JP4722058B2 - 物品の設計支援システムおよびその制御方法 - Google Patents
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Description
上記特許文献に記載の家具設計支援システムでは,基本的な枠体であるユニットに,パーツ(引出し,扉,脚,引き手など)が組み込まれる。パーツは,ユニットに規定される空間(セル)に関連づけられる。すなわち,ユニットは,ユニットを構成する天板,地板,左側板,右側板および背板によって規定される空間(セル)を有し,このセルに引出しなどのパーツが関連づけられて組込まれる。セルは,ユニットによって規定されるセルに仕切板を組合わせることによって分割することができ,分割されたセルのそれぞれに,パーツを組み込むことができる。
特許文献に記載の家具設計支援システムによると,ユニットおよび仕切板によって規定されるセルに,パーツを関連づけて組合わせることによって,単に枠体のみによって構成される家具のみならず,ユニットによって規定される空間(セル)に引出しなどの種々のパーツが組み込まれた複雑な構造を持つ家具を設計することができる。
特許文献に記載の家具設計支援システムは,一つのセルに対して一つのパーツを組み込むものである。一つのセルに複数のパーツを組み込むことができない。このため,特許文献に記載の家具設計支援システムでは,複数のパーツを組み込もうとする場合には,仕切板によって,複数のセルをあらかじめ形成しておく必要がある。
また,設計が完成した家具,または完成途上の家具の寸法を変更する場合,特許文献に記載の家具設計支援システムでは,ユニット(セル)の寸法の変更に応じて,そのユニット(セル)に組み込まれているパーツの寸法を変更するのは容易ではない。特許文献に記載のシステムでは,ユニットに組み込まれているパーツは,いずれも,セルの前方左下隅の座標(x,y,z)を基準にしてその寸法(高さ,幅および奥行き)が決定されているからである。
この発明はまた,ユニットにパーツが組込まれた状態において,パーツの寸法を,ユニットの寸法の変更に追従して容易に変更できるようにすることを目的とする。
この発明による物品設計支援システムは,複数種類の基本構成部材(ユニット)を表す画像および複数種類の部品(パーツ)を表す画像を表示装置に表示し,表示された複数種類の基本構成部材の中から選択された基本構成部材と表示された複数種類の部品の中から選択された部品とを組合わせることによって,基本構成部材と部品とが組合わされて構成される物品を表示(設計)するシステムである。物品設計支援システムは,コンピュータ,入力装置,表示装置,メモリ等を備えたシステムであり,コンピュータ・システムを用いて物品を設計する。物品設計支援システムは,たとえば,家具の設計に用いることができる。
物品設計支援システムは,入力装置が用いられて選択された基本構成部材(ユニット)に,入力装置が用いられて選択された部品(パーツ)を組み合わせることによって,基本構成部材および部品から構成される物品を設計することを基本とする。基本構成部材は,物品の枠体を構成する部材を意味する。家具について言えば,基本構成部材である枠体に,部品,たとえば引出し,棚板,ハンガーパイプなどを組合わせることができ,組み合わせられる部品の種類,部品の配置位置(組込み位置)によって,様々な形状または構造を有する家具を設計することができる。
この発明による物品設計支援システムは,複数種類の部品のそれぞれについて,上記基本構成部材によって規定される3次元セル空間を基準にした相対的位置および相対的寸法を定めた3次元部品空間データを記憶する第1の記憶手段,複数種類の部品のそれぞれについて,上記3次元部品空間データによって規定される3次元部品空間を基準にした相対的位置および相対的寸法を定めた3次元部品データを記憶する第2の記憶手段,選択された基本構成部材によって規定される3次元セル空間と,選択された部品についての3次元部品空間を1対1に関連づけるセル空間/部品空間関連づけ手段,ならびに上記セル空間/部品空間関連づけ手段によって3次元部品空間が関連づけられた3次元セル空間において,上記第1の記憶手段に記憶されている選択された部品についての3次元部品空間データおよび上記第2の記憶手段に記憶されている選択された部品についての3次元部品データによって決定される位置に,上記3次元部品空間データおよび上記3次元部品データによって決定される寸法をもつ部品画像を表示する表示制御手段を備えている。もちろん,上記表示制御手段によって表示される部品画像を含む物品の画像は,プリンタからプリントアウトすることもできる。
この発明による物品設計支援システムの制御方法は,複数種類の基本構成部材を表す画像および複数種類の部品を表す画像を表示装置に表示し,表示された複数種類の基本構成部材の中から選択された基本構成部材と表示された複数種類の部品の中から選択された部品とを組合わせることによって,基本構成部材と部品とが組合わされて構成される物品の画像を表示する物品設計支援システムの制御方法であって,複数種類の部品のそれぞれについて,上記基本構成部材によって規定される3次元セル空間を基準にした相対的位置および相対的寸法を定めた3次元部品空間データを第1の記憶手段に記憶させ,複数種類の部品のそれぞれについて,上記3次元部品空間データによって規定される3次元部品空間を基準にした相対的位置および相対的寸法を定めた3次元部品データを第2の記憶手段に記憶させ,選択された基本構成部材によって規定される3次元セル空間と,選択された部品についての3次元部品空間を,セル空間/部品空間関連づけ手段によって1対1に関連づけ,表示制御手段によって,上記3次元部品空間が関連づけられた上記3次元セル空間において,上記第1の記憶手段に記憶されている選択された部品についての3次元部品空間データおよび上記第2の記憶手段に記憶されている選択された部品についての3次元部品データによって決定される位置に,上記3次元部品空間データおよび上記3次元部品データによって決定される寸法をもつ部品画像を表示することを特徴とする。
この発明による物品設計支援システムでは,3次元セル空間と3次元部品空間の2種類の空間の概念を利用する。
3次元セル空間は,基本構成部材によって規定される寸法(高さ,幅および奥行き)をもつ3次元空間である。3次元セル空間は直方体状の空間であり,上面,下面,左面,右面,前面および背面の6つの面をもつ。これらの6つの面によって囲まれる領域が3次元セル空間である。
3次元部品空間は,基本構成部材によって規定される3次元セル空間に組込まれる部品を囲む直方体状の空間である。複数種類の部品のそれぞれは3次元部品空間をもつ。第1の記憶手段(ハードディスクなど)に,複数種類の部品のそれぞれについて,3次元部品空間データが記憶されている。
3次元部品空間は,上述した3次元セル空間を基準にした相対的な位置および寸法を定めたデータ(3次元部品空間データ)によって,その位置および寸法(高さ,幅および奥行き)が規定される。
一実施態様では,上記3次元部品空間データは,上記3次元部品空間の上面,下面,左面,右面,前面および背面のそれぞれの位置を,上記3次元セル空間の対応する面からの距離を表すデータによって規定するものである。すなわち,3次元部品空間の上面,下面,左面,右面,前面および背面のそれぞれの位置は,3次元セル空間の上面,下面,左面,右面,前面および背面を基準とした距離によって定められる。
上記3次元部品空間の上面,下面,左面,右面,前面および背面のそれぞれの位置のうち少なくとも一つを,上記3次元セル空間の反対の面からの距離を表すデータによって規定してもよい。上記3次元セル空間の反対の面とは,たとえば,3次元部品空間の上面については3次元セル空間の下面を意味し,3次元部品空間の下面については3次元セル空間の上面を意味する。たとえば,3次元部品空間の下面の位置を,3次元セル空間の上面からの距離を表すデータによって規定し,3次元部品空間の残りの面(上面,左面,右面,前面および背面)を,3次元セル空間の対応する面からの距離によって規定する。
第2の記憶手段に,複数種類の部品のそれぞれについて,上記3次元部品空間を基準にした相対的な位置および寸法を定めたデータ(3次元部品データ)が記憶されている。すなわち,複数種類の部品のそれぞれは,3次元セル空間を基準とする3次元部品空間データと,3次元部品空間を基準とする3次元部品データとをもつ。
上記部品は,一つの最小構成要素によって構成される第1の部品と,複数の最小構成要素を組合わせることによって構成される第2の部品とに大別される。上記第2の記憶手段は,上記第2の部品については,複数の最小構成要素のそれぞれについて,上記3次元部品空間データによって規定される3次元部品空間を基準にした相対的位置および相対的寸法を定めた3次元最小構成要素データを記憶する。3次元部品空間を基準にして,部品を構成する複数の最小構成要素のそれぞれについて3次元最小構成要素データを記憶させるようにデータ構造を規定することによって,様々な構造をもつ部品を規定することができる。
一実施態様では,上記3次元部品データまたは上記3次元最小構成要素データは,上記3次元部品空間の上面,下面,左面,右面,前面および背面からの距離を表すデータのそれぞれである。3次元部品データまたは3次元最小構成要素データを,上記3次元部品空間の上面,下面,左面,右面,前面および背面のうちいずれか5面からの距離を表すデータと,部品または最小構成要素の厚さを表すデータによって規定するようにしてもよい。
この発明によると,基本構成部材によって規定される3次元セル空間には,選択された部品についての3次元部品空間が関連づけられる。3次元部品空間は,3次元セル空間を基準にした相対的位置および相対的寸法を定めた3次元部品空間データによって,その位置および寸法が決まる。さらに,部品には,上記3次元部品空間データによって規定される3次元部品空間を基準にした相対的位置および相対的寸法を定めた3次元部品データが規定されているので,基本構成部材に組合わされる部品は,3次元部品空間を介して,3次元セル空間に関連づけられることになる。
3次元部品空間は,3次元セル空間を基準にした相対的な位置および寸法をもつので,3次元セル空間(基本構成部材)を拡大または縮小させた場合,その3次元セル空間に関連づけられている3次元部品空間は,3次元セル空間の拡大または縮小に応じて拡大または縮小する。さらに,部品は,3次元部品空間を基準にした相対的な位置および寸法をもつので,3次元部品空間の拡大または縮小に応じて,部品または最小構成要素は適切な箇所に移動し,その寸法も拡大または縮小する。
このようにこの発明によると,3次元セル空間の拡大または縮小に応じて,その3次元セル空間に関連づけられた3次元部品空間および部品(または最小構成要素)が拡大または縮小される。設計されるべき物品(たとえば,家具)の寸法に応じて,同じ種類の部品について,寸法の異なる複数のデータを用意する必要がない。また,3次元セル空間を拡大または縮小した場合に,その3次元セル空間に組込まれている部品の寸法(3次元部品空間の寸法)を,3次元セル空間の拡大または縮小に合わせて別途拡大または縮小(二重の拡大または縮小の操作)することも必要とされないので,設計上の煩わしさが軽減される。さらに,6方向(上方向,下方向,左方向,右方向,手前方向,奥方向)のいずれの方向の拡大または縮小にも対応することができる。
複数種類の部品のそれぞれについて,上記3次元セル空間の上面,下面,左面,右面,前面および背面と,上記3次元部品空間の対応する面のそれぞれを連動させるか否かを各面ごとに定めたデータを記憶する第3の記憶手段をさらに設けると好ましい。3次元部品空間の6面のそれぞれについて,3次元セル空間の対応する6面との相対位置を常に保持させるかどうか(連動のオンまたはオフ)が規定される。たとえば,ある部品について,その部品の3次元部品空間の上面,下面,左面,右面,前面および背面の6面のうち,上面,左面,右面,前面および背面の5面については3次元セル空間の対応する各面に連動し,下面については非連動であることが第3の記憶手段に記憶されているとする。3次元セル空間にそのような部品(3次元部品空間)が組込まれると,その部品についての3次元部品空間の上面,左面,右面,前面および背面の5面については,3次元セル空間が拡大または縮小されると,3次元セル空間の拡大または縮小に伴って拡大または縮小する(第1の記憶手段に記憶されている3次元部品空間データによって規定される相対的位置の通りになる)。
上述の場合,たとえば,3次元部品空間の下面については,3次元セル空間の上面からの距離によって,その位置を規定しておけばよい。
さらに好ましくは,上記セル空間/部品空間関連付け手段によって関連づけられた3次元セル空間の大きさが3次元部品空間よりも大きい場合に,上記3次元セル空間を分割するセル空間分割手段が設けられる。セル空間分割手段によって,基本構成部材によって規定される一つの3次元セル空間が,2つの3次元セル空間に分割される。3次元セル空間と3次元部品空間とは1対1に対応するから,セル空間分割によって,3次元部品空間が関連づけられている3次元セル空間と,3次元部品空間が関連づけられていない3次元セル空間とがつくられる。3次元部品空間が関連づけられていない3次元セル空間には,他の部品(3次元部品空間)を,さらに関連づけることができる。
3次元部品空間が関連づけられた3次元セル空間を拡大することによって3次元部品空間よりも大きい3次元セル空間が規定された場合にも,その3次元セル空間を分割するようにしてもよい。
複数種類の部品のそれぞれについて,上記3次元部品空間の上面,下面,左面,右面,前面および背面のそれぞれと,上記部品または上記部品を構成する最小構成要素の対応する面のそれぞれを連動させるか否かを各面ごとに定めたデータを記憶する第4の記憶手段をさらに備えてもよい。部品ごと,または部品を構成する複数の最小構成要素ごとに,その上面,下面,左面,右面,前面および背面を,3次元部品空間の上面,下面,左面,右面,前面および背面に連動して拡大または縮小させるか否かが定義される。
好ましい実施態様では,上記3次元セル空間,上記3次元部品空間データおよび上記3次元部品データに基づいて,物品に含まれる基本構成部材,物品に含まれる部品,および物品に含まれる部品を構成する最小構成要素のうちの少なくとも一つについての寸法を含む詳細図面を作成する詳細図面作成手段,および上記詳細図面作成手段によって作成された寸法を含む詳細図面を出力する出力手段が備えられる。上記3次元セル空間,上記3次元部品空間データおよび上記3次元部品データによって,基本構成部材,部品および最小構成要素の寸法(6面位置)が規定されるので,これらについて,寸法を含む詳細図面(矩形形状で表される平面図,正面図など)を作成し,かつ出力(表示出力,プリント出力)することができる。
矩形形状以外の図面描画を行う場合には,ベクトル描画データを記憶したベクトル描画データ記憶手段を設けておく。この場合,上記詳細図面作成手段は,あらかじめ定義された基本構成部材,部品または最小構成要素におけるあらかじめ定められた面についての詳細図面を,上記ベクトル描画データ記憶手段に記憶されているベクトル描画データに基づいて描画する。矩形形状以外(たとえば,円形)の図面描画を行うことができる。
この発明はさらに,上述した第1〜第4の記憶手段に記憶されるデータの入力を受付け,第1〜第4の記憶手段に記憶するプログラムも提供している。
第2図は,家具設計支援装置の電気的構成を示すブロック図である。
第3図は,家具を構成する構成部材を示す。
第4図は,完成家具の外観を示す。
第5図は,完成家具の外観を示す。
第6図は,セル空間とパーツ空間との関係を示す。
第7図は,セル空間とパーツ空間との関係を示す。
第8図は,ハンガーパイプについてのパーツ空間と,パーツ空間におけるハンガーパイプの位置との関係を示す。
第9図は,インセット引出しについてのパーツ空間と,パーツ空間におけるインセット引出しの位置を示す。
第10図は,インセット引出しを構成する前板のパーツ空間における位置を示す。
第11図は,インセット引出しを構成する内前板のパーツ空間における位置を示す。
第12図は,インセット引出しを構成する妻板(左)のパーツ空間における位置を示す。
第13図は,ハンガーパイプについての定義データを示す。
第14図は,インセット引出しについての定義データを示す。
第15図は,インセット引出しについての定義データを示す。
第16図は,インセット引出しについての定義データを示す。
第17図は,インセット引出しについての定義データを示す。
第18図は,インセット引出しについての定義データを示す。
第19図は,インセット引出しについての定義データを示す。
第20図は,ユニットにハンガーパイプを組み合わせる様子を示す。
第21図は,ユニットにハンガーパイプを組み合わせる様子を示す。
第22図は,家具設計支援装置の基本的な動作の流れを示すフローチャートである。
第23図は,家具設計支援装置における表示画面を示す。
第24図は,家具設計支援装置における表示画面を示す。
第25図は,家具設計支援装置における表示画面を示す。
第26図は,家具設計支援装置における表示画面を示す。
第27図は,家具設計支援装置における表示画面を示す。
第28図は,家具設計支援装置における表示画面を示す。
第29図は,ハンガーパイプの詳細図面を示す。
第30図は,ハンガーパイプについての詳細図面描画定義データを示す。
第31図は,ベクトル・データ・テーブルを示す。
第32図は,ハンガーパイプについての詳細図面の他の例を示す。
第33図は,アウトセット引出しの詳細図面を示す。
第34図は,アウトセット引出しを構成する前板の詳細図面を示す。
第1図は,家具設計支援装置の外観を示すものである。第2図は,家具設計支援装置の電気的構成を示すブロック図である。
家具設計支援装置は,コンピュータ20を含むコンピュータ・システム(たとえば,パーソナル・コンピュータ)によって構成される。コンピュータ20には,FDドライブ14,CD−ROMドライブ15,ハードディスクユニット(HDユニット)16,およびメモリ18が接続され,これらはコンピュータ本体ケース19内に内蔵されている。FDドライブ14はフレキシブルディスク(FD)22にデータを書込み,FD22からデータを読出す。CD−ROMドライブ15は,CD−ROM21からデータを読出す。HDユニット16は,ハードディスクに記憶されたオペレーティング・システム,家具設計支援プログラムおよびデータを読出す。ハードディスクから読出されたプログラムおよびデータに基づいて,コンピュータ・システムが家具設計支援装置として機能する。
コンピュータ20から与えられる表示データに基づいて,表示装置11の表示画面には種々のウインドウが表示される。オペレータは,キーボード12およびマウス13を用いて,クリック(選択),数値入力等を行う。表示装置11の表示画面上に表示された処理結果等は,プリンタ17からプリントすることができる。
HDユニット16のハードディスクには,家具設計データが記憶される家具設計データベース25が設けられている。家具設計データによって,家具設計支援装置が用いられて設計された家具の画像や設計図面等が表示装置11の表示画面上に表され,プリンタ17からプリントされる。また,HDユニット16のハードディスクには定義データが記憶された定義データベース26が設けられている。定義データベース26には,後述する複数のユニット,パーツのそれぞれについての定義データが記憶されている。定義データの詳細は後述する。
2.ユニットおよびパーツ
第3図は,家具設計支援装置によって設計される家具を構成する構成部材の一部を示している。
家具設計支援装置において,家具は,複数種類の構成部材の組合せによって作成(設計)される。構成部材はユニットとパーツとに大別される。
ユニットとは,家具の構造の最も基本となる枠体を指す。ユニットは,基本的には,天板,地板,右側板,左側板および背板によって構成され,前面は開口している構造をもつ。
ユニットを構成する天板,地板,右側板,左側板および背板の内側(枠体内部)には空間が存在する。この明細書において,ユニット内の上述の空間を「セル空間」と呼ぶ。セル空間は,パーツ(たとえば,棚板,引出しなど)によってより小さい空間に分割される。この分割によって形成されるより小さな空間もまた,この明細書において「セル空間」という。セル空間は直方体状の3次元空間である。
家具設計支援装置では,複数種類のユニットを組合わせることによって一つの家具を作成することができる。ユニット同士の組合せを考慮した複数種類のユニットが,あらかじめ定義される。この実施例において,ユニットは,基本ユニット,上ユニット,下ユニット,中ユニット等に分類される。基本ユニットは最も標準的なユニットであり,天板,地板,右側板,左側板および背板によって構成される。上ユニットは,基本ユニットの上部に重合わされるユニットであり,天板,右側板,左側板および背板から構成され,地板をもたないものである。基本ユニットの天板が上ユニットの地板の役目を兼ねる。下ユニットは,基本ユニットの下部に重合わされるユニットであり,地板,右側板,左側板および背板から構成され天板をもたないものである。中ユニットは,たとえば,左右に離れて配置された基本ユニットの間に配置されるユニットであり,天板,地板および背板から構成され,右側板および左側板をもたない。
パーツは,家具を構成する構成部材のうち,ユニットを除く構成部材を指す。パーツは,引出し,衣服掛け,扉等に分類される(大分類)。さらに,引出しについては,インセット引出し,アウトセット引出しA,アウトセット引出しB,アウトセット引出しC等に分類される(小分類)。衣装掛けについては,スライドズボン掛け,ハンガーパイプ,リフトハンガー(シングル),リフトハンガー(ダブル)等の小分類に分類される。扉については,フレーム付扉左開き,フレーム付扉右開き,フレーム付扉両開き,フラット扉左開き等の小分類に分類される。
上述したように,ユニットにはセル空間が規定される。小分類のパーツには,後述する説明で明らかになるように,パーツを取囲むパーツ空間が規定される。パーツ空間も直方体状の3次元空間である。パーツ空間についての詳細は後述する。
上述したユニットおよびパーツ以外にも,家具に設けられる付属的な構成部材(車輪,取手など)を構成部材として用意してもよい。
第4図および第5図は,ユニットおよびパーツを組合わせることによって設計された家具の一例を示す正面図である。第5図は,第4図に示す家具1に設けられている両開き扉61を取り外した状態を示している。
第4図および第5図に示す家具1は,天板31,地板32,左側板33,右側板34および背板35によって構成される一つのユニット30と,ハンガーパイプ41,3つのインセット引出し51,52,53,最上段のインセット引出し51の上面の棚板55,および両開き扉61の6つのパーツから構成されている
第4図および第5図に示す家具は,4つのセル空間を含んでいる。上述したように,ユニットを構成する天板,地板,右側板,左側板および背板の内側のセル空間は,セル空間に配置されるパーツによって分割される。ハンガーパイプ41,および3つのインセット引出し51,52,53によって,ユニット30によって規定されるセル空間が,4つのセル空間(セル空間1,セル空間2,セル空間3およびセル空間4)に分割されたものである。なお,この実施例において,両開き扉61は付属品として取扱われ,セル空間を分割する(パーツ空間を有する)パーツではない。
3.セル空間およびパーツ空間
第6図および第7図は,セル空間Sとパーツ空間Pとの位置関係を示すものである。第6図および第7図において,セル空間Sが実線によって,パーツ空間Pが一点鎖線によって,それぞれ示されている。
上述したように,家具設計支援装置では,ユニットにセル空間Sが規定され,パーツにはパーツ空間Pが存在する。
パーツ空間Pは,セル空間Sを基準として,相対的に,その位置および寸法が規定(定義)される。セル空間Sおよびパーツ空間Pは,いずれも直方体状の形状をもつ。
第6図を参照して,パーツ空間Pの上面,下面,左面,右面,前面および背面の6面は,セル空間Sの上面,下面,左面,右面,前面および背面の6面のそれぞれを基準にして,それら位置を規定することができる。具体的には,セル空間Sの上面からの距離aによってパーツ空間Pの上面の位置が,セル空間Sの下面からの距離bによってパーツ空間Pの下面の位置がそれぞれ規定される。同様にして,セル空間Sの左面からの距離c,セル空間Sの右面からの距離d,セル空間Sの前面からの距離e,セル空間Sの背面からの距離fによって,パーツ空間Pの左面,右面,前面および背面の位置がそれぞれ規定される。セル空間Sとパーツ空間Pとの相対的位置関係(相対的寸法関係)は,パーツごとにあらかじめ定められる。
パーツ空間Pの上面,下面,左面,右面,前面および背面の6面のうち,一または複数の面を,セル空間Sの対応する面からの距離によって規定することに代えて,セル空間Sの反対の面(たとえば,パーツ空間Pの下面に対するセル空間Sの上面)からの距離によって規定することもできる。
第7図を参照して,パーツ空間Pの上面,左面,右面,前面および背面の位置は,第6図に示すものと同様に,セル空間Sの対応する上面,左面,右面,前面および背面からのそれぞれの距離によって規定されている。パーツ空間Pの下面の位置は,パーツ空間Pの下面と反対のセル空間Sの面(上面である)からの距離b1によって規定されている。
パーツ空間Pは,このように,セル空間Sを基準とする相対的な位置関係によって,その位置および寸法が規定される。家具設計支援装置において,ユニットにパーツを組合わせる処理が行われると,ユニットに規定されるセル空間Sに,組合わされたパーツについてのパーツ空間Pが関連づけられる。このとき,組み合わされたパーツのパーツ空間Pの上面,下面,左面,右面,前面および背面の位置が,セル空間Sを基準とする相対的な位置関係によって決定される。パーツ空間Pの上面,下面,左面,右面,前面および背面の位置が決定されることにより,パーツ空間Pの寸法も決まる。セル空間Sとパーツ空間Pは1対1に対応する。
第8図は,パーツの一つであるハンガーパイプHと,ハンガーパイプHについてのパーツ空間Phを示している。第9図はパーツの一つであるインセット引出しIと,インセット引出しIについてのパーツ空間Piを示している。
パーツは,一つの構成部材のみによって構成されるものと,複数の構成部材によって構成されるものとに大別される。ハンガーパイプH(第8図)は,一つの構成部材のみによって構成されるパーツの一つである。インセット引出しI(第9図)は複数の構成部材によって構成されるパーツの一つである。以下,パーツを構成する最小単位の構成部材を「エレメント」と呼ぶ。ハンガーパイプHはそれ自体が最小単位の構成部材であるから,ハンガーパイプH自体がエレメントである。インセット引出しIは,後述するように,複数のエレメントによって構成される。
上述したように,パーツごとにパーツ空間Pが規定される。パーツ空間Pには,パーツ空間Pを基準とする相対位置によって,パーツ位置が規定される。
上述のように,ハンガーパイプHは一つのエレメントによって構成される。一つのエレメントによって構成されるパーツについては,パーツ空間Pの上面,下面,左面,右面,前面および背面の6面のうちのいずれか5面を基準とした位置およびパーツの厚さ(または径)によって,パーツ位置およびパーツ寸法が規定される。
第8図を参照して,ハンガーパイプHについては,パーツ空間Phの上面からの距離aによってハンガーパイプHの上面(上端)の位置が規定される。同様にして,パーツ空間Phの左面からの距離c,パーツ空間Phの右面からの距離d,パーツ空間Phの前面からの距離e,パーツ空間Phの背面からの距離fによって,ハンガーパイプHの左面(左端),右面(右端),前面(前端)および背面(背端)の位置がそれぞれ規定される。また,ハンガーパイプHの径wも規定される。ハンガーパイプHの径wが規定されることによって,パーツ空間Phの上面を基準とするハンガーパイプHの下面(下端)の位置が規定されることになる。パーツ空間Phを基準とするハンガーパイプHの上面,左面,右面,前面および背面の位置およびハンガーパイプの径が決定されることにより,ハンガーパイプHの寸法も決まる。
インセット引出しI(第9図)のように,複数のエレメントによって構成されるパーツは,複数のエレメントのそれぞれについて,パーツ空間Pを基準とする相対位置およびエレメントの厚さによってエレメント位置および寸法が規定される。
第9図に示すインセット引出しIは,前板,内前板,先板,妻板(左),妻板(右),底板,スペーサ(左)およびスペーサ(右)の8つのエレメントによって構成される。8つのエレメントのそれぞれについて,パーツ空間Piにおける位置(エレメント位置)および寸法が規定される。
第10図はエレメント「前板」のパーツ空間Piにおける位置(寸法)を示している。第11図はエレメント「内前板」のパーツ空間Piにおける位置(寸法)を示している。第12図はエレメント「妻板(左)」のパーツ空間Piにおける位置(寸法)を示している。
第10図を参照して,インセット引出しIを構成するエレメントの一つである前板は,パーツ空間Piの上面からの距離a,底面からの距離b,左面からの距離c,右面からの距離dおよび前面からの距離eと,前板の板厚wとによって,パーツ空間Piにおける前板の位置(寸法)が規定される。インセット引出しIを構成する内前板(第11図)も同様である。パーツ空間Piの上面からの距離a,底面からの距離b,左面からの距離c,右面からの距離dおよび前面からの距離eと,内前板の板厚wとによって,パーツ空間Piにおける位置(寸法)が規定される。
インセット引出しIを構成する妻板(左)(第12図)については,パーツ空間Piの上面からの距離a,底面からの距離b,左面からの距離c,前面からの距離eおよび背面からの距離fと,妻板(左)の板厚wとによって,パーツ空間Piにおける妻板(左)の位置(寸法)が規定される。
インセット引出しIを構成する他のエレメント(先板,妻板(右),底板,スペーサ(左)およびスペーサ(右))についても,パーツ空間Piの上面,底面,左面,右面,前面および背面のうち,いずれか5面からの距離のそれぞれと,板厚とによって,パーツ空間Piにおける位置(寸法)が規定される。
パーツ空間Pにおけるパーツまたはエレメントの位置および寸法は,上述したように,パーツ空間Pを構成する6面のうちのいずれか5面のそれぞれからの距離と,パーツまたはエレメントの厚さ(径)とによって規定される。もちろん,パーツ空間Pを構成する6面のそれぞれからの距離によって,パーツ空間Pにおけるパーツまたはエレメントの位置および寸法を規定することもできる。
4.定義データ
セル空間Sとパーツ空間Pとの相対的位置関係(相対的寸法関係)(第6図および第7図),パーツ空間Pとパーツ(またはパーツを構成するエレメントのそれぞれ)との相対的位置関係(相対的寸法関係)(第8図〜第12図)は,定義データベース26に格納されているパーツごとの定義データによって規定される。以下,ハンガーパイプHおよびインセット引出しIを例にして,この定義データを説明する。
第13図は,ハンガーパイプHについての定義データを示している。
ハンガーパイプHについての定義データには,セル空間−パーツ空間連動定義データ(セル空間分割定義データ)71,パーツ空間相対位置定義データ72,およびエレメント定義データ73が含まれる。
(1)セル空間−パーツ空間連動定義データ(セル空間分割定義データ)71
上述したように,セル空間Sは,直方体状の形状をもつ3次元空間である。また,セル空間Sに組込まれるパーツ空間Pも,直方体状の形状をもつ3次元空間である。セル空間−パーツ空間連動定義データ71は,セル空間Sが拡大または縮小された場合のパーツ空間Pの拡大または縮小の取扱いを規定する側面と,パーツ空間Pが組み込まれるセル空間Sがパーツ空間Pよりも大きい場合に,セル空間Sを分割させるか,またはセル空間Sに連動させてパーツ空間Pの位置を規定するかを決定する側面とをもつ。
第20図および第21図を参照して,上述のセル空間Suの分割について説明する。第20図および第21図は,ユニットUによって規定されるセル空間Suに,ハンガーパイプHを組込むときの例を示している。
ハンガーパイプHには,上述のようにパーツ空間Phが規定されている。ユニットUにハンガーパイプHを組込む操作が行われると,ユニットUのセル空間Suに,ハンガーパイプHのパーツ空間Phが関連づけられる。
このとき,ハンガーパイプHについてのセル空間−パーツ空間連動定義データ(セル空間分割定義データ)71が参照される(第13図)。ハンガーパイプHのセル空間−パーツ空間連動定義データ(セル空間分割定義データ)71には,上面,左面,右面,前面および背面について定義データ「0」が格納され,下面について定義データ「1」が格納されている。定義データ「0」は,セル空間の面に,パーツ空間の対応する面を連動させることを意味する。すなわち,上面,左面,右面,前面および背面については,セル空間Suにしたがって,ハンガーパイプHのパーツ空間Phの上面,左面,右面,前面および背面の位置が決まる。ハンガーパイプHのパーツ空間Phの上面,左面,右面,前面および背面の位置は,セル空間Suの上面,左面,右面,前面および背面の位置を基準とする相対位置(第6図および第7図参照)になる。
他方,下面については,定義データ「1」が格納されているので,ユニットUのセル空間Suの下面と,ハンガーバイプHのパーツ空間Phの下面とは連動しない。第21図に示すように,セル空間Su(第20図に示すセル空間Suである)の途中に,パーツ空間Phの下面が位置することになる(パーツ空間Phの下面位置は,後述するパーツ空間相対位置定義データ72によって決まる)。このとき,セル空間Suが分割される。すなわち,セル空間Suは,パーツ空間Phが組込まれたセル空間S1と,パーツ空間Phの下面から下側に位置するセル空間S2とに分割される(第21図)。
セル空間Sは,上面方向,下面方向,左面方向,右面方向,前面方向または背面方向に,拡大または縮小させることが可能である。セル空間−パーツ空間連動定義データ(セル空間分割定義データ)71は,セル空間Sが拡大または縮小されたときに,パーツ空間Pの各面を,セル空間Sの対応する面と連動して拡大または縮小するか,またはしないかも規定している。
第13図に示すハンガーパイプHについてのセル空間−パーツ空間連動定義データ(セル空間分割定義データ)71では,上面,左面,右面,前面,背面について,セル空間の面にパーツ空間の面を連動させることを定義する定義データ「0」が定義されている。このため,ハンガーパイプHが組み込まれた状態(第21図)において,ユニットUが高さ方向(上面方向),幅方向(左面方向または右面方向)または奥行き方向(前面方向または背面方向)に拡大または縮小されると,セル空間S1の上面,左面,右面,前面,背面の拡大または縮小に応じて,パーツ空間Phの上面,左面,右面,前面,背面も拡大または縮小される。すなわち,パーツ空間Phの上面,左面,右面,前面および背面については,セル空間−パーツ空間連動定義データ(セル空間分割定義データ)71にしたがって,セル空間S1の上面,左面,右面,前面および背面の位置を基準とする相対位置がそのまま保たれる。
他方,第13図に示すハンガーパイプHについてのセル空間−パーツ空間連動定義データ(セル空間分割定義データ)71において,下面については,セル空間の面にパーツ空間の面を連動しないことを定義する定義データ「1」が定義されている。パーツ空間Phが高さ方向に拡大または縮小されても,パーツ空間Phの下面の位置はセル空間S1の下面の位置に連動しない。
(2)パーツ空間相対位置定義データ72
パーツ空間相対位置定義データ72は,セル空間Sを基準としたパーツ空間Pの相対位置(第7図参照)を規定したデータである。上述の第21図に示す例の場合には,基準とされるセル空間は,ハンガーパイプHについてのパーツ空間Phが組込まれた後のセル空間S1になる。
パーツ空間相対位置定義データ72では,上述したセル空間−パーツ空間連動定義データ(セル空間分割定義データ)71において定義データ「0」が規定されている面については,セル空間S1の対応する面を基準とする相対的な位置が規定される。
たとえば,第13図に示すハンガーパイプHについてのセル空間−パーツ空間連動定義データ(セル空間分割定義データ)71において,上面,左面,右面,前面および背面についての定義データが「0」(セル空間とパーツ空間は連動)である。ハンガーパイプHのパーツ空間Phの上面,左面,右面,前面および背面については,パーツ空間相対位置定義データ72にしたがって,セル空間S1を基準とするパーツ空間Phの位置が決まる。パーツ空間相対位置定義データ72において,上面,左面,右面,前面および背面のいずれについても,定義データは「0」(mm)である。このため,パーツ空間Phの上面,左面,右面,前面および背面の位置は,セル空間S1の対応する面の位置と一致する。セル空間S1拡大処理または縮小処理が行われても,パーツ空間Phの上面,左面,右面,前面および背面の位置はセル空間S1の対応する面の位置と一致する。
他方,上述したセル空間−パーツ空間連動定義データ(セル空間分割定義データ)71において,定義データ「1」(セル空間とパーツ空間は非連動)が規定されている面については,パーツ空間相対位置定義データ72には,セル空間の相対する面からの距離(単位:mm)が規定される。
たとえば,第13図に示すハンガーパイプHについてのセル空間−パーツ空間連動定義データ(セル空間分割定義データ)71において,下面についての定義データは「1」(セル空間とパーツ空間は非連動)である。この場合には,ハンガーパイプHのパーツ空間Phの下面については,パーツ空間相対位置定義データ72にしたがって,パーツ空間Phの下面と反対のセル空間S1の面,すなわちセル空間S1の上面を基準とした位置が規定される。パーツ空間相対位置定義データ72において,下面についての定義データは「1000」(mm)である。パーツ空間Phの下面は,セル空間S1の上面から1000mmの位置となる。
ハンガーパイプHは,洋服の上着などが掛けられるものであるから,ハンガーパイプHの下方には,常に所定の空間が必要となる。上述のように,ハンガーパイプHのセル空間−パーツ空間連動定義データ(セル空間分割定義データ)71において,下面についての定義データを「1」(セル空間とパーツ空間は非連動)とし,かつ,ハンガーパイプHのパーツ空間相対位置定義データ72において,ハンガーパイプHについてのパーツ空間Phの下面の位置を,セル空間S1の上面を基準として「1000」(mm)の位置と定義しておくことによって,ハンガーパイプHの下方に,所定の空間(パーツ空間Phの一部である)を常に設けておくことができる。
パーツ空間Phの上面,下面,左面,右面,前面および背面の位置が決定されることにより,パーツ空間Phの寸法も決まることは,上述した通りである。
(3)エレメント定義データ73
エレメント定義データ73には,パーツ空間−エレメント連動定義データ(第13図に示すエレメント定義データ73の上段)およびエレメント相対位置定義データ(第13図に示すエレメント定義データ73の下段)の2つの定義データが含まれている。
パーツ空間−エレメント連動定義データには,パーツ空間Pが拡大または縮小された場合に,エレメントの上面,下面,左面,右面,前面および背面のそれぞれを,パーツ空間Pに連動して拡大または縮小させるか,またはさせないかを表すデータが格納される。連動させる面については定義データ「0」が,連動させない面については定義データ「1」が格納される。
エレメント相対位置定義データには,パーツ空間Pを基準としたエレメントの相対位置およびエレメントの厚さ(径)を表すデータが格納される(第8図参照)。エレメント相対位置定義データのうち,エレメントの厚さ(径)を表すものは,パーツ空間−エレメント連動定義データにおいて定義データ「1」が格納されている面に対応する面についての欄である。
たとえば,第13図に示すハンガーパイプHについてのエレメント定義データ73では,上段のパーツ空間−エレメント連動定義データにおいて,下面について定義データ「1」が格納されている。この場合,下段のエレメント相対位置定義データにおいて,「下面」の欄に格納されるデータが,エレメント(ここでは,ハンガーパイプH)の径を表す値となる。
ハンガーパイプHの下面以外の面(上面,左面,右面,前面および背面)については,パーツ空間Phの上面,左面,右面,前面および背面を基準とする相対的な位置を表すデータが格納される。
第14図〜第19図は,インセット引出しIについての定義データを示している。
インセット引出しIについても,パイプハンガーHと同様に,セル空間−パーツ空間連動定義データ(セル空間分割定義データ)81,パーツ空間相対位置定義データ82,エレメント定義データ83A〜83Hが含まれる。インセット引出しIは,前板,内前板,先板,妻板(左),妻板(右),底板,スペーサ(左)およびスペーサ(右)の8つのエレメントによって構成されるので,インセット引出しIについてのエレメント定義データは,これらの8つのエレメントのそれぞれについて設けられる(符号83A〜83H)。
インセット引出しIについては,さらに,第19図に示すように,付加情報定義データ84が含まれる。付加情報定義データ84は,棚板の自動付与および棚板の自動省略を定義するものである。インセット引出しIにおいて,棚板は,インセット引出しIについてのパーツ空間Pi(第9図参照)の上面または下面のいずれかに設けられる。「棚板要否(上)」には,セル空間Sにインセット引出しIが組込まれた場合に(セル空間Sにインセット引出しIのパーツ空間Piが組み込まれた場合に),パーツ空間Piの上に棚板を付与するか否かが定義される。付与する場合には定義データ「1」,付与しない場合には定義データ「0」が格納される。同様にして,「棚板要否(下)」には,パーツ空間Piの下面に棚板を付与するか否かが定義される。
たとえば,棚板要否(上)に定義データ「1」が格納されているパーツAの上段に,棚板要否(下)に定義データ「1」が格納されているパーツBが位置するように,ユニットに2つのパーツA,Bが組み込まれると,パーツAのパーツ空間Pの下面の棚板と,パーツBのパーツ空間Pの上面の棚板が2重になる(パーツAとパーツBとの間に2重の棚板が規定される)。このような場合,一方の棚板は不要としてもよい。「棚板省略(上)」には,棚板が2重に設けられる状態になったときに,パーツ空間Pの上面の棚板を省略するか否かを表す定義データ(「1」が省略,「0」が省略しない)が格納される。「棚板省略(下)」には,棚板が2重に設けられる状態になったときに,パーツ空間Pの下側の棚板を省略するか否かを表すデータが格納される。
上述したように,家具設計支援装置では,家具の設計において,セル空間Sおよびパーツ空間Pの概念が用いられる。パーツ空間Pは,セル空間Sを基準とする相対位置によってその位置および寸法が規定されている。このため,セル空間Sの拡大または縮小に応じてパーツ空間Pを自動的に拡大または縮小させるのが容易である。また,セル空間Sの拡大または縮小に応じたパーツ空間Pの拡大または縮小の可否(連動または非連動)は,上面,下面,左面,右面,前面および背面について,それぞれ独立に定義される。このため,家具設計を柔軟に行うことができる。
さらにパーツ(パーツを構成する複数のエレメント)は,パーツ空間Pを基準とする相対位置およびパーツの厚さによってその位置および寸法が規定される。セル空間Sの拡大または縮小に連動して拡大または縮小するパーツ空間Pに応じて,パーツ(またはエレメント)を拡大または縮小させるのも容易である。パーツ空間Pの拡大または縮小に応じたエレメントの拡大または縮小の可否(連動または非連動)についても,上面,下面,左面,右面,前面および背面について,それぞれ独立に定義される。パーツの特徴に応じた定義を行うことができる。
また,エレメントごとにパーツ空間Pにおける位置が規定されるので,複数のエレメントによって構成される様々なパーツについて,上述した定義データを作成することができる。どのようなパーツであっても,定義データのデータ構造自体は同一のものを用いることができる。このため,定義データの追加,削除,変更は容易である。
上述したパーツごとの定義データを,家具設計支援プログラムとは別途に用意される定義データ入力プログラムによって,入力を受付け,かつ定義データベース26に記憶させるようにしてもよい。
5.家具設計支援装置の動作
第22図は家具設計支援装置の基本的な処理の流れを示すフローチャートである。第23図〜第28図は,家具設計支援装置の表示装置11の表示画面上に表示されるウインドウを示すもので,家具を設計するときの流れを示す画面遷移である。第22図から第28図を参照して,家具設計支援装置における家具設計の基本的な流れを,表示画面上における表示の観点から説明する。
家具設計支援装置のユーザ(オペレータ)が,マウス13を用いて,ハードディスクに記憶されている家具設計支援プログラムを起動させる。すると,表示装置11の表示画面上に,基本ウインドウW1が表示される(第23図)。また,家具設計支援プログラムの起動により,ユニット/パーツ選択ウインドウW2も表示画面上に表示される(基本ウインドウW1およびユニット/パーツ選択ウインドウW2の総称を,設計ウインドウとする)(ステップ91)。設計ウインドウを構成する設計ウインドウW1とユニット/パーツ選択ウインドウW2は別体のウインドウで構成されている。
基本ウインドウW1の大部分は,家具表示領域W1aによって占められている。後述するように,家具表示領域W1aに家具(組立途中の家具を含む)の画像が表示される。
ユニット/パーツ選択ウインドウW2の上部に,複数の選択タグW2aが形成され,複数の選択タグW2aの下側にユニット/パーツ表示領域W2bが形成されている。複数の選択タグW2aには,「ユニット」,「引出し」,「棚」,「衣装掛け」などの文字が表示されている。選択タグW2aはマウス13を用いてクリック可能である。
たとえば,「ユニット」の選択タグW2aがクリックされると,ユニット/パーツ表示領域W2bには,複数種類のユニットを表す画像およびユニット名(ユニット種類名)を表す文字列が,縦方向に並べられて表示される(第23図)。
基本ユニットの画像をマウス13を用いてクリックし,家具表示領域W1aにドラッグする。すると,家具表示領域W1aに,選択された基本ユニットを表す画像が表示される(第24図,ステップ92,93)。
家具表示領域W1aに表示された基本ユニットは,あらかじめ設定された標準の寸法(高さ,幅および奥行き)をもち,これにより初期状態のセル空間Sの大きさが規定される。マウス13を用いて,ユニットUの高さ方向の寸法および幅方向の寸法を変更することができる。また,別途表示される高さ,幅,奥行きを数値によって表すウインドウ(図示略)を用いて,高さ,幅または奥行きの寸法を変更することもできる(ステップ94)。高さ,幅,奥行きが変更されると,変更された寸法の高さおよび幅を持つように,家具表示領域W1aに表示される基本ユニットUの形状が変更される。もちろん,メモリ18上において,基本ユニットUの形状(寸法)の変更に応じて,基本ユニットUの寸法(高さ,幅,奥行き)を表すデータ,セル空間Sの寸法(高さ,幅,奥行き)を表すデータが変更される。
高さの変更は,基本ユニットUの天板および地板のいずれの移動にも対応する。幅の変更は,左側板および右側板のいずれの移動にも対応する。奥行きの変更は,前面方向および背面方向のいずれの移動にも対応する。
基本ユニットUによって規定されるセル空間Su内に,パーツが設けられる(配置される)。
たとえば,基本ユニットUのセル空間Su内に,ハンガーパイプHを設ける場合には,ユニット/パーツ選択ウインドウW2において「衣装掛け」の選択タグW2aが選択される(第25図)。「衣装掛け」の選択タグW2aの選択に応じて,ユニット/パーツ表示領域W2bにハンガーパイプHの画像を含む複数種類の衣装掛けの画像が表示される。ハンガーパイプHの画像部分をマウス13を用いてクリックして選択し,家具表示領域W1aに表示されている基本ユニットUのセル空間にドラッグすると,基本ユニットUのセル空間SuにハンガーパイプHが追加されて表示される(ステップ95でNO,ステップ92〜93)。
上述したように,ハンガーパイプHがセル空間Suに組込まれると,基本ユニットUによってつくられる一つのセル空間Suが,2つの領域(2つのセル空間S1,S2)に分割される(第21図参照)。セル空間S1に,ハンガーパイプHについてのパーツ空間Phが配置される。メモリ18には,セル空間S1およびセル空間S2のそれぞれについての寸法が格納される。また,セル空間S1に組み込まれたハンガーパイプHのパーツ空間Phは,ハンガーパイプHについてのパーツ空間相対位置定義データ72(第13図)にしたがう位置および寸法になる。メモリ18には,セル空間S1とパーツ空間Phとが関連づけられたことが記憶される。
なお,基本ユニットUのセル空間SにハンガーパイプHをドラッグするときの高さ方向の位置に応じて,ハンガーパイプHの基本ユニットUのセル空間への取付位置(高さ方向の取付位置)を異ならせることができる。もちろん,基本ユニットUのセル空間Suの任意の位置に,一旦ハンガーパイプHを組み込み,その後にハンガーパイプHの高さ方向の位置を,マウス13を用いて調整する(移動させる)こともできる。なお,実際の家具では,基本ユニットUの左側板および右側板にはダボ穴が等間隔で縦方向に並んで設けられ,このダボ穴の位置にハンガーパイプが取り付けられる。基本ユニットについてのデータに,このダボ穴の位置を規定しておいてもよい。この場合には,ハンガーパイプHは,規定されるダボ穴の位置に組み込まれることになる。
ただし,ハンガーパイプHについてのパーツ空間Phの下面が,セル空間Suの下面よりも下方に位置してしまう,そのようなセル空間Suにおける高さ位置には,ハンガーパイプHを組込むことはできない。上述したように,ハンガーパイプHについてのセル空間−パーツ空間連動定義データ71(第13図)において,パーツ空間Phの下面はセル空間の下面と連動しない旨が定義されており,かつハンガーパイプHについては,ハンガーパイプHの下方に所定の空間を設けることが,パーツ空間相対位置定義データ72で定義されているからである。ハンガーパイプHのパーツ空間Phの下面がセル空間Suの下面を超えて下方に位置してしまう,そのようなセル空間Suにおける高さ位置にハンガーパイプHを組み込もうとすると,エラーメッセージ(図示略)が表示される(または操作が拒否される)。上述のように,ハンガーパイプHは,洋服の上着を掛けるために用いられるものであり,ハンガーパイプHの下方には常に空間を設けておく必要があるからである。このようにパーツ空間相対位置定義データは,パーツの特性を,家具の設計(設計制限)に反映させるものでもある。これにより,たとえば,洋服を掛けることができないような低い高さ位置にハンガーパイプHが設けられた家具が設計されてしまうことが防止される。
また,上述したように,ハンガーパイプHが組み込まれた基本ユニットUの寸法を変更すると(ステップ94),ハンガーパイプHについて規定されたセル空間−パーツ空間連動定義データ71(第13図)にしたがって,セル空間S1の拡大または縮小に応じて,ハンガーパイプHについてのパーツ空間Phも拡大または縮小する。また,エレメント定義データ73(第13図)にしたがって,パーツ空間Phの拡大または縮小にともなってハンガーパイプHの位置(画像位置)が移動し,かつ寸法(画像寸法)も拡大または縮小する。
ユニットUによって規定される初期状態のセル空間Suは,上述したように,ハンガーパイプHが組み込まれることによって,2つのセル空間S1,S2に分割される。セル空間S1は,ハンガーパイプHのパーツ空間Phによって占められる。セル空間とパーツ空間とは1対1に対応するので,パーツ空間Phによって占められているセル空間S1には,他のパーツをさらに組込むことができない。
他方,セル空間S2にはパーツ空間Pは組み込まれていない(メモリ18において,セル空間S2には,未だパーツ空間Pが関連づけられていない旨を表すデータを格納してもよい)。セル空間S2には,他のパーツを組込むことができる。
セル空間S2にインセット引出しIを組込む場合には,ユニット/パーツ選択ウインドウW2において「引出し」の選択タグW2aがクリックされる。ユニット/パーツ表示領域W2bにインセット引出しを含む複数種類の引出しの画像が表示される。インセット引出しをクリックして,セル空間S2の下部にドラッグすると,基本ユニットUのセル空間にインセット引出しI1が追加されて表示される(第26図,ステップ92〜93)。セル空間S2はさらに2つに分割され,その一方がインセット引出しI1についてのパーツ空間によって占められる。
インセット引出しIのドラッグを3回繰返すことによって,基本ユニットUのセル空間内に高さ方向に並べられた3段のインセット引出しI1,I2,I3が追加されて表示される(第27図)。セル空間S2,S3,S4が規定される(第5図参照)。
さらに,基本ユニットUの前面に両開き扉を配置する場合には,ユニット/パーツ選択ウインドウW2において「扉」の選択タグW2aが選択され,ユニット/パーツ表示領域W2bに表示される両開き扉(ここでは,フラット扉(両開き))が選択される。フラット扉(両開き)がドラッグされると,基本ユニットUの前面にフラット扉(両開き)が追加されて表示される(第28図)。両開き扉はパーツ空間をもつパーツではなく,付属部品として取扱われる。
保存処理が行われると,家具表示領域W1aに表示された家具(完成途上であってもよい)を構成するユニットの名称(または選択されたユニットを識別する符号),パーツの名称(パーツを識別する符号),セル空間の位置および寸法,セル空間とパーツ空間との関連づけを表すデータ等が,家具設計データ25に記憶される(ステップ95でYES,ステップ96)。必要に応じて,表示画面上に表示された家具の詳細図面,価格,家具を構成するユニット,パーツのそれぞれの寸法,材質等が表示画面上に表示され,プリンタ17から出力される。
最後に,家具を構成するユニットおよびパーツの詳細図面(設計図面または寸法図面と言ってもよい)の描画処理について説明しておく。家具の設計者が家具設計支援装置を用いて設計した家具を実際に製作する家具製作業者は,家具を構成するユニットおよびパーツの詳細図面(設計図面または寸法図面)にしたがって,木材加工等を行い,設計された家具を構成するユニットおよびパーツのそれぞれを作成する。
上述したように,ユニットは直方体状のセル空間を持ち,このセル空間に,選択されたパーツについてのパーツ空間が関連付けられる。パーツ空間の6面は,パーツ空間相対位置定義データ(第12図,第13図参照)によって,セル空間の対応する6面を基準として,そのそれぞれの位置が定まる。さらに,パーツ空間中におけるパーツ(またはパーツを構成するエレメント)の5面位置は,エレメント定義データ(第12図,第13図〜第18図参照)によって,パーツ空間の対応する5面を基準としてそのそれぞれの位置が定まり,エレメント定義データ中のエレメントの厚さの定義によって残りの1面の位置も定まる。したがって,セル空間の大きさが決定すれば,パーツ(またはエレメント)の寸法も決定されることになる。
第29図は,セル空間,パーツ空間相対位置定義データおよびエレメント定義データを用いて作成されるハンガーパイプについての詳細図面(設計図面または寸法図面)の一例を示している。ハンガーパイプについては,上面図(平面図),正面図および右側面図が,詳細図面中に寸法とともに図示される。
セル空間,パーツ空間相対位置定義データおよびエレメント定義データを用いて作成される詳細図面は,すべて矩形形状によって表示される。パーツ空間相対位置定義データおよびエレメント定義データは,パーツ空間の6面位置およびパーツ(またはエレメント)の6面位置を決定するように作成されているからである。たとえば,円柱状のハンガーパイプであっても,パーツ空間相対位置定義データおよびエレメント定義データのみを用いた場合,第29図に示すように,その右側面図は矩形で表示されることになる。
詳細図面を,より正確に描画する必要がある場合(たとえば,ハンガーパイプが円柱状であり,この円柱状ハンガーパイプについての詳細図面において右側面図を円形に描画する場合),家具設計支援装置のハードディスクに,パーツおよびエレメントごとに,パーツ(エレメント)詳細図面描画定義データが用意され,かつ矩形以外の形状描画のためのベクトル・データが用意される。
第30図は,ハンガーパイプについてのパーツ(エレメント)詳細図面描画定義データを示している。第31図は,ベクトル・データ・テーブルを示している。
パーツ(エレメント)詳細図面描画定義データには,描画定義,面位置,ベクトル描画および参照ナンバに関するデータが記憶されている。
描画定義に「1」が格納されている面位置について,詳細図面が描画される。第30図に示すハンガーパイプについてのパーツ(エレメント)詳細図面描画定義データでは,上面(平面),右面(右側面)および前面(正面)の3つの詳細図面を描画すべきである旨が示されている。
ベクトル描画に「1」が格納されている場合,その面位置についての図面が,第31図に示すベクトル・データ・テーブル中に格納されているベクトル・データに基づいて図示(描画)される。ベクトル描画に「0」が格納されている場合には,上述したように,パーツ空間相対位置定義データおよびエレメント定義データが用いられて,矩形形状の図面が描画される。
ベクトル描画に「1」が格納されている場合,参照ナンバによって関連付けられているベクトル・データ・テーブル中に格納されているベクトル・データが読出され,読出されたベクトル・データに基づく描画処理が行われる。
ベクトル・データ・テーブルには,円(楕円を含む),直線,曲線等を描画するためのベクトル・データが,ベクトル描画が必要とされるパーツ(エレメント)の面位置ごとに格納されている。たとえば,ハンガーパイプの右側面図として円形を描画する場合には,円形描画のためのベクトル・データが用意される。なお,円の直径(半径)については,エレメント定義データに基づいて決定される円の直径(半径)(ハンガーパイプの場合,厚さを表すデータが円の直径を意味することになる)を利用する旨が記述される。
第32図は,パーツ(エレメント)詳細図面描画定義データおよびベクトル・データを用いたハンガーパイプについての詳細図面を示している。ベクトル・データを用いることによって,円形に描画された右側面図を詳細図面上に描くことができる。
第33図はアウトセット引出しAについての詳細図面を,第34図は第33図に示すアウトセット引出しAを構成する複数のエレメントのうちの一つである前板についての詳細図面を,それぞれ示している。第33図および第34図に示すように,直方体状の形状を持たないアウトセット引出しAの前板であっても,パーツ(エレメント)詳細図面描画定義データおよびベクトル・データを用いることによって,その形状を正確に詳細図面に描画することができる。
上述した実施例では,家具設計支援装置は1台のコンピュータ・システムによって構成されているが,家具設計支援装置を,ネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置によって構成してもよい。
Claims (15)
- それぞれが物品の枠体を構成する複数種類の基本構成部材を表す画像,およびそれぞれが上記基本構成部材の枠体内に組合わされる複数種類の部品を表す画像を表示装置に表示し,表示された複数種類の基本構成部材の中から選択された基本構成部材と表示された複数種類の部品の中から選択された部品とを組合わせることによって,基本構成部材と部品とが組合わされて構成される物品を表示する物品設計支援システムにおいて,
複数種類の部品のそれぞれについて定められる直方体状の3次元部品空間を表す3次元部品空間データであって,上記直方体状の3次元部品空間の位置および寸法を,上記基本構成部材によって規定される,上記枠体によって囲まれる直方体状の3次元セル空間を基準にして相対的に定めた3次元部品空間データを記憶する第1の記憶手段,
複数種類の部品のそれぞれについて定められる3次元部品データであって,上記部品の位置および寸法を,上記3次元部品空間データによって規定される直方体状の3次元部品空間を基準にして相対的に定めた3次元部品データを記憶する第2の記憶手段,
選択された基本構成部材によって規定される3次元セル空間と,選択された部品についての3次元部品空間を1対1に関連づけるセル空間/部品空間関連づけ手段,ならびに
上記セル空間/部品空間関連づけ手段によって3次元部品空間が関連づけられた3次元セル空間において,上記第1の記憶手段に記憶されている選択された部品についての3次元部品空間データおよび上記第2の記憶手段に記憶されている選択された部品についての3次元部品データによって決定される位置に,上記3次元部品空間データおよび上記3次元部品データによって決定される寸法をもつ部品画像を表示する表示制御手段,
を備えた物品設計支援システム。 - 上記部品は,一つの最小構成要素によって構成される第1の部品と,複数の最小構成要素を組合わせることによって構成される第2の部品とを含み,
上記第2の記憶手段は,
上記第2の部品については,複数の最小構成要素のそれぞれについて,上記最小構成部材の位置および寸法を,上記3次元部品空間データによって規定される3次元部品空間を基準にして相対的に定めた3次元最小構成要素データを記憶するものである,
請求項1に記載のシステム。 - 上記3次元部品空間データは,上記3次元部品空間の上面,下面,左面,右面,前面および背面のそれぞれの位置を,上記3次元セル空間の対応する面からの距離を表すデータによって規定するものである,
請求項1に記載のシステム。 - 上記3次元部品空間データは,上記3次元部品空間の上面,下面,左面,右面,前面および背面のそれぞれの位置のうち少なくともいずれか一つを,上記3次元セル空間の反対の面からの距離を表すデータによって規定し,残りの面の位置を上記3次元セル空間の対応する面からの距離を表すデータによって規定するものである,
請求項1に記載のシステム。 - 上記3次元部品データまたは上記3次元最小構成要素データは,上記部品または最小構成要素の上面,下面,左面,右面,前面および背面のそれぞれの位置を,上記3次元部品空間の対応する面からの距離を表すデータによって規定するものである,
請求項1または2に記載のシステム。 - 上記3次元部品データまたは上記3次元最小構成要素データは,上記部品または最小構成要素の上面,下面,左面,右面,前面および背面のそれぞれの位置を,上記3次元部品空間の上面,下面,左面,右面,前面および背面のうちいずれか5面からの距離を表すデータと,部品または最小構成要素の厚さを表すデータとによって規定するものである,
請求項1または2に記載のシステム。 - 複数種類の部品のそれぞれについて,上記3次元セル空間の上面,下面,左面,右面,前面および背面のそれぞれと,上記3次元部品空間の対応する面のそれぞれを連動させるか否かを各面ごとに定めたデータを記憶する第3の記憶手段,
を備えた請求項1に記載のシステム。 - 複数種類の部品のそれぞれについて,上記3次元部品空間の上面,下面,左面,右面,前面および背面のそれぞれと,上記部品または上記部品を構成する最小構成要素の対応する面のそれぞれを連動させるか否かを各面ごとに定めたデータを記憶する第4の記憶手段,
を備えた請求項1または2に記載のシステム。 - 上記セル空間/部品空間関連付け手段によって3次元部品空間が関連づけられた3次元セル空間の大きさがその3次元セル空間に関連づけられた3次元部品空間よりも大きい場合に,上記3次元セル空間を分割するセル空間分割手段,
を備えた請求項1または2に記載のシステム。 - 上記セル空間/部品空間関連付け手段によって3次元部品空間が関連づけられた3次元セル空間の大きさがその3次元セル空間に関連づけられた3次元部品空間よりも大きくなるように上記3次元セル空間が拡大された場合に,上記3次元セル空間を分割するセル空間分割手段,
を備えた請求項1または2に記載のシステム。 - 上記3次元セル空間,上記3次元部品空間データおよび上記3次元部品データに基づいて,物品に含まれる基本構成部材,物品に含まれる部品,および物品に含まれる部品を構成する最小構成要素のうちの少なくとも一つについての寸法を含む詳細図面を作成する詳細図面作成手段,ならびに
上記詳細図面作成手段によって作成された寸法を含む詳細図面を出力する出力手段,
を備えた請求項1または2に記載のシステム。 - ベクトル描画データを記憶したベクトル描画データ記憶手段を備え,
上記詳細図面作成手段は,あらかじめ定義された基本構成部材,部品または最小構成要素におけるあらかじめ定義された面についての詳細図面を,上記ベクトル描画データ記憶手段に記憶されているベクトル描画データに基づいて作成する,
請求項11に記載のシステム。 - それぞれが物品の枠体を構成する複数種類の基本構成部材を表す画像,およびそれぞれが上記基本構成部材の枠体に組合わされる複数種類の部品を表す画像を表示装置に表示し,表示された複数種類の基本構成部材の中から選択された基本構成部材と表示された複数種類の部品の中から選択された部品とを組合わせることによって,基本構成部材と部品とが組合わされて構成される物品の画像を表示する物品設計支援システムの制御方法であって,
複数種類の部品のそれぞれについて定められる直方体状の3次元部品空間を表す3次元部品空間データであって,上記直方体状の3次元部品空間の位置および寸法を,上記基本構成部材によって規定される,上記枠体によって囲まれる直方体状の3次元セル空間を基準にして相対的に定めた3次元部品空間データを入力手段から受付けて第1の記憶手段に記憶させ,
複数種類の部品のそれぞれについて定められる3次元部品データであって,上記部品の位置および寸法を,上記3次元部品空間データによって規定される直方体状の3次元部品空間を基準にして相対的に定めた3次元部品データを上記入力手段から受け付けて第2の記憶手段に記憶させ,
選択された基本構成部材によって規定される3次元セル空間と,選択された部品についての3次元部品空間を,セル空間/部品空間関連づけ手段によって1対1に関連づけ,
表示制御手段によって,上記3次元部品空間が関連づけられた上記3次元セル空間において,上記第1の記憶手段に記憶されている選択された部品についての3次元部品空間データ,および上記第2の記憶手段に記憶されている選択された部品についての3次元部品データによって決定される位置に,上記3次元部品空間データおよび上記3次元部品データによって決定される寸法をもつ部品画像を表示する,
物品設計支援システムの制御方法。 - それぞれが物品の枠体を構成する複数種類の基本構成部材を表す画像,およびそれぞれが上記基本構成部材の枠体に組合わされる複数種類の部品を表す画像を表示装置に表示し,表示された複数種類の基本構成部材の中から選択された基本構成部材と表示された複数種類の部品の中から選択された部品とを組合わせることによって,基本構成部材と部品とが組合わされて構成される物品を表示する物品設計支援システムに用いられるデータを定義するためのプログラムであって,
複数種類の部品のそれぞれについて定められる直方体状の3次元部品空間を表す3次元部品空間データであって,上記直方体状の3次元部品空間の位置および寸法を,上記基本構成部材によって規定される,上記枠体によって囲まれる直方体状の3次元セル空間を基準にして相対的に定めた3次元部品空間データの入力を受付け,受付けた3次元部品空間データを第1の記憶手段に記憶させる処理,ならびに
複数種類の部品のそれぞれについて定められる3次元部品データであって,上記部品の位置および寸法を,上記3次元部品空間データによって規定される直方体状の3次元部品空間を基準にして相対的に定めた3次元部品データの入力を受付け,受付けた3次元部品データを第2の記憶手段に記憶させる処理,
をコンピュータに実行させる,物品設計支援システム用データ定義プログラム。 - 上記部品は,一つの最小構成要素によって構成される第1の部品と,複数の最小構成要素を組合わせることによって構成される第2の部品とを含み,
上記第2の部品については,複数の最小構成要素のそれぞれについて,上記最小構成部材の位置および寸法を,上記3次元部品空間データによって規定される3次元部品空間を基準にして相対的に定める3次元最小構成要素データの入力を受付けて,上記第2の記憶手段に記憶させる処理をコンピュータに実行させる,
請求項14に記載のプログラム。
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