JP4720478B2 - モデリング装置、領域抽出装置およびプログラム - Google Patents

モデリング装置、領域抽出装置およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、モデルを生成するモデリング装置およびそれに関連する技術に関する。
近年、医療分野において、X線CT(Computed Tomography)装置或いはMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等によって撮影された生体内の3次元画像が広く用いられている。これにより、体内の臓器等の情報が視覚的に把握可能となり診断精度の向上が期待できる。しかし、その一方で、診断に用いられる3次元画像は数十枚〜数百枚のスライス画像から構成されているため、このような膨大な情報量の中から診断に必要な情報のみを得ることは読影医師にとって大きな負担となっている。
そこで、計算機を援用した定量的或いは自動的診断の要望が強まり、計算機による診断支援(CAD:Computer−aided diagnosis)システムの研究が盛んに行われている(例えば、非特許文献1〜3参照)。
計算機による診断支援を行うには、診断に必要な情報、つまり臓器領域又は形状等を正確に抽出することが重要な課題となる。
臓器の領域抽出手法の1つとして、予め用意した標準モデルをエネルギー最小化原理に基づいて変形させ、目的の輪郭を見つけるモデルフィッテイング(Model Fitting)手法が提案されている。
この手法によれば、標準モデルという予め特徴を持たせたモデルを変形させて該当領域を抽出するため、高精度の抽出処理が可能となる。
ツァガーン・バイガルマ、清水昭伸、小畑秀文、宮川国久、「3次元可変形状モデルによる腹部CT像からの腎臓領域抽出法の開発」、電子情報通信学会論文誌、D-II、2002年1月、Vol.J85-D-II、No.1、pp.140-148
しかしながら、上記のモデルフィッティング手法(特許文献1参照)においても、十分な精度を得られないことがある。具体的には、上記のモデルフィッティング手法においては、標準モデルにおける複数の点と計測データにおける対応点との対応関係を目視等によって求め、標準モデルにおける複数の点と計測データにおける対応点との間の距離を近づけるようにモデルを変形させることなどが行われるが、対応点の求め方の巧拙等によっては十分な精度を得られないことがある。
また、このような問題は、上記のような領域抽出処理のためのモデリング処理だけでなく、対象物のモデルを作成するモデリング処理などの他のモデリング処理においても一般的に生じる問題である。
そこで、この発明の課題は、より正確なモデリング処理を実現することが可能な技術を提供することにある。
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、計測データ内の対象物のモデルを生成するモデリング装置であって、前記対象物に関する標準モデルを取得する取得手段と、記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成するモデル変形手段とを備え、前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点における、前記対象物の標準的な階調値を有し、前記モデル変形手段は、前記標準モデルにおける代表点の階調値と前記計測データにおける複数の点の階調値との一致度合いに基づいて、前記代表点に対応する対応点を前記計測データの中から探索する探索手段と、前記代表点と当該代表点に対応する前記対応点との対応関係を利用した所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形して、前記対象物のモデルを生成する生成手段とを有することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明に係るモデリング装置において、前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点と前記計測データにおける対応点との距離に関する要素を有することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係るモデリング装置において、前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点の階調値と前記計測データにおいて当該代表点の位置に存在する点の階調値とが一致するように前記標準モデルが変形されるときに最適化される要素を有することを特徴とする。
請求項4の発明は、計測データ内の対象物のモデルを生成するモデリング装置であって、前記対象物に関する標準モデルを取得する取得手段と、記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成するモデル変形手段とを備え、前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点付近における、前記対象物の標準的な階調値分布を有し、前記モデル変形手段は、前記標準モデルにおける代表点付近での階調値分布と前記計測データにおける各点付近での階調値分布との一致度合いに基づいて、前記代表点に対応する対応点を前記計測データの中から探索する探索手段と、前記代表点と当該代表点に対応する前記対応点との対応関係を利用した所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成する生成手段とを有することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4の発明に係るモデリング装置において、前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点と前記計測データにおける対応点との距離に関する要素を有することを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項4または請求項5の発明に係るモデリング装置において、前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点付近の階調値分布と前記計測データにおいて当該代表点が存在する位置付近の階調値分布とが一致するように前記標準モデルが変形されるときに最適化される要素を有することを特徴とする。
請求項7の発明は、計測データ内の対象物のモデルを生成するモデリング装置であって、前記対象物に関する標準モデルを取得する取得手段と、所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成するモデル変形手段とを備え、前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点における、前記対象物の標準的な階調値を有し、前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点の階調値と前記計測データにおいて当該代表点の位置に存在する点の階調値とが一致するように前記標準モデルが変形されるときに最適化される要素を有することを特徴とする。
請求項8の発明は、計測データ内の対象物のモデルを生成するモデリング装置であって、前記対象物に関する標準モデルを取得する取得手段と、所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成するモデル変形手段とを備え、前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点付近における、前記対象物の標準的な階調値分布を有し、前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点付近の階調値分布と前記計測データにおいて当該代表点が存在する位置付近の階調値分布とが一致するように前記標準モデルが変形されるときに最適化される要素を有することを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項8の発明に係るモデリング装置において、前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点付近での前記標準モデルの所定方向における階調値分布と前記計測データにおいて当該代表点が存在する位置付近での前記計測データの所定方向における階調値分布とが一致するように前記標準モデルが変形されるときに最適化される要素を有することを特徴とする。
請求項10の発明は、計測データから対象物の領域を抽出する領域抽出装置であって、前記対象物に関する標準モデルを取得する取得手段と、記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成するモデル変形手段と、前記対象物のモデルの存在位置に対応する領域を前記対象物の領域として前記計測データから抽出する抽出手段とを備え、前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点における、前記対象物の標準的な階調値を有し、前記モデル変形手段は、前記標準モデルにおける代表点の階調値と前記計測データにおける複数の点の階調値との一致度合いに基づいて、前記代表点に対応する対応点を前記計測データの中から探索する探索手段と、前記代表点と当該代表点に対応する前記対応点との対応関係を利用した所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形して、前記対象物のモデルを生成する生成手段とを有することを特徴とする。
請求項11の発明は、計測データから対象物の領域を抽出する領域抽出装置であって、前記対象物に関する標準モデルを取得する取得手段と、記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成するモデル変形手段と、前記対象物のモデルの存在位置に対応する領域を前記対象物の領域として前記計測データから抽出する抽出手段とを備え、前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点付近における、前記対象物の標準的な階調値分布を有し、前記モデル変形手段は、前記標準モデルにおける代表点付近での階調値分布と前記計測データにおける各点付近での階調値分布との一致度合いに基づいて、前記代表点に対応する対応点を前記計測データの中から探索する探索手段と、前記代表点と当該代表点に対応する前記対応点との対応関係を利用した所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成する生成手段とを有することを特徴とする。
請求項12の発明は、計測データから対象物の領域を抽出する領域抽出装置であって、前記対象物に関する標準モデルを取得する取得手段と、所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形させるモデル変形手段と、変形後の前記標準モデルの存在位置に対応する領域を前記対象物の領域として前記計測データから抽出する抽出手段とを備え、前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点における、前記対象物の標準的な階調値を有し、前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点の階調値と前記計測データにおいて当該代表点の位置に存在する点の階調値とが一致するように前記標準モデルが変形されるときに最適化される要素を有することを特徴とする。
請求項13の発明は、計測データから対象物の領域を抽出する領域抽出装置であって、前記対象物に関する標準モデルを取得する取得手段と、所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形させるモデル変形手段と、変形後の前記標準モデルの存在位置に対応する領域を前記対象物の領域として前記計測データから抽出する抽出手段とを備え、前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点付近における、前記対象物の標準的な階調値分布を有し、前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点付近の階調値分布と前記計測データにおいて当該代表点が存在する位置付近の階調値分布とが一致するように前記標準モデルが変形されるときに最適化される要素を有することを特徴とする。
請求項14の発明は、プログラムであって、コンピュータに、a)計測データ内の対象物に関する標準モデルを取得する工程と、b)前記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成する工程とを実行させ、前記a)工程において取得される前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点における、前記対象物の標準的な階調値を有し、前記b)工程では、b−1)前記標準モデルにおける代表点の階調値と前記計測データにおける複数の点の階調値との一致度合いに基づいて、前記代表点に対応する対応点を前記計測データの中から探索する工程と、b−2)前記代表点と当該代表点に対応する前記対応点との対応関係を利用した所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形して、前記対象物のモデルを生成する工程とを実行させる。
請求項15の発明は、プログラムであって、コンピュータに、a)計測データ内の対象物に関する標準モデルを取得する工程と、b)前記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成する工程とを実行させ、前記a)工程において取得される前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点付近における、前記対象物の標準的な階調値分布を有し、前記b)工程では、b−1)前記標準モデルにおける代表点付近での階調値分布と前記計測データにおける各点付近での階調値分布との一致度合いに基づいて、前記代表点に対応する対応点を前記計測データの中から探索する工程と、b−2)前記代表点と当該代表点に対応する前記対応点との対応関係を利用した所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成する工程とを実行させる。
請求項16の発明は、プログラムであって、コンピュータに、a)計測データ内の対象物に関する標準モデルを取得する工程と、b)所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成する工程とを実行させ、前記a)工程において取得される前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点における、前記対象物の標準的な階調値を有し、前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点の階調値と計測データにおいて当該代表点の位置に存在する点の階調値とが一致するように前記標準モデルが変形されるときに最適化される要素を有することを特徴とする。
請求項17の発明は、プログラムであって、コンピュータに、a)計測データ内の対象物に関する標準モデルを取得する手順と、b)所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成する工程とを実行させ、前記a)工程において取得される前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点付近における、前記対象物の標準的な階調値分布を有し、前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点付近の階調値分布と計測データにおいて当該代表点が存在する位置付近の階調値分布とが一致するように前記標準モデルが変形されるときに最適化される要素を有することを特徴とする。
請求項1ないし請求項3ならびに請求項10および請求項14に記載の発明によれば、標準モデルにおける代表点の階調値と計測データにおける複数の点の階調値との一致度合いに基づいて、代表点に対応する対応点が計測データの中から探索され、代表点と対応点との対応関係を利用した所定の評価関数を最適化するように標準モデルが変形されて対象物のモデルが生成されるので、より正確なモデリング処理を実現することが可能である。
請求項4ないし請求項6ならびに請求項11および請求項15に記載の発明によれば、標準モデルにおける代表点付近での階調値分布と計測データにおける各点付近での階調値分布との一致度合いに基づいて、代表点に対応する対応点が計測データの中から探索され、代表点と対応点との対応関係を利用した所定の評価関数を最適化するように標準モデルが変形されて対象物のモデルが生成されるので、より正確なモデリング処理を実現することが可能である。
請求項7、請求項12および請求項16に記載の発明によれば、標準モデルにおける代表点の階調値を考慮した評価関数を最適化するように標準モデルを変形させて、対象物のモデルが生成されるので、より正確なモデリング処理を実現することが可能である。
請求項8、請求項9、請求項13および請求項17に記載の発明によれば、標準モデルにおける代表点付近の階調値分布を考慮した評価関数を最適化するように標準モデルを変形させて、対象物のモデルが生成されるので、より正確なモデリング処理を実現することが可能である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<1.第1実施形態>
<1−1.構成>
図1は、本発明の実施形態に係る領域抽出装置1の概要を示す図である。領域抽出装置1は、計測データ(詳細には3次元計測データ(立体計測データとも称する))から所望の対象物の領域(詳細には立体領域)を抽出する装置である。なお、この領域抽出装置1は、モデルフィッティング手法を用いて対象物モデルの生成処理を行うことから、「モデリング装置」とも称せられる。
図1に示すように領域抽出装置1は、パーソナルコンピュータ(以下、単に「パソコン」と称する)2と、モニター3と、装着部5と、操作部4とを備えている。
パソコン2は、制御部20、入出力I/F21、及び記憶部22を備えている。
入出力I/F21は、モニター3、操作部4および装着部5とパソコン2との相互間でデータの送受信を行うためのインターフェイス(I/F)であり、制御部20との間でデータの送受信を行う。
記憶部22は、例えばハードディスクなどで構成されており、後述の各種処理を実行するためのソフトウェアプログラム(以下、単に「プログラム」と称する)PG等を格納している。
制御部20は、主にCPU、ROM20a及びRAM20b等を有し、パソコン2の各部を統括制御する部位である。
モニター3は、例えば、CRTで構成され、制御部20で生成される表示用画像を可視的に出力する。
操作部4は、キーボード及びマウス等から構成され、使用者(ユーザ)に各種操作にしたがって各種信号を入出力I/F21に送信する。
また、装着部5は、メモリカード51等の記憶媒体を着脱自在に装着することができる。そして、装着部5に装着されたメモリカード51に格納される各種データ又はプログラム等を入出力I/F21を介して制御部20或いは記憶部22に取り込むことができる。
次に、領域抽出装置1の各種機能について説明する。
図2は、領域抽出装置1の各種機能を示すブロック図である。
これらの各種機能は、制御部20内のCPU等の各種ハードウェアを用いて所定のプログラムPGを実行することによって実現される。
図2に示されるように、領域抽出装置1は、モデル格納部11と計測データ入力部12と暫定領域抽出部13と初期位置決定部14とモデルフィッティング部15と領域抽出部16と抽出領域出力部17とを備え、入力される3次元画像(3次元計測データ)から使用者(ユーザ)等が抽出したい対象物(以下、「抽出対象領域」とも称する)を抽出し、出力することができる。
モデル格納部11は、モデルフィッティング処理に用いられる「標準モデル」(図10,図12等参照)を格納している。領域抽出装置1は、モデル格納部11から読み出すことによって「標準モデル」を取得することができる。ここで、「標準モデル」は、後述のモデルフィッティング手法において用いられるモデルであり、抽出対象領域(例えば臓器)の標準的なモデルを意味する。
計測データ入力部12は、CT装置あるいはMRI装置などによって取得された3次元計測データ(ボリュームデータ)を入力する機能を有している。
暫定領域抽出部13は、モデルフィッティング手法とは異なる手法を用いて、抽出対象物体(領域)を暫定的に抽出する機能を有している。
初期位置決定部14は、暫定的に抽出された抽出対象物体(領域)を用いて、標準モデルの初期位置を決定する機能を有している。
モデルフィッティング部15は、モデルフィッティング手法を用いて所定の評価関数(後述する総合エネルギーUe)を最適化するように標準モデルを計測データ内において変形させ、対象物のモデルを生成する機能を有している。
領域抽出部16は、モデルフィッティング部15によって生成されたモデルを用いて計測データから対象物の領域を抽出する機能を有している。
抽出領域出力部17は、抽出した対象物体をモニター3に表示出力する機能を有している。
<1−2.動作>
<動作概要>
この実施形態では、X線CT装置によって取得される3次元画像(ボリュームデータとも称する)に基づくモデルフィッティング処理、および当該モデルフィッティング処理を用いた領域抽出処理等について説明する。ただし、本発明は、これに限定されず、他の計測データ(例えば、MRI装置によって取得される3次元画像等)に基づくモデルフィッティング処理および当該モデルフィッティング処理を用いた領域抽出処理等にも適用することができる。
図3は、X線CT装置によって取得される3次元画像TDP1を示す図である。
図3に示されるように、3次元画像TDP1は、物体(人体)を輪切りにした断面を示す複数(例えば、数十枚から数百枚)のスライス画像(断層画像)SDで構成されている。各スライス画像SDは、各点(各画素)でのX線の吸収量(CT値)を濃淡表示して可視化した画像である。図3においては、3次元画像TDP1を構成する複数のスライス画像SDのうちの所定位置におけるスライス画像PMも併せて示されている。
図4は、領域抽出装置1の全体動作を示すフローチャートである。
領域抽出装置1は、図4に示される各処理(ステップS1〜S4)を実行することによって、入力画像(3次元画像)から使用者(ユーザ)が指定した対象物を抽出する。なお、抽出対象物の指定は、ステップS1の処理開始前に使用者(ユーザ)によって予め行われる。指定手法としては、例えば、記憶部22に予めデータベース化されて保存されている項目一覧(例えば各種の臓器等が列挙された項目一覧)から、操作部(例えばマウス)4等の操作により使用者(ユーザ)が所望の項目を選択する態様等を採用することができる。以下では、抽出対象物体して所定の臓器が指定されている場合を想定し、図4の各処理について説明する。
まず、ステップS1では、領域抽出装置1に入力される3次元画像から使用者(ユーザ)の指定した物体(臓器)が暫定的に抽出される。後述するように、このステップS1では、モデルフィッティング手法とは異なる手法を用いて抽出対象領域が抽出される。
次に、ステップS2において、ステップS1で暫定的に抽出された物体(臓器)を用いて、標準モデルの初期位置(標準モデルを計測データ中に配置する際の初期位置)が決定され、標準モデルの配置が行われる。ステップS1の暫定抽出処理によれば、この初期位置を正確に求めることが可能になる。
さらに、ステップS3では、初期位置に配置された標準モデルがモデルフィッティング手法によって変形され、対象物のモデルが生成される。そして、変形後の標準モデルの位置に存在する領域(変形後の標準モデルの存在位置に対応する領域)が、対象物の領域として、計測データから抽出される。
ステップS4では、作成された個別モデルが抽出対象物体としてモニター3等に出力される。
このように、最終的にはモデルフィッティング手法を用いて抽出対象物体が抽出される(ステップS3)。なお、ここでは、モデルフィッティング手法における標準モデルの初期位置を決定するに際して、モデルフィッティング手法とは異なる手法(領域拡張法)を用いる(ステップS1,S2)場合を例示する。すなわち、この実施形態においては、領域拡張法を用いて、初期位置を自動的に正確に求める技術を例示する。しかしながら、これに限定されず、初期位置の決定手法としては、例えば、操作者(ユーザ)が、予め用意された標準モデルを適切な位置に手動で配置する手法を採用してもよい。具体的には、操作者(ユーザ)が、マウス等の操作によって抽出対象物体OBaの標準モデルSOを移動し、当該標準モデルSOを計測データ中に初期配置するようにしてもよい(図10参照)。
また、後述するように、モデルフィッティング処理(ステップS3)において、標準モデルの制御点における階調値等を考慮することによって、より正確なモデルフィッティング処理を行うことが可能になる。
以下、ステップS1,S2,S3の各処理について順次に詳述する。
<暫定領域抽出処理(ステップS1)>
上述のように、暫定領域抽出処理(ステップS1)では、使用者(ユーザ)によって指定された物体(臓器)を暫定的に抽出することを目的とする。本実施形態では、その抽出方法の一例として領域拡張法を採用する。
図5は、領域拡張法を用いた暫定領域抽出処理(ステップS1)の詳細を示すフローチャートである。図6は、人体をX線CT装置で撮影した際の所定位置におけるスライス画像PMを示す図であり、図7は、図6に示されるスライス画像PM上の画素M1を中心として隣接する画素付近を拡大表示した図である。図7においては、スライス画像PMの画素M1の隣接画素として、同一階層のスライス画像PMにおける隣接8画素M2〜M9に加えて、スライス画像PUにおける隣接9画素U1〜U9と、スライス画像PDにおける隣接9画素D1〜D9とが示されている。なお、スライス画像PUは、スライス画像PMに対して+z方向に隣接するスライス画像(換言すればスライス画像PMの直上層のスライス画像)であり、スライス画像PDは、スライス画像PMに対して−z方向に隣接するスライス画像(換言すればスライス画像PMの直下層のスライス画像)である。
以下では、図6のスライス画像PMに表示されている物体(臓器)OB1を暫定的に抽出する場合を具体例に挙げて領域拡張法を用いた暫定領域抽出処理について説明する。
まず、ステップS11において、使用者(ユーザ)によって抽出対象物体(臓器)内の拡張開始画素が特定される。具体的には、抽出したい物体(抽出対象物体)が表示されている任意のスライス画像(ここではスライス画像PM)上で、操作部(例えばマウス)4等の操作により抽出対象物体内の任意の点を特定する。より詳細には、物体OB1を抽出したい場合、スライス画像PM上の物体(臓器)OB1内の任意の点(例えばM1)をマウス等により特定すればよい(図6参照)。この操作により、スライス画像PM上において特定点M1に相当する画素が拡張開始画素となる。
次に、ステップS12において、拡張開始画素に隣接する画素が拡張候補画素として検出される。詳細には、ステップS11において拡張開始画素をM1と特定したとすると、画素M1に隣接する画素全てが拡張候補画素となる。つまり、スライス画像PM上の画素M2〜M9、スライス画像PU上の画素U1〜U9、及びスライス画像PD上の画素D1〜D9の計26画素が拡張候補画素となる。
次に、ステップS13において拡張候補画素がステップS12で検出されたか否かが判定され、ステップS12で拡張候補画素が検出されている場合には、ステップS14へ移行する。
ステップS14では、検出された拡張候補画素の濃度値が所定範囲内か否かが判定される。具体的には、物体(臓器)の有する濃度値の範囲が物体(臓器)ごとに予め定められており、拡張候補画素の濃度値が、抽出対象物体の持つ濃度値の範囲内か否かを判定する。これにより、拡張候補画素が所定範囲内の濃度値を有していると判定されると、ステップS15に移行する。
ステップS15では、当該拡張候補画素を抽出対象物体内の画素とする領域拡張を行う。
一方、ステップS14において、拡張候補画素が所定範囲内の濃度値を有していないと判定されると、当該拡張候補画素の領域拡張は行われない。
次に、ステップS16では、拡張候補画素の濃度判定工程(ステップS14)をまだ経ていない拡張候補画素が存在するか否かが判断される。
濃度判定工程(ステップS14)を経ていない拡張候補画素が存在する場合には、当該未終了の拡張候補画素に対してステップS14、S16の処理が実行される。
一方、全ての拡張候補画素に対して濃度判定工程(ステップS14)が終了している場合には、ステップS12に戻り、ステップS15において拡張された画素(換言すれば、領域内の画素であるとして特定された画素)にさらに隣接する画素であって、領域内に存在するか否かが未だ判定されていない画素が、新たな拡張候補画素として検出される。その後、新たに検出された拡張候補画素に対して、上述のステップS13〜S16の工程が実行される。ステップS12〜S16の工程は、新たな拡張候補画素を検出することが可能な限り繰り返され、新たな拡張候補画素が検出できなくなると、暫定領域抽出処理は終了する(ステップS13)。
このようにステップS12〜S16の工程が繰り返し実行されることによって拡張開始画素から徐々に領域拡張が行われ、使用者(ユーザ)によって指定された物体(臓器)が暫定的に抽出される。
<初期位置決定処理(ステップS2)>
次に、モデルフィッティング手法における標準モデルの初期位置を決定する初期位置決定処理(ステップS2)について、図8〜図10を参照しながら説明する。図8は、重心点を利用した初期位置決定処理(ステップS2)の詳細を示すフローチャートである。また、図9は、3次元画像(計測データ)に含まれる物体OBaを示す図であり、図10は、標準モデルSOを初期位置に移動させる様子を概念的に示す図である。図10においては、標準モデルを初期配置した際の抽出対象物体と標準モデルとの位置関係も示されている。
なお、以下では図示の簡略化のため、図9に示されるような3次元画像TDP1中に存在する物体OBaが抽出対象物体であると仮定して説明する。
まず、ステップS21において、ステップS1で暫定的に抽出された物体OBaの重心点GZが算出される。
次に、ステップS22では、後述のモデルフィッティングにおいて用いられる標準モデルの重心点GHをステップS21で算出された重心点GZに合わせる標準モデルの初期配置が行われる。例えば、図10に示されるように、標準モデルSOの重心点GHを抽出対象物体OBaの重心点GZに合わせるように標準モデルSOを移動して、標準モデルSOを計測データ中に初期配置する。
重心点を利用した標準モデルの初期配置が終了すると、モデルフィッティング処理(ステップS3)に移行する。
<モデルフィッティング処理(ステップS3)>
ステップS3のモデルフィッテイング処理は、予め準備された一般的(標準的)な抽出対象物体(単に対象物とも称する)のモデルである「標準モデル」を、抽出対象物体から得られる情報(形状等)を用いて変形する処理である。なお、本出願においては、モデルフィッティング処理による変形後の標準モデル(換言すれば抽出対象物体の情報が反映された標準モデル)を「個別モデル」とも称するものとする。
このモデルフィッティング処理では、初期位置に配置された標準モデルをモデルフィッティング手法によって変形することで、抽出対象物体を抽出する処理が行われる。
図11は、モデルフィッティング処理(ステップS3)の詳細を示すフローチャートである。図12は、標準モデルSOおよびその各制御点Cjを示す図であり、図13は、計測データ中に配置された標準モデルSOを示す図である。図14は、図13の領域RB付近の拡大図であり、モデルフィッティングにおける制御点の移動の様子を示している。また、図15は、制御点間を仮想バネで繋いだ様子を示す図である。
なお、抽出対象物体の標準モデルは、例えば、微小な多角形(例えば、三角形)(「ポリゴン」とも称する)で構成され、記憶部22等に保存されている。ポリゴンで構成された標準モデルは、各ポリゴンの頂点の3次元座標によってそのモデルの表面形状を表現することができる。また、標準モデルにおけるポリゴンの頂点のうち、全頂点あるいは代表的な幾つかの頂点を「制御点」とも称する。そして、この制御点を代表点としてモデルフィッティング処理を行う。
以下では、図11〜図15を用いてモデルフィッティング処理について詳述する。
まず、ステップS31(図11)では、計測データにおける抽出対象物体OBaの輪郭(境界)を示す画素(境界点)のうち、標準モデルSOの各制御点Cjに対応する点(以下、「対応点」とも称する)Qjを決定する処理が行われる(図13参照)。すなわち、標準モデルSOにおける各制御点(代表点)Cjと計測データにおける対応点Qjとの対応関係が決定される。
ここで、図12に示すように、この標準モデルSOは、複数の制御点Cjによって対象物の立体形状を表現するとともに、各制御点Cjにおいて、対象物の標準的な階調値VSjを有している。また、各制御点Cjにおける階調値VSjは、計測データにおける各点の階調値と同じ段階数(階調数)を有している。例えば、計測データが4096段階の値で表現されるときには、各制御点Cjの階調値VSjも同段階数すなわち4096段階の値で表現される。なお、これらの「階調値」は、複数段階の値で表現されるものであればよく、例えば2値(0および1)のいずれかの値を有するものであってもよい。
このように、この実施形態に係る標準モデルSOは、各制御点Cjにおいて階調値VSjを有している点で、従来の標準モデルと相違している。
制御点Cjと対応点Qjとの対応関係は、標準モデルSOにおける各制御点Cjの階調値VSjと計測データにおける複数の点の階調値Vとの一致度合いに基づいて探索される。詳細には、或る制御点Cjの対応点Qjは、次のようにして探索される(図13および図14参照)。
まず、計測データ中において、当該制御点Cjの位置に存在する点(詳細にはボクセル)の周辺領域RB内に存在する複数の点のうちの任意の1つの点(図13および図14では黒丸で示す)が比較対象として選択される。なお、周辺領域RBは、図12においては、平面的に矩形領域として示されているが、実際には3次元空間領域(例えば立方体領域)である。
次に、比較対象として選択された点(注目点とも称する)の階調値Vと当該制御点Cjの階調値VSjとが比較される。具体的には、制御点Cjの階調値VSjと注目点の階調値Vとの差分値(詳細には差分絶対値)の逆数(すなわち、1/|VSj−V|)が、両階調値の一致度合いを表す比較結果として算出される。
さらに、同様にして、周辺領域RB内に含まれる残りの点が順次に注目点として選択され、当該各注目点の階調値Vと制御点Cjの階調値VSjとの一致度合いを表す比較結果が順次に算出される。
そして、算出された比較結果に基づいて、計測データにおける周辺領域RB内の複数の点(ボクセル)のうち、階調値に関して、制御点Cjと最も一致する点(すなわち最大一致度合いを有する点)が、制御点Cjの「対応点」Qjとして決定される。
なお、後述するように、この対応関係を利用したモデルフィッティング手法によって所定の評価関数を最適化するように標準モデルが変形され、対象物のモデルが生成される。
次に、ステップS32では、標準モデルSOの制御点Cjのうち任意の一点(以下、「移動対象点」とも称する)(例えば制御点C1)が一方向(例えばA1方向)に微小量L移動される(図14参照)。
さらに、ステップS33では、ステップS32において移動対象点を移動させ一時的に変形させた状態のモデル(以下、「一時変形モデル」とも称する)の総合エネルギーUeが算出される。
総合エネルギーUeは、式(1)に示されるように、制御点Cjと対応点Qjとの距離に関する外部エネルギー項Feと、過剰な変形を避けるための内部エネルギー項Geとの和で表される。なお、外部エネルギー項(単に外部エネルギーとも称する)Fe、および内部エネルギー項(単に内部エネルギーとも称する)Geについては後述する。
Figure 0004720478
次に、ステップS34において、移動対象点が全ての方向に移動されたか否かを判定する。例えば、3次元空間の全方位における移動対象点の移動方向を26方向(当該移動対象点(ボクセル)に隣接する26画素へ向かう方向)とすると、26方向全ての方向に制御点C1が移動されたか否かを判定する。
移動対象点(制御点C1)を26方向全てに移動させた一時変形モデルの作成が終了していなければ、移動対象点の移動方向を変更して再び微小量L移動させ、異なる移動方向パターンの一時変形モデルを作成し、各一時変形モデルの総合エネルギーUeを算出する(ステップS32、S33)。
そして、ステップS34において全方向の移動が終了したと判定されると、ステップS35へ移行する。
ステップS35では、作成された全パターンの一時変形モデルの中から、総合エネルギーUeを最小とする一時変形モデルが選択される。換言すれば、或る制御点Cjを26方向に移動させて生成された各一時変形モデルのうち、総合エネルギーUeを最小化する一時変形モデルが選択される。例えば、後述する2つの項Fe,Geのうち外部エネルギーFe(特に後述する第1項Fe1)のみを考慮する場合には、その制御点が対応点に近づく方向へと移動する一時変形モデルが選択されることになる。また、内部エネルギーGeを考慮する場合には、その制御点が対応点に近づく方向とは異なる方向へと移動する一時変形モデルが選択されることもある。
次に、ステップS36において全制御点Cjの移動が終了したか否かを判定する。具体的には、標準モデルSOの全ての制御点Cjについて微小量Lの移動が終了したか否かを判定し、終了していない制御点(未了点とも称する)が存在すれば、移動対象点を当該制御点(未了点)に変更してステップS32〜S35の動作を繰り返し、全ての制御点Cjの移動を完了した一時変形モデルを作成する。一方、全ての制御点の移動が終了していれば、ステップS37へ移行する。
ステップS37では、モデルフィッティング処理を終了するか否かを判定する。具体的には、全ての制御点Cjの移動を完了させた一時変形モデルにおける複数の制御点とその対応点との距離の平均値が所定値以下であることを条件とし、当該条件を満たす場合に、モデルフィッティング処理を終了するようにすればよい。これによれば、各制御点が対応点に所定程度近づいた場合に同処理を終了することができる。または、これに加えてあるいはこれに代えて、(全ての制御点Cjの移動を完了させた)前回の一時変形モデルと今回の一時変形モデルとの総合エネルギーUeの変化量が所定量以下であるか否かを終了判定の基準として用いてもよい。これによれば、制御点を移動しても総合エネルギーがあまり変化しなくなった場合に処理を終了することができる。
ステップS37においてモデルフィッティング処理を終了しないと判定される場合は、ステップS38へと移行する。
ステップS38では、上述のステップS32〜S37で実行される処理を単位処理ループとして当該単位処理ループが所定回数W(例えば10回)実行されたか否かを判定する。所定回数W実行されていなければ、所定回数W実行されるまで再びステップS32〜S37の処理ループを繰り返し、所定回数W実行されていれば、ステップS39へと移行する。すなわち、全ての制御点の移動を完了させた一時変形モデルが所定回数W作成されるまで、単位処理ループが繰り返される。
ステップS39では、ステップS31で決定した対応点の更新が行われる。具体的には、上述の処理ループによって所定回数W移動した後の各制御点Cjの周辺領域RB内を再設定し、当該周辺領域RB内に存在する点(ボクセル)の中から新しい対応点を選択する対応点の更新動作が行われ、再びステップS32〜S39の処理が繰り返し行われる。このような「対応点の更新」によれば、制御点の移動に伴って制御点の位置が変わる場合にも、対応点の探索範囲となる周辺領域RBを適宜に変更して対応点の適正化を図ることができる。
一方、ステップS37においてモデルフィッティング処理を終了すると判定される場合は、最終的に得られた一時変形モデルが、抽出対象物体に相当する個別モデルとして決定される。これによって、抽出対象物体のモデルが生成される。また、その後、最終的に得られた個別モデル(すなわち、生成された対象物モデル)の位置に存在する領域が、対象物の領域として計測データから抽出される(ステップS40)。
以上の処理によって、このステップS3の処理は終了する。
このようなモデルフィッティング処理(ステップS3)においては、標準モデルSOを1制御点ごとに微小量Lずつ徐々に変形させることによって、抽出対象領域に相当する個別モデルが作成される。
<総合エネルギー(評価関数)>
ここで、総合エネルギーUeを構成する外部エネルギーFe及び内部エネルギーGeについて説明する。
外部エネルギーFeは、式(2)に示されるように、標準モデルにおける制御点(代表点)Cjと計測データにおける対応点Qjとの距離に関する要素である第1項Fe1と、標準モデルの階調値と計測データの階調値との一致度合いに関する要素である第2項Fe2とを有している。
Figure 0004720478
第1項Fe1は、式(3)に示されるように、各制御点Cjと当該各制御点Cjにそれぞれ対応する対応点Qjとの距離の二乗を用いて表される。なお、αは定数、Ntは制御点の数を表すものとする。
Figure 0004720478
第2項Fe2は、式(4)に示されるように、標準モデルの各制御点Cjの階調値VSjと、計測データにおいて(移動中の)当該制御点Cjの現在位置に存在する点の階調値VDjとの差分値の二乗を用いて表される。すなわち、標準モデルにおける制御点Cjの階調値VSjと計測データにおいて当該制御点の位置に存在する点の階調値Vとが一致するように標準モデルSOが変形されるときに最適化される要素である。なお、γは定数である。
Figure 0004720478
このような外部エネルギーFeのうち第1項Fe1が大きくなるような一時変形モデル、すなわち、制御点Cjと対応点Qjとの距離が移動前より大きくなった一時変形モデルは、その総合エネルギーUeが大きくなるため、上述のステップS35(総合エネルギーUeを最小とする制御点の移動を採用する工程)において採用されにくくなる。逆に言えば、外部エネルギーFeの第1項Fe1を考慮することによって、各制御点Cjと対応点Qjとの距離が移動前よりも小さくなる(すなわち各制御点Cjが対応点Qjに近づく)一時変形モデルが選択されやすくなる。
外部エネルギーFeの第1項Fe1は、標準モデルSOの各制御点Cjと計測データにおける各対応点Qjとの位置関係を反映したエネルギー項であるとも表現される。あるいは、外部エネルギーFeの第1項Fe1は、標準モデルの各制御点Cjと計測データにおける各対応点Qjとの距離が近づくときに最適化されるエネルギー項であるとも表現される。端的に言えば、この外部エネルギーFeの第1項Fe1は、標準モデルSOの形状を計測データにおける輪郭に近づけようとする役割を果たす。
また、外部エネルギーFeのうち第2項Fe2(Fe21)が大きくなるような一時変形モデル、すなわち、標準モデルにおける制御点Cjの階調値と計測データにおける階調値との一致度合いが移動前より小さくなった一時変形モデルは、その総合エネルギーUeが大きくなるため、上述のステップS35(総合エネルギーUeを最小とする制御点の移動を採用する工程)において採用されにくくなる。逆に言えば、外部エネルギーFeの第2項Fe2を考慮することによって、標準モデルにおける制御点Cjの階調値と計測データにおける階調値との一致度合いが移動前よりも大きくなる一時変形モデルが選択されやすくなる。
このように、外部エネルギーFeの第2項Fe2は、標準モデルの各制御点Cjの階調値と計測データにおける階調値との一致度合いが大きくなるにつれて最適化されるエネルギー項(要素)である。換言すれば、外部エネルギーFeの第2項Fe2は、標準モデルにおける代表点の階調値と計測データにおいて当該代表点の位置に存在する点の階調値とが一致するように標準モデルが変形されるときに最適化される要素であるとも表現される。端的に言えば、この外部エネルギーFeの第2項Fe2は、計測データ中において、標準モデルSOの制御点を、階調値に関する一致度合いが大きくなる点に近づけようとする役割を果たす。
また、内部エネルギーGeは、例えば、図15に示されるように、制御点Cj間が仮想バネSPR(SPR1,SPR2,SPR3,...)によって繋がれていると想定すると、式(5)のように表される。
Figure 0004720478
但し、βは定数、Kは仮想バネのバネ係数、Nhは仮想バネの本数、wiは第i番目の仮想バネの自然長からの変位量を表すものとする。
式(5)によると、各制御点Cjの過剰な移動は、仮想バネSPRに蓄えられるエネルギーの増大として表現される。例えば、1つの制御点Czが、或る点Vzへと移動し他の制御点との相対変位が増大したとすると、仮想バネSPR1、SPR2及びSPR3には、各仮想バネの伸びによるエネルギーが蓄えられ内部エネルギーGeひいては総合エネルギーUeが大きくなる。
このような過剰変形を伴う一時変形モデルは、その内部エネルギーGeが大きくなり、その総合エネルギーUeも大きくなるため、上述のステップS35(総合エネルギーUeを最小とする制御点の移動を採用する工程)において採用されにくくなる。
換言すれば、内部エネルギーGeを減少させて総合エネルギーUeを減少させるような一時変形モデルがステップS35で選択されることによって、各制御点Cjの移動による過剰な変形を防止する作用を得ることができる。
つまり、このような内部エネルギーGeを導入することによって、標準モデルSOの形状すなわち標準モデルSOを構成する各ポリゴンの形状を損なわない制御点Cjの移動が可能となる。なお、内部エネルギーGeを考慮する場合には、各制御点Cjが対応点Qjに近づく方向とは異なる方向へと移動する一時変形モデルが選択されることもある。
また、ステップS31において対応点Qjを求める際の境界抽出処理が正確でないなどの理由によって、対応点Qjが正しいものでない場合が存在する。このような場合において、外部エネルギーFeのみを考慮するときには、或る制御点が、不正確な対応点に向けて移動するため、不正確なモデルフィッティングが行われることになる。これに対して、内部エネルギーGeを考慮することによれば、このような場合においても、標準モデルSOの形状を損なわないような変形動作が行われることになるため、より正確なモデリング処理が可能になる。
この内部エネルギーGeは、標準モデルSOの各制御点Cj相互の関係が一定の関係(すなわち、全仮想バネが自然長を有する状態)に近づくときに最適化されるエネルギー項であるとも表現される。端的に言えば、この内部エネルギーGeは、標準モデルSOを一定の形状に維持しようとする役割を果たす。
<総括>
以上のように、この実施形態に係るモデリング装置(ないし領域抽出装置)によれば、標準モデルにおける制御点(代表点)Cjの階調値VSjと計測データにおける複数の点の階調値Vとの一致度合いに基づいて、制御点(代表点)Cjに対応する対応点Qjが計測データの中から探索され、制御点Cjと対応点Qjとの対応関係を利用した所定の評価関数(式(1)〜式(5)、特に式(3)参照)を最適化するように標準モデルが変形されて対象物のモデルが生成されるので、より正確なモデリング処理を実現することが可能である。
また、標準モデルにおける制御点(代表点)Cjの階調値VSjを用いて算出される評価関数(式(1)〜式(5)、特に式(4)参照)を最適化するように標準モデルを変形させて、対象物のモデルが生成されるので、より正確なモデリング処理を実現することが可能である。
<2.第2実施形態>
<2−1.概要>
上記第1実施形態においては、標準モデルが各制御点Cjにおいて当該制御点Cjの階調値VSjを有する場合を想定していたが、この第2実施形態においては、標準モデルが各制御点Cj付近における階調値の分布データ(階調値分布とも称する)DSjを有する場合を想定する(図16参照)。この階調値分布DSjとしては、対象物に関する標準的な階調値分布が予め定められている。また、標準モデルの各点における階調値は、計測データにおける各点の階調値と同じ段階数(階調数)を有している。
この第2実施形態では、「階調値分布」として、所定方向における階調値分布、より具体的には「注目ボクセルの法線方向」における階調値分布を採用する場合を例示する。ここで、注目ボクセルの法線方向(注目点の法線方向)とは、例えば式(6)で定義される法線ベクトルh(x,y,z)(あるいはベクトルH(x,y,z))の方向であり(図16参照)、当該注目ボクセルにおける濃度勾配が最も大きくなる方向であるとも表現される。なお、式(6)において、h(x,y,z)(あるいはベクトルH(x,y,z))は、位置(x,y,z)に応じて決定されるベクトル量をあらわしているのに対して、V(x,y,z)は、位置(x,y,z)におけるボクセルの階調値(スカラー量)を表している。
Figure 0004720478
詳細には、標準モデルの制御点Cjに関する階調値分布DSjは、標準モデルにおいて、制御点Cjを中心にベクトルH(xj,yj,zj)の方向に沿って連続的に配置される複数の点の階調値を列挙したものとして取得される。なお、ここでは制御点Cjの位置を(xj,yj,zj)で表現している。また、図16においては、このような階調値分布DSjをグラフ化して示している。図16のグラフの横軸はベクトルHの方向における位置を表しており、縦軸は各位置での階調値を表している。
このように、この第2実施形態に係る標準モデルは、各制御点Cjの階調値VSjだけでなく各制御点Cj周辺の階調値をも含む階調値分布DSjを有している点で、第1実施形態の標準モデルと相違している。
そして、この第2実施形態では、このような階調値分布を用いて、対応点探索処理およびエネルギー算出処理を行う場合を例示する。
具体的には、上記第1実施形態では、対応点探索処理(図11、ステップS31)において、標準モデルの制御点Cjの階調値VSjを利用する場合を例示したが、この第2実施形態では、当該対応点探索処理において、標準モデルの制御点Cj付近の階調値分布DSjを利用する場合を例示する(図16参照)。
また、上記第1実施形態では、外部エネルギーの第2項Fe2の算出にあたり、標準モデルの制御点の階調値を参照する場合(式(4)参照)を例示したが、この第2実施形態では、標準モデルの制御点Cj付近の階調値分布DSjを参照して、外部エネルギーの第2項Fe2を算出する場合(式(7)参照)を例示する。
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。第2実施形態に係る領域抽出装置(モデリング装置)は、第1実施形態に係る領域抽出装置(モデリング装置)と同様の構成を有しており、且つ、同様の動作を行う。ただし、対応点探索処理および外部エネルギー項(特に第2項Fe2)の算出処理において、第1実施形態と相違している。以下では、第1実施形態とのこれらの相違点を中心に説明する。
<2−2.対応点探索>
まず、第2実施形態に係る対応点探索処理について説明する。
第2実施形態では、ステップS31(図11)の対応点探索処理(対応点決定処理)において、標準モデルSOにおける制御点Cj付近での階調値分布DSjと計測データにおける周辺領域内の各点付近での階調値分布D(後述、図17参照)との一致度合いに基づいて、制御点Cjに対応する対応点Qjを計測データの中から探索する。
詳細には、或る制御点Cjの対応点Qjは次のようにして探索される。
まず、計測データ中において、(移動中の)制御点Cjの現在位置に存在する点(ボクセル)の周辺領域(3次元空間領域(例えば立方体領域))RB内に存在する複数の点(ボクセル)のうちの任意の1つの点が比較対象として選択される。
次に、比較対象として選択された点(注目点とも称する)付近の階調値分布D(図17参照)と当該制御点Cj付近の階調値分布DSjとが比較される。具体的には、制御点Cjの階調値分布DSjと注目点の階調値分布Dとの各位置ごとの差分値(詳細には差分絶対値)の積算値の逆数が、両階調値分布の一致度合いを表す比較結果として算出される。なお、計測データの注目点付近における階調値分布Dは、計測データにおいて、当該注目点を中心にベクトルH(xj,yj,zj)の方向に沿って連続的に配置される複数の点の階調値を列挙したものとして取得される。
さらに、同様にして、周辺領域RB内の残りの点が順次に注目点として選択され、当該各注目点の階調値分布Dと制御点Cjの階調値分布DSjとの一致度合いを表す比較結果が順次に算出される。
そして、算出された比較結果に基づいて、周辺領域RB内の複数の点(ボクセル)のうち、階調値分布に関して、制御点Cjと最も一致する点(最大一致度合いを有する点)が、制御点Cjの「対応点」Qjとして決定される。
以上のようにして、或る制御点Cjの対応点Qjが探索される。
その後、ステップS33において、制御点Cjと対応点Qjとの対応関係に基づいて、式(2)における第1項Fe1(式(3)参照)が算出されるとともに、当該項Fe1を含む外部エネルギー、および総合エネルギーUeが算出される(式(1)参照)。また、ステップS32〜S36の動作等が繰り返されることによって、モデルフィッティング手法により、総合エネルギーUeを最適化するように標準モデルが変形され、対象物のモデルが生成される。
<2−3.外部エネルギー項>
次に第2実施形態に係る外部エネルギー項(特に第2項Fe2)について説明する。
この第2実施形態における外部エネルギーFeは、第1実施形態と同様に、式(2)で表される。この第2実施形態においては、その第1項Fe1は第1実施形態と同様であるが、その第2項Fe2が第1実施形態と相違する。第2実施形態においては、当該第2項Fe2として、式(7)で表現されるものを採用する。
Figure 0004720478
第2項Fe2は、式(7)のように、標準モデルにおける各制御点Cj付近の階調値分布DSj(m)と、計測データにおいて標準モデルの制御点Cjが存在する位置の点付近の階調値分布DDj(m)との差分値を用いて表される。階調値分布DSj(m)は、標準モデルにおいて、制御点Cjを中心にベクトルH(x,y,z)の方向に沿って連続的に配置される複数の点のうち第m番目の点の階調値を表している。また、階調値分布DDj(m)は、計測データにおいて、(移動中の)制御点Cjの現在位置に存在する点を中心にベクトルH(x,y,z)の方向に沿って連続的に配置される複数の点のうち第m番目の点の階調値を表している。
外部エネルギーFeのうち第2項Fe22が大きくなるような一時変形モデル、すなわち、標準モデルにおける制御点Cj付近の階調値分布DSjと計測データにおける階調値分布DDjとの一致度合いが移動前より小さくなった一時変形モデルは、その総合エネルギーUeが大きくなるため、上述のステップS35(総合エネルギーUeを最小とする制御点の移動を採用する工程)において採用されにくくなる。逆に言えば、外部エネルギーFeの第2項Fe22を考慮することによって、標準モデルにおける制御点Cjの階調値分布DSjと計測データにおける階調値分布DDjとの一致度合いが移動前よりも大きくなる一時変形モデルが選択されやすくなる。
このように、外部エネルギーFeの第2項Fe2は、標準モデルの各制御点Cjの階調値分布DSjと計測データにおける階調値分布DDjとの一致度合いが大きくなるときに最適化されるエネルギー項である。換言すれば、外部エネルギーFeの第2項Fe2は、標準モデルにおける代表点付近の階調値分布と計測データにおいて当該代表点が存在する位置付近の階調値分布とが一致するように標準モデルが変形されるときに最適化される要素であるとも表現される。端的に言えば、この外部エネルギーFeの第2項Fe2は、標準モデルSOの制御点を計測データ中において階調値分布に関する一致度合いが大きくなる点に近づけようとする役割を果たす。
<2−4.総括等>
以上のように、この第2実施形態に係るモデリング装置(ないし領域抽出装置)によれば、標準モデルにおける制御点(代表点)Cj付近での階調値分布DSjと計測データにおける周辺領域RB内の各点付近での階調値分布Dとの一致度合いに基づいて、制御点(代表点)Cjに対応する対応点Qjが計測データの中から探索され、制御点(代表点)Cjと対応点Qjとの対応関係を利用した所定の評価関数(式(1)〜式(5)、特に式(3)参照)を最適化するように標準モデルが変形されて対象物のモデルが生成されるので、より正確なモデリング処理を実現することが可能である。
また、標準モデルにおける制御点(代表点)Cj付近の階調値分布DSjを用いて算出される評価関数(式(1)〜式(3)、式(5)および式(7)、特に式(7)参照)を最適化するように標準モデルを変形させて、対象物のモデルが生成されるので、より正確なモデリング処理を実現することが可能である。
なお、上記実施形態においては、「階調値分布」として、所定方向における階調値分布、より具体的には注目ボクセルの法線方向における階調値分布を採用する場合を例示したが、これに限定されない。具体的には、階調値分布として、所定の点(注目ボクセル等)の周辺において所定方向に存在する複数の点(ボクセル)に関する階調値群を用いるのではなく、所定の点の周辺において複数の方向に(例えば上・下・左・右・手前・奥の6方向に)存在する複数の点(ボクセル)に関する階調値を階調値分布として用いてもよい。ただし、前者のように、階調値分布として、所定の点の周辺においてベクトルH(ないしh)の方向に存在する複数のボクセルに関する階調値群を採用することによれば、後者に比べて階調値分布に関するデータ量を効率的に低減することが可能である。
<3.変形例>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
上記各実施形態においては、対応点探索と外部エネルギー項(詳細には第2項)算出との両方に標準モデルの階調値(または階調値分布)を利用したが、これに限定されず、一方のみにおいて利用するようにしてもよい。
例えば、外部エネルギーの算出にのみ階調値を利用するようにしてもよい。詳細には、第1実施形態と同様に階調値を利用して外部エネルギーの第2項を算出する一方で、上記第1実施形態とは別の対応点探索手法によって求められた対応点を用いて外部エネルギーの第1項を算出するようにしてもよい。
この場合、対応点探索手法としては、制御点Cjに対する対応点Qjを階調値を利用して探索するのではなく、例えば、抽出対象物体OBaの輪郭(境界)上の点のうち制御点Cjの最も近傍に存在する点(ボクセル)を当該制御点Cjの対応点として求める手法を用いることができる。具体的には、図18(立面図)において、制御点C1の対応点は、制御点C1の最も近傍に存在する境界点(画素)Q1となる。ここで、図18においては、xz平面に平行な所定の平面(2次元空間)における境界点のみが示されているが、実際には、図19に示されるような3次元空間において制御点C1の最も近傍に存在する境界点が対応点となる。図19においては、制御点C1の各スライス画像PQ1、PQ2、PQ4における射影点が×印で示されている。なお、抽出対象物体OBaの輪郭(境界)は、各スライス画像において、エッジ抽出処理を行うことなどによって取得されればよい。
あるいは、逆に、対応点探索にのみ階調値を利用するようにし、外部エネルギーには階調値を利用しないようにしてもよい。この場合、外部エネルギーFeとしては、たとえば、式(2)の第1項のみで構成される外部エネルギーを採用するようにすればよい。
また、第2実施形態についても同様であり、対応点探索と外部エネルギー項算出との一方のみに標準モデルの階調値分布を利用するようにしてもよい。
また、上記第2実施形態においては、階調値分布の差分積算値の逆数(あるいは当該差分積算値)を階調値分布の一致度合いとして求めて、対応点探索(あるいはエネルギー項算出)を行う場合を例示したが、これに限定されない。例えば、階調値分布の差分積算値を階調値分布の一致度合いとして求めて対応点探索を行うようにしてもよく、階調値分布の差分積算値の逆数を階調値分布の一致度合いとして求めてエネルギー項算出を行うようにしてもよい。あるいは、両階調値分布(標準モデルでの階調値分布および計測データでの階調値分布)の差分以外の量(例えば比)で表現される所定の相関係数を、階調値分布の一致度合いとして求めて、対応点探索および/または外部エネルギー項算出を行うようにしてもよい。あるいは、両階調値分布においてその微分値(傾き)の分布をそれぞれ求め、当該微分値の分布についての両者の差分等に基づいて両階調値分布の一致度合いを定めて(換言すれば両微分値分布の一致度合いを両階調値分布の一致度合いとみなして)、対応点探索および/または外部エネルギー項算出を行うようにしてもよい。
また、上記各実施形態においては、標準モデルの各制御点Cjが階調値あるいは階調値分布を有する場合を例示しているが、必ずしも全ての制御点Cjが階調値あるいは階調値分布を有することを要しない。標準モデルの全制御点Cjのうちの一部の制御点のみ(例えば、特徴的な主要制御点のみ)が階調値あるいは階調値分布を有していてもよい。なお、階調値あるいは階調値分布を有しない制御点については、対応点探索において、抽出対象物体OBaの輪郭(境界)上の点のうち制御点Cjの最も近傍に存在する点を当該制御点Cjの対応点として求める手法等を用いればよい。また、階調値あるいは階調値分布を有しない制御点については、外部エネルギー項の第2項Fe2の算出の対象から除外すればよい。
また、上記各実施形態においては、標準モデルを領域抽出装置1内のモデル格納部11から取得する場合を例示したが、これに限定されず、領域抽出装置1に接続された他の装置からネットワーク等を介して「標準モデル」を取得するようにしてもよい。
また、上記各実施形態においては、標準モデルに基づいて計測データ内の対象物のモデル(個別モデル)を生成し、さらに当該個別モデルに基づいて計測データから当該対象物の領域を抽出する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、対象物領域を抽出することなく、単に計測データ内の対象物のモデルを生成するようにしてもよい。
領域抽出装置の概要を示す図である。 領域抽出装置の各種機能を示すブロック図である。 X線CT装置によって取得される3次元画像と所定位置のスライス画像とを示す図である。 領域抽出装置の全体動作を示すフローチャートである。 領域拡張法を用いた暫定領域抽出処理を示すフローチャートである。 所定位置におけるスライス画像を示す図である。 図6に示されるスライス画像上の画素M1付近の拡大図である。 重心点を利用した初期位置決定処理を示すフローチャートである。 3次元画像に含まれる物体を示す図である。 標準モデルを初期位置に移動させる様子を示す図である。 モデルフィッティング処理を示すフローチャートである。 標準モデルおよびその各制御点を示す図である。 計測データ中に配置された標準モデルを示す図である。 図13の領域RB付近の拡大図である。 制御点間を仮想バネで繋いだ模式図である。 標準モデルの各制御点における階調値分布を示す図である。 計測データにおける注目点付近の階調値分布を示す図である。 最近傍の点を対応点として探索する様子を示す図である。 複数のスライス画像を示す図である。
符号の説明
1 領域抽出装置(モデリング装置)
Cj 制御点(代表点)
D,DDj,DSj 階調値分布
h,H (法線)ベクトル
Qj 対応点
RB 周辺領域
SO 標準モデル
V,VDj,VSj 階調値

Claims (17)

  1. 計測データ内の対象物のモデルを生成するモデリング装置であって、
    前記対象物に関する標準モデルを取得する取得手段と、
    記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成するモデル変形手段と、
    を備え、
    前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点における、前記対象物の標準的な階調値を有し、
    前記モデル変形手段は、
    前記標準モデルにおける代表点の階調値と前記計測データにおける複数の点の階調値との一致度合いに基づいて、前記代表点に対応する対応点を前記計測データの中から探索する探索手段と、
    前記代表点と当該代表点に対応する前記対応点との対応関係を利用した所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形して、前記対象物のモデルを生成する生成手段と、
    を有することを特徴とするモデリング装置。
  2. 請求項1に記載のモデリング装置において、
    前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点と前記計測データにおける対応点との距離に関する要素を有することを特徴とするモデリング装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のモデリング装置において、
    前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点の階調値と前記計測データにおいて当該代表点の位置に存在する点の階調値とが一致するように前記標準モデルが変形されるときに最適化される要素を有することを特徴とするモデリング装置。
  4. 計測データ内の対象物のモデルを生成するモデリング装置であって、
    前記対象物に関する標準モデルを取得する取得手段と、
    記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成するモデル変形手段と、
    を備え、
    前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点付近における、前記対象物の標準的な階調値分布を有し、
    前記モデル変形手段は、
    前記標準モデルにおける代表点付近での階調値分布と前記計測データにおける各点付近での階調値分布との一致度合いに基づいて、前記代表点に対応する対応点を前記計測データの中から探索する探索手段と、
    前記代表点と当該代表点に対応する前記対応点との対応関係を利用した所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成する生成手段と、
    を有することを特徴とするモデリング装置。
  5. 請求項4に記載のモデリング装置において、
    前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点と前記計測データにおける対応点との距離に関する要素を有することを特徴とするモデリング装置。
  6. 請求項4または請求項5に記載のモデリング装置において、
    前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点付近の階調値分布と前記計測データにおいて当該代表点が存在する位置付近の階調値分布とが一致するように前記標準モデルが変形されるときに最適化される要素を有することを特徴とするモデリング装置。
  7. 計測データ内の対象物のモデルを生成するモデリング装置であって、
    前記対象物に関する標準モデルを取得する取得手段と、
    所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成するモデル変形手段と、
    を備え、
    前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点における、前記対象物の標準的な階調値を有し、
    前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点の階調値と前記計測データにおいて当該代表点の位置に存在する点の階調値とが一致するように前記標準モデルが変形されるときに最適化される要素を有することを特徴とするモデリング装置。
  8. 計測データ内の対象物のモデルを生成するモデリング装置であって、
    前記対象物に関する標準モデルを取得する取得手段と、
    所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成するモデル変形手段と、
    を備え、
    前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点付近における、前記対象物の標準的な階調値分布を有し、
    前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点付近の階調値分布と前記計測データにおいて当該代表点が存在する位置付近の階調値分布とが一致するように前記標準モデルが変形されるときに最適化される要素を有することを特徴とするモデリング装置。
  9. 請求項8に記載のモデリング装置において、
    前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点付近での前記標準モデルの所定方向における階調値分布と前記計測データにおいて当該代表点が存在する位置付近での前記計測データの所定方向における階調値分布とが一致するように前記標準モデルが変形されるときに最適化される要素を有することを特徴とするモデリング装置。
  10. 計測データから対象物の領域を抽出する領域抽出装置であって、
    前記対象物に関する標準モデルを取得する取得手段と、
    記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成するモデル変形手段と、
    前記対象物のモデルの存在位置に対応する領域を前記対象物の領域として前記計測データから抽出する抽出手段と、
    を備え
    前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点における、前記対象物の標準的な階調値を有し、
    前記モデル変形手段は、
    前記標準モデルにおける代表点の階調値と前記計測データにおける複数の点の階調値との一致度合いに基づいて、前記代表点に対応する対応点を前記計測データの中から探索する探索手段と、
    前記代表点と当該代表点に対応する前記対応点との対応関係を利用した所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形して、前記対象物のモデルを生成する生成手段と、
    を有することを特徴とする領域抽出装置。
  11. 計測データから対象物の領域を抽出する領域抽出装置であって、
    前記対象物に関する標準モデルを取得する取得手段と、
    記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成するモデル変形手段と、
    前記対象物のモデルの存在位置に対応する領域を前記対象物の領域として前記計測データから抽出する抽出手段と、
    を備え
    前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点付近における、前記対象物の標準的な階調値分布を有し、
    前記モデル変形手段は、
    前記標準モデルにおける代表点付近での階調値分布と前記計測データにおける各点付近での階調値分布との一致度合いに基づいて、前記代表点に対応する対応点を前記計測データの中から探索する探索手段と、
    前記代表点と当該代表点に対応する前記対応点との対応関係を利用した所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成する生成手段と、
    を有することを特徴とする領域抽出装置。
  12. 計測データから対象物の領域を抽出する領域抽出装置であって、
    前記対象物に関する標準モデルを取得する取得手段と、
    所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形させるモデル変形手段と、
    変形後の前記標準モデルの存在位置に対応する領域を前記対象物の領域として前記計測データから抽出する抽出手段と、
    を備え、
    前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点における、前記対象物の標準的な階調値を有し、
    前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点の階調値と前記計測データにおいて当該代表点の位置に存在する点の階調値とが一致するように前記標準モデルが変形されるときに最適化される要素を有することを特徴とする領域抽出装置。
  13. 計測データから対象物の領域を抽出する領域抽出装置であって、
    前記対象物に関する標準モデルを取得する取得手段と、
    所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形させるモデル変形手段と、
    変形後の前記標準モデルの存在位置に対応する領域を前記対象物の領域として前記計測データから抽出する抽出手段と、
    を備え、
    前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点付近における、前記対象物の標準的な階調値分布を有し、
    前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点付近の階調値分布と前記計測データにおいて当該代表点が存在する位置付近の階調値分布とが一致するように前記標準モデルが変形されるときに最適化される要素を有することを特徴とする領域抽出装置。
  14. プログラムであって、コンピュータに、
    a)計測データ内の対象物に関する標準モデルを取得する工程と、
    b)前記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成する工程と、
    を実行させ、
    前記a)工程において取得される前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点における、前記対象物の標準的な階調値を有し、
    前記b)工程では、
    b−1)前記標準モデルにおける代表点の階調値と前記計測データにおける複数の点の階調値との一致度合いに基づいて、前記代表点に対応する対応点を前記計測データの中から探索する工程と、
    b−2)前記代表点と当該代表点に対応する前記対応点との対応関係を利用した所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形して、前記対象物のモデルを生成する工程と、
    を実行させるプログラム。
  15. プログラムであって、コンピュータに、
    a)計測データ内の対象物に関する標準モデルを取得する工程と、
    b)前記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成する工程と、
    を実行させ、
    前記a)工程において取得される前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点付近における、前記対象物の標準的な階調値分布を有し、
    前記b)工程では、
    b−1)前記標準モデルにおける代表点付近での階調値分布と前記計測データにおける各点付近での階調値分布との一致度合いに基づいて、前記代表点に対応する対応点を前記計測データの中から探索する工程と、
    b−2)前記代表点と当該代表点に対応する前記対応点との対応関係を利用した所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成する工程と、
    を実行させるプログラム。
  16. プログラムであって、コンピュータに、
    a)計測データ内の対象物に関する標準モデルを取得する工程と、
    b)所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成する工程と、
    を実行させ
    前記a)工程において取得される前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点における、前記対象物の標準的な階調値を有し、
    前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点の階調値と計測データにおいて当該代表点の位置に存在する点の階調値とが一致するように前記標準モデルが変形されるときに最適化される要素を有することを特徴とするプログラム。
  17. プログラムであって、コンピュータに、
    a)計測データ内の対象物に関する標準モデルを取得する手順と、
    b)所定の評価関数を最適化するように前記標準モデルを変形させ、前記対象物のモデルを生成する工程と、
    を実行させ
    前記a)工程において取得される前記標準モデルは、当該標準モデルの代表点付近における、前記対象物の標準的な階調値分布を有し、
    前記所定の評価関数は、前記標準モデルにおける代表点付近の階調値分布と計測データにおいて当該代表点が存在する位置付近の階調値分布とが一致するように前記標準モデルが変形されるときに最適化される要素を有することを特徴とするプログラム。
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