JP4723408B2 - 木質材料の化学処理薬剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、木質材料の化学処理、特に保存処理に用いる薬剤組成物に関する。
住宅の長寿命化の流れを受け、住宅用の木質材料、特に構造用の木質材料に対しては、耐生物劣化処理(保存処理)が施されている。これら保存処理の方法としては、防腐・防蟻性を持つ不揮発性の改質剤水溶液(水系エマルジョンを含む)を木質材料中に予め注入する方法、浸漬塗布する方法等があるが、不揮発性の改質剤を有機溶媒と共に木質材料に注入し、注入後該木質材料を加熱して木質材料中の有機溶媒を揮発除去し、同時に木質材料から揮発させた有機溶媒を冷却回収する乾式処理法が、木質材料の寸法安定性に有利な処理方法として提案されている(特許文献1及び2参照)。
この乾式処理においては、化学処理薬剤として有効成分を揮発性有機溶媒に溶解せしめた作業液を用いるのが特徴である。化学処理薬剤として水をベース溶媒とすると、処理される木質材料の含水率が増加し寸法変動を引き起こすため、木質材料に対して膨潤能を持たない有機溶媒が使われる。このような有機溶媒は、木質材料の内部まで容易に浸透する性質があるため、内部まで化学処理薬剤を浸透させるためのキャリア溶媒としては特に好ましく使用される。更に木質材料内に注入された有機溶媒は、木質材料中から揮発除去させる必要があるため、揮発性のあるものが使われる。
さらに、この乾式処理における有機溶媒回収効率を上げるべく、木質材料を高周波で内部加熱することにより、より効率的に有機溶媒を回収する技術も提案されている(特許文献3)。
特開昭58−155906号公報 特開昭59−158205号公報 特開平10−146805号公報
このように、乾式処理技術は、寸法安定性に優れ、木質材料の内部まで化学処理効果が到達する優れた技術であるが、注入後、有機溶媒回収工程が存在することから、1バッチの処理における処理釜の占有時間が長い点が問題点として挙げられる。そのため、有機溶媒回収時間の短縮技術が、処理の効率化、処理コストの低減のために、待ち望まれていた。
そこで、本発明者らは有機溶媒回収工程に要する時間を短縮すべく、鋭意研究した結果、作業液に有機塩化合物を含有せしめることにより、有機溶媒回収に要する時間を著しく短縮できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、木質材料を改質するための化学処理薬剤組成物であって、改質有効成分、該有効成分を溶解する有機溶媒、及び有機塩化合物を含有し、且つ水の含有量が5質量%以下であることを特徴とする木質材料の化学処理薬剤組成物である。
本発明の組成物(本組成物ともいう)を用いて木質材料の処理を行うと、有機溶媒回収工程において、有機溶媒の回収時間が著しく短縮されるので、乾式処理装置の処理能力を大きく上げることができ、化学処理木質材料の製造コストを大幅に低減させることができる。そして、本発明の化学処理木質材料の製造方法によれば、寸法安定性に優れた化学処理木質材料を低コストで容易に製造することができる。
本発明の化学処理薬剤組成物は、改質有効成分の有機溶媒を、被処理木質材料に作用させる木質材料化学処理工程において、加圧および減圧注入法、浸漬法、塗布法、その他公知何れの方法でも使用することが出来る。この中でも、木質材料内部まで化学処理薬剤を加圧及び/または減圧の方法で注入し、その後、該木質材料に減圧、加熱、加湿等の操作を組み合わせ、木質材料中の有機溶媒を強制的に揮発除去し、同時に木質材料から揮発させた有機溶媒を冷却回収することを特徴とする、いわゆる「乾式処理」法において、好適に使用することができる。
改質有効成分は、その処理目的に応じて公知の化学処理薬剤を任意に選択でき、木質材料の保存処理目的であれば公知の防腐剤及び/又は防蟻剤が使用できる。また、耐水性、寸法安定性付与目的であれば、無水酢酸などのアセチル化剤や、ポリエチレングリコール等の寸法安定化剤等を使用することができる。その中でも、本発明は、木質材料基材への反応を伴わない処理、即ち上記の例においては木質材料保存剤として用いる用途において好適に使用でき、有機溶媒回収工程において、有効成分が木質材料から揮発滅失することがない点で、不揮発性の保存剤を用いることが特に好ましい。
このような、不揮発性の保存剤を例示すると、(2RS,3RS;2RS,3RS)−2−(4−クロロフェニル−3−シクロプロピル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン2−オールなどのアゾール化合物、1−[(6‘−クロロ−3’−ピリジル)メチル]イミダゾリジン−2−(N−ニトロ)イミンなどのネオニコチノイド化合物、クロロフェニルヨードプロパルギルホルマールなどの有機ヨウ素化合物、キシラザン(三共製薬製)などのヒドロキシルアミン化合物、ベンツイミダゾール化合物、ナフテン酸銅などの有機銅化合物、フオキシム(武田薬品製)などの有機リン化合物、ナフテン酸亜鉛などの有機亜鉛化合物、パーメスリン(住友化学製)などのピレスロイド系化合物などを挙げることが出来る。これらは、1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
有機溶媒は、処理工程において有効成分のキャリアとなるものであり、木質材料への浸透性が実質的に水よりもよければ任意に選択できる。このような有機溶媒を例示すると、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ケロシン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、CFC−11、CFC−225等のフロン系溶媒や、HFC、HFE等の代替フロン系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタンなどのニトロ炭化水素類、アセトニトリルなどのニトリル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、蟻酸メチル、蟻酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテル誘導体、n−メチルピロリドン、1,3ジメチル2イミダゾリジノンなどの含窒素環式化合物等を例示することができる。これらの有機溶媒は単独でも、他の溶媒と混合しても使用することが出来る。
その中でも、実用的に注入した有機溶媒を回収、再利用しやすい点で、沸点が100℃未満、より好ましくは80℃以下の有機溶媒を主溶媒として使用することが好ましい。更に、本発明においては、処理工程における有機溶媒の取り扱い易さから、引火点を持たない有機溶媒が特に好適に使用できる。このような有機溶媒としては、塩素化炭化水素、フロン系溶媒、代替フロン系溶媒等の含ハロゲン溶媒等を例示できる。
また、化学処理による寸法変動をなるべく小さくするために、使用する有機溶媒は木質材料の膨潤能が小さいものが好ましく、具体的には、杉辺材に有機溶媒を杉辺材(1m)に対して100(l)注入したときの寸法増加率が3%未満である有機溶媒が好ましい。
上記のような特性を満足する有機溶媒としては、塩化メチレンのような塩素化炭化水素類やCFC−11、CFC−225等のフロン系溶媒が最も好適に採用できる。
本発明の木質材料を改質するための化学処理薬剤組成物の最大の特徴は、有機塩化合物を含有することである。
本発明において有機塩化合物とは、アニオン、カチオンのいずれか又は双方が有機イオンからなる塩のことを指す。アニオン、カチオンの双方が無機イオンからなる塩は、親水性が強すぎ、本発明組成物の有機溶媒への溶解度が十分ではなく使用できない。
さらに、有機塩化合物を構成するアニオン、カチオンが、それぞれ、強酸、強アルカリを構成するイオンであると、その添加効果は著しく大きくなり好ましい。
こういった有機塩化合物を例示すると、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硫酸エステルナトリウム塩、ジアルキルサクシネートスルホン酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩、等のアニオン界面活性剤、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、ジ硬化牛脂アルキルエチルメチルアンモニウムエトサルフェート等のカチオン界面活性剤、テトラブチルアンモニウムイオダイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムp―トルエンスルホネート、テトラエチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ポリオキシエチレン硫酸エステルテトラブチルアンモニウム塩、ジデシルジメチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート等の4級アンモニウム塩化合物等を例示することができる。
本発明の化学処理薬剤組成物は水を実質上含有しない。水を含有した化学処理薬剤組成物を木質材料に注入すると、既述のとおり木質材料の含水率が著しく上昇し、木質材料の寸法変動を引き起こし好ましくない。即ち、ここで水を実質的に含有しないとは、水の含有量が木質材料の寸法変動を引き起こさないレベルに抑えられていることを意味し、具体的には組成物中の水の含有量が組成物全体の質量を基準として5質量%以下、好ましくは3質量%以下であることをいう。
本発明の化学処理薬剤組成物における水以外の各成分の含有割合は、特に限定されるものではないが、有効成分の木材への浸透性が良好で、且つ、化学処理薬剤の効果が十分であるという理由から、改質有効成分1質量部に対して該有効成分を溶解する有機溶媒を50〜100000質量部とするのが好ましく、100〜10000質量部とするのが特に好ましい。また、添加する有機塩化合物は、十分な有機溶媒回収促進効果が得られ、且つ、添加剤のコストを実用的な範囲に収まるという理由から、該有効成分を溶解する有機溶媒100質量部に対して、0.01〜5質量部とするのが好ましく、0.1〜1質量部とするのが特に好ましい。
本発明の化学処理薬剤組成物は、前述の通り「乾式処理法」で用いることが好ましい。「乾式処理法」においては、加圧及び/又は減圧の方法で一旦木質材料に注入された有機溶媒は、木質材料から気化除去した後、冷却回収され再利用される。この際、木質材料に元来含まれる水分も、少量ながら冷却回収され、回収液に混入する。
この際、化学処理薬剤組成物中の水分濃度が過度に上昇しないようにすることが好ましく、この点から、本組成物中の有機溶媒は水の溶解度が低いもの、好ましくは有機溶媒に対する水の溶解度が5(g/100g溶媒)以下の有機溶媒を用いるのが好ましい。なお、ここでいう溶解度とは、0℃において溶媒100gに溶解し得る水の最大重量(g)を意味する。この場合、系内に木質材料からの水分が蓄積しても、溶けきれなくなった水を容易に系外に排出させることが出来、注入処理を繰り返しても実質上水を含有しない状態を維持できる。水の溶解度が5(g/100g溶媒)以下である有機溶媒を例示すれば、塩化メチレン、CFC―225、トルエン、ケロシン等を挙げることができる。
同様の観点から、本発明の組成物に用いる有機塩化合物、及び改質有効成分の水への溶解度は80(g/100g水)以下であることがより好ましく、40(g/100g溶媒)以下であることが特に好ましい。なお、ここでいう溶解度とは、0℃において水100gに溶解し得る溶質の最大重量(g)を意味する。上記の如く、系内に混入してくる水は定期的に系外に排出される。有機塩化合物、及び有効成分の水への溶解度が十分に小さいと、系外へ排出される水に溶解する量も少ないため、連続して注入処理を行う場合においても、添加剤、有効成分の濃度低下が少なく好ましい。水に対する溶解度が80(g/100g水)以下の有機塩化合物としては、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムイオダイド、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムp―トルエンスルホネート、テトラエチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート等を挙げることができ、水に対する溶解度が80(g/100g水)以下の改質有効成分としては、シプロコナゾール、イミダクリプリド、ナフテン酸銅等を挙げることができる。
また、本発明の化学処理薬剤組成物に用いる有機塩化合物は、界面活性能が小さいものがより好ましい。界面活性能が強すぎると、上記水の分離性が悪くなるとともに、分離排出する水の中に、有効成分が乳化溶出するおそれがあるためである。界面活性能は、後述の実施例の様に、有機塩化合物と有効成分を含む組成物を調整し、該組成物95容量部に水を5容量部添加、攪拌、静置し、薬剤相中の有効成分の含有量の減少具合を見ることにより、評価することができる。この評価法において、有効成分の減少率が5%未満であると、特に好ましいといえる。このような界面活性能が小さい有機塩化合物としては、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムイオダイド、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムp―トルエンスルホネート、テトラエチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラブチルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。
化学処理木質材料は、木質材料内に有効成分に残存せしめ、例えば防腐、防蟻、寸法安定性などの機能を木質材料に付与した木質材料である。本発明の化学処理薬剤組成物を用いて化学処理木質材料を製造するときも同様であり、化学処理薬剤組成物を木質材料に注入した後、該木質材料から有機溶媒を揮発除去し、有効成分を木質材料に残留させることにより、容易に化学処理木質材料を製造することが出来る。
上記工程において、最も時間を要するのは、木質材料から有機溶媒を揮発除去し、有効成分を木質材料に残留させる工程(以下、溶媒回収工程という)である。有機溶媒回収工程に要する時間を短縮するためには、この工程において木質材料に与える熱量を増やしてやればよい。しかしながら、例えば木質材料に接する空気の温度を単純に上げた程度では、木質材料への熱移動が十分ではなく、時間短縮は難しい。その点有機溶媒回収工程における加熱方式を高周波加熱とすると、木質材料を直接、内部より均一に加熱するため、この工程の時間短縮が可能である(前述の特許文献3参照)。
本発明の化学処理薬剤組成物を用いて化学処理木質材料を製造した場合、従来よりも有機溶媒回収工程に要する時間が著しく短縮される。この効果の理由は必ずしも明らかになったわけではないが、概ね次の通りと考えられる。有機溶媒回収工程において木質材料に高周波を印加して加熱する際、印加された高周波エネルギーは木質材料内部に含まれている水に作用することにより、木質材料に吸収され加熱される。このことは、木質材料中に大量の水分が存在する場合には加熱効率が良いが、水分が減少すると加熱効率が落ちることを意味する。
化学処理木質材料を製造する際には、通常、既に乾燥が施された木質材料が処理に供される場合がほとんどである。即ち、通常の高周波木質材料の乾燥において、含水率が50%を超える、場合によっては100%以上の木質材料を対象にするのに対し、木質材料の化学処理においては含水率が50%以下、好ましくは5〜35%程度に抑えられた木質材料が対象となる。これは、注入処理製品が例えば建材等に使用される際、その周囲の温湿度における平衡含水率に近い含水率でないと、使用中に水分が抜け、寸法変動、反りの発生等の不具合が生じるためである。即ち、有機溶媒回収工程において高周波加熱する際には、通常の高周波木質材料乾燥の場合と異なり、木質材料の水分量が十分でないため、高周波エネルギーの木質材料への吸収が十分ではないことが多いといえる。
本発明の化学処理薬剤組成物に添加した有機塩化合物は、その優れた解離性により、木質材料に注入された状態で、それぞれイオンに解離しているものと考えられる。電荷をもったイオンは、高周波加熱により容易に熱運動するため、高周波のエネルギーを極めて吸収しやすい。即ち、木質材料の含水率が低い状態であっても、有機塩化合物が木質材料中に存在することにより、加熱効率が十分高い状態に維持される。その結果、本発明の化学処理薬剤組成物を木質材料に注入すると、その後の有機溶剤回収工程で回収時間が著しく短縮できたものと考えられる。
更には、添加した有機塩化合物が木質材料中の有機溶媒分子と木質材料組織との相互作用を小さくする作用も回収時間の短縮に寄与したものと考えられる。即ち、注入された有機溶媒分子の一部は、木質材料を構成するセルロース等に吸着するものと考えられるが、有機塩化合物が存在することによりその吸着力が低下し、脱着させるのに必要なエネルギーが小さくなったため、有機溶剤回収時間が短くなったものと考えられる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例で使用した各種添加剤(有機塩化合物又はノニオン界面活性剤)の商品名、略称と化合物名との関係を以下に示す。
〔有機塩化合物〕
・ニューコール291M(日本乳化剤製): ジアルキルサクシネートスルホン酸ナトリウム塩(水に対する溶解度:無限溶解)
・ニューコール707SFC(日本乳化剤製): ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩(水に対する溶解度:無限溶解)
・アーカード2HT−50ES(ライオンアクゾ製): ジ硬化牛脂アルキルエチルメチルアンモニウムエトサルフェート(水に対する溶解度:無限溶解)
・TBA−Br: テトラブチルアンモニウムブロマイド(水に対する溶解度:70g/100g水)
・TBA−BF4: テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート(水に対する溶解度:<0.1g/100g水)
・TEA−TFSI: テトラエチルアンモニウムビストリフルオロメチルスルホン酸イミド塩(水に対する溶解度:<0.1g/100g水)。
〔有機塩化合物以外の添加剤〕
・ニューコール1525(日本乳化剤製): ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル。
実施例1
塩化メチレン100質量部、添加剤として有機塩化合物であるニューコール707(日本乳化剤製)を0.8質量部、改質有効成分として防腐・防蟻剤であるシプロコナゾール0.05質量部及びイミダクリプリド0.05質量部を混合して化学処理薬剤組成物を調製した。試験材として、オウシュウアカマツ集成材(大きさ105mm×105mm×150mm、含水率12質量%)を用いた。
試験材をSUS製の密閉缶に入れ、真空ポンプを用いて10torrまで減圧し、1時間保持した。その後調製した化学処理薬剤を缶内に入れ大気圧で1時間保持し、木質材料中に溶媒を注入した。注入量は注入前後の木質材料質量差で判断した。
その後、得られた木質材料を大気圧下で高周波加熱した。印加した高周波は13.56MHz、高周波発振機の定格出力は150Wであり(東京ハイパワー製RF−150型)、π型の整合回路を介して、高周波を木質材料に印加した。
高周波加熱開始後、一定間隔で木質材料の重量を測定した。木質材料質量が注入前の重量と同一になるまでの時間を回収に要する時間とした。結果を表1に示す。
更に、有機溶媒回収工程を行った場合において、回収された有機溶媒に水が混入し、混入した水を系外に排出したときにロスする有用成分の量を評価するために次のような測定を行った。すなわち、別途同様にして調製した化学処理薬剤組成物95容量部に水を5容量部添加し攪拌、静置した後、薬剤相中の添加剤濃度、具体的にはニューコール707(有機塩)濃度、及び有効成分濃度(シプロコナゾール濃度及びイミダクリプリド濃度)の変動を調べた。濃度の変動が小さいほど有用成分のロスが少ないことを意味する。その有無を表1に併せて示す。なお、いずれの例においても注入薬剤に含まれる有効成分の種類及び量は同じであり、また有機溶媒の含有量も同じであるので、表1における「化学処理薬剤」の欄には、有機溶媒の種類、添加剤の種類、及び添加剤の添加量のみを示した。
Figure 0004723408
実施例2〜8及び比較例1
添加剤(有機塩化合物またはノニオン界面活性剤)種、その添加量、及び化学処理薬剤の注入量を表1に示すように変えた他は実施例1と同様の方法で、注入、回収実験を行い、回収に要する時間の評価を行った。また、水混入時の濃度変動も同様に調べた。回収時間、濃度変動を表1にまとめた。
実施例1〜3は、有機塩化合物として界面活性剤を用いた例であるが、回収時間を短縮させる効果があることがわかった。しかしながら、界面活性剤は水に対する溶解度が大きいため、濃度変動は若干大きい傾向にあった。一方、実施例4〜8は、有機塩化合物として4級アンモニウム塩化合物を用いた例であるが、回収時間も短く、更に濃度変動も小さい傾向を示し、本発明においては極めて好適な化合物であることがわかった。
比較例1は、有機塩化合物の代わりにノニオン界面活性剤を添加したものである。添加の効果はなく、回収時間を短縮することはできなかった。
比較例2及び3
実施例1と同様に、添加剤を加えない系で注入、回収実験を行った。結果を表1にまとめて示す。有機塩化合物を添加しない場合は、実施例に比べて回収時間が非常に長いことがわかる。
実施例9
実施例1と同様の試験材をSUS製の密閉缶に入れ、真空ポンプを用いて100torrまで減圧し、15分保持した。その後調製した化学処理薬剤を缶内に入れ、更に缶内を0.1MPa(ゲージ圧)に加圧、30分保持し木質材料中に化学処理薬剤を注入した。注入量は注入前後の木質材料質量差で判断した。
その後得られた木質材料を実施例1と同様の方法で高周波加熱し、同様の評価を行った。
使用した化学処理薬剤の添加剤種、添加量、回収量、回収時間を表1にまとめて示す。
加圧注入を行った場合も、同様の効果があることがわかる。
比較例4
添加剤を加えない以外は実施例9と同様にして、注入及び回収実験を行った。結果を表1にまとめて示す。
加圧注入を行った場合も、有機塩化合物を添加しない場合は、実施例に比べて回収時間が非常に長いことが分かる。
以上のように、有機塩化合物を添加した本発明の化学処理薬剤組成物は、有機溶媒の回収時間を大幅に短縮することが可能で、生産性の向上に極めて有効である。

Claims (3)

  1. 木質材料を改質するための化学処理薬剤組成物であって、改質有効成分、該有効成分を溶解する有機溶媒、及び有機塩化合物を含有し、且つ水の含有量が5質量%以下であることを特徴とする木質材料の化学処理薬剤組成物。
  2. 含水率が50質量%以下である木質材料を改質するために使用される請求項1に記載の木質材料の化学処理薬剤組成物。
  3. 水への溶解度が80(g/100g水)以下である有機塩化合物を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の木質材料の化学処理薬剤組成物。
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