JP4730670B2 - バックラッシュ調整機構を備えたロボット - Google Patents
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一方、駆動電動機を小型化するため、一般にアクチュエータは歯車減速機を備えているが、反負荷歯面側のすきまであるバックラッシュは、誤差や変形を吸収するため歯車装置には不可欠な反面、これによるすきまの分、軸の回転角が不定となる。これは制御により解消困難なため、バックラッシュの存在はアクチュエータの位置決め精度悪化要因の一つとなっている。
また、特許文献2のように、モータと歯車箱との間に弾性体のスペーサを挟みこむことで円錐歯車どうしの両歯面を密着させてバックラッシュを0とする構造も開示されている。
従来のロボット腕構造では、上記のように偏芯フランジ、及び、シザーズギヤを用いたバックラッシュ機構を用いていたが、偏芯フランジを用いた構造では伝達シャフトに倒れが生じるため、カップリング等により倒れに対応する手段を備えるか、伝達シャフト自体の強度を高めるか、もしくは伝達シャフトを長くして応力を分散させることにより、伝達シャフトの破損を防ぐ必要があった。
また、2枚の平行歯車によってバックラッシュを調整するシザーズギヤ構造では、部品点数の増加が生じる問題があった。
また、弾性体を使用した円錐歯車によるバックラッシュ調整方法では、駆動軸間の剛性が低下してしまうため、大きな負荷が掛かる場合にはロボットの手先位置精度の悪化が生じ、早く動作させる際にはロボットの応答性や制御性が悪化してしまうという問題がある。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、円錐歯車を利用した高剛性なバックラッシュ低減機構を有するとともに、駆動軸を分解することなくバックラッシュの調整が可能な機構を有する、バックラッシュ調整機構とこれを用いたロボット装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、アームの先端に設けられ、第1乃至第3の可動部を有する手首部と、前記第1乃至第3の可動部の各々を駆動する駆動源の回転を、前記アームの後方から前記可動部の各々へ伝達する伝達機構と、前記伝達機構の各々においてバックラッシュを調整するバックラッシュ調整機構と、を備えたロボットにおいて、前記アームの先端部にあって、前記第1乃至第3の可動部に各々連結され、前記アームの延在方向と同一の回転軸上で各々回転するとともに、前記回転軸上に並んで配置された第1乃至第3の大円錐歯車と、前記第1乃至第3の大円錐歯車に各々噛合する小円錐歯車と、前記小円錐歯車の各々に形成された穴部に先端部が挿入され、前記アームの延在方向に沿って各々設けられた動力軸と、前記動力軸の各々の周囲に形成されたネジ部に各々設けられ、前記小円錐歯車と当接して前記動力軸の軸方向における前記小円錐歯車の位置を調整可能なナットと、前記動力軸の各々の先端部に形成されたネジ穴に各々挿入され、前記ナットとの間で前記小円錐歯車を前記動力軸に固定するネジと、前記アームに設けられ、前記ネジの各々と前記小円錐歯車の各々と前記ナットの各々とを前記アームの外部から回転できる位置に設けられた開口部と、を備えたことを特徴とするロボットとするものである。
請求項2に記載の発明は、前記開口部に、前記開口部を閉塞するカバーが備えられたことを特徴とする請求項1記載のロボットとするものである。
本発明によると、ロボットのように複雑な機構を備えたものでも簡単にバックラッシュの調整ができて、ロボットの位置決め精度を向上させることができる。
本発明によると、アームのような部材に収容されている箇所でも、アームや歯車部分を分解を伴うことなく開口部を介してバックラッシュの調整ができるようになる。
図1において、1は多関節ロボットのアームを示しており、その一部が断面図で示されている。アーム1は略円筒状であってその内部に、以下で説明する機構を収納している。アーム1の端部にはギヤケース2が設けられているが、ギヤケース2はアーム1から延在する円筒状部材であるから実質的にアーム1と同等である。そのギヤケース2の端部には、手首部19が備えられている。手首部19は後述する第1乃至第3の大円錐歯車の回転によって回転する。
また、図示しないが、上記で説明した動力軸3らと同等の機構がアーム1内にさらに別に備えられており、この別の動力軸の円錐歯車と係合する位置であって、第1の大円錐歯車9と同軸で回転可能となるように第2の大円錐歯車13が設けられている。第2の大円錐歯車13はベアリング15に軸支され、シャフト14を回転軸12周りに回転駆動する。
また、同じく、第3の大円錐歯車16はギヤケース2に固定されたベアリング18に軸支され、シャフト17を回転軸12周りに回転駆動する。
上記の構成によって、手首部19は回転する。
2 ギヤケース
3 動力軸
4、10、15、18 ベアリング
5 ネジ部
6 位置決め用ナット
7 円錐歯車
8 固定用ボルト
9、13、16 大円錐歯車
11、14、17 シャフト
12 回転軸
19 手首部
20 開口部
21 カバー
Claims (2)
- アームの先端に設けられ、第1乃至第3の可動部を有する手首部と、
前記第1乃至第3の可動部の各々を駆動する駆動源の回転を、前記アームの後方から前記可動部の各々へ伝達する伝達機構と、
前記伝達機構の各々においてバックラッシュを調整するバックラッシュ調整機構と、を備えたロボットにおいて、
前記アームの先端部にあって、前記第1乃至第3の可動部に各々連結され、前記アームの延在方向と同一の回転軸上で各々回転するとともに、前記回転軸上に並んで配置された第1乃至第3の大円錐歯車と、
前記第1乃至第3の大円錐歯車に各々噛合する小円錐歯車と、
前記小円錐歯車の各々に形成された穴部に先端部が挿入され、前記アームの延在方向に沿って各々設けられた動力軸と、
前記動力軸の各々の周囲に形成されたネジ部に各々設けられ、前記小円錐歯車と当接して前記動力軸の軸方向における前記小円錐歯車の位置を調整可能なナットと、
前記動力軸の各々の先端部に形成されたネジ穴に各々挿入され、前記ナットとの間で前記小円錐歯車を前記動力軸に固定するネジと、
前記アームに設けられ、前記ネジの各々と前記小円錐歯車の各々と前記ナットの各々とを前記アームの外部から回転できる位置に設けられた開口部と、
を備えたことを特徴とするロボット。 - 前記開口部に、前記開口部を閉塞するカバーが備えられたことを特徴とする請求項1記載のロボット。
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