JP4721561B2 - 保護板を具備するプロジェクションテレビジョン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、背面投写方式のプロジェクションテレビジョンに関するものであり、特に、スクリーンの前面に配置する保護板の構成およびこの保護板の光学特性、特に、コントラスト等の表示画質の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、MPEG2画像圧縮技術を応用したディジタル放送が実施されつつある。ディジタル放送で利用される画像フォーマットには、画面の有効画素数が従来のNTSC方式と同等の画像フォーマット(水平720画素、垂直480画素)の他に、HDTV放送で使用される画像フォーマット(水平1920画素、垂直1080画素、横縦比が16対9のワイドアスペクト)がある。HDTV放送では、走査線の本数が1150本あるので画像表示の密度が高い。このためテレビジョン画面の適視距離は画面高さの3倍程度といわれており、NTSC方式の画面の適視距離が画面高さの約7倍であることと比較すると、およそ約半分の距離から4倍程度大きな立体角で画面を見ることができるので、一層臨場感のある画面を鑑賞することができる。大型のテレビジョンは、小型の装置と比較すると、離れた距離から見ても臨場感を得やすいので、特に複数の人が視聴する使用環境では好適である。画面対角が約40インチ以上の大型のテレビジョンを、陰極線管直視方式で実現しようとすると重量が大きくなったり、部品価格が高くなるなどの問題がある。このため、比較的容易に大型の装置が構成可能な背面投写方式でワイドアスペクトのプロジェクションテレビジョンが実用化されている。
【0003】
図16は、背面投写方式のプロジェクションテレビジョンの構成例を示す。図において、1はプロジェクションテレビジョン、2はテレビジョンの画像を投写光に変換する光学エンジン部、3は投写光の進行方向を曲げる反射鏡、4は投写光を収束光に変換するフレネルレンズ、5は収束光を視野角範囲内に広げる拡散スクリーン、6は透明な保護板である。フレネルレンズ4、拡散スクリーン5および透明な保護板6がスクリーン部7を構成する。画像信号光は光学エンジン部2において投写光Lに変換されて進行し、ミラー3に入射して方向を変え、フレネルレンズ4に入射して収束光となる。この収束光は、後続する拡散スクリーン5に入射して、進行方向が、テレビジョンを視聴できる方向に広げられ、その後、透明な保護板6を通過してテレビジョン外部に出射する。拡散スクリーン5は、例えば、CRT方式プロジェクションテレビジョンにおいては文献(特開平7−261278号公報)に示されるようにレンチキュラ−レンズシートにより構成されている。レンチキュラ−レンズシートの厚さは、レンズ構造によって決まるものであり、約1mmである。このため、レンチキュラ−レンズシートの1箇所を強く押すと破損することがあり、また外面が凹凸構造となっているので、凹部に汚れが付着すると除去することが難しい。これらの不具合を解決するために、従来は、拡散スクリーン前面に透明な保護板が装着されていた。
【0004】
また、プロジェクションテレビジョンに透明な保護板を設置する他の目的は、表示画像のコントラストを改善することである。コンピュータのディスプレイ端末などの画面の前面に取り付けて使用される反射防止ガラス板と同様に、透明な保護板の内画及び外側の表面に反射防止膜を設けたり、更に保護板の材料に光吸収特性を持たせることにより光線の透過率を低く設定していた。ディスプレイ端末などにおいては、例えば、米国特許第5254388号公報に示されるように、微細なブラインド構造を設けることで光線の通過角度を制限して画像のコントラストを改善していた。次に、コントラストが決まる要因について説明を行う。
【0005】
図17は、スクリーン部7において主な光の進路を表す図であり、L1は投写光、8は外部照明器具、P1は視点である。P0は拡散スクリーン5の中央点、Pxは拡散スクリーン5上の任意の点、Leは外部照明器具8から入射し点Pxに向かう妨害光、9は妨害光Leが点Pxに向かって進行する経路を示す折れ線、Rは妨害光Leの保護板6への入射点、βはLeの入射角度、QはLeの保護板6の出射点、Ln1はR点におけるLeの反射光、Ln2は点QにおけるLeの反射光、Ln3は点PxにおけるLeの反射光である。Ln1ないしLn3のうち視点P1に到達するものが目に見えるノイズ光Lnとなる。同じ強さの妨害光を受けても、ノイズ光の発生が少なく、かつ投写光L1が効率良く視点P1に到達するように、保護板6には従来から改善がなされていた。例えば、反射低減膜を保護板に付加することによりLn1およびLn2を低減し、光の透過率を小さくすることによりLn3を低減する。また、入射角度βが大きくなると通過する光が遮られるようなブラインドも実施されていた。次に、プロジェクションテレビジョンの使用条件の説明を行う。
【0006】
図18(a)と図18(b)は、画面対角65インチ(1651mm)で画面の横縦比が16対9のプロジェクションテレビジョンの外観と、スクリーン部および視点の位置関係を示す図である。図18(a)は側面図であり、図18(b)が平面図である。図において、7はスクリーン部、10は観察者の模式図、点P0は画面中央の点、点P1ないし点P3は視点の例である。図において、画面の高さをLとするとき、P0を原点として、各視点P1およびP2の位置は、画面の法線の方向にそれぞれ3L、2Lの距離であり、P3は法線の方向に2L、右方向に画面幅16L/9、下方向にL/2の距離である。視点は使用状況に応じて変化するものであるが、通常はテレビジョン画面が傾いて歪まずに見渡すことができる位置である。どの視点から見る場合でも、スクリーンの拡散する投写光が、明るくかつ良好なコントラストで表示されることが望ましい。P1はHDTVの適視距離にある視点であり、P2はP1からスクリーンに2/3の距離まで近づいた視点である。P3はさらに右方向に画面幅だけ離れ、画面下辺の高さと同じ低い位置の視点である。したがつて、P1およびP2からはスクリーンに表示される画像が明瞭に見えることに加えて、P3においても、ある程度良好な画像が見えることが望ましい。図18(a)において、角度α1Vないし角度α3Vは視点から画面の外縁7までの垂直面内の角度であり、図18(b)においては、角度α1Hないし角度α3Hは画面の外縁7までの水平面内の角度である。実際の角度はα1Vが9.5度、α2Vが14度、α3Vが26.6度、α1Hが16.5度、α2Hが24度、α3Hが53.1度となる。従ってプロジェクションテレビジョンとしては、α3Vとα3Hの角度をやや上回る垂直方向に約30度、水平方向に約60度までの範囲で、スクリーンに表示される画像を明瞭に見ることができれば良い。次に、画像の明瞭さを損なう原因となる妨害光について説明を行う。
【0007】
テレビジョン画面には、ノイズとなる様々な外来光が入射する。これらの光源は、天井の照明器具、壁面の照明器具、室内の明色物体及び窓等から発する光線である。これらの外来光がテレビジョン画面に入射した後、何らかの経路で視聴者の目に入って、ノイズ光として視覚されるものである。図19は、プロジェクションテレビジョンを設置した長さ7m、高さ3mの室内の側面図であり、図においてSL1、SL2、SL3は天井の照明器具、WL1、WL2は壁面の照明器具、WI1は窓、Le11、Le12、Le13は天井の照明器具が発する光、Le21、Le22は壁面の照明器具が発する光、Le3は窓から入射する光、Le4は室内の物体である床などから反射する光、Leはスクリーン部7に入射する妨害光、Lnはスクリーン部7から出射し視点P1に到達するノイズ光である。光は様々な方向に進行するが、そのうちプロジェクションテレビジョンのスクリーン部7に入射するものをまとめて妨害光Leと表す。妨害光Leがスクリーン部7に入射することにより、その一部が反射されてスクリーン部7から出射し、さらにその一部がノイズ光Lnとして視点に到達する。ノイズ光Lnは、スクリーンに表示される画像の暗い部分において特に顕著となり、画像の黒い部分を白く浮き上がらせて画像のコントラストを劣化させる。スクリーン部7の構成により影響の度合いが異なるが、強い妨害光が画面に入射する場合にはノイズ光も増加し、コントラストが低下する。
【0008】
図20は、透明な保護板の片面における光線の入射角度βに対する反射率および透過率との関係を表す図であり、横軸は入射角度β、縦軸は透過率および反射率である。反射率は、保護板6の素材の屈折率nsによって決まる。屈折率nsは、素材がガラスである場合は1.51、アクリルである場合は1.48である。図において、曲線T1はアクリル板の片側表面での光線の透過率を表す曲線であり、曲線R1はこの片側表面での光線の反射率を表す曲線である。入射角度βが0度のとき、透過率は96%、反射率は4%、入射角度βが60度のとき、透過率は92%である。透明アクリル板である保護板6に妨害光Leが入射角度βが0度のとき、アクリル板の表面において4%が反射され、96%がアクリル板の内部に進行する。板の表面における光学薄膜の反射率特性および透過率特性は、光学計算ソフトウェアFilmStar(FTG Software Associates社、 P.O.Box579 Princeton,NJ 08542米国)により計算を行ったものである。図21は保護板6の部分拡大断面図であり、図においてLeinは点Rから入射し、保護板6の内部を進行する妨害光、Leoutは点Qに到達する妨害光、Leeは点Qからアクリル板の外部に進行する妨害光である。入射角度βが0度のとき、Leの96%がLeinとなり、保護板6の内部では損失なく進行してLeoutとなって点Qに入射する。その後、Leoutの96%がLeeとなり、保護板6の外部に進行する。ここで点Qにおける光線の透過率と反射率は、この例においては点Rにおけるそれらとほぼ同じとなり、保護板6全体での透過率は、保護板6の内部での光の多重反射を無視すれば次式で表される。
板の光透過率=第1面の透過率×板内部の透過率×第2面の透過率
ここで右辺は0.96×1×0.96=0.9216であるから、LeeはLeの約92%となる。反射光Ln1はLeの4%の強度である。Ln2は0.96×1×0.04=0.0384であるから、約4%の強度となり、Ln1とLn2を加算すると約8%が反射光となる。保護板6の表面で鏡面反射した反射光Ln1は入射光Leと反対の−β方向に進行する。反射光Ln1の進行方向に視点がある場合には、テレビジョンの保護板の上に、妨害光の発生源の像が反射して見えるので、その部分の画像のコントラストを大きく低下させる。
【0009】
図22は、一例として、2層の反射低減膜を形成した保護板6の片面で、波長550nmの光線が入射した場合の反射率および透過率と、入射角度βとの関係を表す図である。図22において、曲線T2はアクリル板の片側表面における透過率を表す曲線、曲線R2は同片面での反射率を表す曲線である。反射低減膜は保護板側から順に、厚さ0.5λで屈折率1.7のAl2O3膜、厚さ0.25λで屈折率1.38のMgF2膜である。ここでλは各膜内での光波長であり、真空中の光波長をλ0とするときλ=λ0/(各膜屈折率)である。Al2O3膜を記号I、MgF2膜を記号Fで表示し、各膜を「実膜厚/λ」続いて「素材記号」の順番に表示すると、上記膜は(保護板 0.5I 0.25F 空気)と表記される。入射角度βが0度のとき、透過率は99%、反射率は1%であり、入射角度βが60度のとき、透過率は96%である。反射低減膜の構成方法は各種あり、一例として文献(藤田史郎編 光学薄膜 頁102)には、2層膜の設計例が表6−1に示されている。上記反射低減膜はこの文献の表6−1の第3例によるものである。保護板全体では、妨害光の透過率は98%、反射率は2%となる。
【0010】
図23はアクリル板にニュートラルデンシティの着色を行った場合の、アクリル板素材に入射する光線の透過率と入射角度βの関係を表す図である。図において、横軸は入射角度β、縦軸は透過率、曲線T80は入射角度βが0度のときに透過率が80%となるように着色を行った場合の透過率の入射角度βによる変化を表す曲線である。図21において示したように、入射角度βで入射した光は、保護板6の内部では進行角度がγに変化して進行する。βとγは、フレネルの法則により、
空気の屈折率×Sin(β)=板材の屈折率×Sin(γ)
の関係にある。βが大きくなり、したがってγが大きくなり、板材の内部での光の進行距離が長くなるほど通過損失が増大し、光の透過率が小さくなる。入射角度βが60度のとき、γは34.7度となり透過率は76%に減少する。着色を行うことにより、入射角度βの大きい妨害光が一層低減される効果がある。
【0011】
図24は、アクリル板で構成された保護板に着色を行って、アクリル板に対して垂直に入射する光の透過率が総合で75%となるようにした場合の、総合的な透過率と入射角度βの関係を表す図である。着色の濃度は反射低減膜の有無によって異なる。曲線TT1はアクリル板の両面に反射低減膜を付加しない場合の透過率(すなわち、板材のみの透過率Tsubstructure, Ts)、曲線TT2は、図22に示す透過率特性を有する反射低減膜を付加した場合の透過率をそれぞれ表す。アクリル板内部の光透過率は着色濃度により決まり、垂直入射光についてはTT1においては約82%、TT2においては約77%の透過率である。入射角度βが大きくなると、図20に示したように、保護板自体では反射率が大きくなる結果として透過率が小さくなる特性を有し、さらに着色を行うことで図23に示す透過率の角度依存性が加わる。このため、透過率特性が図24の曲線TT1で示すものとなる。反射低減膜を付加し界面での透過率を図22に示す特性とした場合には、入射角度βが60度付近は、曲線TT2に示すように55%である。これは、反射低減膜を付加することにより、TT1の52.6%よりも2.4%だけ透過率が高くなることを示している。曲線TT2はβが30度以上のほぼ全ての範囲で曲線TT1より大きな透過率を示し、その分妨害光がスクリーンに到達し易い。
【0012】
図25は従来のブラインド構造とした場合の、光線の透過率と入射角度βの関係を表す図であり、図において直線TTbが、光線に対するブラインドの透過率を表す。図において直線TTbが示すように、入射角度βの変化に対して、透過率は非常に急峻な低域通過特性となっている。すなわち、大きな入射角度で入射する妨害光を効果的に除去できるが、同時に、スクリーン上の画像も見る角度が少し変化すると急激に見えなくなる。ブラインドの寸法を変更することにより透過率特性を修正することができるが、βに対して単調に減少する透過率特性なので、入射角度βが30度以下では、平坦な透過率特性を得ることは難しい。プロジェクションテレビジョンにおいては、光学エンジンの投写レンズ(図示せず)やフレネルレンズなどの光学部品の特性によって、もともと画面の周辺部の明るさが低下する傾向があり、画面の上下または左右の領域を、画面の中央部と比較して一層暗くすることは許容されにくく、このためブラインドを使用することは難しかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
背面投写方式プロジェクションテレビジョンは画面が大きく、照明光などの妨害光がスクリーン部で反射してノイズ光となり易いことが問題であった。
【0014】
妨害光の反射を防止することを目的として透明な保護板に反射低減処理を施した場合には、保護板の表面におけるノイズ光の発生は軽減される。しかし、同時に、広い範囲の入射角度にわたって、妨害光の透過率が上昇するので、一層多くの妨害光が拡散スクリーンに到達し、スクリーンにおける拡散反射ノイズ光が増加する。この結果、室内の照明光が原因となり、画面が白く浮き上がるのでコントラストが低下する問題があった。
【0015】
妨害光が拡散スクリーンに入射し難くなるように、透明な保護板に着色を行い全光線の透過率を小さくする方法は、拡散スクリーンとフレネルレンズとによる外来光の反射を軽減する点でも効果があり、また急角度で入射する妨害光を一層多く減少する効果があるので有効である。しかし、着色を濃くすると画像の迫力が損なわれる。輝度とコントラストとのバランスをとろうとすると、多くの場合、全光線の透過率を、輝度低下が許容できるおよそ70%以上に設定する必要があり、着色により更なるコントラスト改善を行うことは困難であった。
【0016】
細かいブラインドを使用して妨害光の通過角度を制限する方法によると、大きな入射角度の妨害光は効果的に除去することができる。しかし、同時に、表示画像の輝度も角度に依存して制限されるので、視野角内においても画面の位置によって輝度が大きく変化し、均一な輝度の画面表示ができない。したがって、この方法は、プロジェクションテレビには使用できなかった。
【0017】
この発明は、上述のような課題を解消するためになされたもので、照明条件や周囲の物体の影響を受けることなく、画像の輝度が均一で明るく、かつコントラストが良好なプロジェクションテレビジョンを得ることを目的とする。
【0018】
さらに、この発明は、特定の方向から入射する妨害光を効果的に除去することができるブラインドおよびこれを備えた保護板を得ることを目的としている。
【0019】
また、この発明は、プロジェクションテレビジョンに好適な透明な保護板を提供することを目的とする。この保護板は、コントラストが高い画像の表示を可能にするとともに、生産性が良く安価である。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係わるプロジェクションテレビジョンは、テレビジョンの画像パターンを投写光に変換する光学手段と、投写光を収束光に変換するフレネルレンズと、フレネルレンズが出力する光の進行方向をテレビが見られる視野角範囲に広げる拡散スクリーンと、拡散スクリーンの前面に設けた保護板とを有するプロジェクションテレビジョンにおいて、
前記保護板は、平面板材と、平面板材の少なくとも片面に設けた反射低減膜とで構成され、前記保護板の光線透過率が、入射面法線と角度β度をなして入射する光に対してβに依存するT(β)として表される角度依存特性を有し、入射角0度の光線透過率T(0)が60%以上の所定値であるとともに、
前記保護板がニュートラルデンシティ着色された前記平面板材だけで構成された場合のT(0)が60%以上の前記所定値であるときの光線透過率の角度依存特性を基準特性Ts(β)と表すときに、T(β)が少なくとも波長545nm近傍において、
T(30)/Ts(30)≧0.95
T(60)/Ts(60)<1
の条件を満足する構成とする。
【0021】
請求項2に係わるプロジェクションテレビジョンは、請求項1に記載のプロジェクションテレビジョンにおいて、前記反射低減膜が、前記平面板材に設けた光学薄膜である。
【0022】
請求項3に係わるプロジェクションテレビジョンは、請求項2に記載のプロジェクションテレビジョンにおいて、前記反射低減膜は、入射角度βが30度以下の入射光線については反射低減特性を有し、
入射角度βが30度より大きいとき、前記保護板の分光透過率特性は、少なくとも波長545nm近傍の光線の透過率が、可視光の範囲内での平均透過率を5%以上上回る波長選択特性を有する。
【0023】
請求項4に係わるプロジェクションテレビジョンは、請求項1に記載のプロジェクションテレビジョンおいて、前記反射低減膜は、フィルムに光学薄膜を付加して構成され、前記フィルムが平面板材に取り付けてなる。
【0024】
請求項5に係わるプロジェクションテレビジョンは、請求項1に記載のプロジェクションテレビジョンにおいて、前記反射低減膜は、4層以下の光学薄膜の層により構成される。
【0025】
請求項6に係わるプロジェクションテレビジョンは、テレビジョンの画像パターンを投写光に変換する光学手段と、投写光を収束光に変換するフレネルレンズと、フレネルレンズが出力する光の進行方向をテレビが見られる視野角範囲に広げる拡散スクリーンと、拡散スクリーンの前面に設けた保護板とを有するプロジェクションテレビジョンにおいて、
前記保護板は、平面板材と、前記平面板材の少なくとも片面に設けたブラインド手段とで構成され、前記保護板の光線透過率が、入射面法線と角度β度をなして入射する光に対してβに依存するT(β)として表される角度依存特性を有し、入射角0度の光線透過率T(0)が60%以上の所定値であるとともに、
前記保護板がニュートラルデンシティ着色された前記平面板材だけで構成された場合のT(0)が60%以上の前記所定値であるときの光線透過率の角度依存特性を基準特性Ts(β)と表すときに、T(β)が少なくとも波長545nm近傍において、
T(30)/Ts(30)≧1
T(60)/Ts(60)<0.95
の条件を満足することを特徴とする。
【0026】
請求項7に係わるプロジェクションテレビジョンは、請求項6に記載のプロジェクションテレビジョンにおいて、前記ブラインド手段は、観察者の視点から解像できない小さい周期で光吸収部と透明部とが交互に配列された構造であって、前記光吸収部は、互いに交差して一体構造に形成された第1の光吸収部と第2の光吸収部とを有し、
前記第1の光吸収部は、第1の長辺と第1の短辺とを有する矩形状の断面を有するとともに、保護板の面の法線と第1の長辺とが平行で、第1光吸収部全体では保護板面において95%以上の開口率を有し、
前記第2の光吸収部は、第2の長辺と第2の短辺とを有する矩形状の断面を有するとともに、保護板の面の法線と第2の短辺とが平行で、第2光吸収部全体では保護板面において70%以上90%以下の開口率を有することを特徴とする。
【0027】
請求項8に係わるプロジェクションテレビジョンは、請求項7に記載のプロジェクションテレビジョンにおいて、前記第1の光吸収部と前記第2の光吸収部は、第1の長辺と第2の長辺の中央部において、交差することを特徴とする。
【0028】
請求項9に係わるプロジェクションテレビジョンは、請求項7に記載のプロジェクションテレビジョンにおいて、前記第1の光吸収部と前記第2の光吸収部は、第1の短辺が、第2の長辺に接するように交差することを特徴とする。
【0029】
請求項10に係わるプロジェクションテレビジョンは、請求項7に記載のプロジェクションテレビジョンにおいて、前記第1の光吸収部と前記第2の光吸収部は、第1の短辺が、第2の長辺の中央に接するように交差することを特徴とする。
【0030】
請求項11に係わるプロジェクションテレビジョンは、請求項6に記載のプロジェクションテレビジョンにおいて、前記ブラインド手段は、少なくとも1枚のフィルム内に収容されていることを特徴とする。
【0031】
請求項12に係わるプロジェクションテレビジョンは、請求項11に記載のプロジェクションテレビジョンにおいて、前記フィルムはその表面に設けた反射低減膜を有することを特徴とする。
【0032】
請求項13に係わるプロジェクションテレビジョンは、前記平面板材は、請求項6に記載のプロジェクションテレビジョンにおいて、片面に反射低減膜を備え、反対の面に内部に前記ブラインド手段を有するフィルムを備えたことを特徴とする。
【0033】
請求項14に係わるプロジェクションテレビジョンは、テレビジョンの画像パターンを投写光に変換する光学手段と、投写光を収束光に変換するフレネルレンズと、フレネルレンズが出力する光の進行方向をテレビが見られる視野角範囲に広げる拡散スクリーンと、拡散スクリーンの前面に設けた保護板とを有するプロジェクションテレビジョンにおいて、
前記保護板は、平面板材と、前記平面板材の少なくとも片面に設けた反射低減膜と、前記平面板材の少なくとも片面に設けたブラインド手段とで構成され、前記保護板の光線透過率が、入射面法線と角度β度をなして入射する光に対してβに依存するT(β)として表される角度依存特性を有し、入射角0度の光線透過率T(0)が60%以上の所定値であるとともに、
前記保護板がニュートラルデンシティ着色された前記平面板材だけで構成された場合のT(0)が60%以上の前記所定値であるときの光線透過率の角度依存特性を基準特性性Ts(β)と表すときに、T(β)が少なくとも波長545nm近傍において、
画面の水平方向から傾いて入射する光線に対して、
T(30)/Ts(30)≧0.95
T(60)/Ts(60)<1
の条件を満足し、
画面の垂直方向から傾いて入射する光線に対して、
T(30)/Ts(30)≧1
T(60)/Ts(60)<0.95
の条件を満足することを特徴とする。
【0034】
請求項15に係わるプロジェクションテレビジョンは、請求項1に記載のプロジェクションテレビジョンにおいて、拡散スクリーンと保護板が接着されてなることを特徴とする。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
本発明は、妨害光の入射角度βが大きくなると、両面における透過率が急激に小さくなるように、保護板の板材の対向する両面に反射防止膜を設けた構造である。この構造により、妨害光の入射角度βが大きくなると、保護板全体の透過率が、急激に小さくなるように構成できる。また、板材にナチュラルデンシティ着色を行って、板材単独の透過率を調整し、これにより、入射角度βがゼロのときに、保護板全体の透過率が所望の値になるようにする。
【0036】
図1は、本発明の実施の形態1に係わるプロジェクションテレビジョン用のスクリーンの前面に配設する保護板の断面を示すものである。プロジェクションテレビジョンの全体の構成は図16に示した従来の構成と、保護板を除いては同一である。図1において、60はスクリーン保護板、61はアクリル板、62および63は反射低減膜である。保護板60はプロジェクションテレビジョンのスクリーン5の前面に装着される。反射低減膜の構成は(保護板 0.0569H 0.10173L 0.51622H 0.18697L 空気)である。ここで、記号Hは屈折率2.3のTiO2/ZnS複合膜、記号Lは屈折率1.46のSiO2膜をそれぞれ表す。他の構成として、反射低減膜は、ノングレア処理のような光の鏡面反射をなくすようなつや消し効果のある膜であってもよい。アクリル板61は、光学特性が特定の方向性を持たない当方均質な材料であり、保護板60に対して垂直な入射光線の透過率が、保護板全体として75%となるように、ニュートラルデンシティ着色されている。入射角度βは、保護板の面の法線と入射する光線がなす角度である。したがって、入射角度βは、法線を含む垂直面や水平面を進行してくる光線だけでなく、種々の平面を進行してくる光線の入射角度である。保護板全体としての透過率は、鑑賞時に必要なテレビジョンの画面の明るさから決まるものであり、通常は、光学エンジンの輝度値を有効に利用する観点から、100%が理想である。しかし、光学エンジンの輝度に余裕があれば、もっと低い値でもよく、本発明では、所望の値として、70%を選択してある。
【0037】
図2は、反射低減膜62または63の、波長545nmを有する光線が入射したときの、入射角度βと透過率および反射率との関係を表す図であり、図において横軸は入射角度β、縦軸は透過率と反射率である。曲線T3は透過率を、曲線R3は反射率をそれぞれ表す。入射角度βが0度のとき、透過率は98.6%、反射率は1.4%であり、入射角度βが60度のとき、透過率は92%である。
【0038】
図3は本発明の実施形態1に係わる保護板60全体の透過率と入射角度βの関係を表す図であり、図において、曲線TT3が光線の透過率を表す。入射角度βが60度のとき、透過率は51%である。また、図中、破線にて図24の曲線TT1(すなわち、板材のみの透過率特性、Ts)およびTT2を部分的に転記した。入射角度βが60度のとき、曲線TT3の透過率51%は、従来の曲線TT1の52.6%と、曲線TT2の55%のいずれよりも小さく、大きな入射角度βで入射する光線を通過させにくい特性であることを表す。図4はスクリーンの法線Q1に対して、角度60度だけ上方の方向に照明器具SL4がある場合のスクリーン部の部分断面と光線の進行を示す図である。この照明器具SL4から発する妨害光Leは、本実施例の保護板に入射すると、拡散スクリーン側に通過しにくく、従って拡散スクリーン上の点Pxに入射する妨害光が少ない。このため、妨害光が拡散反射されて発生するノイズ光Ln3の発生量が従来のスクリーン部よりも少ない。保護板の表面における反射光Ln1およびLn2は、下方60度方向に反射されるので視点P1に達しないため、ノイズ光とならない。従って、この例では、ノイズ光Lnは、主としてLn3から発生する。一方、点Pxに表示される画像は拡散され、そのうちの角度αで進行する成分が視点P1に到達する。角度αは図18(a)に示したように、通常は、30度以下であり、図3に示したように入射角度βが30度以下では、保護板60の光線の透過率特性を示す曲線TT3は、曲線TT2および曲線TT1とほぼ同一である。これらの結果ノイズ光Lnが低減し、画像を同等の輝度で表示することができるのでコントラストが向上する。
【0039】
妨害光の発生位置は様々であり予想することはできないが、条件を仮定して与えることにより、各種光学特性の保護板について、スクリーン部7でのノイズ光の発生量を定量的に知ることができる。図4において、10は仮想的な照明器具の配置位置、11は妨害光の鏡面反射光の進路、12は点Pxにある画像を見る視線、13はスクリーン面上の点R2で鏡面反射して視線12に一致するような妨害光の進路であり、画面の法線Q2と角度αをなす。線10上の位置に無限遠まで単位輝度の面光があると仮定し、これを妨害光の発生源とする。そのように仮定する理由は、図19を参照すると理解できるが、全ての天井照明、壁面照明、窓から入る外部光、さらに視点位置近傍の白色物体などを含んで代表させることができるためである。一部の床からの反射光などを含まないが、照明光と比較すると輝度は低いので大きな誤差とはならない。保護板全体の透過率、および反射率を光線の入射角度βの関数と考え、それぞれTT(β)%、RR(β)%と表す。画面上の点Pxを見ている場合、視点に到達するノイズ光Lnの大きさを表す指標N(α)は次式で与えられる。
【数1】
ここで、スクリーンは反射率Dの理想拡散板であると仮定した。β1とβ2は妨害光が入射する範囲内にあり、図4においてβ1は0度、β2は90度となる。一方、画面上の点Pxを見ているときに視点P1に到達する画像信号光の大きさを表す指標S(α)は次式で与えられる。
【数2】
ここで、スクリーン各部の画像輝度は、一様に輝度Eと仮定した。コントラストの指標をC(α)と表し、C(α)=S(α)/N(α)と定義すると、ノイズ光の目立ち易さの程度は1/C(α)が指標となり、次式F(α)で表わすことができる。ただし、スクリーン輝度Eは単位輝度1とした。
【数3】
式3において、第1項は保護板の反射率に比例するノイズ光であり、第2項は保護板の全角度範囲(βの変化範囲)の透過率特性に関わる拡散反射ノイズ光である。第1項は従来から使われている全光線反射率と同義であり、第2項においてDを1としたものを保護板の妨害光受容性と定義する。これらの定義によると、保護板は全光線反射率が小さく、かつ妨害光受容性の数値が小さいほどノイズ光の発生が少なく、コントラストが高い。従来の保護板の反射防止膜は全光線反射率を小さくすることを主眼に構成されていたが、拡散スクリーンの反射率Dによっては、妨害光受容性を加味した特性とする必要があったものである。第2項の大小は、スクリーン反射率Dに比例し、保護板60の光線透過率特性の角度積分に比例する。反射率Dの高いスクリーンほど、妨害光受容性が大きい。αの変化範囲は垂直方向では30度、水平方向では60度程度が上限であり、それ以上の角度で反射率が高くなっても、ノイズ光が視点に到達しないのでコントラストを劣化させない。このような観点から、本実施例の反射低減膜は、入射角度βが30度程度までは反射率が小さく、30度以上でゆるやかに反射率が上昇し、60度以上では反射低減膜が無い場合に近い反射率となるような特性を目指したものである。その結果として、透過率は30度以上で緩やかに低下し、60度以上で反射防止膜が無い場合に近くなる。式3における積分はβが0度から90度の範囲にわたってなされる。この積分値が最も小さくなるのは、図3において、保護板60の透過率特性と座標軸とにより囲まれた面積が最も小さい場合である。すなわち、積分値は、TT3の場合に最も小さくなる。式3の妨害光受容性の値は、曲線TT1,TT2、TT3について、それぞれ、0.526、0.55、0.516となる。
【0040】
保護板に機能性膜を追加することにより、静電気防止機能や表面硬度の向上を行うようにしてもよい。反射光を低減するための膜の数や材料は上記に限定されるものではなく、妨害光受容性が小さく、かつ垂直方向30度、水平方向60度以内で反射率が小さい条件を満足するものであればよい。他の材料の膜を使うこと、膜の数を変更すること、膜の設計を修正し妨害光受容性をさらに小さくすることは、当該技術に関わるものであれば容易に実現可能であり、本発明はこれらを包含するものである。
【0041】
特定の入射角度の妨害光が多い照明条件において、妨害光受容性の評価式を用いることにより、最も効果的にノイズ光を低減するように反射防止膜の特性を設計することは、当該技術に関わるものであれば容易に実現可能であり、本発明はこれを包含するものである。
【0042】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2に係わるプロジェクションテレビジョンのスクリーン保護板の断面を示すものである。プロジェクションテレビジョンの全体の構成は図16に示した従来の構成と、保護板を除いては同一である。図5において、70は保護板、71はアクリル板、72は反射低減膜、73はブラインド部である。図6はブラインド部73の垂直断面の部分拡大図である。図6において、74は光透過部、75は第1光吸収部、76は第2光吸収部、77および78は保護膜、79は粘着材、80は反射低減膜である。保護板70はプロジェクションテレビジョンのスクリーン5の前面に装着される。反射低減膜72は可視光線の妨害光の反射を低減するものであり、必要とする反射低減効果に応じて適当な膜構成のものを形成する。73は画面の垂直方向に対して傾斜して入射する光の透過率を制限するブラインド構造であり、あらかじめフィルム状に形成したものをアクリル板71に付加する。74は透明で柔軟な、屈折率がおよそ1.5であるプラスチック材料による光通過部であり、75および76は黒色の光吸収部であり、透明部74から入射する光を吸収するとともに、これらが周期100ミクロンで繰り返すように配設されることでブラインドの機能をなす。ブラインド部は、断面が十文字形状をなすように、第1光吸収部75と第2光吸収部76とが一体無垢に構成されている。第1光吸収部75は断面が細長い矩形状であり、短辺5ミクロン、長辺70ミクロンである。第2の光吸収部76は、断面が細長い矩形状であり、長辺は長さ20ミクロン、短辺5ミクロンである。第1光吸収部75と第2光吸収部76の断面は、互いの長辺の中央部において交差する。
保護膜77および78は、薄くて柔軟性のあるプラスチック材を素材とし、周期的構造をなす光透過部と光吸収部を被覆し保護する。粘着材79は、ブラインド部73をアクリル板71に光学的に密に接合する。反射低減膜80は光学薄膜を蒸着、塗布などの方法で保護膜78の表面に形成したものであり、ブラインド部73から外部へ出射する光線の界面反射を低減する。
【0043】
ブラインド部73において、第1光吸収部75は斜めに入射する光をより多く減少させる角度選択性を有する。第2光吸収部76は角度選択性が無く、透過率80%であるニュートラルデンシティフィルターとして機能する。第1光吸収部75と第2光吸収部76は、両者の断面中央部で交差するので、両者の光減衰量が加算される。図6において左方向からブラインド部に光が入射すると、例えば光路は線81に示される。入射光は第1光吸収部75または第2光吸収部76に到達すると吸収される。第1光吸収部75の繰り返し周期(隣接する第1の光吸収部の中心から中心までの距離)をL、第1光吸収部75と第2光吸収部76の上下方向の寸法をそれぞれW1、W2とするとき、第1光吸収部75の開口率は、(L−W1)/L×100%であり、第2光吸収部76の開口率は、(L−W2)/L×100%である。
【0044】
第2光吸収部76は、面開口率が80%の無指向性フィルタとして機能し、第1光吸収部75は、面開口率が95%以上の低入射角度光通過フィルタとして機能する。光線が第1光吸収部75に90度に近い入射角度で入射すると、入射点82において一部が反射するが、反射光は第2光吸収部76の表面の点83にほぼ垂直に入射するので完全に吸収される。
【0045】
反射低減膜72および反射低減膜80の特性を図22に示した特性とし、アクリル板は着色がないものとすることで、保護板全体の光線の透過率が定まる。ブラインド部を有するので、光線の透過率は、入射光が画面の法線に対して傾斜する方向によって通過特性が異なる。すなわち、垂直方向(スクリーンの上下方向)には角度選択特性を示し、水平方向(スクリーンの左右方向)には着色の無い、無反射膜を付加した従来の保護板と同様の通過率特性となる。ただし、垂直方向、水平方向とも入射角度が0度の入射光の透過率は同じである。保護板70は照明光や窓から入る光を効果的に減少させるが、スクリーン上の周辺部の画像の輝度を暗くさせない。
【0046】
図7は保護板70全体の光線の透過率と入射角度の関係を表す図であり、図において曲線Tbはブラインド部73単独での光線の透過率、曲線TT4は保護板70全体での光線の透過率である。ここでブラインド部の光線の透過率には接着材の表面での反射を含まない。比較のために、図7中に、従来の保護板の透過率特性を示す曲線TT1を破線により転記した。ブラインド部73は、保護膜と反射低減膜の界面での反射によるわずかな光損失が発生するので、垂直の入射光については約77%の透過率である。保護板70の総合的な透過率を示す曲線TT4は入射角度βが0度の場合75%、入射角度βが30度のとき約70%、入射角度βが60度のとき約42%である。従来の保護板の特性である曲線TT1と比較すると、入射角度βが30度以下では本発明によると平坦な透過率特性であり、入射角度βが30度以上では小さい透過率特性である。曲線TT4で示される透過率は、入射角度が30度までは、曲線TT1よりも高く、入射角度が60度では、曲線TT1の95%未満である。本発明実施例2の妨害光受容性は0.468である。
【0047】
従来、ブラインドの光吸収部の表面に大きな入射角度βで光が当たるときに反射光が増大する問題があったが、本発明によれば、大きな入射角度βで第1光吸収部75に当たる光は、反射しても第2光吸収部76に、再度小さな入射角度で当たることにより吸収される。このためゴーストは発生しない。
【0048】
テレビジョン走査線や画素との干渉が発生せず、視点から解像できないものであれば、ブラインド部の光吸収部の寸法はどんなものでも良い。さらに周期を大きくすること、あるいは周期構造を水平方向に対して傾斜した構成にすることもできる。
【0049】
本発明は、図6の構成に限定されるものではなく、図8(a)に示すように無指向性フィルタである第2光吸収部76Bを光透過部74Bの表面に設けても良く、またその構成は各種の変形例が考えられ、図8(b)に示すように、第2光吸収部76Cがその中心部以外で第1光吸収部75Cと一体化するようにしてもよい。図8(a)の構成とすることにより、角度選択特性をより急峻にすることができる。また、光吸収部76Bを、印刷などの生産性の良い製造方法に変更することもできる。また、図8(b)の構成とすることにより、下方から入射する光と比較して、上方から入射する光をより多く減衰させる特性とすることができる。
【0050】
実施の形態3.
図9はこの発明の実施の形態3に係わるプロジェクションテレビジョンのスクリーン保護板の断面を示すものである。プロジェクションテレビジョンの全体構成は図16に示した従来の構成と、保護板を除いて同一である。図9において、90は保護板、91はアクリル板、92は第1の反射低減膜、93は第2の反射低減膜である。第2の反射低減膜93はあらかじめ反射低減膜を形成したフィルムを接着剤によりアクリル板に付加するものである。図10は第2反射低減膜93の構成を示す部分断面図である。図10において94は透明フィルム、95は接着剤、96は波長選択性反射低減膜である。
【0051】
波長選択性反射低減膜96は、(フィルム 0.01507F 0.47242H 0.42977F 0.45935H 0.47283F 0.42794H 0.40572F 0.37572H 0.41398F 0.40291H 0.0354F 0.07846H 0.55485F 0.1369H0.02774F 0.32509H 0.24324F 空気)の構成であり、フィルム94上に形成される。フィルム94は、屈折率が1.5近傍の透明プラスチック材料である。
【0052】
図11は、波長選択性反射低減膜96の光線の透過率と光線の波長λとの関係を表す図であり、横軸は波長を、縦軸は光線透過率を示す。曲線T4A、曲線T4B、曲線T4Cはそれぞれ入射角度βが0度、45度、60度のときの透過率を表す。プロジェクションテレビジョンの投写光の緑色波長は545nmであり、この波長において、曲線T4A、曲線T4B、曲線T4Cは、それぞれ、透過率99%、97%、79%を示している。図12は波長選択性反射低減膜96の片面の透過率と入射角度βの関係を表す図であり、図12において曲線T4Dは波長545nmの緑色光線の透過率を表し、曲線T4Eは波長580nmの緑色と赤色の中間波長である光線の透過率を表す。また、図中破線は従来の反射低減膜の特性T2を転記したものである。なお、第1の反射低減膜はT2に示す透過率特性である。図12において、T4DはT4Eよりも入射角βが60度以上の範囲において5%以上大きい。従って、入射角度が60度以上の場合は、緑色光の透過率が他の色の光よりも5%以上大きいという波長選択特性を示している。
【0053】
図12において、T4Dは入射角度βが0度から30度の範囲では反射率低減特性であり、30度以上は透過率低減特性である。図11に示すように緑色主波長近傍においては、入射角度βが60度程度の大きな角度である場合に透過率がやや他の波長と比較して高い。様々な波長の光を含む照明光は曲線T4Eにより角度選択され、その結果、妨害光受容性は小さくなる。一方、投写光である緑色光は、曲線T4Dに示すように透過率が高いので、例えば画面を左右方向から大きな角度で見た場合の画面の輝度低下を少なくする効果がある。曲線T4Dは従来の反射低減膜の透過率特性である曲線T2よりは角度選択性が強いので、結果としてどの波長の照明光についても妨害光受容性を低減する効果がある。
【0054】
アクリル板は、入射角度βが0度で入射する光線の透過率が75%となるように、ニュートラルデンシティ着色を行う。保護板93の有する2面のうち第1の反射低減膜92を付加した側と、第2の反射低減膜93を付加した側のうち、いずれの側を外側、すなわち視点側に向けるかは任意であるが、反射率の小さい方、あるいは膜の強度が強い方などを適宜選択することができる。
【0055】
本実施例によると、アクリル板の片面には製造が容易な従来の反射低減膜を使用し、製造が比較的難しい多層による反射低減膜はロールコートなどの公知の連続的生産方法によりフィルム上に形成した後に、アクリル板に接着するようにしたが、製造上の問題が少ない場合には、両面に波長選択性を有する反射低減膜を形成してもよい。
【0056】
多層膜の設計を修正したり、膜の材料を変更したりして、赤色、青色主波長についても、緑色と同様に入射角度βが大きい場合に透過率を維持する特性としてもよい。
【0057】
実施の形態4.
図13は、本発明の実施の形態4に係わるプロジェクションテレビジョンのスクリーンの前面に設ける保護板の断面を示すものである。プロジェクションテレビジョンの全体構成は図16に示した従来の構成と、保護板を除いて同一である。図13において、100は保護板、101はアクリル板、102は第1反射低減膜、73Bはブラインド部、93は第2反射低減膜である。図14はブラインド部73Bと第2反射低減膜93の部分断面図である。図14においてブラインド部73Bは図6に示すブラインド部73から反射低減膜80を除いたものであり、第2反射低減膜93は、図11および図12における曲線T4A乃至曲線T4Eの特性とする。第1反射低減膜102は、図22における曲線T2に示す透過率特性とする。
【0058】
保護板100の角度選択特性は、垂直方向(スクリーンの上下方向)は主としてブラインド部73Bによって定まり、水平方向(スクリーンの左右方向)は主として第2反射低減膜により決まる。アクリル板の着色は行ってもよいが僅かなものとするとともに、ブラインド部73Bの第2光吸収手段76の開口率を適切に設定することにより、入射角度βが0度のときの光線の透過を75%に設定する。ブラインド部73Bはブラインドがほぼ水平方向に開口するようにアクリル板101に接着する。テレビジョンの走査線とブラインドの開口に干渉模様が発生する場合には、水平から角度を傾けても良い。ブラインド部73Bの上に反射低減フィルム93を付加する。
【0059】
ブラインド部73Bを設けることにより、保護板100は水平方向には無指向性のニュートラルデンシティフィルタ特性となる。従来、アクリル板に着色を行うことにより、光線の透過率を75%としていたが、本実施例においては、着色が少ないか、または無い。従って、図23に示したように、従来は着色することに付随して発生していた角度選択特性が無いので、そのままでは、保護板100の水平方向の妨害光受容性が従来の保護板より大きくなる。波長選択性反射低減膜96により水平方向の角度選択特性を適切なものにすることで、妨害光受容性を小さくすることができる。
【0060】
図13において、第2反射低減膜93を波長選択特性としたが、第1反射低減膜102を波長選択特性としてもよく、または、第1反射低減膜102と第2反射低減膜93の両方を波長選択特性としても良い。
【0061】
実施の形態5.
図15は、本発明の実施の形態5に係わるプロジェクションテレビジョンスクリーン部の断面を示すものである。図15において、7Bはスクリーン部、110は保護板、111はアクリル板、112は角度選択機能を有する反射低減膜、113は接着剤である。拡散スクリーン5は接着剤113により光学的に緊密にアクリル板111に接合されているので、拡散スクリーン、接着剤、アクリル板の相互界面での反射は十分小さくできる。角度選択機能を有する反射低減膜112を、アクリル板111表面に直接形成するか、またはフィルム状に形成したものを付加する。この反射低減膜112の片面における妨害光受容性は、垂直方向(スクリーンの上下方向)での入射角度βが0度において、同じ透過率を有するニュートラルデンシティ着色板に比べて、小さい特性を有する。
【0062】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0063】
請求項1のプロジェクションテレビジョンでは、スクリーン保護板の表面に、光線入射角が30度以下では反射率低減特性であり、光線入射角が60度を超えると透過率が小さくなる角度選択性を有する反射低減膜を備えたので、投写光と比較して大きな角度方向から入射する照明光などの妨害光が拡散スクリーンに到達し難くなり、その結果として拡散スクリーンがノイズ光を発生して白く浮き上がることが防止され、コントラストが高い保護板およびこれを備えたプロジェクションテレビジョンを実現した。
【0064】
請求項2のプロジェクションテレビジョンでは、反射低減手段を光学薄膜により構成したので、設計方法が確立しており、種々の特性の反射低減特性が実施可能であり、テレビジョンの使用状況と周囲環境に適した透過率特性を有するスクリーン保護板、およびこれを備えたプロジェクションテレビジョンを実現することができる。
【0065】
請求項3のプロジェクションテレビジョンは、スクリーン保護板の表面に設けた反射低減膜は、光線入射角が30度以下では反射率低減特性である。また、この反射低減膜は、光線入射角がおおむね45度を超えると急峻に透過率が小さくなる角度選択性を有するとともに、透過率の低下する範囲においては、投写光の主波長における透過率が他の波長における透過率の平均よりも高い波長選択特性を有する。投写光と比較して大きな角度方向から入射する照明光などの妨害光が拡散スクリーンに到達し難くなり、その結果として拡散スクリーンがノイズ光を発生して白く浮き上がることが防止され、また投写光の光量低下が少ないので、コントラストが高い保護板およびこれを備えたプロジェクションテレビジョンを実現した。
【0066】
請求項4のプロジェクションテレビジョンは、スクリーン保護板の表面に、反射低減膜が形成されたフィルムを付加する構成としたので、反射低減膜の製造方法にロールコートなどの連続製法を適用することが可能となる。このため生産性が良く安価に反射防止膜を保護板に付加することが可能で、したがって安価でコントラストが高い保護板およびこれを備えたプロジェクションテレビジョンを実現した。
【0067】
請求項5のプロジェクションテレビジョンは、角度選択性を有する反射低減膜を少ない層数の光学薄膜により実現したので、製造が容易で、従って安価で、角度選択性を有する反射低減膜を得ることができる。したがって安価で、コントラストが高い保護板およびこれを備えたプロジェクションテレビジョンを実現した。
【0068】
請求項6及び7のプロジェクションテレビジョンは、スクリーンの保護板表面に細かいブラインドを備えるとともに、ブラインドにおける光吸収手段は角度選択特性を有する第1光吸収部と角度選択性が無い第2光吸収部が一体化した構成とした。したがって、ブラインドに遮られる方向に光線が入射する場合に、光線の入射角度が所定の角度以下では平坦な透過率特性であり、所定の角度を超えると急峻に透過率が低下する角度選択特性、すなわち、プロジェクションテレビジョンに適した角度選択特性を有する保護板が実現された。その保護板を装着することにより、拡散スクリーンがノイズ光を発生して白く浮き上がることが防止され、コントラストが高いプロジェクションテレビジョンが実現される。
【0069】
請求項8のプロジェクションテレビジョンは、ブラインドにおける光吸収手段は、角度選択特性を有する第1光吸収部と無指向性の第2光吸収部とを有する。ブラインド部は、断面が十文字形状をなすように、第1光吸収部と第2光吸収部とが一体無垢に構成されている。したがって、無指向性の入射角範囲が一定の条件においては最も透過率を大きくすることができるので、画像が明るくコントラストが高い保護板、すなわち、プロジェクションテレビジョンに好適な保護板を実現することができる。
【0070】
請求項9及び10のプロジェクションテレビジョンは、ブラインドにおける光吸収手段において、第1光吸収部の短辺に第2光吸収部を付加する構造としたので、第2光吸収部を印刷などの方法により形成することも可能となり、安価なブラインドを、従って安価な保護板を実現できる。
【0071】
請求項11のプロジェクションテレビジョンは、ブラインド部は光吸収部と光透過部をフィルム状に形成したものを保護板に付加する構成としたので、製造性が向上し、安価な保護板が実現できる。
【0072】
請求項12のプロジェクションテレビジョンは、ブラインド部は光吸収部と光透過部をフィルム状に形成したものの表面に反射低減膜を付加した構造としたので、角度選択性に加えて反射低減効果がある性能の良いブラインドを実現することが可能である。
【0073】
請求項13のプロジェクションテレビジョンは、保護板は、片面に反射低減膜を有するとともに、他の面にブラインド部を有するフィルムを付加する構成としたので、構成が簡単で製造性が向上し、安価な保護板を実現することが実現できる。
【0074】
請求項14のプロジェクションテレビジョンは、保護板の表面の片面または両面に角度選択性反射低減膜およびブラインドを備えている。したがって、ブラインドに遮られる垂直方向に光線が入射する場合、入射角度が所定の角度以下では平坦な透過率特性であり、所定の角度を超えると急峻に透過率が低下する特性であり、水平方向に傾斜する光線については入射角度が30度付近では透過率が同等以上であり、入射角度が60度付近では透過率が低くなるといった、プロジェクションテレビジョンに適した角度選択特性を有する保護板が実現される。その結果として、拡散スクリーンがノイズ光を発生して白く浮き上がることが防止され、コントラストが高い保護板およびこれを備えたプロジェクションテレビジョンを実現した。
【0075】
請求項15のプロジェクションテレビジョンでは、プロジェクションテレビジョンのスクリーンの保護板の表面に角度選択性を有する反射低減膜を備えるとともに、保護板と拡散スクリーンとを接着した。これにより、大きな角度方向から入射する照明光などの妨害光が拡散スクリーンに到達し難くなり、また保護板とスクリーンの間の界面における反射が軽減される。その結果として拡散スクリーンがノイズ光を発生して白く浮き上がることが防止され、コントラストが高い保護板およびこれを備えたプロジェクションテレビジョンを実現した。また、保護板とスクリーンを接着したので、保護板の片面の反射低減膜がなくてすむので、その分安価な保護板を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係わるプロジェクションテレビジョン用のスクリーンの保護板の断面を示す図である。
【図2】 本発明の実施形態1に係わるスクリーン保護板の片面の反射低減膜について、光線透過率及び光線反射率と光線入射角度βとの関係を表す図である。
【図3】 この発明の実施形態1に係わる保護板全体の透過率と入射角度βの関係を表す図である。
【図4】 この発明の実施形態1に係わる保護板のスクリーンの法線の方向から上方に角度60度の方向に照明器具がある場合のスクリーン部の部分断面と光線の進行を示す図である。
【図5】 この発明の実施の形態2に係わるプロジェクションテレビジョンのスクリーン保護板の断面を示す図である。
【図6】 この発明の実施形態2に係わるプロジェクションテレビジョンのスクリーン保護板を構成するブラインド部の垂直断面の部分拡大図である。
【図7】 この発明の実施形態2に係わるスクリーン保護板の全体の光線透過率と入射角度の関係を表す図である。
【図8】 この発明の実施形態2に係わるプロジェクションテレビジョンのスクリーン保護板を構成するブラインド部の変形例を示す図である。
【図9】 この発明の実施の形態3に係わるプロジェクションテレビジョンのスクリーン保護板の断面を示す図である。
【図10】 この発明の実施形態3に係わるプロジェクションテレビジョンのスクリーン保護板を構成する第2の反射低減フィルムの構成を示す部分断面図である。
【図11】 この発明の実施形態3に係わるスクリーン保護板の第2反射低減膜を構成する波長選択性反射低減膜の光線の透過率と光線波長λの関係を表す図である。
【図12】 この発明の実施形態3に係わるスクリーン保護板の全体の光線透過率と光線の入射角度βの関係を表す図である。
【図13】 この発明の実施形態4に係わるプロジェクションテレビジョンのスクリーンの前面に設ける保護板の断面を示す図である。
【図14】 この発明の実施形態4に係わるプロジェクションテレビジョンのスクリーン保護板を構成するブラインドと反射低減膜の部分拡大断面を示す図である。
【図15】 この発明の実施形態5に係わるプロジェクションテレビジョンのスクリーン部の断面を示す図である。
【図16】 従来技術による背面投写方式のプロジェクションテレビジョンの構成例を表す断面図である。
【図17】 背面投写方式のプロジェクションテレビジョンのスクリーン部において主な光の進路を表す図である。
【図18】 (a)と(b)は、画面対角65インチで画面の横縦比が16対9のプロジェクションテレビジョンの外観とスクリーン位置および視点の位置関係を示す図である。
【図19】 プロジェクションテレビジョンを設置した長さ7m、高さ3mの室内の側面図である。
【図20】 透明な保護板の片面における光線の入射角度に対する反射率および透過率との関係を表す図である。
【図21】 保護板の部分拡大断面図である。
【図22】 従来の2層の反射低減膜を形成した保護板の片面で、波長550nmの光線が入射した場合の反射率および透過率と入射角度の関係を表す図である。
【図23】 アクリル板にニュートラルデンシティの着色を行った場合の、アクリル板素材の光線の透過率と入射角度の関係を表す図である。
【図24】 アクリル板で構成された保護板に着色を行って、垂直に入射する光の透過率が総合で75%となるようにした従来の保護板の、総合的な透過率と入射角度の関係を表す図である。
【図25】 従来のブラインド構造とした場合の、光線の透過率と入射角度の関係を表す図である。
【符号の説明】
1 プロジェクションテレビジョン、 2 画像パターンを投写光に変換する手段、 4 フレネルレンズ、 5 拡散スクリーン、 6 保護板、 60 保護板、 61 板材、 62 反射低減膜、 63 反射低減膜、 70 保護板、71 板材、72 反射低減膜、73 ブラインド手段を包含するフィルム、73B ブラインド手段を包含するフィルム、74 ブラインド手段の透明部、75 ブラインド手段の第一光吸収部、76 ブラインド手段の第2光吸収部、80 反射低減膜、90 波長選択特性を有する保護板、91 板材、92反射低減膜、93 反射低減膜を有するフィルム、100 保護板、101 板材、102 反射低減膜、110 保護板、111 板材、112 反射低減膜、113 接着剤。
Claims (15)
- テレビジョンの画像パターンを投写光に変換する光学手段と、投写光を収束光に変換するフレネルレンズと、フレネルレンズが出力する光の進行方向をテレビが見られる視野角範囲に広げる拡散スクリーンと、拡散スクリーンの前面に設けた保護板とを有するプロジェクションテレビジョンにおいて、
前記保護板は、平面板材と、前記平面板材の少なくとも片面に設けた反射低減膜とで構成され、前記保護板の光線透過率が、入射面法線と角度β度をなして入射する光に対してβに依存するT(β)として表される角度依存特性を有し、入射角0度の光線透過率T(0)が60%以上の所定値であるとともに、
前記保護板がニュートラルデンシティ着色された前記平面板材だけで構成された場合のT(0)が60%以上の前記所定値であるときの光線透過率の角度依存特性を基準特性Ts(β)と表すときに、T(β)が少なくとも波長545nm近傍において、
T(30)/Ts(30)≧0.95
T(60)/Ts(60)<1
の条件を満足することを特徴とするプロジェクションテレビジョン。 - 前記反射低減膜は、前記平面板材に設けた光学薄膜である請求項1に記載のプロジェクションテレビジョン。
- 前記反射低減膜は、入射角度βが30度以下の入射光線については反射低減特性を有し、
入射角度βが30度より大きいとき、前記保護板の分光透過率特性は、少なくとも波長545nm近傍の光線の透過率が、可視光の範囲内での平均透過率を5%以上上回る波長選択特性を有することを特徴とする請求項2に記載のプロジェクションテレビジョン。 - 前記反射低減膜は、フィルムに光学薄膜を付加して構成され、前記フィルムが平面板材に取り付けてなる請求項1に記載のプロジェクションテレビジョン。
- 前記反射低減膜は、4層以下の光学薄膜の層により構成されることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクションテレビジョン。
- テレビジョンの画像パターンを投写光に変換する光学手段と、投写光を収束光に変換するフレネルレンズと、フレネルレンズが出力する光の進行方向をテレビが見られる視野角範囲に広げる拡散スクリーンと、拡散スクリーンの前面に設けた保護板とを有するプロジェクションテレビジョンにおいて、
前記保護板は、平面板材と、前記平面板材の少なくとも片面に設けたブラインド手段とで構成され、前記保護板の光線透過率が、入射面法線と角度β度をなして入射する光に対してβに依存するT(β)として表される角度依存特性を有し、入射角0度の光線透過率T(0)が60%以上の所定値であるとともに、
前記保護板がニュートラルデンシティ着色された前記平面板材だけで構成された場合のT(0)が60%以上の前記所定値であるときの光線透過率の角度依存特性を基準特性Ts(β)と表すときに、T(β)が少なくとも波長545nm近傍において、
T(30)/Ts(30)≧1
T(60)/Ts(60)<0.95
の条件を満足することを特徴とするプロジェクションテレビジョン。 - 前記ブラインド手段は、観察者の視点から解像できない小さい周期で光吸収部と透明部とが交互に配列された構造であって、
前記光吸収部は、互いに交差して一体構造に形成された第1の光吸収部と第2の光吸収部とを有し、
前記第1の光吸収部は、第1の長辺と第1の短辺とを有する矩形状の断面を有するとともに、保護板の面の法線と第1の長辺とが平行で、第1光吸収部全体では保護板面において95%以上の開口率を有し、
前記第2の光吸収部は、第2の長辺と第2の短辺とを有する矩形状の断面を有するとともに、保護板の面の法線と第2の短辺とが平行で、第2光吸収部全体では保護板面において70%以上90%以下の開口率を有することを特徴とする請求項6に記載のプロジェクションテレビジョン。 - 前記第1の光吸収部と前記第2の光吸収部は、第1の長辺と第2の長辺の中央部において、交差することを特徴とする請求項7に記載のプロジェクションテレビジョン。
- 前記第1の光吸収部と前記第2の光吸収部は、第1の短辺が、第2の長辺に接するように交差することを特徴とする請求項7に記載のプロジェクションテレビジョン。
- 前記第1の光吸収部と前記第2の光吸収部は、第1の短辺が、第2の長辺の中央に接するように交差することを特徴とする請求項7に記載のプロジェクションテレビジョン。
- 前記ブラインド手段は、少なくとも1枚のフィルム内に収容されていることを特徴とする請求項6に記載のプロジェクションテレビジョン。
- 前記フィルムはその表面に設けた反射低減膜を有することを特徴とする請求項11に記載のプロジェクションテレビジョン。
- 前記平面板材は、片面に反射低減膜を備え、反対の面に内部に前記ブラインド手段を有するフィルムを備えたことを特徴とする請求項6に記載のプロジェクションテレビジョン。
- テレビジョンの画像パターンを投写光に変換する光学手段と、投写光を収束光に変換するフレネルレンズと、フレネルレンズが出力する光の進行方向をテレビが見られる視野角範囲に広げる拡散スクリーンと、拡散スクリーンの前面に設けた保護板とを有するプロジェクションテレビジョンにおいて、
前記保護板は、平面板材と、前記平面板材の少なくとも片面に設けた反射低減膜と、前記平面板材の少なくとも片面に設けたブラインド手段とで構成され、前記保護板の光線透過率が、入射面法線と角度β度をなして入射する光に対してβに依存するT(β)として表される角度依存特性を有し、入射角0度の光線透過率T(0)が60%以上の所定値であるとともに、
前記保護板がニュートラルデンシティ着色された前記平面板材だけで構成された場合のT(0)が60%以上の前記所定値であるときの光線透過率の角度依存特性を基準特性Ts(β)と表すときに、T(β)が少なくとも波長545nm近傍において、
画面の水平方向から傾いて入射する光線に対して、
T(30)/Ts(30)≧0.95
T(60)/Ts(60)<1
の条件を満足し、
画面の垂直方向から傾いて入射する光線に対して、
T(30)/Ts(30)≧1
T(60)/Ts(60)<0.95
の条件を満足することを特徴とするプロジェクションテレビジョン。 - 拡散スクリーンと保護板が接着されてなることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクションテレビジョン。
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