JP7181563B2 - ポリグルタミン酸高産生性新規納豆菌、当該納豆菌を用いた食品組成物及び当該納豆菌を含む組成物 - Google Patents

ポリグルタミン酸高産生性新規納豆菌、当該納豆菌を用いた食品組成物及び当該納豆菌を含む組成物 Download PDF

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NPMD NITE P-03366
本発明は、新規納豆菌株、前記菌株を用いた発酵組成物に関する。より詳細には、新規バシラス・サブチリス(ナットウ)株、その菌株を用いた納豆等に関する。
納豆は、日本の伝統的な発酵食品で栄養価が高く、その健康効果も古くから知られ、江戸時代の医学書である「本朝食鑑」にも記載されるほど、馴染み深い食品である。また、納豆は、ネバネバとした「糸引き納豆」と、糸を引かない浜納豆又は寺納豆等の「塩辛納豆」との2種類に分けられる。塩辛く味噌のような風味がある「塩辛納豆」は、お茶づけ、又は調味料として使うことが多い。このため、通常、「納豆」といえば、「糸引き納豆」のことを言う。
糸引き納豆は、大豆、水及び納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)の3つだけを原料として作られる食品であり、蒸し大豆に納豆菌を添加して発酵させて製造する。納豆の最大の特徴として糸引きが挙げられる。そして、糸引き納豆が有する糸引き性は、食感の主要な要素であり、呈味性に大きな影響を及ぼすものとして知られている。このため、納豆の品質を競う全国納豆鑑評会では、糸引きが強い方が出来の良い納豆として評価されるなど、一般的に納豆は糸引きの強いものが好まれる傾向にある。その結果、製造者は日頃から糸引きの強い納豆を製造するために製造条件について工夫を凝らしている。
この「糸」は、発酵中に納豆菌が生産する天然のポリグルタミン酸とフルクトースの重合体であるフルクタンとの重合体である。ここで、スクロースを基質として合成されるオリゴ・多糖であるフルクタンには、β(2→1)結合型のイヌリンとβ(2→6)結合型のレバンとが含まれ、いずれも健康食品等に使用されている。また、上記天然のポリグルタミン酸は下記の化学式で表される、γ位のカルボキシル基とα位のアミノ基とがペプチド結合したポリ-γ-グルタミン酸であり、γPGAとも呼ばれる化合物である。そして、納豆の糸引きの強さは、主としてγPGAに依存することが知られている。なお、糸引きと粘りは同一成分に起因するものであることから、本明細書においては特に区別せず、同義として扱うものとする。
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γPGAについては、生分解性、生体適合性という一般的なバイオポリマーの性質に加え、保湿性、増粘性、ミネラル吸収促進作用等の種々の有用な性質を有していること等が知られている。例えば、納豆の糸引き成分の主成分であるγPGAについては、カルシウム吸収促進効果があること(谷本浩之ら、日本農芸化学会誌、77, 504-507(2003))、以下、「非特許文献1」という。)、食後血糖値の上昇抑制効果があること(Araki, R. et al., Nutrients, 12, 915-926(2020);以下、「非特許文献2」という。)等の健康増進に対する有用な効果を有することが知られている。
こうしたγPGAを豊富に含む納豆、すなわち、糸引きの強い納豆を製造する方法として、糖アルコールを添加する方法(特許文献1参照、以下、「従来技術1」という。)、デキストリンを添加する方法(特許文献2参照、「従来技術2」という。)、グルタミン酸を添加する方法(特許文献3参照、以下「従来技術3」という。)等の糸引き成分の合成を促進するために様々な添加物を使用する方法が提案されている。
また、納豆菌自体がプロバイオティクス効果を有することも既に報告されている(細井知弘ら、醸造協会誌、98、830-839 (2003))。ここで、プロバイオティクス(probiotics)とは、抗生物質(antibiotics)に対比される言葉で、共生を意味するプロバイオシス(probiosis; 「pro」は「共に、~のために」、「biosis」は「生きる」を意味する。)を語源とする用語である。そして、英国の微生物学者であるFullerが1989年に提唱した「腸内フローラのバランスを改善することにより人に有益な作用をもたらす生きた微生物」という定義が広く受け入れられている。現在ではまた、国際連合食糧農業機関/世界保健機関が「十分量を摂取したときに宿主に有益な効果を与える生きた微生物」という定義を公表している。本明細書においては、「プロバイオティクス」を、「宿主にとって有益な作用を及ぼす生きた微生物またはそれを含む食品」と定義することとする。
人工合成したγPGAには、マクロファージ刺激作用があることが報告されており(特許文献4参照、以下「従来技術4」という。)、また、納豆には、Tリンパ球及びBリンパ球の増殖活性誘導作用による免疫調節作用あることも報告されている。こうした報告以外にも、腸管細胞からのインターロイキン-12(以下、「IL-12」と略すことがある。)の産生量を高めた納豆菌株(特許文献5参照、以下「従来技術5」という。)を開発したこと、及びインターロイキン-22(以下、「IL-22」と略すことがある。)の生産誘導をin vitroで確認したバチルス属の菌株についての報告がある(特許文献4~6参照、以下「従来技術4~6」のようにいう。)。ここで、本明細書においては、「免疫調節作用」とは、「感染防御作用、抗腫瘍作用、及びアレルギー軽減作用を含む免疫に対する作用」をいうものとする。
特開2005-204620号公報 特開2013-240348号公報 特開2019-195289号公報 特開2005-187427号公報 特開2008-206427号公報 特開2019-141036号公報
谷本浩之ら、日本農芸化学会誌、77, 504-507(2003) Araki, R. et al., Nutrients, 12,915-926(2020) 細井知弘ら、醸造協会誌、98, 830-839 (2003)
上述したように、納豆中のγPGA含量を増やそうとしても、製造条件の工夫のみでは大きな改善効果は期待できない。このため、従来技術1~3のように、糸引き成分の合成を促進するために様々な添加物を使用する方法が提案されている。
従来技術1は、厳密な発酵管理を要することなく、上述した糸引き性を、安定的かつ容易に増強させることができるという点では優れた発明である。しかしながら、通常使用される原料に加えて、副原料として糖アルコールという追加の成分を、納豆の重量に基づいて0.5~10重量/重量%の割合で添加しなければならないという問題点がある。ここで、上記糖アルコールには、単糖アルコール又は単糖を主成分とする糖アルコールは含まれない。
従来技術2は、γPGAの質量に対してデキストリンを1.8質量倍以上含むように含有させることによって、γPGAの糸引き性を向上させることができるという点では優れた発明である。しかしながら、従来技術2は、煮豆とγPGAを含有する組成物とを混合して、納豆様の豆加工食品を製造するというものである。したがって、納豆自体のγPGAの糸引きを向上させるというものではない。
従来技術3は、従来の発酵時間よりも短時間で従来の発酵温度及び発酵時間の条件で得られた納豆と同等の糸引き性及び旨味を有する納豆が得られるという点では優れた発明である。しかしながら、発酵時間を短縮するためには、副原料としてグルタミン酸を蒸煮大豆の質量に対して、0.1質量%以上5質量%以下で添加する必要がある。
従来技術1~3のように、糸引きを強くするために、糖アルコールやグルタミン酸等の副原料を添加することは添加物の使用にほかならず、添加物の滅菌が必要になるほか、製造に際して工程も増える。さらに、これらを添加する際に微生物が混入する機会が増えることになり、微生物による製品の汚染リスクを高めるという問題がある。
加えて、上記のような副原料(添加物)は、製品の販売用ラベルに記載しなければならず、ラベルの変更が必要になるといった別の問題も生じる。このため、上記のような工程を追加することなく、糸引きの強い、高粘性の納豆を製造するためには、そうした性質を備える納豆菌の開発が必要である。このため、γPGAの産生量の多い新規納豆菌に対する強い社会的要請があった。
従来技術4は、Bacillus subtilis var chungkookjang (KCTC 0697BP)の培養液から得た5kDa、10kDa、20kDa、50kDa、1,200kDaおよび2,000kDaのγPGAを用いて、マウスのマクロファージによるTNF-α又はIL-1βの発現誘導能をmRNAレベルで確認した点では優れた発明である。また、従来技術6は、味噌由来のバシラス・サブチリスをマウスの脾細胞と共培養して、マウスB細胞によるIL-22の産生量の高い株を選択したという点では優れた発明である。しかしながら、従来技術4及び6の発明には、いずれもヒトの細胞を使用した場合にも同様の誘導がなされるか否かは確認されていないという問題点がある。
従来技術5は、ナットウキナーゼ高生産菌であるTTCC865株(FERM P-19176、特開2004-222516)を用いて納豆菌栄養細胞を調製し、マウス由来マクロファージ様細胞株(J774.1細胞)を用いてIL-12p40の産生量を確認したという点では優れた発明である。しかしながら、従来技術5の発明において、in vivoでも同様のIL-12p40の誘導が起こるか否かについては確認されていない。
また、IL-10ファミリーに属するIL-22は、上皮細胞に関与すること、皮膚の表皮角化細胞において抗菌ペプチドを誘導し、自然免疫に関与することが知られている。一方で、IL-22は、角化細胞の増殖を誘導し皮膚の肥厚を惹起すると同時にその終末分化を阻害してバリヤ機能関連タンパクの発現を低下させることが知られている。このため、納豆菌自体をプロバイオティクスとして利用する場合には、効果が幅広く自然免疫を低下させることのない新規菌株に対する強い社会的要請があった。
また、食物を摂取する際には、食感が「おいしさ」を構成する要素として重要である。ここで、「食感」とは、「食物を飲食した際に感じる五感のうち、歯、舌及び舌を含む口腔内内の皮膚感覚」をいう。具体的には、歯ごたえ、舌触り、喉ごし等をいう。
一般に、納豆は製造後時間経過と共に食感が柔らかくなることが知られており、納豆の賞味期限は、多くの場合、10℃以下での保存を条件として、10日程度で設定されている。また、昨今、フードロスの削減が耳目を集めており、賞味期限を長く設定したいという要請がある。しかし、製造条件や保存温度を工夫しても、納豆の食感が軟化するのを抑制することは難しい。このため、製造直後から従来の納豆よりも硬い食感を有し、その硬さが持続する納豆を製造できる菌株に対する強い社会的要請があった。
本願の発明者等は、以上のような状況の下で鋭意研究を進め、本願発明を完成したものである。
すなわち、本発明の一の態様は、独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンター 受託番号NITE P-03366として寄託されている、新規納豆菌(Bacillus natto)IBARAKI XF36株である。前記菌株は、Namegata-2-2株を親株としてX線を照射し、変異を誘発して得られたものであることが好ましい。さらに、前記菌株は、腸管細胞によるβディフェンシン遺伝子の発現亢進作用を有するものであることが好ましい。前記菌株は、腸管細胞によるインターロイキン10産生促進作用及びTNFαの生産促進作用を、さらに有するものであることが好ましい。
本発明の別の態様は、前記菌株を利用して得られる、発酵組成物である。前記発酵組成物は、免疫調節作用を有することが好ましく、前記免疫調節作用は、感染防御作用、抗腫瘍作用及びアレルギー軽減作用からなる群から選ばれる少なくとも1つの作用を包含するものであることが好ましい。また、前記発酵組成物は、発酵食品であることが好ましく、前記発酵組成物は納豆であることが好ましい。
前記納豆は、前記親株を使用して製造した納豆よりも硬い食感を有し、保存後20日まで前記硬い食感が持続することが好ましい。また、前記硬い食感は、前記親株を使用して製造した納豆に対し、製造直後で20%、保存後20日で30%硬い食感であることが好ましい。
前記発酵組成物は、前記親株を用いて製造した納豆に対して、製造直後で1.5倍以上高いγPGAを含有することが好ましい。また、前記発酵組成物は、前記親株を用いて製造した納豆に対して、製造後20日間保存時点でも、約1.5倍以上高いγPGAを含有することが好ましい。
また、本発明のさらに別の態様は、上記の菌株を培養して得られた組成物である。ここで、前記組成物は、前記菌株を含む培養物及び前記培養物から前記菌株を除いた培養液を含むものであることが好ましい。前記組成物は、上述した菌株を単独で培養したものであることが好ましい。なお、上述した組成物は、上述した菌株を他の菌株と混合して培養したものであってもよい。
本発明によれば、新規な納豆菌株を提供することができる。また、本発明によれば、前記菌株を利用して得られる、発酵組成物が提供される。前記菌株は、γPGA高産生性であるため、高粘性の納豆を製造することができる。また、前記菌株は免疫調節作用を有するため、プロバイオティクス効果を発揮する発酵組成物を提供することができる。
図1は、本発明の新規菌株を用いて製造した納豆と、親株であるNamegata-2-2とを用いて製造した納豆のγPGA含量を示すグラフである。 図2は、本発明の新規菌株と、乳酸菌LGGと、親株であるNamegata-2-2とのγβディフェンシン遺伝子の発現量の比を示すグラフである。 図3は、本発明の新規菌株と、乳酸菌LGGと、親株であるNamegata-2-2との免疫調節作用を示すグラフである。図3(A)は、インターロイキン-10(以下、「IL-10」と略すことがある。)の産生量を示すグラフであり、図3(B)は、腫瘍壊死因子α(以下、「TNFα」と略すことがある。)の産生量を示すグラフである。
以下に本発明を、図面を参照しつつ、さらに詳細に説明する。上述した通り、本発明の一の態様は、独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンター 受託番号NITE P-03366として寄託されている、新規納豆菌(Bacillus natto)IBARAKI XF36株(以下、「XF36株」と略すことがある。)である。
上記の菌株は、Namegata-2-2株を親株としてX線を照射し、変異を誘発して得られたものであることが好ましい。Namegata-2-2株は、Amplified Fragment Length Polymorphism(増幅フラグメント長多型解析)やMultilocus sequence analysisによって菌の分類同定がなされていること、かつ、食経験もあり、既に納豆メーカーが製品の製造に利用している実績がある菌だからである。Namegata-2-2株を所望の培地、例えば、一般的に使用されるLB培地中で、所望の温度で所望の時間、例えば、35~39℃にて18~24時間、培養を行い、親株を得ることができる。Namegata-2-2株は好気菌であるため、例えば、ロータリーシェーカー等を用いて、振盪培養することが好ましい。
以上のようにして得られた親株を、所望の量の細菌培養培地を入れた、所望の大きさのバッフル付き三角フラスコ、例えば、約50~約70 mLのLB培地を入れた200~500 mL容のバッフル付き三角フラスコに、所望量、例えば、約1白金耳接種し、約36~38℃にて約20~約30時間、所望の回転数、例えば、約90~130 rpmで振盪培養する。培養終了後、上記のフラスコ内の培養物から所望量、例えば、約20~約30 mLを取り、室温にて、約9,000 xg~約11,000 xgで遠心分離して上清を除き、得られたペレットを回収する。以上のようにして得られたペレットを、所望量、例えば、約400~約600 mLの滅菌水に懸濁し、所望数、例えば、約0.5x107CFU/mL~約1.5x107CFU/mL程度の菌体懸濁液を調製することができる。
以上のようにして調製した菌体懸濁液を、X線照射の条件検討サンプルとすることができる。X線照射の条件は、上記の菌体懸濁液を、所望の直径の滅菌シャーレ(例えば、直径約90 mm~約100 mm)に所望の量、例えば、約15~約25 mLずつ注ぎ、所望の厚み、例えば、約10~約15 μmのポリイミド膜で蓋をして試料とする。
ここで使用するX線発生装置は特に限定されず、こうした装置としては、例えば、軟X線発生装置OM-100R((株)オーミック)等を挙げることができる。こうした装置の照射台(回転台)に試料をセットし、照射電圧及び照射電流を所望の値、例えば、約70~約110 kV、照射電流を約5~約9 mAに設定することができる。シャーレ内の試料全体に均一にX線が照射されるようにするために、照射中は前記回転台を回転させることが好ましい。X線の照射量は特に限定されないが、1,000~4,500Gyの範囲として検討することが、適切な数の変異したコロニーを得る上で好ましい。
例えば、約2,500~約4,000GyでX線を照射すると、菌の致死率及び親株とは外観の異なるコロニーの出現率との関係から、変異を起こしていると思われる菌株を多く取得できるからである。照射量を約3,500~4,000Gyとすると、菌の死滅率が98%を超え、かつ上記外観の異なるコロニーが多く見られるため、さらに好ましい。
約2,500~約4,000Gyの照射量となるようにX線照射を行った上記培養液を、シングルセルコロニーが取得できるように、適宜希釈して、所望の平板培地、例えば、LB寒天培地上でコロニーが出現するまで単離培養を行う。その後、出現したコロニーをピックアップして、所望の平板培地、例えば、LB寒天培地上で培養することにより、本発明の納豆菌株を含む菌株を得ることができる。
得られた菌株を用いた発酵組成物を製造し、その性質を指標として有用株を選抜する。例えば、発酵組成物として納豆を製造する場合には、大豆を冷却した所望量の水、例えば、約10℃以下の水を大豆の重量に対して約3倍量で加え、大豆の含水量等の条件を勘案して、約12~約20時間浸漬し、その後、よく水を切って蒸煮にする。蒸煮の条件としては、例えば、約0.15~約0.25 MPaで約15~約30分間とすることができる。
上記のように蒸煮にした大豆を、適当な容器、例えば、約50 mL容量の遠沈チューブに、約8~約12 gとなるように分注し、オートクレーブ滅菌して滅菌大豆とすることができる。オートクレーブ条件は、例えば、約120~約125℃で約15~約20分間とすることができる。
上記のようにして調製した滅菌大豆に、上記のように単離した菌株、及び対照となる親株(Namegata-2-2株)を、適当な量、例えば、約1白金耳接種し、蓋が完全には閉まらないように緩めた状態で恒温器中に入れ、所望の温度で所望の時間、例えば、約38~約42℃に加温して、約16~約20時間発酵させることによって、発酵組成物を得ることができる。
以上のようにして得られた上記発酵組成物を水分が蒸発しないよう蓋を閉め、所定の条件、例えば、温度を約18~約22℃とした部屋で一定期間、例えば、約15~約25日間保存し、納豆の外観、糸引き等を指標として所望の株を選抜することができる。納豆の外観の具体的な指標としては、例えば、チロシンの析出の有無等を挙げることができる。こうした外観、及び従来の納豆菌株を用いて製造した納豆よりも、顕著に強い糸引きを示す株を選抜することができる。
以上のようにして選抜した菌株は、16S rRNA遺伝子の解析及びシーケンス反応に供する。得られたデータについて、DNA Data Bank of Japan(DDBJ)の BLAST プログラムにより相同性解析を行い、バシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)に属する納豆菌であると同定することができる。
16SrDNA 遺伝子増幅のためのPCR反応は、所望のプライマー及び酵素を使用することができる。例えば、プライマーとして、後述する表3に示す12F(フォーワードプライマー、配列表の配列番号1)及び1540R(リバースプライマー、配列表の配列番号7)を使用し、PCR用酵素として、KOD -Plus- Ver.2(東洋紡)を使用してもよい。
PCR条件は、例えば、約95℃で約4~6分熱変性させた後に、以下のステップ(S1)約95℃で約30秒、(S2)約55℃で約30秒、(S3)約68℃で約1分30秒を1サイクルとして、(S1)~(S3)を30サイクル行うこととすることができ、これによって所望のPCR産物を得ることができる。
上記のようにして得られたPCR産物を精製し、シーケンス用試料を調製する。こうした精製には、例えば、NucleoSpin Extract II (MACHEREY-NAGEL)等の市販のキットを使用することができ、付属の説明書に従って精製し、精製PCR産物を得ることができる。以上のようにして得られた精製PCR産物をテンプレートとして、後述するシーケンス反応及びエタノール沈殿を行うことができる。
シーケンス反応には、例えば、Beckman coulter DTCS クイックスタートキット(BECKMAN COULTER)等の市販の試薬を使用することができ、操作はこれらに付属した説明書に従って行うことができる。上記シーケンス反応で使用するプライマーとしては、例えば、後述する表3に示す、12F(配列番号1)、520F(フォーワードプライマー、配列表の配列番号2)、1100F(フォーワードプライマー、配列表の配列番号3)、350R(リバースプライマー、配列表の配列番号4)、800R(リバースプライマー、配列表の配列番号5)、1100R(リバースプライマー、配列表の配列番号6)、及び1540R(配列番号7)等の細菌用ユニバーサルプライマーを使用することができる。
シーケンス反応は、例えば、以下のステップ、(s1)約96℃で約20秒、(s2)約50℃で約20秒、(s3)約60℃で約4分を1サイクルとして、(s1)~(s3)を所望のサイクル数、例えば、25~35サイクル行うこととすることができる。以上のようにした得られたシーケンス反応物は、低温で、例えば、-20℃以下で保存することができる。
次いで、以上のようにして選抜された菌株を培養して得られた発酵組成物が、どのような特性を有するものであるかを検討する。食品には、アレルギー反応の低減や免疫賦活等による生体防御、高血圧や糖尿病の予防等による疾病の予防と回復、神経系の調節、消化機能の調節、及び内分泌系の調節等による体調リズムの調節、過酸化脂質生成抑制等による老化抑制などの作用を有する機能性食品があるが、こうした食品としての使用の可能性を検討するためである。
例えば、後述するβディフェンシン遺伝子の発現亢進作用、及び種々の因子を介した免疫調節作用等を有するか否かを検討し、所望の菌株を選抜することができる。以上のようにして選抜された本発明の菌株は、菌体自体が直接的に、又は間接的に腸管に作用し、免疫調節を発揮するという性質を有するものである。
ここで、上記発酵組成物は、発酵食品であることが好ましく、こうした発酵食品としては、例えば、納豆、味噌、醤油等を挙げることができるが、納豆であることが好ましい。納豆としては、大豆、水及び納豆菌を用いて製造する糸引き納豆、糸引き納豆に麹菌と塩などを加え、発酵熟成させた五斗納豆、大豆を砕き、皮を取り除いた後に納豆菌をつけて発酵させるひきわり納豆等があるが特に限定されない。また、原料として使用する大豆についても、産地や種類は特に限定されず、種々のものを使用することができる。
上記発酵組成物が納豆である場合には、前記親株を使用して製造した納豆よりも硬い食感を有するものであることが好ましく、所定の条件で保存し、20日後まで上記の硬い食感が持続することが、食品として販売する場合の賞味期限との関係から好ましい。具体的には、例えば、上記硬い食感は、前記親株を使用して製造した納豆に対し、製造直後で約20%、保存後20日程度が経過したときに、約30%硬い食感であることが、賞味期限との関係から好ましい。
また、上記発酵組成物が納豆である場合には、上記親株を用いて製造した納豆に対して、製造直後で1.5倍以上高いγPGAを含有することが、糸引きの強い納豆となることから好ましい。また、前記親株を用いて製造した納豆に対して、製造後20日間保存時点でも、約1.5倍以上高いγPGAを含有することが、消費者の嗜好に一層合致することから好ましい。
ここで、本発明における「組成物」は、上述した菌体を含む培養物、上記培養物から菌体を除いた培養液の双方を含むものとする。また、上記培養物は、培養中に上記菌株が産生した各種化合物を含むものであることはいうまでもない。
本発明のXF36株は、腸管細胞によるβディフェンシン遺伝子の発現亢進作用を有する特性を有するものであることが、プロバイオティクスとして使用できることから好ましい。ここで、βディフェンシン遺伝子の発現亢進作用を指標としたのは、下記の理由による。ディフェンシンは、代表的な抗菌ペプチドであり、自然免疫における主要な作用因子の1つである。哺乳類のディフェンシンには3つのファミリー、αディフェンシン、βディフェンシン、及びθディフェンシンがあること、及び、18~45個のアミノ酸からなる塩基性ペプチドであり、分子内に3個のジスルフィド結合を有していることが知られている。
これらのうち、αディフェンシは、貪食細胞の細胞内顆粒に存在等して、貪食した細菌等の殺菌作用に貢献する、βディフェンシンは、αディフェンシンの採用に加えて、呼吸器、口腔、大腸、腎臓、眼、等の粘膜上皮や皮膚に広く存在し、感染刺激によって産生が誘導されるため、感染防御という面から発現量の増加が好ましい。なお、θディフェンシンは、旧世界ザルの単球だけが持つ動物界で唯一の環状ペプチドであり、ヒトには存在していない。このため、βディフェンシン遺伝子の発現亢進作用を有する作用を指標とすることが好ましい。
本発明のXF36株は、腸管細胞によるインターロイキン10(以下、「IL-10」と略すことがある。)産生促進作用及びTNFαの生産促進作用をさらに有することが、以下の理由から好ましい。
IL-10は、「抑制性活性」が中心という点が他のサイトカインと際立って異なるサイトカインであり、主として2型ヘルパーT細胞(Th2)より産生される。その生理活性は多岐にわたるが、単球系細胞に作用して炎症性サイトカインの産生等を抑制的に制御し、また、単球系細胞を介してリンパ球に対しても間接的に抑制作用を示すこと、及び活性化B細胞に対する免疫グロブリン産生誘導作用を有することから、免疫調節作用の指標として好ましい。
TNFαは腫瘍壊死作用を有する腫瘍壊死因子(TNF)であり、マクロファージ由来のサイトカインである。極めて多彩な生理活性を有し、IL-1、PGE2、コラゲナーゼ等の産生を介して発熱や種々の炎症反応を惹起するため、免疫調節作用の指標として好適に使用できるからである。
本発明の上記菌株は芽胞(胞子)を形成するが、それ以外にも種々の形態で使用することができ、その形態は特に限定されない。例えば、生菌体、芽胞(胞子)、死菌体、又は菌体処理物として、発酵を開始する際に、又は発酵によって得られた組成物(発酵組成物)を含む製品を製造する際に、使用することができる。
なお、本発明の菌株には、上述した性質を有する限り、組み換えられた遺伝子を含む菌株、又は遺伝子の欠失、置換並びに付加がされた菌株も含まれる。
ここで、上記菌体処理物は、例えば、上記菌体を常温で又は加温して行う乾燥、凍結乾燥、超音波破砕、有機溶剤その他の化学物質による処理、種々の溶媒で上記菌体から各種の成分を抽出する溶媒抽出、酵素処理その他の処理を行って得られる物をいう。
なお、上記菌株の培養物(組成物)についても、濃縮、冷蔵、冷凍、加温による乾燥、凍結乾燥、超音波破砕、界面活性剤処理、有機溶媒処理、溶媒抽出、溶菌酵素処理等を行った後に、種々の製品に配合することができる。また、上記菌株が生産した酵素等についても、上記と同様の処理を行うか、又は処理を行うことなく利用することができる。また、上記培養液についても、上記培養物から菌体を分離後、上記と同様の処理を行い、種々の製品に配合することができる。
本発明の別の態様は、上記XF36株を利用して得られる、発酵組成物である。ここで、「発酵組成物」とは、上記XF36株を用いた発酵によって得られた組成物をいい、例えば、発酵過程において生じる納豆等を挙げることができる。上記発酵組成物は、発酵過程にある中間生成物を含み、また、上記菌株、上記菌株が発酵中に生成したペプチド及び各種低分子化合物を含む。上記ペプチドは生理活性を有するものであってもよく、また、上記低分子化合物は、生理活性を誘導する性質を有するものであってもよい。
上記発酵組成物は、上述した免疫調節作用を有するものであることが、健康増進の観点から好ましい。そして、前記免疫調節作用は、感染防御作用、抗腫瘍作用及びアレルギー軽減作用からなる群から選ばれる少なくとも1つの作用を包含するものであることが、プロバイオティクスとして使用できるものであることから好ましい。
上記発酵組成物は、冷蔵、冷凍、加温による乾燥、凍結乾燥その他の種々の方法で処理を行い、種々の製品に配合することができる。例えば、上記組成物又は上記発酵組成物を、上述した処理を行うか、又は処理を行わずに原料に配合し、例えば、固形、半固形、液状の菓子類又は食品、各種飲料等に配合することができる。また、種々の調味料等に配合してもよい。
本発明の菌株はプロバイオティクスとしても機能するため、健康食品、サプリメント、特定保健用食品、機能性表示食品等として製造することもできる。また、例えば、粉末、顆粒、カプセル、錠剤その他の固形の製剤、液剤等の液状の製剤、ペースト、シロップ、ゼリー等の半固形製剤等の種々の医薬品としてもよい。なお、本発明のXF36株及びこれを利用した生産物は、ヒトだけでなく動物飼料と混合することもできる。
また、本発明のXF36株を市販の胞子化培地又は枯草菌胞子化培地等を用いて胞子化させることによって、納豆を製造するためのスターターとして使用することもできる。
以下に、実施例を用いて、本願発明をさらに詳細に説明する。なお、本願発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)納豆菌の育種及びXF36株の取得
(1)納豆菌の育種
以下に示す手順で本発明の納豆菌を育種した。なお、納豆菌を扱う作業は、X線照射を行う時を除き、クリーンベンチNS-8A(十慈フィールド(株))内で、オートクレーブ滅菌した器具を使用して行った。
親株として、茨城県産業技術イノベーションセンターが保有する、Bacillus subtilis Namegata-2-2を使用した。ストックをLB寒天培地に植菌して37℃で約18時間培養し、これを親株として用いた。この親株を、60mLのLB培地を入れた200mL容のバッフル付き三角フラスコに1白金耳接種し、37℃にて24時間、110rpmで振盪培養した。培養終了後、上記のフラスコ内の培養物から25mLを取り、室温にて9,700 xgで遠心分離して上清を除き、得られたペレットを回収して、500mLの滅菌水に懸濁し、1x107CFU/mL程度の菌体懸濁液とした。
(2)突然変異を誘発するX線照射量の検討
次いで、上記菌体懸濁液を、滅菌シャーレ(直径90mm)に20mLずつ注ぎ、厚さ12.5μmのポリイミド膜で蓋をして試料とした。軟X線発生装置OM-100R((株)オーミック)の照射台(回転台)に試料をセットした。照射電圧を80~100kV、照射電流を6~8mAとして、シャーレ内の試料全体に均一にX線が照射されるようにするために、照射中は前記回転台を回転させて続けた。照射量は、下記の表1に示すように、1,000~4,500Gyとなるように設定した。
引き続き、軟X線照射を終えたシャーレから、上記菌体懸濁液を回収し、シングルセルコロニーが形成されるように、リン酸緩衝生理食塩水で適宜希釈し、LB寒天培地に塗布した。このLB寒天培地を、37℃で24時間、恒温器中にて培養し、コロニー数を計数するとともに、コロニーの形状等の外観を観察し、照射するX線の線量を、3,500Gy~4,000Gyの範囲に設定した。
Figure 0007181563000002
前記LB寒天培地上に出現したコロニーの中から、親株が形成するコロニーと外観が相違しているコロニーをランダムにピックアップし、新たなLB寒天培地上に塗布してシングルセルコロニーが形成されるように、滅菌水で適宜希釈し、LB寒天培地に塗布した。このLB寒天培地を、37℃で24時間、恒温器中にて単離培養を行った。
(3)納豆菌株の選抜
上記単離培養によって得られた納豆菌株(563株)から有用株を選抜するために、以下の手順で納豆の試作を行った。
まず、大豆を3倍量の水(5℃以下)に16時間浸漬し、その後、よく水を切って0.18 MPaで20分間、蒸煮した。上記のように蒸煮にした大豆を50 mLの遠沈チューブに約10 gずつ分注し、121℃で15分間オートクレーブ滅菌し、滅菌大豆とした。この滅菌大豆に、上記のように単離した納豆菌株、及び対照となる親株(Namegata-2-2株)を、それぞれ1白金耳接種し、蓋が完全には閉まらないように緩めた状態で恒温器中に入れ、約40℃に加温して18時間発酵させ、発酵物を得た。
発酵終了後、水分が蒸発しないよう蓋を閉め、上記発酵物を20℃にエアコンを使用して保った部屋で一定期間(20日)保存し、チロシンの析出の有無を含めた納豆の外観、糸引き等を基準として有望株の選抜を行い、従来の納豆菌株よりも顕著に糸引きの強い株を選抜した(下記表2参照)。
Figure 0007181563000003
この菌株の16S rRNA遺伝子の解析を行った。菌株をTryptic Soy Broth中で一晩培養した菌体からDNAを抽出した。16SrDNA 遺伝子増幅のための PCR 反応では、プライマーとして、下記表3に示す12F(フォーワードプライマー、配列表の配列番号1)及び1540R(リバースプライマー、配列表の配列番号7)を使用した。なお、表3中、「F」はフォーワードプライマーを示し、「R」はリバースプライマーを示す。
また、PCR用酵素として、KOD -Plus- Ver.2(東洋紡)を使用し、95℃で5分熱変性後、(ステップ1)95℃で30秒、(ステップ2)55℃で30秒、(ステップ3)68℃で1分30秒を1サイクルとして、(ステップ1)~(ステップ3)を30サイクル行い、PCR産物を得た。
得られたPCR産物を、NucleoSpin Extract II (MACHEREY-NAGEL)を使用し、付属の説明書に従って精製し、精製PCR産物を得た。上記の精製PCR産物をテンプレートとして、シーケンス反応及びエタノール沈殿を行った。シーケンス用試薬として、Beckman coulter DTCS クイックスタートキット(BECKMAN COULTER)を使用し、操作は付属の説明書に従って行った。
上記プライマーのヌクレオチド配列を、下記表3に示す。12F(配列番号1)、520F(フォーワードプライマー、配列表の配列番号2)、1100F(フォーワードプライマー、配列表の配列番号3)、350R(リバースプライマー、配列表の配列番号4)、800R(リバースプライマー、配列表の配列番号5)、1100R(リバースプライマー、配列表の配列番号6)、及び1540R(配列番号7)を使用した。シーケンス反応は、(ステップ1)96℃で20秒、(ステップ2)50℃で20秒、(ステップ3)60℃で4分を1サイクルとして、(ステップ1)~(ステップ3)を30サイクル行い、得られたシーケンス反応物を4℃で保存した。
上記シーケンス反応物のヌクレオチド配列の決定はCEQ8000(BECKMAN COULTER)を使用して行った。得られた配列を、DNA Data Bank of Japan(DDBJ)の BLAST プログラムにより相同性解析により同定した。この結果からバシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)に属する納豆菌であることを確認した。
以上のようにして得られた本発明の納豆菌株を、バチルス・サブチリス IBARAKI XF-36(Bacillus subtilis IBARAKI XF-36)と命名し、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託した(受託番号NITE P-03366、以下、「XF-36株」と略すことがある。)。
Figure 0007181563000004
(実施例2)γPGA産生量の評価
上記実施例1で得られたXF-36株を用い、上記実施例1(2)と同様の手順及び発酵条件にて50mLの遠沈チューブを用いて納豆を試作し、γPGA(糸引き成分)について評価を行った。評価用の試料は、発酵終了直後、10℃の恒温器中にて10日間保存、又は20日間保存した上記納豆とした。なお、上記試料数は、各保存期間において3とし、結果を平均値±標準偏差として算出した。また、対照として、親株であるNamegata-2-2株を用いて同様に調製した納豆を使用した。
上記の保存期間の経過後、各試料の湿重量を測定し、-60℃以下の低温冷凍庫にて凍結させた後、凍結乾燥機FD-1型(チャンバーDRC-1N)(東京理化器械(株))を用いて凍結乾燥させた。次いでワーリングブレンダーにて破砕して粉末とした。凍結乾燥前後の試料の湿重量と凍結乾燥後の重量から各試料中の水分量を算出し、分析後の湿重量当たりのγPGA量の算出に用いた。上記粉末約1gを秤量し、15mLのHPLCグレードの水を加え、γPGAを抽出した。この抽出操作を3回繰り返し、完全に抽出した後、HPLC水でメスアップし、γPGAを含む粘性物質の画分50 mLを得た。この粗画分10 mLに1mLの3 M酢酸ナトリウム水溶液と2.5倍容のエタノールとを加えて、γPGAを含む粗精製画分を回収した。
引き続き、この粗精製画分から10%トリクロロ酢酸に溶解し25mLにメスアップした。生じた沈殿物を4℃条件下、9,700 xgで10分間遠心分離して夾雑物を除去し精製画分とした。この精製画分を2つに分け、一方についてはこの精製画分1mLと同量の6M塩酸を分解管に注ぎ、窒素置換しながら脱気、密封した後、110℃で4時間加水分解を行った。他方については、γPGA以外の納豆成分に起因するグルタミン酸の量(バックグラウンド)を定量するために、塩酸による加水分解処理を行わずにHPLCに供した。結果を図1に示す。
HPLC条件
装置 :Prominence series ((株)島津製作所)
カラム :Shim-pack Amino-Na (分析カラム;(株)島津製作所)
Shim-pack ISC-30/S0504 Na (ガードカラム;(株)島津製作所)
溶離液 :Na型アミノ酸分析移動相キット(AA-MA(Na)、AA-MB(Na)、
AA-MC(Na)、(株)島津製作所))
反応液 :アミノ酸分析反応液キット(AA-RA、AA-RB、(株)島津製作所)
温度 :60℃
測定(蛍光):励起波長;350nm、検出波長;450nm
図1に示すように、通常使用されているNamagata-2-2株を使用して同一条件で製造した納豆と比較すると、XF36株を使用した場合には、γPGA含量が、製造直後及び20日間保存後のいずれでも、約1.5倍以上多いことが確認された。
(実施例3)納豆の硬度の評価
納豆の硬さの測定には、テンシプレッサーTTP-50BXII((有)タケトモ電機)を使用し、圧縮した際に掛かる力を測定して評価した。
測定試料は、XF36株又はNamegata-2-2株(対照)及び50mL遠沈チューブを用いて、上記の実施例1と同様に試作し、10℃で20日間保存した納豆を用いた。納豆は温度の上昇につれて硬度が低下する傾向があるため、チューブを氷上に保持して測定中の試料の温度を氷温近くに維持した。
測定は、直径25mmの円形プランジャーを用い、ステージの移動速度を1mm/secとし、圧縮率を70%と設定して行った。各試料から1粒ずつ合計30粒の豆を取って測定し、最高圧力の平均値及び標準偏差を算出して比較した。その結果、XF36株では548±63(gw)、Namegata-2-2株(親株)では427±39(gw)となり、両者の硬度には有意差があること(P<0.05)、及びXF36株を用いると親株を用いた場合と比べて有意に硬い食感を有する納豆を製造できることが確認された。
(実施例4)官能評価
(1)試作品の作製
XF36株とNamegata-2-2株(対照)を用いて以下の手順で納豆を試作した。製造後5日以内と、家庭用冷蔵庫にて保存期間が20日間経過した後で、それぞれの時点で対照品に対し実際に食べた際に硬さや糸引きの違いが感じられるのか否かについて、官能評価を実施した。
納豆の試作は、以下の手順で行った。まず、原料大豆として国産小粒大豆(2kg)を使用し、水で洗浄した後に、3倍容の水に4℃で24時間程度浸漬させた。ついで、浸漬を終了した上記の大豆を、加圧釜(ボイラで発生させた蒸気を使用する加熱装置)に移し、0.18 MPaで25分間、蒸煮にした。
蒸煮の終了後、蒸煮にした大豆が熱いうちに、滅菌水に懸濁した納豆菌の芽胞を104個(CFU/g)程度になるように添加して、発酵用原料とした。引き続き、上記発酵用原料をPSP容器に40~45g程度/容器となるように盛り込み、小孔の空いた皮膜を上記発酵用原料の上に載せ、上記PSP容器の周囲に程よく圧着させた。ついで、PSP容器のふたを閉じ、発酵用コンテナに上記PSP容器を2段に重ねて入れ、恒温恒湿器(納豆製造工場で使用する醗酵室の代わりとなる)中にセットした。上記恒温恒湿器の温度を39℃、湿度を98%に設定し、18時間発酵させた。その後、20℃、相対湿度50%にて2時間静置し、粗熱を取った後、官能検査に使用するまで家庭用冷蔵庫で冷蔵した。
評価する納豆についての情報を与えることなく、10代から60代以上の健康な男女に2種類の納豆を試食して評価してもらい、結果を比較した。評価は、製造後5日以内の試作品(評価者11名)及び20日間経過後のもの(評価者9名)で行った。評価基準を下記表4に示す。
Figure 0007181563000005
上記の対照基準に従って、対照をNamegata-2-2で製造した納豆(全ての評価項目において3点(普通))とし、たれや辛子等を添加しない状態で食べ比べ、本発明の納豆菌(IBARAKI XF-36)で製造した納豆と、上記表4に示す項目について5段階で評価した(5点満点)。このため、数字が小さいほど硬く、数字が大きいほど糸引きが強いという評価になる。製造後5日以内と20日時点の評価を平均した結果を下記表5に示した。
Figure 0007181563000006
上記表5に示すように、XF36株を用いて製造した納豆は、製造後5日以内の硬さが2.5点、糸引きが4.3点となった。また、20日間保存した場合には、硬さが2.1点、糸引きが4.0点となった。この結果、XF36株を用いて製造した納豆は、対照と比較する製造当初から硬いと感じられていること、及び製造後20日を経過すると対象と比較してより硬いと評価されていることが明らかになった。このことから、時間が経過するほど軟化しにくいというXF36株を用いて製造した納豆の特徴が顕著に現れていると思われた。また、糸引きについても、対照と比較すると、いずれの時点でも強いと評価されていることが明らかになった。
以上から、XF36株を使用して製造した納豆の方が、対照株を使用して製造した納豆よりも、いずれの時点でも硬く糸引きが強いと評価者に認識されていることが示された。
総合評価も、対照と同等かそれを以上となっており、実用性が高いことが確認された。このため、XF36株は、対照の納豆菌よりも長期保存に耐える納豆の製造に向いていると考えられた。
以上のように、新規なバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)に属する、本発明の納豆菌株(Bacillus subtilis IBARAKI XF-36)は、納豆の糸引き成分であるγPGAを主体とする粘性物質を、従来の納豆菌株よりも顕著に多く生産すること、すなわち、粘りが強い納豆を製造できることが確認された。
また、従来の納豆菌株を使用するよりも製造した納豆が硬く仕上がること、そして、この硬さは少なくとも製造後20日間程維持されるため、高粘性かつ、従来よりも賞味期限を長く設定可能な納豆を製造するスターター株としての利用が期待できることが示された。
(実施例5)免疫調節機能の評価
XF36株が、腸管細胞への作用又は免疫調節機能を有するか否か等について、以下のような評価を行った。
(1)腸管細胞の生体防御機能の評価
腸管細胞の生体防御機能の有無を、βディフェンシン合成系の遺伝子発現の亢進を指標として評価した。ヒト由来腸管上皮細胞株であるHT29細胞を用い、親株であるNamegata-2-2 株、優れた免疫調節作用が知られている乳酸菌LGG株を比較対照として、XF36株を用いた場合のβディフェンシン合成系の遺伝子発現を確認した。βディフェンシンは抗菌成分として知られる化合物である。
XF36株(108 cfu/mL)及びNamegata-2-2株(108 cfu/mL)をそれぞれ、LB培地に植菌し、37℃にて24時間、120rpmで振盪培養した。次いで、これらの培養物を、XF36株の培養物は1 mL(108 cfu/mL)、Namegata-2-2株の培養物は1 mL(108 cfu/mL)、芽胞形成液体培地(Schaeffer's sporulation培地)に添加し、37℃にて48時間、120rpmで振盪培養した。乳酸菌LGG株(109 cfu/mL)をMRS液体培地に植菌し、37℃にて24時間静置培養した。
以上のように培養して得られた各培養液を、遠心分離(8,000 rpm、10℃)に供して菌体を回収し、新たな遠沈チューブに移した。ここに、滅菌水を適量加えて菌体を洗浄し、遠心分離(8,000 rpm、10℃)して洗浄済の菌体を回収し、得られた菌体を凍結乾燥して、-20℃のフリーザーにて使用時まで保存した。
上記のようにして凍結保存した凍結乾燥菌体を、0.15 MのNaCl含む0.01 Mのリン酸緩衝生理食塩水(以下、「PBS」と略すことがある、pH 7.2)に懸濁し、以下の実験に供した。HT29細胞を、1%ペニシリン・ストレプトマイシン溶液を含む10%ウシ胎児血清添加DMEM培地に懸濁し、細胞浮遊液を得た。得られた上記細胞浮遊液に、0.4%トリパンブルーを加え、ビルケルチュルク血球計算盤を用いて生細胞数を計測し、生存率が95%以上であることを確認した。この細胞浮遊液を、6ウェル平底マイクロプレートに、5×106個/ウェルになるように加え、PBSに懸濁した上記の各菌体試料を最終濃度100μg/mLとなるよう播種して、37℃、5% CO2条件下にて3時間培養した。
培養終了後、各ウェルから細胞を回収し、βディフェンシン遺伝子発現レベルをリアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)により調べた。TRIZOL Reagent(Thermo Fisher社製造)を用いて、添付の説明書に従い、上記の細胞から総RNAを抽出した。その後、PrimeScrip RT Reagent Kit with gDNA Eraser(タカラバイオ(株))を用いてcDNAを合成した。遺伝子発現レベルの補正のために、グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(以下、「GAPDH」と略すことがある。)を使用した。
各遺伝子の発現用のプライマーを下記表6に示す。表中の「F」及び「R」は、上記表3と同じである。これらのプライマーを使用し、PowerUp SYBR Green Master Mix (Thermo Fisher)を用いて、95°Cで5秒間と60°Cで30秒間の反応を1セットとして、40サイクル繰り返し、リアルタイムPCRシステム(Thermo Fisher)を用いてβディフェンシンの発現レベルを解析した。
Figure 0007181563000007
3回の測定を行い、得られた結果を平均し、有意差検定を行った。Tukeyの多重比較検定により全ての群間比較を行い、危険率5%未満を統計的有意差ありと判定した。統計解析は、エクセル統計2018((株)会情報サービス)により行った。結果を図2に示す。
図2に示す通り、βディフェンシン遺伝子の発現レベルは、細胞の添加なしの場合を1としたときに、乳酸菌LGG株を添加すると約1倍、Namegata-2-2株を添加すると約1.7倍であった。これに対し、XF36株を添加すると約4.8倍と、発現レベルは有意に高くなっていた。また、Namegata-2-2株の添加の場合と比べたときも、XF36株の添加の場合は約2.8倍と高くなっていた(P<0.05))。以上から、XF36株は、腸管上皮細胞由来の細胞株によるβディフェンシンの遺伝子発現を、顕著に亢進することが明らかになった。
(2)免疫調節作用の評価
免疫調節作用は、マウス由来マクロファージ細胞株であるJ774.1細胞を使用して評価した。免疫応答の指標としては、マクロファージ由来の過剰免疫を抑制する作用を発揮するインターロイキン-10、及び抗腫瘍作用などの免疫向上に寄与するTNFαを選択した。
J774.1細胞株を、1%ペニシリン・ストレプトマイシン溶液を含む10%ウシ胎児血清添加RPM1-1640培地に懸濁し、細胞浮遊液を得た。得られた細胞浮遊液を、上記実施例5と同様にして生細胞数を計測し、生存率が95%以上であることを確認した。
48ウェル平底マイクロプレートに、上記の細胞浮遊液(終濃度5x105個/mL)、及び上記実施例5で凍結乾燥した各菌体をPBSに懸濁し、終濃度が100μg/mLとなるよう播種し、37℃にて48時間、5%CO2条件下で培養した。上記各ウェル中の細胞培養上清中のIL-10濃度及びTNFα濃度は、市販のELISAキット(BioLegend社製)を用い、96ウェルプレート中にて添付のマニュアルに従って行った。反応終了後、マイクロプレートリーダーiMARK(Bio-Rad Laboratories社)を用いて、450nmの吸光度を測定した。3回の測定を行い、上記実施例5同様の統計処理を行った。結果を図3(A)に示す。
図3(A)に示すように、乳酸菌LGG株またはNamegata-2-2株を添加した場合には、IL-10は極めて低い濃度でしか産生されなかった。これに対し、XF36株を添加した場合には、それそれの産生量と対比すると、乳酸菌LGG添加の場合の産生量に対しては約375倍、Namegata-2-2株添加の場合の産生量の約150倍に向上することが確認された(P<0.05)。
図3(B)に示すように、TNFαの産生量は、乳酸菌LCG株またはNamegata-2-2株を添加した場合と比較して、それぞれ約1.15倍または約1.12倍に向上することが確認された(P<0.05)。
以上のように、XF36株は高い免疫調節効果を示すことが確認された。
また、本納豆菌株は、IL-10及びTNFαといったサイトカインの産生量を亢進させることから、既存の納豆菌株よりも高い免疫調節機能を発揮することが確認された。
本発明は、微生物を用いた発酵製品の製造、及びプロバイオティクスの技術分野において有用である。
配列番号1:シーケンス用フォーワードプライマー12Fのヌクレオチド配列
配列番号2:シーケンス用フォーワードプライマー520Fのヌクレオチド酸配列
配列番号3:シーケンス用フォーワードプライマー1100Fのヌクレオチド酸配列
配列番号4:シーケンス用リバースプライマー350Rのヌクレオチド酸配列
配列番号5:シーケンス用リバースプライマー800Rのヌクレオチド酸配列
配列番号6:シーケンス用リバースプライマー1100Rのヌクレオチド酸配列
配列番号7:シーケンス用リバースプライマー1540Rのヌクレオチド酸配列
配列番号8:βディフェンシンのPCR用フォーワードプライマーのヌクレオチド酸配列
配列番号9:βディフェンシンのPCR用リバースプライマーのヌクレオチド酸配列
配列番号10:GAPDH遺伝子のPCR用フォーワードプライマーのヌクレオチド酸配列
配列番号11:GAPDH遺伝子のPCR用リバースプライマーのヌクレオチド酸配列

Claims (14)

  1. 独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンター 受託番号NITE P-0336として寄託されている、新規納豆菌(Bacillus natto)IBARAKI XF36株。
  2. 前記菌株は、Namegata-2-2株を親株としてX線を照射し、変異を誘発して得られたものである、ことを特徴とする請求項1に記載のIBARAKI XF36株。
  3. 腸管細胞によるβディフェンシン遺伝子の発現亢進作用を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のIBARAKI XF36株。
  4. 腸管細胞によるインターロイキン10産生促進作用及びTNFαの生産促進作用を、さらに有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のIBARAKI XF36株。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の菌株を利用して得られる、発酵組成物。
  6. 免疫調節作用を有することを特徴とする、請求項5に記載の発酵組成物。
  7. 前記免疫調節作用は、感染防御作用、抗腫瘍作用及びアレルギー軽減作用からなる群から選ばれる少なくとも1つの作用を包含することを特徴とする、請求項6に記載の発酵組成物。
  8. 前記発酵組成物は納豆である、ことを特徴とする請求項5~7のいずれかに記載の発酵組成物。
  9. 前記親株を使用して製造した納豆よりも硬い食感を有し、保存後20日まで前記硬い食感が持続する請求項8に発酵組成物。
  10. 前記硬い食感は、前記親株を使用して製造した納豆に対し、製造直後で20%、保存後20日で30%硬い食感である、請求項9に記載の発酵組成物。
  11. 前記発酵組成物は、前記親株を用いて製造した納豆に対して、製造直後で少なくとも1.5倍高いポリグルタミン酸を含有する、ことを特徴とする請求項8に記載の発酵組成物。
  12. 前記発酵組成物は、前記親株を用いて製造した納豆に対して、製造後20日間保存時点で、少なくとも1.5倍高い中のポリグルタミン酸を含有する、ことを特徴とする請求項8又は11に記載の発酵組成物。
  13. 請求項1~4のいずれかに記載された菌株を培養して得られた組成物。
  14. 前記組成物は、前記菌株を含む培養物及び前記培養物から前記菌株を除いた培養液を含む、ことを特徴とする請求項13に記載の組成物。
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