JP4724937B2 - 吸着材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気等の気体中の成分を吸着する吸着材及びその製造方法に係り、特にガラス繊維の表面に化学吸着剤を担持させた吸着材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般住宅における高気密化や化学建材の使用によるシックハウス症要因のホルムアルデヒドが社会的問題化してきており、様々な空気清浄機やフィルタが開発されつつある。
【0003】
従来の有害ガス除去用として利用されているフィルタは、主に活性炭又はシリカゲルよりなる。しかし、活性炭は、無極性であり物理吸着のみで成分を吸着するため、極性ガス成分は殆ど吸着しない。シリカゲルは、極性に富むが反応性がないため、吸着と再放出を繰り返す。また、機械的、熱的強度がなく、フィルタ形状への加工は困難である。
【0004】
特開2000−334229には、ガラス繊維の表面に多孔質又は繊維質の正の帯電層と負の帯電層を交互に積層させてなる吸着材が記載されており、この吸着材は煙草の煙や臭いをクーロン力を用いて吸着除去するのに効果があるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、種々の研究の結果、上述の交互に積層する帯電層からなる吸着材において、弱酸・弱塩基の正負の電解質ポリマーを用いた場合は、反応性があまり高くなく、また吸着容量(比表面積)が多くないことが認められた。
【0006】
本発明は、吸着容量が大きい繊維状の吸着材を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、塩基性のガスの吸着容量が大きい吸着材を提供することを目的とする。
【0008】
さらに、本発明は、中性、酸性及び塩基性のガスのいずれも多量に吸着しうる吸着材を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の吸着材は、平均細孔径10〜50Åの微細孔を多数備える多孔質ガラス繊維よりなるガスを吸着する吸着材であって、5〜13重量%のBを含有する珪酸系ガラスのガラス繊維を、分相処理を行うことなく1.5〜6.0規定の酸水溶液を用いて30〜60℃で12〜24時間酸処理することにより前記微細孔が形成されたものであることを特徴とするものである。
【0010】
かかる吸着材は、微細孔を多数備えた多孔質ガラス繊維よりなり、比表面積が著しく大きいため、ガス吸着容量がきわめて大きい。
【0011】
これに対して、従来の吸着材である活性炭やシリカゲルは表面にマクロ孔、メソ孔を有し、内部にミクロ孔を備えるため全体にわたって良好なガス吸着能を得ることはできない。本発明では、平均細孔径10〜50Åの微細孔のみを表面から内部まで多数備えるため、良好なガス吸着能を得ることができる。
【0012】
この吸着材は、珪酸系ガラス(例えばEガラス)のガラス繊維を酸処理することにより微細孔を形成したものである。かかる吸着材は、表面が活性なシリカ(珪酸)質であるため、アンモニア等の塩基性ガス成分を多量に化学吸着する。
【0013】
本発明(請求項)の吸着材は、請求項1において、該ガラス繊維の表面に化学吸着剤を担持させたことを特徴とするものである。
【0014】
かかる吸着材は、比表面積が大きく、且つ化学吸着剤を表面に担持しているため、吸着容量が著しく大きい。
【0015】
この化学吸着剤としては、リン酸ヒドロキシルアミン及び/又はその誘導体が好ましい(請求項)。このリン酸ヒドロキシルアミン又はその誘導体は、リン酸部分がアンモニア等の塩基性ガスを化学吸着する。また、ヒドロキシルアミン部分は強い求核反応特性を有し、ホルムアルデヒドや硫化水素等を化学吸着する。
【0016】
本発明では、このリン酸ヒドロキシルアミン及び/又はその誘導体のガラス繊維からの剥離、脱落を防止するために、該化学吸着剤をガラス繊維表面に固着させる成分と共にガラス繊維に担持されていることが好ましい(請求項)。
【0017】
この固着用の成分としてはポリリン酸が好ましい(請求項)。このポリリン酸は、この固着作用を有するだけでなく、酸性であるところから、アンモニア等の塩基性ガス成分の吸着能を有する。
本発明の吸着材の製造方法は、平均細孔径10〜50Åの微細孔を多数備える多孔質ガラス繊維よりなる吸着材を製造する方法であって、5〜13重量%のB を含有する珪酸系ガラスのガラス繊維を、分相処理を行うことなく1.5〜6.0規定の酸水溶液を用いて30〜60℃で12〜24時間酸処理することにより前記微細孔を形成することを特徴とする。
【0018】
また、本発明では、化学吸着剤として低分子量物質特にモノマーを好適に利用できることから、多孔質ガラス繊維の表面に前記モノマーの溶液を複数回塗付する場合は、モノマーを主成分とする化学吸着剤の溶液を一旦塗布した後に、それを加熱し乾燥させて溶媒を除去することが好ましい。このように溶媒塗布の都度乾燥させることにより、多孔質ガラス繊維の表面に、モノマーの化学吸着剤を強固に定着させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の吸着材の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
本発明の吸着材は、平均細孔径10〜50Åの微細孔を多数備える多孔質ガラス繊維よりなる。この微細孔の平均細孔径が10Åよりも小さいと大きなガス分子が侵入できなくなり、50Åを超えると多孔質ガラス繊維の比表面積を十分に大きくすることができず、微細孔の形成による吸着能の向上効果が乏しくなる。
【0021】
このような本発明の吸着材を構成する多孔質ガラス繊維は、珪酸系ガラスのガラス繊維を酸処理することにより、表面に微細孔を形成して製造することができる。
【0022】
以下に、珪酸系ガラスのガラス繊維を酸処理して、本発明に係る多孔質ガラス繊維を製造する方法について説明する。
【0023】
ガラス繊維を構成する珪酸ガラスとしては、下記表に示す組成のEガラスが好ましい。このEガラスを酸処理すると、ガラス中の酸可溶性成分が溶出し、ガラス繊維表面の全体に微細孔が形成される。
【0024】
【表1】
Figure 0004724937
【0025】
なお、市販のEガラス繊維の組成例は下記の通りである。
【0026】
【表2】
Figure 0004724937
【0027】
また、ガラス繊維の繊維径は、過度に大きいと得られる多孔質ガラス繊維の比表面積が小さくなり、逆に過度に細かいと強度が不足する上にコスト高となる。従って、用いるガラス繊維の繊維径は、吸着材の用途によっても異なるが通常の場合5〜9μm程度であることが好ましい。なお、繊維径の異なる2種以上のガラス繊維を混合して使用しても良い。
【0028】
このガラス繊維は、酸処理後に紡織等を行うことは困難であることから、ガラス繊維を予め織布又は不織布としておくことが好ましい。なお、以下、ガラス繊維の織布又は不織布を「ガラス繊維布」ということがある。
【0029】
酸処理は、ガラス繊維布を塩酸等の酸水溶液に所定時間浸漬し、必要に応じて加温あるいは攪拌した後、水洗、乾燥することにより行うことができる。
【0030】
ここで、用いる酸水溶液の濃度や加温温度、浸漬時間等の酸処理条件は、酸の種類、必要とする酸処理の程度(酸処理後のガラス繊維の比表面積)等によって適宜決定されるが、1.5〜6.0規定の酸水溶液を用い、30〜60℃で12〜24時間の温度及び時間条件で、所望の比表面積が得られるように適宜調整して行う。
【0031】
このような酸処理によれば、平均細孔径10〜50Åの微細孔を容易にガラス繊維表面に形成することができる。
【0032】
なお、ガラス繊維の処理としてガラス繊維を加熱して酸可溶性成分に富む相とシリカに富む相とに相分離させる分相処理が知られている。酸処理前にこの分相処理を施したガラス繊維を酸処理した場合、酸可溶性相が溶出して比較的大きな細孔が形成され、平均細孔径10〜50Åの微細孔を形成することができないことがある。従って、本発明において、酸処理は分相処理を行うことなく実施する。
【0033】
なお、本発明の吸着材をガラス繊維布としてフィルタ等に用いる場合、この布の目付は200〜700g/mで、厚さは0.2〜0.7mm程度であることが好ましい。
【0034】
本発明の多孔質ガラス繊維よりなる吸着材は、ガス吸着容量がきわめて大きく、特に珪酸質のガラス繊維を酸処理して得られる多孔質ガラス繊維は、表面がシリカ(珪酸)質であるための、アンモニア等の塩基性ガス成分を多量に化学吸着することができる。
【0035】
本発明では、更にこの多孔質ガラス繊維の表面に化学吸着剤を担持させることにより、微細孔による大きな比表面積に基づく大きな吸着容量と、表面のシリカ質による吸着性能と、化学吸着剤による吸着性能とを重畳させ、著しく吸着能力に優れた吸着材とすることができる。
【0036】
この化学吸着剤としては、リン酸ヒドロキシルアミン((NHOH)・HPO)及び/又はその誘導体(以下「リン酸ヒドロキシルアミン等」と称す。)が好ましく、このような化学吸着剤であれば、そのリン酸部分でアンモニア等の塩基性ガスを効率的に化学吸着すると共に、ヒドロキシルアミン部分の強い求核反応特性により、ホルムアルデヒドや硫化水素等を効率的に化学吸着することができる。
【0037】
なお、リン酸ヒドロキシルアミンの誘導体としては、リン酸ジメチルヒドロキシルアミン((N(CHOH)・HPO)等が挙げられる。リン酸ヒドロキシルアミン等は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0038】
リン酸ヒドロキシルアミン等を多孔質ガラス繊維に担持させる場合、リン酸ヒドロキシルアミン等のガラス繊維からの剥離、脱落を防止するために、リン酸ヒドロキシルアミン等をガラス繊維表面に固着させる成分と共にガラス繊維に担持させることが好ましい。この固着用の成分としてはポリリン酸が好適である。ポリリン酸は、リン酸ヒドロキシルアミン等の固着作用を有するだけでなく、酸性であるところから、アンモニア等の塩基性ガス成分の吸着能を有する点においても、有利である。
【0039】
リン酸ヒドロキシルアミン等は、例えばリン酸ヒドロキシルアミン等の水溶液中に多孔質ガラス繊維を浸漬し、その後多孔質ガラス繊維を取り出して乾燥することにより多孔質ガラス繊維に担持させることができる。また、ポリリン酸等の固着成分と併用する場合には、上記リン酸ヒドロキシルアミン等の担持処理後、同様にポリリン酸の水溶液に多孔質ガラス繊維を浸漬し、その後多孔質ガラス繊維を取り出して乾燥するのが好ましい。
【0040】
特に、化学吸着剤にリン酸ヒドロキシルアミン等のモノマーを使用する場合は、化学吸着剤を多孔質ガラス繊維の表面に固着させるために、ガラス繊維を化学吸着剤の水溶液に一旦浸漬処理した後、それを加熱して完全に乾燥させることが好ましい。本発明者らの多くの実験によれば、リン酸ヒドロキシルアミン等を多孔質ガラスに付着させた後、乾燥させることなく、連続的にポリリン酸溶液中に浸漬すると、その多くがポリリン酸溶液中に流出してしまうことが明らかとなった。従って、浸漬処理後に多孔質ガラス繊維を一旦加熱乾燥させることにより、モノマーの化学吸着剤の脱落をはじめて防止できたのであり、この点において本発明は前記の特開2000−334229と大きく異なる。
【0041】
なお、リン酸ヒドロキシルアミン等の担持量を増大させる場合には、上記浸漬処理を繰り返し行えば良い。この場合、リン酸ヒドロキシルアミン等の水溶液への浸漬及び乾燥と、その後ポリリン酸の水溶液への浸漬及び乾燥とを担持処理の1サイクルとし、このサイクルを複数回繰り返すことが好ましい。
【0042】
用いるリン酸ヒドロキシルアミン等の水溶液の濃度は、0.1〜1.0mol/L程度であることが好ましい。また、浸漬時間は通常1〜3分程度が好適あり、その後の乾燥は60〜90℃程度が好ましい。
【0043】
ポリリン酸の水溶液の濃度は、0.01〜0.1mol/L程度であることが好ましい。また、浸漬時間は通常1〜3分程度が好適であり、その後の乾燥は60〜90℃程度が好ましい。
【0044】
この化学吸着剤の担持量を増やすことにより、ガス吸着能を高めることができるが、過度に増やしてもそれ以上のガス吸着能の向上効果は得られず、逆に微細孔がリン酸ヒドロキシルアミン等やポリリン酸で埋められ、比表面積が小さくなることにより、ガス吸着能が低下してくる場合があるため、リン酸ヒドロキシルアミン等、ポリリン酸の担持量、即ち、担持処理回数は、多孔質ガラス繊維の比表面積等に応じて適宜調整するのが好ましい。
【0045】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0046】
実施例1
3.0規定の塩酸水溶液を45℃に加温し、この中に、表2のNo.(i)の組成のEガラス繊維(平均繊維径9μm)の綾織物よりなる織布を約24時間浸漬した後引き上げ、十分に水洗して乾燥させた。
【0047】
この酸処理後の多孔質ガラス繊維布の目付は633g/m、厚さは0.48mmである。
【0048】
この多孔質ガラス繊維布について、窒素吸着BET法により比表面積の測定を行い、細孔径分布、平均細孔径を求めた。
【0049】
比表面積及び平均細孔径を表3に、細孔径分布を図1に示す。
【0050】
比較例1
上記Eガラスの織布を400℃で6時間加熱して分相処理を行った後に酸処理したこと以外は同様にして酸処理を行い、得られた多孔質ガラス繊維織布の比表面積及び平均細孔径を調べ、結果を表3に示した。
【0051】
【表3】
Figure 0004724937
【0052】
表3より、酸処理前に分相処理を行うと、酸処理で形成される細孔径が50Åよりも大きくなり、平均細孔径10〜50Åの微細孔が形成されないことがわかる。
【0053】
実施例2〜5
上記実施例1の多孔質ガラス繊維布を、0.1mol/Lのリン酸ヒドロキシルアミンの水溶液に1分浸漬した後引き上げて60℃で乾燥させ、その後、ポリリン酸の水溶液に1分浸漬した後引き上げて60℃で乾燥する担持処理を1サイクルとして、これを3回(実施例2)、5回(実施例3)、10回(実施例4)、15回(実施例5)行い、それぞれリン酸ヒドロキシルアミンとポリリン酸を担持した多孔質ガラス繊維布を製造した。
【0054】
得られた実施例2,4,5の多孔質ガラス繊維布について、窒素吸着BET法により細孔径分布を調べ、結果を図1に示した。図示はしないが、実施例3(5サイクル)は実施例2とほぼ同一の細孔径分布であった。
【0055】
なお、図1中の縦軸「dV/dr」は、微細孔の体積Vをその平均細孔径(半径)rで微分した値を表すものであり、その値は平均細孔径のある範囲内に存在する微細孔の数(量)に比例する。従って、横軸である平均細孔径(直径)のある範囲内における「dV/dr」の値は、その範囲内の平均細孔径(直径)を持つ微細孔の数(量)を表すことになる。
【0056】
図1より、リン酸ヒドロキシルアミン及びポリリン酸を担持しても、微細孔の孔径は若干小さくなるが、多孔質ガラス繊維の細孔径分布に大きな変化はないことがわかる。
【0057】
特性測定試験I [フロー系による吸着試験]
(1) 実施例1及び比較例1の多孔質ガラス繊維布を用いて、それぞれ下記フロー系によるアンモニアの吸着試験を行い、結果を図2に示した。
【0058】
即ち、10cm×10cm×3cmのフィルタ取り付け部を有するフロー系に、10cm×90cmの多孔質ガラス繊維布をプリーツ型に加工して挿入し、70ppmのアンモニア含有ガスを0.01m/秒の流速で流し、フィルタを通過した処理ガス中のアンモニア濃度の経時変化を調べた。
【0059】
図2より、平均細孔径10〜50Åの微細孔が形成された実施例1の多孔質ガラス繊維布であれば、平均細孔径100Åの細孔が形成された比較例1の多孔質ガラス繊維布よりも、長期に亘り、良好なアンモニア吸着能を示すことがわかる。
【0060】
(2) 酸処理後担時処理を3回行った実施例2の多孔質ガラス繊維布を用い、同様にしてフロー系による吸着試験を行った。ただし、被処理ガスとしてはホルムアルデヒド含有ガスを用い、ガス流速は0.5m/秒とした。
【0061】
被処理ガスのホルムアルデヒド濃度と処理ガスのホルムアルデヒドの経時変化を図3に示す。
【0062】
図3より、本発明の吸着材により、ホルムアルデヒドを効率的に吸着除去することができることがわかる。
【0063】
特性測定試験II [密閉系による吸着試験]
(1) 実施例2(担持処理3回)の多孔質ガラス繊維布を用いて、下記密閉系による煙草の発生ガスの吸着試験を行い、結果を図4に示した。
【0064】
即ち、約50Lの容積の密閉可能な容器を用意し、この中に8cm×8cmの多孔質ガラス繊維布を取り付ける浄化用ファンと注入ガスを拡散する拡散ファンを設置した。多孔質ガラス繊維布を取り付けた後、煙草の発生ガスを注入し、拡散ファンにDC10Vを一定に印加し、初期濃度を測定した。その後直ちに浄化用ファンにもDC10Vを印加し、系内のガス成分濃度の経時変化を調べた。
【0065】
図4より、実施例2の多孔質ガラス繊維布により、アンモニア、アセトアルデヒド及び硫化水素のすべてが効率的に吸着除去されることがわかる。
【0066】
(2) 被処理ガスとしてホルムアルデヒドのみを含むガスを用いた以外は、上記(1)と同様にして、吸着試験を行った。
【0067】
また、酸処理を行わず、担持処理のみを3回行ったガラス繊維布(比較例2)、市販のホルムアルデヒド除去用シリカゲル(比較例3)及び化学吸着剤(ポリリン酸アンモニウム)を添着した粒状活性炭(比較例4)についても同様に吸着試験を行い、これらの結果を図5に示した。
【0068】
図5より、本発明による酸処理及び担持処理を施した実施例2の多孔質ガラス繊維布であれば、著しく優れたホルムアルデヒド吸着能が得られることがわかる。
【0069】
これに対して、担時処理のみを施した比較例2のガラス繊維布では、微細孔が存在せず、リン酸ヒドロキシルアミンの付着量が十分でないため、殆ど吸着性が得られない。また、シリカゲルや活性炭も十分な吸着能を得ることはできない。
【0070】
(3) 酸処理後担時処理を3回行った実施例2の多孔質ガラス繊維布、酸処理後担時処理を10回行った実施例4の多孔質ガラス繊維布、酸処理後担時処理を15回行った実施例5の多孔質ガラス繊維布と、酸処理後の担時処理を1回のみ行ったこと以外はこの実施例2〜5の多孔質ガラス繊維布等と同様にして製造した実施例6の多孔質ガラス繊維布について、同様にしてホルムアルデヒドの密閉系による吸着試験を行い、ホルムアルデヒドの飽和吸着量を調べ、担時処理の回数との関係を図6に示した。
【0071】
図6より、担時処理を繰り返し行うことにより吸着容量が高まるが、過度に多数回繰り返しても、吸着容量はそれ以上大きくならず、逆に低下する傾向があることがわかる。
【0072】
これは、多孔質ガラス繊維の平均細孔径が10〜50Åと微細であるため、化学吸着剤の担持量が多くなると、微細孔を前記化学吸着剤が埋めてしまい、微細孔中にホルムアルデヒドなどの吸収対象ガスが入って行けなくなり、下層の化学吸着剤が機能し難くなるためであると考えられる。
【0073】
(4) 酸処理のみを行った実施例1の多孔質ガラス繊維、酸処理後担時処理を3回行った実施例2の多孔質ガラス繊維布、及び酸処理後担時処理を15回行った実施例5の多孔質ガラス繊維、及び酸処理を行わず担持処理のみを3回行った比較例2のガラス繊維布について、被処理ガスとしてアンモニア含有ガスを用いたこと以外は同様にしてアンモニアの吸着試験を行い、アンモニアの飽和吸着量を調べ、結果を表4に示した。
【0074】
【表4】
Figure 0004724937
【0075】
表4より、担時処理を多数回行うことにより飽和吸着量が増大することがわかる。
【0076】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の吸着材及びその製造方法によれば、比表面積が大きく、ガス吸着容量の大きい吸着材が提供される。
【0077】
また、表面の活性なシリカ(珪酸)質により、アンモニア等の塩基性ガス成分の吸着能に優れた吸着材が提供される。
【0078】
請求項によれば、大きな比表面積と表面に担時させた化学吸着剤により、吸着容量が著しく大きい吸着材が提供される。
【0079】
請求項によれば、リン酸部分のアンモニア等の塩基性ガス吸着能と、ヒドロキシルアミン部分の強い求核反応特性によるホルムアルデヒドや硫化水素等の化学吸着能とで、中性、酸性及び塩基性のガスのいずれも多量に吸着しうる吸着材が提供される。
【0080】
請求項によれば、化学吸着剤のガラス繊維からの剥離、脱落が防止され、反応性の高い化学吸着剤であっても、人体や周辺環境への影響を懸念する必要がない。
【0081】
請求項によれば、酸性のポリリン酸により、化学吸着剤の固着作用と共に、アンモニア等の塩基性ガス成分の吸着能が得られ、より一層優れた吸着性能を有する吸着材が提供される。
【0082】
従って、このような本発明の吸着材によれば、揮発性有害ガスのホルムアルデヒド、その他塩基性、酸性の多種対象ガスを同時に高度かつ長寿命に吸着除去し得るフィルタや空気清浄機を提供することが可能となる。
【0083】
請求項7によれば、多孔質ガラス繊維の表面に、モノマーを主成分とする化学吸着剤の溶液を塗付し、加熱して溶媒を除去した後、前記と同一もしくは異なる化学吸着剤又は、上記固着材を含有する溶液を塗付するので、化学吸着剤が多孔質ガラス繊維の表面に確実に定着する。そのため、化学吸着剤の塗付作業を、不必要に繰り返す必要が無くなり、本発明の吸着材の製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 多孔質ガラス繊維布の細孔径分布を示すグラフである。
【図2】 アンモニア吸着試験結果を示すグラフである。
【図3】 ホルムアルデヒドの吸着試験結果を示すグラフである。
【図4】 煙草の発生ガス吸着試験結果を示すグラフである。
【図5】 ホルムアルデヒドの吸着試験結果を示すグラフである。
【図6】 ホルムアルデヒドの吸着容量試験結果を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 平均細孔径10〜50Åの微細孔を多数備える多孔質ガラス繊維よりなるガスを吸着する吸着材であって、
    5〜13重量%のBを含有する珪酸系ガラスのガラス繊維を、分相処理を行うことなく1.5〜6.0規定の酸水溶液を用いて30〜60℃で12〜24時間酸処理することにより前記微細孔が形成されたものであることを特徴とする吸着材。
  2. 請求項1において、該ガラス繊維の表面に化学吸着剤を担持させたことを特徴とする吸着材。
  3. 請求項2において、前記化学吸着剤は、リン酸ヒドロキシルアミン及び/又はその誘導体を主成分とするものであることを特徴とする吸着材。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記化学吸着剤は、該化学吸着剤をガラス繊維表面に固着させる成分と共にガラス繊維の表面に担持されていることを特徴とする吸着材。
  5. 請求項4において、前記化学吸着剤をガラス繊維表面に固着させる成分はポリリン酸であることを特徴とする吸着材。
  6. 平均細孔径10〜50Åの微細孔を多数備える多孔質ガラス繊維よりなるガスを吸着する吸着材を製造する方法であって、
    5〜13重量%のBを含有する珪酸系ガラスのガラス繊維を、分相処理を行うことなく1.5〜6.0規定の酸水溶液を用いて30〜60℃で12〜24時間酸処理することにより前記微細孔を形成することを特徴とする吸着材の製造方法。
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