近年、光ファイバを用いたFTTH(Fiber To The Home)が普及し、アクセスネットワークが高速化している。FTTHの代表例として、PON(Passive Optical Network)システムがある。
PONシステムは、図15に示すようにユーザ端末10と通信する複数(N個)の光ネットワーク装置(Optical Network Unit)20と、ゲートウェイ50を介してバックボーンネットワーク60と通信する光回線装置(Optical Line Terminal)40とを備える。複数のONU20とOLT40は、給電を必要としない受動素子である光スプリッタ80を介して接続されている。これによって、PONシステムは、安価なアクセス網70を実現できるシステムである。
例えば、IEEE802.3ah(非特許文献1)において、Ethernet(登録商標。以下同じ)に準拠して、OLT−ONU間のデータを転送するEPON(Ethernet−PON)が標準化されている。また、伝送速度を10Gbpsに高速化した10G−EPONの標準化が進められている(IEEE802.3av(非特許文献2))。
前述したEPON及び10G−EPONに代表されるPONは、光スプリッタを用いるために、分岐数(ONUの最大収容数)に反比例して、ONUに到達する光電力が減衰する。すなわち、分岐数が多い場合に、伝送距離及び収容できる利用者数に制約が生じる問題がある。また、OLTからONUへの下り方向の光信号は全てのONUに分配されるために暗号化が不可欠である。また、暗号化したとしても、通信の秘匿性には限界がある。
これらのPONの問題を解決するために、図16に示すように、受動的な光スプリッタに代わって、能動的な光スイッチ90を備えるシステムがある。特に、通過減衰量がゼロに近い光スイッチを用いることによって、伝送距離及び収容できる利用者数を増加することができる。また、光スイッチは特定のユーザへのみ信号を送信するように制御できるので、暗号化を用いることなく、通信の秘匿性を高めることができる。
このような光スイッチを用いた光ネットワークシステムが、特許文献1及び特許文献2に開示されている。
図16に示す一般的な光スイッチ90は、一つの経路を接続するか、全ての経路を非接続とすることができるので、全ての経路にデータを同報するブロードキャストをすることができない。よって、従来のEPON及び10G−EPONにおいて使用されたディスカバリ処理をそのまま適用することができない。
ここで、従来のEPON及び10G−EPONにおけるディスカバリ処理について説明する。
ディスカバリ処理は、共通の光通信路を利用して未登録のONUを検出し、検出されたONUを登録し、かつONUとOLTとの間の通信距離(RTT(Round Trip Time))を計測する処理である。ディスカバリ処理によって、光スプリッタ又は光スイッチにおいて、通信がぶつからないように制御することができる。最終的に、OLTは、識別子(LLID(Logical Link ID))によって、登録済みのONUを区別する。図7に、従来のEPON及び10G−EPONにおけるディスカバリ手順のシーケンスを示す。
ディスカバリ処理では、まず、ONU20は未登録状態であるため、OLT40は、Discovery GATEメッセージ SIG20を利用して、LLIDの定まっていないONUの存在を確認する。Discovery GATEメッセージ SIG20は、メッセージ中のDiscoveryフラグを”1”とすることによって、通常のGATEメッセージと区別することができる。また、LLIDはブロードキャスト用に定義された識別子を用い、宛先MACアドレスはマルチキャストアドレスを用いる。
OLT40から送信されたDiscovery GATEメッセージ SIG20は、光スプリッタ80を経由して、光スプリッタ80に接続されている全てのONU20に到着する。まだ、LLIDが付与されていない未登録のONU20は、Discovery GATEメッセージ SIG20を受信すると、OLT40に登録を要求するために、REGISTER_REQメッセージ SIG30を送信する。
このとき、光スプリッタ80からOLT40の区間で、複数のREGISTER_REQメッセージ SIG30が衝突するのを避ける必要があるが、衝突を完全に避けることはできない。そこで、衝突する確率を低くするために、未登録の各ONU20はDiscovery GATEメッセージ SIG20に書かれた送信開始時刻T2を基点としてランダムな時間だけ待った時刻T3に、REGISTER_REQメッセージ SIG30送信する。
OLT40は、Discovery Windowとして規定された時間内にREGISTER_REQメッセージ SIG30を受信すると、REGISTER_REQメッセージ SIG30を送信したONU20のMACアドレスを取得し、取得したONU20のMACアドレスとLLIDとの対応関係を管理する。また、当該ONU20にLLIDを割り当てるための処理を開始する。
OLT40は、割り当てられたLLIDをONU20に通知するために、このONU20のMACアドレスを宛先MACアドレスとし、かつLLIDが書き込んまれたREGISTERメッセージ SIG40を送信する。この宛先MACアドレスを有するONU20は、REGISTERメッセージ SIG40を受信すると、割り当てられたLLIDを取得する。これ以降、ONU20によって送信されるフレームのプリアンブルに、割り当てられたLLIDを含めて送信することによって、送信元ONU20を特定することができる。また、プリアンブルのLLIDによって、OLT40から送信されるフレームが自己宛のフレームであるかを判定することができる。
その後、OLT40は、OLT40とONU20との往復時間RTTを測定するために、ONU20をLLIDで指定し、宛先MACアドレスをマルチキャストアドレスとし、Discoveryフラグを”0”としたGATEメッセージ SIG50を送信する。
指定されたLLIDを有するONU20は、GATEメッセージ SIG50を受信すると、GATEメッセージ SIG50に含まれる時刻情報(Time Stamp)T6及び送信開始時刻(Grant Start Time)T7を取得する。そして、時刻情報T6をONU20の時計に設定し、設定された時計で送信開始時刻T7に、REGISTER_ACKメッセージ SIG60を、OLT40に送信する。
OLT40は、REGISTER_ACKメッセージ SIG60を、自己の時計で時刻T8に受信する。すると、OLT40は、T8と、受信したREGISTER_ACKメッセージ SIG60に含まれているT7とから、OLT40とONU20との往復時間RTTを、RTT=T8−T7として取得することができる。
以上のシーケンスによって、1個のONU20の登録(LLIDの割り当て)及び通信距離RTTの測定が完了する。複数の未登録ONUが存在する場合、1回のディスカバリシーケンスで、1回のDiscovery GATEメッセージ SIG20、複数回のREGISTER_REQメッセージ SIG30、REGISTERメッセージ SIG40、GATEメッセージ SIG50、及びREGISTER_ACKメッセージ SIG60がやり取りされ、これらのメッセージのやりとりを繰り返すことによって、複数のONUを登録することができる。
次に、光スプリッタ80に代わって光スイッチ90を備えるシステムにおけるディスカバリ処理について説明する。光スイッチ90を備えるシステムでは、最初に光スイッチ90に対するディスカバリ処理を行う必要がある。光スイッチ90に対するディスカバリ処理は、光スイッチ90をONUであると考え、図7に示す従来のONU20のディスカバリ処理を利用すればよい。OLT40が光スイッチ90を登録した後、光スイッチ90の先に接続されているONU20に対するディスカバリ処理を行う。
図8は、未登録ONUの数が5個であり、2個のONUは応答できるが、3個のONUは応答できない場合のディスカバリ手順のシーケンスを示す。
光スイッチを備えるシステムの場合、光スプリッタを備えるシステムの場合と異なり、ブロードキャストを利用できない。このため、ディスカバリではユニキャストを利用して未登録のONU20を一つ一つ調べる必要がある。このとき、光スイッチポートにONU20が接続されていなかったり、ONU20の電源が入っていなかったり、何らかの理由によってONU20が応答できない場合がある。
図8に示すシーケンスでは、まず、1個目のONU20の登録を行うために、OLT40は光スイッチ90の下り光スイッチの出力ポート(宛先)と、上り光スイッチの入力ポート(送信元)とを固定するためのスイッチポート固定メッセージ SIG10−1を送信する。そして、光スイッチ90が未登録ONU20の一つを選択し、光通信路を固定する。ここで、光スイッチのポートが固定されているため、全てのディスカバリ処理のメッセージは、ただ一つのONU20とOLT40との間で転送される。
次に、1個目のONU20のディスカバリのために、OLT40がDiscovery GATEメッセージ SIG20−1を送信する。このとき、光スイッチのポートが固定されているため、他のONU20と信号が光通信路上で衝突する可能性がない。このため、ONU20は、REGISTER_REQメッセージを返信する際に、ランダム時間の待機を必要としない。なお、この時点ではOLT40はONU20の同期時間(Sync Time)が分からないため、十分な長さのSync Pattern(Burst Preamble)をバースト転送する。
図8に示すシーケンスでは、一つ目のディスカバリ処理で、Discovery GATEメッセージ SIG20−1に対して応答ができなかった。この場合でも、OLT40はDiscovery Windowで規定される時間、ONU20からのREGISTER_REQメッセージの返信を待つが、応答がないためタイムアウトし、次のONU20のディスカバリ処理に移る。
二つ目のディスカバリ処理のために、OLT40はスイッチポート固定メッセージ SIG10−2を送信し、その後、Discovery GATEメッセージ SIG20−2を送信する。このディスカバリに対して、反応するONU20が存在するため、 ONU20とOLT40との間で、図7に示す通常のディスカバリフェーズと同様の処理(メッセージ SIG30−2、SIG40−2、SIG50−2及びSIG60−2のやりとり)を行う。
この後、三つ目から五つ目のディスカバリ処理を行う。図8に示すシーケンスでは、5回のディスカバリのうち、2回はディスカバリが成功するが、3回はDiscovery GATEメッセージに対する応答がタイムアウトして、ディスカバリに失敗する。
ディスカバリ処理の頻度は、非特許文献1や非特許文献2による標準では規定されていない。ディスカバリフェーズと通常転送フェーズとの組み合わせの例を図17に示す。図示するように、ある一定時間をNフェーズに区切り、その中の1フェーズをディスカバリフェーズ、残りのN−1フェーズを通常転送フェーズとしたものを一つの通信セットとし、このフェーズの処理を繰り返す。
前述したディスカバリフェーズと通常転送フェーズとを実行するための手順を図21に示す。OLT40は、ディスカバリフェーズS100を実行後、通常転送フェーズS101を実行する。S102において、通常転送フェーズの回数を確認し、通常転送フェーズの回数が所定値(N回)に達していなければ通常転送フェーズS101を繰り返す。一方、通常転送フェーズの回数が所定値(N回)に達していれば、再びディスカバリフェーズS100を実行する。
1回のディスカバリフェーズの長さは、最大でも、全てのONUを登録するために必要な時間である。1回の通常転送フェーズでは、OLT40に登録済みの1個以上のONU20が、それぞれOLT40からの指示に従って、定められた時間においてデータを転送する。また、OLT40は、ONU20へデータを転送する。
特開2007−174123号公報
特開2007−67948号公報
IEEE Std 802.3ah
IEEE Std 802.3av
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
<実施形態1>
図1は、本発明の第1の実施の形態の光アクセスシステムの構成を示す図である。
光アクセスシステム70は、光ネットワーク装置(ONU)20、光通信路切替装置(OSW)30、及び、光回線装置(OLT)40を備える。
ONU(Optical Network Unit)20は、ユーザ数に応じて複数備わり、各ユーザ端末10と接続され、ユーザ端末10と通信する。OLT(Optical Line Terminal)40は、ゲートウェイ50と接続され、ゲートウェイ50を介してバックボーンネットワーク60と通信する。OSW30は、複数のONU20とOLT40との間を接続し、ONU20とOLT40との間の経路を能動的に切り替える。また、OSW30の光スイッチは、ONU20からの信号を検出するパワーモニタを備える。
図2は、第1の実施の形態のOSW30の構成を示すブロック図である。
前述したように、OSW30は、合波・分波器360、合波・分波器361、光スプリッタ340、下り光スイッチ311、上り光スイッチ312、2対1光スイッチ350、パワーモニタ313、O/E変換器341、受信用PHY/MAC論理回路342、ポート管理論理回路343、送信用PHY/MAC論理回路344、E/O変換器345、ドライバ入力生成論理回路330、下り光スイッチドライバ321及び上り光スイッチドライバ322を備える。
合波・分波器360は、複数備わり(360−1〜N)、ONU20側からの光信号を受信し、ONU20側へ光信号を送信する。合波・分波器361は、OLT40側からの光信号を受信し、OLT40側へ光信号を送信する。光スプリッタ340は、下り用の光通信をONU20側とOSW30内に分波する。尚、光信号の損失を防ぐために光スプリッタ340位置に2対1の光スイッチを用いてもよい。下り光スイッチ311は、下り用の光通信路を切り替える。上り光スイッチ312は、上り用の光通信路を切り替える。パワーモニタ313は、前記の上り光スイッチ312の光信号の入力の有無を検出する。
O/E変換器341は、光スプリッタ340から分波された光信号を電気信号に変換する。受信用PHY/MAC論理回路342は、光信号から変換された電気信号(MPCP(Multipoint Control Protocol)フレーム)からフレーム情報を読み取る。ポート管理論理回路343は、OSW30の各ポートとLLIDとの関係を管理する。送信用PHY/MAC論理回路344は、前記のパワーモニタ313からの電気信号を解析し、OLT40への送信用のMPCPフレームを生成する。そして、E/O変換器345によって電気信号を光信号に変換し、2対1光スイッチ350を経由して光信号として送信する。また、ドライバ入力生成論理回路330はポート管理論理回路343からの制御信号を受けて、下り光スイッチドライバ321、上り光スイッチドライバ322経由で下り光スイッチ311、上り光スイッチ312をそれぞれ制御する。
図3Aは、第1の実施の形態の下り光スイッチ311の構成を示すブロック図である。なお、図3Bに示す上り光スイッチ312も、下り光スイッチ311と同じ構成である。
光スイッチ311は、2対1の要素光スイッチをツリー状に配置している。光スイッチ311は、外部から入力される制御信号によって、要素光スイッチ内の2経路の一つを接続するか、2経路の両方を非接続とするかを制御できる。このため、光スイッチ311全体としては、ただ一つの経路を接続するか、全ての経路を非接続とすることができる。なお、光スイッチとしては、論理的にN対1の構成を実現できるものであれば、どのような構成の光スイッチでもよい。
図9は、第1の実施の形態のOLT40の構成を示すブロック図である。
OLT40は、合波・分波器400、O/E変換器411、受信側PHY/MAC論理回路412、送信側PHY/MAC論理回路402、MPCP制御論理回路420、ゲートウェイ側PHY/MAC論理回路430及びゲートウェイインタフェース440を備える。
合波・分波器400は、OSW30側からの光信号を受信し、OSW30側へ光信号を送信する。O/E変換器411は、受信した光信号を電気信号に変換する。受信側PHY/MAC論理回路412は、OSW30から受信したフレームを制御する。送信側PHY/MAC論理回路402は、OSW30へ送信するフレームを制御する。MPCP制御論理回路420は、MPCPフレームによって、複数のONU20を制御する。ゲートウェイ側PHY/MAC論理回路430は、ゲートウェイ側で送受信するフレームを制御する。ゲートウェイインタフェース440は、ゲートウェイ50とのインタフェースである。
なお、本実施の形態のOLT40のハードウェアの構成は、従来のOLT40のハードウェアの構成と同じであるが、MPCP制御論理回路420で実行されるディスカバリ処理が異なる。
図10は、第1の実施の形態のONU20の構成を示すブロック図である。
ONU20は、合波・分波器200、O/E変換器211、受信側PHY/MAC論理回路212、送信側PHY/MAC論理回路202、MPCP制御論理回路220、端末側PHY/MAC論理回路230及び端末インタフェース240を備える。
合波・分波器200は、OSW30側からの光信号を受信し、OSW30側へ光信号を送信する。O/E変換器211は、受信した光信号を電気信号に変換する。受信側PHY/MAC論理回路212は、OSW30から受信したフレームを制御する。送信側PHY/MAC論理回路202は、OSW30へ送信するフレームを制御する。MPCP制御論理回路220は、OLT40と通信するための論理回路である。端末側PHY/MAC論理回路230は、端末側で送受信されるフレームを制御する。端末インタフェース240は、ユーザ端末10とのインタフェースである。
なお、本実施の形態のONU20のハードウェアの構成は、従来のONU20のハードウェアの構成と同じであるが、MPCP制御論理回路220で実行されるディスカバリ処理が異なる。また、本実施の形態のONU20は、OLT40に未登録の状態において、OLT40に接続を要求する点で、従来のONU20と異なる。前記の接続要求は、レーザーをONにして何らかの値を送り続けることで実現する。尚、ディスカバリ処理によりOLT40に登録された後は、通常のデータ転送時のみレーザーをONにする。
本実施の形態では、上り光スイッチ312がパワーモニタ313を備えることを特徴とする。そこで、パワーモニタ313を利用した高速なディスカバリ方法について説明する。
OLT40に未登録のONU20は、光アクセス網70に接続したい場合、発光素子(レーザー)を動作させて、特定の信号をOSW30に送り続ける。ここで、OSW30の上り光スイッチ312は、光スプリッタと異なり、一つのONU20とOLT40とだけを同時に接続するように制御するため、未登録ONU20はら発信されるレーザーON状態の光信号が、他のONU20との通常の通信を妨げることはない。
図11は、第1の実施の形態のディスカバリ手順を示すシーケンス図であり、ONU20から接続要求がない場合のシーケンスの例900と、1個のONU20が接続を要求する場合のシーケンスの例901とを含む。
まず、接続要求を行うONU20が存在しなかった場合の例900について説明する。
OLT40は、Discovery GATEswメッセージ SIG80をOSW30に送信する。OSW30は、光スプリッタ340により分波された光信号をO/E変換器341で電気信号に変換し、受信用PHY/MAC論理回路342は変換された電気信号を解析して、この信号がOLT40からのレポート要求フレームであると判定する。そして、現時点での各ONU20からの接続要求状態に基づいて、REPORTswメッセージ SIG90を生成して、生成されたメッセージを2対1光スイッチ350経由でOLT40へ返信する。
図14は、第1実施の形態のREPORTswメッセージ SIG90の構成例を示す説明図である。
第1実施の形態のREPORTswメッセージは、宛先MACアドレスフィールド800、送信元MACアドレスフィールド801、TYPE/LENGTHフィールド802、OPCODEフィールド803、タイムスタンプフィールド804、ONU REQUESTビットマップフィールド805、data,padフィールド806及びFCSフィールド807を含む。
REPORTswメッセージは、MPCPメッセージの一種として扱うことができ、他のメッセージと区別するために、OPCODEフィールド803にREPORTswであることを示す値を入れる。また、ONU REQUESTビットマップフィールド805は、接続要求のあるONUを示す位置のビットを”1”にして、それ以外のビットを”0”にすることによって、接続要求状況を伝達する。このフィールドはビットマップ形式ではなく、接続要求数を示す形式でもよい。なぜなら、OSW30が、図13に示すOSW30の物理ポート番号とOLT40が管理するLLIDの対応付けを行うための管理テーブル500を保持すればよいからである。
ここで、図11に示すシーケンスの接続要求がない場合の例900では、接続要求を行うONU20が存在しないため、REPORTswメッセージ SIG90のONU REQUESTビットマップフィールド805は全て”0”となる。このフィールド805によってONU REQUEST数を表す場合も、フィールド805は”0”となる。そして、REPORTswメッセージ SIG90を生成し、2対1光スイッチ350経由で、OLT40へ返信する。OLT40は、この内容のREPORTswメッセージ SIG90を受信すると、ディスカバリフェーズを終了し、通常の転送フェーズに入ることができる。
図11に示すシーケンスの接続要求がある場合の例901では、1個のONU20が接続を要求する場合を示す。
まず、光アクセスネットワークに接続を要求するONU20は、レーザーをONにして、特定の信号SIG101をOSW30に送る。レーザーの発光は、MPCP制御論理回路420によって制御される。レーザーが送信する特定の信号SIG101では、レーザーがONになっていることを通知できればよく(すなわち、連続光でよく)、フレームや特定ビット数の信号として意味のある値である必要はない。例えば、”1”という値を送り続けてもよい。図11に示す例901では、ONU20からの信号SIG101はレーザーONであることを示している。
次に、OLT40は、Discovery GATEswメッセージ SIG81をOSW30に送信する。OSW30のO/E変換器341は、光スプリッタ340によって分波された光信号を電気信号に変換して、受信用PHY/MAC論理回路342は、O/E変換器341によって変換された電気信号を解析する。この光信号の解析によって、受信したい信号がOLT40からのレポート要求フレームであることを認識する。
次に、1個だけのONU20から接続要求があるので、ONU REQUESTビットマップフィールド805(図14)の、接続を要求したONU20に対応するビットを”1”にし、それ以外のビットを”0”にする。なお、ONU REQUESTビットマップフィールド805によってONU REQUEST数を示す場合、このフィールド805を”1”にする。そして、REPORTswメッセージ SIG91を生成し、生成されたREPORTswメッセージ SIG91を、2対1光スイッチ350経由でOLT40へ返信する。
OLT40は、REPORTswメッセージ SIG11を受信すると、接続要求を出しているONU20が1個であることを認識し、1個分ONU20のディスカバリ処理を開始する。まず、OLT40は、OSW30の下り光スイッチ311の宛先と上り光スイッチ312の送信元を固定するためのスイッチポート固定メッセージ SIG11を送信する。このスイッチポート固定メッセージ SIG11を受信したOSW30は、REPORTswメッセージ SIG91を生成し、OLT40と接続要求のあったONU20との間の経路を固定する。
OLT40は、スイッチポート固定メッセージ SIG11を送信してから、OSW30のポート固定が完了する時間の後に、Discovery GATEメッセージ SIG21を送信する。Discovery GATEメッセージ SIG21は、OLT40からOSW30を経由して、接続を要求したONU20に送信される。
接続を要求したONU20は、このDiscovery GATEメッセージ SIG21を受信すると、従来のディスカバリ処理と同様に、ローカルタイマーをT1にセットし、Discovery GATEメッセージ SIG21で指定されている時刻T2にREGISTER_REQメッセージ SIG31を返信する。また、ONU20は、REGISTER_REQメッセージ SIG31を返信した時点で、接続要求を続ける必要がなくなったので、レーザーをOFFにする。
なお、REGISTER_REQメッセージ SIG31には、当該ONU20の同期時間(Sync Time)が含められる。OSW30のスイッチは、上り、下り方向共に一意に固定されているため、REGISTER_REQメッセージ SIG31は、OLT40に届く。OLT40は、メッセージ SIG31を受信した後、当該ONU20に対し、必要最小限の長さのSync Pattern(Burst Preamble)のバースト転送を行う。
次に、OLT40は、メッセージを送ったONU20にLLIDを割り当てて登録するためにREGISTERメッセージ SIG41と、登録確認のためのLLIDを付与されたGATEメッセージ SIG51を送信する。ここで、OLT40は、Discovery Windowの期間内でREGISTER_REQメッセージ SIG31の到着を待つ。しかし、光スイッチを用いる場合、1回のDiscovery GATEメッセージ SIG21で最大1個のONUを検出するため、REGISTER_REQメッセージ SIG31が到着次第、次のREGISTERメッセージ SIG41を送信する処理を始めてもよい。
REGISTERメッセージ SIG41とGATEメッセージ SIG51とは、OSW30を経由して接続を要求したONU20に届く。同時に、OSW30は、REGISTERメッセージ SIG41を受信すると、ONU20に割り当てられたLLIDを認識し、現在選択されている下り光スイッチ311と上り光スイッチ312の物理ポート番号とLLIDとの対応関係を管理テーブル500に記録する。以後、OSW30は、OLT40からの要求に従い、管理テーブル500を参照してスイッチのポートを切り替える。
REGISTERメッセージ SIG41とGATEメッセージ SIG51とが届いたONU20は、登録確認のために割り当てられたLLIDが付与されたREGISTER_ACKメッセージ SIG61を、OSW30経由でOLT40に返信する。このメッセージ SIG61がOLT40に届くと、当該ONU20に対するディスカバリ処理が完了する。
図11に示すシーケンスでは、OLT40は、スイッチポート固定メッセージ SIG11を送信し、スイッチポート固定メッセージ SIG11を受信したOSW30が、固定するポートを定めた。しかし、OLT40は、固定したいポートを指定するスイッチポート固定メッセージ SIG11を送信することもできる。この場合、OLT40は、LLIDとポートとの対応関係を保持することが必要である。
図12は、第1の実施の形態のディスカバリ手順を示すシーケンス図であり、2個のONU20が、それぞれSIG102とSIG103で接続を要求する場合のシーケンスの例910、911を示す。
シーケンス910、911(図12)とシーケンス901(図11)との主な差異は以下の三点である。一つ目の違いは、接続要求が2個であるため、OSW30がOLT40に返信するREPORTswメッセージ SIG92のONU REQUESTビットマップフィールド805のうち接続を要求するONU20に該当する2箇所のビットが”1”であり、それ以外のビットが”0”である点である。なお、ONU REQUESTビットマップフィールド805によってONU REQUEST数を示す場合、このフィールド805が”2”である点が違いとなる。
二つ目の違いは、スイッチポート固定メッセージ SIG12を受信したOSW30が、接続要求のあった2個のONUのいずれか一つを選択し、ONU20とOLT40間の経路を固定する点である。
三つ目の違いは、1個目のONU20のディスカバリ処理910を終えた後に、2個目のONU20のディスカバリ処理911を行う点である。
上記以外は、シーケンス901(図11)と同様である。すなわち、まず1個目のONU20のディスカバリ処理として、スイッチポート固定メッセージ SIG12、Discovery GATEメッセージ SIG22、REGISTER_REQメッセージ SIG32、REGISTERメッセージ SIG42、GATEメッセージ SIG52、及びREGISTER_ACKメッセージ SIG62を送受信する。1個目のONU20のディスカバリ処理の完了を待って、2個目のONU20のディスカバリ処理として、スイッチポート固定メッセージ SIG13、Discovery GATEメッセージ SIG23、REGISTER_REQメッセージ SIG33、REGISTERメッセージ SIG43、GATEメッセージ SIG53、及びREGISTER_ACKメッセージ SIG63を送受信する。
3個以上のONU20が接続を要求している場合も、シーケンス901(図11)からシーケンス910、911(図12)への拡張と同様に考えればよい。すなわち、OSW30がOLT40に返信するREPORTswメッセージ SIG92のONU REQUESTビットマップフィールド805のうち、接続を要求しているONU20に該当する複数のビットを”1”、それ以外のビットを”0”とする。又は、ONU REQUESTビットマップフィールド805によってONU REQUEST数を示す場合、このフィールド805を接続要求数とする。OSW30は、接続を要求したONU20のいずれか一つを選択し、選択されたONU20とOLT40間の経路を固定し、選択されたONU20とのディスカバリ処理を行う。そして、このディスカバリ処理を接続要求数分繰り返す。
以上に説明したディスカバリ処理について、OLT40、OSW30、ONU20それぞれの動作について、図22、図23、図24を用いて説明する。
図22は、第1の実施の形態のOLT40において実行されるディスカバリ処理を示すフローチャートである。
OLT40は、ディスカバリフェーズを開始(S110)すると、Discovery GATEswメッセージを送信し(S111)、OSW30からのREPORTswメッセージの受信を待つ(S112)。そして、REPORTswメッセージを受信すると、接続を要求するONU20の数が”1”以上か否か判定する(S113)。判定の結果、接続を要求するONU20の数が”1”未満であれば、ディスカバリフェーズを終了する(S121)。
一方、接続を要求するONU20の数が1以上であれば、接続を要求するONU20の数を記録し、スイッチポート固定メッセージを送信する(S114)。更に、スイッチポート固定メッセージ SIG11を送信してから、OSW30のポート固定が完了する時間の後に、Discovery GATEメッセージを送信する(S115)。
そして、ONU20からのREGISTER_REQメッセージの受信を待つ(S116)。そして、REGISTER_REQメッセージを受信すると、REGISTER_REQメッセージを送信したONU20に、REGISTERメッセージを送信し(S117)、続けてGATEメッセージを送信する(S118)。
そして、ONU20からREGISTER_ACKメッセージの受信を待ち(S119)、REGISTER_ACKメッセージを受信すると、ステップS114において記録した接続要求ONU数の残りが”1”以上であり、かつ、ディスカバリフェーズを実行するための時間が残っているか否かを判定する(S120)。判定の結果、これらの条件を満たせば、ディスカバリ処理を継続することができるので、ステップS114に戻り、次のONU20に対するディスカバリ処理を実行する。一方、これらの条件を満たさない場合は、ディスカバリフェーズを終了する(S121)。
図23は、第1の実施の形態のOSW30において実行されるディスカバリ処理を示すフローチャートである。
OSW30は、ディスカバリフェーズを開始(S200)すると、OLT40からのDiscovery GATEswメッセージ受信を待つ(S201)。Discovery GATEswメッセージを受信すると、接続を要求するONU20を、パワーモニタ313によって検出する(S202)。この検出結果に基づいて、接続を要求するONU20の数を含むREPORTswメッセージを生成して、生成されたメッセージをOLT40に送信する(S203)。
続いて、接続を要求するONU20の数が”1”以上か否かを判定し(S204)、接続要求数が”0”であればディスカバリフェーズを終了する(S211)。一方、接続要求数が”1”以上であれば、さらに、通常のデータ転送の要求があるか否かを判定する(S205)。データ転送の要求があれば、要求されたデータを転送するために、ディスカバリフェーズを終了する(S211)。一方、データを転送する要求がなければ、OLT40からのスイッチポート固定メッセージの受信を待つ(S206)。
スイッチポート固定メッセージを受信すると、パワーモニタ313によって検査した登録要求のあるONU20のいずれか一つを選択して、前記ONU20とOLT40の間の上りスイッチ及び下りスイッチの両方のスイッチポートを固定する(S207)。
その後、OLT40からONU20へのREGISTERメッセージの受信を待つ(S208)。REGISTERメッセージを受信すると、REGISTERメッセージに含まれているLLIDと現在接続中のスイッチの物理ポートとの対応関係を、管理テーブル500(図13)に記録する(S209)。その後、接続を要求するONU20の残りの数を判定し(S210)、接続を要求するONU20の残数が”0”でなければ、ステップS205に戻り、次のONU20に対するディスカバリ処理を実行する。一方、接続を要求するONU20の残数が”0”であればディスカバリフェーズを終了する(S211)。
図24は、第1の実施の形態のONU20において実行されるディスカバリ処理を示すフローチャートである。
ONU20は、OLT40に登録されていない初期状態(S300)にあり、ユーザ端末10からのアクセスがあった場合や、ウォーミングアップ状態において、OSW30に接続要求を出すか否か判定する(S301)。判定の結果、接続要求がある場合、OSW30側のインタフェースのレーザー出力をONにし、何らかの信号をOSW30に通知し続ける(S302)。
そして、OLT40からDiscovery GATEメッセージの受信を待つ(S303)。Discovery GATEメッセージを受信すると、正式な接続要求(登録要求)をOLT40に伝えるために、REGISTER_REQメッセージを送信する(S304)。そして、ここでレーザーをOFFにする(S305)。以後、メッセージ及びデータを送信する時だけ、レーザーをONにする。
その後、ONU20は、LLIDを割り当てるために、REGISTERメッセージとGATEメッセージの受信を待つ(S306)。これらのメッセージの受信後、REGISTER_ACKメッセージを送信し(S307)、OLT40への登録が完了する。
以後、ONU20はOLT40に登録されているため、通常のデータ転送の際にOLT40からGATEメッセージにより通信許可があれば、許可された時間を起点に許可された長さの時間分のデータを転送することができる。なお、何らかの理由によってOLT40への登録が解除されていないかを常に検査し続ける(S308)。登録が解除された場合、再度、未登録状態(S300)に戻り、再登録を待つ。
以上、パワーモニタ313を利用したディスカバリ処理方法についてOLT40、OSW30、ONU20各部の構成及び動作について説明した。次に、OSW30に備わるパワーモニタ313の具体的な配置方法とモニタリング方法について説明する。OSW30に備わるパワーモニタ313の構成は、図4、図5及び図6に示す三種類の構成がある。説明の簡素化のために、ここでは上り光スイッチ312のポート数を2ポートとする。ポート数が2を超える場合も同じ考え方をすればよい。
図4は、本発明の第1の実施の形態の上り光スイッチ312の構成例を示すブロック図である。
図4に示す上り光スイッチ312は、光スイッチ素子390、光スプリッタ370及びパワーモニタ313を備える。光スプリッタ370は、ONU20側からの全ての入力に設けられる。光スプリッタ370によって分岐された光は、光スイッチ素子390及びパワーモニタ313に導かれる。
各パワーモニタ313は、ONU20からの光信号の有無を検出し、電気信号に変換して送信用PHY/MAC論理回路344に通知する。送信用PHY/MAC論理回路344は、この光信号の有無の通知によって、接続を要求しているONU20の物理位置(ONU20が接続されているポート)、又は、接続を要求しているONU20の数を知り、REPORTswメッセージのONU REQUESTビットマップフィールド805を生成することができる。
パワーモニタ313は、光スプリッタ370と一体に構成されてもよいし、光スプリッタ370と別に構成されてもよい。図4に示す光スイッチ312の構成は、全ての入力ポートで同時に光信号を観測できるメリットがある。ただし、パワーモニタ313の実装に必要なコストが高い場合には、次に示す図5や図6の構成が望ましい。
図5は、本発明の第1の実施の形態の上り光スイッチ312の別な構成例を示すブロック図である。
図5に示す上り光スイッチ312は、前述した光スイッチの構成(図4)と異なり、一つのパワーモニタ313を複数の入力ポートで共有する。また、このとき、図14のREPORTswメッセージでは、ONU REQUESTビットマップフィールド805によってONU REQUEST数を示すことが望ましい。図5には、光スイッチ390が2ポートの例を示しているが、例えば光スイッチ390が128ポート入力である場合、例えば、所定の複数ポート(8ポート)で一つのパワーモニタ313を共有するとよい。そして、パワーモニタ313は、一つのパワーモニタ313を共有しているONU20のいずれかからの光信号があるか、又は、一つのパワーモニタ313を共有しているいずれのONU20からの光信号も検出されないかを判定し、検出された光信号を電気信号に変換して、変換された電気信号を送信用PHY/MAC論理回路344に通知する。送信用PHY/MAC論理回路344は、この通知によって、接続要求を出しているONU20のグループを知ることができる。
そして、管理テーブル500(図13)を参照し、この通知によって示されるONUグループの登録数が”0”であれば、REPORTswメッセージのONU REQUESTビットマップフィールド805(ONU REQUEST数を示す)には、少なくとも光信号が検出されたグループに対応する”8”を接続要求数として記す。他のONUグループからの要求が検出されれば、さらに接続要求数を”8”増やす。
なお、このとき、管理テーブル500を参照し、前記通知で示されるONUグループの登録数が”1”から”7”のいずれかであれば、REPORTswメッセージのONU REQUESTビットマップフィールド805(ONU REQUEST数を示す)を、それぞれ7個から1個とすることによって、接続要求に対する無駄な処理を可能な限り排除する。
ただし、パワーモニタ313を8個のONU20で共有しているため、実際の接続要求数が1個であっても、OSW30及びOLT40へ送信される要求数は8個になる。すなわち、ディスカバリ処理の際に、図8に示すようにOLT40からのDiscovery GATEメッセージ SIG20に対してONU20から返答がない場合が存在する。
図6は、本発明の実施の形態の上り光スイッチ312の別な構成例を示すブロック図である。
図6に示す上り光スイッチ312は、前述した光スイッチの構成(図4、図5)と異なり、光スイッチ素子390の出力に光スプリッタ370を接続し、光スプリッタ370の出力の一方をパワーモニタ313の入力とする。なお、図6のように光スプリッタ370が、上り光スイッチ312の出力ポートに接続されている形式が最も望ましいが、上り光スイッチ312が複数段の光スイッチ素子390を備える場合には、光スプリッタ370は、上り光スイッチ312の最終的な出力ポートではなく、いずれかの段の全ての光スイッチ素子390の出力に接続されていてもよい。
図6に示す上り光スイッチ312では、OSW30が、OLT40からのDiscovery GATEswメッセージを受信すると、REPORTswメッセージをOLT40に送信するまでに、上り光スイッチ312の全入力と出力とを所定時間毎に順に切り替え、パワーモニタ313は、接続要求信号が入力されているポートを判定する。入力と出力との切り替えの所定時間は、切り替え前後で異なる入力の光信号がお互いに影響を与え合わない程度以上の時間とすればよい。
前述した操作によって、ONU REQUESTビットマップフィールド805(又は、ONU REQUESTビットマップフィールド805を用いたREQUEST数)を生成し、生成した値をREPORTswメッセージとしてOLT40へ送信する。
図6に示す上り光スイッチ312は、1個のパワーモニタを全ての入力ポートで共有するため、実装コストを低下できるメリットがある。ただし、光デバイスの特質により、入力と出力との切り替えの所定時間が通常のディスカバリ処理に要する時間より大きくなる場合は、前述した構成の光スイッチ(図4、図5)が望ましい。
以上、パワーモニタ313の配置と接続要求信号のモニタリングについて図4、図5、図6を用いて詳細に説明した。いずれの構成もメリット及びデメリットが存在するため、装置の構成に応じて適切な光スイッチを選択することが望ましい。なお、性能的には、図4及び図6の構成が望ましく、次に図5の構成が望ましい。
特に、図4又は図6に示すパワーモニタを備える場合、光スイッチを用いる光アクセスシステムにおいて、図8で示す接続要求のないONU20との無駄なディスカバリ処理を行う必要がなく、接続を要求するONUとのみディスカバリ処理を行うため、高速なディスカバリ処理が可能である。
<実施形態2>
前述した第1の実施の形態では、非特許文献1や非特許文献2で示される従来のディスカバリ処理手順に従ったOSW30の制御について説明した。第2の実施の形態では、ディスカバリ処理に必要なMPCPメッセージを第1の実施の形態より減らしながら、第1の実施の形態より高速なディスカバリ処理ついて説明する。
図18は、第2の実施の形態のディスカバリ手順を示すシーケンス図である。
OLT40は、REPORTswメッセージ SIG91によって、接続を要求するONUの数(又は、位置)が分かっているので、その後のディスカバリ処理では、DISCOVERY&REGISTERメッセージ SIG70を送信する。このDISCOVERY&REGISTERメッセージ SIG70は、前述した第1の実施の形態(図11)のDiscovery GATEメッセージ SIG21、REGISTERメッセージ SIG41及びGATEメッセージ SIG51を一つにまとめたものである。
ONU20は、DISCOVERY&REGISTERメッセージ SIG70を受信すると、REGISTER_ACK+αメッセージ SIG71を送信する。このREGISTER_ACK+αメッセージ SIG71は、前述した第1の実施の形態(図11)のREGISTER_REQメッセージ SIG31及びREGISTER_ACKメッセージ SIG61を一つにまとめたものである。
図19は、第2実施の形態のDISCOVERY&REGISTERメッセージ SIG70の構成例を示す説明図である。
このメッセージは、宛先MACアドレスフィールド800、送信元MACアドレスフィールド801、TYPE/LENGTHフィールド802、OPCODEフィールド810、タイムスタンプフィールド811、フィールド812、スタートタイムフィールド813、長さフィールド814、Sync Timeフィールド815、Discovery Informationフィールド816、Assigned Portフィールド817、Flagsフィールド818、data,padフィールド806、及びFCSフィールド807を含む。
タイムスタンプフィールド811は、ONU20の時刻合わせのために用いられる。スタートタイムフィールド813、長さフィールド814は、各々、返信メッセージの開始時刻及び長さを指定する。Sync Timeフィールド815は、OLT40の同期時間を通知する。Discovery Informationフィールド816は、ディスカバリ情報を通知する。Assigned Portフィールド817は、割り当てられたLLIDを通知する。Flagsフィールド818は、REGISTER用のフラグの情報を通知する。それ以外のフィールドは通常のイーサフレームで用いられるフィールドと同じ役割である。
通常、Discovery GATEメッセージ及びGATEメッセージの宛先アドレスはMACコントロールアドレスとして定義されるアドレスであり、REGISTERメッセージの宛先アドレスは対象ONU20のMACアドレスである。第2の実施の形態のDISCOVERY&REGISTERメッセージ SIG70の宛先アドレスはMACコントロールアドレスとする。これは、DISCOVERY&REGISTERメッセージ SIG70の送信時点では、ONU20のMACアドレスが不明だからである。また、この制御が適用される光アクセスシステムは、光スプリッタではなく光スイッチを備えるので、DISCOVERY&REGISTERメッセージ SIG70が他のONUに通知されることはなく、必ず、目的の一つのONU20にだけ確実にメッセージを伝えることができる。
図20は、第2実施の形態のREGISTER_ACK+αメッセージ SIG71の構成例を示す説明図である。
このメッセージは、宛先MACアドレスフィールド800、送信元MACアドレスフィールド801、TYPE/LENGTHフィールド802、OPCODEフィールド830、タイムスタンプフィールド831、フラグフィールド832、Echoed Assigned Portフィールド833、Echoed Sync Timeフィールド834、Pending grantsフィールド835、Discovery Informationフィールド836、Sync Timeフィールド837、レーザーON時間フィールド838、レーザーOFF時間フィールド839、data,padフィールド806、及びFCSフィールド807を含む。
フラグフィールド832は登録許可に対する応答メッセージ、Echoed Assigned Portフィールド833は割当LLID、Echoed Sync Timeフィールド834はOLT40から通知されたSync Timeを示す。Pending Grantフィールド835は、当該ONU20が保持可能なOLT40からの最大Grant数を示す。Discovery Informationフィールド836は、ディスカバリのための各種情報を示す。Sync Timeフィールド837は、ONU20の同期時間を示す。Sync Timeフィールド837が、REGISTER_ACK+αメッセージに存在する理由は、ONU20もOLT40からバースト転送を受信するので、自身の同期時間をOLT40に通知する必要があるためである。レーザーON時間フィールド838はONU20のレーザーONにかかる時間、レーザーOFF時間フィールド839はONU20のレーザーOFFにかかる時間を示す。それ以外のフィールドは通常のイーサフレームで用いられるフィールドと同じ役割である。
ONU20は、このDISCOVERY&REGISTERメッセージ SIG70を受信すると、Assigned Portフィールド817のLLIDを自身のLLIDとして、REGISTER_ACK+αメッセージ SIG71を生成するそして、生成されたREGISTER_ACK+αメッセージ SIG71をOLT40に送信する。
OLT40は、ディスカバリ処理によって、登録したONU20の同期された時刻を知ることができる。よって、ディスカバリ処理以後の通常転送において、ONU20宛のバースト転送では、必要最小限の最適な長さのSync Pattern(Burst Preamble)のバースト転送を行うことができる。
以上、本実施の形態による光アクセスシステムについて詳細な説明を行った。上述の説明は、実施の一形態に過ぎず、本発明の技術的思想および技術的範囲から離れることなく、様々な変形が可能である。