JP4728314B2 - 車両用バンパ構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用バンパ構造の改良に関するものである。
従来の車両用バンパ構造として、バンパシステムに脚部を押圧するプッシュバーを設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
米国特許第6460909号明細書
特許文献1のFigure.10を以下の図6で説明する。なお、符号は振り直した。
図6は従来の車両用バンパ構造を示す断面図であり、バンパシステム100は、バンパビーム101と、このバンパビーム101の下部にボルト102で取付けられたばね装置103及び下脚部プッシュバー104とを備える。
下脚部プッシュバー104は、ばね装置103の前側に配置され、車両前方から歩行者の下脚部が当たったときに下脚部を前方へ押圧する。
一般に、車両用バンパ構造を構成するエネルギー吸収部材は、エネルギー吸収効率を上げる(即ち、硬くする)方が小さな変位で大きな衝撃エネルギーを吸収できるが、歩行者の脚部にバンパが衝突し、脚部に高い荷重が入力されると、例えば、下腿部の脛骨に大きな曲げモーメントが作用したり、膝関節の曲げ角度(即ち、大腿部と下腿部とのなす角度である。以下、単に「膝曲げ角」と記す。)が大きくなる。
従って、入力荷重を抑えるために、エネルギー吸収効率を落とす(エネルギー吸収部材を柔らかくする)必要がある。そのため、十分なエネルギー吸収量を得るために車両用バンパ構造の変位を大きくすると、バンパが車両前後方向に長いものになる。
また、上記特許文献1では、下脚部プッシュバー104で歩行者の下脚部への衝撃荷重を緩和できるが、ばね装置103では、下脚部プッシュバー104が歩行者の下脚部を押圧するときに撓みやすく、歩行者の膝曲げ角を小さくするほどの反力を発生させることは難しい。
本発明の目的は、エネルギー吸収効率を向上させるとともにバンパ前後長を短縮でき、更に、歩行者の膝曲げ角を小さくできる車両用バンパ構造を提供することにある。
請求項1に係る発明は、車体前部の左右にサイドメンバが配置され、これらのサイドメンバの先端に延長部材を介してバンパビームが取付けられ、このバンパビームの前面にエネルギー吸収部材が取付けられた車両用バンパ構造において、バンパビームから下方へブラケットを延ばし、このブラケットの先端に且つエネルギー吸収部材の下方に位置するようにロアビームを取付け、このロアビームと歩行者の脚部との衝突によりロアビーム側を弾性変形を有する変形をさせることでロアビームが後退し、
前記エネルギー吸収部材は、前側に配置された軟質の第1エネルギー吸収部材と、この第1エネルギー吸収部材の後側に配置され、第1エネルギー吸収部材よりも硬質の第2エネルギー吸収部材とからなり、これらの第1エネルギー吸収部材及び第2エネルギー吸収部材により歩行者脚部に対する衝撃吸収が2段階で行われ、
この衝撃吸収の第1段階では、前記第1エネルギー吸収部材の潰れ変形と前記ロアビームがバンパビーム側を中心として後方へ回転する弾性変形を有する変形とにより衝撃が吸収され、前記衝撃吸収の第2段階では、前記第2エネルギー吸収部材の潰れ変形により衝撃が吸収されるとともに前記ロアビーム側の弾性変形が元に戻ることを特徴とする。
作用として、歩行者の脚部にバンパが衝突すると、エネルギー吸収部材とロアビームとの両方が歩行者の脚部に当たる、詳しくはエネルギー吸収部材が膝部、ロアビームが膝下部に当たり、これらのエネルギー吸収部材及びロアビームで分担して衝突時の大きなエネルギーを吸収することが可能になる。
また、例えば、ロアビームを備えていないバンパ構造では、エネルギー吸収部材が衝突した膝部は減速し、膝下部及び膝上部は減速しないため、膝曲げ角が大きくなるが、本発明では、膝下部をロアビームで受けるため、膝下部も減速し、膝曲げ角度が小さくなる。
また本発明は、エネルギー吸収部材を、前側に配置された軟質の第1エネルギー吸収部材と、この第1エネルギー吸収部材の後側に配置され、第1エネルギー吸収部材よりも硬質の第2エネルギー吸収部材とから構成し、これらの第1エネルギー吸収部材及び第2エネルギー吸収部材により歩行者脚部に対する衝撃吸収を2段階で行い、この衝撃吸収の第1段階では、第1エネルギー吸収部材の潰れ変形とロアビームがバンパビーム側を中心として後方へ回転する弾性変形を有する変形とにより衝撃を吸収し、衝撃吸収の第2段階では、第2エネルギー吸収部材の潰れ変形により衝撃を吸収するとともにロアビーム側の弾性変形を元に戻るようにしている。
従って、衝突時の衝撃吸収の第1段階では、エネルギー吸収部材のうちの軟質の第1エネルギー吸収部材が歩行者の膝部に当たり、第1エネルギー吸収部材が潰れ変形して衝撃を吸収するとともに、ロアビームが歩行者の膝下部に当たり、バンパビーム側を中心として後方へ回転することでロアビーム自体、ブラケット、バンパビーム、延長部材が弾性変形を有する変形をして衝突時のエネルギーを吸収する。
第1エネルギー吸収部材より、ロアビームを硬質とすれば、第1エネルギー吸収部材のエネルギー吸収量が小さくなって歩行者の膝部への入力荷重が抑えられ、ロアビームでのエネルギー吸収量を大きくすることが可能になる。
衝撃吸収の第2段階では、第1エネルギー吸収部材よりも硬質の第2エネルギー吸収部材を潰れ変形させて衝突時の大きなエネルギーを吸収し、また、ロアビーム自体、ブラケット、バンパビーム、延長部材の弾性変形を元に戻すことにより、バンパビームで歩行者の膝下部をバンパから離れる側へリバウンドさせて膝曲げ角を小さくすることが可能になる。
請求項1に係る発明では、先ず、バンパビームから下方へブラケットを延ばし、このブラケットの先端に且つエネルギー吸収部材の下方に位置するようにロアビームを取付け、このロアビームと歩行者の脚部との衝突によりロアビーム側を弾性変形を有する変形をさせることでロアビームを後退させるので、エネルギー吸収部材及びロアビームで分担して衝突時の大きなエネルギーをより小さな変位で吸収することができ、エネルギー吸収効率を向上させるとともにバンパの前後長を短縮することができる。
また、例えば、ロアビームを備えていないバンパ構造では、エネルギー吸収部材が衝突した膝部のみが減速するのに比べて、本発明では、膝下部もロアビームで減速させることができ、膝曲げ角度を小さくすることができる。
次に本発明では、エネルギー吸収部材を、前側に配置された軟質の第1エネルギー吸収部材と、この第1エネルギー吸収部材の後側に配置され、第1エネルギー吸収部材よりも硬質の第2エネルギー吸収部材とから構成し、これらの第1エネルギー吸収部材及び第2エネルギー吸収部材により歩行者脚部に対する衝撃吸収を2段階で行い、この衝撃吸収の第1段階では、第1エネルギー吸収部材の潰れ変形とロアビームがバンパビーム側を中心として後方へ回転する弾性変形を有する変形とにより衝撃を吸収し、衝撃吸収の第2段階では、第2エネルギー吸収部材の潰れ変形により衝撃を吸収するとともにロアビーム側の弾性変形を元に戻るようにするので、大きなエネルギーを吸収を、衝突初期の第1段階では主にロアビームで、衝突後半では主に第2エネルギー吸収部材で行うことでエネルギー吸収効率を向上させながら、歩行者の脚部の減速度及び膝曲げ角の傷害値を満足させることができ、歩行者脚部保護に対応した車両用バンパ構造を提供することができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る車両用バンパ構造の主要部を示す斜視図(図中の矢印(FRONT)は車両前方を表している。以下同じ。)であり、バンパ本体11は、車幅方向に湾曲するように延びる鋼板製のバンパビーム12と、このバンパビーム12の前面に取付けられた発泡樹脂製のエネルギー吸収部材13と、バンパビーム12の下部に左右一対のブラケット14,16を介して取付けられた車幅方向に湾曲するように延びるロアビーム17とからなる。
図2は本発明に係る車両用バンパ構造の断面図であり、バンパ10は、バンパ本体11と、このバンパ本体11の前側に被せた樹脂製のバンパフェイス21とからなる。
バンパビーム12は、前壁12Aを共用する断面が矩形の上部ビーム22及び下部ビーム23と、これらの上部ビーム22及び下部ビーム23を接続する前部接続部24とからなり、上下方向の中央部に凹部26が形成された部材で、上部ビーム22及び下部ビーム23のそれぞれの後壁22d,23dが、左右一対のサイドメンバ28,28(一方の符号28のみ示す。)の各先端にそれぞれ延長部材27を介して取付けられている。
上部ビーム22は、前壁12Aと、この前壁12Aの上縁及び前部接続部24の上縁のそれぞれから後方に延びる上壁22b及び下壁22cと、これらの上壁22b及び下壁22cのそれぞれの後縁を接続する後壁22dとからなる。
同様に、下部ビーム23は、前壁12Aと、前部接続部24の下縁及び前壁12Aの下縁のそれぞれから後方に延びる上壁23b及び下壁23cと、これらの上壁23b及び下壁23cのそれぞれの後縁を接続する後壁23dとからなる。
エネルギー吸収部材13は、前側に配置された軟質の第1エネルギー吸収部材31と、と、この第1エネルギー吸収部材31の後側に配置されるとともに第1エネルギー吸収部材31よりも硬質にされた第2エネルギー吸収部材32とからなる。
第1エネルギー吸収部材31は、前壁31aと、この前壁31aの上縁から後方に延びる上壁31bと、前壁31aの下縁から後方に延びる下壁31cとからなる断面コ字状の部材であり、第2エネルギー吸収部材32よりも、断面積を小さくしたり、切れ込みを入れることで軟質に形成されている。
第2エネルギー吸収部材32は、第1エネルギー吸収部材31の上壁31b及び下壁31cのそれぞれの後縁が取付けられる前壁32aと、この前壁32aの上縁から上方斜め後方に延びる第1傾斜壁32bと、この第1傾斜壁32bの上縁から上方斜め後方に延びる第2傾斜壁32cと、この第2傾斜壁32cの上縁から後方に延びる上壁32dと、前壁32aの下縁から後方へ延びる下壁32eと、これらの上壁32d及び下壁32eのそれぞれの後縁を接続する後壁32fとからなり、後壁32fに形成されたボス形状をバンパビーム12の前壁12Aに開けられた穴に差し込んだり、又は接着により、後壁32fがバンパビーム12の前壁12Aに取付けられている。
ブラケット14,16(一方の符号16のみ示す。符号14は図1参照)は、上端が下部ビーム23の下壁23cに溶接にて取付けられている。
ロアビーム17は、ブラケット14,16の下部前部に溶接にて取付けられた部材であり、断面コ字形状のロアビーム本体17aと、このロアビーム本体17aの後端から上方及び下方に曲げ形成された上フランジ17b及び下フランジ17cとからなる。
バンパフェイス21は、車両のフロントグリルの下部を覆うグリル下部21aと、エネルギー吸収部材13及びバンパビーム12の前方及び上方を覆うアッパフェイス21bと、ブラケット14,16の上部の前方に位置する複数の横桟で構成されたロアグリル21cと、ブラケット14,16の下部及びロアビーム17の前方及び下方を覆うロアフェイス21dとからなる樹脂製の一体成形体である。
以上に述べたバンパ10(図2参照)の作用を次に説明する。
図3(a)〜(c)は本発明に係る車両用バンパ構造の作用を示す作用図である。なお、図中ではバンパ10(図2参照)のバンパフェイス21(図2参照)を説明の都合上省いている。
(a)はバンパ本体11が、歩行者の脚部を模擬した脚部インパクタ40に衝突する直前の状態を示している。
エネルギー吸収部材13の第1エネルギー吸収部材31とロアビーム17とは、車両の前後方向でほぼ同じ位置まで突出している。
脚部インパクタ40は、下腿部40Aと、この下腿部40Aの上方に配置された大腿部40Bと、これらの下腿部40A及び大腿部40Bのそれぞれを揺動自在に連結する関節部40Cとからなり、関節部40Cに近い下腿部40Aの上部に膝部41が設定され、この膝部41の下方の下腿部40Aに膝下部42が設定され、大腿部40Bの中間部に膝上部43が設定されている。
上記の膝部41、膝下部42、膝上部43には、変位及び加速度を検出するためのセンサが埋め込まれている。膝部41、膝下部42、膝上部43は内部に設けられているが、以下の説明では、これらに近い周囲や表面も含めて膝部41、膝下部42、膝上部43とする。
また、下腿部40A内又は大腿部40B内には、下腿部40Aと大腿部40Bとの曲げ角度(膝曲げ角)を検出する角度計が設けられている。
以上の状態で、白抜き矢印で示すように、バンパ本体11を前進させて脚部インパクタ40に衝突させる。このときのバンパ本体11を備える車両が脚部インパクタ40に衝突する衝突速度は、例えば、40km/hである。
(b)において、脚部インパクタ40の膝部41にエネルギー吸収部材13が衝突し、脚部41の膝下部42にロアビーム17が衝突した衝突の第1段階を示している。
エネルギー吸収部材13が膝部41に衝突すると、エネルギー吸収部材13の軟質な第1エネルギー吸収部材31が潰れて衝突時のエネルギーを吸収するため、膝部41への入力荷重は抑えられる。
また、ロアビーム17が膝下部42に衝突すると、ロアビーム17自体、ブラケット14,16、バンパビーム12、延長部材27がそれぞれ弾性変形し、ロアビーム17がバンパビーム12又はバンパビーム12に近い部分を中心にして矢印で示すように回転しながら後退し、衝突時のエネルギーを吸収する。
このとき、ロアビーム17側が弾性変形しながら後退することで膝下部42の車両前方への足払いが回避される。また、第1エネルギー吸収部材31とロアビーム17とは、それぞれの発生荷重が制御されてエネルギーを吸収するので、膝部41、膝下部42及び膝上部43は同期してバンパ本体11に対して相対変位する。従って、膝曲げ角は発生しない。
(c)は(b)の状態から車両が更に前進した衝突の第2段階を示している。
第1エネルギー吸収部材31が潰れた状態から更に硬質の第2エネルギー吸収部材32が潰れて、第1エネルギー吸収部材31のときよりも大きなエネルギーが吸収される。
また、ロアビーム17の車両後方への撓みが大きくなると、反力も次第に大きくなり、第2エネルギー吸収部材32によるエネルギーの吸収が完了した後に、ロアビーム17に発生する荷重が小さくなり、ロアビーム17側の各部の弾性変形が元に戻る、即ち、ロアビーム17は矢印で示すように前方に回転する。これに伴い、膝下部42はロアビーム17と同様に図の時計回りに回転する。
このとき、膝上部43も時計回りに回転するが、膝下部42が時計回りに回転することで、下腿部40Aと大腿部40Bとの膝曲げ角βを小さくすることができる。
ロアビーム17を備えていない場合は、膝下部42(即ち、下腿部40A)の時計回りの回転が生じないため、図中の二点鎖線で示される下腿部112と大腿部40Bとのなす角度である膝曲げ角が大きくなる。
図4は本発明に係る車両用バンパ構造の評価結果を示す第1グラフであり、脚部インパクタにバンパが衝突する際の脚部インパクタ各部の相対変位量の時間的経過を示している。
縦軸は脚部インパクタ各部(図3(a)〜(c)に示された膝部41、膝下部42、膝上部43)のバンパに対する相対変位量、横軸は衝突からの経過時間を表している。
グラフ中の実線は膝部、破線は膝下部、一点鎖線は膝上部の相対変位量を示している。
図中の時刻ゼロ〜時刻t1の範囲、即ち、A範囲(即ち、図3(b)に示した衝突の第1段階)では、膝部、膝下部及び膝上部の各線は重なり合い、膝部、膝下部及び膝上部がバンパ本体に対して同期して相対変位していることを表している。
即ち、図3(b)に示したように、第1エネルギー吸収部材31とロアビーム17とは、第1エネルギー吸収部材31の潰れやロアビーム17の変位によって発生する荷重がそれぞれ設定されているため、荷重が制御されてエネルギーを吸収するので、膝部41、膝下部42及び膝上部43は同期してバンパ本体11に対して相対変位する。従って、脚部インパクタ40の膝曲げ角は抑えられる。
例えば、ロアビーム17を備えていない従来のバンパでは、膝下部42及び膝上部43に対して膝部41だけが減速するため、脚部インパクタ40の膝曲げ角が衝突の初期から発生する。
図中の時刻t1〜時刻t2の範囲、即ち、B範囲(即ち、図3の(c)に示した衝突の第2段階)では、膝上部の相対変位量は、A範囲とほぼ同様な傾きで増加しているが、膝部の相対変位量は、時間の経過と共に増加が次第に小さくなり、膝下部の相対変位量は、時間の経過と共に増加が膝部よりも更に小さくなり、B範囲の後期以後は増加した相対変位量が減少している。
これは、膝下部が、B範囲でバンパ本体側に移動していたものがバンパ本体側から離れる(膝下部がリバウンドする)ことを意味している。即ち、脚部インパクタの膝曲げ角が小さくなっている。
このことから、膝下部のリバウンドをB範囲のできるだけ初期にロアビームで行わせることで、脚部インパクタの膝曲げ角をより小さくすることができる。
図5は本発明に係る車両用バンパ構造の評価結果を示す第2グラフであり、脚部インパクタにバンパが衝突する際の脚部インパクタ各部の減速度と相対変位量との関係を示している。縦軸は脚部インパクタ各部の減速度、横軸はバンパに対する脚部インパクタ各部の相対変位量を示している。図中の一点鎖線は膝部、破線は膝下部、実線は膝部の減速度と膝下部の減速度との総和を示している。
バンパが脚部インパクタに衝突する第1段階(A範囲)では、膝部の減速度のピークはg1となる。これは、図3(b)に示されたエネルギー吸収部材13、特に前側に配置された軟質の第1エネルギー吸収部材31が潰れるときに発生するものである。
また、第1段階では、膝下部の減速度は、膝部の減速度よりも大きくなり、ピークはg2となる。減速度g2は減速度g1よりも大きい。
バンパが脚部インパクタに衝突する第2段階(B範囲)では、膝部の減速度は、第1段階よりも増大し、g3まで大きくなる。これは、図3(c)に示したように、エネルギー吸収部材13の第2エネルギー吸収部材32により発生するものである。
また、膝下部の減速度は、相対変位量が大きくなるにつれて、第1段階でのピークg2の後は大きく減少し、ゼロに近くなる。これは、膝下部のリバウンドによるものである。
上記したように、衝突の第1段階では、第1エネルギー吸収部材とロアビームとが分担してエネルギーを吸収する。詳しくは、第1エネルギー吸収部材によるエネルギー吸収量をE1、ロアビームによるエネルギー吸収量をE2とすると、エネルギー吸収量E1の2倍よりエネルギー吸収量E2のほうが大きい(E1x2<E2)。
即ち、第1エネルギー吸収部材が潰れて少量のエネルギー吸収を行うことで膝部の減速度を低減し、ロアビーム側(ロアビーム自体、ブラケット、バンパビーム及び延長部材)が弾性変形して後方へ回転し大量のエネルギー吸収を行うことで膝下部の減速度を低減する。
また、第2段階では、第2エネルギー吸収部材及びロアビームのうち、第2エネルギー吸収部材がエネルギー吸収のほとんどを担い、ロアビーム17は、弾性変形の戻りにより膝下部をリバウンドさせて、脚部インパクタの膝曲げ角を小さくするように作用する。
これらの膝部と膝下部との減速度を合わせた減速度(総和)は、第1段階でピークg4となり、第2段階で減速度g5まで上昇するが、減速度の最大許容値(傷害規準の傷害値)GPに対してこれらの減速度g4,g5はそれを下回り、判定はOKである。また、脚部インパクタの膝曲げ角についても傷害値を下回り、判定はOKである。
このように、衝突の第1段階及び第2段階でそれぞれ、減速度の総和を、傷害値を下回るとともに可能な限り大きくすることで、第1段階及び第2段階の総相対変位量であるd2をより小さくすることができ、これによって、バンパ101(図2参照)の前後長をより短くすることができる。
以上の図2、図3(a)〜(c)に示したように、本発明は、車体前部の左右にサイドメンバ28,28が配置され、これらのサイドメンバ28,28の先端に延長部材27を介してバンパビーム12が取付けられ、このバンパビーム12の前面にエネルギー吸収部材13が取付けられた車両用バンパ構造において、バンパビーム12から下方へブラケット14,16を延ばし、これらのブラケット14,16の先端に且つエネルギー吸収部材13の下方に位置するようにロアビーム17を取付け、このロアビーム17と歩行者の脚部としての脚部インパクタ40との衝突によりロアビーム17側を弾性変形を有する変形をさせることでロアビーム17を後退させるので、エネルギー吸収部材13及びロアビーム17で分担して衝突時の大きなエネルギーをより小さな変位で吸収することができ、エネルギー吸収効率を向上させるとともにバンパ10の前後長を短縮することができる。
また、例えば、ロアビーム17を備えていないバンパ構造では、エネルギー吸収部材13が衝突した膝部41のみが減速するのに比べて、本発明では、膝部41に加えて膝下部42もロアビーム17で減速させることができ、脚部の膝曲げ角を小さくすることができる。
本発明は、エネルギー吸収部材13を、前側に配置された軟質の第1エネルギー吸収部材31と、この第1エネルギー吸収部材31の後側に配置され、第1エネルギー吸収部材31よりも硬質の第2エネルギー吸収部材32とから構成し、これらの第1エネルギー吸収部材31及び第2エネルギー吸収部材32により歩行者脚部に対する衝撃吸収を2段階で行い、この衝撃吸収の第1段階では、第1エネルギー吸収部材31の潰れ変形とロアビーム17がバンパビーム12側を中心として後方へ回転する弾性変形を有する変形とにより衝撃を吸収し、衝撃吸収の第2段階では、第2エネルギー吸収部材32の潰れ変形により衝撃を吸収するとともにロアビーム17側の弾性変形を元に戻るようにするので、大きなエネルギーを吸収を、衝突初期の第1段階では主にロアビーム17で、衝突後半では主に第2エネルギー吸収部材32で行うことでエネルギー吸収効率を向上させながら、歩行者の脚部の減速度及び膝曲げ角の傷害値を満足させることができ、歩行者脚部保護に対応した車両用バンパ構造を提供することができる。
尚、本発明では、ロアビームは弾性変形以外に、塑性変形をする。また、バンパビーム断面形状をB字状断面として弾性変形を行いやすくしている。更に、バンパビームを切欠き、弾性変形を更に行いやすくすることができる。
本実施形態では、図2に示したように、第1エネルギー吸収部材31と第2エネルギー吸収部材32とを別体にしたが、これに限らず、第1エネルギー吸収部材31と第2エネルギー吸収部材32とを一体成形してもよい。
本発明のバンパ構造は、四輪車に好適である。
本発明に係る車両用バンパ構造の主要部を示す斜視図である。 本発明に係る車両用バンパ構造の断面図である。 本発明に係る車両用バンパ構造の作用を示す作用図である。 本発明に係る車両用バンパ構造の評価結果を示す第1グラフである。 本発明に係る車両用バンパ構造の評価結果を示す第2グラフである。 従来の車両用バンパ構造を示す断面図である。
符号の説明
10…バンパ、12…バンパビーム、13…エネルギー吸収部材、14,16…ブラケット、17…ロアビーム、27…延長部材、28…サイドメンバ、31…第1エネルギー吸収部材、32…第2エネルギー吸収部材、40…脚部(脚部インパクタ)。

Claims (1)

  1. 車体前部の左右にサイドメンバが配置され、これらのサイドメンバの先端に延長部材を介してバンパビームが取付けられ、このバンパビームの前面にエネルギー吸収部材が取付けられた車両用バンパ構造において、
    前記バンパビームから下方へブラケットが延び、このブラケットの先端に且つ前記エネルギー吸収部材の下方に位置するようにロアビームが取付けられ、このロアビームと歩行者の脚部との衝突により前記ロアビーム側が弾性変形を有する変形をすることで前記ロアビームが後退し、
    前記エネルギー吸収部材は、前側に配置された軟質の第1エネルギー吸収部材と、この第1エネルギー吸収部材の後側に配置され、第1エネルギー吸収部材よりも硬質の第2エネルギー吸収部材とからなり、これらの第1エネルギー吸収部材及び第2エネルギー吸収部材により歩行者脚部に対する衝撃吸収が2段階で行われ、
    この衝撃吸収の第1段階では、前記第1エネルギー吸収部材の潰れ変形と前記ロアビームがバンパビーム側を中心として後方へ回転する弾性変形を有する変形とにより衝撃が吸収され、前記衝撃吸収の第2段階では、前記第2エネルギー吸収部材の潰れ変形により衝撃が吸収されるとともに前記ロアビーム側の弾性変形が元に戻る、
    ことを特徴とする車両用バンパ構造。
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