JP4730138B2 - ディーゼルエンジンの燃焼制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ディーゼルエンジンの燃焼制御装置に関し、詳細には、直噴型のディーゼルエンジンにおいて、低負荷域及び高負荷域のそれぞれで噴霧の拡散及び分布を適正化して、これらの運転領域における排気性能を両立させる技術に関する。
直噴型のディーゼルエンジンに関し、噴霧の拡散を促進してスモークの生成を抑制する燃焼制御技術として、次のものが知られている。すなわち、燃料噴射弁のノズル部において、噴孔を上下2段に形成し、上段の噴孔からキャビティの周面上部に向けて燃料を噴射させるとともに、下段の噴孔からキャビティの底面に向けて燃料を噴射させるものである(特許文献1)。
特開2000−130170号公報(段落番号0002)
燃料噴射弁に上下2段の噴孔を持たせる上記の技術は、上段の噴孔から噴射される第1の噴霧をキャビティの周面上部に衝突させ、キャビティ内を周面から底面に向けて拡散させるとともに、下段の噴孔から噴射される第2の噴霧をキャビティの底面に衝突させ、キャビティ内を底面から周面に向けて拡散させることで、燃焼室の外周部ばかりでなくその中央部における空気の利用を促進し、キャビティ内全体で噴霧の拡散を促進するものである。
しかしながら、この技術には、上段の噴孔からの第1の噴霧がキャビティの周面を下向きに拡散する一方、下段の噴孔からの第2の噴霧がキャビティの底面を外向きに拡散することから、これらの噴霧がキャビティ内で衝突して、噴霧の重なりにより燃料の局所的な集中を来し、スモークを増大させるという問題がある。この問題に対し、前掲特許文献1には、噴霧の重なりを回避するため、キャビティの底面と周面との間にステップを形成し、このステップによる案内の作用により噴霧の衝突を回避する技術が記載されている(段落番号0015〜0018)。
この技術によれば、噴霧の重なりによる燃料の集中が回避される点で、排気性能の向上に関して所要の効果を期待し得るものと考えられるが、ステップの付加によりキャビティの形状が複雑となることに加え、ステップにより形成される隅部の空間で流れが停滞し、噴霧の拡散が妨げられる傾向にある。また、運転状態に拘わらず、上段及び下段の各噴孔から燃料が噴射されるため、低負荷域では、上段の噴孔から噴射された噴霧(すなわち、第1の噴霧)が冠面との衝突後にキャビティ外に流出し、キャビティ周辺の壁面に付着することで、未燃成分を増大させる一方、高負荷域では、下段の噴孔から噴射された噴霧(すなわち、第2の噴霧)の拡散が妨げられるとともに、燃焼過程の後半におけるスモーク物質の再酸化が妨げられることで、スモークが増大するという問題を残している。
本発明は、直噴型のディーゼルエンジンにおいて、ピストンの冠面に対する噴霧の衝突位置をエンジンの運転状態に応じて切り換え、噴霧の拡散及び分布を運転領域毎に適正化することで、運転領域全体に亘り未燃成分及びスモークの排出を抑制し、排気性能を向上させることを目的とする。
本発明は、ディーゼルエンジンの燃焼制御装置を提供する。本発明に係る装置は、筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁と、燃料の噴射時期に燃料噴射弁のノズル部を包囲する深皿型のキャビティが冠面に形成されたピストンとを含む。さらにエンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、燃料の噴射時期における前記燃料噴射弁に対する前記ピストンの相対位置を変化させるピストン位置可変手段と、前記運転状態検出手段により検出された運転状態に応じ、前記ピストン位置可変手段によりピストンの相対位置を変化させ、低負荷では前記燃料噴射弁により噴射される噴霧の前記冠面に対する衝突位置を、前記キャビティを形成する壁部上の第1の位置としてかつ圧縮比を高め、前記衝突後の噴霧が前記キャビティ内に保持され、高負荷ではこの第1の位置に対し、前記キャビティの底面を基準とした高さの方向に関して上方に設定された前記壁部上の第2の位置に切り換えかつ圧縮比を低め、前記衝突後の噴霧を前記キャビティ外に拡散させる燃焼制御手段とを含んで構成される。
なお、本発明に関し、「燃料噴射弁のノズル部を包囲する」とは、燃料の噴射時期に燃料噴射弁のノズル部がキャビティ内に配置されていなければならないことを示すものではない。燃料噴射弁により噴射された噴霧がキャビティにより受け止められる実質的な包囲状態にある限り、ノズル部がキャビティ外にある状態で燃料が噴射される場合を含むものとする。
本発明によれば、ピストンの冠面に対する噴霧の衝突位置をエンジンの運転状態に応じて切り換え、衝突後の噴霧の拡散範囲を異ならせたことで、噴霧の拡散及び分布を運転領域毎に適正化し、運転領域全体に亘り排気性能を向上させることができる。本発明によれば、低負荷域において、噴霧をキャビティ内に偏在させることで、燃料の壁面付着による未燃成分の排出を抑制する一方、高負荷域において、噴霧を燃焼室全体に拡散させることで、噴霧の拡散、及び燃焼過程の後半におけるスモーク物質の再酸化を促進し、スモークの排出を抑制することができる。
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るディーゼルエンジン1の構成を示している。このディーゼルエンジン(以下、単に「エンジン」という。)1は、直噴型のディーゼルエンジンであり、車両の駆動源として採用される。本実施形態では、ピストンの冠面にキャビティが形成されており、このキャビティより、ピストンの冠面とシリンダヘッドの下面との間に深皿トロイダル型の燃焼室が形成される。燃料は、コモンレールを介して供給され、燃料噴射弁によりこのキャビティ内に噴射される。
吸気通路11の導入部には、図示しないエアクリーナが取り付けられており、このエアクリーナにより吸入空気中の粉塵が除去される。吸気通路11には、ターボチャージャ12のコンプレッサ12aが設置されており、コンプレッサ12aにより吸入空気が圧縮されて送り出される。圧縮された吸入空気は、サージタンク13に流入し、マニホールド部で各気筒に分配される。本実施形態では、吸気通路11に吸気絞り弁14が設置されており、後述するNOxトラップ触媒32又はディーゼルパティキュレートフィルタ33の再生等、排気浄化系からの要求に応じ、この吸気絞り弁14によりエンジン1の吸入空気量が調整される。
エンジン本体において、シリンダヘッドには、燃料噴射弁21が気筒毎に設置されている。燃料噴射弁21は、各気筒において、筒内に臨ませて、かつ気筒中心線上に設置されており、電子制御ユニットとして構成されるエンジンコントロールユニット(以下「ECU」という。)41からの指令信号に応じて作動する。図示しない燃料ポンプにより送り出された燃料は、コモンレール22を介して燃料噴射弁21に供給され、燃料噴射弁21により筒内に直接噴射される。
排気通路31には、マニホールド部の下流にターボチャージャ12のタービン12bが設置されている。燃焼により生じた排気が排気通路31に排出され、この排気によりタービン12bが駆動されることで、コンプレッサ12aが回転する。タービン12bの下流には、上流側から順にNOxトラップ触媒32及びディーゼルパティキュレートフィルタ33が設置されている。NOxトラップ触媒32は、排気の空燃比が理論値よりも高いリーンな状態にあるときに、排気中の窒素酸化物(すなわち、NOx)をトラップする一方、この空燃比が理論値よりも低いリッチな状態にあるときに、トラップしたNOxを放出する性質を持つ。NOxトラップ触媒32からのNOxの放出に併せ、放出されたNOxが排気中の還元成分により浄化される。他方、ディーゼルパティキュレートフィルタ33は、排気中のパティキュレートをろ過し、これを排気から除去するものである。NOxトラップ触媒32及びディーゼルパティキュレートフィルタ33に酸化触媒成分(たとえば、Pt等の貴金属)を担持させ、これらに酸化機能を持たせることで、排気中の炭化水素及び一酸化炭素を浄化することができる。エンジン1の排気は、これらの排気浄化装置を通過した後、大気中に放出される。なお、NOxトラップ触媒32とディーゼルパティキュレートフィルタ33とは、図示の関係に限らず、ディーゼルパティキュレートフィルタ33をNOxトラップ触媒32の上流に置くことができ、また、これらは、別体に構成するに限らず、共通の筐体に収納して、一体に構成することもできる。
また、排気通路31は、EGR管35により吸気通路11(ここでは、サージタンク13)と接続されており、タービン12bに対する流入前の排気がEGR管35を介して吸気通路11に還流される。EGR管35には、EGR弁36が介装されており、EGR弁36により還流される排気の流量が制御される。EGR弁36は、アクチュエータ37により開度が制御される。
ECU41には、クランク角センサ51が発生させる単位クランク角又は基準クランク角毎の信号(ECU41は、これに基づいてエンジン1の回転速度NEを算出する。)、エンジン1に対する要求負荷の指標としてアクセルペダル(図示せず。)の踏込量を検出するアクセルセンサ52からの信号、エンジン冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ53からの信号、サージタンク13内における吸入空気の温度を検出する吸気温度センサ54からの信号、及びサージタンク13内における吸入空気の圧力を検出する吸気圧力センサ55からの信号が入力される。また、ECU41には、これらの信号に併せ、イグニッションキー(図示せず。)の位置を示す信号、NOxトラップ触媒32の温度を検出する温度センサからの信号、ディーゼルパティキュレートフィルタ33の温度を検出する温度センサからの信号、ディーゼルパティキュレートフィルタ33の上流における排気の圧力を検出する圧力センサからの信号、コモンレール22内における燃料の圧力を検出する圧力センサからの信号等が入力される。ECU41は、入力した各種の信号に基づいて燃焼制御に関する所定の演算を実行して、その結果に応じた指令信号を燃料噴射弁21、及び次の可変圧縮比機構のアクチュエータ61に出力する。
図2は、本実施形態に係る可変圧縮比機構の構成を模式的に示している。この可変圧縮比機構は、クランクシャフトのジャーナル201以外の不動回転軸として、ジャーナル201と平行に制御軸202を配設し、ステップモータ等のアクチュエータ61(図1)によりこの制御軸202を回転させることで、これに取り付けられた偏心カム109を回転させ、クランクピン107が連結された下部リンク104の姿勢を制御することで、圧縮比を変化させるものである。この可変圧縮比機構によれば、圧縮比とともに、上死点にあるときのピストン101(特に、その冠面)の位置、延いては燃料の噴射時期における燃料噴射弁21に対するピストン101の相対位置を上下に変化させ得ることから、運転状態に応じた圧縮比の変更により、ピストン101の冠面に対する噴霧の衝突位置を、キャビティ内で上下に変化させることができる。
クランクシャフトは、ジャーナル201、ならびに気筒数に応じた数のクランクピン107及び図示しないアームを含んで構成され、シリンダブロックに形成された軸受けにジャーナル201が支持されている。クランクシャフトは、クランクピン107がジャーナル201から偏心しており(クランクピン107の中心軸の軌跡を点線で示す。)、特に、この可変圧縮比機構において、クランクピン107が下部リンク104に回転自在に連結されることで、クランクシャフトと下部リンク104とが連結されている。下部リンク104には、クランクピン107の挿入孔を挟む各側で上部リンク103及び制御リンク108が回動自在に連結されている。上部リンク103は、上端でピストンピン102によりピストン101と連結されるとともに、下端で第1の連結ピン105により下部リンク104の一端と連結されている。他方、制御リンク108は、上端で第2の連結ピン106により下部リンク104の他端に連結されるとともに、下端で偏心カム109に回動自在に連結されている。制御リンク108は、偏心カム109を支点として揺動し、下部リンク104の回転時における姿勢を拘束するものである。偏心カム109は、制御軸202によりエンジン本体に対して支持されている。ECU41からの指令信号に応じてアクチュエータ61が作動し、制御軸202が駆動されると、偏心カム109による制御リンク108の揺動支点の位置が変化し、制御リンク108による下部リンク104の運動拘束条件が変更されて、ピストン101の行程が変化し、上死点にあるときのピストン101の位置が上下し、圧縮比が変化する。ECU41は、エンジン1の運転領域を判定するとともに、判定結果に応じてアクチュエータ61により圧縮比を変化させる。
以下、ECU41が行う制御の内容について、フローチャートにより説明する。
図3は、燃焼制御ルーチンのフローチャートであり、イグニッションキーの操作等による電源の投入後、ECU41により所定の時間毎に繰り返し実行される。
S101では、エンジン1の運転状態として、要求負荷Tq(アクセルセンサ52により検出される。)及び回転速度NEを読み込む。
S102では、読み込んだTq,NEに基づいて検出した運転状態が属する運転領域を判定する。
S103では、判定した運転領域が、比較的に低負荷側の領域として設定された第1の領域Aに属するか否かを判定する。第1の領域Aに属するときは、S104へ進み、第1の領域Aよりも高負荷側の領域として設定された第2の領域Bに属するときは、S105へ進む。
S104では、可変圧縮比機構を高圧縮比時の設定として、アクチュエータ61により制御軸202を駆動し、上死点にあるときのピストン101の位置を上昇させる。
S105では、可変圧縮比機構を低圧縮比時の設定として、上死点にあるときのピストン101の位置を下降させる。
図4は、可変圧縮比機構による上下の可変幅の中間にピストン101が位置する基準時における、ピストン101の冠面に対する噴霧(その中心線を一点鎖線Lで示す。)の衝突位置Pstdを示している。なお、この基準時における噴霧の衝突位置Pstdが「基準位置」に相当する。本実施形態では、キャビティ101aの最深部と開口部との中間に基準位置Pstdを設定し(a=b)、可変圧縮比機構により、低負荷域では、基準位置Pstdよりも下方の第1の位置に噴霧を衝突させ、高負荷域では、基準位置Pstdよりも上方の第2の位置に噴霧を衝突させる。
図5は、低負荷域における噴霧Sの拡散の状態を示している。低負荷域では、可変圧縮比機構が高圧縮比時の設定とされ、上死点にあるときのピストン101の位置が上昇されることから、噴霧Sは、基準位置Pstdよりも下方の、キャビティ101aの最深部に近い第1の位置P1で冠面に衝突する。このため、低負荷域では、噴霧Sが冠面との衝突後もキャビティ101a内に保持され、噴霧Sがその内部に偏在した状態で燃焼が進行することとなり、キャビティ101a周辺の壁面に対する燃料の付着が抑制され、未燃成分の排出が抑制される。
図6は、高負荷域における噴霧Sの拡散の状態を示している。高負荷域では、可変圧縮比機構が低圧縮比時の設定とされ、上死点にあるときのピストン101の位置が下降されることから、噴霧Sは、基準位置Pstdよりも上方の、キャビティ101aの開口部に近い第2の位置P2で冠面に衝突する。このため、高負荷域では、噴霧Sがキャビティ101a外に拡散する作用が顕著に得られ、噴霧Sが燃焼室(ピストン101の冠面とシリンダヘッドの下面との間の空間として形成される。)全体に分布した状態で燃焼が進行することとなり、噴霧Sの拡散及び空気との混合が促進されるとともに、燃焼過程の後半(ここでは、膨張行程)におけるスモーク物質の再酸化が促進され、スモークの排出が抑制される。
以上のように構成される本実施形態に係るエンジン1において、ECU41及び可変圧縮比機構により「ディーゼルエンジンの燃焼制御装置」が構成される。すなわち、本実施形態に関し、図3に示すフローチャートのS101の処理により「運転状態検出手段」としての機能が、同フローチャートのS102〜105の処理により「燃焼制御手段」としての機能が実現される。また、可変圧縮比機構により「ピストン位置可変手段」としての機能が実現される。
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
本実施形態では、ピストン101の冠面に対する噴霧Sの衝突位置をエンジン1の運転状態に応じて切り換え、低負荷域では、キャビティ101aの最深部に近い第1の位置P1に、高負荷域では、キャビティ101aの開口部に近い第2の位置P2に衝突させることとした。このため、低負荷域では、衝突後の噴霧Sをキャビティ101a内に保持してその内部に偏在させ、キャビティ101a周辺における燃料の壁面付着を抑制して、未燃成分の排出を抑制することができる(図5)。他方、高負荷域では、衝突後の噴霧Sを燃焼室全体に拡散させ、噴霧Sの拡散、及び燃焼過程の後半におけるスモーク物質の再酸化を促進して、スモークの排出を抑制することができる(図6)。すなわち、本実施形態によれば、運転状態に応じて噴霧Sの拡散範囲を異ならせ、運転領域毎に適正化することで、運転領域全体に亘り排気性能を向上させることができる。本実施形態では、深皿トロイダル型の燃焼室を採用したことで、特に、高負荷域における噴霧Sのキャビティ101a外への拡散が妨げられず、噴霧Sの衝突位置の切換えによる拡散範囲の適正化の効果を顕著に得ることができる。
また、本実施形態では、上死点にあるときのピストン101の位置を変化させ得る可変圧縮比機構を採用し、運転状態に応じたピストン101の位置の変更に併せ、圧縮比を変化させることとした。このため、低負荷域では、ピストン101の位置の上昇に伴い圧縮比を増大させることで、筒内温度を上昇させて、エンジン1の始動性を向上させる一方、高負荷域では、ピストン101の位置の下降に伴い圧縮比を減少させることで、筒内温度の低下により着火遅れを比較的に長期に亘り生じさせ、燃焼の予混合化を促進して、スモークの生成自体を抑制することができる。
更に、本実施形態では、キャビティ101aとして、開口上部が底部に対して絞られていない、いわゆるトロイダル型の燃焼室を形成するものを採用したことで、キャビティ101a内で噴霧Sの流路を広く形成し、隅部の空間における噴霧Sの停滞を回避するとともに、燃焼過程の後半に発生する燃焼室からスキッシュ領域への流動(逆スキッシュ流動として知られる。)を阻害することがなく、スモーク物質の再酸化の作用を良好に得ることができる。
以上では、エンジン1の運転状態に応じて上死点にあるときのピストン101の位置を変化させる場合を例に説明したが、この制御(図3のS104,105)に併せ、燃料の噴射圧力若しくは筒内におけるスワール流動、又はこれらの双方を変化させることとしてもよい。すなわち、高負荷域において、低圧縮比時の設定としてピストン101の冠面を下降させ、スモークの排出を抑制するとともに、低負荷域におけると比較して噴射圧力を増大させ、又はスワール流動を強化させることで、噴霧の拡散及び空気との混合を促進し、スモークの排出抑制の効果をより顕著なものとするのである。なお、燃料の噴射圧力及びスワール流動の強さの制御は、通常の方法に従い行うことができる。たとえば、噴射圧力の増大は、燃料ポンプとして可変容量型のものを採用し、その吐出圧力を増大させることにより、また、スワール流動の強化は、並列に形成された2つの吸気ポートのうち一方をスワール制御弁等により遮断して、他方の吸気ポートのみから空気を吸入させることにより、夫々実現することができる。
また、以上では、燃料の噴射時期における燃料噴射弁21に対するピストン101の相対位置を変化させるため、可変圧縮比機構を採用し、これにより上死点にあるときのピストン101の位置を変化させることとした。本発明は、これに限らず、燃料の噴射時期の変更により、これを実現することもできる。
なお、以上で採用した深皿トロイダル型の燃焼室は、キャビティ101aの形状を限定するものではなく、キャビティ101aの形状は、噴霧Sの衝突位置の変更によりその拡散範囲に差を生じさせ得るいかなるものを採用してもよい。他の燃料室として、たとえば、四角型のものを採用することができる。
本発明の一実施形態に係るディーゼルエンジンの構成 同上ディーゼルエンジンの可変圧縮比機構の構成 燃焼制御ルーチンのフローチャート 基準時における噴霧の衝突位置 高圧縮比時(低負荷域)における噴霧の拡散 低圧縮比時(高負荷域)における噴霧の拡散
符号の説明
1…ディーゼルエンジン、11…吸気通路、12…ターボチャージャ、13…サージタンク、14…吸気絞り弁、21…燃料噴射弁、22…コモンレール、31…排気通路、32…NOxトラップ触媒、33…ディーゼルパティキュレートフィルタ、35…EGR管、36…EGR弁、41…エンジンコントロールユニット、51…クランク角センサ、52…アクセルセンサ、53…冷却水温度センサ、54…吸気温度センサ、55…吸気圧力センサ、61…可変圧縮比機構のアクチュエータ、101…ピストン、101a…キャビティ、102…ピストンピン、103…上部リンク、104…下部リンク、105…第1の連結ピン、106…第2の連結ピン、107…クランクピン、108…制御リンク、109…偏心カム、201…クランクシャフトのジャーナル、202…制御軸、S…噴霧。

Claims (5)

  1. 筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁と、
    燃料の噴射時期に前記燃料噴射弁のノズル部を包囲する深皿型のキャビティが冠面に形成されたピストンと、
    エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    燃料の噴射時期における前記燃料噴射弁に対する前記ピストンの相対位置を変化させるピストン位置可変手段と、
    前記運転状態検出手段により検出された運転状態に応じ、前記ピストン位置可変手段によりピストンの相対位置を変化させ、低負荷では前記燃料噴射弁により噴射される噴霧の前記冠面に対する衝突位置を、前記キャビティを形成する壁部上の第1の位置としてかつ圧縮比を高め、前記衝突後の噴霧が前記キャビティ内に保持され、高負荷ではこの第1の位置に対し、前記キャビティの底面を基準とした高さの方向に関して上方に設定された前記壁部上の第2の位置に切り換えかつ圧縮比を低め、前記衝突後の噴霧を前記キャビティ外に拡散させる燃焼制御手段と、
    を含んで構成されるディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  2. 前記燃焼制御手段による前記噴霧の衝突位置の変更に対応して、前記燃料噴射弁による燃料の噴射圧力を変化させる手段を更に含んで構成される請求項1に記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  3. 前記燃焼制御手段による前記噴霧の衝突位置の変更に対応して、筒内におけるスワール流動の強さを変化させる手段を更に含んで構成される請求項1または2に記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  4. 前記キャビティの開口上部における径が、底部における径以上の値に設定された請求項1〜3のいずれかに記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  5. 前記キャビティの底面において、前記ピストンの中心軸に近い中央部がその外側の周縁部に対して隆起させて形成された請求項1〜4のいずれかに記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
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