JP4725093B2 - マイクロ波処理装置 - Google Patents
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Description
最近では、CVDでも低圧プラズマCVDとしてプラスチック容器の表面改質、特に、ガスバリア性の向上にも応用されている。
プラズマ状態は、グロー放電、コロナ放電、アーク放電などによって実現されるものであり、たとえば、グロー放電の方式としては、直流グロー放電を利用する方法、高周波グロー放電を利用する方法(高周波プラズマCVD)、マイクロ波放電を利用する方法(マイクロ波プラズマCVD)などが知られている。
ところが、それら従来のプラズマCVD法によりガスバリア被膜を形成した場合は、プラスチック製容器の開口部の被膜が厚膜となる傾向があった。これは、容器開口部から排気して真空度を制御し原料ガスを供給しつつプラズマを発生させる方法においては、一般に開口部近傍に反応ガスが流れやすく、その開口部近傍が厚膜になりやすいためであった。
例えば、プラスチック製容器の開口部の内面にプラズマ状態のガスの接近を防止するマスキング手段を設け、プラズマCVDにより容器の内面にガスバリア被覆処理を行う技術がある(例えば、特許文献4参照。)。
このような構成により、プラスチック製容器の開口部内表面に被膜が付着するのを防止して、褐色の着色を無くし、商品性を向上させることができる。
しかも、近年においては、カーボン被膜に代わるものとして、酸化珪素などの珪素化合物が多く用いられており、これらは、褐色等の着色を問題としない。
ただし、マスキング手段を単に取り除いてプラスチック製容器の開口部内面に薄膜を形成させるだけでは、その開口部の熱変形や穿孔(穴あき)が起こるという問題が依然として残ってしまう。
さらに、開口部付近は、反応ガスの流れからプラズマが濃くなりやすく、かつ電界が高い状態にあるが、マイクロ波遮蔽体によりマイクロ波が遮蔽されるため、それらの影響を緩和して開口部の熱変形や穿孔を防ぎつつ、その開口部内面に薄膜を形成することができる。
マイクロ波処理装置をこのような構成とすれば、開口部内面とマイクロ波遮蔽体との間に反応ガスを十分に通すことができる。このため、開口部内面においても、そのプラスチック製容器の胴部内面と同様に、薄膜を施すことができる。
同図は、本実施形態のマイクロ波処理装置の構造を示す縦方向断面図である。
なお、プラスチック製容器Aは、例えば、ボトルなどで構成することができる。また、プラスチック製容器(ボトル)には、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルから形成された二軸延伸ブロー成形ボトルなどが含まれる。
また、基台上面12−1において、処理用ガス供給部材13の付設部周囲には凹部12−2が形成されている。この凹部12−2には、開口部を下にして倒立されたプラスチック製容器Aのその開口部のほぼ全体又は一部が収まるようになっている。
マイクロ波遮蔽体14は、図2、図3に示すように筒状に形成されており、長さは異なるが同じく筒状の処理用ガス供給部材13とほぼ同心円上に設けられる。ただし、マイクロ波遮蔽体14の内径は、処理用ガス供給部材13の外径よりも長く、マイクロ波遮蔽体14の内面と処理用ガス供給部材13の外周面とは接することはない。
マイクロ波遮蔽体14の高さ(筒状の中心軸方向の長さ)には特に制限はないが、プラスチック製容器Aの開口部付近に高い電界が生じ強いプラズマが発生してもこれらからの影響を緩和して開口部の熱変形や穿孔を抑制できる程度の高さとすることが望ましい。
また、マイクロ波遮蔽体14と開口部内面との間には、反応ガスを通すための流路として空間が設けられている。この空間の幅(マイクロ波遮蔽体14と開口部内面との距離)は、例えば、1mm以上とすることができる。これにより、その空間に反応ガスが流れて開口部内面に薄膜を形成することができる。また、その空間の幅を、例えば、1mm〜1.5mmの間とすれば、開口部の熱変形や穿孔を防止しつつ、開口部内面への成膜が可能となる。
また、マイクロ波遮蔽体14の全体又は一部には、図3に示すように、網目部14−2(網目状(メッシュ)の部分)を形成することもできる。
なお、本実施形態においては、20メッシュ〜50メッシュの網目を用いるのが好ましい。
これら貫通孔14−1あるいは網目部14−2を有することにより、反応ガスが開口部内面にも行き渡るようになり、その開口部内面に薄膜を形成することができる。
次に、本実施形態のマイクロ波処理装置を用いた成膜方法(マイクロ波処理方法)について、図4を参照して説明する。
基台上面12−1における凹部12−2の底面(あるいはチャック部の下にあるメッシュの上面)には、上方にむかって突設するようにマイクロ波遮蔽体14が備えられる(マイクロ波遮蔽体の設置、ステップ10)。このマイクロ波遮蔽体14は、プラスチック製容器Aの開口部の内面近傍に反応ガスの流路が確保されるような位置に備えられる。
そして、プラスチック製容器Aが、その基台上面12−1に開口部を下にして倒立して載置され、その開口部が凹部12−2に嵌合されると、その開口部の内面近傍にマイクロ波遮蔽体14が位置するようになる(プラスチック製容器の定置、ステップ11)。
ここで、図5(マイクロ波遮蔽体14を設けた場合の電界強度分布)と図6(マイクロ波遮蔽体14を設けない場合の電界強度分布)とを比較すると、電界強度分布自体に大きな違いは見受けられないが、マイクロ波遮蔽体14の有無により、プラスチック製容器Aの開口部内面において、電界強度の強い部分(電界が集中しているところ)から受ける影響に違いが見られる。
しかも、マイクロ波遮蔽体14と開口部内面との間には反応ガスを通す流路である空間が形成されるため、その開口部内面にも成膜できる。
例えば、上述した実施形態では、プラスチック製容器の例としてボトルを挙げたが、プラスチック製容器はボトルに限るものではなく、例えば、カップ、パウチ、包袋シートなどであってもよい。
11 チャンバ
12 基台
12−1 基台上面
12−2 凹部
13 処理用ガス供給部材
14 マイクロ波遮蔽体
A プラスチック製容器
Claims (3)
- プラスチック製容器の内部に反応ガスを供給し、マイクロ波を与えてプラズマを発生させ、前記プラスチック製容器の内面に薄膜を形成するマイクロ波処理装置であって、
前記プラスチック製容器の開口部の内面近傍に、マイクロ波を遮蔽する筒状のマイクロ波遮蔽体を備え、
前記開口部内面と前記筒状のマイクロ波遮蔽体との間に前記反応ガスの流路を形成し、前記開口部内面に前記薄膜を形成し、
前記筒状のマイクロ波遮蔽体に前記反応ガスの流路を形成した
ことを特徴とするマイクロ波処理装置。 - 前記開口部内面と前記マイクロ波遮蔽体との間の前記反応ガスの流路がマイクロ波処理装置の排気口と連通している
ことを特徴とする請求項1記載のマイクロ波処理装置。 - 前記マイクロ波遮蔽体が導電性材料で形成された
ことを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロ波処理装置。
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