JP4727244B2 - 導電性部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プリンタ、ファクシミリ及び複写機等の電子写真方式を採用した画像形成装置における被接触物を電気的にコントロールする導電性部材(例えば、帯電部材、現像剤担持部材、転写部材、クリーニング部材、除電部材等)の製造方法に関する。
電子写真方式を採用した画像形成装置、いわゆる電子写真装置は、電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有するものが一般的である。
また、この帯電手段としては、電子写真感光体の表面に接触または近接配置された帯電部材に電圧(直流電圧のみの電圧または直流電圧に交流電圧を重畳した電圧)を印加することによって該電子写真感光体の表面を帯電する方式のものが多く採用されている。帯電部材に印加する電圧として、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を採用した場合、交流電源が必要となって電子写真装置の大型化やコストアップを招いたり、電力消費量が増加したり、交流電流の使用によるオゾンなどの多量発生によって帯電部材や電子写真感光体の耐久性が低下したりするため、これらの観点からすると、帯電部材への印加電圧は直流電圧のみの電圧であることが好ましい。
更には、帯電を安定に行なう、オゾンの発生を低減する、あるいは、低コストという観点から、接触式の帯電方式が好んで用いられている。
帯電部材への印加電圧を直流電圧のみの電圧とした場合、帯電処理された被帯電体表面の帯電電位がムラになりやすく、また、微小のスジ状の画像欠陥が生じやすく、帯電の均一性が得られ難い場合がある。また、帯電部材が連続使用により通電劣化した場合には、帯電部材の抵抗が上昇(チャージアップ)し易く、それに伴い帯電処理された被帯電体表面の帯電電位が低下するという問題がある。また、接触式の帯電方式を用いる画像形成装置においては、帯電部材の汚れ(現像剤の表面付着など)が生じた場合には、この汚れによる帯電不良により画像濃度ムラ等が生じるという問題がある。特に、帯電部材に直流電圧のみを印加する帯電方式の場合、帯電部材の汚れの影響が直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印可する帯電方式に比べ、画像不良として現れ易い傾向にある。
この問題に対して、帯電の均一性を得る事を目的として、導電性の粒子を用いることにより抵抗の均一性を得るという技術が特許文献1に開示されている。
しかし、粒径の小さい粒子は、表面エネルギーが大きいため、粒子同士の凝集力が強く、ストラクチャー構造などの2次凝集体を形成していることが多い。そのため、粒径の小さな導電性粒子を導電性部材中に均一に分散させることが容易ではなく、ミクロ的な抵抗ムラを生じやすく、抵抗の均一性が得られ難い場合がある。
これに対して、分散工程の分散機や工程を増やして、分散シェア及び分散効率を上げ、高分散性を得るという技術が、特許文献2、3に開示されている。
特開平06−250494号公報 特開2003−207966号公報 特開平09−146342号公報
しかしながら、高分散性を得ようと強いシェアにより分散処理を行なうと、分散工程が終了すると、急激にシェアから開放されるため、反発的に再凝集等が起こりる場合があり、このような場合には、導電粒子の分散状態が不安定化し、安定性が悪いという問題がある。
本発明の目的は、被接触物を電気的にコントロールし得る導電性部材、特に直流電圧を印加して、被接触物を帯電させるための導電性部材として、導電性粒子の分散性が良好であり、抵抗の均一性が確保された導電性部材を製造できる方法を提供することにある。本発明の他の目的は、導電性粒子の分散性が良好であり、ミクロ的な抵抗ムラを生じなく、抵抗の均一性が得られている導電性被覆層を有し、帯電不良の発生や画像欠陥の発生という問題が改善され、かつ、長期にわたっての改良された抵抗均一性を有する直流印加用の帯電部材として好適な導電性部材の製造方法を提供することにある。
本発明にかかる導電性部材の製造方法は、導電性支持体上に、導電性粒子を含む導電性被覆層を少なくとも有する導電性部材の製造方法において、
層形成用材料と導電性粒子とを少なくとも含む混合物を用意する工程と、
前記混合物を攪拌して該混合物中に導電性粒子を分散させる工程と、
前記導電性粒子を分散状態で含む混合物から導電性層を形成する工程と、
前記導電性層を導電性支持体上の被覆層とする工程と
を有し、
前記混合物中への導電性粒子の分散を、前記混合物のみに対する、連続的に分散シェアn段階(n≧2)に変化させる攪拌処理により行い、かつn−1段階目の分散シェアよりもn段階目の分散シェアが小さい
ことを特徴とする導電性部材の製造方法である。
本発明によれば、表面層として、導電性粒子を分散させた導電性の被覆層を有する導電性部材であっても、粒子が均一に分散することが容易で、ミクロ的な抵抗ムラを生じなく、抵抗の均一性が得られ、被接触物を電気的にコントロールする導電性部材(例えば、電子写真装置の帯電部材、現像剤担持部材、転写部材、クリーニング部材、除電部材等)として好適な導電性部材を得ることができる。特に、この導電性部材を電子写真装置の接触帯電部材として用いることにより、帯電不良が発生しにくく、画像欠陥のない良好な画像出力を可能とし、かつ、接触帯電部材の長期にわたって抵抗の均一性を維持することが可能な接触帯電部材を提供することができる。
本発明の製造方法が適用可能な導電性部材としては、導電性支持体上に導電性被覆層を少なくとも有する構成のものであり、その用途に応じた層構成とすることができる。本発明の製造方法で得られる導電性部材は、電子写真装置の帯電部材、現像剤担持部材、転写部材、クリーニング部材、除電部材等として利用でき、特に、直流電圧を印加して用いる部材、中でも帯電部材として特に好適に利用し得る。更に、導電性部材の表面層の形成に、本発明にかかる分散シェアの異なる複数の攪拌処理を適用することで、導電性部材の特性の改善を効果的に行なうことが可能となる。
帯電部材として利用する場合の導電性部材の構成の一例を図2及び3に示す。図2に示す帯電部材は図2に示すようにローラ形状であり、導電性支持体2aと被覆層として、その外周に一体に形成された弾性層2bから構成されている。帯電部材の他の構成を図3に示す。図3に示すように帯電部材は、被覆層が弾性層2bと表面層2cからなる2層であってもよいし、弾性層2b及び抵抗層2dと表面層2cからなる3層及び、抵抗層2dと表面層2cの間に第2の抵抗層2eを設けた、4層以上を導電性支持体2aの上に形成した構成としてもよい。
導電性支持体2aは、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム及びニッケル等の金属材料の丸棒を用いることができる。更に、これらの金属表面に防錆や耐傷性付与を目的としてメッキ処理を施しても構わないが、導電性を損なわないことが必要である。
上記の構成の帯電ローラにおいて、弾性層2bは被帯電体としての電子写真感光体に対する給電や、電子写真感光体1に対する良好な均一密着性を確保するために適当な導電性と弾性を持たせてある。また、帯電ローラと電子写真感光体の均一密着性を確保するために弾性層2bを研磨によって中央部を一番太く、両端部に行くほど細くなる形状、いわゆるクラウン形状に形成することが好ましい。一般的な電子写真装置の構造では、帯電ローラ2が、支持体2aの両端部に所定の押圧力を与えて電子写真感光体1と当接されているので、中央部の押圧力が小さく、両端部ほど大きくなっているために、帯電ローラ1の真直度が十分であれば問題ないが、十分でない場合には中央部と両端部に対応する画像に濃度ムラが生じてしまう場合がある。クラウン形状は、これを防止するために形成する。
弾性層2bの導電性は、ゴム等の弾性材料中にカーボンブラック、グラファイト及び導電性金属酸化物等から選択された電子伝導機構を有する導電剤、及びアルカリ金属塩や四級アンモニウム塩等のイオン伝導機構を有する導電剤を、適宜添加することにより1010Ωcm未満に調整されるのがよい。
弾性層2bを形成するための層形成用材料としての具体的な弾性材料としては、例えば、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコンーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)及びクロロプレンゴム(CR)等の合成ゴム、更にはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂及びシリコーン樹脂等も挙げられる。
直流電圧のみを印加して、被帯電体の帯電処理を行なう帯電部材においては、帯電均一性を達成するために、特に中抵抗の極性ゴム(例えば、エピクロルヒドリンゴム、NBR、CR及びウレタンゴム等)やポリウレタン樹脂を弾性材料として用いるのが好ましい。これらの極性ゴムやポリウレタン樹脂は、ゴムや樹脂中の水分や不純物がキャリアとなり、僅かではあるが導電性をもつと考えられ、これらの導電機構はイオン伝導であると考えられる。但し、これらの極性ゴムやポリウレタン樹脂に導電剤を全く添加しないで弾性層を作製し、得られた帯電部材は低温低湿環境(L/L)において、抵抗値が高くなり1010Ωcm以上となってしまうものもあるため帯電部材に高電圧を印加しなければならなくなる。
そこで、L/L環境で帯電部材の抵抗値が1010Ωcm未満になるように、前述した電子導電機構を有する導電剤やイオン導電機構を有する導電剤を適宜添加して調整するのが好ましい。しかしながら、イオン導電機構を有する導電剤は抵抗値を低くする効果が小さく、特にL/L環境でその効果が小さい。そのため、イオン導電機構を有する導電剤の添加と併せて電子導電機構を有する導電剤を補助的に添加して抵抗調整を行ってもよい。
また、弾性層2bはこれらの弾性材料を発泡成型した発泡体であってもよい。
弾性層の厚さは、好ましくは0.5〜20mm、特には1〜10mmであることが好ましい。
表面層2cは、帯電部材の表面を構成し、被帯電体である感光体と接触するため感光体を汚染してしまう材料構成では好ましくない。また、表面離型性のよいものが好ましいといえる。従って、表面層を形成するための層形成用材料(結着材料)としては、樹脂を用いるのが好ましいといえる。
表面層2cの結着樹脂材料としては、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(SEBC)及びオレフィン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(CEBC)等を用いることが好ましい。この表面層2cを本発明の製造方法にかかる被覆層形成工程によって形成する場合は、フッ素樹脂、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂等が特に好ましい。
これらの結着樹脂に静摩擦係数を小さくする目的で、グラファイト、雲母、二硫化モリブテン及びフッ素樹脂粉末等の固体潤滑剤、あるいはフッ素系界面活性剤、あるいはワックス、及びシリコーンオイル等を添加してもよい。
表面層2cには、各種導電性粒子を適宜用いる。導電性粒子としては、金属酸化物系導電性粒子、金属系導電性粒子、カーボンブラック、カーボン系導電性粒子等を挙げることができ、本発明においては、所望の電気抵抗を得るためには、該各種導電性粒子を2種以上併用してもよい。
金属酸化物系導電性粒子としては、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン(二酸化チタン、一酸化チタン等)、酸化鉄、酸化アルミニウム等、が挙げられる。前記金属酸化物系導電性粒子はそれのみで十分な導電性を示すものもあるがそうでないものも存在する。粒子の導電性を十分なものとするため、これらの粒子に、ドーパントを添加しても良い。一般的に金属酸化物格子欠陥の存在により、余剰電子が生成し、導電性を示すと考えられ、ドーパント添加によって格子欠陥の形成が促進され、十分な導電性を得ることができるのである。例えば、酸化亜鉛のドーパントとしてはアルミニウム、酸化錫のドーパントとしてはアンチモン、酸化インジウムのドーパントとしては錫などが使用される。また、酸化チタンの導電性を得る場合は、酸化チタンに導電性酸化錫を被覆したものなども挙げることができる。さらには、シリカ等の金属酸化物からなる基体の表面に、カーボンブラックを含む層を被覆したものなども挙げられる。
金属系導電性粒子としては、銀、銅、ニッケル、亜鉛等が挙げられる。
カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
カーボン系導電性粒子としては、グラファイト、カーボンファイバー、活性炭、木炭等を挙げることができる。
導電性粒子の粒径は平均粒径で1.0μm未満であることが好ましい。平均粒径が1.0μmを超えると感光ドラム上にピンホールが存在した場合、ピンホールリークが発生する場合がある。また、導電性粒子の比重が重い場合は平均粒径が1.0μmを超えると塗布液中で導電性粒子が沈降しやすくなり、塗布液の分散安定性が悪くなる場合がある。
導電性粒子の比重は、好ましくは0.8〜8.0、特には1.0〜7.0であることが好ましい。
これらの粒子は、表面処理、変性、官能基の導入、コートなどを施したものでもよい。
表面層の抵抗値は、104〜1015Ωcmであることが好ましい。また、厚さは1〜500μmであることが好ましい。特には1〜50μmであることが好ましい。抵抗層の厚さについても、表面層と同等であることが好ましい。
上記の表面被覆層、弾性被覆層および抵抗層の形成は、例えば、あらかじめ所定の膜厚に形成されたシート形状またはチューブ形状の層を接着または被覆することによって行ってもよいし、静電スプレー塗布やディッピング塗布などの塗布法によって行ってもよい。また、押し出し成形によって大まかに層形成した後、研磨などによって層の形状を整える方法であってもよいし、型内で所定の形状に材料を硬化、成形する方法であってもよい。すなわち、予めシート状やチューブ状の層を形成して、この層を導電性支持体上に被覆して被覆層を形成する場合は、導電性粒子を分散状態で含む混合物から導電性層を形成する工程と、導電性層を導電性支持体上の被覆層とする工程とが別工程として行なわれ、塗布法のように導電性支持体上に直接導電性被覆層を設ける場合は、これらの工程が一工程として行なわれる。
塗布法によって層を形成する場合、塗布液に用いられる溶剤としては、層形成用材料、例えば例えば結着材料やその他の被覆層形成に必要な材料を溶解または分散することができる溶剤であればよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類や、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類や、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類や、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類や、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類や、クロロホルム、塩化エチレン、ジクロルエチレン、四塩化炭素、トリクロロエチレンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素や、ベンゼン、トルエン、キシレン、リグロイン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族化合物などが挙げられる。
導電性粒子と層形成用材料とを含む混合物中に導電性粒子を所望とする分散度に分散する方法としては、混合物を、リボンブレンダー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等に供給して攪拌混合する、あるいは、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等で攪拌混合する等、既存の方法を用いることができる。塗布法による層形成には、溶剤、層形成用材料及び導電性粒子を混合し、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル及びパールミル等、従来公知の溶液分散手段を用いて、塗布液中に導電性粒子を分散させ、そうして得られた導電性粒子が分散状態にある塗布液を導電性支持体の所定位置に塗布し、必要に応じて乾燥処理を行なって導電性粒子の分散性が向上している被覆層を形成することができる。本発明においては、これらの分散機の中でも、導電性粒子を分散する工程が連続的に行なえ、分散シェアが適切で、シェアを容易に変更可能なビーズミルを用いることが好ましい。
なお、先に述べたとおり、混合物に含有させる層形成材料としては、導電性の弾性層(2b)の形成では、各種のゴム及び樹脂から選択されたものが使用され、必要に応じて、導電性等を制御するための各種の添加剤を更に添加することができる。また、表面層(2c)の形成では、結着材料、好ましくは結着樹脂が層形成用材料であり、この場合にも必要に応じて、導電性等を制御するための各種の添加剤を添加することができる。また、混合物には必要に応じて溶剤を添加できるが、塗布法による形成では溶媒が必須である。混合物の組成としては所望とする機能や特性を有する導電性被覆層を得るために必要な組成を選択すればよい。その際、結着材料と導電性粒子の比率は、結着樹脂:導電性粒子=1:0.2〜1:2.5(重量比)であることが好ましく、また、塗布液中の導電性粒子の含有量は1〜20重量%、塗布液中の結着樹脂の含有量は5〜40重量%であることが好ましい。
溶剤の含有量に関しては、塗布液の粘度が、1〜500mPa・s、さらに好ましくは5〜100mPa・sになるように添加し、その含有量は好ましくは10〜90wt%、特には30〜80wt%であることが好ましい。
本発明の製造方法において分散シェアの異なる攪拌処理を設けることによって、導電性粒子の被覆層中での分散性が改善されるメカニズムは明らかになっていないが、本発明者等の鋭意検討により、以下のことは解明できた。
部材の帯電の均一性は、帯電部材を構成する材料として用いられる導電剤や機能性粒子の分散性が寄与しているところが大きい。導電剤の分散性が劣る場合、抵抗の均一性が十分でないため、帯電の均一性が得られ難くなる。また、導電剤の通電劣化が起こりやすくなる。抵抗の均一性を得るため、導電剤として導電性の粒子を用いた場合、粒子同士の凝集力が強いため、1次粒径付近まで粒子を分散させるには、ある一定以上の強いシェアによって、強固な粒子の凝集体を崩すことが必要であることがわかった。また、導電性粒子の分散状態、導電性粒子同士の接触状態も通電による劣化には影響しているものと考えられている。導電性粒子の分散性が良くなれば、帯電部材を連続使用(連続通電)しても抵抗上昇しないものと考えられる。しかしながら、強いシェアにより分散処理を行なうと、分散工程が終了すると、急激にシェアから開放されるため、反発的に再凝集等が起こりやすく、導電性粒子の分散状態が不安定化し、安定性が悪くなってしまう。分散工程が進むに連れて、シェアを徐々に弱くすることにより、導電性粒子にかかるエネルギーの急激な変化がないため、安定状態に近い状態で分散工程を終了することができるため、長期的に安定な分散状態が得られる。
撹拌型分散装置により分散する際の、撹拌部の最大周速は2〜12m/sが好ましく、特には4〜10m/sが好ましい。シェアを切り替える際の減少の程度は、1〜2m/sが好ましい。シェアを切り替える回数については、1〜4回が好ましい。すなわち、分散シェアの異なる段階の数(n)は2〜5の範囲が好ましい。
上記のような様々な検討により、被覆層に導電性粒子を含有してなる導電性部材の製造方法において、該導電性粒子を該被覆層中に分散する工程において、2段階以上の分散シェアに切り替えて、かつ、分散シェアを徐々に弱くして分散を行なうことにより、抵抗の均一性及び導電性粒子の均一な分散状態を長期的に維持できる導電性部材を製造できることに至ったものである。
次に、本発明の導電性部材の好ましい用途として、電子写真装置の接触帯電部材(帯電ローラ)として用いた例を、画像形成装置の概略構成に基づいて説明する。
(1)画像形成装置
図1は、本発明のプロセスカートリッジを具備する画像形成装置例の概略構成図である。本例の画像形成装置は、転写式電子写真利用の反転現像方式、現像兼クリーニング方式(クリーナーレス)の装置である。プロセスカートリッジ6内には、像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体1が配置されており、矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。電子写真感光体1の周囲には、まず、帯電手段としての帯電ローラ2が、電子写真感光体1に所定の押圧力で接触した状態で配置されている。本例では帯電ローラ2を駆動し、電子写真感光体1と等速回転させる。この帯電ローラ2に対して帯電バイアス印加電源S1から所定の直流電圧(この場合−1180Vとした)が印加されることで電子写真感光体1の表面が所定の極性電位(暗部電位−400Vとした)に一様に接触帯電方式・DC帯電方式で帯電処理される。
露光手段3は、例えばレーザービームスキャナーである。電子写真感光体1の帯電処理面に露光手段3により目的の画像情報に対応した露光Lがなされることにより、電子写真感光体1の表面電位が露光明部の電位(明部電位−120Vとした)に選択的に低下(減衰)して静電潜像が形成される。反転現像手段4により、電子写真感光体の静電潜像の露光明部に、電子写真感光体1の帯電極性と同極性に帯電(現像バイアス−350V)しているトナー(ネガトナー)を選択的に付着させて静電潜像をトナー画像として可視化する。図中、4aは現像ローラ、4bはトナー供給ローラ、4cはトナー層厚規制部材を示す。
転写手段としての転写ローラ5は、電子写真感光体1に所定の押圧力で接触した状態で配置されることで転写部を形成し、電子写真感光体1の回転と順方向に電子写真感光体1の回転周速度とほぼ同じ周速度で回転する。また、転写バイアス印加電源S2からトナーの帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加される。転写部に対して不図示の給紙機構部から転写材Pが所定の制御タイミングで給紙され、その給紙された転写材Pの裏面が転写電圧を印加した転写ローラ5によりトナーの帯電極性とは逆極性に帯電されることにより、転写部において電子写真感光体1上のトナー画像が転写材Pに静電転写される。
転写部でトナー画像の転写を受けた転写材は、電子写真感光体から分離されて、不図示のトナー画像定着手段へ導入されてトナー画像の定着処理を受けて画像形成物として出力される。両面画像形成モードや多重画像形成モードの場合は、この画像形成物が不図示の再循環搬送機構に導入されて転写部へ再導入される。
転写残余トナー等の電子写真感光体上の残留物は、帯電ローラ2により電子写真感光体の帯電極性と同極性に帯電される。そしてその転写残余トナーは、露光部を通って現像手段4に至って、バックコントラストにより電気的に現像装置内に回収され、現像兼クリーニング(クリーナーレス)が達成されている。
本例では、電子写真感光体1、帯電ローラ2、現像手段4を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在のプロセスカートリッジ6としている。この際現像手段4は別体としてもよい。
更に、本発明にかかる製造方法により得られた導電性部材が適用される電子写真装置は図1に示した構成に限定されず、少なくとも帯電部材と電子写真感光体とを有する図示した構成とは異なるプロセスカートリッジ(現像手段は本体側のものを使用するものや、クリーニング手段をトナー像の転写領域と帯電部材間に有するものなど)を用いた構成とすることができる。更に、プロセスカートリッジを用いずに、装置本体に必要な各部材を配置した構成としてもよい。
図1の装置の帯電部材2に直流電圧を印加すると、帯電部材と感光体との微少な空間で放電が起こって感光体1の表面が帯電される。本発明の製造方法により得られた導電性部材を帯電部材2として用いれば、帯電部材の帯電均一性を向上させることができるだけではなく、抵抗変化を抑えることができるため、非常に優れた画像を得ることができる。特に、図1のように現像、独立したクリーニング手段を有さず、転写後に感光体に残留したトナーを現像手段により回収する、いわゆる現像兼クリーニング(クリーナーレス)方式を採用した画像形成装置の複数枚プリントを可能にするのに極めて有効である。
以下、本発明を実施例を用いて更に詳細に説明する。
(実施例1)
下記の要領で本発明の帯電部材としての帯電ローラを作製した。
エピクロルヒドリンゴム:100質量部
四級アンモニウム塩:2質量部
炭酸カルシウム:90質量部
酸化亜鉛:5質量部
脂肪酸:5質量部
以上の材料を60℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練した後、エピクロルヒドリンゴム100質量部に対してエーテルエステル系可塑剤15質量部を加え、20℃に冷却した密閉型ミキサーで更に20分間混練し、原料コンパウンドを調製した。このコンパウンドに原料ゴムのエピクロルヒドリンゴム100質量部に対し加硫剤としての硫黄1質量部、加硫促進剤としてのノクセラーDM(ジベンゾチアジルスルフィド)1質量部及びノクセラーTS(テトラメチルチウラムモノスルフィド)0.5質量部を加え、20℃に冷却した2本ロール機にて10分間混練した。得られたコンパウンドを、φ6mmステンレス製支持体の周囲にローラ状になるように押出成型機にて成型し、加熱蒸気加硫した後、外径φ12mmになるように研磨処理して弾性層を得た。ローラ長は230mmとした。
続いて、以下に示す材料:
アクリルポリオール溶液(ダイセル化学社製:PLACCEL DC2016):100質量部;
イソシアネートA(IPDI)(デグサ社製:VESTANAT B1370):27質量部;
イソシアネートB(HDI)(旭化成ケミカルズ社製:DURANATE TPA-B80E):17質量部;
導電性粒子(戸田工業社製 CS−Bk100Y:カーボンブラックで被覆されたシリカ粒子):13質量部;
変性ジメチルシリコーンオイル(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製 SH28PA):0.3質量部;及び
メチルイソブチルケトン:300質量部
をミキサーを用いて撹拌し、混合溶液を作製した。次いでこの混合溶液を、平均粒径が0.8mmのガラスビーズをメディアとしてベッセルの容積に対して80%の充填率で充填したビーズミル分散機(アイメックス社製 ウルトラビスコミル)を用いて、ディスク周速8m/s、処理速度600ml/minで21時間循環運転を行い、分散処理をした。さらに、連続してディスク周速を6m/sに変更して、2時間分散処理を行ない、分散溶液を得た。この分散溶液を、ディッピング法にて塗布して、膜厚が15μmの表面層を被覆形成し、ローラ形状の帯電部材を得た。
「ディッピング用塗布液の経時安定性評価」
上記方法にて作製したディッピング用塗布液の、作製初日と作製7日後の粘度測定を行った。粘度の測定には芝浦システム社製ビスメトロン粘度計(VDA-L型)にて、1号ローターを用いて60rpmで測定を行った。結果を表1に示す。作製後、分散性が低下していると思われる塗料は、粘度変化が大きくなっている。
「帯電ローラに直流電圧のみを印加した時の画像評価」
図1に示す電子写真方式の画像形成装置に上記で得られた帯電ローラを取り付けて、L/L環境(温度15℃/湿度10%)において、ハーフトーン画像を出力し、目視にてその出力画像を評価した。なお、帯電部材による帯電後の電子写真感光体の表面電位(暗部電位)VDは−400V付近となるように印加電圧(直流電圧のみ)を調節した。表2中のAは得られた画像が非常に良い、Bは良い、Cはハーフトーン画像にわずかにスジ状の欠陥がある、Dはスジの画像欠陥が目立つ、ことを示す。
また、画像出し評価を始める前に、帯電ローラの抵抗測定を図4に示すような方法で行った。結果を表2に示す。図中、2は導電性部材、11はステンレス製の円筒電極、12は抵抗、13はレコーダーを示す。これらの間の押圧力は用いられる画像形成装置と同様にし、外部電源S3から−200Vを印加した際の抵抗値を測定する。また、抵抗の均一性の評価として、測定した抵抗値の最大値と最小値の比を抵抗ムラとした。結果を表2に示す。
上記評価を、作製初日と作製7日後のディッピング用塗布液を用いて作製した帯電ローラについてそれぞれ行なった。作製7日後の評価がA,Bのものは、作製された帯電ローラは良好であり、C,Dは画像結果も良くなかったものである。
(実施例2)
導電性粒子の分散処理を、3段階として、3段階目のディスク周速を4m/sとして、2時間追加処理を行なった以外は、実施例1と同様にして帯電部材を作製した。この帯電ローラについて実施例1と同様にして評価を行い、その結果を表1及び表2に示す。
(実施例3)
導電性粒子の分散時の1段階目のディスク周速を10m/sとした以外は、実施例1と同様にして帯電部材を作製した。この帯電ローラについて実施例1と同様にして評価を行い、その結果を表1及び表2に示す。
(実施例4)
導電性粒子にカーボンブラック(三菱化学社製 MA77)を用いた以外は、実施例1と同様にして帯電部材を作製した。
この帯電ローラについて実施例1と同様にして評価を行い、その結果を表1及び表2に示す。
(比較例1)
導電性粒子の分散処理を、ディスク周速8m/sで1段階のみとした以外は、実施例1と同様にして帯電部材を作製した。この帯電ローラについて実施例1と同様にして評価を行い、その結果を表1及び表2に示す。
(比較例2)
導電性粒子の分散処理を、ディスク周速6m/sで1段階のみとした以外は、実施例1と同様にして帯電部材を作製した。この帯電ローラについて実施例1と同様にして評価を行い、その結果を表1及び表2に示す。
(比較例3)
導電性粒子の分散処理を、ディスク周速8m/sで1段階のみとした以外は、実施例4と同様にして帯電部材を作製した。
Figure 0004727244
Figure 0004727244
本発明の画像形成装置の概略構成図である。 帯電ローラの概略図である。 他の実施例を示す帯電ローラの概略図である。 帯電部材の抵抗測定装置の概略図である。
符号の説明
1;像担持体(電子写真感光体)
2;帯電部材(帯電ローラ)
3;像露光手段
4;現像手段
5;転写手段(転写ローラ)
6;クリーニング手段
S1,S2,S3;バイアス印加電源
P;転写材
11;円筒電極(金属ローラ)
12;固定抵抗器
13;レコーダー

Claims (5)

  1. 導電性支持体上に、導電性粒子を含む導電性被覆層を少なくとも有する導電性部材の製造方法において、
    層形成用材料と導電性粒子とを少なくとも含む混合物を用意する工程と、
    前記混合物を攪拌して該混合物中に導電性粒子を分散させる工程と、
    前記導電性粒子を分散状態で含む混合物から導電性層を形成する工程と、
    前記導電性層を導電性支持体上の被覆層とする工程と
    を有し、
    前記混合物中への導電性粒子の分散を、前記混合物のみに対する、連続的に分散シェアn段階(n≧2)に変化させる攪拌処理により行い、かつn−1段階目の分散シェアよりもn段階目の分散シェアが小さい
    ことを特徴とする導電性部材の製造方法。
  2. 前記導電性粒子を前記混合物中に分散する工程に用いる分散機がビーズミルである請求項1に記載の導電性部材の製造方法。
  3. 前記導電性粒子が複層構成のものであり、該導電性粒子の最外層に含まれる導電性物質がカーボンブラックである請求項1または2に記載の導電性部材の製造方法。
  4. 前記最外層が、金属酸化物を含む層上に被覆されたものである請求項3に記載の導電性部材の製造方法。
  5. 前記n段階からなる攪拌処理の1段目からn段階目まで段階を1つ進めるごとに、分散シェアを小さくする請求項1から4のいずれか1項に記載の導電性部材の製造方法。
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