JP4720614B2 - ポリ−γ−L−グルタミン酸高生産微生物又はその変異株、該微生物を用いたポリ−γ−L−グルタミン酸の製造法及び高分子量ポリ−γ−L−グルタミン酸 - Google Patents

ポリ−γ−L−グルタミン酸高生産微生物又はその変異株、該微生物を用いたポリ−γ−L−グルタミン酸の製造法及び高分子量ポリ−γ−L−グルタミン酸 Download PDF

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本発明は、ポリ−γ−L−グルタミン酸高生産微生物及び該変異株、該微生物もしくは変異株を用いたポリ−γ−L−グルタミン酸の製造方法及び高分子量ポリ−γ−L−グルタミン酸に関する。
近年、地球環境の劣悪化が問題視され、環境修復・保全技術の開発が急がれている。環境汚染の原因としては、例えば、工場廃水など、人類の産業活動の拡大によると広く認識されている。ところが、我々の生活に深く浸透し、現代の「生活必需品」となったプラスチック製品が、それと同等かそれ以上の環境負荷を与えていることが分かってきた。汎用プラスチックや合成ポリマ−の多くが石油化学的に製造される。これらの化成品はきわめて安定で、軽量、強靭かつ安価と、その利便性は目に見張るものがある。一方で、無分別な利用と廃棄が繰り返されてきたのも事実である。今日、これらの廃棄物の多くは自然環境中では分解されないため、生態系の破壊につながると指摘されている。廃棄処理法によってダイオキシンなどの環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質)の発生源となるため、その脅威ははかりしれない。
環境問題への関心の高まりは、生分解という機能性を見直させるきっかけとなった。生分解性プラスチックと言う概念が生まれ、その早急な実用化が求められている。生分解性を供えたプラスチックやハイドロゲルの素材として、微生物が生産するバイオポリマ−が有望視されている。とくに、アミノ酸が特殊な結合様式で連なったポリアミノ酸と呼ばれる一群のバイオポリマ−に見出された潜在能力に注目が集まっている。ポリ−γ−グルタミン酸(以下、PGAと記載することもある)、ポリ−ε−リジンおよびシアノファイシンの3種類のポリアミノ酸が同定されている。
最近、ポリアミノ酸の構造的特徴(構成アミノ酸の光学活性や種類、分子サイズ、結合様式など)がその機能性に強く反映されていることが分かってきた。PGAは、グルタミン酸のα−アミノ基とγ−カルボキシル基がアミド結合で結ばれたポリアミノ酸である。PGAは納豆の糸引きの主体物質として知られるようになったが、これはその魅力的な機能性によるところが大きい。よく知られているところでは、生分解性と高吸水性を兼ね備えている点が挙げられる。それらの機能を利用し、食品、化粧品、医療品などの多くの分野で、種々の用途があるものと期待されている。しかし、現在、製品化されているPGAは納豆菌やその類縁菌から生産されており、グルタミン酸の両光学異性体がランダムに結合した化学的にヘテロなポリマ−として生産される。そのため、プラスチックの代替素材としてPGAの実用化を考える場合には大きな障害になる。
ホモポリ−γ−グルタミン酸を生産する菌も報告されている。例えば、炭疸菌Bacillus anthracisはD−グルタミン酸のみからなるポリ−γ−D−グルタミン酸(以下、D−PGAと記載することもある)を生産する事が報告されている(非特許文献1)。しかし、本菌は強い病原性を有する細菌であるため、工業的なPGA生産菌としては不適切であり、生産されるD−PGAの分子量も小さい。また、好アルカリ性細菌Bacillus haloduransは、L−グルタミン酸のみからなるポリ−γ−L−グルタミン酸(以下、L−PGAと記載することもある)を生産する事も報告されている(非特許文献2)。しかし、本菌の生産するL−PGAも分子量が極めて小さい。
一方、比較的高分子量のホモポリ−γ−グルタミン酸の生産菌として、好塩性古細菌Natrialba aegyptiacaが分子量10万〜100万程度のポリ−γ−L−グルタミン酸のみを生産することが報告されている。しかし、本菌は液体培養条件下では分子量が10万程度と小さい、かつ殆どポリ−γ−L−グルタミン酸を生産しないため、工業的な生産菌として問題があった(非特許文献3、特許文献1)。
上記以外に、ポリ−γ−L−グルタミン酸を生産する生物としては、ヒドラ等が挙げられるが、ヒドラの場合も同様に分子量が極めて小さいという問題がある。(非特許文献4)
特表2002−517204号公報 Makino,S., I. Uchida, N. Terakado, C. Sasakawa, and M. Yoshikawa, J. Bacteriol., 171, 722(1989) Rikizo Aono, Masahiro Ito, and Takayoshi Machida, J Bacteriol..,181, 6600(1999) F.F.Hezayen, B.H.A.Rehm, B.J.Tindall and A.Steinbuchel, Int. J. Syst. E.,51, 1133(2001) Weber J, J.BiolChem., 265, 9664(1990)
PGAの一つの利用分野として化粧品分野がある。化粧品分野において、PGAを応用する場合、PGAのような水溶性高分子化合物にもとめられる性質は、光学純度が均一、かつ、高い保湿性能と増粘性である。しかしこの二つの要件を同時に満足するためには、均一な光学純度の高分子量のPGAであることが望まれる。
本発明は、かかる課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、光学純度が均一なポリ−γ−L−グルタミン酸を高生産する微生物又はその変異株と、その微生物を用いた高分子量のポリ−γ−L−グルタミン酸の生産する方法及び高分子量で光学純度が均一なポリ−γ−グルタミン酸を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本願発明に到達した。
すなわち、本願発明は、以下の構成からなる。
1.液体培養条件下で分子量が130万以上のポリ−γ−L−グルタミン酸を生産することを特徴とするナトリアルバ(Natrialba)属に属する微生物。
2.NaCl濃度が10〜30%(w/v)の液体培養条件下で分子量が130万以上のポリ−γ−L−グルタミン酸を生産することを特徴とする1の微生物。
3.NaCl濃度が15〜30%(w/v)の液体培養条件下で分子量が130万以上のポリ−γ−L−グルタミン酸を生産することを特徴とする2の微生物。
4.ポリ−γ−L−グルタミン酸の分子量が200万以上であることを特徴とする1〜3のいずれかの微生物。
5.ポリ−γ−L−グルタミン酸の分子量が350万以上であることを特徴とする4の微生物。
6.ポリ−γ−L−グルタミン酸の生産能を有する微生物を変異処理して得られることを特徴とする1〜5のいずれかの微生物。
7.変異処理に際して、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)もしくはエチルメタンスルホン酸(EMS)を用いられたことを特徴とする6の微生物。
8.NaCl濃度が10%(w/v)以下の固体培養条件下で、ムコイド状を呈するポリ−γ−L−グルタミン酸を生産することを特徴とする1〜7のいずれかの微生物。
9.ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)であることを特徴とする1〜8のいずれかの微生物。
10.微生物が、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0830−82株(受託番号:FERM BP−10747)、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0830−243株(受託番号:FERM BP−10748)およびナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0831−264株(受託番号:FERM BP−10749)よりなる群から選択されたいずれかであることを特徴とする9の微生物。
11.1〜10のいずれかの微生物を培養し、その培養液より分子量が130万以上のポリ−γ−L−グルタミン酸を回収する事を特徴とする高分子量ポリ−γ−L−グルタミン酸の製造方法。
12.培養液中の塩濃度が5〜30%(w/v)であることを特徴とする11の分子量が130万以上のポリ−γ−L−グルタミン酸の製造方法。
13.11または12の製造方法より得られる分子量が130万以上のポリ−γ−L−グルタミン酸。
14.少なくとも下記の(a)〜(c)の各工程を含むことを特徴とするポリ−γ−L−グルタミン酸生産変異株の選抜方法。
(a)ポリ−γ−L−グルタミン酸の生産能を有する微生物を変異処理する工程
(b)変異処理した該微生物を、親株がムコイド状のコロニーを形成しない条件の固体培養条件下で培養し、ムコイド状を呈する変異株を選抜する工程
(c)(b)で選抜した変異株を液体培養条件下で培養し、親株と比較しポリ−γ−L−グルタミン酸の生産性がより高まった変異株をさらに選抜する工程
15.少なくとも下記の(a)〜(c)の各工程を含むことを特徴とするポリ−γ−L−グルタミン酸生産変異株の選抜方法。
(a)ポリ−γ−L−グルタミン酸の生産能を有する微生物を変異処理する工程
(b)変異処理した該微生物を、NaCl濃度が15%(w/v)以下の固体培養条件下で培養し、ムコイド状を呈する変異株を選抜する工程
(c)(b)で選抜した変異株を液体培養条件下で培養し、親株と比較しポリ−γ−L−グルタミン酸の生産性がより高まった変異株をさらに選抜する工程
本発明により、均一な光学純度でかつ高分子量のポリ−γ−L−グルタミン酸を液体培養などで大量に調製することが可能となった。より具体的には、本発明により、数平均分子量が130万以上で、かつ均一な光学純度のポリ−γ−L−グルタミン酸を、培養液1Lあたり4.99g以上の高い生産性で取得できる。
以下、本発明を詳述する。
本発明の「ポリ−γ−L−グルタミン酸」とは、L−グルタミン酸のみからなるホモポリマ−である。その構造は式(I)にて示される構造である。式(I)において、nはポリ−γ−L−グルタミン酸の重合数を示す。
Figure 0004720614
本発明の「分子量」とはプルラン標準物質の分子量換算にて算出した数平均分子量(Mn)のことを指す。好ましくは130万以上、より好ましくは200万以上、さらに好ましくは350万以上である。
本発明の「微生物」は高分子量のポリ−γ−L−グルタミン酸を生産する微生物であれば特に限定されない。野生型の微生物やこれらの変異株及び遺伝子組換え技術により造成された微生物を用いることができる。好ましくは好塩菌又はその変異処理株である。好塩菌としての性質を有しておれば、好熱菌、高度好熱菌、好冷菌、好酸菌、好圧菌および低温生育菌などであっても良い。本発明の好塩菌は至適増殖に0.2M以上のNaCl濃度を要求する原核生物である。好塩菌は、低度好塩菌(0.2−0.5MのNaCl濃度で生育)、中度好塩菌(0.5−2.5MのNaCl濃度で生育)、高度好塩菌(2.5−5.2MのNaCl濃度で生育)であればよい。好ましくは、高度好塩菌がよい。
本発明の「好塩菌」は、「古細菌」であってもよい。「古細菌」には、高度好塩古細菌(好塩古細菌と称することもある)、好熱古細菌、メタン菌(メタン生成古細菌)などがあるが、ポリ−γ−L−グルタミン酸を生産できる古細菌であれば特に限定はされない。好ましくは、高度好塩古細菌がよい。なお高度好塩菌の大半が高度好塩性古細菌によって占められている。高度好塩古細菌は、例えば、Halobacterium属、Haloarcula属、Haloferax属、Halococcus属、Halorubrum属、Halobaculum属、Natrialba属、Natronomonas属、Natronobacterium属、Natronococcus属等が挙げられるが、Natrialba属が好ましく、さらに好ましくはナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)がよい。
「ムコイド状」とは、コロニーが粘性状態のことを指し、ポリペプチド鎖の主柱に共有結合した単糖や多糖鎖側鎖を含む高分子のことを指す。本願発明の「ムコイド状」とはポリ−γ−L−グルタミン酸と多糖が結合した粘性状態のコロニーのことを指す。
本発明の最も重要な開示の一つは、ポリ−γ−L−グルタミン酸を顕著に生産する微生物の取得方法にある。また、ポリ−γ−L−グルタミン酸を顕著に生産する微生物のスクリ−ニング方法でもある。微生物は、変異処理してもしなくても良い。より好ましくは、変異処理するのがよい。
本発明のポリ−γ−L−グルタミン酸を顕著に生産する微生物の取得方法またはスクリ−ニング方法において、重要な開示は、塩感受性の高まったポリ−γ−L−グルタミン酸生産微生物を選抜することにある。その選抜方法は、通常、ポリ−γ−L−グルタミン酸生産微生物がポリ−γ−L−グルタミン酸を生産しにくい塩濃度下で培養し、ムコイド状を示すコロニーを目安に選抜を実施すればよい。なお、この選抜工程の前や選抜工程において、変異処理を施しても良い。
ここでいう「塩感受性」とは、微生物がポリ−γ−L−グルタミン酸の生産を開始する塩濃度に対する感受性のことを指す。塩感受性が高まった微生物又はその変異株とは、例えば、5%〜20%(W/V) NaClにおいてもポリ−γ−L−グルタミン酸を生産する変異株のことを指し、好ましくは7%〜15%(W/V) NaCl濃度においてもポリ−γ−L−グルタミン酸を生産する変異株のことを言う。
塩とは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、カルシウム、亜鉛及び鉄等一般的なものあれば限定する必要はない。そのなかでも好ましくはナトリウムである。
また、変異処理方法としては公知の方法、例えば遺伝子組換えによる方法、細胞または胞子に変異原性のある薬剤を接触させる方法、またX線やγ線のような放射線、紫外線などを照射する方法などを挙げることができる。前記の薬剤を接触させる方法に用いられる薬剤としては、例えばN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)、エチルメタンスルホン酸(EMS)等のアルキル化剤を挙げることができる。これら変異処理を施す場合には、変異処理後の微生物の生存率が1%以下となる程度の強度であることが好ましいが、特に限定はされない。
選抜し得られた微生物又はその変異株は、ついで液体培養でポリ−γ−L−グルタミン酸を生産できる株をさらに選抜しても良い。
本発明のさらに有利な点は、液体培養において、ポリ−γ−L−グルタミン酸を生産できる微生物又はその変異株の取得を容易にしたことにある。上記選抜方法を実施せずに、液体培養による選抜を実施し、ポリ−γ−L−グルタミン酸を液体培養で生産できる微生物又はその変異株を入手することは当業者にとって容易でない。なぜならば、固体培養で得られるコロニー毎に液体培養し、そのポリ−γ−L−グルタミン酸の生産量を確認しなければならないからである。この作業は天文学的数字になるため、事実上不可能であることは当業者であれば容易に理解できる。本願発明者らは鋭意努力し、ポリ−γ−L−グルタミン酸を液体培養で生産できる微生物又はその変異株を容易に入手せしめる上記選抜方法を見出した。本発明により、液体培養でポリ−γ−L−グルタミン酸を生産できるようになるため、ポリ−γ−L−グルタミン酸の工業化が容易となるため、産業の発展に大いに貢献できる。
本発明により得られた微生物又はその変異株を液体培養することで、高分子量のポリ−γ−L−グルタミン酸を工業的なスケ−ルで製造することが出来る。
液体培養方法は、選抜した微生物又はその変異株が生育でき、高分子量のポリ−γ−L−グルタミン酸を生産できる条件下で培養すればよく、特に限定はされない。たとえば、選抜した微生物又はその変異株を培養するには、培地を通常の方法、例えば、110〜140℃、8〜20分で殺菌した後、培地に変異株を添加する。ただし、高度好塩菌の場合は他の微生物が生育不可能な条件である飽和NaCl濃度条件においても生育できるために殺菌工程を省略することもできる。
液体培養する場合には、振とう培養、通気攪拌培養などで行えばよい。その際の培養温度は、25〜50℃、好ましくは30〜45℃が適当である。また、培地のpHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、塩酸、硫酸またそれらの水溶液などによって調整できるが、pH調整できれば限定されない。培養pHはpH5.0−9.0、好ましくはpH6.0−8.5で培養すればよい。また、培養期間は、通常2〜4日間程度でよいが、ポリ−γ−L−グルタミン酸を生産できればなんら限定されない。また、微生物又はその変異株の生育特性に応じて培養時に塩を添加しても良い。培養時の塩濃度は10〜30%、好ましくは15〜25%で培養すればよい。
このようにして培養すると、ポリ−γ−L−グルタミン酸は、主として菌体外に蓄積される。
この培養物からポリ−γ−L−グルタミン酸を分離、採取するには、公知の方法、(1)固体培養物から20%以下の食塩水により抽出分離する方法(特開平3−30648号公報)、(2)硫酸銅による沈殿法((Throne.B.C., C.C.Gomez,N.E.Noues and R.D.Housevright:J.Bacteriol.,68巻、307頁、1954年)、(3)アルコ−ル沈殿法(R.M.Vard,R.F.Anderson and F.K.Dean:Biotechnology and Bioengineering,5巻、41頁、1963年、(4)架橋化キトサン成形物を吸着剤とするクロマトグラフィ−法(特開平3−244392号公報など)、(5)分子限外濾過膜を使用する分子限外濾過法、(6)前記(1)〜(5)を適宜組合せた方法などが採用できる。このようにして分離、採取したものをポリ−γ−L−グルタミン酸の含有液としてもよい。必要により公知の方法でスプレ−ドライ、凍結乾燥などの操作を施して粉末としてもよい。
以下に、微生物、特にナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)の例を挙げて詳細に記述するが、これにより本発明が限定されるものではない。
以下に、好塩菌、特にナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)を変異処理し、液体培養条件下で高分子量のポリ−γ−L−グルタミン酸を顕著に生産する微生物またはその変異株を得る方法と、その微生物またはその変異株を用いたポリ−γ−L−グルタミン酸の製造方法および高分子量のポリ−γ−L−グルタミン酸の取得方法を説明する。
ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)は分子量10〜100万程度のポリ−γ−L−グルタミン酸のみを固体培養で生産することが報告されている。一方、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)は、液体培養条件下では、少量のポリ−γ−L−グルタミン酸しか生産せず大量生産が容易ではないとともに、得られるポリ−γ−L−グルタミン酸の分子量も10万と小さい(特表2002−517204号公報及びF.F.Hezayen, B.H.A.Rehm, B.J.Tindall and A.Steinbuchel, Int. J. Syst. E.,51, 1133(2001) )
液体培養条件下でポリ−γ−L−グルタミン酸を生産出来る菌株をスクリ−ニングするにしても、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)は、固体培地表面でムコイド状 のコロニーを形成するため、コロニーとコロニーが融合してしまい、シングルコロニーの分離が難しい。たとえ、シングルコロニーの分離をしたとしても、一株ずつ液体培養し、ポリ−γ−L−グルタミン酸の有無を確認しなくてはならず、膨大な時間と労力が必要であり、本発明まで不可能であった。
ナトリアルバ エジプチアキア (Natrialba aegyptiaca)は、10%(w/v)以上の塩を含む培地で生育可能であるが、ポリ−γ−L−グルタミン酸を生産するのは20%(w/v)%以上の塩を添加した場合に限られる。また、NaCl濃度が10%(w/v)の固体培養条件下でムコイド状を呈しない。さらに、液体培養よりも固体培養の方が菌体当たりのポリ−γ−L−グルタミン酸生産量は10倍以上高くなる。つまり、本古細菌は、高塩環境下で発生する脱水現象から巧みに身を守るためにポリ−γ−L−グルタミン酸を生産していると考えられている(Appl. Microbiol. Biotechnol., 54,319(2000))。
本発明者らは、鋭意努力の結果、本発明により改良したナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)は親株がポリ−γ−L−グルタミン酸を殆ど生産しない条件、すなわちNaCl濃度が10%(w/v)の固体培養条件下でムコイド状を呈し、液体培養条件下で親株と比較しポリ−γ−L−グルタミン酸を顕著に生産することを見出した。更に、該変異株が液体培養条件下においても高分子量のポリ−γ−L−グルタミン酸を著量生産することを見出している。
本発明は、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)に限定されるものではない。すなわち、本願発明は、ポリ−γ−L−グルタミン酸を生産する好塩菌全般において上記と同様の選抜方法をとれば、液体培養条件下で親株と比較しポリ−γ−L−グルタミン酸を顕著に生産する変異株を取得できることを開示している。本発明により、従来、得られなかった変異株を入手することができる。また、好塩菌は高塩条件下において生育が可能であることから、無菌操作無しで培養することができる。このことは培養工程のコスト削減にもつながることから有望な物質生産系である。本願発明により、ポリ−γ−L−グルタミン酸を大量に生産できることが可能となるので、産業の発展に大いに貢献できる。
これらの微生物を親株として、ポリ−γ−L−グルタミン酸生産量が高まった微生物とするには、通常に行われる変異処理方法が採用される。その変異処理方法としては公知の方法、例えば遺伝子組換えによる方法、細胞または胞子に変異原性のある薬剤を接触させる方法、またX線やγ線のような放射線、紫外線などを照射する方法などを挙げることができる。前記の薬剤を接触させる方法に用いられる薬剤としては、例えばN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)、エチルメタンスルホン酸(EMS)等のアルキル化剤を挙げることができる。これら変異処理を施す場合には、変異処理後の微生物の生存率が1%以下となる程度の強度であることが好ましいが、特に限定はされない。
例えば、N.aegyptiaca(JCM11194)のシングルコロニーを白金耳で1白金耳掻き取り、3mlのPGA生産液体培地−1(22.5% NaCl、2% MgSO・7HO、0.2% KCl、3% TrisodiumCitrate、1% Yeast Extract、0.75% Casaminoacid)/18ml容試験管に植菌し、37℃ 300rpmで3日間培養する。得られた培養液0.5mlを50mlのPGA生産液体培地−1/500ml容坂口フラスコに植菌し、37℃ 180rpmで5日間培養する。得られた培養液を3000rpmで5分間遠心し、菌体を回収する。回収した菌体に100mM クエン酸緩衝液(pH6.0)を加え再懸濁する。この操作を3度繰り返す。懸濁した溶液の1/10量の飽和NTG溶液(東京化成株式会社)、それを滅菌水で70%、50%、20%、10%としたものをそれぞれ加え、42℃ 150rpmで1時間インキュベ−トする。処理後、PGA生産寒天培地−1(10% NaCl、2% MgSO・7HO、0.2% KCl、3% TrisodiumCitrate、1% Yeast Extract、0.75% Casaminoacid、2% Agar)に播種し37℃で5日間培養する。生存率が1%以下となる条件を設定することで得られる。
ポリ−γ−L−グルタミン酸高生産株取得方法としては、前記変異処理をして得られたコロニーを、通常の公知の栄養培地、例えば肉汁、ペプトン、大豆粉、Yeast Extract、Casamino acid、アミノ酸類またはそれらの混合物などを含有する培地、または必要な栄養素類を含有する無機合成培地などの寒天平板培地、好ましくはPGA生産寒天培地−1で2〜4日間培養する。その後、PGA生産寒天培地−1に出現するコロニーを一つ一つPGA生産寒天培地−1及びPGA生産寒天培地−2(22.5% NaCl、2% MgSO・7HO、0.2% KCl、3% TrisodiumCitrate、1% Yeast Extract、0.75% Casaminoacid、2% Agar)の両寒天平板培地それぞれにとって2〜4日間静置培養する。
PGA生産寒天培地−1においてもムコイド状コロニーを形成する変異株を選択し、さらにPGA生産液体培地−1(22.5% NaCl、2% MgSO・7HO、0.2% KCl、3% TrisodiumCitrate、1% Yeast Extract、0.75% Casaminoacid)に植菌し、37℃ 1180rpm で4日間培養し、培地中のポリ−γ−L−グルタミン酸を定量し、野生株と比較してポリ−γ−L−グルタミン酸の生産性が高まる変異株を取得する方法などが挙げられる。
このようにして得られた菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センタ−に、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0830−82株(受託機関名:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センタ−、受託日:平成18年4月4日、受託番号:FERM BP−10747)、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0830−243株(受託機関名:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センタ−、 受託日:平成18年4月4日、受託番号:FERM BP−10748)、またはナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0831−264株(受託機関名:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センタ−、 受託日:平成18年4月4日、受託番号:FERM BP−10749)として寄託されている。
前記の培地でポリ−γ−L−グルタミン酸の生産性が高まった変異株を培養するには、無菌操作を省略して培地に変異株を添加する。液体培養する場合には、振とう培養、通気攪拌培養など好気条件などで行うことが望ましい。その際の培養温度は、30〜50℃、好ましくは35〜45℃が適当である。また、培地のpHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、塩酸、硫酸またそれらの水溶液などによって調整できるが、pH調整できれば限定されない。培養pH5.0−9.0、好ましくはpH6.0−8.5で培養するのが望ましい。また、培養期間は、通常2〜4日間程度でよい。また、培養時のNaCl濃度は10〜30%、好ましくは15〜25%で培養するのが望ましい。また、Yeast Extract濃度は0.1〜10%、好ましくは0.5〜5.0%濃度で培養するのが望ましい。また、固体培養の場合においても前期液体培養の場合と応用に、培養温度は30〜50℃、好ましくは35〜45℃、培養時のpHは5.0−9.0、好ましくはpH6.0−8.5、培養時のNaCl濃度は10−30%、好ましくは15〜25%、Yeast Extract濃度は0.1−10%、好ましくは0.5−5%濃度が採用される。このようにして培養すると、ポリ−γ−L−グルタミン酸は、主として菌体外に蓄積されて前記した培養物中に含まれる。
培養液中のポリ−γ−L−グルタミン酸の定量方法としては、ポリ−γ−L−グルタミン酸を含む試料から、硫酸銅やエタノ−ルを用いて沈澱させ、その沈殿物の重量測定およびKijerder法による総窒素の測定を行なうもの(M.Bovarnick,J.Biol.Chem.,145巻、415ペ−ジ、1942年)、塩酸加水分解後のグルタミン酸量を測定する方法(R.D.Housewrigt,C.B.Thorne,J.Bacteriol.,60巻、89ペ−ジ、1950年)及び、塩基性色素との定量的な結合を利用した比色法(M.Bovarnick et al., J.Biol.Chem.,207巻、593ペ−ジ、1954年)が知られているが好ましくは、塩基性色素との定量的な結合を利用した比色法である。
塩基性色素としてはクリスタルバイオレット、アニリンブル−、サフラニンオ−、メチレンブル−、メチルバイオレット、トルイジネブル−、コンゴレッド、アゾカルマイン、チオニン、ヘマトキシリンなどがあげられるが、サフラニンオ−が好ましい。
この培養物からポリ−γ−L−グルタミン酸を分離、採取するには、前記の公知の方法を用いればよい。一例を挙げると、例えば、培養液を遠心分離し、菌体を取り除く。続いて、得られた上清液に3倍量の水を加え希釈した後、pHを3.0に調整する。pH調整後、5時間 室温で攪拌した。その後、3倍量のエタノ−ルを加え、ポリ−γ−L−グルタミン酸を沈殿物として回収した。沈殿物を0.1mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)に溶解させ、低分子物質を透析により除去する。透析後、得られた液を核酸除去のため、DNase、RNase処理を行い、次いでタンパク質除去のために、Proteinase処理を行う。Proteinase処理後、透析により低分子物質を除去する。透析後、凍結乾燥等により、乾燥ポリ−γ−L−グルタミン酸を得ればよい。また、必要により陰イオン交換樹脂を用いた精製を行うことができるが、一般的な条件で精製可能である。
本発明の最も重要な開示の別の一つは、高分子量のポリ−γ−L−グルタミン酸と、その取得方法である。本発明のナトリアルバ エジプチアキア(Natrialbaaegyptiaca)0830−82株(受託番号:FERM BP−10747)、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialbaaegyptiaca)0830−243株(受託番号:FERM BP−10748)、またはナトリアルバ エジプチアキア(Natrialbaaegyptiaca)0831−264株(受託番号:FERM BP−10749)を用いて、高分子量のポリ−γ−L−グルタミン酸を取得することが出来る。
上記3種の菌株を、前記の方法で培養し、ポリ−γ−L−グルタミン酸を精製することにより、数平均分子量=1,300,000以上である高分子量のポリ−γ−L−グルタミン酸を得ることが出来る。このような高分子量のポリ−γ−L−グルタミン酸は本発明により初めて生産出来るようになった。さらには200万以上、特に350万以上のポリ−γ−L−グルタミン酸を得ることも出来る。得られるポリ−γ−L−グルタミン酸は、均一な光学純度でかつ高分子量のポリ−γ−L−グルタミン酸であるため、化粧料用途などに好ましく使用しても良い。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1) NTG変異処理方法
N.aegyptiaca(JCM11194、独立行政法人理化学研究所より購入)のシングルコロニーを白金耳で 1白金耳掻き取り、3mlのPGA生産液体培地−1(22.5% NaCl、2% MgSO・7HO、0.2% KCl、3% TrisodiumCitrate、1% Yeast Extract、0.75% Casaminoacid、pH7.2)/18ml容試験管に植菌し、37℃ 300rpmで3日間培養する。得られた培養液0.5mlを50mlのPGA生産液体培地−1/500ml容坂口フラスコに植菌し、37℃ 180pmで5日間培養した。得られた培養液を3000rpmで5分間遠心し、菌体を回収した。回収した菌体に100mM クエン酸緩衝液(pH6.0)を加え再懸濁した。この操作を3度繰り返した。懸濁した溶液の1/10量の飽和NTG溶液(東京化成株式会社)、それを滅菌水で70%、50%、20%、10%としたものををそれぞれ加え、42℃ 150rpmで1時間インキュベ−トした。処理後、PGA生産寒天培地−1(10% NaCl、2% MgSO・7HO、0.2% KCl、3% TrisodiumCitrate、1% Yeast Extract、0.75% Casamino acid、2% Agar)に播種し37℃で5日間培養した。生存率が1%以下となる条件(飽和NTG溶液を70%としたもの)
を設定した。
(実施例2) ポリ−γ−L−グルタミン酸高生産菌スクリ−ニング
生存率が1%以下の条件より得られたコロニーをPGA生産寒天培地−1(10%NaCl、2% MgSO・7HO、0.2% KCl、3% TrisodiumCitrate、1% Yeast Extract、0.75% Casaminoacid、2% Agar)及びPGA生産寒天培地−2(22.5%NaCl、2% MgSO・7HO、0.2%KCl、3% Trisodium Citrate、1%Yeast Extract、0.75%Casamino acid、2% Agar)に播種し、37℃で6日間培養した。培養後、PGA生産液体培地−1の培養条件においてもポリ−γ−L−グルタミン酸を生産する変異株を選択し、得られた変異株を再度、PGA生産寒天培地−1に播種し再現性を確認した。再現性が確認された変異株のシングルコロニーを白金耳で 1白金掻き取り、3mlのPGA生産液体培地−1/18ml容試験管に植菌し、37℃ 300rpmで3日間培養する。得られた培養液0.5mlを50mlのPGA生産液体培地−1/500ml容坂口フラスコに植菌し、37℃ 180rpm で3日間培養させ、培地中のポリ−γ−L−グルタミン酸を1/5倍希釈しサフラニン法で測定した。親株と比較してポリ−γ−L−グルタミン酸の生産性が高まった変異株をスクリ−ニングした。上記の方法により、30,000株をスクリ−ニングして、その結果、3株のポリ−γ−L−グルタミン酸高生産変異株を取得した。
このようにして得られた菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センタ−に、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0830−82株(受託番号:FERM BP−10747)、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0830−243株(受託番号:FERM BP−10748)、またはナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0831−264株(受託番号:FERM BP−10749)として寄託した。

(実施例3) 変異株によるポリ−γ−L−グルタミン酸生産性比較
実施例2で得られた0831−264株 (受託番号:FERM BP−10749)と、親株(JCM11194)を実施例2の培養条件で培養した。図1に示したように、受託番号:FERM BP−10749は培養液中に4.99g/Lのポリ−γ−L−グルタミン酸の生産性を示した。対して、親株は、0.61g/Lの生産性であった。
(実施例4) ポリ−γ−L−グルタミン酸の精製
上記実施例で得られた受託番号:FERM BP−10749のシングルコロニーを白金耳で 1白金耳掻き取り、3mlのPGA生産液体培地−1(22.5% NaCl、2% MgSO・7HO、0.2% KCl、3% TrisodiumCitrate、1% Yeast Extract、0.75% Casamino acid)/18ml容試験管×5本に植菌し、37℃ 300rpmで3日間培養する。得られた培養液0.5mlを 50ml PGA生産液体培地−1/500ml容坂口フラスコ×10本に植菌し、37℃で5日間培養した。得られた培養液を遠心し、菌体を取り除いた。続いて、得られた上清液に3倍量の水を加え希釈した後、pHを3.0に調整した。pH調整後、5時間 室温で攪拌した。その後、3倍量のエタノ−ルを加え遠心分離を行い、ポリ−γ−L−グルタミン酸を沈殿物として回収した。沈殿物を0.1mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)に溶解させ、低分子物質を除去するために透析した。透析後、得られた液を核酸除去のため、1mM MgCl 、10U/ml DNaseI(TAKARA社製)、20μg/ml RNaseI(NIPPON GENE社製)となるように加え37℃で2時間インキュベ−トした。次いでタンパク質除去のために、3U/ml ProteinaseK(TAKARA社製)処理を37℃ 5時間インキュベ−トした。Proteinase K処理後、MilliQ水で透析し、低分子物質を除去した。透析後、ポリ−γ−L−グルタミン酸を陰イオン交換樹脂、Q sepharose Fast Flow(AmershamBiosciences社製)に吸着させ、洗浄後1M NaClで溶出した。得られた溶液をMilliQ水で透析し、透析後の溶液を凍結乾燥することにより、ポリ−γ−L−グルタミン酸・Na塩を得た。
(実施例5)得られたポリ−γ−L−グルタミン酸・Na塩の平均分子量をGPC分析にて測定した。また、IR分析も行った。
GPC分析の結果、Mw=7,522,000、Mn=3,704,000、Mw/Mn=2.031、であることが確認された(プルラン換算)。
なお、前記GPCの分析条件は以下の通りである。
装置:HLC−8220GPC(東ソ−社製)
カラム:TSKgel α−M(東ソ−社製)
流速:0.6ml/min
溶出液:0.15M NaCl水溶液
カラム温度:40℃
注入量:10μl
検出器:示差屈折計
IR分析の結果からNa塩であることが示された(図2)。
(実施例6)実施例4のポリ−γ−L−グルタミン酸精製工程において、陰イオン交換樹脂、Q sepharoseFast Flow(Amersham Biosciences社製)に吸着させ、洗浄後1M NaClで溶出後、ポリ−γ−L−グルタミン酸含有液のpHを1N HClによりpH2.0に調整した。その後、MilliQ水で透析し、さらに凍結乾燥することでポリ−γ−L−グルタミン酸・フリ−体を得た。得られたポリ−γ−L−グルタミン酸のフリ−体の平均分子量をGPC分析にて測定した。また、IR分析も行った。
GPC分析の結果、Mw=2,888,000、Mn=1,327,000、Mw/Mn=2.176、であることが確認された(プルラン換算)。
なお、前記GPCの分析条件は実施例5に記載の通りである。
IR分析の結果からフリ−体であることが示された(図3)。
(実施例7)ポリ−γ−L−グルタミン酸の構造確認
図4は、実施例4において、得られたポリ−γ−L−グルタミン酸のH−NMRのスペクトル(500MHz)である。重水を用いて測定した。
本発明により、均一な光学純度でかつ高分子量のポリ−γ−L−グルタミン酸を、液体培養などで大量に調製することが可能となり、培養も非常に容易であることからも、産業界に大きく寄与することが期待される。
変異株ポリ−γ−L−グルタミン酸生産性 ポリ−γ−L−グルタミン酸・Na塩のIR分析の結果 ポリ−γ−L−グルタミン酸のフリ−体のIR分析の結果 ポリ−γ−L−グルタミン酸のH−NMRのスペクトル(500MHz)

Claims (8)

  1. NaCl濃度が22.5%(w/v)の液体培養条件下で分子量が130万以上のポリ−γ−L−グルタミン酸を生産し、かつ以下の(a)および(b)の条件下で培養した後測定したポリ−γ−L−グルタミン酸の生産量が培養液1L当たり4.0g以上であることを特徴とする、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)に属する微生物。
    (a)ナトリアルバ エジプチアキアのシングルコロニーを白金耳で1白金耳掻き取り、18ml容試験管内の3mlのPGA生産液体培地(22.5% Nacl、2% MgSO・7HO、0.2% KCl、3% TrisodiumCitrate、1% Yeast Extract、0.75% Casaminoacid、pH7.2)に植菌し、37℃ 300rpmで3日間培養する
    (b)(a)で得られた培養液0.5mlを500ml容坂口フラスコ内の50mlのPGA生産液体培地に植菌し、37℃ 180rpmで5日間培養する
  2. ポリ−γ−L−グルタミン酸の分子量が200万以上であることを特徴とする請求項に記載の微生物。
  3. ポリ−γ−L‐グルタミン酸の分子量が350万以上であることを特徴とする請求項に記載の微生物。
  4. ポリ−γ−L−グルタミン酸の生産能を有する微生物を変異処理して得られることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の微生物。
  5. 変異処理に際して、N−メチル−N´−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)もしくはエチルメタンスルホン酸(EMS)を用いられたことを特徴とする請求項に記載の微生物。
  6. NaCl濃度が10%(w/v)の固体培養条件下でムコイド状を呈する、ポリ−γ−L−グルタミン酸を生産することを特徴とするナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)に属する微生物。
  7. 微生物が、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0830−82株(受託番号:FERM BP−10747)、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0830−243株(受託番号:FERM BP−10748)およびナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0831−264株(受託番号:FERM BP−10749)よりなる群から選択されたいずれかであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の微生物。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の微生物を培養し、その培養液より分子量が130万以上のポリ−γ−L−グルタミン酸を回収することを特徴とする高分子量ポリ−γ−L−グルタミン酸の製造方法。
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