JP4722691B2 - 既設構造物の土間コンクリートの補修方法 - Google Patents
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Description
また、土間コンクリ−トの支持地盤が軟弱地盤である場合は、土間コンクリートの基礎部位置に支持杭を打設して支持力を増強している。
この土間コンクリ−トの支持地盤は不十分な締め固めにより不同沈下を起したり、或いは十分に締め固めても長期間を経過すると圧密現象により沈下する場合がある。
支持地盤が沈下すると、竣工時は平坦だった土間コンクリートが窪むように変形したり、ひび割れを起こして段差を生じたりする。
(i)表層の切削補充方法
変形した土間コンクリ−トの表層を所定の厚さ(5cm程度)切削し、表層に調整コンクリ−トを打設して平坦に仕上げる方法。
(ii)コンクリ−トの打替え方法
変形した土間コンクリ−トを破砕して撤去した後、新たな土間コンクリ−トを打設する方法。
(iii)薬液注入方法
土間コンクリ−トの一部に注入孔を設け、この注入孔を通じてモルタルやコンクリート等の薬液を注入し、その注入圧で土間コンクリ−トを持ち上げる方法。
殊に工場を稼動させたまま土間コンクリートの補修を行った場合は、大量の粉塵が発生して操業に支障が出るだけでなく、騒音や振動により悪化した環境での操業を長期間に亘って強いることになるから、現実的には工場を稼動させたまま土間コンクリートの補修を行うことが難しい。
(2)上記iiiの補修方法は、薬液が他の空隙箇所や地盤の弱い部分に流れ込んで、補修箇所に必要とする圧力を作用させることが技術的に難しい。
そのため、土間コンクリートの補修のための制御が難しい問題と補修精度が低いという欠点がある。
さらに、薬液を大量に注入できたとしても、薬液注入後の現況を確認できないので補修効果に対する信頼性が低い。
(3)従来の補修技術は、土間コンクリートに搭載した設備や資材を一時的に撤去して行う必要があり、この補修期間中は工場を利用できない。
殊に、土間コンクリート上にライン生産設備が配置されている場合は、ライン全体の稼動を停止しなければならず、補修工事期間が長くかかるほど経済的損失が大きくなる。
(4)また従来の補修技術は、土間コンクリートの一部が変形している場合に、部分的に補修する際の対応性が悪く、補修を必要しない範囲も含めた広い範囲の補修を強いられる。
このように従来はわずかな傾斜を補修するために、多くの工期と工費を必要とする問題がある。
本願の第2発明は、支持地盤の変形に伴い変形した土間コンクリートを高さ調整して修正する既設構造物の土間コンクリートの補修方法であって、土間コンクリートの変形の中心部と、該中心部の周囲の複数箇所に開設した設置口に設置した複数のジャッキと、変形した土間コンクリートに載置して該土間コンクリートと一体に連結し、前記複数のジャッキに支承される複数の分散梁と、前記土間コンクリートの変形の中心部の設置口を跨いで設置し、前記複数の分散梁の一端を連結する門形に組み立てた門形伝達梁とを使用し、前記変形の中心部の設置口と、前記中心部の周囲の複数の設置口とを跨ぐように、前記複数の分散梁を放射状に配置し、複数の分散梁および門形伝達梁を支承する複数のジャッキにより変形した土間コンクリ−トの上面を水平に持ち上げ、ジャッキで持ち上げた状態で土間コンクリ−トの下方と支持地盤との間の空隙に固結材を注入したことを特徴とする、既設構造物の土間コンクリートの補修方法を提供する。
本願の第3発明は、前記第1又は第2発明において、土間コンクリートに複数の注入孔を開設し、一部の注入孔を通じて、土間コンクリ−トの下方と支持地盤との間の空隙に固結材を注入したことを特徴とする、既設構造物の土間コンクリートの補修方法を提供する。
本願の第4発明は、前記第1又は第2発明において、前記複数の分散梁を土間コンクリートの上面に均等な間隔で設置したことを特徴とする、既設構造物の土間コンクリートの補修方法を提供する。
本願の第5発明は、前記第1又は第2発明において、変形した土間コンクリ−トの変位を計測しながら、各ジャッキの伸張量を個別に調整して持ち上げることを特徴とする、既設構造物の土間コンクリートの補修方法を提供する。
(1)本発明では複数のジャッキと複数の分散梁と門形伝達梁とを使用し、土間コンクリ−トの上面を把持して機械的に持ち上げて固結材を注入するだけの作業である。
そのため、土間コンクリ−トを持ち上げるために土間コンクリ−トの下面への細工が一切不要となるだけでなく、分散梁の取り付け作業も土間コンクリ−トの上面での作業となる。したがって、作業性及び施工コストを大幅に改善できる。
(2)本発明は、力を分散するように複数の分散梁および門形伝達梁を介して土間コンクリートを持ち上げるものである。
そのため、土間コンクリ−トの補修中に、土間コンクリ−トの一部に力が集中して作用することがなくなり、土間コンクリ−トに大きな損傷を与えることなく安全確実に施工することができる。
(3)上記したように本発明は、複数の分散梁および門形伝達梁を介してジャッキの力で持ち上げるものである。
ジャッキは非常に細やかな伸縮ができるため、修正高さを現場の状況に応じて自在に制御して正確なレベル調整が可能であり、さらにレベル調整作業に熟練を要しない。
(4)土間コンクリートの切除は、ジャッキ設置分の必要最小限に抑制できるので、コンクリート産廃の発生量が極めて少なく、また補修作業を静粛で清潔な環境下で速やかに行うことが可能である。
そのため、従来の補修技術で生じていたコンクリート産廃の問題や、切除に伴う騒音、振動、粉塵等の問題を回避することができる。
(5)本発明は固結材の注入圧で以って土間コンクリ−トを持ち上げるものではなく、土間コンクリートを持ち上げてできた床下の空隙に固結材を注入するものである。
そのため、床下の空隙の全域に固結材を確実に充填することができる。
(6)土間コンクリートの床下の空隙に固結材を充填する際、土間コンクリートに複数の注入孔を開設しておけば、未使用の注入孔を通じて固結材の充填高さを確認できるので、固結材の確実な充填が行えるとだけでなく、充填ロスの発生を回避することができる。
(7)土間コンクリートの変形した量に応じて、部分的な補修だけでなく、広範囲に亘る全面的な補修も可能である。
さらに、部分的な補修であっても全面的な補修であっても、施工コストに大差なく低廉に施工できる。
(8)作業中に騒音や振動がほとんど発生せず、しかも粉塵の発生もほとんどみられないから、既設構造物内の環境を悪化させる心配もない。そのため、工場等の既設構造物を通常通りに使用、又は操業しながら土間コンクリートを補修することができる。
図2は支持地盤40の不同沈下や圧密沈下に起因して、窪むように変形した土間コンクリ−ト10の断面を示す。
この変形した土間コンクリ−ト10を水平に補修するためには、まず土間コンクリ−ト10にジャッキ設置用の設置口11,12を開設する。
設置口11,12は後述する分散梁20を複数箇所で支承し得るように所定の間隔を隔てて複数設ける。
望ましくは、土間コンクリ−ト10が最も変形して窪んだ箇所(変形の中心部)に設置口11を一箇所設け、さらにこの設置口11を中心とした放射位置に複数の設置口12を開設するとよい。
ジャッキ30は油圧式、メカニカル式などの公知のジャッキが適用可能である。
変形した土間コンクリ−ト10の上面に柱状を奏する複数の分散梁20を載置する。この際、ジャッキ30をセット済みの複数の設置口11,12に跨るように、各分散梁20を放射状に向けて設置する。
分散梁20は連設棒21と協働して変形した土間コンクリ−ト10に吊り上げ力を分散して伝達するための曲げ剛性の高い部材であり、例えば公知の鋼材を使用できる。
次に、各設置口11,12内にセット済みの全てのジャッキ30を一斉に伸張操作して土間コンクリ−ト10を押し上げて水平にする。
このとき、変形した土間コンクリ−ト10の変位を計測しながら、各ジャッキ30の伸張量を個別に調整する。土間コンクリ−ト10の変位計測はレベル計測器や水平器等を用いて行う。
中心部から離れた位置にセットしたジャッキ30の伸張は、放射状に配置した各分散梁20へ直接伝わり、同様に複数の連設棒21を介して各分散梁20から土間コンクリ−ト10へ押し上げ力として伝達される。
換言すれば、本発明は複数の分散梁20と連設棒21を使用して、土間コンクリ−ト10の上面を把持した状態でジャッキ30により機械的に持ち上げるものである。
そのため、変形した土間コンクリ−ト10に対して、力が分散して伝達されるので、土間コンクリ−ト10の一部に力が集中して作用することがなくなり、土間コンクリ−ト10に大きな損傷を与えることなく安全確実に水平に押し上げることが可能となる。
しかも、ジャッキ30は非常に細やかな伸縮ができるため、修正高さも自在に制御できるうえに、正確なレベル調整が可能であるあると共に、レベル調整作業に熟練を要しない。
万一、土間コンクリ−ト10を持ち上げ過ぎた場合も、所定の高さへ戻すことが容易である。
要は、複数の分散梁20が土間コンクリート10の上面上に、均等な間隔で設置されていて、補修予定の土間コンクリート10の全体に力が分散して作用する配置形態であればよい。
各設置口11内から土間コンクリ−ト10の下面と支持地盤40の間に既製ブロック製の支承材16を介装して土間コンクリ−ト10を仮支承する。
また必要に応じて、土間コンクリ−ト10の複数箇所に穿孔した注入用と注入確認用を兼ねた複数の注入孔14を利用して、土間コンクリ−ト10の下方に急硬性モルタルを塊状に注入し、硬化したコンクリート製の仮支承体51により土間コンクリ−ト10を複数箇所で仮支承する。
尚、注入孔13は土間コンクリ−ト10を持ち上げる前に予め開設しておいてもよい。
土間コンクリ−ト10の仮支承を完了したら、ジャッキ30を収縮して撤去すると共に、連設棒21を取り外して分散梁20や門形伝達梁23を土間コンクリ−ト10から切り離して撤去する。
土間コンクリ−ト10に作用する載荷重は、支承材16と硬化した仮支承体51で支持する。
土間コンクリ−ト10を仮支承した状態で、一部の注入孔15を通じて土間コンクリ−ト10の下方の空隙41に固結材50の注入を開始し、未使用の注入孔15から固結材50が溢れ出るまで注入する。
固結材50としては流動性に富んだ流動化処理土、急硬性モルタル、生コンクリート等を使用できる。
したがって、空隙41に注入した固結材50が他の部位へ漏出する心配がなく、しかも未使用の注入孔15を通じて固結材50の充填高さを確認できるので、空隙41の全域に注入することができる。
以上は、土間コンクリ−ト10を支承材16と硬化した仮支承体51で仮支承した状態で固結材50を注入した場合について説明したが、分散梁20等を介してジャッキ30で持ち上げた状態で土間コンクリ−ト10の下方の空隙41に固結材50を注入するようにしてもよい。
本例にあっては、固結材50が硬化した後に、ジャッキ30や分散梁20等を撤去することになる。
11,12・・・設置口
15・・・・・・注入孔
20・・・・・・分散梁
21・・・・・・連設棒
22・・・・・・受材
23・・・・・・門形伝達梁
30・・・・・・ジャッキ
40・・・・・・支持地盤
41・・・・・・空隙
50・・・・・・固結材
Claims (5)
- 支持地盤の変形に伴い変形した土間コンクリートを高さ調整して修正する既設構造物の土間コンクリートの補修方法であって、
土間コンクリートの変形の中心部と、該中心部の周囲の複数箇所に開設した設置口に設置した複数のジャッキと、
変形した土間コンクリートに載置して該土間コンクリートと一体に連結し、前記複数のジャッキに支承される複数の分散梁と、
前記土間コンクリートの変形の中心部の設置口を跨いで設置し、前記複数の分散梁の一端を連結する門形に組み立てた門形伝達梁とを使用し、
前記変形の中心部の設置口と、前記中心部の周囲の複数の設置口とを跨ぐように、前記複数の分散梁を放射状に配置し、
複数の分散梁および門形伝達梁を支承する複数のジャッキにより変形した土間コンクリ−トの上面を水平に持ち上げ、
ジャッキで持ち上げた状態で土間コンクリ−トの下方と支持地盤との間の空隙に仮支承材を介装し、
前記仮支承材で土間コンクリ−トを支承した状態で土間コンクリ−トの下方と支持地盤との間の空隙に固結材を注入したことを特徴とする、
既設構造物の土間コンクリートの補修方法。 - 支持地盤の変形に伴い変形した土間コンクリートを高さ調整して修正する既設構造物の土間コンクリートの補修方法であって、
土間コンクリートの変形の中心部と、該中心部の周囲の複数箇所に開設した設置口に設置した複数のジャッキと、
変形した土間コンクリートに載置して該土間コンクリートと一体に連結し、前記複数のジャッキに支承される複数の分散梁と、
前記土間コンクリートの変形の中心部の設置口を跨いで設置し、前記複数の分散梁の一端を連結する門形に組み立てた門形伝達梁とを使用し、
前記変形の中心部の設置口と、前記中心部の周囲の複数の設置口とを跨ぐように、前記複数の分散梁を放射状に配置し、
複数の分散梁および門形伝達梁を支承する複数のジャッキにより変形した土間コンクリ−トの上面を水平に持ち上げ、
ジャッキで持ち上げた状態で土間コンクリ−トの下方と支持地盤との間の空隙に固結材を注入したことを特徴とする、
既設構造物の土間コンクリートの補修方法。 - 請求項1又は請求項2において、土間コンクリートに複数の注入孔を開設し、一部の注入孔を通じて、土間コンクリ−トの下方と支持地盤との間の空隙に固結材を注入したことを特徴とする、既設構造物の土間コンクリートの補修方法。
- 請求項1又は請求項2において、前記複数の分散梁を土間コンクリートの上面に均等な間隔で設置したことを特徴とする、既設構造物の土間コンクリートの補修方法。
- 請求項1又は請求項2において、変形した土間コンクリ−トの変位を計測しながら、各ジャッキの伸張量を個別に調整して持ち上げることを特徴とする、既設構造物の土間コンクリートの補修方法。
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