] 次に、HA粒子が充填されたキャピラリーを、600℃/時間の昇温速度で1000℃まで昇温した後、100℃/時間の昇温速度で1400℃まで昇温し、この温度で4時間保持した)。これにより、HA粒子同士を固着して固定相を形成するとともに、固定相とキャピラリーの内壁面とを固着した。
以上の工程により、カラムを得た。
(実施例2)
前記実施例1の前記工程[6]で熱処理を施されたHA粒子を、次のようにして管体内に充填したこと以外は、実施例1と同様にして、カラムを得た。
まず、図3に示すような粒子充填手段と、この粒子充填手段を回転させる遠心分離機とを用意した。
そして、HA粒子を、イソプロパノールに投入することによって、HA粒子を含有する粒子含有液を調製し、これを粒子充填手段のリザーバーに供給した。
また、前記工程[4]〜[5]のようにしてキャピラリー(外径:300μm、内径:70μm、ハイドロキシアパタイト製)を製造し、このキャピラリーを粒子充填手段のガラス管内に挿入した。
そして、遠心分離機を用いて、この粒子充填手段を500rpmで10分間遠心することにより、キャピラリー内にHA粒子を充填した。
(実施例3)
前記実施例1の工程[5]において、キャピラリーの仮焼成温度を950℃に変更することにより、仮焼成後のキャピラリーの焼結の程度が、前記工程[6]で得られたHA粒子の焼結の程度より小さくなるようにした以外は、前記実施例1と同様にして、カラムを得た。
(参考例)
別途用意したステンレス鋼製のキャピラリー(外径:1.7mm、内径:185μm)を用い、このキャピラリーに、焼結させたHA粒子を実施例1と同等の充填率となるよう充填して、カラムを得た。
2.評価
2.1 カラム内部構造の観察・評価
各実施例および参考例で作製したカラムの断面について、キャピラリーの内壁面と固定相との境界部付近を、走査型電子顕微鏡(日立製作所製 商品名S−4300)にて観察した。ここでは、代表的に、実施例2で作製したカラムの顕微鏡写真を図4および図5に示す。
図4からも明らかなように、実施例2で作製したカラムでは、HA粒子同士が連結しているのがわかる。また、図5には、キャピラリーの内壁面と固定相との間に架橋構造の形成が見られ、HA粒子同士と同様に、キャピラリーの内壁面と固定相との間も固着していることがわかる。
また、実施例1および実施例3も、実施例2と同様に、HA粒子同士の固着およびキャピラリーの内壁面と固定相との間の固着がそれぞれ認められた。
これに対して、参考例で作製したカラムの顕微鏡写真には、HA粒子同士、および、キャピラリーの内壁面と固定相との間は、それぞれ固着せず、隙間が多く認められた。これは、HA粒子の焼結の程度が、キャピラリーの焼結の程度より小さいため、本焼結の際に、キャピラリーよりHA粒子の方が大きく収縮し、両者の間に隙間が生じたことに起因すると考えられる。
また、特に、実施例2は、キャピラリーの内壁面と固定相との固着の程度が非常に大きいことが認められた。これは、粒子含有液を供給し、かつ粒子に遠心力を与えることにより、粒子が効率よく移動して、高い密度で充填されたためと考えられる。
また、各実施例および参考例で作製したカラムについて、エネルギー分散型X線分析装置(EDX:堀場製作所社製 商品名EMAXENERGY)にて、横断面のキャピラリー部分および固定相部分の組成分析を行ったところ、いずれの部分もCa、P、Oから構成されていた。
具体的には、実施例1〜3および参考例では、キャピラリー部分のCa/P比は1.6、粒子部分のCa/P比は1.7であり、いずれもハイドロキシアパタイトで構成されていた。
2.2 成分分離特性の評価
次に、各実施例および参考例で作製したカラムを使用して、液体試料の分析を行った。
まず、カラムに、1mMのリン酸緩衝液(pH6.8)を送液することによって、カラム内をリン酸緩衝液で満たした。
次に、液体試料としてBSA、Lysozyme、Cytochrome−cを用意した。
そして、この液体試料を、カラムに注入することによって、液体試料の成分を固定相に吸着させた。
次に、カラムに、200mMのリン酸緩衝液(pH6.8)を送液することによって固定相に吸着した成分を溶出させ、カラムから排出される溶出液について、連続的に、280nmにおけるUV検出器による成分測定を行った。
代表として、図6(a)に実施例2のカラムによる測定結果を模式的に示す図を、図6(b)に参考例のカラムによる測定結果を模式的に示す図をそれぞれ示す。
両者を比較したところ、実施例2のカラムによるスペクトルでは、参考例のカラムによるスペクトルに比べ、対象成分の検出に要する時間(リテンションタイム)が短いという結果が得られた。また、図示しない実施例1、3においても、実施例2と同様の結果が得られた。
さらに、各実施例のカラムで得たスペクトルの2つのピークは、よりリテンションタイムの長い参考例のスペクトルと比べても、ほぼ同程度に分解して検出された。
以上のことから、各実施例のカラムは、より短時間で分析可能であることが示された。
本発明のカラムの実施形態を示す模式図である。 図1に示すカラムの製造方法を説明するための図(模式図)である。 図1に示すカラムの製造方法を説明するための図(模式図)である。 実施例2で製造されたカラムの顕微鏡写真である。 実施例2で製造されたカラムの顕微鏡写真である。 実施例2および参考例で製造されたカラムから溶出した成分の分析結果を示すグラフ(模式図)である。
符号の説明
1 カラム
2 管体
21 中空部
3 固定相
31 骨格
32 空隙
33 粒子
10 粒子充填手段
101 リザーバー
102 フィッティング
103 ガラス管

Claims (5)

  1. 管体内に、固定相となる複数の粒子を充填する第1の工程と、
    前記粒子が充填された前記管体に対して、熱処理を施すことにより、前記粒子同士を固着させて前記固定相を形成するとともに、該固定相の一部と前記管体の内壁面とを固着させる第2の工程とを有し、
    前記第1の工程における前記管体および前記粒子は、それぞれリン酸カルシウム系化合物を主成分とする同種のセラミックス材料を成形してなる成形体、または、該成形体を仮焼成してなる仮焼結体で構成されていることを特徴とするカラムの製造方法。
  2. 前記第1の工程において、前記管体を構成している前記仮焼結体および前記粒子を構成している前記仮焼結体は、その焼結の程度がほぼ等しいものである請求項に記載のカラムの製造方法。
  3. 前記リン酸カルシウム系化合物は、ハイドロキシアパタイトまたはリン酸三カルシウムを主成分とするものである請求項1または2に記載のカラムの製造方法。
  4. 前記第2の工程において、前記熱処理の温度は、1200〜1450℃である請求項1ないしのいずれかに記載のカラムの製造方法。
  5. 請求項1ないしのいずれかに記載のカラムの製造方法により製造されたことを特徴とするカラム。
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