JP4722289B2 - 新規の方法により単離される、腫瘍抗原及びctlクローン - Google Patents

新規の方法により単離される、腫瘍抗原及びctlクローン Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞障害性Tリンパ球(CTL)クローンの単離に関する。本発明のCTLクローンは、リンパ球を、異なる発現系、例えば、組換エルシニア、組換サルモネラや、組換ウイルス由来の抗原を提示する抗原提示細胞で刺激及び試験して単離したものである。本発明は更に、MAGEファミリー蛋白質に特異的である、単離されたCTLクローンに関する。抗原性ペプチドもまた、単離されたCTLクローンにより認識されるペプチド/HLA複合体と同様に提供される。
【0002】
【従来の技術】
哺乳類の被験者での免疫応答における重要な側面は、細胞表面分子の複合体、即ち、ペプチドとHLA(ヒト白血球抗原)の複合体、又はMHC(主要組織適合複合体)分子の、T細胞による認識である。これらのペプチドは、より大型の分子であって、これもまたHLA/MHC分子を提示している細胞により処理されるものに由来する。この点に関しては、Male et al.、Advanced Imunology(J.P. Lipincott Company,1987)、特に第6-10章を参照のこと。T細胞とHLA/ペプチド複合体との間の相互作用は、制限されていて、HLA分子とペプチドの特定の組み合わせに特異的なT細胞を必要とする。もし特異的T細胞が存在しないと、たとえパートナー複合体が存在してもT細胞応答は一切生じない。同様に、特定の複合体は存在しないが、T細胞が存在する場合にも、応答は一切生じない。この機構には外来性物質に対する免疫システム応答、自己免疫病理学、及び細胞性異常への応答が関与する。
【0003】
最も進行的に増殖している新生物細胞は、腫瘍拒絶抗原(TRA)ともよばれる、潜在的に免疫原性の腫瘍付随性抗原(TAA)を発現している。腫瘍拒絶抗原前駆体(又はTRAP)をコードしている数多くの遺伝子が同定されているが、これは腫瘍細胞においてTRAへと処理される。このようなTRAP-コード遺伝子には、MAGEファミリー、BAGEファミリー、DAGE/PRAMEファミリー、GAGEファミリー、RAGEファミリー、SMAGEファミリー、NAG、チロシナーゼ、Melan-A/MART-1、gp100、MUC-1、TAG-72、CA125、変異癌原遺伝子(例えばpraise)、変異癌抑制遺伝子(例えばp53)、腫瘍付随ウイルス抗原(例えばHPV16 E7)のメンバーが含まれる。例えば、Van den Eynde and van der Bruggen (1997)Current Opin. Immunol. 9:684-693、Sahin et al. (1997) in Curr. Opin. Immunol. 9:709-716、及びShawler et al. (1997) Advances in Pharmacology 40: 309-337、Academic Press、Inc.、San Diego、Californiaのレビューを参照されたし。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
TRAは、他の抗原性エピトープと同様に、腫瘍細胞の表面においてMHC分子により提示され、そして生体内及び試験管内でのCTL応答を誘導することが示されている。例えば、van der Bruggen et al.(1991) Science 254: 1643-1647を参照されたし。しかしながらこのようなTRA発現性腫瘍細胞は、悪性細胞の増殖を制御することが可能な、信頼性のある抗腫瘍性免疫応答を生体内で惹起することはない。Boon et al. (1992) Cancer Surveys 13: 23-37;T. Boon (1993) Int. J. Cancer 54: 177-180; T. Boon (1992) Advances Cancer Res. 58: 177-209。従って、特定のTRAを認識するCTLクローンは、腫瘍療法学の強力なツールを提供する。TRAの同定により、多様な病理的状態の治療のための組換ワクチンの設計が可能になる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、CTLクローンを単離するための新規の方法を提供する。その方法に従うことにより、抗原性ペプチドまたは蛋白質、好ましくはMAGEファミリーのものを特異的に認識する新規のCTLクローンが単離された。これらのペプチドを提示するMHC分子も同様に同定された。
【0006】
発明の要約
本発明の一の態様は、CTLクローンを試料から単離する方法を提供する。
【0007】
本発明の方法は、リンパ球を抗原提示細胞で逐次、刺激及び試験する工程を含む。この方法は、異なる抗原提示細胞を異なる工程で使用することにより、当該方法において生じる非特異的なCTL活性を顕著に減少させ、より効率的なCTLクローンの単離を許容する。
【0008】
本発明の方法において使用される抗原提示細胞は、提示する当該抗原が由来する細胞のタイプ及び/又は発現システムにおいて異なっていてもよい。本方法において、抗原提示細胞として使用する細胞には、専門的及び条件的な(professional and facultative)抗原提示細胞が含まれる。好ましい抗原提示細胞は、自己樹状細胞、EBVで形質転換された自己B細胞や、活性化T細胞である。
【0009】
抗原提示細胞は、種々の方法、好ましくは組換エルシニア、組換サルモネラ、組換ウイルスによる感染により修飾して、細胞表面において興味ある抗原の発現に影響を与えることができる。好ましい組換ウイルスには、ワクシニア、カナリア痘ウイルス、他のポックスウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、及びレトロウイルスが含まれる。
【0010】
CTLクローンの産生の対象とした蛋白質は、腫瘍付随蛋白質、病原体の抗原性蛋白質等とすることができる。好ましくは、当該蛋白質は、MAGEファミリーのメンバー、具体的には、MAGE-A1、MAGE-A3、及びMAGE-A4である。
【0011】
本発明の別の態様においては、本発明の方法を使用して単離したCTLクローンが意図されている。
【0012】
好ましい態様において本発明は、単離されたCTLクローンであって、以下のそれぞれのペプチド/HLA複合体に特異的なもの:SAYGEPRKL(配列番号:2)/HLA-Cw3、DPARYEFLW(配列番号:42)/HLA-B53、GVYDGREHTV(配列番号:44)/HLA-A2、SAFPTTINF(配列番号:47)/HLA-Cw2、EIIYDGREHSA(配列番号:48)/HLA-A28、AELVHFLLL(配列番号:55)/HLA-B40、及びRVRFFFPSL(配列番号:57)/HLA-B7を提供する。
【0013】
より好ましい態様において本発明は、単離されたCTLクローンである、LB1137 452/F3.2、LB1801 456/H7.11、LB1118 466/D3.31、LB1801 456/H8.33、LB1137 H4.13、LB1841 526/F7.1、及びLB1803 483/G8.4を提供する。
【0014】
更に本発明は、本発明の方法により単離したCTLクローンを使用して、蛋白質の抗原性ペプチドエピトープを同定する方法を提供する。
【0015】
更に別の態様において本発明は、新規の単離された抗原性ペプチド:DPARYEFLW(MAGE-A1 258-266)(配列番号:42)、GVYDGREHTV(MAGE-A4 230-239)(配列番号:44)、SAFPTTINF(配列番号:47)(MAGE-A1 62-70)、EVYDGREHSA(配列番号:48)(MAGE-A1 222-231)、AELVHFLLL(配列番号:55)(MAGE-A3 114-122)、RVRFFFPSL(配列番号:57)(MAGE-A1 289-297)を提供する。このようなペプチドをコードする配列もまた、意図する。
【0016】
別の態様において本発明は、単離されたペプチド/HLA複合体:HLA-Cw3と複合体化したペプチドSAYGEPRKL(配列番号:2)、HLA-B53と複合体化したペプチドDPARYEFLW(配列番号:42)、HLA-A2と複合体化したペプチドGVYDGREHTV(配列番号:44)、HLA-Cw2と複合体化したペプチドSAFPTTINF(配列番号:47)、HLA-A28と複合体化したEVYDGREHSA(配列番号:48)、HLA-B40と複合体化したAELVHFLLL(配列番号:55)、及びHLA-B7と複合体化したRVRFFFPSL(配列番号:57)を提供する。
【0017】
別の態様においては、これらのペプチド/HLA複合体のいずれかを発現している細胞を意図している。
【0018】
本発明の更に別の態様は、薬学的組成物であって、単離されたCTLクローン、抗原性ペプチド、ペプチド/HLA複合体、及び本発明のペプチド/HLA複合体を発現しているもののうちのいずれか一つを含むものを提供する。
【0019】
更なる態様においては、本発明は種々の病理的状態を診断・治療するのに有益な方法を提供する。
【0020】
本発明の一の態様は、被験者においてペプチド/HLA複合体の異常な発現により特徴づけられる多様な病理的状態を診断する方法であって、当該被験者におけるそのような複合体を異常に発現している細胞の存在を検出することによるものを提供する。
【0021】
本発明の別の態様は、本発明の単離されたCTL細胞であってこのような複合体を特異的に認識するものを使用することにより、本発明のペプチド/HLA複合体を異常に発現している細胞の存在を検出する方法を提供する。
【0022】
本発明の一の態様は、被験者において、ペプチド/HLA複合体の異常な発現により特徴づけられる病理的状態を、このような複合体に特異的なCTL細胞の増加を検出することにより診断する方法を提供する。
【0023】
本発明の別の態様は、本発明のペプチド/HLA複合体に特異的なCTL細胞の存在を、このような複合体が細胞表面に発現している抗原提示細胞を使用して検出する方法を提供する。
【0024】
更に別の態様において本発明は、被験者における病理的状態であって、本発明のペプチド/HLA複合体の異常な発現により特徴づけられるものを、当該被験者に対してそのような複合体に特異的なCTLクローンの治療的に有効な量を投与することにより治療する方法を提供する。
【0025】
別の態様は、被験者における病理的状態であって、本発明のペプチド/HLA複合体の異常な発現により特徴づけられるものを、当該被験者に対して、当該ペプチドの治療的に有効な量を投与することにより治療する方法を提供する。
【0026】
更に別の態様は、被験者から抗原提示細胞を得、当該細胞がその細胞表面にペプチド/HLA複合体を提示するように修飾し、そしてこのようなロードされた(loaded)細胞を当該被験者へ再灌流することにより、本発明のペプチド/HLA複合体の異常な発現により特徴づけられる病理的状態を治療する方法を提供する。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の一の態様は、CTLクローンを単離する新規な方法を提供する。本発明の方法は、異なる抗原提示細胞を異なる工程において使用することにより、リンパ球を逐次的に刺激し、試験することを含む。
【0028】
試験管内で特異的CTLクローンを作製する方法を記述している。簡潔にいうと、T細胞前駆物質を含む血液試料を、哺乳動物より取り出す。PBLをこの血液試料から精製し、そして適切なMHC分子と複合体化した抗原性ペプチドを発現した刺激細胞とインキュベーションする。刺激細胞は、腫瘍細胞(例えば米国特許第5,342,774、Knuth et al. (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2804-2808,1989、及びVan Den Eynde et al. (Int. J. Cancer 44:634-640,1989)、又は規定されたペプチドでパルスした抗原提示細胞)とすることができる。付加的成分、例えば、同種間支持細胞(feeder cells)、及びサイトカインをインキュベーション混合物中に加えることができる。当該刺激細胞の表面に発現している抗原に特異的なCTLは、増殖し、そして刺激の結果として細胞集団中において豊富化する。CTLクローンは、引き続いて例えば、限界希釈により単離することができる。しかしながら、規定されたペプチドでパルスされた抗原提示細胞を刺激細胞として使用するこのアプローチは、時として関連腫瘍細胞を認識できないCTLを産生してしまう。
【0029】
本発明者らは、CTLクローンの効率的な単離は、異なる抗原提示細胞を異なる工程において使用して、T細胞前駆体を刺激・試験する逐次的工程により達成できることを見いだした。CTLクローンを単離する本方法により、非特異的分子、例えば発現ベクターのバックボーン配列から発現している分子に向けて産生されるCTL活性を顕著に低減することが可能になる。
【0030】
「異なる抗原提示細胞」とは、抗原提示細胞が、細胞タイプ又は発現システムにおいて、提示された興味ある抗原が由来するものとは異なっていてもよいことを意味する。
【0031】
本願における「抗原提示細胞」は、少なくとも一のクラスI又はクラスII MHCの決定基を発現していて、そして専門的な抗原提示細胞(例えばマクロファージ、樹状細胞、及びB細胞)として知られるものが含まれる。他の専門的抗原提示細胞には、単球、周辺帯クッパー細胞、ミクログリア、ランゲルハンス細胞、嵌合樹状細胞(interdigitating dendritic cells)、濾胞性樹状細胞、及びT細胞が含まれる。条件的抗原提示細胞も、本発明においては使用することができる。条件的な抗原提示細胞の例には、活性化T細胞、星状細胞、濾胞性細胞、内皮細胞、及び線維芽細胞が含まれる。本願における「抗原提示細胞」には、専門的及び条件的タイプの抗原提示細胞の両方が包含される。
【0032】
抗原提示細胞は、ほ乳動物、例えばヒトから得た組織又は血液試料(末梢血単核細胞を含む)より単離することができる。このような試料から確立された株化細胞もまた、使用することができる。株化細胞を確立する手順は、当該技術分野で周知である。ある種の株化細胞は、Americal Type Culture Collection、12301 Parklawn Drive、 Rockville、 Maryland、 20852 -1776より直接的に入手することができる。正常細胞及び悪性細胞の両方ともに、使用することができる。
【0033】
好ましくは、抗原提示細胞が発現しているMHC決定基は、T細胞前駆物質を含む試料を採取した哺乳動物により発現されているものと適合性を有する。より好ましくは、自己抗原提示細胞又はこれより確立された株化細胞が使用される。非-自己細胞は、その細胞が自然に、又は形質移入若しくは他の適切な手段のいずれかにより発現しているMHC決定基が、適合するかぎりにおいて使用することができる。当業者は更に、分子抗原提示細胞が発現しているMHC分子が、関与しているほ乳動物の被験者のものと適合するかどうかを決定する方法、例えば周知のHLA-分類方法を習熟している。一般的な事項については、Coligan et al. (1994) Current Protocol in Immunology, John Wiley & Sons Inc: New York、 New Yorkを参照されたし。
【0034】
好ましい抗原提示細胞は、自己樹状細胞、EBVで形質転換された自己B細胞、及びPHAで活性化された自己T細胞である。
【0035】
本発明によれば更に、本方法で使用される抗原提示細胞は、興味ある抗原が由来した発現システムにおいても異なるものとすることができる。より具体的には抗原提示細胞は、多様な方法により修飾して、細胞表面での抗原の発現に影響することができる。例えば抗原提示細胞は、組換エルシニア、組換サルモネラ、又は組換ウイルスに感染させることができる。それぞれの場合、組換微生物は、ペプチド抗原が由来する蛋白質をコードしている。
【0036】
これらの発現システムのいずれかより発現された蛋白質は、抗原提示細胞内で、小型のペプチドに処理されるが、これらは次に適切なMHC分子と複合体化し、そして細胞表面に提示される。本発明においては、MHC分子と複合体化し、細胞表面に提示されたペプチドは、「抗原」と呼ぶ。
【0037】
本願で使用する「エルシニア」という用語には、エルシニアのすべての種(エルシニア・エンテロコリティカ、エルシニア・シュードツベルキュローシス、及びエルシニア・ペプティスを含む)が含まれる。本願で使用する「組換エルシニア」は、発現ベクターで遺伝的に形質転換したエルシニアを意味する。本願で使用する「デリバリー」とは、エルシニアから抗原提示細胞への蛋白質輸送を意味し、エルシニア内で蛋白質を発現する工程、発現した蛋白質を当該エルシニアから分泌する工程、そして当該エルシニアから分泌した蛋白質を抗原提示細胞のサイトゾルへ転位させる工程を含む。
【0038】
本発明によれば、興味ある蛋白質を発現し、そしてデリバリーするのに使用する好ましいエルシニアは、機能性のエフェクター蛋白質の産生において欠陥の有る変異体エルシニアである。
【0039】
興味有る蛋白質の発現及びデリバリーのための使用に好ましい変異体エルシニア株は、エフェクターをコードする全ての遺伝子が、得られるエルシニアがもはやいかなるエフェクター蛋白質をも産生しないようにして変異した、エルシニアの五重変異体株である。このような五重変異体エルシニア株は、Y.エンテロコリチカの場合にはyopEHOMP、Y.シュードツベルキュローシスの場合にはyopEHAMJと命名した。このようなyopEHOMP株の一の例が、Y.エンテロコリティカMRS40(pABL403)である。
【0040】
興味有る抗原性蛋白質は、当該蛋白質の抗原提示細胞へのデリバリー用の変異体エルシニアと組み合わせて使用されるエルシニア発現ベクター、Ffr中へクローニングすることができる。本発明によれば、このようなベクターは、(5’から3’方向における)プロモーター、デリバリーシグナルをコードする第一の核酸配列、これに融合し、デリバリーされる蛋白質をコードした第二の核酸配列、及び他の適切な配列(例えば、ポリアデニル化シグナル)により特徴づけられる。
【0041】
発現ベクターのプロモータは好ましくは、エルシニアヴィルロン(virulon)遺伝子である。「エルシニアヴィルロン遺伝子」とは、エルシニアpYVプラスミド上の遺伝子であって、その発現が温度、及び標的細胞との接触の両方により制御されているものを意味する。Cornelis et al.(1997)のレビューを参照されたし。このような遺伝子には、分泌機構の因子をコードしている遺伝子(Ysc遺伝子)、輸送体をコードしている遺伝子(YopB、YopD、及びLcrV)、調節領域をコードしている遺伝子(YopN及びLcrG)、及びエフェクターをコードしている遺伝子(YopE、YopH、yopO/YpkA、YopM、及びYopP/YopJ)が含まれる。好ましくは、当該プロモータは、YopE、YopH、YopO/YpkA、YopM、及びYopP/YopJのいずれかの一から選択されるエフェクターをコードする遺伝子由来である。より好ましくは、当該プロモータはYopE由来である。
【0042】
更に本発明によれば、デリバリーシグナルをコードする第一のDNA配列は、操作可能なようにしてプロモータへ連結されている。上記に記載の「デリバリーシグナル」とは、エルシニアの分泌及び転位システムにより認識されうるポリペプチドであって、従って蛋白質の抗原提示細胞への転位を差し向けるものを意味する。このようなポリペプチドは、エフェクター蛋白質(YopE、YopH、YopO/YpkA、YopN、及びYopP/YopJ)に由来し、そして好ましくはYopEである。より好ましくはこのエフェクター蛋白質は、エルシニア・エンテロコリチカのYopEである。
【0043】
当業者は、蛋白質をデリバリーすることができるエフェクター蛋白質のポリペプチド配列を同定することに習熟している。例えばそのような一の方法は、Sory et al.(1994)により記載されている。このようなデリバリーシグナルポリペプチドの例には、Y.エンテロコリチカ由来のもの:YopE130(YopEのN-末端の130アミノ酸)、YopE50、YopM100及びYopH71が含まれる。
【0044】
エルシニア発現ベクターは、電気穿孔法、リン酸カルシウム仲介形質転換、接合、又はこれらの組み合わせが含まれるがこれらには限定されない多くの既知の方法により、エルシニアへ形質転換することができる。例えばベクターは、第一の細菌株へ、標準的な電気穿孔法により形質転換することができる。次にそのようなベクターは、当該第一の細菌株から、接合によりエルシニアへ形質転換することができ、このプロセスは「動員(mobilization)」とも呼ばれている。エルシニア形質転換体(即ち当該ベクターを取得したエルシニア)は、例えば抗生物質で選択することができる。これらの技術は、当該技術分野において周知である。例えば、Sory et al .(1994)を参照されたし。
【0045】
組換エルシニアから抗原提示細胞のサイトソルへの蛋白質のデリバリーは、抗原提示細胞を適切な条件下で組換エルシニアと接触させることにより実行することができる。ヴィルロン遺伝子の発現と転位を誘導する条件に関して、複数の参考文献及び技術が当業者らに入手可能であるが、これらには、所望の温度、Ca++濃度、エルシニア及び標的細胞を混合する様式等が含まれる。例えば、 Cornelis、“Cross talk between Yersinla and eukariotic cells” Society for General Microbiology Symposium、 55; Mocrae、 Saundets、Smyth、 Stow (eds) 、Molecular aspects of host-pathogen interactions、 Cambridge University Press、 1997を参照されたし。条件は、標的細胞のタイプに依存して変動するかもしれない。例えば:ヒトの上皮癌であるHela細胞用の条件はSory et al. (1994) ;マウス胸腺腫又はメラノーマ細胞を標的にする条件は、Starnbach et al. (1994 ) J. Immunol. 153:1603;そしてマウスのマクロファージを標的にする条件は、Boland et al.(1996)。このような変異は、当業者らが通常のテクニックを使用して処理することができる。
【0046】
当業者らはまた、数多くのアッセイを使用して、融合蛋白質のデリバリーが成功したか否かを決定することができる。例えば、当該融合蛋白質は、 同位元素又は免疫フルオレセインで標識することができ、また、免疫フルオレセインで共役した抗体で検出することができるが、これはRosqvist et a1. (1994)EMBO J. 13: 964に公開されている。決定はまた、デリバリーされる蛋白質の酵素的活性基づくこともできるが、例えば、Sory et al. (1994)が記述したアッセイがある。決定は、デリバリーされる蛋白質の抗原性に基づくこともできる。例えばMAGE-A1蛋白質のEBV形質転換済ヒトB細胞へのデリバリーは、MAGE-A1エピトープに特異的なCTL細胞による、そのような標的B細胞の認識により検出することができる。このようなCTL認識は結果として、活性化したCTLからのIFN-γ分泌、又は溶解した標的細胞からのCr51の放出をアッセイすることを含む、数多くのアッセイにより検出することができる。例えばデリバリーされる蛋白質に特異的な抗体を使用したウエスタンブロット分析、PCR in situハイブリダイゼーションや、ELISPOT(Mabtech AB, Sweden)等の方法もまた、このような決定に使用することができる。例えばW. Herret al. (1997) J. Immunol. Methods 203: 141-152、 及びW.Herr et al. (1996) J. Immunol. Methods 191: 131-142を参照されたし。
【0047】
本発明によれば、興味有る抗原性蛋白質は、組換サルモネラより発現できる。例えば、サルモネラ・チフィムリウムの非病原性株を、抗原デリバリーベクターとして使用できる。ウイルス性エピトープ等の抗原性エピトープは、S.チフィムリウムのIII型蛋白質分泌システムを使用して、宿主細胞のサイトゾルへうまくデリバリーできることは当該技術分野において既知である。例えばRussmann et al. (1998) 281: 565-568を参照されたし。
【0048】
本発明によれば、興味有る蛋白質の抗原提示細胞内での発現はまた、抗原提示細胞を組換ウイルスで感染させて実行することが可能である。具体的には本発明は、ワクシニア、カナリア痘ウイルス、他のポックスウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、レトロウイルス、及び他の何れかの適切なウイルス、についての組換えウイルスを意図している
【0049】
本発明での使用に好ましいワクシニア株は、WR株(Panicali et al.(1981)、 J. Virol. 37: 1000-1010)である。興味有る蛋白質をコードする核酸配列は、操作可能なようにしてプロモーター、例えばワクシニアプロモーターH6、に連結し、そしてワクシニアベクター内へ挿入し、これによりドナープラスミドを作製することができる。アデノプラスミドを作製するために使用できるワクシニアベクターが、当業者らに入手可能であり、例えば、米国特許第4,769,330号に記載されている。ワクシニアの組換WR株は、生体内組換えを介してドナープラスミドを使用し、次に周知の手順を行って作製できる。例えば、Perkins et al.、J. Virol. 63: 3829-3936(1989)を参照されたし。
【0050】
本発明において使用する、カナリア痘ウイルスの好ましい株はALVACである(Cox et al. (1993) 、Virology 195: 845-850)。興味ある蛋白質をコードする核酸配列は、プロモーター、例えばワクシニアプロモーターH6に操作可能にして連結し、そしてALVACベクターに挿入してドナープラスミドを作製できる。多重ALVACベクターが、当業者らに入手可能であり、例えば米国特許第5,756,106号;Cox et a1. (1993) Virology195: 845-850;Tartaglia et al . (1993) J. Virology 67: 2370-2375;及びTaylor et al. (1992) Virology 187: 321-328に記載されている。このようなドナープラスミドを使用して、生体内組換を介して、組換ALVACウイルスを作製できる。例えばCox. et al. (1993); Tartaglia et al. (1993) 、及びTaylor et al. (1992)を参照されたし。
【0051】
当業者らはまた、例えば以下の実施例5のようにして、興味有る蛋白質を発現する組換アデノウイルス産生できる。
【0052】
興味有る抗原性蛋白質コードする核酸配列は、上述のようにして多様な発現ベクター中へクローニングできる。本方法においてCTLクローンを単離するのに使用できる蛋白質には特に制限はない。
【0053】
本願において使用する「蛋白質」という用語は、天然の蛋白質及び人工的に操作した蛋白質、又はその一部を意味する。「蛋白質の一部」という用語には、抗原性であるのに十分な長さの、蛋白質のペプチド断片が含まれる。好ましくはそのような断片は、少なくとも8又は9アミノ酸からなる。本願で使用する「人工的に操作した蛋白質」とは、非天然の蛋白質、例えば非天然の蛋白質の修飾した形態、又は一以上の天然蛋白質又はその一部の融合物であって、ポリトープともよばれるもの(二以上のエピトープがインフレームで融合したものであって、Thompson et al. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92: 5845-5849に例示されているもの)が含まれる。
【0054】
本発明は特に、腫瘍付随蛋白質、又は病原体関連抗原を意図している。
【0055】
「腫瘍付随蛋白質」とは、腫瘍で特異的に発現しているか、又は正常な組織に対して、腫瘍において異常なレベルで発現している蛋白質を意味する。このような腫瘍付随蛋白質には、MAGEファミリー、BAGEファミリー(例えばBAGE-1)、DAGE/PRAMEファミリー(DAGE-1など)、GAGEファミリー、RAGEファミリー(例えばRAGE-1)、SMAGEファミリー、NAG、チロシナーゼ、Melan-A/MART-1、gp100、MUC-1、TAG-72、CA125、変異プロトオンコジーン(例えばp21ras)、変異癌抑制遺伝子(例えばp53)、腫瘍付随ウイルス性抗原(例えばHPV16 E7)、SSXファミリー、HOM-MEL-SS、NY-COL-2、HOM-HD-397、HOM-RCC-1.14、HOM-HD-21、HOM-NSCLC-11、HOM-MEL-2.4、HOM-TES-11、RCC-3.1.3、NY-ESO-1、及びSCPファミリーのメンバーが含まれるがこれらには限定されない。MAGEファミリーのメンバーには、MAGE-Al、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A11が含まれるがこれらには限定されない。GAGEファミリーのメンバーには、GAGE-1、GAGE-6が含まれるがこれらには限定されない。例えばVan den Eynde and van der Bruggen (1997) Curr. Opin. Immunol. 9: 684-693、 Sahin et al. (1997) Curr. Opin. Immunol. 9: 709-716、及びShawler et al. (1997)のレビューを参照されたし。これらの蛋白質は、ある種の腫瘍、例えばメラノーマ、肺癌、前立腺癌、乳がん、腎臓癌等に付随することが示されている。
【0056】
病原体に由来する、数多くの既知の抗原性蛋白質もまた、本発明において意図されている。病原体にはウイルス、細菌、寄生虫、菌類が含まれる。病原体に特徴的な抗原性蛋白質の特定の例には、インフルエンザウイルスの核蛋白質(残基218-226、F. et al. (1997) J. Virol. 71: 2715-2721に定義されている)、センダイウイルス由来の抗原、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(An et al. ( 1997) J. Virol. 71: 2292-2302を参照)、C型肝炎ウイルスのB1蛋白質(Bruna-Romero et al. (1997)Hepatology 25: 470-477)、HIVのウイルスエンベロープ糖蛋白質gp160 (Achour et al. (1996) J. Virol. 70: 6741-6750)、プラスモジウム・ヘルギのアミノ酸252-260又はサーカムスポロザイト(circumsporozite)蛋白質(Allsopp et al. (1996) Eur. J.Immunol. 26: 1951-1958) 、A型インフルエンザウイルスの核蛋白質(残基366-374、Nomura et a1. (1996) J. Immunol. Methods 193: 4149)、リステリア菌のリステリオリシンO蛋白質(残基91-99、An et al. (1996) Infect. Immun. 64: 1685-1693)、E6蛋白質(残基131-140、Gao et al. (1995) J. Immunol. 155: 5519-5526) 、及びヒトパピローマウイルス16型のE7蛋白質(残基21-28及び48-55、Bauer et al. (1995) Scan. J. Immunol. 42: 317-323) 、RSウイルスのM2蛋白質(残基82-90及び81-95、Hsu et al. (1995) Immunology 85: 347-350)、単純疱疹ウイルス1型リボヌクレオチド還元酵素(Salvucci et al.、(1995)J. Gen. Virol. 69: 1122-1131を参照) 、及びロタウイルスVP7蛋白質(Franco et al. (1993) J. Gen. Virol. 74: 2579-2586を参照)、P.ファルシパルム抗原(マラリアの原因)、及びB型肝炎表面抗原(Gilbert et al. (1997) Nature Biotech. 15: 1280-1283)が含まれる。
【0057】
数多くの短い抗原性ペプチドもまた、本発明において使用できる。当業者ならば、免疫原性ペプチドの産生に必要な断片の長さを容易に決定できる。あるいは、熟練した技術者は、特異的T細胞応答(CD4+又はCD8+T細胞のいずれか)誘発することが既知のペプチド、例えば米国特許第5,462,871号、 米国特許第5,558,995号、米国特許第5,554、724号、米国特許第5,585,461号、米国特許第5,591,430号、米国特許第5,554,506号、米国特許第5,487,974号、米国特許第5,530,096号、米国特許第5,519、117号に開示されている腫瘍付随抗原性ペプチド(TAA、腫瘍拒絶抗原を意味するTRAとしても知られる)のコード配列を使用することができる。TRAの例を表1に示す。Van den Eynde and van der Bruggen (1997)、及びShawler et al. (1997)のレビューも参照されたし。病原体起源の抗原性ペプチドも使用することができる。例えばGilbert et al. (1997)により開示されているものがある。
【0058】
【表1】
Figure 0004722289
【0059】
上述のごとく、完全長天然蛋白質のコード配列、天然蛋白質の一部、天然蛋白質の一部の組み合わせ、又は異なる天然蛋白質、若しくは異なる蛋白質の部分の組み合わせを使用して、上述の発現ベクター中にクローン化することができる。
【0060】
本発明は更に、本発明で使用できる組換え発現ベクターを提供するが、これには組換エルシニア発現ベクター、例えば、pMS111-YoPE130-MAGE-A1、及びPMS111-YopE130-MAGE-A4;組換ワクシニアベクター、例えば、WR-MAGE-A1、及びWR-MAGE-A4;組換カナリア痘ウイルスベクター、例えば、ALVAC-MAGE-A1;組換えアデノウイルスベクター、例えば、adeno-MAGE-A4;及びレトロウイルスベクター、例えば、M1-CSMが含まれる。
【0061】
本発明の方法を実施するには、T細胞前駆物質を含む試料は、被験者から入手するが、典型的にはヒトの被験者の血液試料である。被験者は、癌患者又は癌でない個人とすることができる。試料は、刺激前にT細胞前駆物質を濃縮する処置をしてもよい。
【0062】
試料を、蛋白質を発現している第一の抗原提示細胞に、他の何れかの適切な材料、例えばリンホカインとともに接触する。接触すると、特異的T細胞前駆物質は活性化して、増殖し始める。
【0063】
試料中の細胞は引き続き、当該細胞を、蛋白質の提示されている第二の抗原提示細胞と接触して試験する。試料はまず希釈して、そして個々の細胞が別個に試験できるように、ミクロプレートへ分配することができる。当該蛋白質に特異的なCTL細胞、又は「応答性CTL」は、種々の標準アッセイ、例えば51Cr放出アッセイ、IFN-γ分泌アッセイや、TNF産生アッセイにより同定して選択できる。
【0064】
本発明の好ましい態様においては、このように選択されたCTL細胞は、少なくとも一の付加的サイクルの刺激及び試験工程にかけられる。
【0065】
本発明によれば、一の工程で使用される抗原提示細胞は、細胞のタイプ又は蛋白質を発現する発現システムのいずれかにおいて、引き続く工程で使用される細胞と異っていてもよい。
【0066】
刺激後のCTL応答の特異性の試験には、クラスI HLA分子を高い量で発現しているタイプの抗原提示細胞が好ましく、例えばEBV-形質転換済B細胞がある。
【0067】
本発明の好ましい態様においては、一の工程(刺激又は試験のいずれか)における抗原提示細胞により使用される一の発現システムは、別の工程で使用される他の発現システムの少なくとも一つと異なる。
【0068】
より好ましくは、刺激工程で使用される抗原提示細胞は、すぐ後の試験工程で使用されるものとは異なる発現システムを使用する。
【0069】
本発明は、特異的CTLクローンの単離に使用できる、異なる抗原提示細胞の組合せの例を提供する。本発明によれば、個人より入手したCD8+Tリンパ球は、ミクロウェル中で、興味有る蛋白質をコードした組換えALVACカナリア痘ウイルスに感染した樹状細胞由来の自己単球で刺激できる。数回の刺激後、それぞれのミクロ培養物の一定分量を、興味有る蛋白質をコードした組換ワクシニアに感染した自己EBV-B細胞の特異的溶解について試験することができる。陽性のミクロ培養物を次に希釈し、そして興味有る蛋白質をコードした組換エルシニアに感染した自己EBV-B細胞で刺激することができる。特異的クローンは、当該興味有る蛋白質をコードした組換ワクシニアに感染した自己EBV-B細胞の特異的溶解で試験して、検出及び単離することができる。従って、上の手順において使用した抗原提示細胞の組み合わせは、樹状-ALVAC/EBV-B-ワクシニア/EBV-B-エルシニア/EBV-B-ワクシニアとして特徴づけられる。本方法において使用できる抗原提示細胞の好ましい組合せにはさらに以下のものが含まれる:樹状-アデノ/EBV-B-ワクシニア/EBV-B-エルシニア/EBV-B-ワクシニア、樹状-ALVAC/EBV-B-ワクシニア/T細胞-レトロウイルス/EBV-B-ワクシニア。本発明は、上記の例示の組合せによっては制限されない。
【0070】
本発明の更なる態様においては、本発明は本発明の方法を使用して単離されたCTLクローンを意図している。
【0071】
本発明の別の態様において本発明は、蛋白質の抗原性ペプチドエピトープを同定する方法を意図している。この方法によれば、蛋白質のある種の抗原性エピトープを認識するCTLクローンが、本発明のCTLクローン単離方法を上述のごとく使用して単離される。このようなクローンは次に、種々の有名な方法、例えば、実施例7-11に記載される方法を使用して、特異的抗原性ペプチド、並びに提示性のHLA分子の同定に使用できる。
【0072】
本発明の方法によれば、蛋白質の抗原性ペプチドエピトープの同定は、ペプチド/HLA複合体が、抗原提示細胞の表面において、特異的CTLを活性化する能力に基づいている。このように同定された抗原性ペプチドエピトープは、生体内で処理されて細胞表面に適切に発現するエピトープをおそらくは表す。本発明のこのような方法を使用して、MAGEファミリー由来の蛋白質の抗原性ペプチドエピトープた;即ち、MAGE-A1ペプチド230-238(HLA-Cw3で提示され、そしてクローンLB1137 462/F3.2で認識される)、MAGE-A1ペプチド258-266(HLA-B53で提示され、クローンLB1801 456/H7.11で認識される)、MAGE-A1ペプチド62-70(HLA-Cw2で提示され、そしてクローンLB1118 466/D3.31で認識される)、MAGE-A1ペプチド222-231(HLA-A28で提示され、そしてクローンLB1801 456/H8.33で認識される)、MAGE-A1ペプチド289-297(HLA-B7で提示され、そしてクローンLB1803 483/G8.4で認識される)、MAGE-A3ペプチド114-122(HLA-B40で提示され、そしてクローンLB1841 526/F7.1で認識される)、及びMAGE-A4ペプチド230-239(HLA-A2で提示され、そしてクローンLB1137 H4.13で認識される)が同定された。表2参照。これらの中では、MAGE-A1ペプチド238(SAYGEPRKL(配列番号:2))が以前に同定されていたものであるが、これは異なるHLA分子である、HLA-Cwl6(米国特許第5,558,995号)で提示されていた。
【0073】
【表2】
Figure 0004722289
【0074】
従って本発明の別の態様は、ペプチド/HLA複合体であるSAYGEPRKL(配列番号:2)/HLA-Cw3、DPARYEFLW(配列番号:42)/HLA-B53、GVYDGREHTV(配列番号:44)/HLA-A2、SAFPTTINF(配列番号:47)/HLA-Cw2、EVYDGREHSA(配列番号:48)/HLA-A28、AELVHFLLL(配列番号:55)/HLA-B40、及びRVRFFFPSL(配列番号:57)/HLA-B7のそれぞれに特異的な単離されたCTLクローンを提供する。
【0075】
好ましい態様において本発明は、単離されたCTLクローン:LB1137 462/F3.2、LB1801 456/H7.11、LB1118 466/D3.31、LB1801 456/H8.33、LB1137 H4.13、LB1841 526/F7.1、及びLB1803 483/G8.4を提供する。
【0076】
別の態様において本発明は、新規の単離された抗原性ペプチド、即ち、DPARYEFLW(配列番号:42)(MAGE-A1 258-266)、GVYDGREHTV(配列番号:44)(MAGE-A4 230-239)、SAFPTTINF(配列番号:47)(MAGE-A1 62-70)、EVYDGREHSA(配列番号:48)(MAGE-A1 222-231)、AELVHFLLL(配列番号:55)(MAGE-A3 114-122)、及びRVRFFFPSL(配列番号:57)(MAGE-A1 289-297)に関する。これらのペプチドをコードする核酸配列も意図している。
【0077】
本発明の別の態様は、本発明のペプチド/HLA複合体を単離することに関する。特に本発明は、単離された、ペプチドSAYGEPRKL(配列番号:2)及びHLA-Cw3の複合体、ペプチドDPARYEFLW(配列番号:42)及びHLA-B53の複合体、ペプチドGVYDGREHTV(配列番号:44)及びHLA-A2の複合体、ペプチドSAFPTTINF(配列番号:47)及びHLA-Cw2の複合体、ペプチドEVYDGREHSA(配列番号:48)及びHLA-A20の複合体、AELVHFLLL(配列番号:55)及びHLA-B40の複合体、並びにRVRFFFPSL(配列番号:57)及びHLA-B7の複合体を提供する。
【0078】
抗原性ペプチドエピトープに対する提示性HLA分子がいったん確認されれば、当該ペプチドと当該HLA分子との複合体が、種々の方法により調製できる。例えばHLA分子は、いずれかの適切な組換え発現システム、例えば大腸菌ベースの発現系により産生及び単離できる。ペプチドは、例えば化学合成又は組換発現により作製できる。当該ペプチド及び当該HLA分子は次に、HLA/ペプチド複合体の形成に好適な条件下で試験管内で混合することができる。このような条件は当該技術分野で周知である。例えば、Garboczi et al. (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 3429-3433,1992)及びAltman et al. (Science 274: 94-96,1996)を参照。
【0079】
本発明は更に、本発明のペプチド/HLA複合体のいずれかを細胞表面に発現している細胞を意図している。このような細胞は、いずれかの適切な抗原提示細胞(株化細胞(例えば、COS細胞、CHO細胞等)を含む)を使用して、そして例えば、ペプチドローディング(peptide loading)、又は本願の実施例に記載されている同時形質移入により作製できる。
【0080】
本発明の別の態様は、単離されたCTLクローン、単離された抗原性ペプチド、単離されたペプチド/HLA複合体、本発明のペプチド/HLA複合体発現している抗原提示細胞、又はこれらの組み合わせのいずれか一つを含む薬学的組成物を意図している。
【0081】
本発明の薬学的組成物には他の物質、例えばサイトカイン、アジュバント、及び薬学的に許容される担体を含めることができる。本願における治療的に許容される担体には、水、分散媒体、培地(culture from cell media)、等張剤等を含む、いずれかの、そしてすべての溶媒であって宿主に無毒のものが含まれる。好ましくはこれは水性の等張性緩衝済溶液であってpHが7.0付近のものである。このような媒体及び剤の治療的組成物中での使用は、当該技術分野で周知である。補充活性成分もまた、組成物中に導入できる。
【0082】
本発明の更なる態様においては、単離されたCTLクローン、単離された抗原性ペプチド、本発明のペプチド/HLA複合体を発現している細胞は、被験者、好ましくはヒトの被験者、における病理的状態を診断する種々の方法において使用される。
【0083】
本発明が意図する病理的状態には、腫瘍、及び病原体、例えば細菌、寄生虫、真菌や、ウイルス等による感染が含まれる。
【0084】
本願で使用される「異常な発現」という表現は、正常な細胞では存在しない発現、又は正常な細胞では有意に低いレベルで存在する発現を意味する。本発明においては、「異常な発現」はさらに、正常な細胞の表面には提示されない抗原性エピトープを生じる、蛋白質の異常な処理を意味するのに使用することができる。
【0085】
一の態様において本発明は、被験者においてペプチド/HLA複合体異常な発現により特徴づけられる病的状態を、当該複合体異常に発現している細胞の存在を検出することにより診断する方法を提供する。
【0086】
別の態様において本発明は、被験者において本発明のペプチド/HLA複合体異常に発現している細胞の存在を、当該複合体に特異的な単離されたCTLクローンを使用して検出する方法を提供する。
【0087】
本発明によれば、異常であると疑われる細胞を含む試料を、被験者、例えば組織バイオプシーより得る。この試料を次に本発明のCTLクローンと接触させる。異常な細胞の存在は、標準アッセイ、例えば51Cr放出、IFN-γ分泌、又はTNF産生を使用して、CTLクローンの活性(即ち、CTL応答)を測定することにより決定できる。
【0088】
別の態様において本発明は、被験者において、本発明の単離されたペプチド/HLA複合体に特異的なCTL細胞を検出する方法を提供する。より具体的には、被験者より血液試料を確保し、そして特異的ペプチド/HLA複合体を発現している細胞と接触させる。当該複合体に特異的なCTL細胞の存在は、上述のいずれかの方法、例えば特異的ペプチド/HLA複合体を発現している細胞の溶解であって、標準的な51Cr放出アッセイで測定可能なものにより検出できる。
【0089】
更にペプチド/HLA複合体に特異的なCTLの頻度は、限界希釈分析、又は四量体アッセイにより評価できる。正常な個人と比較すると、個人の中のペプチド/HLA複合体に特異的なCTLの頻度の増加は、当該複合体の異常な発現により特徴づけられる病的状態の指標となる。従って本発明は、ペプチド/HLA複合体に特異的なCTLの増大した頻度を検出することにより、当該ペプチド/HLA複合体の異常な発現により特徴づけられる病的状態を診断する方法を意図している。
【0090】
本発明の更なる態様においては、単離されたCTLクローン、単離された抗原性ペプチド、本発明のペプチド/HLA複合体を発現している細胞は、被験者、好ましくはヒトの被験者における病的状態を治療する種々の方法において使用される。
【0091】
「治療する」という表現は、病的状態を軽減又は阻害すること、例えば、免疫応答を惹起することなどにより、腫瘍の増殖又は転移を阻害すること、腫瘍の大きさを低減すること、又は病原体の感染の症状を軽減させることを意味する。
【0092】
一の態様においては、本発明の単離されたCTLクローンは、治療養生法又は養子免疫伝達において、当該CTLクローンにより特異的に認識されるペプチド/HLA複合体の異常な発現により特徴付けられる病的状態に苦しむ被験者に対して、投与することができる。養子免疫伝達については、Greenberg (1986) J. Immunol. 136(5): 1917; Riddeel et al. (1992) Science 257: 238;Lynch et al. (1991) Eur. J. Immunol. 21: 1403;及びKast et al. (1989) Cell 59: 603の教示事項を参照されたし。CTLは、当該抗原を異常発現している細胞を溶解することにより、問題となっている病的状態、例えば腫瘍、及び寄生虫やウイルスによる感染を緩和又は治療することができる。
【0093】
別の態様において本発明は、当該単離されたペプチド、又はペプチド/HLA複合体を、被験者へ投与することにより、ペプチド/HLA複合体の異常発現により特徴づけられる病的状態に苦しむ被験者を治療する方法を提供する。病的状態は、例えば投与されたペプチド又はペプチド/HLA複合体に起因して惹起された特定の免疫応答により緩和することができる。
【0094】
本発明の別の態様においては、ペプチド/HLA複合体の異常発現により特徴付けられる病的状態に苦しむ被験者は、当該被験者より抗原提示細胞を得て、当該細胞を、ペプチド/HLA複合体の細胞表面での提示に影響するように修飾し、次いで当該「ロードされた」細胞を当該被験者へ再灌流することにより治療できる。当該修飾は、当該単離された抗原提示細胞を、いずれかの適切な発現ベクターであってペプチド又は完全長の蛋白質をコードしているもので形質移入するか、又は当該細胞に問題となっているペプチドを、例えばNestler et al. (Nature Medicine 4: 328-332, 1998)に記載されているローディング方法に従ってロードすることにより達成できる。
【0095】
治療目的の場合、単離されたCTLクローン、ペプチド又はペプチド/HLA複合体を、被験者に対して単独で、又は他の適切な物質、例えばサイトカイン、アジュバントや薬学的担体と組み合わせて投与することができる。CTL細胞、ペプチド、ペプチド/HLA複合体、又は当該複合体を発現している細胞の量は、被験者の状態に応じて決定できる。
【0096】
単離されたCTL及びペプチド/HLA複合体の、診断的及び治療的使用については、Thonpson et al. (1995) PNAS 92: 5845; Altman et al. (1996) Science 274: 94-96; Dunbar et al. (1998) Current Biology 8: 413-416; Greenberg et al. (1986) J. Immunol. 136: 1917;及びKast et al. (1989) Cell 59: 603-614を参照されたし。
【0097】
本発明は更に、以下の実施例により例示される。
【0098】
本願中において言及した全ての出版物は、参照により本願に取り込む。本願において採用した用語及び表現は、記載のために使用されるものであり、限定のためではなく、そしてそのような用語及び表現の使用は、種々の修飾が本発明の範囲内において可能であると認識しつつ、本願の部分に示されて、且つ記載されている特徴の何れの等価物を除外すること意図するものではない。
【0099】
【実施例】
実施例1
組み換えエルジニア属の産生および組み換えエルジニア属を用いたEBV-形質転換B細胞のターゲッティング
株、プラスミドおよび増殖条件
エンテロコリチカ菌(Y.enterocolitica)株E40(pYV40)、E40(pYV40)の同系アンピシリン感受性誘導体であるMRS40(pYV40)、およびこれらの種々の非極性ミュータント(Soryら (1995), Proc.Natl Acad. Sci.USA 92:11998-12002)。プラスミドは表3に列挙されている。バクテリアをブレインハートインフュージョン(BHI)(Difco, Detroit, Michigan)において増殖させた。一晩予備培養した後、バクテリアを新鮮なBHIに1/20に希釈し、室温で30分間増殖させ、Yopビルロン(virulon)の合成を感染前に37℃で150分間インキュベーションすることによって誘導した。
【0100】
ポリミュータントエルジニア属株の構成
yopHOPEMポリミュータント株を構成するために、yopE、yopH、yopO、yopMおよびyopP遺伝子を、連続的に、自殺ベクターpMRS101およびpKNG101を用いて、MRS40株におけるアレル交換によりノックアウトした。K.Kanigaら.(1991) "A wide-host range suicide vector for improving reverse genetics in gram-negative bacteria: inactivation of the blaA gene of Yersinia enterocolitica" Gene 109: 137-141およびM.R.Sarkerら.(1997)"An improved version of suicide vector pKNG101 for gene replacement in Gram-negative bacteria" Mol. Microbiol.23:409-411参照。種々の欠失が表2の“自殺ベクターとミューテーター”欄に記載されている。YopE遺伝子を、ミューテーターpPW52を用いて最初に変異し(P.Wattiauら.(1993) "SycE, a chaperone-like protein of Yersinia enterocolitica involved in the secretion of YopE" Mol. Microbiol. 8:123-131参照)、株MRS40(pAB4052)を与えた。この株における、ミューテーターpAB31を用いたYopH遺伝子のミューテーション(S.D.Millsら(1997) "Yersinia enterocolitica induces apoptosis in Macrophages by a process requiring functional type III secretion and translocation mechanisms and involving Yop, presumably acting as an effector protein" Proc. Natl.Acad.Sci.USA 94:12638-12643参照)は、ダブルyopEHミュータントMRS40(pAB404)を与えた。次いで、トリプルyopEHOミュータントMRS40(pAB405)が、ミューテーターpAB34を用いたアレル交換により得られた(S.D.Millsら,1997参照)。次いで、YopP遺伝子を、ミューテーターpMSK7を用いて変異させ(S.D.Millsら,(1997)参照)、yopEHOPミュータントMRS40(pMSK46)を誘導した。最後に、yopHOPEM株MRS40(pABL403)を、yopMミューテーターpAB38を用いたアレル交換により得た(S.D.Millsら,1997参照)。
【0101】
【表3】
Figure 0004722289
【0102】
YopE130−MAGE−A1を含む組み換えエルジニア属の産生
MAGE−A1タンパクをコードする配列を、切断されたYopE、YopEの最初の130アミノ酸を含むYopE130をコードする配列を用いてフレーム内に挿入した。このプラスミドは、図1に図式的に記載されている。
【0103】
MAGE−A1のオープンリーディングフレームを、鋳型としてpcDNAI/Ampにクローン化されたMAGE−A1 cDNA(Invitrogen, Carlsbad, California)を用いてPCRにより増幅した。上流プライマーである、AAACTGCAGATGTCTCTTGAGCAGAGGAGTC(配列番号33)は、PstI部位が先にあるMAGE−A1のオープンリーディングフレームの最初のヌクレオチドからなる。下流プライマーであるAAACTGCAGTCAGACTCCCTCTTCCTCCTC(配列番号34)は、PstI部位が後にあるMAGE−A1のオープンリーディングフレームの最後のヌクレオチドに相補的なヌクレオチドからなる。PCR産物をPstIで切断し、ベクターpMS111のPstI部位において切断されたYopEを用いてフレーム内に挿入し(Soryら (1994) Molecular Microbiology 14:583-594)、プラスミドYopE130−MAGE−A1またはpMS111−MAGE−A1を得た。
【0104】
pMS111−MAGE−A1(またはYopE130−MAGE−A1)を、バクテリア株DH5 F’IQにおいてエレクトロポレーションした。一部のクローンから、DNAを抽出し、陽性組み換えクローンのDNAをバクテリア株SM10においてエレクトロポレーションした。エルジニア属MRS40(pABL403)においてSM10からpMS111を可動化した後に、組み換えクローンを、ナリジキシン酸、亜ヒ酸ナトリウムおよびクロラムフェニコールを添加した寒天含有培地上で選択した。MRS40は、アンピシリンに感受性のE40の同系誘導体である(Soryら (1995) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:11998-12002参照)。
【0105】
YopE130−MAGE−A4を含有する組み換えエルジニアの産生
MAGE−A4タンパクをコードする配列を、切断されたYopE、YopEの最初の130アミノ酸を含むYopE(1−130)をコードする配列に、フレーム内において連結させた。MAGE−A4のオープンリーディングフレームを、鋳型として、pcDNAI/Amp(Invitrogen)にクローン化されたMAGE−A4 cDNAを用いてPCRにより増幅した。上流プライマーであるAAAAACTGCAGATGTCTTCTGAGCAGAAGAGT(配列番号35)は、PstI部位が先にあるMAGE−A4のオープンリーディングフレームの最初のヌクレオチドからなる。下流プライマーであるAAAAAATCGATTCAGACTCCCTCTTCCTC(配列番号36)は、ClaI部位が後にあるMAGE−A4のオープンリーディングフレームの最後のヌクレオチドに相補的なヌクレオチドからなる。PCRを30サイクルにわたって行った(94℃で1分、55℃で2分、および72℃で2分)。PCR産物をPstIとClaIで切断し、ベクターpMS621のPstI−ClaI部位において切断されたYopEを用いてフレーム内に挿入した。プラスミドpMS621−MAGE−A4を、エレクトロポレーションによりバクテリア株DH5αF’IQにトランスフォームした。陽性クローンを、バクテリアコロニーにおけるPCRにより検出し、陽性組み換えクローンのDNAを抽出し、エレクトロポレーションによりバクテリア株SM10にトランスフォームした。ポリミュータントエルジニア属MRS40(pABL403)にSM10からpMS621−MAGE−A4を可動化した後に、組み換えクローンを、ナリジキシン酸、m-亜ヒ酸ナトリウムおよびクロラムフェニコールを添加した寒天含有培地上で選択した。
【0106】
組み換えエルジニア属−MAGE−A3の産生
エルジニア属−MAGE−A3(aa147-314)
切断されたMAGE−A3をコードする配列を、鋳型として、pcDNAI/Ampにクローン化されたMAGE−A3 cDNAを用いてPCRにより増幅した。上流プライマーであるPVB157は、5'-AA CTGCAG TTTCCTGTGATCTTCAGCAAAGC-3'(配列番号50)であり、PstI部位(太字)と2つのAが先にあるMAGE−A3のオープンリーディングフレームのヌクレオチド439−461からなる(開始コドンATGが1−3)。下流プライマーPVB139である5'-CC ATCGAT TCACTCTTCCCCCTCTCTCAA-3'(配列番号51)は、ClaI部位(太字)と2つのCが先にあるMAGE−A3のオープンリーディングフレームの最後のヌクレオチドに相補的なヌクレオチドからなる。PCRを30サイクルにわたって行った(94℃で1分、62℃で2分、および72℃で2分)。PCR産物を、上記MAGE−A4について記載したように処理した。
【0107】
エルジニア属−MAGE−A3の構成(aa1-199)
MAGE−A3タンパクの最初の199アミノ酸をコードする配列を得るために、プライマーを以下のように設計した。すなわち、上流プライマーPVB172は、5'-ACCAGAGTCATC CTGCAG ATGCCTCTTGAG-3'(配列番号52)であり、PstI部位(太字)が先にあるMAGE−A3のオープンリーディングフレームの開始コドン(下線)と重なるヌクレオチドからなる。下流プライマーPVB173は、5'-GCCTGCCTTGGG ATCGAT TCACATGATCTGATT-3'(配列番号53)であり、MAGE−A3のオープンリーディングフレームのヌクレオチド577−600に相補的なヌクレオチドからなり、かつ、ClaI部位(太字)を含む。PCRを30サイクルにわたって行った(94℃で1分、65℃で2分、および72℃で2分)。PCR産物を、MAGE−A4について上述したように処理した。
【0108】
組み換えエルジニア属を用いたEBV−形質転換B細胞のターゲッティング
pMS111−MAGE−A1を含むエルジニア属MRS40(pABL403)を用いたEBV−形質転換B細胞の感染を以下のように行った。別の組み換えエルジニア属を用いたEBV−形質転換B細胞の感染を、本質的に同様の方法を用いて行った。
【0109】
pMS111−MAGE−A1を含むエルジニア属MRS40(pABL403)の一つのコロニーを、ナリジキシン酸(35μg/ml)、m-亜ヒ酸ナトリウム(1mM)およびクロラムフェニコール(12μg/ml)を添加したLB培地で28℃で一晩増殖させた。一晩培養物を新鮮な培地に希釈し、約2時間28℃で新鮮な培養物を増幅した後の600nmにおけるOD(光学密度)0.2を得た。このバクテリアを0.9%のNaClで洗浄し、0.9%のNaClの1ml当たり108バクテリアとなるように再懸濁し、ここで、1に等しいOD600を与える培養物が1ml当たり5x108バクテリアを含むと推定した。照射されたEBV−B細胞(100Gy)を、抗生物質を含まず、10%のFCSおよびAAG(L-アルギニン(116mg/ml)、L-アスパラギン(36mg/ml)およびL-グルタミン(216mg/ml))を添加したRPMIの3.8ml中に106となるように再懸濁した。次いで、200μlのバクテリア懸濁液を添加した。感染から2時間後、ゲンタマイシン(30μg/ml)を次の二時間加え、最後に、細胞を、刺激細胞として用いる前に三回洗浄した。
【0110】
ネガティブコントロールとして、同じ細胞を、切断されたYopE、すなわちYopE130のみをコードするプラスミド、pMS621を含むエルジニア属MRS40(pABL403)を用いて感染させた。
【0111】
組み換えエルジニア−MAGE−A1を用いて感染したEBV−B細胞は、MZ2−CTL82/30によって認識された。MZ2−CTL82/30は、MAGE−A1ペプチドであるEADPTGHSY(配列番号1)に特異的であり、これはHLA−A1によって示されている(米国特許第5342774号)。5000のMZ2−CTL82/30細胞を、Iscoveの完全培地の100μlの最終量においてエルジニア属を含む各マイクロウェルに添加した[培養培地は、10%ヒト血清、L-アルギニン(116mg/ml)、L-アスパラギン(36mg/ml)、L-グルタミン(216mg/ml)、ストレプトマイシン(0.1mg/ml)、ペニシリン(200U/ml)、IL−2(25U/ml)およびゲンタマイシン(15μg/ml)が添加されている]。一晩インキュベーションした後、共培養物の上清におけるIFN−ガンマ(活性化の際にCTLによって産生される)の存在を標準的なELISAアッセイにおいて試験した(Biosource, Fleurus, Belgium)。図2Aは、かかる工程を図式的に示す。
【0112】
図2Bに示されているように、YopE130−MAGE−A1をコードするエルジニア属と感染したHLA−A1+B細胞は、CTL82/30によって認識されるが、一方、コントロールプラスミドYopE130と感染した同じ細胞は認識されなかった。バクテリアの最適濃度は、約マイクロウェル当たり1000000である。
【0113】
実施例2
組み換えワクシニアWRウイルスの産生
ワクシニア(vP1170)の親のWR株は、2826bpの親ベクターpKILGPTを含んでいた(Virogenetics, Troy, New York)。ワクシニアウイルスH6プロモーターの後に配置されたMAGE−A1をコードする配列は、pKILGPTベクターにクローン化され、ドナープラスミドMAW035を生じた。同様のMAGE−A4ドナープラスミドベクターは、MAGE−A4 cDNAでMAGE−A1 cDNAを置換することによって構成した。MAGE−A3 cDNAを、Pst1とXbaIを用いて切断し、平滑末端とし、挿入物をゲル精製し、PsC11ベクターのSmaI部位にリゲートした。PsC11ベクターについては、Chakrabatiら(1985) Mol.Cell Biol.5:34-3-3409を参照。
【0114】
ドナープラスミドをワクシニア株WRのゲノムDNAを含むCEF細胞にトランスフェクションし、in vivo組み換えにより、組み換えワクシニアウイルスWR−MAGE−A1、WR−MAGE−A4およびWR−MAGE−A3をそれぞれ得て、BrdUおよびX-galで選択した。この方法は、例えば、Perkinsら(1989) J.Virol.63:3829-3936に見られる。
【0115】
実施例3
組み換えALVAC−MAGE−A1ウイルスの産生
ワクシニアウイルスH6プロモーターの後に配置されたMAGE−A1コード配列を、PUC8をベースとするベクターにクローン化し、ドナープラスミドMAW036を生じた。
【0116】
組み換えALVAC−MAGE−A1ウイルスを、ドナープラスミドMAW036を用い、例えば、Current Protocols in Molecular Cloning (Ausubelら, John Wiley & Sons, New York)およびFerrariら(Blood 90:2406-2416, 1997)に記載されている周知の方法に従って生じた。
【0117】
組み換えカナリア痘ウイルスALVAC−MAGE−A3スプリット(簡便のために、“ALVAC−MAGE−A3”とも称する)は、MAGE−A3の二つの切断された重複フラグメント、すなわち一方のフラグメントはアミノ酸1−196にわたり、他方のフラグメントはアミノ酸147−199にわたる、を示した。組み換えウイルスにおいて、各フラグメントは、別個の発現カセットにおいて、それぞれワクシニアウイルスH6プロモーターの制御下に含まれ、かつ、両方のカセットがALVACゲノムのC3部位に挿入された。
【0118】
vCP1563組み換え体を以下のようにして産生した。MAGE−A3(1−196)DNAフラグメントを産生し、鋳型としてプラスミドpTZ18R(全長のMAGE−A3 cDNAを含む)を用いて、標準的なPCR法によってワクシニアH6プロモーターに連結した。MAGE−A3(147−199)DNAフラグメントを産生し、同様にH6プロモーターに連結した。これら二つのフラグメントをプラスミドにサブクローン化し、カセットをC3挿入部位からALVAC DNAに隣接させた。プラスミドにおけるこれらの成分の構成は以下の通りである:ALVAC C3左隣接アーム、MAGE−A3(147−299)/H6、MAGE−A3(1−196)/H6、ALVAC C3右隣接アーム。このMAGE−A3(1−196)と(147−299)フラグメント発現カセットを含むALVAC C3部位ドナープラスミドをpC3MAGE3スプリットと称した。
【0119】
ALVAC−MAGE−A3組み換え体を、以下の標準的な方法に従って、pC3MAGE3スプリットドナープラスミドと、ALVACゲノムDNAとの間のin vivo組み換えによって産生した。組み換えウイルスを、MAGE−3−特異的DNAプローブを用いてハイブリダイゼーションすることによって選別し、プラークを精製した。得られたALVAC−MAGE−A3組み換え体は、実験室名vCP1563とされた。MAGE−3−特異的抗血清を用いた発現分析は、ALVAC−MAGE−A3(vCP1563)で感染した細胞におけるMAGE−A3(1−196)および(147−299)ポリペプチドの発現を確認した。
【0120】
実施例4
組み換えアデノウイルスの産生
組み換えアデノウイルスの構成については、プラスミドpAd−CMVIcpA−MAGE−A4(CMVプロモーターの制御下にMAGE−A4 cDNAを含む)が、ベクターpAd−CMVIcpA(Celia GARCIAおよびThierry RAGOT, URA CNRS 1301によって供給)のNotI部位にMAGE−A4完全cDNAを挿入することによって得られた。
【0121】
組み換えアデノウイルスAd−MAGE−A4は、pAd−CMVIcpA−MAGE−A4とAd−βgalゲノムDNAとの間に、細胞系統293におけるin vivo相同的組み換えによって産生された。簡便に述べると、293細胞はXmnIで直線化された5μgのプラスミドpAd−CMVIcpA−MAGE−A4および5μgのアデノ−βgal DNAの大きなClaIフラグメントを用いて共トランスフェクションした(Stratford-Perricaudetら(1992) J.Clin.Invest., 90:626-630および仏国特許第9603207号)。組み換えアデノウイルスをプラーク精製し、トランスジーンの存在をアデノウイルスDNAの制限分析によって評価した。組み換えアデノウイルスを、293細胞において増殖させ、ダブル塩化セシウム密度遠心によって精製した。このウイルスストックを液体窒素中に10%のグリセロールの分注量において貯蔵し、293細胞を用いたプラークアッセイによって力価測定した。
【0122】
組み換えアデノウイルスAd−MAGE−A3を、MAGE−A3 cDNAがλgt10組み換えクローンから誘導されたことを除いて、上記と本質的に同じ方法に従って調製した。
【0123】
実施例5
組み換えレトロウイルスと細胞系統の感染
M1−CSMレトロウイルスベクターは、LTRの制御の下に、全長のMAGE−A1タンパクを、そして、SV40プロモーターによって操作されるヒト低親和性神経成長因子レセプター(△LNGFr)の切断された形態コードする(Mavilio Fら, Blood 83:1988-1997, 1994)。EBV−B細胞またはPHA−活性化T細胞を、ポリブレン(8μg/ml)の存在下で、M1−CSMベクターを産生する照射されたパッケージング細胞系統と共培養することによって形質導入した。72時間後、リンパ球を回収し、新鮮な培地に接種した。感染細胞のパーセントを、48時間後に、mAb20.4(ATCC, Rockville,MD,USA)を用いて、LNGFr発現についてフローサイトメトリーによって評価した。LNGFr陽性細胞を、ラット抗-マウスIgG1−被覆ビーズ(Dynabeads M-450,DYNAL A.S.N012 Oslo,Norway)を用いた磁気細胞選別により精製した。
【0124】
実施例6
材料と方法
細胞系統および培地
エプスタイン‐バーウイルス(EBV)不死化B細胞(以下、EBV−B細胞と称する)を、標準的な方法に従って得た。EBV−B細胞とメラノーマ細胞系統とを、10%胎児ウシ血清(FCS)(GIBCO BRL)、0.24mM L-アスパラギン、0.55mM L-アルギニン、1.5mM L-グルタミン(AAG)、100U/ml ペニシリンおよび100μg/ml ストレプトマイシンを添加したIscoveの修飾ダルベッコ培地(IMDM)(GIBCO BRL, Baitherburg,MD,USA)において培養した。HelaおよびCOS−7細胞を、10% FCSを添加したH16培地(GIBCO BRL)に維持した。
【0125】
サイトカイン
ヒト組換えIL−2を、CHIRON BV(Amsterdam, Netherlands)またはEUROCETUS(Amsterdam, Netherlands)から購入、もしくはBIOGEN(Geneva,Switzerland)によって提供された。ヒト組換えIL−7をGENZYME(Cambridge,MA)から購入した。ヒト組換えGM−CSFを、SANDOZ(Leucomax, Sandoz Pharma, Basel, Switzerland)またはSCHERING PLOUGH(Brinny,Ireland)から購入した。ヒト組み換えIL−4、IL−6およびIL−12は、本発明者らによって調製された。
【0126】
ヒト血液の処理
末梢血液を、標準バフィコート調製物として、地方の血液バンク(非ガン患者、すなわちヘモクロマトーシス患者)から入手した。末梢血液単核細胞(PBMC)をLymphoprep(NYCOMED PHARMA,Oslo,Norway)で遠心することによって単離した。血小板によるPBMCの汚染を最小化するために、調製物を、室温で1000rpmで20分間最初に遠心した。ほとんどの血小板を含む上の20−25mlを除いた後に、そのチューブを室温で1500rpmで20分間遠心した。PBMCを、2-アミノエチル-イソチオウロニウム(isothiouronium)(SIGMA, St.Louis, MO,USA)で処理したヒツジの赤血球(BIO MERIEUX, Marcy-l'Etoile, France)を用いてロゼッティングすることによりT細胞を奪った。ロゼット化したT細胞をNH4Cl(160mM)で処理して、ヒツジの赤血球を溶解し、洗浄した。CD8+Tリンパ球を、磁気マイクロビーズ(MILTENYI BIOTECH,Germany)に結合した抗CD8モノクローナル抗体を用いて陽性選別し、かつ、磁石を介して分類することによって単離した。CD8+Tリンパ球を凍結し、最初の培養の開始前日に溶かし、2.5U/mlのIL−2を添加した、L-アスパラギン(0.24mM)、L-アルギニン(0.55mM)、L-グルタミン(1.5mM)、10% ヒト血清を含むIscove培地(以下、完全Iscove培地と称する)において、一晩培養した。
【0127】
リンパ球が奪われたPBMCを、凍結するか、または樹状細胞培養のために直ちに用いた。細胞を、L-アスパラギン(0.24mM)、L-アルギニン(0.55mM)、L-グルタミン(1.5mM)および10% 胎児ウシ血清を添加したRPMI 1640培地(GIBCO BRL)(以下、完全RPMI培地と称する)において、2x106細胞/mlの密度で、培養フラスコ(Falcon,BECTON DICKINSON LABWARE,Franklin Lakes, USA)において37℃で1−2時間付着させた。未付着の細胞を捨て、付着細胞を、完全RPMI培地中のIL−4(100U/ml)とGM−CSF(100ng/ml)の存在下で培養した。実施例7および8における実験については、培養は、培地の量の1/3を除いて、IL−4(100U/ml)とGM−CSF(100ng/ml)を含む新鮮培地を添加することによって2日目と4日目に補給させ、6日目または7日目に、未付着細胞の集団を富んだ樹状細胞の源として用いた。実施例9の実験については、培地の量の1/3を除いて、IL−4(100U/ml)とGM−CSF(100ng/ml)を含む新鮮培地を添加することによって2日目に補給させ、4日目に凍結させ、各刺激の前の日に、樹状細胞を溶解させ、100U/mlのIL−4と100ng/mlのGM−CSFを含む完全培地において一晩増殖させた。実施例10−11における実験については、培養は、培地の量の1/2または1/3を除いて、IL−4(100U/ml)とGM−CSF(100ng/ml)を含む新鮮培地を添加することによって2日目と4日目に補給させ、5日目または7日目に、未付着細胞の集団を富んだ樹状細胞の源として用いた。
【0128】
インターフェロンγ産生アッセイ
5000のターゲット細胞を、96ウェルの丸底プレートにおいて、ウェル当たり100μlの25U/mlのIL−2を添加した完全Iscove培地において、2000のCTLと一晩培養した。インターフェロンγ(IFN−γ)の産生を、ELISA(Biosource)によって50μlの上清において測定した。
【0129】
HLA−クラスI分子をコードするcDNA
HLA−A*0201コード配列を、細胞系統BB49のcDNAライブラリーから得て、発現ベクターpcDNAI/Amp(INVITROGEN)にクローン化した。HLA−A3コード配列を、細胞系統LB33のcDNAライブラリーから単離し、発現ベクターpcDNA3(INVITROGEN)にクローン化した。HLA−B*4402コード配列を、細胞系統LB33からRT−PCRによって単離し、発現ベクターpcDNAI/Ampにクローン化した。HLA−B*40012(B60)コード配列を、細胞系統HA7−RCCからRT−PCRによって誘導し、発現ベクターpcDNA3にクローン化した。HLA−Cw3コード配列を発現ベクターpCR3にクローン化した。HLA−Cw5をRT−PCRによって細胞系統LB373から単離し、pcDNA3にクローン化した。HLA−B*0801、B*4002(B61)、Cw*02022およびCw*0701コード配列を、鋳型としてLB1118−EBV−B細胞のRNAを用いたRT−PCRによって増幅した。HLA−B*5301コード配列を、鋳型として親のLB1118のEBV−B細胞のRNAを用いてRT−PCRによって増幅した。HLA−B7およびHLA−B40セグメントを、実施例12および13に記載しているように単離した。PCR産物を、発現ベクターpcDNA3にクローン化した。DNAを組み換えクローンから抽出し、ジデオキシ鎖終結法(ThermosequenaseTM サイクル配列決定キット, Amersham)によって部分的にセンスおよび部分的にアンチセンス鎖において配列決定した。
【0130】
ペプチド認識アッセイ
一時的NH2−末端保護のためにF−mocを用いて固相においてペプチドを合成し、質量分析法を用いて特徴決定した。分析HPLCによれば、全てのペプチドが>80%の純度であった。凍結乾燥されたペプチドをDMSOに溶かし、−20℃で貯蔵した。ターゲット細胞をNa(51Cr)O4でラベルし、洗浄し、ペプチドの存在下で15分間インキュベートした。CTLクローンを、エフェクター:ターゲット比を5:1〜10:1となるように添加した。クロム放出を、37℃で4時間インキュベーションした後に測定した。
【0131】
実施例7
細胞融解Tリンパ球に対するHLA−Cw3分子により示されたMAGE−A1誘導ペプチド
MAGE−A1特異的CTLクローンLB1137 462/F3.2の単離
ドナーLB1137由来の自己樹状細胞(HLA−A2 A3 B4402 B60 Cw3 Cw5)を、5%CO2下で、37℃で、10%FCSを含むRPMIにおいて、感染度(multiplicity of infection)30で、ALVAC−MAGE−A1と感染させた。2時間後、感染した樹状細胞を洗浄した。in vitro刺激については、150000のCD8+Tリンパ球と30000の感染した樹状細胞とを、マイクロウェルにおいて、L-アスパラギン(0.24mM)、L-アルギニン(0.55mM)、L-グルタミン(1.5mM)、10% ヒト血清を含む200μlのIscove培地(以下、完全Iscove培地と称する)であり、さらに、IL−6(1000U/ml)およびIL−12(10ng/ml)を添加した培地中で共培養した。CD8+リンパ球を、ALVAC−MAGE−A1と新鮮に感染した自己樹状細胞と週毎に再刺激し、IL−2(10U/ml)およびIL−7(5ng/ml)を添加した完全Iscove培地中で増殖させた。
【0132】
数回刺激した後、各ミクロ培養の分注量を、自己ターゲット細胞の特異的溶解について試験した。自己EBV−B細胞を、感染度20を用いて、親のワクシニアWR(バッチLVAR)またはWR−MAGE−A1構成物(vP1267)と二時間感染させ、Na(51Cr)O4でラベルした。その後、EBV−B細胞(標的細胞)を洗浄し、エフェクター:ターゲット比が約40:1となるようにレスポンダー細胞に添加した。未標識のK562細胞も、ナチュラルキラー活性をブロックするために添加した(V底マイクロウェル当たり5x104)。クロム放出を、37℃で4時間インキュベーションした後に測定した。ここのミクロ培養を、各ターゲットについて二回ずつ試験した。
【0133】
陽性のミクロ培養を、刺激細胞としてYopE130−MAGE−A1タンパクを発現する組み換えエルジニア属と感染した自己EBV−B細胞を用い、かつ、フィーダー細胞として同種異系のEBV−B細胞(LG2−EBV)を用いて、限界希釈法によってクローン化した。この培養を7日目に同様に再刺激し、0.5μg/mlのPHA−HA16(Murex)および50U/mlのIL−2を添加した完全Iscove培地中で、同種異系のEBV−B細胞(LG2−EBV)と週毎に再刺激することによって培養中に維持した。再刺激から3日後に、クローンを洗浄して、培地のPHA−HA16を除いた。このクローンを、ワクシニア−MAGE−A1構成物と感染させた自己EBV−B細胞の特異的溶解について試験した。クローンLB1137 462/F3.2が陽性であることを見出し(図3a)、次の実験に用いた。
【0134】
MAGE−A1エピトープは、HLA−Cw3分子によってCTLに提示される
ドナーLB1137は、上述したように多数の種々のHLA分子を発現するので、どれがCTL LB1137 462/F3.2によって認識される抗原を提示するかを調べるために、各HLAを試験した。
【0135】
COS細胞を、MAGE−A1のcDNAと、6つのHLA−クラスI分子の一つをコードするプラスミドを用いて、トランスフェクションした。要約すると、マイクロウェルに分配された1.5x104のCOS細胞を、MAGE−A1 cDNAを含むプラスミドpcDNAIの50ngと、ドナーLB1137によって発現された6つのHLA−クラスI分子の一つをコードするcDNAを含むプラスミドpcDNA3の50ngと共に、1μlのリポフェクタミン試薬(Gibco BRL)を用いて、コトランスフェクションした。COS細胞を、トランスフェクション混合物中8%のCO2かつ37℃で5時間インキュベートし、200μlの培養培地を添加した。一晩培養した後、トランスフェクタントを、クローンLB1137 462/F3.2によるIFN−γの産生を刺激する能力について試験した。要約すると、1500のCTLを、25U/mlのIL−2を含む100μlのIscove完全培地の最終量にトランスフェクションした細胞を含む各マイクロウェルに添加した。24時間後、50μlの上清をWEHIバイオアッセイにおいてIFN−γ含量について試験した。このアッセイは、MTT比色分析においてWEHI−164クローン13の細胞におけるIFN−γの細胞毒性効果を測定する。HLA−Cw3とMAGE−A1の両方とトランスフェクションした細胞のみが、CTLクローンLB1137 462/F3.2を刺激して、IFN−γを生じた(図3b)。MAGE−A1またはHLA−Cw3のみとトランスフェクションしたCOS細胞は、CTLクローンを刺激しなかった。
【0136】
抗原性ペプチドとCTLアッセイ
クローンLB1137 462/F3.2によって認識されたMAGE−A1ペプチドを同定するために、MAGE−A1タンパクの一部に対応するペプチド(16アミノ酸)を合成し、自己EBV−B細胞に加え、認識を試験した。ペプチドを、一時的NH2−末端保護のためにF−mocを用いて固相において合成した。凍結乾燥されたペプチドを、DMSO中に20mg/mlとなるように溶解し、10mM酢酸中に2mg/mlとなるように希釈し、−20℃で貯蔵した。
【0137】
1000の51Crラベル化ターゲット細胞を、室温で20分間96ウェルミクロプレート(100μl/ウェル)において10μg/mlのペプチドとインキュベートした後に、10000のCTLを含む100μlの培地を添加するクロム放出アッセイにおいて、ペプチドを試験した。このアッセイを、37℃で、8%CO2において4時間インキュベーションした後に終了させた。
【0138】
ペプチドDGREHSAYGEPRKLLT(MAGE−A1225−240)(配列番号37)とインキュベートした自己EBV−B細胞が、CTL LB1137 462/F3.2によって認識された(図3c)。この長いペプチドは、9アミノ酸ペプチドSAYGEPRKL(MAGE−A1230−238)(配列番号2)を含み、このペプチドは、HLA−Cw3に適したアンカー残基、すなわち位置3のYおよびC末端のLを含む。DGREHSAYGEPRKLLT(配列番号37)を、“http://bimas.dcrt.nih.gov/molbio/hla_bind/index.html”から入手できるソフトウェアを用いてHLA−Cw3結合ペプチドの予測のためにスクリーニングした。ペプチドSAYGEPRKL(MAGE−A1230−238)(配列番号2)は、HLA−Cw3に対する結合に関して最も高いスコアを有していた。それは、エフェクター:ターゲット比が10:1である細胞毒性アッセイにおいて、CTLLB1137 462/F3.2によって認識された(図3c)。
【0139】
MAGE−A1を発現するHLA−Cw3陽性腫瘍細胞のCTLクローンLB1137 462/F3.2による認識
HLA−Cw3およびMAGE−A1を発現する腫瘍細胞系統によるCTL LB1137 462/F3.2の活性化を、IFN−γ産生アッセイにおいて試験した。CTLクローンLB1137 462/F3.2は、MAGE−A1を発現するHLA−Cw3陽性腫瘍細胞系統LB17−MELを認識した(図3d)。メラノーマ細胞系統Mi665/2E+クローン2(MAGE−A1のオープンリーディングフレームを含むゲノムフラグメントを用いてトランスフェクションされた(米国特許第5342774号に記載))も、クローンLB1137 462/F3.2によって認識されたが、親細胞系統Mi665/2は認識されなかった。
【0140】
細胞溶解Tリンパ球に対するHLA−B5301分子により示されたMAGE−A1誘導ペプチド
MAGE−A1特異的CTLクローンLB1801 456/H7.11の単離
ドナーLB1801由来の自己樹状細胞(HLA−A201、A28、B4401、B5301、Cw04、Cw0501)を、5%CO2下で、37℃で、10%FCSを含むRPMIにおいて、感染度(multiplicity of infection)30で、ALVAC−MAGE−A1構成物と感染させた。2時間後、感染した樹状細胞を洗浄した。in vitro刺激については、150000のCD8+Tリンパ球と30000の感染した樹状細胞とを、丸底マイクロウェルにおいて、L-アスパラギン(0.24mM)、L-アルギニン(0.55mM)、L-グルタミン(1.5mM)、10% ヒト血清を含む200μlのIscove培地(以下、完全Iscove培地と称する)であり、さらに、IL−6(1000U/ml)およびIL−12(10ng/ml)を添加した培地中で共培養した。CD8+リンパ球を、ALVAC−MAGE−A1構成物と新鮮に感染した自己樹状細胞と週毎に再刺激し、IL−2(10U/ml)およびIL−7(5ng/ml)を添加した完全Iscove培地中で増殖させた。
【0141】
自己EBV−B細胞を、感染度20を用いて、親のワクシニアWR(vP1170)または組み換えワクシニアWR−MAGE−A1(vP1188)と二時間感染させ、Na(51Cr)O4でラベルした。その後、ターゲット細胞を洗浄し、エフェクター:ターゲット比が約40:1となるようにレスポンダー細胞に添加した。未標識のK562細胞も、ナチュラルキラー活性をブロックするために添加した(V底マイクロウェル当たり5x104)。クロム放出を、37℃で4時間インキュベーションした後に測定した。個々のミクロ培養を、各ターゲットについて二回ずつ試験した。
【0142】
ワクシニア−MAGE−A1構成物と感染した自己EBV−B細胞を特異的に溶解する細胞を含むミクロ培養を、刺激細胞としてYopE1−130−MAGE−A1を発現するエルジニア属と予め感染した自己EBV−B細胞を用い、かつ、フィーダー細胞として同種異系のEBV−B細胞(LG2−EBV)を用いて、限界希釈法によってクローン化した。CTLクローンを、50U/mlのIL−2を添加した完全Iscove培地中で、週毎に再刺激することによって培養中に維持した。このクローンを、ワクシニア−MAGE−A1構成物と感染させた自己EBV−B細胞の特異的溶解について試験した。クローンLB1801 456/H7.11が陽性であることを見出し(図4a)、次の実験に用いた。CTLを、フィーダー細胞としてLG2−EBVで、あるいは、精製されたフィトヘマグルチン(phytohaemagglutin)(PHA−HA16;MUREX)(0.5mg/ml)またはエルジニア属−YopE1−130−MAGE−A1と予め感染した自己EBV−B細胞で、週毎に再刺激した。
【0143】
抗原性ペプチドとCTLアッセイ
クローンLB1801 456/H7.11によって認識されたMAGE−A1ペプチドを同定するために、MAGE−A1タンパクの一部に対応するペプチド(16アミノ酸)を合成し、自己EBV−B細胞に加え、認識を試験した。ペプチドを、一時的NH2−末端保護のためにF−mocを用いて固相において合成した。凍結乾燥されたペプチドを、DMSO中に20mg/mlとなるように溶解し、10mM酢酸中に2mg/mlとなるように希釈し、−20℃で貯蔵した。1000の51Crラベル化ターゲット細胞を、室温で15分間、V底ミクロプレートにおいて、5μg/mlのペプチドとインキュベートした後に、5000のCTLを含む同量を添加するクロム放出アッセイにおいて、ペプチドを試験した。このアッセイを、37℃で、8%CO2において4時間インキュベーションした後に終了させた。ペプチドQVPDSDPARYEFLWGP(MAGE−A1 253−268)(配列番号38)およびSDPARYEFLWGPRALA(MAGE−A1 257−272)(配列番号39)が陽性を示した。
【0144】
HLA提示分子の同定
どのHLA分子が、CTLクローンLB1801 456/H7.11に両方の16マーペプチドを提示したかを知るために、ペプチドを、ドナーLB1801とHLA分子を共有する種々のドナー由来のEBV−B細胞をターゲット細胞として用いたクロム放出アッセイにおいて試験した。クローンLB1801 456/H7.11は、自己細胞によって提示された場合にのみペプチドを認識できた(表4)。HLA−B5301分子を発現するEBV−B細胞を一つも試験しなかったので、ドナーLB1801のHLA−B5301をコードするcDNAを単離した。
【0145】
HLA−B5301コード配列を、鋳型として、LB1801−EBV−形質転換B細胞のRNAを用いたRT−PCRによって増幅した。PCR産物を発現ベクターpcDNA3にクローン化した(Invitrogen BV, the Netherlands)。DNAを、組み換えクローンから抽出し、HLA−B5301をコードする配列であることをチェックするために、部分的にセンスおよび部分的にアンチセンス鎖について配列決定した。HLA−B5301の配列は、MasonとPasham (1998), Tissue Antigens 51:417-466により記載されている。
【0146】
COS−7細胞を、MAGE−A1のcDNAと、HLA−B5301分子をコードするプラスミドを用いて、トランスフェクションした。要約すると、マイクロウェルに分配された1.5x104のCOS−7細胞を、MAGE−A1 cDNAを含むプラスミドpcDNAIの100ngと、ドナーLB1801のHLA−B5301分子をコードするcDNAを含むプラスミドpcDNA3の100ngと共に、1μlのリポフェクタミン(Gibco BRL)を用いて、コトランスフェクションした。COS−7細胞を、8%のCO2かつ37℃で24時間インキュベートした。これらのトランスフェクタントを、クローンLB1801 456/H7.11によるTNFの産生を刺激する能力について試験した。要約すると、1500のCTLを、25U/mlのIL−2を含む100mlのIscove完全培地の最終量において、トランスフェクタントを含む各マイクロウェルに添加した。24時間後、上清を回収し、そのTNF含量を、標準MTT比色分析においてWEHI−164クローン13の細胞における細胞毒性効果を試験することによって調べた。HLA−B53とMAGE−A1の両方とトランスフェクションした細胞が、CTLクローンLB1801 456/H7.11を刺激して、TNFを生じた(図4b)。MAGE−A1またはHLA−B53のみとトランスフェクションしたCOS−7細胞は、CTLクローンを刺激しなかった。
【0147】
【表4】
Figure 0004722289
【0148】
表4:MAGE−A1ペプチドを適用した種々のEBV−B細胞(ターゲット細胞)のCTL LB1801 456/H7.11による溶解
EBV−B細胞を、51Crラベル化し、5マイクログラムのペプチドSDPARYEFLWGPRALA(配列番号39)の存在(不在)下で5/1のエフェクター/ターゲット細胞比においてCTLとインキュベートした。クロム放出を4時間後に測定した。
【0149】
抗原性ペプチドの同定
クローンLB1801 456/H7.11によって認識される最も短い合成ペプチドの配列を同定するために、エフェクターターゲット比が10であり、かつ、ペプチドの最終濃度が5μg/mlである条件でのクロム放出において、MAGE−A1ペプチドSDPARYEFLWGPRALA(MAGE−A1 257−272)(配列番号39)またはMAGE−A4ペプチドGSNPARYEFLWGPRAL(MAGE−A4 264−279)(配列番号40)を添加した、自己EBV−B細胞のCTLによる溶解を比較した。MAGE−A1ペプチドが認識されたが、MAGE−A4ペプチドは認識されなかった。次いで、10マーのペプチドSDPARYEFLW(配列番号41)および9マーのペプチドDPARYEFLW(配列番号42)を合成し、エフェクター-ターゲット比が5における細胞毒性アッセイにおいて試験した。両方のペプチドが認識された。次いで、短いペプチドを、エフェクター-ターゲット比を10にして、異なる濃度で試験した(図4c)。半全溶解(Half-maximal lysis)が、10〜100ng/mlの間で得られた。
【0150】
実施例9
細胞溶解Tリンパ球に対するHLA−A2分子により示されたMAGE−A4誘導ペプチド
MAGE−A4特異的CTLクローンLB1137 H4.13の単離
ドナーLB1137由来の自己樹状細胞(HLA−A2、−A3、−B4402、−B60、−Cw3、−Cw5)を、5%CO2下で、37℃で、10%FCSを含むRPMIにおいて、感染度200で、Ad−MAGE−A4構成物と感染させた。2時間後、感染した樹状細胞を洗浄した。in vitro刺激については、150000のCD8+Tリンパ球と30000の感染した樹状細胞とを、マイクロウェルにおいて、L-アスパラギン(0.24mM)、L-アルギニン(0.55mM)、L-グルタミン(1.5mM)、10% ヒト血清を含む200μlのIscove培地(以下、完全Iscove培地と称する)であり、さらに、IL−6(1000U/ml)およびIL−12(10ng/ml)を添加した培地中で共培養した。CD8+リンパ球を、Ad−MAGE−A4構成物と新鮮に感染した自己樹状細胞と週毎に再刺激し、IL−2(10U/ml)およびIL−7(5ng/ml)を添加した完全Iscove培地中で増殖させた。これらの細胞を、以下のアッセイにおいてレスポンダー細胞として試験した。
【0151】
自己EBV−B細胞を、感染度20を用いて、親のワクシニアWR親(バッチvP1170またはバッチL VAR)または組み換えワクシニアWR−MAGE−A4(バッチvP1545)と二時間感染させ、Na(51Cr)O4でラベルした。これらのターゲット細胞を洗浄し、エフェクター:ターゲット比が約40:1となるようにレスポンダー細胞に添加した。未標識のK562細胞も、ナチュラルキラー活性をブロックするために添加した(V底マイクロウェル当たり5x104)。クロム放出を、37℃で4時間インキュベーションした後に測定した。個々のミクロ培養を、各ターゲットについて二回ずつ試験した。
【0152】
ワクシニア−MAGE−A4構成物と感染した自己EBV−B細胞を特異的に溶解する細胞を含むミクロ培養を、刺激細胞として、YopE1−130−MAGE−A4を発現する組み換えエルジニア属と感染した自己EBV−B細胞を用い、かつ、フィーダー細胞として同種異系のEBV−B細胞(LG2−EBV)を用いて、限界希釈法によってクローン化した。EBV−B細胞のエルジニア属YopE1−130−MAGE−A4との感染は、以下のように行った:pMS621−MAGE−A4を含むエルジニアMRS40(pABL403)の一つのコロニー(YopE1−130−MAGE−A4)を、ナリジキシン酸、m−亜砒酸ナトリウムおよびクロラムフェニコールを添加したLB培地中で28℃で一晩増殖させた。次いで、この培養から、OD(600nm)が0.2である新鮮な培養を28℃で約2時間増幅させた。次いで、バクテリアを0.9%のNaClで洗浄し、0.9%のNaClの1ml当たり108バクテリアとなるように再懸濁した。照射されたEBV−B細胞を、10%のFCSおよびL-アルギニン(116mg/ml)、L-アスパラギン(36mg/ml)およびL-グルタミン(216mg/ml)を添加したRPMI1640に感染度20として感染させた。感染から2時間後、ゲンタマイシン(30μg/ml)を次の二時間加え、最後に細胞を三回洗浄した。CTLクローンを、50U/mlのIL−2を添加した完全Iscove培地中で、エルジニア属−YopE1−130−MAGE−A4感染EBV−B細胞、MAGE−A4を発現したHLA−A2メラノーマ細胞系統QUAR(LB1751−MEL)、またはPHA(0.5μg/ml)を用いて、週毎に再刺激することによって培養中に維持した。このクローンを、ワクシニア−MAGE−A4構成物と感染させた自己EBV−B細胞の特異的溶解について試験した。クローンLB1137 H4.13が陽性であることを見出し(図5a)、次の実験に用いた。
【0153】
MAGE−A4エピトープは、HLA−A2分子によってCTLに提示される
ワクシニア−MAGE−A4構成物と感染したEBV−B細胞のCTLクローンLB1137 H4.13による溶解は、抗HLA−A2モノクローナル抗体の添加により阻害されたが、抗HLA−A3または抗HLA−B、Cモノクローナル抗体の添加によっては阻害されなかった。これは、MAGE−A4エピトープがHLA−A2分子により提示されることを示す。
【0154】
COS細胞を、MAGE−A4のcDNAと、HLA−A2分子をコードするプラスミドを用いて、トランスフェクションした。要約すると、マイクロウェルに分配された1.5x104のCOS細胞を、MAGE−A4 cDNAを含むプラスミドpcDNAIの50ngと、HLA−A2分子をコードするゲノムDNAを含むプラスミドpcDNA1/Ampの50ng、および1μlのDMRIEC(Gibco BRL)を用いて、コトランスフェクションした。COS細胞を、8%のCO2かつ37℃で24時間インキュベートした。これらのトランスフェクタントを、クローンLB1137 H4.13によるTNFの産生を刺激する能力について試験した。要約すると、2000のCTLを、25U/mlのIL−2を含む100μlのIscove完全培地の全体量に、トランスフェクタントを含むマイクロウェルに添加した。24時間後、上清を回収して、そのTNF含量を、標準MTT比色分析においてWEHI−164クローン13の細胞における細胞毒性効果を試験することによって調べた。HLA−A2とMAGE−A4の両方とトランスフェクションした細胞が、CTLクローンLB1137 H4.13を刺激して、TNFを生じた(図5b)。MAGE−A4またはHLA−A2のみとトランスフェクションしたCOS細胞は、CTLクローンを刺激しなかった。
【0155】
抗原性ペプチドの測定
クローンLB1137 H4.13によって認識されたMAGE−A4ペプチドを同定するために、PCR反応を、鋳型としてMAGE−A4 cDNAを用い、かつ、MAGE−A4のオープンリーディングフレームの最初のヌクレオチドからなる上流プライマーと、MAGE−A4のオープンリーディングフレームにおいて互いに約100−120bp離れた8つの下流プライマー(AS1〜AS8)(図6)を用いて行った。PCRを30サイクルにわたって行った(94℃で1分、63℃で2分、かつ72℃で3分)。これは、異なる長さのMAGE−A4の8フラグメントを増幅し(MAGE−A4(1)からMAGE−A4(8))、長いもの(MAGE−A4(1))は、MAGE−A4の完全なオープンリーディングフレームを含む。PCR産物を、pcDNA3.1/V5/His−TOPOベクターにリゲートし、組み換えベクターをE.coli細胞にトランスフォームした(Topo TAクローニングキット、Invitrogen)。コロニーをPCRで分析し、陽性クローンのDNAを抽出し、HLA−A2分子をコードするプラスミドと共にHeLa細胞をトランスフェクションするために用いた。要約すると、マイクロウェルに分配された2x104のHeLa細胞を、50ngのMAGE−4Aフラグメントを含むプラスミドpcDNA3.1/V5/His−TOPO、50ngのHLA−A2分子をコードするゲノムDNAを含むプラスミドpcDNA1/Amp、および1μlのリポフェクタミン(Gibco BRL)を用いてコトランスフェクションした。HeLa細胞を37℃で8%のCO2において24時間インキュベートした。次いで、これらのトランスフェクタントを、上述したように、クローンLB1137 H4.13によるTNFの産生を刺激できる能力について調べた。挿入物S−AS1およびS−AS2を用いたトランスフェクションは陽性であったが、他の構成物を用いたトランスフェクションは陰性であった。これは、クローンLB1137 H4.13によって認識されるエピトープをコードする、130bpのMAGE−4Aフラグメント:
TGATGGGAGGGAGCACACTGTCTATGGGGAGCCCAGGAAACTGCTCACCCAAGATTG
GGTGCAGGAAAACTACCTGGAGTACCGGCAGGTACCCGGCAGTAATCCTGCGCGCTA
TGAGTTCCTGTGGGGT(配列番号43)
の同定を可能にした。
【0156】
この領域によってコードされるMAGE−A4タンパクの推定されるフラグメントの配列を、“http://bimas.dcrt.nih.gov/molbio/hla_bind/index.html”から入手できるソフトウェアを用いてHLA−A2結合ペプチドの予測のためにスクリーニングした。ペプチドGVYDGREHTV(配列番号44)(MAGE−A4230−239)は、最も高いスコアを有していた。それを合成し、エフェクター:ターゲット比が10:1である細胞毒性アッセイにおいて試験した。ペプチドGVYDGREHTV(MAGE−A4230−239)(配列番号44)は、自己ターゲット細胞を敏感にして、クローンLB1137 H4.13によって溶解することが見出された(図5c)。
【0157】
MAGE−A4を発現するHLA−A2細胞のCTLクローンLB1137 H4.13による認識
図5dに示したように、CTLクローンLB1137 H4.13は、MAGE−A4を発現するHLA−A2メラノーマ細胞系統QUAR(LB1751−MEL)を溶解することができた。
【0158】
実施例10
CTLクローンLB1118 466/D3.31に対するHLA−Cw2によって提示されたMAGE−A1ペプチド
CTLクローンLB1118 466/D3.31の単離
ドナーLB1118由来の樹状細胞(3x106/ml)(HLA−A*0201、A3、B*0801、B*4002、Cw*02022、Cw*0701)を、5%CO2下で、37℃で、AAGと10%FCSを含むRPMIにおいて、感染度30で、ALVAC−MAGE−A1と感染させた。2時間後、感染した樹状細胞を洗浄した。150000の自己CD8+Tリンパ球と30000の感染した樹状細胞とを、マイクロウェルにおいて、200μlの完全Iscove培地で共培養し、IL−6(1000U/ml)およびIL−12(10ng/ml)を添加した。CD8+リンパ球を、ALVAC−MAGE−A1と新鮮に感染した自己樹状細胞と7日目と14日目に再刺激し、IL−2(10U/ml)およびIL−7(5ng/ml)を添加した完全Iscove培地中で増殖させた。
【0159】
増殖するCD8+T細胞を含むミクロ培養を、ワクシニア−MAGE−A1(vP1188)と感染した自己EBV−B細胞を溶解する能力について21日目に評価した。親のワクシニア(vP1170)と感染したEBV−B細胞をネガティブコントロールとして使用した。感染したEBV−B細胞(ターゲット細胞)を洗浄し、エフェクター:ターゲット比が約40:1となるようにレスポンダー細胞に添加した。未標識のK562細胞も、ナチュラルキラー活性をブロックするために添加した(V底マイクロウェル当たり5x104)。クロム放出を、37℃で4時間インキュベーションした後に測定した。個々のミクロ培養を、各ターゲットについて二回ずつ試験した。最初の実験では、抗MAGE−A1反応性が、96の内の3つのミクロ培養に検出された。13%のミクロ培養が、未感染ターゲットではなく、ワクシニアまたはワクシニア−MAGE−A1のいずれかと感染したターゲットを溶解するレスポンダー細胞を含んでいた。この結果は、ALVACおよびワクシニアベクターが、CTLにより認識される抗原を共有することを示す。第二の実験では、2つのミクロ培養が、抗MAGE−A1反応性において陽性を記録した。
【0160】
陽性ミクロ培養(すなわち、ワクシニアMAGE−A1構成物と感染した自己EBV−B細胞を認識するもの)を、刺激細胞として、MAGE−A1をコードするレトロウイルスを用いてトランスデュースされた自己PHA−活性化T細胞、または、同じレトロウイルスを用いてトランスデュースされた自己EBV−B細胞のいずれかを用いて限界希釈することによってクローン化した(96ウェルプレートにおいてウェル当たり5x103から104細胞)。同種異系のEBV−B細胞(96ウェルプレートにおいてウェル当たり5x103から104のLG2−EBV−B細胞)を、フィーダー細胞として用いた。CTLクローンを、ワクシニア−MAGE−A1構成物と感染した自己EBV−B細胞の特異的溶解について試験した。確立されたCTLクローンを、IL−2(50U/ml)および0.5μg/mlの精製されたPHA(刺激細胞の代わり)を添加した完全IMDM中で維持し、異種同系のEBV−B細胞を用いて週毎に再刺激することによって継体した(24ウェルプレートにおいてウェル当たり1.5x106のLG2−EBV−B細胞)。
【0161】
クローンLB1118 466/D3.31を、ワクシニア−MAGE−A1と感染した自己EBV−B細胞(図7A)、または、MAGE−A1をコードするレトロウイルスを用いてトランスデユースされたEBV−Bを認識する陽性クローンとして同定した。
【0162】
ペプチドおよび提示分子の同定
CTLクローンLB1118 466/D3.31によりMAGE−A1ペプチドを提示するHLA分子を同定するために、COS細胞を、推定されるHLA提示分子の一つをコードするcDNAと共に、MAGE−A1 cDNAを用いてトランスフェクションした。次いで、これらのトランスフェクションされた細胞を、CTLクローンを刺激してTNFを産生する能力について試験した。CTLクローンLB1118 466/D3.31は、MAGE−A1およびHLA−Cw2を用いてトランスフェクションしたCOS細胞による刺激によりTNFを産生した(図7B)。このCTLクローンによって認識されたMAGE−A1ペプチドを同定するために、8アミノ酸が重複する12アミノ酸の一組のMAGE−A1ペプチドをスクリーニングした。自己EBV−B細胞を、1μMの濃度でこれらの各ペプチドとインキュベートし、クロム放出アッセイにおいてCTLによる認識について試験した。ペプチドASAFPTTINFTR(MAGE−A1 61−72)(配列番号45)は陽性であったが、16アミノ酸ペプチドSPQGASAFPTTINFTR(MAGE−A1 57−72)(配列番号46)は陰性であった。HLA−Cw2分子におけるペプチドを固定する残基について情報を利用できないので、多数の短いペプチドを試験した。ペプチドSAFPTTINF(MAGE−A1 62−70)(配列番号47)が、自己ターゲット細胞を敏感にして、CTLクローンLB1118 466/D3.31により溶解する、より短いペプチドであることが見出された。半全溶解が、〜0.1nMに得られた(図7C)。抗原の自然なプロセッシングは、MAGE−A1を発現するHLA−Cw2腫瘍細胞系統のCTLクローンLB1118 466/D3.31による溶解によって示された(図7D)。
【0163】
実施例11
CTLクローンLB1801 456/H8.33に対するHLA−A28により示されたMAGE−A1ペプチド
樹状細胞を、ドナーLB1801から誘導した(HLA−A*0201、A28、B*4401、B*5301、Cw4、Cw*0501)。CTLクローンLB1801 456/H8.33を、実施例10と本質的に同じ方法に従って単離した。
【0164】
要約すると、血液単核細胞から誘導された未熟な樹状細胞を、ALVAC−MAGE−A1と感染させ、IL−6およびIL−12の存在下で自己CD8+T細胞を刺激するために用いた。レスポンダー細胞を、自己樹状細胞で週に一度再刺激し、IL−2およびIL−7の存在下でALVAC−MAGE−A1と感染させた。レスポンダー細胞を、MAGE−A1をコードするワクシニアウイルス(ワクシニア−MAGE−A1)と感染した自己EBV−形質転換B(EBV−B)細胞においてその溶解活性について28日目に試験した。
【0165】
陽性ミクロ培養を、刺激細胞としてエルジニア−MAGE−A1と感染したEBV−B細胞を用いて限界希釈した。CTLクローンLB1801 456/H8.33は、ワクシニア−MAGE−A1と感染した自己EBV−B細胞を溶解した(図8A)。CTLクローンLB1801 456/H8.33は、HLA−A28およびMAGE−A1を用いてトランスフェクションしたCOS−7細胞による刺激によりTNFを生じた(図8B)。ペプチドEVYDGREHSA(MAGE−A1 222−231)(配列番号48)は、〜0.3nMのターゲット細胞の半全溶解を生じた(図8C)。MAGE−A1とHLA−A28を発現する腫瘍細胞系統がCTLによって溶解されたが、ワクシニア−MAGE−A1と感染した細胞を用いて得られる溶解よりも低かった(図8C)。
【0166】
実施例12
CTLに対するHLA−B40により示されたMAGE−A3ペプチド
ヒト血液の処理
ドナーLB1841由来の血液サンプル(HLA−A3、−B35、−B40、Cw3、−Cw4)を、以下の事項を除いて実施例6の記載と同様に処理した。 1.PBMCを含むインターフェースを回収し、残りの血小板を除くために、2mMのEDTAを含む冷たいリン酸バッファー溶液において3回(またはそれ以上)洗浄した。
2.単核細胞誘導樹状細胞(DC)を6日目に凍結した。刺激を与える日に、DCを溶かし、500の感染度(MOI(multiplicity of infection))において、MAGE−A3をコードする組み換えアデノウイルスと感染させた。
【0167】
MAGE−A3に特異的なCTLクローンの単離
ドナーLB 1841の血液サンプルから得られた樹状細胞をALVAC−MAGE−A3と感染させ、実施例7と本質的に同じ方法に従って自己CD8+細胞と共培養した。
【0168】
数回刺激した後、ミクロ培養を、EBV−Bターゲット細胞の感染に用いられる前の30秒間にわたってワクシニアサンプルを超音波処理することを除いて、実施例7と本質的に同じ方法に従って自己ターゲット細胞の特異的溶解について試験した。
【0169】
ワクシニア−MAGE−A3と感染した自己EBV−B細胞を特異的に溶解する細胞を含むと同定されたミクロ培養526/F7を、以下のスキームに従って、刺激細胞として、感染度30で、組み換えALVAC−MAGE−A3(vCP1563)(ALVAC−MAGE−A3サンプルも使用前に30秒間超音波処理した)またはPHAと感染した自己EBV−B細胞を用いて、限界希釈することによってクローン化した。
第一週:刺激因子=50UのIL−2/ml、2.5ngのIL−12/mlおよび5UのIL−4/mlを添加した完全IMDM培地中のALVAC−MAGE−A3(vCP1563)感染EBV−B細胞;
第二週:刺激因子=50UのIL−2/mlを添加した完全IMDM培地中のALVAC−MAGE−A3(vCP1563)感染EBV−B細胞;
第三週:50U/mlのIL−2を添加した完全IMDM培地中のPHA(0.5μg/ml);
第四週:50U/mlのIL−2、5ng/mlのIL−7+ゲンタマイシン(15μg/ml)+MRA0.5g/ml(ICNより)を添加した完全IMDM培地中のPHA(0.5μg/ml);
第五および六週:刺激因子=50U/mlのIL−2、2.5ng/mlのIL−12、5U/mlのIL−4+ゲンタマイシン(15μg/ml)を添加した完全IMDM培地中の、エルジニア−MAGE−A3(aa147−314)と感染したEBV−B細胞およびエルジニア−MAGE−A3(aa1−199)と感染したEBV−B細胞;
第七週とその後の各週:50U/mlのIL−2、5U/mlのIL−4+ゲンタマイシン(15μg/ml)を添加した完全IMDM培地中のPHA(0.2μg/ml)。
CTLクローンを、週毎の再刺激によって培養中に維持した。
【0170】
このクローンを、ワクシニア−MAGE−A3構成物と感染した、あるいはネガティブコントロールとして親のワクシニアと感染した、自己EBV−不死化B細胞の特異的溶解について試験した。クローンLB1841 526/F7.1が陽性であることを見出し(図9A)、以下の実験に使用した。
【0171】
MAGE−A3エピトープは、HLA−B40によりCTL LB1841 526/F7.1に示される
CTLクローンLB1841 526/F7.1によって認識されるMAGE−A3エピトープを示すHLA分子を同定するために、COS細胞を、推定されるHLA提示分子をコードするcDNAと共にMAGE−A3 cDNAとトランスフェクションした。要約すると、マイクロウェルに分配された1.5x104のCOS細胞を、50ngのプラスミドpcDNA3−MAGE−A3、50ngのHLA分子のコード配列を含むプラスミド、および1μlのリポフェクタミン(Gibco BRL)とコトランスフェクションした。HLAコード配列を、種々の個人から単離した;特に、HLA−B40 cDNAを、鋳型として腫瘍細胞系統HA−7−RCC由来のRNAを用いたRT−PCRによって得た。このPCR産物cDNAをpcDNA3(InVitrogen)に挿入した。COS細胞を、37℃かつ8%のCO2において24時間インキュベートした。これらのトランスフェクタントを、クローンLB1841 526/F7.1によるTNFの産生を刺激する能力について試験した。要約すると、2500のCTLを、25U/mlのIL−2を含む100μlのIscove完全培地の全体量において、トランスフェクタントを含むマイクロウェルに添加した。24時間後、上清を回収し、そのTNF含量を、標準MTT比色分析においてWEHI−164クローン13の細胞における上清の細胞毒性効果を試験することによって調べた。HLA−B40とMAGE−A3の両方とトランスフェクションした細胞が、CTLクローンLB1841 526/F7.1を刺激して、TNFを生じた(図9b)。MAGE−A3またはHLA−B40のみとトランスフェクションしたCOS細胞は、CTLクローンを刺激しなかった。
【0172】
抗原性ペプチドの同定
CTLクローンLB1841 526/F7.1によって認識されるMAGE−A3ペプチドを同定するために、12アミノ酸が重複し、かつ、完全なMAGE−A3タンパク配列をカバーする16アミノ酸の一組のペプチドをスクリーニングした。自己EBV−B細胞をこれらの各ペプチドと1μg/mlの濃度でインキュベートし、CTLクローンLB1841 526/F7.1による認識について、5:1のエフェクター:ターゲット細胞比でクロム放出アッセイにおいて試験した。ペプチドAALSRKVAELVHFLLL(配列番号54)は陽性であった。このペプチドの配列を、“http://bimas.dcrt.nih.gov/molbio/hla_bind/index.html”から入手できるソフトウェアを用いてHLA−B40結合ペプチドの予測のためにスクリーニングした。ペプチドAELVHFLLL(MAGE−A3 114−122)(配列番号55)は、最も高いスコアを有していた。CTLクローンLB1841 526/F7.1を用いて細胞毒性アッセイにおいて試験し、〜7nMの自己EBV−Bターゲット細胞の半全溶解を生じた(図9C)。
【0173】
MAGE−A3を発現するHLA−B40細胞のCTLクローンLB1841 526/F7.1による認識
CTLクローンLB1841 526/F7.1も、例えばLB−43−MELのようなHLA−B40陽性患者から得られたMAGE−A3を発現するメラノーマ細胞系統を溶解することができる(図9D)。一部のメラノーマ細胞、例えば、SK−MEL−28およびSK−31−MELは、MAGE−A3の発現レベルがこれらの細胞に適切であるように見えるが、クローンLB1841 526/F7.1によって溶解されない。ペプチドパルス化細胞も、CTL溶解に敏感ではない。溶解が欠如することが、これらのメラノーマ細胞におけるHLA発現のダウンレギュレーションによると思われる。なぜなら、SK−MEL−28細胞のIFN−γを用いた処理が、クローンLB1841 526/F7.1によるこれらの細胞の溶解を増大させたからである(IFN−γは、一部の細胞においてHLA発現をアップレギュレートすることが知られている)。
【0174】
実施例13
細胞溶解性Tリンパ球に対するHLA−B7分子により示されたMAGE−A1ペプチド
ヒト血液の処理
ドナーLB1803の血液サンプル(HLA−A2、−A32、B7、−B60)を、実施例12と同様に処理した。
【0175】
MAGE−A1に特異的なCTLクローンの単離
ドナーLB 1803の血液サンプルから得られた樹状細胞をALVAC−MAGE−A1と感染させ、培養培地に15μg/mlのゲンタマイシンを添加したことを除いて、実施例7と本質的に同じ方法に従って自己CD8+細胞と共培養した。
【0176】
数回刺激した後、ミクロ培養を、EBV−Bターゲット細胞の感染に用いられる前の30秒間にわたってワクシニアサンプルを超音波処理することを除いて、実施例7と本質的に同じ方法に従って自己ターゲット細胞の特異的溶解について試験した。
【0177】
組み換えワクシニア(WR−MAGE−A1)と感染した自己EBV−B細胞を特異的に溶解する細胞を含むと同定されたミクロ培養438/G8を、最初の二週間の刺激に関して、刺激細胞としてエルジニア−MAGE−A1と感染した照射自己EBV−B細胞、フィーダー細胞として照射LG2−EBV、IL−2(50U/ml)およびゲンタマイシン(15μg/ml)を用いて、限界希釈によりクローン化した。CTLクローンを、PHA(0.5μg/ml)、フィーダー細胞およびIL−2で週毎に再刺激することによって培養に維持した。
【0178】
このクローンを、組み換えワクシニア(WR−MAGE−A1)と感染した、あるいはネガティブコントロールとして親のワクシニアと感染した、自己EBV−不死化B細胞の特異的溶解について試験した。クローンLB1803 483/G8.4が陽性であることを見出し(図10A)、以下の実験に使用した。
【0179】
MAGE−A1エピトープは、HLA−B7分子によりCTLに示される
ドナーLB1803は、HLA−A2、−A32、−B7、−B60に分類される。CTLクローンLB1803 483/G8.4によって認識されるMAGE−A1エピトープを示すHLA分子を同定するために、COS−7細胞を、推定されるHLA提示分子をコードするcDNAと共にMAGE−A1 cDNAとトランスフェクションした。要約すると、マイクロウェルに分配された1.5x104のCOS−7細胞を、50ngのプラスミドpcDNA3−MAGE−A1、50ngのHLA分子のコード配列を含むプラスミド、および1μlのリポフェクタミン(Gibco BRL)とコトランスフェクションした。HLAコード配列を、種々の個人から単離した;特に、HLA−B7 cDNAを、鋳型として腫瘍細胞系統LB23−SAR由来のRNAを用いたRT−PCRによって得た。このPCR産物をpcDSRalphaに挿入した。トランスフェクションされたCOS−7細胞を、37℃かつ8%のCO2において24時間インキュベートした。これらのトランスフェクタントを、クローンLB1803 483/G8.4によるTNFの産生を刺激する能力について試験した。要約すると、2000のCTLを、25U/mlのIL−2を含む100μlのIscove完全培地の全体量において、トランスフェクタントを含むマイクロウェルに添加した。24時間後、上清を回収し、そのTNF含量を、標準MTT比色分析においてWEHI−164クローン13の細胞における上清の細胞毒性効果を試験することによって調べた。HLA−B7とMAGE−A1の両方とトランスフェクションした細胞が、CTLクローンLB1803 483/G8.4を刺激して、TNFを生じた(図10B)。HLA−B7、および、MAGE−A2、−A3、−A4、−A6、−A8、−A9、−A10、−A11、−A12、−B1、−B2または−C2のいずれかとトランスフェクションしたCOS−7細胞は、CTLクローンLB1803 483/G8.4を刺激してTNFを産生できなかった。
【0180】
抗原性ペプチドの同定
CTLクローンLB1803 483/G8.4によって認識されるMAGE−A1ペプチドを同定するために、8アミノ酸が重複し、かつ、完全なMAGE−A1タンパク配列をカバーする12アミノ酸の一組のペプチドをスクリーニングした。自己EBV−B細胞をこれらの各ペプチドと2μg/mlの濃度でインキュベートし、CTLクローンLB1803 483/G8.4による認識について、20:1のエフェクター:ターゲット細胞比でクロム放出アッセイにおいて試験した。ペプチドRVRFFFPSLREA(MAGE−A1 289−300)(配列番号56)は陽性であった。このペプチドの配列を、“http://bimas.dcrt.nih.gov/molbio/hla_bind/index.html”から入手できるソフトウェアを用いてHLA−B7結合ペプチドについてスクリーニングした。ペプチドRVRFFFPSL(MAGE−A1 289−297)(配列番号57)は、最も高いスコアを有していた。CTLクローンLB1803 483/G8.4を用いて細胞毒性アッセイにおいて試験し(E/T比は20:1)、〜20nMの自己EBV−Bターゲット細胞の半全溶解を生じた(図10D)。
【0181】
MAGE−A1を発現するHLA−B7細胞のCTLクローンLB1803 483/G8.4による認識
CTLクローンLB1803 483/G8.4も、MAGE−A1を発現するHLA−B7メラノーマ細胞系統ME275クローン2を溶解することができる(図10D)。メラノーマ細胞系統ME190DAも、100U/mlのIFN−γと72時間処理した後のみではあるが、溶解された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発現ベクターpMS111-MAGE-A1 (YopE130 -A1)のプラスミドマップを示す。
【図2】 組換エルシニアと混合したEBV-形質転換済ヒトB細胞 (HLA- A1)で、CTL 82/30を刺激する方法の手順;(B)は、活性化CTLにより放出されたIFNの定量を示す。
【図3】 HLA-Cw3により提示される抗原性ペプチドMAGE-A1の、CTLクローンLB1137 462/F3.2による特異的認識を示す。
【図4】 HLA-Cw3により提示される抗原性ペプチドMAGE-A1の、CTLクローンLB1801 456/H7.11 による特異的認識を示す。
【図5】 HLA-A2により提示される抗原性ペプチドMAGE-A4の、CTLクローンLB1137 H4.13 による特異的認識を示す。
【図6】 MAGE-A4核酸配列(配列番号: 49)、及び実施例9に記載のようにPCRで使用されるプライマーを示す。
【図7】 HLA-Cw2からCTLクローンLB1118 466/D3. 31へ提示されるMAGE-A1を示す。
(A)ワクシニア-MAGE-A1に感染した自己EBV細胞のCTLクローンLB1118 466/D3.31による溶解。標的細胞は、MOIを20にして2時間感染し、51Crで標識し、そしてCTLクローンLB1118 466/D3.31と4 時間インキュベートした。親のワクシニアで感染させた標的を陰性対象として使用した。
(B)MAGE-A1のcDNA及びHLA-Cw2をコードするcDNAで一過性に形質移入したCOS-7細胞による、CTLクローンLB1118 466/D3.31の刺激。形質移入の1日後、1500の CTL クローン LB1118 466/D3.31 を、1.5x104の形質移入済COS-7細胞が含まれるマイクロウェルに添加した。TNF産生は、一晩の共培養後に、上清の毒性を、WEHI-164クローン13のTNF-感受性細胞で試験して推定した。
(C)合成ペプチドSAFPTTINF(配列番号: 47) (MAGE-A1 62- 70)でインキュベートした自己EBV-B細胞の、CTL クローンLB1118 466/D3.31による溶解。標的を52Crで標識し、CTLと4時間、エフェクター対標的比を5:1として、表示の濃度のペプチド存在下でインキュベーションした。
(D)CTLクローンLB1118 466/D3.31による、HLA-Cw2腫瘍細胞株の溶解。標的細胞を51Crで標識し、そして種々のエフェクター対標的比でCTL クローン LB1118 466/D3. 31と4時間インキュベートした。
【図8】 HLA-A28からCTLクローンLB1801 456/H8.33へ提示されるMAGE-A1ペプチド を示す。
(A)ワクシニア-MAGE-A1で感染した自己EBV-B細胞の、CTLクローンLB1801 456/H8. 33による溶解。標的細胞を、MOIを20にして2時間感染させ、51Crで標識し、そしてCTL クローンLB1801 456/H8.33と4時間インキュベートした。親のワクシニアで感染させた標的を、陰性対照として使用した。
(B)MAGE-A1のcDNA及びHLA-A28をコードするcDNAで形質移入したCOS-7細胞による、CTLクローンLB1801 456/H8.33の刺激。形質移入1日後、1500の CTLクローンLB1801 456/H8.33を、1. 5x104の形質移入済COS-7細胞が含まれるマイクロウェルへ添加した。TNF産生は、 一晩の共培養後に、上清の毒性を、WEHI-164クローン13のTNF-感受性細胞で試験して推定した。
(C)合成ペプチド EVFDGREHSA(配列番号: 48) (MAGE-A1222-231)とインキュベートした自己EBV-B細胞の、CTLクローンLB1801 456/H8.33による溶解。標的を51Crで標識し、そしてCTL クローンLB1801 456/H8. 33と4時間、エフェクター対標的比を5:1として、表示の濃度のペプチド存在下でインキュベートした。
(D)CTLクローンLB1801 456/H8.33による、HLA-A28メラノーマ株の溶解。標的細胞を51Crで標識し、CTLクローンLB1801 456/H8. 33と、種々のエフェクター対標的比で4 時間インキュベーションした。
【図9】 MAGE-A3ペプチドは、CTL クローンLB1841 526/F7.1へ、HLA-B40により提示される。
(A)CTLクローンLB1841 526/F7.1による、ワクシニア-MAGE-A3に感染した自己EBV-B細胞の溶解。
(B)MAGE-A3のcDNA及び表示のHLA分子をコードするcDNAで一過性に形質移入したCOS-7細胞による、CTLクローンLB1841 526/F7.1の溶解。
(C)CTL クローンLB1841 526/F7.1による、合成ペプチドAELVHFLLL (配列番号 : 55)(MAGE-A3 114-122)とインキュベートした自己EBV-B細胞の溶解。
(D)CTLクローンLB1841 526/F7.1による、HLA-B40メラノーマ細胞の溶解。
【図10】 MAGE-A1ペプチドは、CTLクローンLB1803 483/G8. 4へ、HLA-B7により提示される。
(A)CTLクローンLB1803 483/G8.4による、ワクシニアの-MAGE-A1で感染した自己EBV-B細胞の溶解。
(B)MAGE-A1のcDNA及び表示のHLA分子をコードするcDNA で一過性形質移入されたCOS細胞による、CTLクローンLB1803 483/G8. 4の刺激。
(C)合成ペプチドRVRFFFPSL (配列番号 : 5)(MAGE-A1 289-297)とインキュベーションした自己EBV-B細胞の、CTL クローンLB1803 483/G8. 4による溶解。
(D)CTLクローンLB1803 483/G8.4による、HLA-B7メラノーマの溶解。

Claims (13)

  1. ペプチド/HLA複合体に特異的な、単離されたCTLクローンであって、当該複合体が、SAYGEPRKL(配列番号:2)/HLA-Cw3、DPARYEFLW(配列番号:42)/HLA-B53、GVYDGREHTV(配列番号:44)/HLA-A2、SAFPTTINF(配列番号:47)/HLA-Cw2、EVYDGREHSA(配列番号:48)/HLA-A28、AELVHFLLL(配列番号:55)/HLA-B40、及びRVRFFFPSL(配列番号:57)/HLA-B7からなる群より選択されるクローン。
  2. 単離された抗原性ペプチドであって、当該ペプチドが、DPARYEFLW(配列番号:42)、GVYDGREHTV(配列番号:44)、SAFPTTINF(配列番号:47)、及びAELVHFLLL(配列番号:55)からなる群より選択されるペプチド。
  3. 請求項2に記載のペプチドをコードする、単離された核酸分子。
  4. 単離されたペプチド/HLA複合体であって、当該複合体が、SAYGEPRKL(配列番号:2)/HLA-Cw3、DPARYEFLW(配列番号:42)/HLA-B53、GVYDGREHTV(配列番号:44)/HLA-A2、SAFPTTINF(配列番号:47)/HLA-Cw2、EVYDGREHSA(配列番号:48)/HLA-A28、AELVHFLLL(配列番号:55)/HLA-B40、及びRVRFFFPSL(配列番号:57)/HLA-B7からなる群より選択されるペプチド/HLA複合体。
  5. 請求項に記載のペプチド/HLA複合体を発現する抗原提示細胞。
  6. 薬学的担体、及びSAYGEPRKL(配列番号:2)/HLA-Cw3に特異的なCTLクローン、DPARYEFLW(配列番号:42)/HLA-B53に特異的なCTLクローン、GVYDGREHTV(配列番号:44)/HLA-A2に特異的なCTLクローン、SAFPTTINF(配列番号:47)/HLA-Cw2に特異的なCTLクローン、EVYDGREHSA(配列番号:48)/HLA-A28に特異的なCTLクローン、AELVHFLLL(配列番号:55)/HLA-B40に特異的なCTLクローン、及びRVRFFFPSL(配列番号:57)/HLA-B7に特異的なCTLクローンからなる群より選択される少なくとも一の単離されたCTLクローンを含む薬学的組成物。
  7. 薬学的担体、及びDPARYEFLW(配列番号:42)、GVYDGREHTV(配列番号:44)、SAFPTTINF(配列番号:47)、及びAELVHFLLL(配列番号:55)からなる群より選択される少なくとも一のペプチドを含む薬学的組成物。
  8. 薬学的担体、及びSAYGEPRKL(配列番号:2)/HLA-Cw3、DPARYEFLW(配列番号:42)/HLA-B53、GVYDGREHTV(配列番号:44)/HLA-A2、SAFPTTINF(配列番号:47)/HLA-Cw2、EVYDGREHSA(配列番号:48)/HLA-A28、AELVHFLLL(配列番号:55)/HLA-B40、及びRVRFFFPSL(配列番号:57)/HLA-B7からなる群より選択される少なくとも一のペプチド/HLA複合体を含む薬学的組成物。
  9. 薬学的担体、及びSAYGEPRKL(配列番号:2)/HLA-Cw3を発現している抗原提示細胞、DPARYEFLW(配列番号:42)/HLA-B53を発現している抗原提示細胞、GVYDGREHTV(配列番号:44)/HLA-A2を発現している抗原提示細胞、SAFPTTINF(配列番号:47)/HLA-Cw2を発現している抗原提示細胞、EVYDGREHSA(番号:48)/HLA-A28を発現している抗原提示細胞、AELVHFLLL(配列番号:55)/HLA-B40を発現している抗原提示細胞、及びRVRFFFPSL(配列番号:57)/HLA-B7を発現している抗原提示細胞からなる群より選択される少なくとも一の抗原提示細胞を含む薬学的組成物。
  10. 被験者由来の試料中において、その細胞表面にペプチド/HLA複合体を異常に発現している細胞の存在を検出する方法であって、当該ペプチド/HLA複合体が、SAYGEPRKL(配列番号:2)/HLA-Cw3、DPARYEFLW(配列番号:42)/HLA-B53、GVYDGREHTV(配列番号:44)/HLA-A2、SAFPTTINF(配列番号:47)/HLA-Cw2、EVYDGREHSA(配列番号:48)/HLA-A28、AELVHFLLL(配列番号:55)/HLA-B40、又はRVRFFFPSL(配列番号:57)/HLA-B7のいずれか一つであり、当該方法は、当該試料を当該複合体に特異的なCTLクローンと接触させることを含む方法。
  11. 被験者の試料中において、ペプチド/HLA複合体に特異的なCTL細胞の存在を検出する方法であって、当該複合体は、SAYGEPRKL(列番号:2)/HLA-Cw3、DPARYEFLW(配列番号:42)/HLA-B53、GVYDGREHTV(配列番号:44)/HLA-A2、SAFPTTINF(配列番号:47)/HLA-Cw2、EVYDGREHSA(配列番号:48)/HLA-A28、AELVHFLLL(配列番号:55)/HLA-B40、及びRVRFFFPSL(配列番号:57)/HLA-B7からなる群より選択され、当該方法は、当該試料を、その細胞の表面上に当該ペプチド/HLA複合体を提示している細胞と接触させ、そしてCTL応答を当該CTL細胞の存在の指標として検出することを含む方法。
  12. 前記の細胞が、自己抗原提示細胞であり、そして前記のペプチド/HLA複合体の細胞表面上への提示が、当該細胞に、当該ペプチド/HLA複合体中のペプチドをロードすることにより達成される、請求項9に記載の薬学的組成物。
  13. 前記の細胞が、自己抗原提示細胞であり、そして前記のペプチド/HLA複合体の細胞表面への提示が、当該ペプチド/HLA複合体中のペプチドをコードしているヌクレオチド配列で、当該細胞を形質移入することにより達成される、請求項9に記載の薬学的組成物。
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