JP4721470B2 - フィルムアンテナ用給電装置 - Google Patents
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Description
先ず、フィルムアンテナ100は2枚の絶縁性フィルム101a,101bの間にアンテナ素子パターン102a,102bと給電端子103a,103bを挟装したラミネート構造を有し、上側の絶縁性フィルム101aについては給電端子103a,103bの領域のフィルムを除去して各給電端子103a,103bを表面に露出させており、下側の絶縁性フィルム101bの面を粘着面としてウインドガラス104に貼着されている。
一方、給電ユニット200は、下側ケース201と上側ケース202の嵌合関係で構成される箱状筐体内に増幅回路を搭載したプリント配線基板203を挟持しており、外部からのフィーダー線と電源供給用リード線を束ねたケーブル204が前記筐体内に導かれ、それぞれがプリント配線基板203の所定回路に接続された構成を有している。
尚、プリント配線基板203に対する接続用電極ピン205a,205bの立設固定は、プリント配線基板203におけるフィルムアンテナ100側の給電端子103a,103bと接続されるべき各導体パターン部分に孔を形成しておき、その孔に接続用電極ピン205a,205bを挿通させた状態で各導体パターンと接続用電極ピン205a,205bとを半田付けすることにより行われている。
ここに、両面粘着シート400は給電ユニット200の下側ケース201の底面と略同一の平面形状に裁断されていると共に、給電ユニット200側の各接続用電極ピン205a,205bに対応する位置に孔401a,401bが形成されている。
そして、各接触電極304a,304bをフィルムアンテナ100の各給電端子103a,103bに対向させるようにして、給電ユニット200の両面粘着シート400をウインドガラス104のフィルムアンテナ100に貼着させると、図11(B)に示すように、各接続用電極ピン205a,205bの接触電極304a,304bが一定の押圧力でフィルムアンテナ100の各給電端子103a,103bに接触した状態で、給電ユニット200がウインドガラス104上に固定される。
即ち、比較的安価なフィルムアンテナ100の交換や配置位置の変更だけのために、それよりも高価な給電ユニット200までも交換しなければならなくなるという不合理があった。
そして、この場合においても既に給電ユニット200は貼着されているため、前記のフィルムアンテナ100の交換や配置位置の変更の場合と同様に、フィルムアンテナ100と給電ユニット200を新規に購入して取り付け作業をやり直さなければならないことになる。
尚、フィルムアンテナ100側の給電端子103a,103bの平面積が大きければ前記見当による貼着作業でも失敗は少なくなるであろうが、給電端子103a,103bの平面積を大きくすると寄生容量の発生等により電気的特性に影響が出やすく、フィルムアンテナ100側のパターンを考慮するにも制限がある。
給電ユニットと係着アダプタの係着関係は係合突起と係合孔の係止機構によるものであるが、係着アダプタの凸部は給電ユニットの底面の凹部に嵌合しており、いずれの方向の振動に対しても給電ユニットはずれることがなく、また、十分な機械的強度を有し安定した係着機構を無理なく実現できる。
尚、係着アダプタは給電ユニットと略同等の平面形状で構成でき、給電装置がウインドガラスに占める面積を小さく抑制できる。
フィルムアンテナを交換する場合やその配置位置を変更する場合等において、給電ユニットを破損させることなく簡単に取り外せ、また給電ユニットには両面粘着シートが貼着されていないために、前記交換後や変更後に給電ユニットをそのまま利用することが可能になる。給電ユニットだけを交換したいような場合においても、交換により取り外される給電ユニットに故障がなく、且つ適用する係着アダプタが共通したものであれば、他の車両のアンテナフィルムにそのまま転用できる。
係着アダプタをウインドガラス上のフィルムアンテナに貼着する作業は、従来のように給電ユニットを直接貼着させる場合と比較して遥かに簡単且つ正確に行うことが可能であり、取り付け作業の失敗による不本意な損失をなくすることができる。
また、給電ユニットの係着アダプタに対する係着状態では、いずれの方向に強い振動が作用しても給電ユニットが係着アダプタからずれることのなく、安定した給電点接続が維持できる。
そして、そのような係着関係を構成しながら、給電ユニットの取り付け状態では、平面的には係着アダプタが目立たず、コンパクトで且つ意匠的にも優れた給電装置を実現できる。
先ず、図1は、自動車のフロントウインドガラス1に地上デジタルTV放送対応のフィルムアンテナ2a,2b,2a',2b'が貼着されており、その各フィルムアンテナ2a,2b,2a',2b'に対してそれぞれ給電ユニット3-1〜4を介してケーブル接続がなされている状態を示す。
より具体的には、各フィルムアンテナ2a,2b,2a',2b'の給電端子に対しては、それぞれ給電ユニット3-1〜4を介してフィーダー線が接続されていると共に、給電ユニット3-1〜4は増幅器等を搭載したプリント配線基板を内蔵しているため、その電源供給用リード線も給電ユニット3-1〜4に接続されており、各給電ユニット3-1〜4に係るケーブル(フィーダー線と電源供給用リード線)はフロントピラーの内部等から車体内に引き込まれて車室前部側のTVチューナにプラグ接続されている。
尚、この場合は4チューナ4アンテナ方式のフルセグチューナに対応したアンテナ配置になっており、左右対称なアンテナパターンを有する1対のフィルムアンテナ(2a,2b),(2a',2b')がフロントウインドガラス1の対称位置に2対分貼着されている。また、各フィルムアンテナ2a,2b,2a',2b'における2本のアンテナ素子の内のGND側素子の給電端子に対してはGND用端子を連結形成させることがあるが、この実施形態では省略されている。
但し、各フィルムアンテナ2a,2b,2a',2b'の給電端子部分及び各給電ユニット3-1〜4はそれぞれ同様の構成を有しているため、以下では代表的に「フィルムアンテナ2」と「給電ユニット3」として説明する。
また、図3はフィルムアンテナ用給電装置の部品分解斜視図である。
給電ユニット3の構造についてみると、各図で示されるように、下側ケース3Lと上側ケース3Uとで箱状の筐体を構成し、その筐体内に低雑音増幅回路やバラン回路(平衡-不平衡変換器)等を搭載したプリント配線基板3Pを挟持させており、前記筐体の端部に構成される孔を通じて外部からケーブル(フィーダー線と電源供給用リード線)3Cが筐体内に導かれ、それぞれがプリント配線基板3Pに形成されている導体パターンの所定箇所に半田付け接続されている。
同図において、31は平板部であり、その平板部31の上側面の周縁に沿って上側ケース3Uに内嵌する立壁部32が形成されているが、その立壁部32における長手方向の前端寄りと後端寄りの外壁側には、それぞれ所定区間の陥凹部33-1〜4が形成されている。
また、平板部31の下側面にも、その周縁に沿って低い立壁部34が形成されているが、その立壁部34における前記陥凹部33-1〜4の位置よりやや中央寄りの所定区間には係合突起35-1〜4が下方へ突出形成されている。
そして、各係合突起35-1〜4は外側向きに係止段差を有し、且つその段差位置より下側における外側面が内側への傾斜面になっており、係合突起の組[35-1と35-3]及び[35-2と35-4]における前記各傾斜面の下端同士の間隔は、それぞれ後記の係着アダプタ4の補強壁の組[52-1と52-3]及び[52-2と52-4](図9参照)における内壁面同士の間隔より僅かに広くなっている。
尚、36はプリント配線基板3Pの位置決め用に形成されているピン、37-1,2はケーブル3Cにカシメ付けされたバインド具を介在させてケーブル3Cの抜け止めを防止する仕切板、38はケーブル3Cの挿通孔を構成する半月状の切欠きであり、平板部31の孔39-1,2はプリント配線基板3Pに立設固定された接続用電極ピン44-1,2を下側へ貫通させるために形成されている。
そして、前記下側ケース3Lの立壁部32に外嵌させた際に、上側ケース3Uの内壁面における下側ケース3Lの陥凹部33-1〜4に対応する位置には内側向けの係合突起41-1〜4が形成されており、各係合突起41-1〜4が各陥凹部33-1〜4に嵌合することにより、下側ケース3Lに上側ケース3Uが嵌着・固定されるようになっている。
尚、42はケーブル3Cの挿通孔を構成する半月状の切欠きであり、43-1〜6はプリント配線基板3Pを押さえるための小突起である。
また、この実施形態のプリント配線基板3Pは、図10及び図11で説明した上記特許文献2のアンテナ用アンプ(フィルムアンテナ用給電装置)と同様に、接続用電極ピン44-1,2を用いてフィルムアンテナ2側の給電端子71-1,2と接続されるようになっており、プリント配線基板3Pが前記筐体内に格納・挟持された状態でプリント配線基板3Pの下側ケース3Lの各孔39-1,2に対向する位置には、それぞれ接続用電極ピン44-1,2が立設固定されている。
そして、その固定方式についても上記特許文献2の場合と同様であり、予めプリント配線基板3Pに形成されている孔に各接続用電極ピン44-1,2を挿入し、各導体パターンと接続用電極ピン44-1,2とを半田付けすることにより、機械的固定と増幅器回路への接続を実現させている。
但し、接続用電極ピン44-1,2の下方への立設長は、筐体内でのプリント配線基板3Pの挟持位置(垂直方向)と、下記の係着アダプタ4と両面粘着シート5の厚み、及び接続用電極ピン44-1,2に装填されているプランジャの適正な弾発的可動範囲を考慮して設定される。
尚、プリント配線基板3Pの後端側のU字状の切欠き45はケーブル3Cの基板側への導入スペースを確保するためのものであり、先端側の切欠き46は下側ケース3Lの位置決め用ピン36を嵌合させるためのものである。
この係着アダプタ4もABS樹脂からなり、図9に示すように、平面形状が給電ユニット3側の底面形状とほぼ同等である盤体としての基本形態をなすが、前記給電ユニット3を嵌合・係着させるために次のような構成を具備している。
先ず、係着アダプタ4における前記給電ユニット3の下側ケース3Lの係合突起35-1〜4に対応する位置には、それら係合突起35-1〜4を挿通させる方形状の孔51-1〜4が形成されていると共に、各孔51-1〜4の形成位置における外側部分にはそれぞれ一定区間に亘って補強壁52-1〜4が形成されている。
この補強壁52-1〜4は盤体の側部に沿って一体的に形成された壁であり、対向する補強壁の組[52-1,52-3]及び[52-2,52-4]における内壁面同士の間隔は、前記下側ケース3Lの係合突起の組[35-1,35-3]及び[35-2,35-4]における各傾斜面の下端同士の間隔より僅かに狭くなっており、一方、各補強壁52-1〜4の外壁面は盤体の側端面より僅かに外側へ突出させてある。
そして、前記孔51-1〜4における所定位置より下側では各補強壁52-1〜4を抉る態様で外側向きの係止段差53-1〜4が形成されており、その係止段差53-1〜4が前記給電ユニット3側の係合突起35-1〜4の係止段差と係合することになるが、各補強壁52-1〜4はその係合部分の強度を確保するために僅かに外側へ厚く構成されている。即ち、前記孔51-1〜4は下側ケース3Lの係合突起35-1〜4に対する係合孔としての構成を備えている。
一方、係着アダプタ4の下側面にはその周縁に沿って低い隆起壁55(各補強壁52-1〜4の部分ではその下端側の一部を構成)が形成されており、両面粘着シート5の貼着領域を画する枠とされる。
尚、56-1,2はそれぞれ給電ユニット3の接続用電極ピン44-1,2を貫通させるための孔であり、下側面では各孔56-1,2の周囲に両面粘着シート5の厚みからフィルムアンテナ2の厚みを差し引いた長さに相当する短いスリーブ57-1,2が形成されている。
ここで、両面粘着シート5の平面形状は係着アダプタ4の隆起壁55で囲まれる内側領域の平面形状に相当するが、図8に示すようにその側縁部における係着アダプタ4の方形状の孔51-1〜4に対応する領域を回避する態様でそれぞれ切欠き61-1〜4が形成されており、また係着アダプタ4のスリーブ57-1,2が遊嵌する大きさの孔62-1,2が形成されている。
尚、図8に示すように、使用前の両面粘着シート5の表裏面にはそれぞれ剥離シート63,64が貼着されており、剥離シート63を剥がして両面粘着シート5を係着アダプタ4への貼着し、その状態で剥離シート64を剥がして係着アダプタ4をフィルムアンテナ2へ貼着させることになる。
その場合、係着アダプタ4の上側から各孔56-1,2を通じて各給電端子71-1,2の位置を視覚的に確認しながら貼着することができるため、前記の対応位置関係を正確に把握しながら貼着作業を行うことができる。
尚、フロントウインドガラス1の面とフィルムアンテナ2の表面とは高さが異なっているが、フィルムアンテナ2の厚さは両面粘着シート5の粘着層の厚さよりも遥かに薄いため、両面粘着シート5の粘着層の変形によって、フロントウインドガラス1の面とフィルムアンテナ2の表面との段差が両面粘着シート5に貼着機能に影響を及ぼすことは殆どない。
ここで、図2の状態から、給電ユニット3の係合突起35-1〜4を係着アダプタ4の孔51-1〜4の位置に対応させて下方へ押し込むと、係合突起35-1〜4の外側の傾斜面が係着アダプタ4の補強壁52-1〜4によって内側へ押圧されると同時に補強壁52-1〜4も側へ押圧され、双方が内外へ撓みながら係合突起35-1〜4が孔51-1,2へ挿入されてゆく。
また、その挿入過程では給電ユニット3側の下側ケース3Lにおける隆起壁55の内側に係着アダプタ4側の隆起台部54が内嵌して正確な位置決めがなされる。
但し、図4(B)は図4(A)におけるY1-Y1矢視断面図(給電ユニット3の係合突起35-2,4と係着アダプタ4の孔51-2,4を含む断面)であり、同様の係合関係は給電ユニット3の前端寄りの位置(給電ユニット3の係合突起35-1,3と係着アダプタ4の孔51-1,3の係合)においても構成されている。
また、図4(B)の要部拡大図では係合突起35-1〜4の係止段差と孔51-1〜4側の係止段差53-1〜4との係合部分を詳細に示し、この実施形態では双方の係止段差が外側へ低くなった傾斜面(傾斜角=θ)になっている。
また、接触電極44-1a,2aを含む各接続用電極ピン44-1,2の先端部分はそれぞれ係着アダプタ4の各スリーブ57-1,2によって両面粘着シート5から隔離されているため、その接触部分へ両面粘着シート5の粘着剤が流動して付着するような不具合を防止できる。
そして、この場合における相互の係合面は給電ユニット3と係着アダプタ4の場合[図4(B)]のように傾斜しておらず、ほぼ水平方向の面同士で係合している。
尚、この断面で表される区間においては、給電ユニット3の上側ケース3Uと下側ケース3L、及び給電ユニット3と係着アダプタ4はそれぞれ嵌合関係にあるだけであり、図4(B)や図4(C)のような係合機構は存在しない。
したがって、溝81又は82に金属片やドライバの刃先を挿入して回転させるか又は引き上げるようにすると、上側ケース3Uの下側端面が上側へ押し上げられ、給電ユニット3が係着アダプタ4から開離して簡単に取り外すことができる。
即ち、前記のように、給電ユニット3は上側ケース3Uの係合突起41-2,4と下側ケース3Lの陥凹部33-2,4とがほぼ水平な係合面同士で係合しているのに対して[図4(C)]、給電ユニット3の下側ケース3Lの係合突起35-1〜4と係着アダプタ4の孔51-1〜4の各係止段差による係合面は傾斜角θで係合しているため、開離方向へ力(上側ケース3Uに対する押上げ力)が作用したときに、その開離方向に対してほぼ垂直な面同士の係合関係である前者の方が対抗力は強く、その結果、給電ユニット3の上側ケース3Uが下側ケース3Lとの嵌着状態から開くことはなく、給電ユニット3と係着アダプタ4の間の係合関係だけが解除される。
Claims (3)
- 増幅回路を搭載したプリント配線基板を箱状の筐体に内蔵し、フィーダー線を含む所要ケーブルを前記プリント配線基板に接続させていると共に、前記筐体の底面から接続用電極ピンを突出させている給電ユニットを用い、ウインドガラスに貼着されたフィルムアンテナの給電端子に対して前記接続用電極ピンを接触させることにより給電点接続を行うフィルムアンテナ用給電装置において、
前記給電ユニットには、筐体の底面の周縁に沿って設けた立壁部の内側領域を凹部として形成すると共に、同底面の両側縁部分にある前記立壁部の下側にそれぞれ外側向きの係止段差を有する係合突起を突出させて形成せしめ、
一方、前記給電ユニットの底面と略同等の平面形状を有する盤体としての基本形態をなし、前記給電ユニットの底面の凹部に内嵌する凸部が形成されていると共に、前記給電ユニットの接続用電極ピンを貫通させる貫通孔と、前記盤体の側面部分よりも外側へ膨出すると共に上側へも厚くした補強壁の内側に前記給電ユニットの係合突起を挿入させて係止する係合孔とが形成されており、且つ前記補強壁の内部には前記給電ユニット側の係合突起の係止段差が係合する係止段差が形成されている係着アダプタを備え、
前記貫通孔が前記フィルムアンテナの給電端子に対応するように前記係着アダプタを両面粘着シートにより前記ウインドガラス面に貼着し、前記給電ユニットの凹部を前記係着アダプタの凸部に外嵌させ、前記係合突起を前記係合孔で係止することにより、前記給電ユニットを前記係着アダプタに係着させることを特徴とするフィルムアンテナ用給電装置。 - 前記給電ユニットの筐体が下側ケースにキャップ状の上側ケースを外嵌・係合させて構成するものであり、前記上側ケースの前記下側ケースに対する係合強度よりも前記給電ユニットの係合突起と前記係着アダプタの係合孔の係合強度を弱く構成した請求項1に記載のフィルムアンテナ用給電装置。
- 前記係着アダプタの前記ウインドガラスへの貼着面側における貫通孔の周囲に、前記両面粘着シートの厚みから前記フィルムアンテナの厚みを差し引いた長さに相当するスリーブを形成した請求項1又は請求項2に記載のフィルムアンテナ用給電装置。
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