JP4728505B2 - コークス炉廻り集塵方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コークス炉廻り集塵方法に関し、特にコークス炉やCDQ(Coke Dry Quencher:乾式消火設備)廻りの集塵機装備力を増強することなく、CDQ集塵能力増強を図るコークス炉廻り集塵方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術分野】
製鉄工業においてコークス製造時の集塵方法として、コークス炉への石炭装入時の集塵を行う装入車集塵機、コークス窯出し時の集塵を行うガイド集塵機及び、赤熱コークスの乾式消火設備(以下、CDQと略称する)への投入、下部の集塵を行うCDQ集塵機をそれぞれ配置し、それぞれ個別に集塵を行うことは、集塵箇所や捕集粉の性状を考慮した場合、集塵機の専用化によるメンテナンス性が良いことや、環境管理を行う上で、管理強化すべき集塵機の特定が容易にできる等従来から普及している方法である。
【0003】
特にCDQ集塵においては、従来から間欠的に発塵するCDQ投入時の集塵と、下部の連続発塵の集塵とを、CDQ集塵機1基にて風量調整を行うことで省エネ運転を行ってきた。この様な運転を行った場合、CDQ投入(間欠集塵)のタイミングにおいて、メイン集塵ダクトの流速や、末端吸引風量の変化が著しく、ダストのダクト内堆積や吸引風量が低下する箇所が生じることから、集塵性能の低下防止のために定期的な清掃やこまめな末端吸引圧力の管理が必要であった。
【0004】
従って定修作業時、これらダクト内の清掃を行ってきたが、ダクト内堆積速度に比べて定修スパンが長く、定修時、完全にダクト清掃を行ったとしても、通常時には連続プロセスであるため十分な清掃が行えず、行えたとしても末端ダクトに限られるため、定期的な清掃のみでは十分な対策とは言えない。末端ダクトの清掃を十分に行ったとしても、メインダクトが閉塞してくれば末端吸引能力が低下し、環境に悪影響を与えてしまうことになるが、現状の操業フローでは、メインダクトの閉塞を完全に防止することは不可能である。従ってCDQにおける既存集塵機の長期安定化が強く望まれている。
【0005】
そこで、特開平10−287880号公報では赤熱コークスを積載されたバケット台車がコークス炉からCDQ設備の投入口まで移動する経路全体を覆う集塵トンネルを設けて、バケット台車移動時からCDQ設備への投入時に至る発煙と発塵を1基の集塵機で集塵する方式が提案されている。この方式では、集塵機の装備能力を大幅に増強したり、設備改造にも莫大な費用を要する欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
かかる現状に鑑みて、本発明の目的は、コークス炉やCDQ廻りの集塵機装備力を増強することなく、CDQにおける集塵能力増強を図るコークス炉廻り集塵方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために種々検討の結果、従来のような炉廻り集塵フローの改善、集塵箇所別集塵機の能力の向上のみに対策を限定するのではなく、集塵タイミングを組み合わせることにより、コークス製造設備全体の集塵機として機能する集塵システムを構築することに着眼した結果、赤熱コークスをCDQへ投入する際の発塵を、コークス炉操業のための集塵機の内で待機中のガイド集塵機で集塵する本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明のコークス炉廻り集塵方法は(1)1炉団又は2炉団以上の複数炉団に対して1基のCDQを有し、CDQ投入部では各炉団毎のコークス炉から押し出された赤熱コークスをCDQへ投入する際の発塵を集塵すると共に、CDQ下部ではCDQ廻りの発塵を集塵するコークス製造設備において、前記CDQ下部ではCDQ廻りの発塵をCDQ集塵機で集塵し、また、前記CDQ投入部からの発塵を、各炉団毎に設置されたコークス炉操業のための集塵機の内で待機中のガイド集塵機で集塵することによって、コークス炉廻りの集塵機装備力を増強することなく、CDQにおける集塵強化を図ることを特徴とする。
【0009】
(2)CDQ投入部とガイド集塵メインダクトとの間を、ダンパーを介して接続し、また、ガイド集塵機ガイド集塵メインダクトとの間を、ダンパーを介して接続し、更に、CDQ投入部とダンパーとの中間点とガイド集塵機とダンパーとの中間点との間を、ダンパーを介して接続し、コークス炉廻りの発塵パターン別に対応した各ダンパーの自動開閉操作によって待機中のいずれかのガイド集塵機で集塵する(1)に記載のコークス炉廻り集塵方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図に従って詳細に説明する。
図1は従来の集塵機等の概略配置を示すコークス製造設備の平面図である。図2は本発明の一例を示すコークス炉廻り集塵機のダクト接続による概略配置を示すコークス製造設備の平面図である。
先ず本発明において、1炉団又は2炉団以上の複数炉団に対して1基のCDQを有するとは、コークス炉40〜55門(室)を1半団とした場合、通常は2〜4半団(1〜2炉団)に対して1基のCDQを有することをいう。尚、1炉団は炭槽を境として各半団に分けられる(図1)。即ち、図1に示す通り全体で4半団(2炉団)に対してCDQ1基の場合、又は2半団(1炉団)に対して1基のCDQの組み合わせが一般的である。ここで、炉廻り集塵機等の配置は、図1に示す通り、中間部から左右に1炉団づつのコークス炉群が延長して配置され、各炉団毎に集塵フードで覆われた専用のコークガイド車(CG)と、赤熱コークス搬送用のバケット台車(EL)及び、図示されていないが炭槽から切り出された装入炭を受け入れてコークス炉群の上を走行し所定のコークス炉へ装入炭を装入する専用の装入車が設置され、中間付近の前方には1基のCDQ(4)が配置されている。
【0011】
また、左側コークス炉群への石炭装入時の集塵を行う装入車集塵機(6)、左側コークス炉群からのコークス窯出し時の集塵を行うガイド集塵機(5)、右側コークス炉群への石炭装入時の集塵を行う装入車集塵機(8)、右側コークス炉群からのコークス窯出し時の集塵を行うガイド集塵機(9)をそれぞれ1基づつ配置し、それぞれ個別に集塵を行っている。また、中間付近にはCDQ設備(4)におけるコークス投入、下部の集塵を行うCDQ集塵機(7)が配置されている。これらの配置は、集塵箇所や捕集粉の性状を考慮した場合、集塵機の専用化によるメンテナンス性が良いことや、環境管理を行う上で、管理強化すべき集塵機の特定が容易にできる等、一般的に普及している形態であった。
【0012】
この様な集塵機類の配置を行った場合、CDQ集塵機(7)では発塵の仕方(連続発塵か間欠的な発塵か)やタイミングの異なる集塵を行う必要がでてくるため、従来、集塵ファンの回転数を調整する等して、適正風量を確保する省エネ運転を行ってきたが、末端風量,吸引圧力が安定しなかったり、メインダクト内に捕集粉塵が堆積するなど好ましい状況ではなかった。
【0013】
そこで本発明においては、連続集塵が必要であるCDQ下部の発塵と、間欠発塵であるCDQ投入時の集塵とを別々の機器で集塵を行い、末端吸引圧の安定化と管内流速の一定速度以上を確保することによるダクト内堆積防止を図ることにした。これらのことにより、従来安定した吸引が得られなかったCDQ廻りの集塵の安定化が図られ、長期安定使用が可能となる。
【0014】
以下、かかる本発明の一例を示すコークス炉廻り集塵機等のダクト接続による概略配置を示す図2について説明する。なお図2で図1で使用した数字と同じものは同一の意味である。図2では、図1で示したコークガイド車(CG)と、赤熱コークス搬送用のバケット台車(EL)が省略されている代わりに、装入車集塵メインダクト(LCダクト)とコークガイド車集塵メインダクト(CGダクト)が記載されており、且つ、LCダクトは装入車集塵機(6)と(8)へ接続されており、一方CGダクトはガイド集塵機(5)と(9)へ接続されている。また、CDQ(4)放散部と下部の集塵ダクトがCDQ集塵機(7)へ接続されていると同時に、投入部の集塵ダクトは2炉団の各コークス炉操業のためのガイド集塵機(5)と(9)へダンパー(1),(2),(3)を介して接続されている。
【0015】
図1で説明したCDQを1炉団又は複数炉団に対して1基有するコークス製造設備において、各炉団別にガイド車又は装入車のいずれか一方の集塵機を1台づつ有する場合、CDQ投入タイミングでは、必ず、窯出しを行った炉専用のガイド集塵機が待機中であることに着眼し、本発明では、図2中のCDQ(4)において、左右のどちらか一方の炉団から窯出しされた赤熱コークスかにより、ダンパー(1)〜(3)を電気信号または空気圧等による制御手段で自動開閉操作することによってガイド集塵機(5)又は(9)までの吸引ルートを確保して、CDQ投入部の集塵をCDQ下部などの連続集塵と切り離して行うシステムを構築したものである。
【0016】
具体的には、右側の炉団から窯出しされたコークスがCDQ(4)へ投入される際、図中、(2)のダンパーを開、(3)のダンパーを閉とすることにより、CDQ投入部の集塵を右側の炉団対応のガイド集塵機(9)で実施可能となる。この場合、右側のコークス炉で窯出しが行われたコークスをCDQへ投入していることから、右側の炉団からの窯出しは行われない。但し、窯出しは行われていなくてもコークガイドダクトへ漏れ風量があるため、(1)のダンパーを閉とすることにより、こうしたコークガイドダクトからの漏れ風量がガイド集塵機(9)に流入することを阻止することができる。
一方、左側の炉団から窯出しされたコークスがCDQへ投入される際、図中、(2)のダンパーが閉、(3)のダンパーが開、CDQ投入部の集塵を左側の炉団対応のガイド集塵機(5)で実施可能となる。この場合、CDQ投入部末端吸引圧力は0.3〜0.4kPaに調整するのが望ましい。この場合、(1)のダンパーを開とすることにより、右側の炉で窯出しが行われても、窯出し時のコークガイドダクトからの集塵をガイド集塵機(9)で行えるようにしている。
【0017】
又、CDQへのコークス投入が無いときは、(2),(3)のダンパーを閉とすることにより、コークガイドダクトからの洩れ風量を削減することができる。通常、窯出しされたコークスを積載するバケットを炉団毎に各1つ備えているが、さらにCDQにもバケットを1つ備え、これらCDQバケットと炉団バケットとを入れ替えることにより、窯出しコークスをCDQへ移動させる方式の場合には、CDQバケットと各炉団バケットによって、CDQへの投入と窯出しが同時期に行われる場合があるが、窯出しとCDQ投入とのタイミングを意識的にずらすことにより、一のガイド集塵機(5)又は(9)によって、窯出しの集塵とCDQ投入部の集塵に対応させることができる。
尚、図は一例であり、ダクトラインの配置、ダンパーの制御方法なども、適宜変更可能である。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例を挙げて説明する。
【0019】
実施例1
本出願人が保有するコークス炉コークス製造設備(図2に示したようなコークス炉50門を1半団とする左右2炉団に対して1基のCDQを組み合わせたコークス製造設備)において、図2で説明したダンパー(1)〜(3)を電気信号による制御手段で自動開閉操作する本発明方法を実施した。この状態で8ケ月間操業を行った結果のCDQ集塵機(7)の圧力損失の推移を表1に示す。CDQ投入部の吸引圧力は0.4kPaでセッテイングを行った。
【0020】
【表1】
Figure 0004728505
【0021】
その結果、本実施例の改造以前における従来方式でのCDQ投入、下部の全てを集塵していたCDQ集塵機(7)のろ布圧力損失は1.5〜1.6kPaであったが、CDQ下部の連続集塵のみを行うこととなった既存のCDQ集塵機(7)におけるろ布圧力損失は、吸引圧力変動がなくなったことから8ヶ月経過現在で0.4〜0.5kPaと安定に推移していることが確かめられた。
【0022】
一方、CDQ投入部からの発塵を集塵することとなったガイド集塵機(5)又は(9)についても、ろ布圧力損失は従来とほとんど同程度で推移していることが確認されている。このように、本発明の上記方式を実機に採用以降、CDQ投入部の発塵をファンの増強や新設集塵機を設置することなく増強させることに成功している。
【0023】
【発明の効果】
以上説明した本発明方法によれば、1炉団又は2炉団以上の複数炉団に対して1基のCDQ設備を1基有するコークス製造設備において、CDQ投入タイミングで、必ずどちらかの炉団専用のガイド集塵機が待機中であることに着眼し、ダンパーの自動開閉操作によって、CDQ投入時の当該炉団用のガイド集塵機で集塵するシステムであり、機器の増強無しでCDQ投入部の集塵増強を図ることができと同時に、CDQ設備における連続集塵が必要なCDQ下部発塵用の既存集塵機の安定化を図ることができる。また、コークス炉付帯集塵機全体の稼動タイミングを組み合わせて、既存集塵設備能力を最も効率よく発揮させることにも成功していることから、工業的に極めて価値の高い発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の集塵機等の概略配置を示すコークス製造設備の平面図である。
【図2】本発明の集塵機等のダクト接続による概略配置を示すコークス製造設備の平面図である。
【符号の説明】
1,2,3…ダンパー、4…CDQ、5…左側コークス炉群のガイド集塵機、6…左側コークス炉群の装入車集塵機、7…CDQ集塵機、8…右側コークス炉群の装入車集塵機、9…右側コークス炉群のガイド集塵機、10…温度計、CG…コークガイド車、EL…バケット台車、LCダクト…装入車集塵メインダクト、CGダクト…ガイド集塵メインダクト。

Claims (2)

  1. 1炉団又は2炉団以上の複数炉団に対して1基のCDQを有し、CDQ投入部では各炉団毎のコークス炉から押し出された赤熱コークスをCDQへ投入する際の発塵を集塵すると共に、CDQ下部ではCDQ廻りの発塵を集塵するコークス製造設備において、前記CDQ下部ではCDQ廻りの発塵をCDQ集塵機で集塵し、また、前記CDQ投入部からの発塵を、各炉団毎に設置されたコークス炉操業のための集塵機の内で待機中のガイド集塵機で集塵することを特徴とするコークス炉廻り集塵方法。
  2. CDQ投入部とガイド集塵メインダクトとの間を、ダンパーを介して接続し、また、ガイド集塵機とガイド集塵メインダクトとの間を、ダンパーを介して接続し、更に、CDQ投入部とダンパーとの中間点とガイド集塵機とダンパーとの中間点との間を、ダンパーを介して接続し、コークス炉廻りの発塵パターン別に対応した各ダンパーの自動開閉操作によって、待機中のいずれかのガイド集塵機で集塵する請求項1に記載のコークス炉廻り集塵方法。
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