JP4728638B2 - 警報装置 - Google Patents

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Description

本発明は、所定の箇所に進入する物体を検知して警報を発する警報装置に係るものであり、進入する物体としては、車両や船舶ほかに、人や動物なども対象としている。
この種の警報装置の具体例としては、車両や船舶等のための高さ制限警報装置がある。この警報装置は、車両や船舶等の走行体が高さ制限のある走行路を走行するにあたり、走行体がその走行路を走行する前に、走行体の走行高が基準値を超過しているかどうかを検出し、その走行高が基準値を超過しているときには、警報や表示などによって運転手らにそのことを報知することができる装置である。
ここからは、警報装置の従来例として、車両や船舶等のための高さ制限警報装置を取り上げて説明する。
従来から、車両等の走行が許可されている道路において、陸橋や張架物等の下を通過したりトンネルを通過したりする際に、高さ制限が設けられている場合がある。より具体的には、吊下または張架された電線の下を車両が通過する際、その電線を引っ掛けたり切断したりすることがないように、高さ制限が設けられるのが望ましい。また、車両のみならず、船舶の走行が許される河川等の水路においても、橋梁等の下を通過する際には高さ制限が設けられていることがある。
そこで、このような高さ制限を有する走行路を、車両や船舶等の走行体が通過する場合には、その乗務員は走行体の高さが制限値をクリアできるかどうかを正確に把握しておかなければならない。そのために、高さ制限のある箇所を通過する前に、車両などの走行体を一旦停止させて、その高さをチェックするための装置が実用化されている。また、特許文献としては次に示すものが公知である。
登録実用新案公報 第3065549号
ここで、従来の走行高超過を検出するための装置の一例を挙げると、工事作業現場においてクレーン車の高さを検査する装置がある。この高さ検査装置では、工事現場の走行路の車両出入口に、ロープまたはワイヤからなる高さ制限のための索条体を、走行路に交差させて設置しておき、ブーム未収納などのために制限高さを超える可能性があるクレーン車を、その索条体の下を通過させる。そしてこの装置では、クレーン車に制限高さ以上の箇所があるとこの索条体に接触して引っ張られることとなり、そのとき、その索条体の端部に連結接続された渦巻きバネ式のベル部が鳴動して警報を発し、運転者らにそのクレーン車が制限高さを超過していることを報知して走行を停止させる、というような仕組みになっている。
上述のような従来の高さ検査装置では、クレーン車をその高さ検査装置の索条体が張られたゲートを通過させるとき、クレーン車の高さに制限を超えた超過箇所があると、張架された索条体に触れることになるが、このとき、超過箇所が索条体に単に接触されるだけではなく、その超過箇所と索条体とが拘わり合って、超過箇所と索条体との間にかなり強い張力がかかる場合がある。このように、過剰な引っ張り力が加えられた場合では、索条体に連結接続されている本体ユニットや支持部材などが変形や損傷を受けたり、ひどいときには破壊されたりするので、高さ検査装置はその本来の機能を発揮できなくなって、それを復旧させるのにも大変な手間を必要とする。また、このような高さ検査装置では、索条体が引っ張られている状態のときに警報の動作をするように設計されているものであるが、連結接続されている他の構成部材が損傷したり破壊されたりすると、警報の動作を維持することもできなくなる。
本発明による警報装置は、上述のような従来の車両高さ制限警報装置を一例とする警報装置の問題点に鑑みてなされたものであり、車両などの物体の高さ超過箇所と索条体とが拘わり合って強い引っ張り力が生じた場合でも、装置の構成部材やゲート柱などの周辺部材を破損したり破壊したりすることがなく、また、警報の動作を途切れることなく持続させることができる警報装置を提供することを目的としている。
(1)所定の箇所に進入する物体に交差するように張設される索条体を、所定の位置に保持する手段と、
張設された前記索条体の牽引を検出する手段と、
前記牽引による張力が所定値を超えたとき、前記索条体の保持をリリースする手段と、
前記索条体の牽引を検出したとき、または前記牽引による張力が所定値を超えたときに警報動作を行う手段と、を備える警報装置とした。
(2)(1)の警報装置において、
前記警報動作は、前記索条体の保持がリリースされた後も、その動作が持続されるよう構成される。
(3)(1)または(2)の警報装置において、
前記警報装置は、ゼンマイを動力源として搭載し、電源を搭載させずに構成される。
本発明による警報装置は、車両/船舶/人/動物などの進入、進行または侵入する物体の検知が可能であって、所定の箇所に進入する物体の高さの超過検出するにあたり、その物体の高さが超過した箇所と索条体とが拘わり合って、強い引っ張り力が生じた場合でも、装置の構成部材、ゲート柱や支持物などの周辺部材の破損や破壊などの影響を受けることがなくなる。また、本警報装置の警報動作については、一度起動がかかると索条体の保持がリリースされた後も、警報の動作を途切れることなく持続させることができるので確実な報知を行うことができる。さらに、本装置における索条体保持を解除するリリース動作は、リセット機能を備えさせることによって何回でも繰り返して動作させることができる。
そして、本発明の警報装置は、ゼンマイを動力源として搭載し、無電源にて構成されるので、バッテリー切れの心配が全くなくて、保守管理が容易で、携帯型(小型軽量)で、使途範囲が広く、汎用性の高い警報装置を実現することができる。
なお、本発明による警報装置は、車両や船舶等の高さ制限警報装置として適用するのが好適ではあるが、このほかにも、人や動物の所定箇所への侵入を検知して警報を発する防犯用警報装置、家屋・ビル等のドアや窓の開閉を検知して警報を発する防犯用警報装置、所定箇所または場所への不法侵入者を検知して警戒警報を発する盗難防止装置などにおいても、本発明の適用が可能である。
以下、図面1〜4に基づき、本発明による警報装置の実施の形態について、詳細に説明するが、ここでは、本発明による警報装置の適用の一例として、車両高さ制限警報装置を用いている。
図1は、本発明の警報装置の一実施形態にかかる車両高さ制限警報装置100についての使用状況を示す概略図であり、図2は図1の車両高さ制限警報装置100における本体ユニット10についての外観斜視図であり、図3は、図2に示した本体ユニット10についての構成説明図であり、図4(1)〜(3)は、車両高さ制限警報装置100においてリリース手段が動作してリリース状態になる様子を示す説明図である。
図1には本装置100の使用状況を示すが、ここでのクレーン車200は、走行路60上を走行する走行体であり、未収納のブーム201を備えているので、陸橋などの高さ制限が設けられている場所を通過するとき、その制限高さを超えてしまう虞がある。そこで、車両高さ制限警報装置100を配備して、このクレーン車200が制限高さを超過するかどうかの検査を行う。クレーン車200の走行高の超過検出は、高さ制限が設けられた場所に進入する前に、所定場所にある本装置100によって行われる。この本装置100では、制限された高さに対応した所定高さHになるよう配設された索条体50が、走行路60に交差して走行路面と平行に張架されており、この索条体50の下を、クレーン車200を通過させることによって、超過高さのチェックが行われる。
本装置100で用いられる索条体50は、紐・ロープ・ケーブル等のフレキシブルな線状部材からなる。本装置100が配備される走行路60の両側部には第一支持柱41と第二支持柱42とを立設しておき、この索条体50は、その一端を第一支持柱41にまず固着させ、そこから第二支持柱42に向けて延長せしめて所定の張力をかけ、吊架線状に張力をかけて張設したものである。そして、第二支持柱42の上端側にはガイドローラー52が配備されており、これは、第一支持柱41側からここまで水平に張架されてきた索条体50を、第二支持柱42に沿って地面に向けて折り返すのに用いられる。折り返された索条体50は、この第二支持柱42の下方に配設された車両高さ制限警報装置100の本体ユニット10に連結接続されている。なお、この本体ユニット10は、第二支持柱42の外周面を抱持して取り付け可能の固定締着用バンド部材等によって取り付け固定されている。
図2は、図1の本装置100の本体ユニット10を拡大して示した外観斜視図である。この本体ユニット10は、筐体形状のケース20の内部に各種の構成部材を備えるが、このケース20の下面から下方に突出させて、警報を鳴動するためのベル部34を備えており、このベル部34を鳴動させてその動作を持続させるための動力となるゼンマイ(図示せず)をケース20内に備えている。また、ケース20の表面または側面には、ゼンマイを巻くためのゼンマイ巻き部30と、作業者らが直に手を使って巻き込みをしやすくするためハンドル部31とを備える。
本体ユニット10では、ケース20の上面から突出させて支柱14と支柱15とを設けておき、これらの支柱14と支柱15との間にはリリース用アーム13が橋架されるように配設されている。このリリース用アーム13については、その一方の端部側は支柱15側の支点13aを中心として回動自在に支持され、その他方の端部は支柱14に取り付けられたアーム支持部材14Aの凹所に受け入れられて当接または係止がなされ、その相互的な配置が決定されている。
また、張架された索条体50については、支持柱42側のガイドローラー52で折り返された索条体50の端部50aには、リリース用リング12が直接連結接続されており、このリリース用リング12の内部を先のリリース用アーム13が挿通自在となるような遊嵌する係合状態にして構成されている。そして、走行体200の通過によって索条体50が牽引された時には、索条体50に連結接続されたリリース用リング12を介して、リリース用アーム13は上方向へ引き上げられる。
そして、このリリース用アーム13に対しては、ケース20の上面側で連結接続される構成部材としては、ケース20の上面に繋がる弾性体17と、ケース20に内蔵されるギアロック機構に連結する機構部連結体である引き上げ部材18とがある。ここでの弾性体17は、所定の張力が設定できるスプリングすなわち引っ張りバネからなり、ケース20とリリース用アーム13との間に付勢されて、一方端部側にある回動支点13aによってその他端部側が上方向に開閉自在となっているリリース用アーム13に対して、下向きの引っ張り力を与える。
ここでの引き上げ部材18は、索条体の牽引があったときにはリリース用アーム13が上方向に持ち上げられる動作に付随して連動する構成部材である。リリース用アーム13の上昇動作があるとこの引き上げ部材18も上方向に持ち上げられることとなり、この引き上げ部材18の上昇動作に伴って、ケース20内でそのときまで設定されていたギアロック機構を解除することができる。ギアロック機構が解除されると、ケース20が内蔵するゼンマイの動作によってギアが回動を開始し、そのギアの動作に伴ってベル部34を叩き続けて、ベル鳴動による警報動作をさせることができる。そして、この警報動作を所定の時間だけ持続させることもできる。
図1および図2で示すように、車両高さ制限警報装置100の索条体50は、使用時は緊張された状態を維持するように張架されるが、その索条体50の端部50aにはO型のリング部材であるリリース用リング12が連結接続されている。そして、リリース用アーム13が開閉動作を可能とする側の先端部は、このリリース用リング12内を、余裕を持って挿通可能とするように、それぞれの形状と大きさとが設計されており、リリース用リング12と先端部13bとは着脱自在なルーズな係合関係となるように構成される。
また、図2に示す本体ユニット10は、第二支持柱42側にある索条体50の一方の端部50aがリリース用リング12を介して連結接続されると共に、この索条体50が牽引されたときには、その牽引を検出する手段を備えている。そして、索条体50の牽引による張力が所定値を超えたときには、索条体50の保持をリリースする手段をも備えている。さらに、索条体50の牽引を検出したときや、牽引による張力が所定値を超えたときには、ベル部34を鳴動させる警報動作を行う手段を備えており、そのとき起動された警報動作は、索条体50の保持がリリースされた後も、内蔵するゼンマイ機構によって、所定の時間はその動作が持続されるように構成されている。
ここで示した実施形態では、警報の手段としてベル音を鳴らす構成を用いているが、このベル音の他にも、サイレン等の警報音や、警告灯の点灯、その他、乗務員の注意を喚起せしめる種々の信号を発生するものとして構成することが可能である。
また、図2において、本装置100における牽引を検出する手段、索条体の保持をリリースする手段、警報動作を行う手段などに係わる構成部材については、ケーシングされた本体ユニット10の中に組み込まれたものは図示してはいないが、本体ユニット10から突出された部材についてはこの図2で示されている。
図1および図2で示すように、車両高さ制限警報装置100が設置してある走行路60においては、クレーン車200が走行路60を走行する際、ブーム201のみならず、車両の全高や、積み荷の高さなどが、規定された高さHよりも超過しない適正な高さであるときはそのまま通過できる。しかしながら、規定の高さHを超過しているときには、索条体50に引っ掛かることとなるので、索条体50は牽引される。すると、牽引された索条体50はガイドローラー52を介して下方へも引っ張り力を与え、本体ユニット10ではこの牽引を検出する。そして、この牽引による張力が所定値を超えたときには、本体ユニット10内に繋がる索条体50が切り離されることとなり、これによって、本体ユニット10から索条体50の保持をリリースすることができる。
さて、図3により、本発明の一実施形態にかかる車両高さ制限警報装置100の本体ユニット10について、その構成を詳しく説明する。
ここでの本体ユニット10は、ケース20内に配設されてそれぞれの支点を中心に回動運動する3つのギア25−ギア24−大ギア26を有し、これらのギアと連係した他構成部材と共同して動作を行うことのできる内蔵のギア機構を有する。そして、このギア機構の動力としての手巻き式のゼンマイ27が大ギア26に一体的に連結されていて、この大ギア26を回動動作させる。また、大ギア26はギア24と噛み合うが、このギア24と係止可能なギアロック部材22を備えており、索条体の牽引時においてこのギア24の動作を停止させ、ギア機構全体の動作を停止させることができる。
ここでのギアロック部材22はアーム状の可動部材であり、支点22aを中心に動きM3の回動運動を可能として構成され、これの動きM3によってギアとの係止関係を形成したり解除したりする役割を担う。また、このギアロック部材22は、ケース20の内壁にその端部が付設された引張りコイルスプリング23によって、このギアロック部材22の係止端部22bとギア24の円周部とが相互に係止(掛合)される方向に弾発付勢されている。ここでは、ギアロック部材22の係止端部22bとギア24とが接触係止して相互に固定された関係にあるときは、3つのギア共に全く動作できないロック状態となる。さらに、ギアロック部材22の係止端部22bが、動きM3によって上部に移動して、ギアロック部材22の係止端部22bとギア24とが全く接触しない関係にあるときはロックが解除されたリリース状態であって、3つのギアすべてが連係して回動できる動作状態となる。
図3の本体ユニット10内の大ギア26には、ゼンマイ27(渦巻バネ)が同心状に備え付けられ、それらの回動の中心となる支軸26aを有する。作業者らは、本体ユニット10の外側に設けられた手巻き部30のハンドル31(図2)を回転させてこれを巻き上げることにより、ゼンマイ27に回転力を蓄積させることができる。このゼンマイ27の回転力と一連のギア機構の連係とにより、大ギア26−ギア24−ギア25へと動力を伝達するような構成となっている。
また、ギア25はベルの鳴動に直接関係する部材であり、外周縁部から周囲に向けて突設される複数の突起部(25a,25b,……)を有する板状の回動アーム部材25Aは、そのギア25と同心のシャフト25sを介して並列配置され、一体的に回動動作を行うよう構成されており、この回動アーム部材25Aは、それらの突起部(25a,25b,……)によって、ハンマーの端部と係止状態を形成することができる。ここでは、このギア25が動きM4のような反時計回りの回転をするにつれて、この回動アーム部材25Aもギア25と一体的に回転するので、それらの突起部(25a,25b,……)も回転し、ベル部34を鳴動させるためのハンマー29の端部29aに当接して係止できる構成としている。
図3のギア機構によれば、ギア25と一体に回動する回動アーム部材25Aの突起部25bがギア25の動きM4に合わされて移動してきて、ギア25の回転に伴う移動時間に追従しながら、ある時間だけ端部29aとの係止状態を維持して、そののち解除するという構成を有している。このように、ギア25と回動アーム部材25Aとの回転に伴って、25bのつぎは25cというように複数の突起部が順々に回転してきてそれを繰り返すこととなるので、ここでのハンマー29の端部29aは、突起部の係止と解除のたびに動きM5に示す移動運動を繰り返すこととなる。
そして、ここでのハンマー29は、支点29cと支点腕部29dに固着された回動自在な棒状部材であって、上方の端部29aは、シャフト25sを介してギア25と一体的に動作する回動アーム部材25Aの突起部(25a,25b,……)に当接されて、所定の時間だけ係止状態とさせることができる。このハンマー29には、これを支点29cを軸心に反時計回り方向に弾性付勢するためのスプリング28が取り付けてあるので、下方の端部にある叩き部29bは、突起部との係止状態にないときには、ベル部34に当接する状態となっており、ベル部34のつば状の外面部位に当接部34aを有する。
このように、この回動アーム部材25Aの突起部25bがハンマー29の端部29aを係止する前の状態では、ハンマー29は、スプリング28の反時計回り方向に引っ張る弾性力と、回動支点29cとベル部34の当接面34aとの関係によって、ベル部34の当接面34aにハンマー29の叩き部29bの右端部が当接した位置関係となるものであるが、図3においては、係止関係となる前の状態は図示されてはいない。
図3には、突起部25bがハンマー29の端部29aを係止し始めた状態が図示されており、ハンマー29は係止開始の状態(29A)から係止が解除された状態(29B)へと推移するが、その係止関係の間は、反時計回り方向に弾性付勢するスプリング28によって2部材の係止関係が維持される。その後、この回動アーム部材25Aの突起部25bがさらに回転すると、ハンマー29の端部29aは突起部25bから外れてしまい、係止関係は解消される。すると、ハンマー29は、スプリング28によって反時計回り方向に引っ張られて、係止関係以前の位置に急に戻されることとなるので、ハンマー29の叩き部29bがベル部34の当接部34aを殴打することとなり、ベル部34は鳴動される。なお、このベル部34はケース本体20の下方に突出されて配設されているが、ケース本体20の下面には、下方に向けて支持部材20aが設けられており、この支持部材20aから取付け部材20bを介してこのベル部34が支持されている。
さて、ケース20に内に装備されたギアロック部材22は、通常では、スプリング23による弾発付勢によってギア24と係止してその動作を停止させる位置関係となっているが、このスプリング23の弾発力とは逆の上方向への引っ張り力を与えるために、引き上げ部材18が配設されている。この引き上げ部材18は、引き上げ本体18a−フック部18b−取り付け部18cの部材が一線状に一体的に構成されたギアロック部材22の引っ張り上げ用の部材であり、下端側にある取り付け部18cはギアロック部材22に直に取り付けられ、上端側にある線状本体18aは、ケース20より上部に突出され、留め部材18dを介してリリース用アーム13に連結接続されている。
このリリース用アーム13は、ケース20の上面に植設された支柱14と支柱15との間に横架されるよう設けられ、支柱15の支点13aを中心とする回動移動の動きM2ができるように回動自在に支持されている。また、他方の支柱14の側には、リリース用アーム13の一端の先端部13bより手前の所定箇所13cを受け入れるために、受入れ凹部を有する支持部材14Aを備えている。リリース用アーム13とこれを受け入れるための支持部材14Aとの係合構造については、このリリース用アーム13の先端部13bの側にある所定箇所13cを、支持部材14Aの凹部に収納配置されるよう位置設定がなされ、しかも、リリース用アーム13の所定箇所13cが、支持部材14A支柱14の凹部から上方向に出し入れ自在になるように、遊びのある断面凹凸の係合状態にして構成されている。
本発明の一実施形態による車両高さ制限警報装置100の索条体50は、使用時には常に緊張された状態を維持するように張架され、索条体50の端部50aは牽引時には上方向に引っ張られる(動きM1)。その索条体50の端部50aにはO型のリング部材であるリリース用リング12が連結接続されており、このリリース用アーム13の先端部13bが、このリリース用リング12内を余裕を持って挿通可能で、牽引時には右方向へ移動して抜けやすい構造とするために、先端部13bとリング12とのそれぞれの形状と大きさとが設計され、リリース用リング12とリリース用アーム13の先端部13bとは着脱自在なルーズな係合関係として、リリース用リング12が容易に外れてリリースが可能となる構造としている。
さて、図4(1)〜(3)は、本発明による車両高さ制限警報装置100におけるロック状態から、ギア機構が動作して、リリース状態に移行する様子を示す説明図である。
図4(1)はスタンバイ状態を示す図であり、索条体からの張力はかかっていない。ここで、リリースアーム13は支柱14と支柱15間で略水平にして保持されていて、引き上げ部材18を介してリリースアーム13とギアロック部材22とは連結されている。ギアロック部材22の係止部22bはギア24を係止した状態にあり、ギア機構の動作は停止されている。また、この引き上げ部材18は、引き上げ本体18a−フック部18b−取り付け部18cが直線状に構成されているが、フック部18bは頭部と足部とを有する二股状の弾性体からなり、足部側において開閉自在に形成されている。このフック部18bは、一般にだるまピンといわれる弾性ピンを用いてもよく、スタンバイ状態において、ケース20の上面20Aに設けられた通し穴20hを通る直前の位置になるように配置設定がなされている。
つぎの図4(2)は、索条体が牽引されて上向きの引っ張り張力T1がかかり、リリース動作が行われている状態を示す図である。張力T1はリリース用リング12を介してリリース用アーム13に伝えられ、このリリース用アーム13は動きm1のようにして上方へ持ち上げられて移動される。そして、リリース用アーム13の下面と支柱14との間に隙間が生じてくるが、その隙間の大きさがリリース用リング12が通れるように広げられると、リリース用リング12はその隙間を通ってm4のような横の移動をして、つぎにリリース用アーム13の右端部から完全に外れると、張力T1がかかっているために、上方へ持ち上げられる。
そしてこのとき、図4(2)に示すように、この引き上げ部材18は上方へ引っ張られると、フック部18bは、ケース20の上面20Aを貫通する通し穴20hを通過して、上面20A上に持ち上げられることとなり、さらに、この引き上げ部材18に連結されているギアロック部材22は、その係止部22bが上方へとm3のように移動され、ギア24との関係から解放されるので、この装置100のギア機構は係止関係が解除されてその回動動作が開始される。
さて、図4(3)は、本発明による車両高さ制限警報装置100におけるリリース動作が終了して、警報動作状態が保持される様子を示す説明図である。
リリース動作をした後は、リリース用リング20がリリース用アーム13から外れるので、リリース用アーム13はスプリング17により元の位置に戻される。しかしながら、引き上げ部材18のフック部18bは、ケース20の上面20Aを貫通する通し穴20hを通過して下から上へと持ち上げられて上面20Aに出現されたとき、弾性材料からなるフック部18bの足部18b'は開かれた状態のまま閉じなくなるので、この通し穴20hを上から下へと再度通過することはできず、上面20A上に引っ掛かった状態のままに保持されることとなる。
このように、フック部18bが上面20A上に保持されている状態が警報動作保持状態であって、この警報動作保持状態は、強制的に解除しない限りは持続させることができる。そして、この警報動作保持状態では、引き上げ部材18の取り付け部18cに連結されているギアロック部材22は、その係止部22bが上方へ動きm3のように移動されてギア24から離脱されたままになっているので、装置100内のギア機構は、ゼンマイの動力がある限りはベルを叩いて鳴動させる警報動作を続けることができ、警報動作状態を保持(維持,継続)することができる。
本発明による警報装置の一例である車両高さ制限警報装置は、これまでの説明からも明らかなように、張設された索条体の牽引を検出して、牽引による張力が所定値を超えたとき、索条体の保持をリリースする手段を備えて構成されるものであるが、どの程度の張力を所定値としてリリースするかについては、スプリング17、リリース用アーム13を含む各構成部材の力学的な数値計算により、適宜に求めてそれを適用することができ、様々なバリエーションが可能である。
また、本発明による警報装置の一例である車両高さ制限警報装置は、索条体の牽引を検出した時点においても、牽引による張力が所定値を超えた時点においても、警報動作を起動して開始するような設定が可能であり、起動された警報動作は、索条体の保持がリリースされた後でも、そのリリース動作が持続されるよう構成することができる。具体的な構成としては、図4(3)におけるフック部18bがケース20の上面20Aに係止される構造により、索条体保持をリリースした後の警報動作の持続が実現できる。
そして、本発明による警報装置の一例である車両高さ制限警報装置は、先のリリース状態をリセットする機能を備えている。具体的な構成としては、図4(3)においてケース20の上面20A上に係止されたフック部18bを、図4(1)のようにケース20の上面20A下に押し込んで元の位置に戻してロック状態にすることにより、リリース状態のリセット機能を実現できる。こうして、本装置は索条体保持を解除してリリース状態とした後のリセット機能を備えているので、リリース動作をさせた後は、フック部18bを元のロック状態とし、ゼンマイを再度巻いておくことにより、本装置は何度でも繰り返して使用することができる。
さらに、本発明による警報装置は、次のような特徴がある。
・本装置は、手巻き式ゼンマイとギアによる簡明な機械式機構を採用しており、電気や電池等は全く必要としないので電源の確保や点検に悩まされることは無く、装置が誤動作したり故障したりすることがなく、装置の軽量化、コンパクト化、低コストなどにも大きく貢献することができる。
・本装置は、ゼンマイの動作している間は警報ベルを鳴らし続けることができ、これにより車両の運転者らに充分な警報情報を持続して与えることができるし、また、所定の時間が経過すればこの警報ベルは自動的に停止するような設定も可能である。
・本装置の警報動作については、ベルの音量、ベルの音色、ベルの打点回数、ギア機構、ギア比など、構成部材の機械的な設定や変更が自由に可能であり、ユーザーの希望に則した多彩な警報動作が可能になる。
本発明による警報装置は、車両や船舶の進入(進行)のときみならず、人や動物の所定箇所への侵入(進行)を検知して警報を発する装置等にも適用可能であり、これらの物体が所定箇所に進入または進行するに際し、高さ制限を有する進入路を進入してくる前に、高さが超過しているかどうかを検出して警報を出すという検査装置を用いる産業分野において広く適用することができる。
また、本発明による警報装置は、コンパクトで構造が簡明で安全で安価で点検が楽で確実な検知ができるという特質があり、関係する産業上での利用可能性は極めて大きい。より実際的には、電力送電線路の建設現場などにおける車両の車両高さ制限警報装置として採用されるのが好適であるが、この他にも、クレーン荷吊り作業における横方向接近警報装置、資材置場での盗難防止警報装置などに広く適用することができる。
そしてさらに、人や動物の所定箇所への侵入を検知して警報を発する防犯用警報装置、家屋・ビル等のドアや窓の開閉を検知して警報を発する防犯用警報装置、所定箇所または場所への不法侵入者を検知して警戒警報を発する盗難防止装置などにおいても、本発明の適用が容易に可能である。
本発明による警報装置の一実施形態であるが車両高さ制限警報装置100が使用される状況を示す図である。 図1で示した車両高さ制限警報装置100の本体ユニット10を示す外観斜視図である。 図2で示した車両高さ制限警報装置100の本体ユニット10の内部構成を示す図である。 (1)〜(3)は、本発明による車両高さ制限警報装置100においてリリース手段が動作してリリース状態になる様子を示す説明図である。
符号の説明
100 車両高さ制限警報装置
200 クレーン車(車両)
60 走行路 (進入路)
50 索条体
30 ゼンマイ
34 ベル部
10 本体ユニット
12 リリース用リング
13 リリース用アーム
14、15 ケース上面の支柱
17 弾性体
18 引き上げ部材
18b フック部
18b' フック部18bの足部
20 ケース
20A ケース20の上面
20h ケース20上面の通し穴
22 ギアロック部材
23 コイルスプリング
24、25 ギア
25A 回動アーム部材
25a、25b、25c、 回動アーム部材25Aの突起部
26 大ギア
27 ゼンマイ
28 スプリング
29 ハンマー
M1、M2、M3、M4、M5、m1、m2、m3、m4、m5 動きの様子

Claims (2)

  1. 所定の箇所に進入する物体に交差するように張設される索条体を、所定の位置に保持する手段と、
    張設された前記索条体の牽引を検出する手段と、
    前記索条体の牽引を検出したとき、警報動作を行う手段と、を備え、
    前記牽引を検出する手段は、前記牽引による張力が所定値を超えたとき、前記索条体の保持をリリースする手段を有し、
    前記リリースする手段は、前記警報動作を行う手段が設置されたケースの上部の外側に設けられたリリース用リングとリリース用アームと、前記ケースの上部が具備する通し孔の直下に設けられたフック部とを有し
    前記牽引を検出する手段は、前記牽引による張力が所定値を超えたとき、前記リリース用リングが前記リリース用アームから外れ、前記索条体の保持をリリースすることにより、前記索条体の牽引を検出して、前記警報動作を行う手段が動作し、
    前記フック部が前記通し穴を通過した後、前記通し穴の上部に留まることにより、前記警報動作を保持する、ことを特徴とする警報装置。
  2. 請求項1の警報装置において、
    前記警報装置は、ゼンマイを動力源として搭載し、電源を搭載させずに構成される、ことを特徴とする警報装置。
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