JP4725245B2 - 連続鋳造用タンディッシュ及び鋳片の製造方法 - Google Patents

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本発明は、連続鋳造工程において取鍋から注入された溶鋼を鋳型に中継供給するためのタンディッシュ、並びに、このタンディッシュを使用した鋳片の製造方法に関し、詳しくは、タンディッシュ内に注入された溶鋼中の酸化物系非金属介在物を効率良く浮上分離することのできるタンディッシュ、並びに、このタンディッシュを使用した鋳片の製造方法に関するものである。
鋼の連続鋳造においては、取鍋内の溶鋼を一旦タンディッシュに注入し、タンディッシュ内に所定量の溶鋼が滞在した状態で、タンディッシュ内の溶鋼を鋳型に注入している。取鍋内の溶鋼がなくなった場合には、空の取鍋を別のヒートの溶鋼が収容された取鍋と交換して連続連続鋳造(以下、「連々鋳」と記す)が行われている。
この連続鋳造工程においては、取鍋交換時の非定常部鋳片の品質が定常鋳造域の鋳片に比べて低下するという問題がある。これは、取鍋交換時、取鍋内に収容される溶鋼が少なくなった時点で、取鍋内の溶鋼上に存在するスラグが溶鋼とともにタンディッシュ内に流出し、更にタンディッシュから鋳型内に注入されて鋳片に捕捉されるからである。取鍋交換時には、タンディッシュ内に滞在する溶鋼量も減少し、タンディッシュ内における溶鋼の滞在時間が短くなって、酸化物系非金属介在物(以下、「介在物」と記す)の浮上分離に悪影響を与えることも品質の低下を招く原因になっている。更に、取鍋交換時には、取鍋内及びタンディッシュ内の溶鋼量が減少することにより溶鋼温度が低下し、溶鋼中に懸濁したスラグの溶鋼からの浮上分離が悪くなることも品質の低下を招く原因になっている。このように、タンディッシュを用いた連続鋳造工程においては、取鍋交換時の溶鋼は品質に悪影響を及ぼし易い条件下にある。
一方、タンディッシュに関して連続鋳造の操業上からは、耐火物コストの削減、堰の撤廃による補修時間の短縮及び簡略化、更には、タンディッシュ内残溶鋼の削減による鋳片歩留まりの向上などの要求がある。これらの要求の多くは、前述した鋳片品質対策とは二律背反の関係であり、従って、構造が簡便でありながら品質向上に効果的なタンディッシュ形状が強く望まれてきた。
この目的のために、分離可能な堰を設置したタンディッシュが特許文献1に提案されている。即ち、タンディッシュ内に分離可能な堰を設け、補修時には堰を取り除き、鋳造中にはタンディッシュ内の溶鋼湯面の高さに応じて堰の設置高さを変更するという技術である。特許文献1によれば、このタンディッシュを使用することにより、鋳片の品質を確保することができると同時に、補修作業の簡略化及び鋳片歩留まりの向上が達成されるとしている。しかしながら、この技術では堰を動かすための装置が新たに必要であり、しかも、溶鋼に浸漬させた状態で堰を移動させる必要があり、堰が割れるなどのリスクを伴い、実機での使用は困難といわざるを得ない。
ところで、従来のタンディッシュ形状と品質に関する文献には、非特許文献1などがある。ここでは、おおよそ17〜76トンの溶鋼重量でスロープのないタンディッシュの定常解析を実施し、最適な深さと幅の関係について議論している。
特開平8−197207号公報 中岡等、鉄と鋼、vol.86(2000)No.4.p.231
以上説明したように、鋼の連続鋳造工程においては、構造が簡便でありながら品質向上に効果的なタンディッシュが切望されているにも拘わらず、未だ有効な提案はなされていないのが現状である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、タンディッシュ寸法(重量)は10〜80トン、最大深さが0.7〜2.0mのタンディッシュを対象とし、タンディッシュ底にスロープや堰を設置することにより、取鍋交換のような品質の悪化し易い条件においても、溶鋼中の介在物を効率的に浮上分離することのできる、低コストで且つ補修が容易な連続鋳造用タンディッシュを提供することであり、また、このタンディッシュを使用した鋳片の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る連続鋳造用タンディッシュは、取鍋から注入された溶鋼を、溶鋼流出孔を通して鋳型に中継供給する連続鋳造用タンディッシュであって、取鍋からの注入点の部位を含む底面及び溶鋼流出孔の部位を含む底面はともに水平であり、前記注入点の部位を含む水平部から前記溶鋼流出孔の部位を含む水平部にかけての底面が傾斜面となっていて、タンディッシュ内における溶鋼の最も深い位置が溶鋼流出孔の部位であり、最も浅い位置が取鍋からの注入点の部位であり、収容能力最大の溶鋼を滞在させた際に最も深い位置の溶鋼深さが0.7〜2.0mの範囲であり、且つ、収容能力最大の溶鋼を滞在させた際に最も深い位置と最も浅い位置との深さの差が、最も深い位置の深さに0.15〜0.30を乗算した範囲であり、更に、取鍋からの注入点の部位を含む底面の水平部の端部には、タンディッシュ底部を閉鎖する50〜350mm高さの堰が設置されていることを特徴とするものである。
第2の発明に係る鋳片の製造方法は、第1の発明に記載の連続鋳造用タンディッシュに、取鍋に収容された溶鋼を注入し、次いで前記タンディッシュに注入された溶鋼を鋳型に注入して鋳造することを特徴とするものである。
本発明に係る連続鋳造用タンディッシュにおいては、取鍋からの注入点の部位と鋳型への溶鋼流出孔の部位との深さの差を適切に設定し、且つ、最も浅い部位である注入点を含む水平部分の端部には上昇流を生じさせる堰を設置しているので、比較的簡単な構造のタンディッシュであるにも拘わらず、タンディッシュ内における介在物の浮上分離に優れ、溶鋼の清浄性が格段に向上し、取鍋交換時のような品質の劣化し易い条件下であっても介在物の少ない鋳片を安定して得ることができる。また、比較的簡単な構造であるので、タンディッシュの補修作業を妨げることがない。
以下、本発明を具体的に説明する。先ず、本発明に至った検討結果について説明する。
本発明者等は、タンディッシュの入口即ち取鍋からの溶鋼の注入点における溶鋼深さ、並びに、タンディッシュの出口即ち鋳型への溶鋼流出孔における溶鋼深さが、介在物の浮上性に及ぼす影響について、流動解析モデルを用いて検討した。解析対象のタンディッシュは、中央部に取鍋からの注入点があり、注入された溶鋼が左右の溶鋼流出孔に向かう型式の、2ストランドの直方体状のタンディッシュであり、幅が1.2m、注入点から両方の溶鋼流出孔との距離がそれぞれ4mである。タンディッシュへの溶鋼の注入流量をストランド当たり5トン/分とし、溶鋼の温度を1550℃、そのときの密度を7g/cm3 とした。主要な解析条件を表1に示す。
先ず、タンディッシュの入口(注入点)からタンディッシュ内に入った介在物のタンディッシュ内における浮上性について検討した。解析に当たり、タンディッシュの深さは長手方向の位置に拘わらず一定とし、介在物の粒径を50μmとし、介在物は溶鋼とともに入口(注入点)から供給され、タンディッシュ内の溶鋼湯面に達した介在物はその場で捕捉され、つまり溶鋼と分離され、捕捉されなかった介在物が溶鋼流出孔から鋳型内に注入されるとした。介在物の流出率を、供給された介在物のうちで捕捉されずに鋳型に流出したものの割合(百分率で表示)として調査した。
図1に、タンディッシュ深さと介在物の流出率との関係の解析結果を示す。図1に示すように、タンディッシュの深さが0.4mと浅い場合には、介在物の流出率は20%であるが、タンディッシュの深さが深くなるにつれて流出率が増加することが明らかになった。また、タンディッシュ内の溶鋼の流れを見ると、溶鋼深さが浅い場合には、図2に浅いタンディッシュにおける溶鋼の流れを示すように、比較的早くタンディッシュの底面に溶鋼が達し、反転流による上昇流が入口(注入点)の近くで生じていて、多くの介在物が入口(注入点)の近傍で湯面上に分離することが明らかになった。一方、深さの深いタンディッシュでは、図3に深いタンディッシュにおける溶鋼の流れを示すように、反転流は存在するものの、入口(注入点)から離れた場所で生じており、湯面に捕捉される介在物は少ないことが明らかになった。尚、図2及び図3における符号1はタンディッシュ、2は溶鋼流出孔、3は注入点、5はロングノズルであり、図2及び図3ではタンディッシュの片側半分のみを示している。
これらの解析結果から、入口(注入点)から供給された介在物をタンディッシュ内で効率的に浮上分離させるためには、入口(注入点)近傍の溶鋼深さを浅く保つことが有効であることが分かった。
次に、タンディッシュ内の湯面に浮上した介在物の巻き込みについて検討した。予め介在物をタンディッシュ内の湯面に浮遊させた状態で、入口(注入点)からストランド当たり5トン/分の溶鋼を供給し、湯面に浮遊させた介在物が溶鋼流に巻き込まれて溶鋼流出孔から鋳型に流出する介在物の割合(百分率で表示)を介在物の巻き込み率として調査した。ここで、一旦溶鋼中に巻き込まれてもタンディッシュ内湯面に浮上した介在物は、その場で湯面に捕捉され、二度と溶鋼中には巻き込まれないと仮定した。タンディッシュの深さは長手方向の位置に拘わらず一定とした。
図4に、タンディッシュ深さと介在物の巻き込み率との関係の解析結果を示す。図4に示すように、タンディッシュ深さが0.4mの場合には介在物の巻き込み率が20%程度であるが、タンディッシュ深さが深くなると巻き込み率が低下することが判明した。
図5に、浅いタンディッシュにおける湯面に浮遊する介在物の飛跡を、また、図6に、深いタンディッシュにおける湯面に浮遊する介在物の飛跡を示す。タンディッシュ深さが浅い場合には、図5に示すように、溶鋼流出孔近傍における巻き込みが特に強く、多くの介在物が溶鋼流出孔に達することが分かった。一方、タンディッシュ深さが深い場合には、図6に示すような飛跡となり溶鋼流出孔の近傍で若干の巻き込みが見られるものの、溶鋼流出孔から離れた位置では一旦溶鋼中に巻き込まれても再び浮上することが明らかになった。尚、図5及び図6における符号1はタンディッシュ、2は溶鋼流出孔、3は注入点、5はロングノズルであり、図5及び図6ではタンディッシュの片側半分のみを示している。
これらの解析結果から、タンディッシュ内の湯面に浮遊している介在物の流出を防止するためには、タンディッシュ内の溶鋼深さを深く保つことが有効であることが分かった。
上記2つの解析結果をまとめることにより、以下の知見が得られた。即ち、タンディッシュ内に持ち込まれた介在物をタンディッシュ内で有効に浮上させ、一旦湯面に浮上した介在物が再び溶鋼中に巻き込まれないようにするためには、入口(注入点)の部位の深さを浅くし、逆に、出口(溶鋼流出孔)の部位の深さを深くすることが有効であるとの知見が得られた。この知見に基づき、入口部を浅くし、出口部を深くした形状のタンディッシュを製作し、タンディッシュ形状と鋳片の介在物との関係を調査した。
具体的には、図7に示す形状のタンディッシュを用い、幅を1.2m、出口(溶鋼流出孔)の部位の深さを1.5mの一定とし、溶鋼の供給量を1分間当たり5トン、鋳型内の1/4幅位置の湯面における溶鋼流速を0.3m/分となるように電磁力による制御を行いながら、入口(注入点)の部位の深さを種々変更した条件でスラブ鋳片を鋳造し、鋳造後、スラブ鋳片を熱間圧延し更に冷間圧延して得た薄鋼板において介在物個数を検査し、検出した介在物個数と、タンディッシュの注入点部位の溶鋼深さ(Din)とタンディッシュの溶鋼流出孔部位の溶鋼深さ(Dout )との溶鋼深さ比(Din/Dout )との関係を調査した。つまり、鋳片の清浄性と溶鋼深さ比(Din/Dout )との関係を調査した。ここで、図7は、試験に供したタンディッシュの内面形状(溶鋼のプロフィール)を示す斜視図であり、図中の符号1はタンディッシュ、2は溶鋼流出孔、3は注入点、5はロングノズルであり、タンディッシュの片側半分のみを示している。
図8に、溶鋼深さ比(Din/Dout )と介在物指数との関係の解析結果を示す。図8の縦軸に示す介在物指数は、注入点部位の溶鋼深さ(Din)及び溶鋼流出孔部位の溶鋼深さ(Dout )をともに1.5mとした場合の単位面積当たりの介在物個数を基準として無次元化した数値である。尚、取鍋交換時にはタンディッシュ内の溶鋼湯面位置が低下するために、取鍋交換時にも操業が可能なタンディッシュ形状としては、溶鋼深さ比(Din/Dout )が0.6以上の範囲である。
図8に示すように、タンディッシュの深さを1.5mの一定とした場合に比較して溶鋼深さ比(Din/Dout )を0.70〜0.85とした場合には、溶鋼の清浄性に大幅な向上が見られることが分かった。つまり、溶鋼流出孔部位の溶鋼深さ(Dout )と注入点部位の溶鋼深さ(Din)との深さの差が、溶鋼流出孔部位の溶鋼深さ(Dout )に0.15〜0.30を乗算した範囲の場合に、タンディッシュ内に持ち込まれた介在物はタンディッシュ内で効率良く浮上し、且つ、一旦湯面に浮上した介在物は再び溶鋼中に巻き込まれないようになることが分かった。溶鋼深さ比(Din/Dout )が0.70未満になると、取鍋交換後の注入開始時に注入点におけるスプラッシュが激しくなり、それが巻き込まれることにより、安定した品質が得られない恐れがあり、好ましくない。
但し、上記対策のみでは品質厳格材には不十分であることが判明し、そこで、更なる介在物対策として、注入点近傍において効率的に介在物を浮上させるためにタンディッシュの底面に堰を設置することを検討した。鋳片の歩留まり、タンディッシュ補修の容易さ及び鋳片品質を考慮して、前述した図7に示すタンディッシュに堰を設置したタンディッシュ、つまり図9に示す形状のタンディッシュを使用して実機試験を実施した。使用した堰は高さが50mmで、タンディッシュ底部を全幅にわたって閉鎖する構造であり、この堰を、注入点を含む水平部の端部に設置した。タンディッシュの幅は1.2m、出口(溶鋼流出孔)の部位の深さは1.5mの一定で、その他の操業条件は前記の通りである。ここで、図9は、試験に供したタンディッシュの内面形状(溶鋼のプロフィール)を示す斜視図であり、図中の符号1はタンディッシュ、2は溶鋼流出孔、3は注入点、4は堰、5はロングノズルであり、タンディッシュの片側半分のみを示している。
図10に、溶鋼深さ比(Din/Dout )と介在物指数との関係について、堰の有無で比較して示す。図10の縦軸に示す介在物指数は、前述した図8に示す介在物指数と同一であり、また、図10に示す「堰なし」のデータは図8のデータと同一である。図10に示すように、溶鋼深さ比(Din/Dout )を0.70〜0.85とした上で、更に堰を設置することで、介在物の浮上が促進され、清浄性に優れた溶鋼を鋳型に注入できることが確認できた。
但し、堰で遮られた部分の溶鋼がタンディッシュ内に残留する溶鋼量となり、最終的にはタンディッシュ付着地金とした回収され、鋳片歩留まり低下の原因となる。堰の高さを変更した試験の結果から、堰の高さを350mmを超える高さにしても、介在物の低減効果が格段に向上することはなく、一方、鋳片歩留まりの低下が大きくなることから、堰の高さは50〜350mmの範囲が最適範囲であることが分かった。
以上の結果から、タンディッシュの注入点の部位と溶鋼流出孔の部位との深さの差を適切に設定し、併せて注入点の部位の端部に上昇流を生じさせる堰を設置することで、溶鋼の清浄性が格段に向上し、介在物の少ない鋳片を得ることができることが確認できた。
次ぎに、これらの検討結果から得られた本発明に係るタンディッシュの詳細と、該タンディッシュを用いて溶鋼を連続鋳造して鋳片を製造する方法とを、図面に基づき説明する。図11は、本発明に係るタンディッシュを用いて溶鋼を連続鋳造する状況を示す概略断面図である。尚、図11に示す連続鋳造機は2ストランド型のスラブ連続鋳造機であり、タンディッシュの両端部に鋳型への溶鋼流出孔が設けられ、タンディッシュの中央部に取鍋からの溶鋼の注入点が配置されている。
図11において、外殻を鉄皮9とし、この鉄皮9の内側を耐火物10で施工された本発明に係るタンディッシュ1が、タンディッシュカー(図示せず)に搭載されて鋳型14の上方所定位置に配置され、また、タンディッシュ1の上方所定位置には、溶鋼15を収容した取鍋6が配置されている。取鍋6の底部には上ノズル7が設置され、この上ノズル7の下面に接して、固定板8A及び摺動板8Bからなるスライディングノズル8が溶鋼流量制御装置として設置され、更に、スライディングノズル8の下面に接して、大気を遮断するためのロングノズル5が接続されている。摺動板8Bは、往復型アクチュエーター(図示せず)に接続されており、往復型アクチュエーターの作動により、固定板8Aと密に接触したまま移動し、固定板8Aの開口部と摺動板8Bの開口部との開口部面積を調整することにより取鍋6からタンディッシュ1への溶鋼注入量が制御されるようになっている。また、タンディッシュ1の底部には、溶鋼流出孔2を形成する上ノズル11が耐火物10と嵌合して設置され、この上ノズル11の下面に接して、固定板12A及び摺動板12Bからなるスライディングノズル12が溶鋼流量制御装置として設置され、更に、スライディングノズル12の下面に接して、先端を鋳型14の内部の溶鋼15に浸漬させた浸漬ノズル13が接続されている。摺動板12Bは、往復型アクチュエーター(図示せず)に接続されており、往復型アクチュエーターの作動により、固定板12Aと密に接触したまま移動し、固定板12Aの開口部と摺動板12Bの開口部との開口部面積を調整することによりタンディッシュ1から鋳型14への溶鋼供給量が制御されるようになっている。
タンディッシュ1の底面は、ロングノズル5の直下に位置する注入点3の部位が最も高くなり、一方、注入点3の両側に位置する溶鋼流出孔2の部位が最も低くなっている。注入点3の部位の底面及び溶鋼流出孔2の部位の底面はともに水平になっていて、注入点3を含む水平部から溶鋼流出孔2の部位を含む水平部にかけての底面は傾斜面となっており、注入点3を含む水平部の端部にはそれぞれ堰4が設置されている。
この場合、収容能力最大の溶鋼15をタンディッシュ1に滞在させた際に、注入点3の部位の溶鋼深さ(Din)と溶鋼流出孔2の部位の溶鋼深さ(Dout )との溶鋼深さ比(Din/Dout )が0.70〜0.85の範囲になるように、つまり、最も深い位置の深さ(Dout )と最も浅い位置の深さ(Din)との深さの差が、最も深い位置の深さ(Dout )に0.15〜0.30を乗算した範囲になるように、タンディッシュ1の底面の形状を設定する必要がある。また、堰4はタンディッシュ1の底部を全幅にわたって閉鎖する構造であり、堰4の高さ(H)は50〜350mmの範囲とする必要がある。堰4の厚みは特に規定する必要はなく、多数回の使用に耐えるような厚みを有することが好ましい。
ここで、収容能力最大の溶鋼とは、タンディッシュ1に滞在する溶鋼15の量が多少増減しても、タンディッシュ内の溶鋼15がタンディッシュ1に設置される排出口からオーバーフローしないだけの最低限のフリーボードがタンディッシュ1の上部に形成される状態のときに収容される溶鋼量であり、通常、「80トン容量のタンディッシュ」などと呼ぶ場合の「80トン」がこれに該当する。尚、本発明を適用できるタンディッシュ1の容量は特に規定されるものではなく、20〜100トンの任意の容量のタンディッシュに適用することができる。また、溶鋼の注入流量も特に規定する必要はなく、1〜10トン/分・ストランドの範囲の任意の注入量に対処することができる。
取鍋6からタンディッシュ1に溶鋼15を注入し、タンディッシュ1に溶鋼15を滞在させた状態で、タンディッシュ1から溶鋼流出孔2を介して鋳型14に溶鋼15を供給する。鋳型14に供給された溶鋼15は、鋳型14と接触して冷却されて凝固シェル17を形成し、外殻を凝固シェル17として内部を未凝固の溶鋼15とする鋳片16は鋳型14の下方に連続的に引き抜かれ、やがて中心部まで完全に凝固して鋳片が製造される。取鍋6からタンディッシュ1への溶鋼15の注入流はロングノズル5によって大気と遮断され、タンディッシュ1から鋳型14への溶鋼15の注入流は浸漬ノズル13によって大気と遮断されている。
尚、比(Din/Dout )がこの範囲を満足するようにタンディッシュ1の形状を設計することで、最終的にタンディッシュ1においては前述した介在物低減効果を得ることができることを確認している。
このようにして鋳造することで、例えば、連々鋳の取鍋交換時に取鍋6の溶鋼上に存在するスラグ18が溶鋼15とともにタンディッシュ1に流出しても、タンディッシュ1においてスラグ18は溶鋼中を効率的に浮上して溶鋼15と分離されるとともに溶鋼流出孔2の近傍での巻き込みも防止されるため、介在物が少なく、極めて清浄性の高い鋳片16を得ることができる。本発明のタンディッシュ1を用いることで、溶鋼中に懸濁したスラグ18のみならず、アルミナなどの脱酸生成物も効率的に浮上分離させることができる。また、品質厳格材の連続鋳造においては、スラグ18のタンディッシュ1への流出を防止するために、取鍋6に数トン〜十数トンの溶鋼15を残留させて取鍋6からの注入を終了する場合があるが、本発明のタンディッシュ1を用いる場合には、このようなことを実施しなくても清浄性に優れた鋳片16を得ることができ、鋳片歩留まりを向上させることができる。
尚、本発明は上記説明に限るものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記説明では2ストランドの連続鋳造機について説明したが、単ストランドであっても、また3ストランド以上であっても、上記説明に準じて本発明を適用することができる。
容量が80トンである、1.2m幅の2ストランド型のタンディッシュにおいて、溶鋼流出孔の部位の溶鋼深さを1.5mの一定とした上で注入点の部位の溶鋼深さを変更し、更にはタンディッシュの底部に堰を設置し、このタンディッシュを用いて低炭素Alキルド鋼を連々鋳し、スラブ鋳片を製造した。鋳型への溶鋼注入量は5トン/分とし、鋳型内の1/4幅位置の湯面における溶鋼流速を0.2m/秒となるように電磁力による制御を実施した。鋳造後、取鍋交換時に該当する部位のスラブ鋳片を鋳片の表面手入れをすることなく、熱間圧延及び冷間圧延して薄鋼板を製造し、得られた薄鋼板で介在物個数を調査して、タンディッシュ形状と取鍋交換時のスラブ鋳片から圧延された薄鋼板の介在物量との関係を調査する試験を実施した。使用した堰は、高さが50mm、200mm、350mm、450mmの4水準であり、タンディッシュ底部を全幅にわたって閉鎖する構造であり、この堰を、注入点を含む水平部の端部に設置した。連々鋳時の取鍋交換は、取鍋内のスラグがタンディッシュに流出したことを確認した後に、取鍋のスライディングノズルを閉塞する方法によって行った。
表2に、使用したタンディッシュの形状、堰の有無、使用した堰の高さ、及び試験結果を示す。表2において、品質評点は、介在物センサーによって薄鋼板の介在物個数を検査した結果に基づくもので、評点Aは検出される介在物個数が単位面積当たり1個未満、評点Bは単位面積当たり1個以上2個未満、評点Cは単位面積当たり2個以上の場合であり、評点A及び評点Bが製品に使用可能である。歩留まり評点はタンディッシュに残留する溶鋼量から定め、○は歩留まりの低下がない或いは極めて少なく良好なもの、△はかなりの歩留まりの低下が認められるものであり、総合評点は、品質評点及び歩留まり評点の双方から判定したもので、○は良好、△は普通、×は不良として表示している。また、備考欄には、本発明の範囲の条件を「本発明例」と記し、それ以外を「比較例」として記している。
表2に示すように、本発明の範囲の条件では、品質及び歩留まりともに良好な成績であった。これに対して、本発明の範囲を外れた条件では、品質及び歩留まりのうちのどちらかが満足できるレベルに至らなかった。
本技術は、実施例1の条件のみによらず、下記条件においても同様の効果があることを確認した。即ち、タンディッシュ重量が20〜100トン、最大深さが0.7〜2.0mのタンディッシュで効果を有する。最大深さが0.7m未満の場合には、取鍋交換時に溶鋼流出孔に生成する渦、及びそれに伴うスラグ巻き込みの影響が避けられず、効果は得られなかった。
タンディッシュ深さと介在物の流出率との関係を示す図である。 浅いタンディッシュにおける溶鋼の流れを示す図である。 深いタンディッシュにおける溶鋼の流れを示す図である。 タンディッシュ深さと介在物の巻き込み率との関係を示す図である。 浅いタンディッシュにおける湯面に浮遊する介在物の飛跡を示す図である。 深いタンディッシュにおける湯面に浮遊する介在物の飛跡を示す図である。 試験に供したタンディッシュの形状を示す斜視図である。 溶鋼深さ比(Din/Dout )と介在物指数との関係を示す図である。 試験に供したタンディッシュの形状を示す斜視図である。 溶鋼深さ比(Din/Dout )と介在物指数との関係を堰の有無で比較して示す図である。 本発明に係るタンディッシュを用いて溶鋼を連続鋳造する状況を示す概略断面図である。
符号の説明
1 タンディッシュ
2 溶鋼流出孔
3 注入点
4 堰
5 ロングノズル
6 取鍋
7 上ノズル
8 スライディングノズル
9 鉄皮
10 耐火物
11 上ノズル
12 スライディングノズル
13 浸漬ノズル
14 鋳型
15 溶鋼
16 鋳片
17 凝固シェル
18 スラグ

Claims (2)

  1. 取鍋から注入された溶鋼を、溶鋼流出孔を通して鋳型に中継供給する連続鋳造用タンディッシュであって、取鍋からの注入点の部位を含む底面及び溶鋼流出孔の部位を含む底面はともに水平であり、前記注入点の部位を含む水平部から前記溶鋼流出孔の部位を含む水平部にかけての底面が傾斜面となっていて、タンディッシュ内における溶鋼の最も深い位置が溶鋼流出孔の部位であり、最も浅い位置が取鍋からの注入点の部位であり、収容能力最大の溶鋼を滞在させた際に最も深い位置の溶鋼深さが0.7〜2.0mの範囲であり、且つ、収容能力最大の溶鋼を滞在させた際に最も深い位置と最も浅い位置との深さの差が、最も深い位置の深さに0.15〜0.30を乗算した範囲であり、更に、取鍋からの注入点の部位を含む底面の水平部の端部には、タンディッシュ底部を閉鎖する50〜350mm高さの堰が設置されていることを特徴とする連続鋳造用タンディッシュ。
  2. 請求項1に記載の連続鋳造用タンディッシュに、取鍋に収容された溶鋼を注入し、次いで前記タンディッシュに注入された溶鋼を鋳型に注入して鋳造することを特徴とする、鋳片の製造方法。
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