JP4722414B2 - 脱硫剤及びその製造方法、脱硫方法並びに高純度水素の製造方法 - Google Patents

脱硫剤及びその製造方法、脱硫方法並びに高純度水素の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、脱硫剤及びその製造方法、脱硫方法並びに高純度水素の製造方法に関し、特に詳しくは、有機硫黄含有化合物等の種々の硫黄含有化合物から、硫黄を効率良く除去することができる脱硫剤及びその経済的にかつ効率的な製造方法、また、当該脱硫剤を用いた脱硫方法、更には当該脱硫剤を用いて燃料電池用の高純度水素、高度脱硫水素を製造する方法に関する。
近年、環境性に優れた高効率エネルギー変換技術として、燃料電池が国内外で脚光を浴びている。
この燃料電池には、使用する電解質の種類に応じて、燐酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型、固体高分子型などのものがあり、特に固体高分子型燃料電池は低温度で作動することもあり、次世代の燃料電池用自動車の動力源として着目されている。
燃料電池は、水素と酸素を電気化学的に反応させて化学エネルギーを電気エネルギーに効率良く変換できるものであるが、燃料源としての水素は、高純度であることが必要とされる。
かかる水素源としては、天然ガス、都市ガス、メタノール、合成液体燃料(GTL)、バイオフューエル、廃プラスチック油、またLPガス、石油系ナフサ、ガソリン、灯油等の石油系炭化水素化合物が考えられ、特に石油系炭化水素化合物は、保管及び取り扱いが容易である上、ガソリンスタンド等での供給施設が整備されていることから、水素源として有利である。
しかし、石油系炭化水素化合物は、硫黄分の含有量が多いという欠点があり、これでは、燃料電池の電極を硫黄が腐食してしまうため、特に固体高分子型燃料電池の場合、硫黄化合物は数十ppbレベル(望ましくは10ppb以下)まで除去されなければならないが、硫黄化合物中のH−S結合に加えてC−S結合を有効に切断して高い脱硫効率を実現することは未だ確立されていない。
更に、一般に燃料油は、水蒸気改質、部分酸化改質、オートサーマル改質等の改質処理を課して、改質処理されるが、硫黄分により、改質触媒が被毒されてしまうため、燃料油中の硫黄分を高度に脱硫することが必要とされる。
現在使用されている硫化水素(HS)などの脱硫方法としては、湿式方法と乾式方法とがある。湿式方法は、脱硫温度が低く、エネルギー損失が大きいという問題点があり、一方、乾式方法は、エネルギー損失が小さい一方、脱硫温度が高く商用的に利用可能(特に、再生利用可能)な脱硫方式はまだ開発されていない。通常使用されている乾式脱硫剤としては、酸化鉄や酸化亜鉛がある。
また、従来の乾式脱硫剤としての酸化鉄は、硫黄化合物を除去できる程度があまり高くなく、従って、酸化鉄を燃料電池のような硫黄化合物の存在によって著しく性能を低下させてしまうものに用いることはできず、脱硫剤としては十分な性能を有さない。
さらに、脱硫剤として使用されている酸化亜鉛は、硫黄化合物の吸収容量が劣り、再生も困難であり、繰り返し使用することはできない。
さらに、天然ガスの高度脱硫方法による水素製造方法としては、天然ガス・改質方法がある。天然ガスを改質して高度に脱硫した水素は燃料電池等に用いることができるものである。かかる高度脱硫水素を製造する従来の方法は、天然ガスを脱硫装置に流入し、酸化亜鉛等で硫化水素を精密脱硫し、高度脱硫天然ガスを得、次いで、得られた高度脱硫天然ガスを改質装置に送入することにより、高度脱硫水素を得るものである。
しかし、かかる従来の天然ガスの高度脱硫方法は、使用した酸化亜鉛等は廃棄され再利用することはできない。また、天然ガス中に含まれる硫化水素の濃度が高い場合(30〜1000ppm)には、精密脱硫を行う前に、MDEA(アミン)等を用いた粗脱硫を実施する必要があり、工程が煩雑となってしまう。
このような問題点を解決するため、以下の特許文献1に、脱硫剤として使用する亜鉛フェライトの製造方法が開示されている。脱硫剤としてのかかる亜鉛フェライトは、亜鉛―鉄二元系酸化物とすることで硫黄化合物の除去効率を向上させ、さらにその吸収容量を向上させようとするものである。
特開平4−74526号公報
しかし、前記亜鉛フェライト脱硫剤は、脱硫工程で使用した場合に、脱硫剤の分解または脱硫剤の内で炭素が析出し、硫黄化合物ガスが拡散する脱硫剤の細孔を閉塞したり、脱硫に関与しない副生成物を生成したりして脱硫効率を低下させてしまっている。また、再生後の脱硫剤の脱硫性能は大幅に低下してしまう。
また、脱硫剤として亜鉛フェライトにシリカを添加したZnFe−SiOも提案されている。かかる脱硫剤は、ZnFeにSiOを添加することにより脱硫性能は向上するものの、再生後の脱硫性能は著しく低下してしまい、繰り返し使用することは困難であった。
更に、以下の特許文献2には、燃料ガス中の硫黄化合物を除去するための脱硫剤として、ゼオライト担体に触媒活性金属を担持した脱硫剤が提案されているが、かかる脱硫剤は、燃料ガスからの吸着により硫黄化合物を脱硫するもので、かかる脱硫剤を液体燃料に適用することは困難であり、汎用性が狭く、また再生使用後の脱硫性能は著しく低下してしまい、やはり繰り返し使用することは困難であった。
特開2003−64386号公報
これらの問題を解消するため本発明者らは、以下の特許文献3において、ZnFe/SiO/モリブデン化合物(式中、モリブデン化合物は、MoS及び/又はMoOを示す)で表される化合物を含む脱硫剤、また、ZnFe/SiO/モリブデン化合物/チタン化合物(式中、モリブデン化合物は、MoS及び/又はMoOを、また、チタン化合物はTiOを示す)で表される化合物を含む脱硫剤を提案した。
特願2003−386108号(平成15年11月17日出願。優先日平成15年3月11日)
本発明者らによるこれらの脱硫剤は、硫黄含有化合物中の硫黄分を高度に効率良く除去することができ、硫化ジメチル((CH32S)で30ppb以下のレベル、硫化水素(HS)で30ppb以下のレベルにまで、硫黄濃度を低減することを可能とするものである。
しかも、1段工程(従来は3段工程)で硫黄分を除去することができ、脱硫剤の再生利用、脱硫反応の一時停止やその後の脱硫瞬時再開も可能となるなど、極めて優れた脱硫剤である。
本発明の目的は、上記のZnFe/SiO/モリブデン化合物や、ZnFe/SiO/モリブデン化合物/チタン化合物が含有する脱硫剤の性能を上回る優れた脱硫性能を有する脱硫剤を提供することであり、特に、硫黄化合物を10ppb以下にまで除去できる超高性能脱硫剤(固体高分子型燃料電池用の水素製造に容易に適用可能)を提供すること、また1段工程による脱硫が困難なチオフェン(CS)を含む硫黄含有化合物に対しても、高効率な脱硫性能を有する脱硫剤を提供することである。
また、本発明の目的は、硫黄含有化合物から硫黄を高効率で瞬時に1段工程で除去することができ、繰り返し再生の可能な超高性能の脱硫剤を提供すること、このような脱硫剤を経済的かつ効率的に製造できる脱硫剤の製造方法を提供すること、さらには、本発明の脱硫剤を用いて、硫黄含有化合物中の硫黄分を高度に効率良く除去することができる脱硫方法を提供することである。
また更に本発明の目的は、本発明の脱硫剤を用いて、硫黄含有化合物中の硫黄分を高度に効率良く除去し、改質処理を施すことにより、燃料電池用の高純度水素、高度脱硫水素を大量に低コストで製造する方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するため研究した結果、特定の組成を有する脱硫剤が、水素−硫黄結合や炭素−硫黄結合等の種々の硫黄結合を効率良く切断でき、脱硫性能を向上させるとともに、再生後の繰り返し使用においても脱硫性能が劣化しない脱硫剤が得られることを見いだし、本発明に到達した。
本発明の脱硫剤は、nFe SiO モリブデン化合物(モリブデン化合物は、MoS 及び/又はMoO を示す)とタングステン化合物(タングステン化合物は、WS を示す)とTiO からなる化合物の混合体を含むことを特徴とする。
そして、上記本発明の脱硫剤の製造方法は、nFe SiO からなる亜鉛フェライト・シリカに、モリブデン化合物(モリブデン化合物は、MoS及び/又はMoOを示す)と、タングステン化合物(タングステン化合物は、WSを示す)と、TiOとを添加して粉砕混合し、得られた混合物に成形助剤を添加して焼成することを特徴とする。
本発明の脱硫方法は、硫黄含有化合物から脱硫するにあたり、上記本発明の脱硫剤を、硫黄含有化合物と接触させることにより脱硫することを特徴とする。
好適には、上記脱硫方法において、使用した脱硫剤を酸化することにより再生し、当該再生した脱硫剤を繰り返し使用することが望ましい。
あるいは、上記脱硫方法において、脱硫剤と硫黄含有化合物との接触を一時停止した後、再度、脱硫剤と硫黄含有化合物とを接触させることが望ましい。
また、本発明の高純度水素の製造方法は、硫黄含有化合物と、本発明の脱硫剤とを接触させて硫黄含有化合物を脱硫した後、水蒸気改質することを特徴とする。
本発明の脱硫剤は、繰り返し脱硫再生が可能な高性能の脱硫剤であり、かかる脱硫剤を用いると、硫黄含有化合物中の硫黄分を高度に効率良く除去し、改質処理を施すことにより、高純度水素、高度脱硫水素を経済的に製造することが容易にできる。従って、電極や触媒が硫化水素等との反応で劣化しやすい燐酸型燃料電池、固体高分子型燃料電池等の燃料電池のような水素ガス中の許容硫化物濃度が極めて厳しい分野においても非常に有効に用いることができる。
また、本発明の脱硫剤の製造方法は、上記本発明の脱硫剤を経済的かつ効率的に製造することができるものである。
本発明の脱硫方法は、硫黄含有化合物中の硫黄分を高度に効率良く除去することができ、硫化水素(HS)で5ppb以下のレベル、硫化ジメチル((CHS)で検出限界濃度(5ppb)以下のレベル、さらにガソリン中で極めて脱硫が困難とされているチオフェン(CS)で400ppb以下にまで硫黄濃度を低減することを可能とするものである。また、本発明の脱硫剤を用いることにより、脱硫開始から高度脱硫開始までの時間(誘導期)が大幅に短縮され、しかも、脱硫に際して、脱硫反応と一時停止とを繰り返す断続的使用も可能となるなど、優れた脱硫性能を有している。すなわち、高度脱硫の開始および停止を容易に行うことができ、特に、脱硫一時停止状態から高度脱硫の瞬時開始(誘導期無し)が可能である。
また更に、本発明の脱硫剤を用いて、硫黄含有化合物中の硫黄分を高度に効率良く除去し、改質処理を施すことにより、大量に燃料電池用の高純度水素、高度脱硫水素を低コストで製造できることを可能とする。
本発明を、以下の好適例に基づいて説明する。
本発明の好適な脱硫剤は、nFe SiO モリブデン化合物(モリブデン化合物は、MoS 及び/又はMoO を示す)とタングステン化合物(タングステン化合物は、WS を示す)とTiO からなる化合物の混合体を含む。以下では、「AとBからなる混合物」を「A/B」又は「A−B」で、また、「AとBとCからなる化合物の混合体」を「A/B/C」又は「A−B−C」で表現する。
上記式中のモリブデン化合物であるMoS及び/又はMoOや、タングステン化合物であるWSは、含硫黄化合物の炭素−硫黄結合を水素化切断する際の触媒としての機能を有すると共に、ZnFe/SiOの構造安定化剤としての機能を有し、特に再生後の脱硫剤としての高性能性の維持を可能とする。
これらの構造安定化剤としてのMoS及び/又はMoOやWSは、TiOと同様にZnFeとSiOとの結合を安定化させ、脱硫した後の再生処理における亜鉛フェライトの凝集・不安定化を防止することができる機能を有する。
さらに必要に応じて、MoS及び/又はMoOやWSと、担体としてのTiOとを組み合わせて用いることにより、高度脱硫開始までの時間の大幅な短縮並びに脱硫反応と一時停止とを繰り返す断続的使用も可能とする。すなわち、高効率脱硫を瞬時に開始でき、脱硫停止、さらに脱硫再開始も容易に行うことができる。
上記本発明の脱硫剤の製造方法を以下に説明する。
その製造方法としては、酸化鉄及び酸化亜鉛の前駆物質と酸化珪素の前駆物資とを混合し、共沈法または均一沈殿法により水酸化物の形態で鉄及び亜鉛及び珪素成分を含有する沈殿物を形成させ、これを濾過、洗浄した後、乾燥、焼成することにより、さらには必要に応じて粉砕することにより、ZnFe―SiOを製造する。
亜鉛と鉄と珪素とが相互作用できる状態にあれば珪素の添加形態は特に制限されない。
亜鉛と鉄との混合比(Zn:Fe)は特に制限されないが、原子比として1:2〜1:4、好ましくは1:2〜1:3が使用する脱硫剤の量に対する脱硫効率の点から好ましい。なお、原子比が1:2よりFeの含有率が大きくなる場合には、Fe等が含まれることとなる。また、酸化珪素の添加量も、特に制限されないが、ZnFeとSiOの重量比(SiO/ZnFe)は、1/4〜2/1であることが、得られる脱硫剤の脱硫性能の点から好ましい。
酸化鉄または酸化亜鉛の前駆物質としては、例えば硝酸塩、硫酸塩、塩化塩等の水溶性塩が使用できる。また、珪素は、酸化珪素の前駆物質としては、ケイ酸、コロイダルシリカ、アモルファスシリカ等が使用できる。
具体的には、これらの鉄前駆物質、亜鉛前駆物質、珪素前駆物質が混合されている水溶液を攪拌した後、アンモニア等を用いた共沈法あるいは尿素等を用いた均一沈殿法で水酸化物として沈殿物を得る。沈殿物を得るための他の添加物質としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムも用いることができる。この沈殿物を熟成、洗浄、濾過した後、乾燥し、例えば300〜900℃の温度で焼成する。必要に応じて、得られた焼成物を粉砕することにより、ZnFe―SiOを製造する。
次いで、得られたZnFe―SiO焼成物に、水素化脱硫触媒兼構造安定化剤としてのMoS及び/又はMoOやWSを、さらに担体兼構造安定化剤としてのTiOを添加する。これらの混合物を粉砕混合し、得られた混合物に成形助剤を添加して焼成することにより、本発明のZnFe―SiO―モリブデン化合物―タングステン化合物―TiO(式中、モリブデン化合物は、MoS及び/又はMoOを、また、タングステン化合物はWSを示す)を得る。
添加するMoS(及び/又はMoO)、WS、さらにはTiOの量は、特に制限されないが、好適にはZnFe―SiOの重量に対して、その添加総量は1〜3倍程度が、得られる脱硫剤の脱硫性能を再生後においても維持させる点から好ましい。TiOの添加量は、モリブデン化合物及びタングステン化合物の総重量に対し1〜3倍とするのが、脱硫剤の反応性という点から好ましい。
脱硫剤の成形に際しては、成形助剤としてメチルセルソルブ、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、でんぷん、リグニン等の有機物を用いることができる。
また更に、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等の無機剤を加えて成形することも可能である。
次いで、焼成を温度400〜700℃で行い、例えば粒状、ペレット状、球状、円筒状、ハニカム状、板状等の任意の所望する形状に焼成成形して、本発明のZnFe―SiO―モリブデン化合物―タングステン化合物―TiO(式中、モリブデン化合物は、MoS及び/又はMoOを、また、タングステン化合物はWSを示す)の脱硫剤を得る。
このようにして得られた本発明の脱硫剤と、天然ガス、都市ガス、LPガス、ナフサ、ガソリン等の有機硫黄含有化合物や、HS、(CHS、CS等の硫黄化合物含有物質とを接触させることにより、これらの硫黄含有物質から硫黄分を脱硫することを可能とする。
具体的には、例えば天然ガス、都市ガス、LPガスや、加熱気化したナフサ、ガソリン等を、水素ととともに、本発明の脱硫剤と気相脱硫することにより、硫黄分の脱硫が図られる。
ここで使用される水素は、後述する水素製造工程により得られた水素を循環させて用いてもよいことは当然である。
脱硫条件としては、特に限定されず、有機硫黄含有化合物の性状により種々の設定が可能であるが、温度が300〜600℃、圧力が常圧〜1MPa・Gの範囲で行なわれることが、脱硫剤の反応性及び脱硫装置材料の経済性という理由の点から望ましい。
有機硫黄含有化合物の液体燃料の代表例であるガソリンには、チオフェン類、メルカプタン類、スルフィド類等の多くの硫黄化合物が含まれているが、その中のC−S結合の結合エネルギー性状は、ジメチルスルフィド(RS)と類似しており、ガソリン中の硫黄化合物を硫化水素と炭化水素とへ水素化分解する反応は、当該硫黄化合物の分子サイズ、結合性状等の考慮すべき点があるものの、基本的にはジメチルスルフィドの脱硫反応と同様である。
本発明の脱硫方法は、有機硫黄含有化合物の脱硫に有効である。
かかる脱硫機構は、例えば以下の反応式で表される(式中、Rは、炭化水素基を示す)。
脱硫(C−S結合切断,炭化水素及びHS生成)
(触媒:モリブデン化合物/タングステン化合物);
RSH+H→RH+H
S+H→RH+H
脱硫(HS吸収);
S+ZnFe+H→ZnS+FeS+H
上記したように、本発明の脱硫剤は、上記反応式で表される脱硫(C−S結合切断,HS生成)反応と脱硫(HS吸収)反応とを同時に進行させることができるため、本発明の脱硫方法は、有機硫黄含有化合物中の有機硫黄化合物を一工程で除去できる超高性能脱硫方法であり、例えば、硫黄濃度1000ppm以上の有機硫黄含有化合物の硫黄濃度を10ppb以下にまでクリーン化することを可能とする。また、硫黄濃度80ppm程度の有機硫黄含有化合物の硫黄濃度を5ppb以下にまでクリーン化可能である。
一方、従来の脱硫技術では、有機硫黄含有化合物中の有機硫黄化合物は、通常、次の3段階の反応工程にて除去される。
(1)水素化分解反応工程(C−S結合切断,HS生成反応):水素化触媒使用
(2)HS除去反応工程(粗脱硫,HS吸収反応):MDEA(アミン)等使用
(3)HS除去反応工程(精密脱硫,HS吸収反応):酸化亜鉛等使用
本発明の脱硫方法は、従来の3段階工程を要する脱硫が、1段工程で脱硫できる超高性能脱硫方法であり、従来の脱硫方法と比較して大幅な高効率方式である。また、酸化亜鉛等による従来の上記精密脱硫方式では、有機硫黄含有化合物の硫黄濃度を30〜25ppb程度(平衡濃度)までしか低減できないが、本発明の脱硫方法では5ppb以下にまでクリーン化可能である。
しかも、本発明の脱硫方法は、高性能脱硫のため、後流の改質プロセス(水素製造用)における触媒被毒は消失もしくは大幅に軽減される。さらに、再生可能な脱硫剤のため、環境保全性、資源再利用、システムのコンパクト化、経済性等の観点からも優れたものと評価できる。
本発明の脱硫方法に用いることができる硫黄含有化合物は、気相脱硫が可能なものであれば特に限定されず、天然ガス、都市ガス、アルコール、エーテル、LPG,ナフサ、ガソリン、灯油、軽油、石炭液化オイル等の種々の有機硫黄含有化合物や、硫化水素含有化合物が上げられる。石油産業(石油精製)、鉄鋼産業(コークス炉)等からのオフガスや副生水素、更に有機性廃棄物からの水素生成細菌にて得られる水素系ガス等の高度脱硫、高純度化にも適用可能である。
また、本発明の脱硫剤は、脱硫剤として使用した後、低濃度の酸素ガスにより酸化することにより再生でき、当該再生した脱硫剤を繰り返し使用することができる。このような繰り返しの使用によっても、脱硫性能が劣ることなく、むしろ性能向上する。また、脱硫反応において、一時停止と脱硫反応を繰り返す断続的使用も可能であり、必要時に瞬時に高度脱硫を可能とする優れた脱硫性能を発揮することができる。
これは、上記したように、本発明の脱硫剤の構造中、モリブデン化合物として使用するMoSやMoO、及びタングステン化合物であるWS、並びにTiOが、ZnFe−SiOの結合を安定化させ、脱硫した後の再生処理における亜鉛フェライトの凝集・不安定化を防止するとともに脱硫性能を強化する機能を有するからである。
本発明の脱硫剤は、脱硫初期段階において脱硫−酸化再生を繰り返すと、より優れた脱硫性能を示す。脱硫再生を繰り返すと、硫化モリブデン(及び/又はタングステン)や酸化モリブデン(及び/又はタングステン)等が混在するコンプレックス型の脱硫剤となり、当該使用モリブデン(及び/又はタングステン)化合物自体よりも優れた脱硫性能を発揮するものと考えられる。
担体として使用するTiOは、上記脱硫反応を速やかに行わせる機能を有すると考えられる。
このようにして得られた再生脱硫剤の脱硫性能は、新規に調製した脱硫剤よりも、より優れた脱硫性能を示し、例えば硫化ジメチルを検出限界以下(5ppb以下)、また硫化水素も5ppb以下、さらに、脱硫困難とされるチオフェンも400ppb以下にまでクリーン化することを可能とする。
また、本発明の高純度水素の製造方法、特に燃料電池用水素の製造方法は、上記脱硫工程を経た後に、水蒸気改質して、CO変性することにより、高純度水素又は高度脱硫水素を製造することができる。
かかる反応機構は、以下の反応式で表される。
水蒸気改質 C2n+2+HO→H+CO+CO
CO変性 CO+HO→H+CO
本発明においては、脱硫装置にて高度脱硫を実施し、次いで脱硫装置から出たガスを改質装置に通じ、改質装置にて改質生成したHガスの一部を、例えば5%程度の水素ガスを、脱硫装置の上流に戻すことにより、脱硫装置に流入する被脱硫物を、水素還元性雰囲気として高度脱硫し、この高度脱硫物を改質装置に送入することにより、高度脱硫水素が得られるのである。
このように、本発明の脱硫剤を用いると、有機硫黄含有化合物等の硫黄化合物の分解及び硫化水素の吸収を同時に進行させることができ、例えば天然ガス、都市ガス、LPガス、ナフサ、ガソリンなどから、改質により高純度水素又は高度脱硫水素が容易にかつ経済的に得られる。
改質段階(従来技術)においても、以下のメリットが期待できる。水素原料が超高度脱硫(10ppb以下)されているため、水蒸気改質触媒(Ni触媒等)やCO変性触媒の硫黄被毒は大幅もしくは完全に防止される。これにより、改質触媒の活性劣化や炭素析出は極度に減少し、プラント効率的に優れた低S/C(スチーム/カーボン比)改質装置運転が可能となること、またCO変性装置の運転効率も向上し、水素製造コストの大幅低減が可能となる。
従って、電極が硫化水素等との反応で劣化しやすい燐酸型燃料電池、固体高分子型燃料電池のような水素ガス中の許容硫化物濃度が厳しい分野においても、高純度の水素が得られるため、産業上非常に有効である。また、燃料ガスの許容硫化物濃度が緩やかな(1ppm以下)溶融炭酸塩型燃料電池又は固体電解質型燃料電池等の燃料電池へも容易に適用できる。
本発明を以下の実施例及び試験例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
硝酸亜鉛六水和物を約22.3g、硝酸鉄(III)九水和物を約60.6g、コロイダルシリカを約30.1g及び、蒸留水を、全体で150mlとなるよう添加して攪拌混合した。
得られた混合液にアンモニアを約35ml添加して溶液のpHを7に調整し、水酸化物を共沈させた。
得られた水酸化物を1時間熟成後、濾過し、純水を用いて5回洗浄し、120℃で12時間乾燥した後、電気炉にて3時間で800℃まで昇温し、その後800℃で5時間焼成し、乳鉢を用いて粉砕して、ZnFe―SiOを得た。
次いで、得られたZnFe―SiOに対して、重量で1倍のTiO、各0.5倍のMoSとWSを添加して、成形助剤としてのリグニンを全質量の5%添加し、乳鉢にて混合した。
混合して得られた物質を、錠剤成形器にてタブレット状に成形し、乾燥させた後、500℃で1時間焼成して、焼成物を乳鉢にて粉砕し、平均粒径500〜700μmに分級して、本発明のZnFe/SiO/MoS/WS/TiO脱硫剤を得た。
(試験例)
<脱硫剤再生方式脱硫試験および脱硫一時停止瞬時再開方式脱硫試験>
脱硫剤再生方式・脱硫試験は、脱硫反応において、脱硫剤の硫化が進んだ時点もしくは脱硫剤の脱硫性能が消失した時点(破過時点)で、当該脱硫剤を酸化することにより再生して次の脱硫反応を実施する方式であり、脱硫と脱硫剤再生とを断続的に繰り返す脱硫試験である。
一方、脱硫一時停止瞬時再開方式・脱硫試験は、脱硫反応において、脱硫剤が高度脱硫性能を維持している期間を対象とするものであり、脱硫反応を一時停止して試験用ガスをNガスに切り替え、必要に応じて次の脱硫反応を瞬時に再開する脱硫方式であり、脱硫と一時停止とを断続的に繰り返す脱硫試験である。
上記実施例1で得られた脱硫剤を用いて、下記の固定床流通式反応装置(反応管)により脱硫剤再生方式脱硫試験及び脱硫一時停止・瞬時再開方式脱硫試験を行った。
反応管:石英ガラス製 内径7.6mm 外径10.0mm
長さ40.0mm(反応領域) 反応管全長 450.0mm
(1)脱硫試験(脱硫剤再生方式)条件
圧力 常圧
温度 450℃
ガス組成1 HS濃度 1000ppm
20容量%
バランス(80容量%)
ガス組成2 (CHS濃度 100ppm
20容量%
バランス(80容量%)
ガス組成3 CS濃度 20ppm
20容量%
バランス(80容量%)
ガス流量 100ml/分
脱硫剤試料重量 600mg
(2)脱硫剤再生試験条件
圧力 常圧
温度 450℃
ガス組成4(酸化再生時間:60分)
2容量%
98容量%
ガス流量 100ml/分
脱硫剤試料重量 600mg
(3)脱硫試験(脱硫一時停止瞬時再開方式)条件
圧力 常圧
温度 450℃
ガス組成5(脱硫反応:1回100分)
S濃度 80ppm
20容量%
バランス(80容量%)
ガス組成6(脱硫反応:1回60分) ガス組成2と同じ
(CHS濃度 100ppm
20容量%
バランス(80容量%)
ガス組成7(脱硫反応:1回80分) ガス組成3と同じ
S濃度 20ppm
20容量%
バランス(80容量%)
ガス組成8(脱硫一時停止:1回5分)
100容量%
ガス流量 100ml/分
脱硫剤試料重量 600mg
試験例1(ガス組成1;HS:1000ppm)(脱硫剤再生方式)
実施例1で得られた脱硫剤を上記脱硫条件(脱硫温度;450℃、脱硫ガス組成1;HS)にて脱硫し、次いで上記脱硫剤再生条件にて酸化再生をして繰り返し脱硫試験をおこない、固定床流通式反応装置の出口ガスのHS濃度を、FPD検出器を有するガスクロマトグラフ(装置番号;G2800−FPD、株式会社柳本製作所製)にて測定した。その結果を図1に示す。
図1は、当該脱硫剤(酸化再生処理済)を使用し、HS(硫化水素)濃度1000ppmのガスの脱硫試験結果であるが、脱硫装置出口ガスの定常状態での残留HS濃度は、第1回脱硫が15ppb程度であり、第2回脱硫が10ppb程度であった。これらにより、本発明のZnFe/SiO/MoS/WS/TiO脱硫剤は、HS吸収能力が極めて優れた脱硫剤であり、しかも脱硫再生処理を行った後も、HS吸収能力が衰えず、高性能脱硫維持時間も長くなっていることがわかる。
試験例2(ガス組成5;HS:80ppm)(脱硫一時停止瞬時再開方式)
実施例1で得られた脱硫剤(新規調製)を用いて、上記脱硫一時停止瞬時再開方式試験条件にて、低濃度HS(80ppm)試験ガスによる脱硫試験を行った。当該試験は、脱硫ガス組成をガス組成5;HSで100分間の脱硫を行い、その後脱硫反応を一時停止させ5分間はガス組成8;Nを流し、反応管の中にあるHSを流し出し、その後再度脱硫ガス組成をガス組成5に代え脱硫反応行う。さらに、同様に一時停止と脱硫反応を繰り返す。また、固定床流通式脱硫反応装置の出口ガスのHS濃度を測定した。その結果を図2に示す。
図2の結果により、定常状態における残留HS濃度は、第1回脱硫では15ppb以下であり、第2回脱硫では10ppb以下、第3回脱硫以降では5〜3ppb以下の値を示す。しかも、残留HSに関し、第1回脱硫では定常状態になるまでの時間が約70分程度を要しているが、脱硫反応を一時停止した後、第2回脱硫以降では、ほぼ瞬時に定常状態に達し、脱硫性能も極めて高いことを示している。更に一時停止して、その後再び脱硫反応を繰り返す断続的使用も可能である。
これにより、本発明の脱硫剤は、脱硫反応において、一時停止状態から高度脱硫の瞬時再開(ホット・リスタート)が可能であることが明示される。
試験例3(ガス組成2;(CHS 100ppm)(脱硫剤再生方式)
実施例1の脱硫剤に対し酸化再生を行ない、脱硫ガス組成を脱硫ガス組成2;(CHS(硫化ジメチル)に代えて、1回のみ脱硫試験を行い、固定床流通式反応装置の出口ガスの(CHS濃度とHS(硫化水素)濃度とを測定した。その結果を図3に示す。
この脱硫反応では、(CHSは水素化分解され、その分解で副生したHSは脱硫剤に吸収されるが、図3の結果(低感度計測)より、残留(CHSおよび残留HSは、定常状態で殆ど検出されない。低感度計測の濃度検出限界値より、残留(CHSおよびHSはいずれも10ppb程度以下となることが示される。本発明の脱硫剤は、硫化ジメチルに対しても、極めて優れた脱硫性能を有している。しかも、脱硫開始から15分程度で定常状態となるなど、極めて短時間で効果的に硫化ジメチルを脱硫していることが理解される。
試験例4(ガス組成2/6;(CHS 100ppm)(脱硫一時停止瞬時再開方式)
実施例1の脱硫剤に対し酸化再生を行ない、上記脱硫一時停止瞬時再開方式試験条件にて脱硫試験を行った。当該試験は、脱硫ガス組成をガス組成2;(CHS(硫化ジメチル)で60分間の脱硫を行い、その後脱硫反応を一時停止させ5分間はガス組成8;Nを流し、その後再度脱硫ガス組成2に代え脱硫反応行う。さらに、同様に一時停止と脱硫反応を繰り返す。また、固定床流通式反応装置の出口ガスの(CHS濃度とHS濃度とを測定した。その結果を図4に示す
この脱硫方式では、図4の結果より、第1回一時停止後の第2回以降の脱硫反応において残留(CHSは全く検出されない(検出限界:5ppb)。また、残留HSは、5ppb以下である。残留(CHS濃度は、平衡論的には1ppb以下と考えられる。これにより、本発明の脱硫剤は、硫化ジメチルに対しても極めて優れた脱硫性能を有すること、特に、脱硫開始から定常状態までに誘導期は無く、一時停止状態から超高度脱硫の瞬時再開(ホット・リスタート)が可能であることが明示される。
試験例5(ガス組成3;CS 20ppm)(脱硫剤再生方式)
実施例1の脱硫剤に対し酸化再生を行ない、脱硫ガス組成を脱硫ガス組成3;CS(チオフェン)に代えた以外は、試験例1と同様に脱硫試験を行った。固定床流通式反応装置の出口ガスのCS濃度とHS濃度とを測定した。その結果を図5に示す。
この脱硫反応では、CSは水素化分解され、その分解で副生したHSは脱硫剤に吸収されるが、図5の結果(低感度計測)より、CS及びHSは、定常状態で殆ど検出されない。低感度計測の検出限界値より、残留CS濃度は500ppb以下、残留HS濃度は検出限界値10ppb以下である。本発明の脱硫剤は、チオフェンに対しても、優れた脱硫性能を有している。脱硫開始から45分程度で定常状態となる。また、脱硫剤の酸化再生を行い、繰り返し脱硫反応を行った場合の方が、より高い脱硫性能を示す傾向にある。
試験例6(ガス組成3/7;CS 20ppm)(脱硫一時停止瞬時再開方式)
実施例1の脱硫剤を用いて、上記の脱硫一時停止瞬時再開方式試験条件により、脱硫試験を行った。当該脱硫試験は、脱硫ガス組成をガス組成3;CS(チオフェン)で80分間、脱硫を行い、その後5分間はガス組成8;Nを流し、反応管の中にあるチオフェンを流し出すことにより、脱硫反応を一時停止させ、その後、再度脱硫ガス組成をガス組成3に代え脱硫反応行う。さらに、同様に一時停止と脱硫反応を繰り返す。また、固定床流通式反応装置の出口ガスのCS濃度とHS濃度とを測定した。その結果を図6に示す。
図6の結果により、定常状態における残留CS濃度は、400ppb以下であり、残留HS濃度は、一時停止後の第2回脱硫以降では5ppb以下の値を示す。チオフェンに関し、第1回脱硫では定常状態になるまでの時間が約40分程度を要しているが、脱硫反応を一時停止した後の場合では、約20分程度で定常状態に達し、脱硫性能も極めて高いことを示している。これにより、本発明の脱硫剤は、チオフェンの脱硫反応において、脱硫反応と一時停止を繰り返す断続的使用が可能であることが明示される。
本発明の脱硫剤は、ガソリン中の脱硫困難とされるチオフェンに対しても極めて優れた脱硫剤であるが、この物質から高度脱硫水素(10ppb以下)の製造を目的とする場合の脱硫剤としては更に工夫が必要とされる。
本発明の脱硫剤は、硫化水素、スルフィド、チオフェンなどの硫黄含有化合物から硫黄を高効率で瞬時に1段工程(従来は3段工程)で除去することができ、繰り返し脱硫剤の再生が可能な超高性能の脱硫剤である。
上述したように、大別して2方式の脱硫法がある。「脱硫剤再生方式」は、脱硫反応において、脱硫剤の脱硫性能が低下した時点(破過時点等)で、当該脱硫剤を酸化させることにより、脱硫剤の脱硫性能を最初の状態に再生することを可能とするものである。当該方式では、脱硫剤再生により長時間にわたり高度脱硫を行うことを可能とするものであり、ガス化プラントにおけるガス精製の長時間連続運転(2塔切換え方式)等に適している。
一方、「脱硫一時停止瞬時再開方式」は、脱硫剤が高脱硫性能を維持している期間を対象とするものであり、脱硫装置を一時停止状態しておき、脱硫すべき物質が到着した時点で瞬時に高度脱硫を開始できる利便性の高い脱硫方式である。脱硫反応一時停止期間においては、脱硫装置を窒素置換することにより、安全確保することが可能となる。
また、本発明の脱硫剤の製造方法は、上記本発明の脱硫剤を経済的かつ効率的に製造することができるものである。
本発明の脱硫剤を用いた脱硫方法は、硫黄含有化合物中の硫黄分を高度に効率良く除去することができ、硫化水素(HS)で5ppb以下のレベル、スルフィド類の代表的化合物としての硫化ジメチル((CHS)で5ppb以下のレベル、さらにガソリン中で極めて脱硫が困難とされているチオフェン(CS)で400ppb以下にまで、硫黄濃度を低減することを可能とする。
しかもこの脱硫方法により、高度脱硫開始までの時間が短く、脱硫に際して、脱硫反応と一時停止を繰り返す断続的使用も可能となるなど、優れた脱硫性能を提供することができる。
また更に、本発明の脱硫剤を用いて、硫黄含有化合物中の硫黄分を高度に効率良く除去し、改質処理を施すことにより、大量に燃料電池用の高純度水素、高度脱硫水素を低コストで製造できることを可能とする。
かかる脱硫剤を用いて得られた低硫黄濃度(5〜10ppb以下)の化合物を改質することにより、高純度水素、高度脱硫水素を経済的に製造することが容易にできる。従って、電極や触媒が硫化水素等との反応で劣化しやすい燐酸型燃料電池、固体高分子型燃料電池等の燃料電池のような水素ガス中の許容硫化物濃度が極めて厳しい分野においても非常に有効に用いることができる。
本発明の超高性能脱硫剤は、従来の脱硫プロセスを大幅にシンプル化できること、超高度脱硫性能を有すること等に基づく優れた経済性により、以下に示す適用が可能である。
天然ガス、都市ガス、LPG、ナフサ等への適用により、水蒸気改質系の燃料電池用高純度水素製造、また高度脱硫合成ガスを経る液体燃料合成(GTL:メタノール、DME合成等)の大幅効率改善が可能である。
石油精製副生ガス、鉄鉱業コークス炉副生ガス、バイオガス等への適用により、高度脱硫水素系ガス、燃料電池用高純度水素製造の大幅経済性向上が可能である。
石炭ガス化ガスへの適用により、次世代型石炭ガス化複合発電(高温GT使用)や、石炭ガス化燃料電池複合発電等の高効率発電システムの構築が可能である。
自動車用ガソリンの脱硫精製工程への適用により、高度脱硫・高オクタン価ガソリンの高効率製造が可能である。
硫化水素の脱硫試験(脱硫剤酸化再生方式;使用硫化水素:1000ppm)。本発明の脱硫剤(ZnFe/SiO/MoS/WS/TiO)の脱硫再生特性を時間と硫化水素濃度(ppb)との関係で示した線図(硫化水素濃度:脱硫装置出口ガス)である。 硫化水素の脱硫試験(脱硫一時停止瞬時再開方式;使用硫化水素:80ppm)。本発明の脱硫剤(ZnFe/SiO/MoS/WS/TiO)の脱硫特性を時間と硫化水素濃度(ppb)との関係で示した線図(硫化水素濃度:脱硫装置出口ガス)である。 硫化ジメチルの脱硫試験(脱硫剤酸化再生方式;使用硫化ジメチル:100ppm)。本発明の脱硫剤(ZnFe/SiO/MoS/WS/TiO)の酸化再生後の脱硫特性を時間と硫化ジメチル濃度(ppm)及び硫化水素濃度(ppb)との関係で示した線図(硫化ジメチル及び硫化水素濃度:脱硫装置出口ガス;低感度計測値)である。 硫化ジメチルの脱硫試験(脱硫一時停止瞬時再開方式;使用硫化ジメチル:100ppm)。本発明の脱硫剤(ZnFe/SiO/MoS/WS/TiO)の脱硫特性を時間と硫化ジメチル濃度(ppb)及び硫化水素濃度(ppb)との関係で示した線図(硫化ジメチル及び硫化水素濃度:脱硫装置出口ガス)である。 チオフェンの脱硫試験(脱硫剤酸化再生方式;使用チオフェン:20ppm)。本発明の脱硫剤(ZnFe/SiO/MoS/WS/TiO)の脱硫再生特性を時間とチオフェン濃度(ppm)及び硫化水素濃度(ppb)との関係で示した線図(チオフェン濃度及び硫化水素濃度:脱硫装置出口ガス;低感度計測値)である。 チオフェンの脱硫試験(脱硫一時停止瞬時再開方式;使用チオフェン:20ppm)。本発明の脱硫剤(ZnFe/SiO/MoS/WS/TiO)の脱硫特性を時間とチオフェン濃度(ppm)及び硫化水素濃度(ppb)との関係で示した線図(チオフェン濃度及び硫化水素濃度:脱硫装置出口ガス)である。

Claims (6)

  1. nFe SiO モリブデン化合物(モリブデン化合物は、MoS 及び/又はMoO を示す)とタングステン化合物(タングステン化合物は、WS を示す)とTiO からなる化合物の混合体を含むことを特徴とする脱硫剤。
  2. 請求項1記載の脱硫剤を製造するにあたり、nFe SiO からなる亜鉛フェライト・シリカに、モリブデン化合物(モリブデン化合物は、MoS及び/又はMoOを示す)と、タングステン化合物(タングステン化合物は、WSを示す)と、TiOとを添加して粉砕混合し、得られた混合物に成形助剤を添加して焼成することを特徴とする脱硫剤の製造方法。
  3. 硫黄含有化合物から脱硫するにあたり、請求項1記載の脱硫剤を、硫黄含有化合物と接触させることにより脱硫することを特徴とする硫黄含有化合物の脱硫方法。
  4. 請求項3記載の脱硫方法において、使用した脱硫剤を酸化することにより再生し、当該再生した脱硫剤を繰り返し使用することを特徴とする硫黄含有化合物の脱硫方法。
  5. 請求項3記載の脱硫方法において、脱硫剤と硫黄含有化合物との接触を一時停止した後、再度、脱硫剤と硫黄含有化合物とを接触させることを特徴とする硫黄含有化合物の脱硫方法。
  6. 硫黄含有化合物と、請求項1記載の脱硫剤とを接触させて硫黄含有化合物を脱硫した後、水蒸気改質処理することを特徴とする高純度水素の製造方法。
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