JP4720401B2 - 増圧型流体圧シリンダ - Google Patents

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Description

本発明は、ピストンの押し出し終端付近において作動力を増大させる増圧型流体シリンダに関する。
流体圧シリンダを駆動源とするクランプ機構などにおいては、通常作動開始時では大きな作動力が不要であるが、作動の終端付近、つまり実際のクランプ動作などを行う時点では、大きな作動力が必要となる場合が多く、このため、クランプ機構などを作動する流体圧シリンダは、そのピストンロッドの押し出し終端付近において、開始位置や中間位置に比較して大きな作動力を出す必要がある。
このようなピストンロッドの押し出し終端付近で大きな作動力を出す増圧型流体圧シリンダとしては、例えば下記特許文献1に記載されたものがある。
特開平6−42507号公報
ところが、上記した特許文献1に記載の増圧型流体圧シリンダは、シリンダチューブ内に、ロッドカバーを間に挟んでその一方側にピストンを、他方側に増圧ピストンをピストンに対して相対移動可能に収容するとともに、ピストンからその軸方向に一体的に延びるピストンロッドを、ロッドカバーおよび増圧ピストンに貫通させてシリンダチューブ外に突出させ、また増圧ピストン内に作動流体を導入するための円錐形状の空間を形成し、かつこの空間内にロック機構を設けるなど、構造が極めて複雑なものとなっている。
そこで、本発明は、ピストンロッドの押し出し終端付近で大きな作動力を出す増圧型流体圧シリンダとして、構造を簡略化することを目的としている。
本発明は、シリンダ内に、第1ピストンおよび第2ピストンを、互いに軸方向に離間させつつ一体化した状態で移動可能に設けるとともに、前記第1ピストンと前記第2ピストンとの間に、これら相互間を移動可能な移動体を設け、前記移動体を前記第2ピストン側に押圧する押圧手段を、前記移動体と前記第1ピストンとの間に設け、前記第1ピストンの前記第2ピストンと反対側の作動圧力室に供給される作動流体によって前記第1,第2各ピストンが前記移動体とともに一体的に移動する途中で、前記移動体が当接して前記押圧手段を圧縮させつつ前記移動体を前記第2ピストン側から前記第1ピストン側へ相対移動させる当接部を、前記シリンダ内壁に設け、前記移動体の相対移動により前記第2ピストンと前記移動体との間に作動流体が導入される増圧室が形成されることを最も主要な特徴とする。
本発明によれば、シリンダ内に設けた第1ピストンおよび第2ピストンを互いに一体化させ、この一体化したピストンの移動によってこれら各ピストン間に設けた移動体を相対移動させて、第2ピストンと移動体との間に形成される増圧室に作動流体を導入するようにしたので、ピストンと増圧ピストンとを別体として相対移動させ、かつ増圧ピストン内に円錐形状の作動流体導入空間を形成するような従来のものに比較して、構造を簡略化することができる。
また、作動圧力室に供給される作動流体によって第1,第2各ピストンが移動体とともに一体的に移動する際に、移動体がシリンダ内壁に設けた当接部に当接して、移動体と第1ピストンとの間に設けた押圧手段を圧縮させつつ移動体を第2ピストン側から第1ピストン側へ相対移動させるので、移動体の第1,第2各ピストンに対する相対移動を確実に行って増圧室を形成することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す増圧型流体圧シリンダの断面図である。シリンダ1は、円筒部3と、円筒部の図1中で左右両端を閉塞する端板5,7とをそれぞれ備え、シリンダ1の内部には、第1ピストン9および、第1ピストン9より小径の第2ピストン11を、互いに軸方向に離間させつつ連結軸13で連結して一体化した状態で、軸方向(図1中で左右方向)に移動可能に設けている。
上記したシリンダ1の円筒部3は、第1,第2各ピストン9,11のそれぞれの外径に合わせ、大径の第1ピストン摺動部15および、小径の第2ピストン摺動部17をそれぞれ備えている。また、第1,第2各ピストン9,11の外周には、シール材10,12をそれぞれ設けている。
第2ピストン11の連結軸13と反対側には、ピストンロッド19の一端を連結し、ピストンロッド19の他端側は、シリンダ1の前記した一方の端板5の摺動孔5aを摺動可能に貫通して外部に突出し、図示しないクランプ機構などの適宜部位に連結する。
第1,第2各ピストン9,11相互間における連結軸13の外周には、移動体21を軸方向に移動可能に収容している。移動体21は、連結軸13が挿入されてその外面に対して摺動可能となる連結軸挿入孔21aを備え、外径が第1ピストン9と同等であってその外周面が第1ピストン摺動部15に対して摺動する。
上記した移動体21は、連結軸13の外周側の第1ピストン9との間に介装した押圧手段としてのスプリング23により、第2ピストン11に向けて押し付けられている。
また、スプリング23より外周側における、移動体21の第1ピストン9に対向する部位には、環状の作動部材挿入穴21bを設け、この作動部材挿入穴21bに、第1ピストン9側から延びる環状のロック手段を構成する作動部材25を移動可能に挿入する。作動部材25の先端は、先端側ほど小径となるよう楔状に形成し、この楔状に形成した先端傾斜面25aには、円周方向に沿って複数配置した押圧片27の内端面27aを当接させる。押圧片27の内端面27aは、作動部材25の先端傾斜面25aに対応して傾斜面としている。
押圧片27は、移動体21に形成した前述の作動部材挿入穴21bに連通する放射状の複数の貫通孔21cにそれぞれ移動可能に挿入し、各押圧片27の外端側には、ロック手段を構成する固定部材としてのロック球29を、貫通孔21cに対して移動可能にそれぞれ設置する。貫通孔21cの外端側は、シリンダ1の円筒部3の内周面に開口している。
円筒部3における第2ピストン摺動部17近傍の第1ピストン摺動部15のシリンダ内壁には、上記したロック球29の一部が入り込む環状の凹部15aを形成している。
また、シリンダ1の端板7と第1ピストン9との間、すなわち第1ピストン9の第2ピストン11と反対側には作動圧力室31を設け、作動圧力室31には、円筒部3に形成した第1作動流体給排ポート3aを連通させる。一方、端板5と第2ピストン11との間には作動流体室33を設け、作動流体室33には、円筒部3に形成した第2作動流体給排ポート3bを連通させる。
上記した第1作動流体給排ポート3aは、図示しない作動流体供給源に接続した作動流体方向切替弁の一方のポートに接続し、第2作動流体給排ポート3bは同作動流体方向切替弁の他方のポートに接続する。
また、第1,第2各ピストン9,11が図1の状態から図中で左方向に進出移動した図2の状態で、移動体21の第2ピストン11側の外周側面が当接する当接部3cを、シリンダ内壁である円筒部3の内周面の、前記した第1ピストン摺動部15と第2ピストン摺動部17との境界部分に設けている。
移動体21は、当接部3cへの当接によって、図1のような第2ピストン11に接触している状態から第1ピストン9側へ、スプリング23を撓ませつつ相対移動し、この相対移動により、図2に示すように、第2ピストン11と移動体21との間に増圧室35が形成される。
上記のように移動体21が当接部3cに当接した状態で、円筒部3の内壁に形成した凹部15aと、移動体21に形成した貫通孔21cとは互いに整合した位置となる。
前記した第1ピストン9から連結軸13および第2ピストン11の一部にわたり、一端が作動圧力室31に連通する作動流体通路37を形成する。この作動流体通路37は、連結軸13の第2ピストン11側の端部付近にて、前記した増圧室35に連通路39を通して連通可能である。
また、円筒部3には、一端が第2作動流体給排ポート3bに連通する連絡路3dを設け、この連絡路3dの他端は、図2の状態で、第1ピストン9と移動体21との間の空間41に連通する。
次に作用を説明する。図1の状態では、移動体21は、スプリング23に押されて第2ピストン11側に位置して第2ピストン11に接触しており、このとき、作動流体通路37に連通する連通路39を移動体21が遮断するとともに、ロック球29は貫通孔21c内に入り込んでいる。この状態で、第1作動流体給排ポート3aから作動圧力室31に作動流体を供給すると、第1,第2各ピストン9,11は一体となって移動体21ととともに端板5側に向けて図中で左方向に進出移動する。
上記した進出移動により、小径の第2ピストン11が第1ピストン摺動部15内から第2ピストン摺動部17に入り込み、さらに進出移動することで、図2に示すように、移動体21の第2ピストン11側の外周側面が円筒部3の内周面に形成した当接部3cに当接する。
この当接後さらに第1,第2各ピストン9,11が同方向に進出移動すると、移動体21は、当接部3cに当接したままであるのでシリンダ1に対しては移動せず、第1,第2各ピストン9,11に対し、第2ピストン11側から第1ピストン9側に相対移動することになる。
これにより、第2ピストン11と移動体21との間に、図2に示す増圧室35が形成され、移動体21は、連通路39を遮断する図1の状態から連通路39を開放する図2の状態となる。この際、増圧室35と作動圧力室31とが、連通路39および作動流体通路37を通して連通し、増圧室35には、作動圧力室31から作動流体通路37および連通路39を通して作動流体が供給される。
この結果、ピストンロッド19は、その押し出し終端付近において、作動圧力室31内の作動流体により押圧される第1ピストン9に加え、増圧室35に供給される作動流体により押圧される第2ピストン11により、増圧状態で押し出されることになる。
上記のように移動体21が当接部3cに当接した状態で、さらに第1,第2各ピストン9,11が進出移動する際には、スプリング23が撓むとともに、作動部材25が作動部材挿入孔21bの内部に入り込む。作動部材25は、作動部材挿入孔21bの内部に入り込むことで、押圧片27を介してロック球29を外方へ移動させ、このときロック球29を収容する貫通孔21cに整合した位置にある凹部15aに、ロック球29の一部が入り込み、上記増圧した状態で移動体21と円筒部3とがロックされる。
上記のように、第1,第2ピストン9,11が進出移動する際には、第2ピストン11の図2中で左側の作動流体室33内の作動流体が第2作動流体給排ポート3bからシリンダ1の外部に排出され、また、移動体21が当接部3cに当接後さらに第1,第2ピストン9,11が進出移動する際には、第1ピストン9と移動体21との間の空間41内の作動流体が、空間41の容積の減少に伴って連絡路3dから第2作動流体給排ポート3bを経てシリンダ1の外部に排出される。
図2の状態から、ピストンロッド19を図中で右方向に後退移動させる際には、作動流体を第2作動流体給排ポート3bから作動流体室33に供給することで、第1,第2各ピストン9,11が一体となって図2中で右側へ後退移動する。これにより、第2ピストン11が移動体21に接触して、増圧室35内の作動流体が、連絡路39および作動流体通路37を通して作動圧力室31に戻り、第1作動流体給排ポート3aを通してシリンダ1の外部に排出される。
上記のような、第2ピストン11の移動体21に接触するまでの後退移動では、移動体21は、当接部3cにほぼ当接したままであって第1ピストン9に対して相対的に離れる方向に移動することになり、この際スプリング23が伸長すると同時に、作動部材25が作動部材挿入孔21bから引き抜かれる方向に移動体21に対して相対移動する。
また、移動体21が第1ピストン9に対して相対的に離れることで、空間41の容積が拡大するので、その分連絡路3dを通して作動流体が空間41に入り込む。
作動部材25が作動部材挿入孔21bから引き抜かれる方向に移動することで、押圧片27およびロック球29は内方へ向けて移動可能な状態となり、この際ロック球29は、凹部15aに外周側の一部が入り込んでいるだけなので、移動体21が図2中で右方向に移動しようとする際に、貫通孔21cを内方へ向けて移動してロックを解除する。このロック解除により、第1,第2ピストン9,11は、移動体21とともにさらに図2中で右方向に後退移動して図1の状態に戻る。
このように、本実施形態においては、シリンダ1内に設けた第1ピストン9および第2ピストン11を互いに一体化させ、この一体化したピストンの移動によってこれら各ピストン9,11間に設けた移動体21を移動させて、第2ピストン11と移動体21との間に形成される増圧室35に作動流体を導入するようにしたので、ピストンと増圧ピストンとを別体として相対移動させ、かつ増圧ピストン内に円錐形状の作動流体導入空間を形成するような従来のものに比較して、構造を簡略化することができる。
また、増圧室35は、第1ピストン9内に設けた作動流体通路37を通して作動圧力室35に連通し、移動体21は、第2ピストン11側にあるときに作動流体通路37を遮断し、この遮断状態に対し第2ピストン11側から第1ピストン9側へ相対移動した状態で、作動流体通路37を開放するようにしたので、増圧室35に対する作動流体の供給および排出を確実に行うことができる。
さらに、移動体21を第2ピストン11側に弾性的に押圧するスプリング23を、移動体21と第1ピストン9との間に設け、作動圧力室31に供給される作動流体によって第1,第2各ピストン9,11が一体的に移動する際に、移動体21が当接してスプリング23を圧縮させつつ移動体21を第2ピストン11側から第1ピストン9側へ相対移動させる当接部31cを、シリンダ1の内壁に設けたので、移動体21の第1,第2各ピストン9,11に対する相対移動を確実に行って増圧室35を形成することができる。
また、移動体21が第2ピストン11側から第1ピストン9側へ移動して、第2ピストン11と移動体21との間に形成される増圧室35に作動流体が導入される際に、移動体21をシリンダ1の内壁に固定するロック手段(ロック球29,作動部材25)を設けたので、増圧室35に作動流体が導入された増圧状態をロック固定することができる。
この際上記したロック手段は、移動体21が第2ピストン11側から第1ピストン9側へ相対移動する際に、第1ピストン9に押されて移動体21内に入り込む作動部材25と、この作動部材25の移動によって移動体21側からシリンダ1の内壁の凹部15aに一部が入り込んで両者相互をロック固定するロック球29とを有する構成としたので、移動体21とシリンダ1とのロック固定を確実に行うことができる。
なお、上記した実施形態では、作動部材25の基端部を第1ピストン9に直接固定しているが、作動部材25の基端部にスプリングを設けて作動部材25をその先端側に向けて押圧するようにしてもよい。この際、第1ピストン9にはスプリングおよび作動部材25の基端部の一部を収容するスプリング収容穴を設ける。
このような構成とすることで、ロック球29が凹部15aに入り込んでロックを行う際に、作動部材25は、スプリングにより押圧されるので、全体の移動量を少なくすることができ、作動部材挿入孔21bの深さを浅くすることが可能となる。
本発明の一実施形態を示す増圧型流体圧シリンダの断面図である。 図1の状態からピストンロッドが進出移動した状態を示す断面図である。
符号の説明
1 シリンダ
3c 当接部
9 第1ピストン
11 第2ピストン
15a シリンダ内壁の凹部
21 移動体
23 スプリング(押圧手段)
25 作動部材(ロック手段)
29 ロック球(固定部材,ロック手段)
31 作動圧力室
35 増圧室
37 作動流体通路

Claims (5)

  1. シリンダ内に、第1ピストンおよび第2ピストンを、互いに軸方向に離間させつつ一体化した状態で移動可能に設けるとともに、前記第1ピストンと前記第2ピストンとの間に、これら相互間を移動可能な移動体を設け、前記移動体を前記第2ピストン側に押圧する押圧手段を、前記移動体と前記第1ピストンとの間に設け、前記第1ピストンの前記第2ピストンと反対側の作動圧力室に供給される作動流体によって前記第1,第2各ピストンが前記移動体とともに一体的に移動する途中で、前記移動体が当接して前記押圧手段を圧縮させつつ前記移動体を前記第2ピストン側から前記第1ピストン側へ相対移動させる当接部を、前記シリンダ内壁に設け、前記移動体の相対移動により前記第2ピストンと前記移動体との間に作動流体が導入される増圧室が形成されることを特徴とする増圧型流体圧シリンダ。
  2. 前記増圧室は、前記第1ピストン内に設けた作動流体通路を通して前記作動圧力室に連通し、前記移動体は、前記第2ピストン側にあるときに前記作動流体通路を遮断し、この遮断状態に対し前記第2ピストン側から前記第1ピストン側へ相対移動した状態で、前記作動流体通路を開放することを特徴とする請求項1に記載の増圧型流体圧シリンダ。
  3. 前記移動体が前記第2ピストン側から前記第1ピストン側へ移動して、前記第2ピストンと前記移動体との間に形成される増圧室に作動流体が導入される際に、前記移動体を前記シリンダ内壁に固定するロック手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の増圧型流体圧シリンダ。
  4. 前記ロック手段は、前記移動体が前記第2ピストン側から前記第1ピストン側へ相対移動する際に、前記第1ピストンに押されて前記移動体内に入り込む作動部材と、この作動部材の移動によって前記移動体側から前記シリンダ内壁の凹部に一部が入り込んで両者相互をロック固定する固定部材とを有することを特徴とする請求項に記載の増圧型流体圧シリンダ。
  5. 前記作動部材の先端を楔状に形成し、この楔状とした前記作動部材の先端に押されて前記固定部材が前記シリンダ内壁の凹部に向けて移動することを特徴とする請求項に記載の増圧型流体圧シリンダ。
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