JP4720015B2 - 加力装置、加力方法、搬送装置および搬送方法 - Google Patents

加力装置、加力方法、搬送装置および搬送方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性を有する非磁性体に適用して好適な加力装置、加力方法、搬送装置および搬送方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、特開平5−285417号公報などに開示されているように、アルミニウムや、ステンレス、銅などの導電性を有する非磁性体に対して交流電磁石にて交流磁界を印加し、非磁性体に渦電流を発生させ、交流磁界と渦電流との相互作用から生じる力を利用して、非磁性体に力を加えるといったことが行われている。
【0003】
この反発力は、交流電磁石による交流磁界の磁束に概ね比例して大きくなる。つまり、交流電磁石に供給する皮相電力を大きくすることにより、非磁性体に加わる力を大きくするといったことが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術にあっては、交流電磁石に供給する皮相電力と、この皮相電力を供給したことにより生じる力の大きさとの比(以下、この比を「電源効率」と称する)を考慮していない。したがって、電源効率が低い場合、大きな反発力を発生させるには、電源効率が高い場合に較べて交流電磁石に供給する皮相電力を大きくしなければならず、この結果、より大きな容量の電源設備を設けなければならない、といった問題があった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、電源効率を向上させることが可能な加力装置、加力方法、搬送装置および搬送方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の加力装置にあっては、導電性を有する非磁性体に力を作用させる加力装置において、前記非磁性体と離れて配置された交流電磁石と、前記交流電磁石に交流電流を供給する電流供給手段と、前記交流電流の周波数を制御する周波数制御手段とを備えている。
【0007】
この加力装置にあっては、導電性を有する非磁性体に力を作用させる加力装置において、電流供給手段により、前記非磁性体と離れて配置された交流電磁石に交流電流が供給される。また、前記交流電流の周波数は、周波数制御手段により制御される。ここで、前記周波数制御手段は、電源効率が略最大となるように前記交流電流の周波数を制御することが望ましい。
【0008】
また、上記目的を達成するために、前記周波数制御手段は、前記非磁性体に流れる渦電流と、前記交流電磁石による磁束との位相差に基づいて前記周波数を制御することが好ましい。
この場合、前記周波数制御手段は、前記交流電磁石による磁束を測定する磁束測定手段と、前記交流電流を測定する電流測定手段と、前記交流電磁石に印加される交流電圧の位相を取得する交流電圧取得手段を更に有し、前記交流電磁石による交流磁界を前記非磁性体に作用させる状態において測定された前記磁束および前記交流電流のそれぞれの振幅と前記交流電圧の位相を基準とした位相と、前記交流電磁石による交流磁界を前記非磁性体に作用させない状態において測定された前記磁束および前記交流電流のそれぞれの振幅と前記交流電圧を基準とした位相とに基づいて前記交流電磁石による交流磁界を前記非磁性体に作用させる状態における渦電流を推定するといった構成が好ましい。
【0009】
この構成にあっては、周波数制御手段により、前記交流電磁石による交流磁界を前記非磁性体に作用させる状態において測定された前記磁束および前記交流電流のそれぞれの振幅と前記交流電圧の位相を基準とした位相と、前記交流電磁石による交流磁界を前記非磁性体に作用させない状態において測定された前記磁束および前記交流電流のそれぞれの振幅と前記交流電圧を基準とした位相とに基づいて前記交流電磁石による交流磁界を前記非磁性体に作用させる状態における渦電流が推定される。そして、周波数制御手段により、推定された渦電流と、前記交流電磁石による磁束との位相差に基づいて前記周波数が制御される。ここで、前記周波数制御手段は、前記推定された渦電流と、前記交流電磁石による磁束との位相差が略3π/4になるように前記周波数を制御することが望ましい。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明の加力方法にあっては、導電性を有する非磁性体に力を作用させる加力方法において、前記非磁性体と離れて配置された交流電磁石に供給される交流電流の周波数を制御する。ここで、周波数制御手段は、電源効率が略最大となるように前記周波数を制御することが望ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態では、銅や、アルミニウム、ステンレスなどの導電性を有する非磁性体材を生産する設備において、この非磁性体材の搬送装置に本発明を適用したものを例示する。
【0012】
図1は、本発明の本実施形態にかかる非磁性体材の搬送装置100の構成を示すブロック図である。図1において、非磁性体材10は、図中矢印で示される走行方向に延在する帯板状のものである。この非磁性体材10は、ローラ11によって、図中矢印により示される方向に搬送される。なお、図1には、搬送時に生じる振動や、曲げ、反りなどにより、非磁性体材10の走路面が非磁性体材10の理想的な走路面からずれた状態を一点破線A,Bで示す。
【0013】
図1において、電流コントローラ22は、交流電磁石20a、20bに交流電圧を印加することにより交流電流を供給するものである。交流電磁石20a、20bは、非磁性体材10の理想的な走行面を挟んで互いに対向して配置されている。これらの交流電磁石20a、20bは、交流電流が供給されると、それぞれの磁極間に、供給された交流電流の振幅に比例した強さの交流磁界を発生する。また、交流電磁石20aの磁極付近には、磁束測定装置50(以下、単に「磁束計50」と称する)が配置されている。この磁束計50は、交流電磁石20aが発生する交流磁界の磁束を測定し、測定結果を示す磁束信号を周波数コントローラ54に出力する。
【0014】
さらに、電流コントローラ22と交流電磁石20aとを結ぶ交流電流の供給線には、交流電流測定装置52(以下、単に「電流計52」と称する)が設けられており、この電流計52は、供給線を流れる交流電流を測定し、測定結果を示す電流信号を周波数コントローラ54に出力する。
そして、周波数コントローラ54は、磁束計50から供給される磁束信号と、電流計52から供給される電流信号とから、交流電磁石20a、20bに供給すべき交流電流の周波数を決定し、この決定した周波数値を示す周波数指示信号を電流コントローラ22に出力する。なお、この周波数コントローラ54の詳細については、後述する。
【0015】
一方、交流電磁石20aの磁極間の中心付近には、距離センサ21が配置されている。この距離センサ21は、距離センサ21の検出部から非磁性体材10までの距離dを検出して、検出値を示す距離検出信号を電流コントローラ22に出力する。
電流コントローラ22は、距離センサ21から供給される距離検出信号から交流電流の振幅を決定する。また、電流コントローラ22は、この決定した振幅と、周波数コントローラ54からの周波数指示信号とによって指定される交流電流を交流電磁石20a、20bに供給すべく、交流電磁石20a、20bに交流電圧を印加する。
【0016】
このような構成において、それぞれの交流電磁石20a、20bは、電流コントローラ22により交流電圧が印加されることで交流電流が供給されると、非磁性体材10に浸透する交流磁界を発生する。この交流磁界により、非磁性体材10には渦電流が流れる。そして、この渦電流と、交流電磁石20a、20bが発生する交流磁界との相互作用により、非磁性体材10を交流電磁石20aから遠ざける方向の反発力Faと、非磁性体材10を交流電磁石20bから遠ざける方向の反発力Fbが発生する。
【0017】
ここで、電源効率を発生する反発力Fと交流電磁石20に供給される皮相電力とを用いて、電源効率η=(反発力)/(皮相電力)と定義する。
上述した周波数コントローラ54は、この電源効率ηが最大となるように、交流電磁石20に供給される交流電流の周波数を制御する。そこで、この周波数コントローラ54の構成および動作をより理解し易くするために、交流電磁石20に供給される交流電流の周波数と電源効率との関係について詳述する。
【0018】
図2は、非磁性体材10の片側だけに交流電磁石20を配置した場合に、交流電磁石20と非磁性体材10とにおける電流の流れを、相互誘導回路で表した回路図である。同図において、図面左側の閉回路は、交流電磁石20の等価回路を示し、図面右側の閉回路は、非磁性体材10の等価回路を示す。
同図に示すように、交流電磁石20の等価回路は、この交流電磁石20の抵抗R1とインダクタンスL1とを用いて表される。一方、非磁性体材10の等価回路は、非磁性体材10における渦電流路の抵抗R2とインダクタンスL2とを用いて表される。なお、同図において、インダクタンスL1とインダクタンスL2との間の相互インダクタンスをM12で示す。
【0019】
同図おいて、交流電磁石20に交流電圧E1が印加された場合、この交流電磁石20には、交流電流I1が流れる。この結果、交流電磁石20の磁極には、(1)式で示される磁束φ12が発生する。
【0020】
【数1】
Figure 0004720015
【0021】
(ただし、N1は、交流電磁石20のコイルの巻き数を示す。)
そして、磁束φ12が非磁性体材10に浸透する結果、電磁誘導により非磁性体材10には、渦電流I2が誘起される。なお、上述した交流電圧E1、交流電流I1、渦電流I2、磁束φ12のそれぞれは、振幅、位相および周波数ωによって表されるベクトル量である。
【0022】
次いで、図2に示す回路図を、相互インダクタンスM12を用いて表した等価回路を図3に示す。図3において、Ll1は、交流電磁石20の漏れインダクタンスを示し、Ll2は、非磁性体材10における渦電流路の漏れインダクタンスを示す。また、交流電流I0は、相互インダクタンスM12のコイルに流れる交流電流であり、キルヒホッフ(Kirchhoff)の電流連続の法則より、(2)式が成り立っている。
【0023】
【数2】
Figure 0004720015
【0024】
一方、図3に示す回路において、この回路に供給される皮相電力(複素電力)Pは、次式で表される。
【0025】
【数3】
Figure 0004720015
【0026】
(ただし、’*’は、共役複素数を示す)
(3)式における第1項は、交流電磁石20における発熱などにより消費される皮相電力を示し、第2項は、磁束φ12を発生させるために消費される皮相電力を示す。そして、第3項は、非磁性体材10における発熱などにより消費される皮相電力を示す。
【0027】
本実施形態にあっては、交流電磁石20に大きな交流電流を供給することによる発熱を防ぐため、交流電磁石20の抵抗R1を低く抑えている。さらに説明すると、交流電磁石20を構成するコイルの材料として、導電率の高い金属を用いて、このコイルにおける電気抵抗値を低くしている。
また、本実施形態にあっては、導電性を有する非磁性体を非磁性体材10として使用するため、非磁性体材10における渦電流路の抵抗R2は、比較的小さい値となる。したがって、(3)式に示す皮相電力Pの各項のうち、相対的に第2項が支配的となり、(3)式で示される皮相電力Pは、(4)式で概算される。
【0028】
【数4】
Figure 0004720015
【0029】
一方、非磁性体材10に加わる反発力Fは、交流電磁石20の磁束φ12と、非磁性体材10に流れる渦電流I2とに比例して大きくなる。したがって、反発力Fの大きさは、比例定数をkfとすると、(1)式を用いて次式で表される。
【0030】
【数5】
Figure 0004720015
【0031】
ところで、図3に示す等価回路の各閉回路にキルヒホッフ(Kirchhoff)の電圧平衡の法則を適用すると、次に示す(6)式、(7)式が得られる。
【0032】
【数6】
Figure 0004720015
【0033】
【数7】
Figure 0004720015
【0034】
さらに、(2)式、(6)式および(7)式から、交流電流I0と渦電流I2とは、それぞれ(8)式、(9)式で表される。
【0035】
【数8】
Figure 0004720015
【0036】
【数9】
Figure 0004720015
【0037】
また、(8)式および(9)式から、(4)式に示す皮相電力Pは、(10)式によって表される。
【0038】
【数10】
Figure 0004720015
【0039】
同様にして、(8)式および(9)式から、(5)式で表される反発力Fは、(11)式のように表される。
【0040】
【数11】
Figure 0004720015
【0041】
したがって、(10)式および(11)式から、電源効率ηは、(12)式で表される。
【0042】
【数12】
Figure 0004720015
【0043】
ここで、(12)式で表される電源効率ηが最大になる条件を、(12)式を周波数ωで微分することにより求めると、この条件は、(13)式で表される。
【0044】
【数13】
Figure 0004720015
【0045】
この(13)式に示されるように、電源効率ηが最大となる条件は、非磁性体材10の渦電流路における抵抗R2と漏れリアクタンスωLl2とが等しくなる条件である。つまり、電源効率ηを最大とするには、交流電磁石20に供給する交流電流I1の周波数ωを、非磁性体材10における渦電流路の抵抗R2と漏れリアクタンスωLl2とが等しくなるように設定すればよい。
【0046】
また、電源効率ηが最大になる条件は、交流電流I0と渦電流I2との位相差の条件として表現することもできる。
より具体的には、(13)式が成立する場合、相互インダクタンスM12のコイルに発生する誘導起電力EMの位相は、交流電流I0の位相に対してπ/2だけ進む。一方、誘導起電力EMの位相は、渦電流I2の位相に対して、5π/4だけ進む。したがって、交流電流I0と渦電流I2との位相差は、3π/4となる。また、交流電流I0と、磁束φ12とは、同位相であることから、磁束φ12と渦電流I2との位相差が3π/4となるときに、(13)式が成立し、電源効率ηは、最大となる。
【0047】
以上説明したように、周波数コントローラ54は、電源効率ηを最大にすべく、磁束φ12と渦電流I2との位相差が3π/4となるように、交流電磁石20に供給される交流電流I1の周波数を制御する。しかしながら、渦電流I2を直接測定するこは、困難であることから、本実施形態にあっては、渦電流I2の推定を行っている。そこで、以下では、周波数コントローラ54が行う渦電流I2の推定法について詳述する。
【0048】
図4は、搬送路から非磁性体材10を取り除いた場合の交流電磁石20の等価回路を、相互インダクタンスM12を用いて表した回路図である。同図に示す等価回路において、相互インダクタンスM12のコイルに発生する磁束φ12’は、交流電磁石20に供給される交流電流I1’を用いて次式で表される。
【0049】
【数14】
Figure 0004720015
【0050】
また、非磁性体材10が搬送路にある場合の交流電流I0は、(1)式と(14)式とから(15)式で表される。
【0051】
【数15】
Figure 0004720015
【0052】
したがって、渦電流I2は、(2)式と(15)式とを用いて(16)式で表される。
【0053】
【数16】
Figure 0004720015
【0054】
(16)式に示されるように、渦電流I2は、磁束φ12、φ12’および、交流電流I1、I1’から推測できる。これらの磁束φ12、φ12’と、交流電流I1、I1’とは、磁束計50および電流計52によって測定可能である。しかしながら、磁束φ12と磁束φ12’とは、測定条件が異なるため、同時に測定することができず、また、同様に、交流電流I1とI1’とは、同時に測定することができない。
従って、磁束φ12、φ12’および交流電流I1、I1’のそれぞれの瞬時値を(16)式に代入して渦電流I2を算出することができないため、この渦電流I2を如何にして算出するかが問題となる。
【0055】
この点、(16)式の磁束φ12、φ12’および交流電流I1、I1’のそれぞれを複素ベクトルで表すとすれば、それぞれの振幅と位相とが判明すればよい。しかしながら、それぞれの振幅は、磁束計50および電流計52により測定可能であるが、それぞれの位相は、何を基準とするかが問題となる。
この点、磁束φ12、φ12’および交流電流I1、I1’のそれぞれは、交流電圧E1に起因して発生するものであるから、この交流電圧E1を基準として、磁束φ12、φ12’および交流電流I1、I1’のそれぞれの位相を定めることができる。
【0056】
そこで、本実施形態にあっては、磁束計50により測定された磁束φ12、φ12’の測定値から、磁束φ12、φ12’それぞれの交流電圧E1に対する位相差を求める一方、電流計52により測定された交流電流I1、I1’の測定値から、交流電流I1、I1’のそれぞれの交流電圧E1に対する位相差を求める。そして、磁束φ12、φ12および交流電流I1、I1’のそれぞれを複素ベクトルで表し、(16)式を用いて、渦電流I2の複素ベクトルを求める。次いで、複素ベクトルで表された渦電流I2の実部と虚部とから、渦電流I2の交流電圧E1に対する位相差が推定される。さらに、渦電流I2の振幅は、複素ベクトルの大きさから推定される。
この結果、渦電流I2と磁束φ12とのそれぞれの交流電圧E1に対する位相差から、渦電流I2と磁束φ12との相対的な位相差Φが求められる。
【0057】
このようにして、磁束φ12と渦電流I2との相対的な位相差Φを求めた後、周波数コントローラ54は、電源効率ηが最大となるように、位相差Φにしたがって交流電磁石20に供給する交流電流I1の周波数ωを制御する。
より具体的に説明すると、上述したように電源効率ηは、磁束φ12と渦電流I2との位相差Φが、3π/4となったときに最大となる。そこで、周波数コントローラ54は、この位相差Φが、3π/4となるように交流電磁石20に供給する交流電流I1の周波数ωを制御する。そこで、この周波数ωの制御方法について、以下に説明する。
【0058】
相互インダクタンスM12のコイルに発生する誘導起電力EMを基準にし場合、この誘導起電力EMと渦電流I2との位相差は、次式に示すように、非磁性体材10における渦電流路の抵抗R2と漏れインダクタンスLl2とを用いて表され、πから3π/2までのいずれかの値をとる。
【0059】
【数17】
Figure 0004720015
【0060】
一方、上述したように、交流電流I0の位相は、誘導起電力EMの位相に対して、π/2だけ遅れており、また、磁束φ12と交流電流I0とのそれぞれの位相は、同位相であるため、結果として、磁束φ12と渦電流I2との位相差Φは、(17)式の値に応じてπ/2からπまでのいずれかの値をとる。
【0061】
ところで、(17)式に示されているように、交流電磁石20に供給される交流電流I1の周波数ωが変化すると、これに応じて位相差Φも変化する。より具体的には、周波数ωが大きくなると、これに対応して漏れリアクタンスωLl2も大きくなることから、位相差Φも、大きくなる。一方、これとは逆に、周波数ωが小さくなると、これに対応して漏れリアクタンスωLl2も小さくなることから、位相差Φは、小さくなる。
そこで周波数コントローラ54は、位相差Φに応じて次のように周波数を制御する。
【0062】
(i)位相差Φがπ/2以上であり、かつ、3π/4未満の場合
周波数コントローラ54は、位相差Φを大きくして3π/4に近づけるべく、周波数ωを大きくする。
(ii)位相差Φが3π/4より大きく、かつ、π以下の場合
周波数コントローラ54は、位相差Φを小さくして3π/4に近づけるべく、周波数ωを小さくする。
なお、図2および図3に示した等価回路図において、渦電流I2の極性の定義を逆にした場合にも、同様にして制御することができる。
【0063】
次いで、周波数コントローラ54の構成について説明する。
図5は、周波数コントローラ54の機能的構成を示すブロック図である。
同図において、I/F部60は、この周波数コントローラ54と他の装置間の各種信号の授受を制御部62の制御の下に行うものである。
また、制御部62は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)などを有しており、周波数コントローラ54の各構成部の動作の制御を行う他、各種演算や、データの一時的な記憶などを行う。
そして、記憶部64は、例えば磁気ディスクやROM(Read Only Memory)などの記憶媒体を有しており、制御プログラムや各種データなどを記憶するものである。この制御プログラムは、制御部62の動作手順を示すものである。
また、記憶部64に記憶されているデータとしては、搬送路に非磁性体材10がない場合の磁束φ12’と交流電流I1’とが、交流電圧E1(交流電流I1’)の周波数ωと対応付けられたテーブルデータなどがある。
【0064】
図6は、記憶部64に記憶されているテーブルデータの一例を示す概念図である。同図に示すように、磁束φ12’の振幅および交流電圧E1に対する位相と、交流電流I1’の振幅および交流電圧E1に対する位相とが、交流電圧E1(交流電流I1’)の周波数ωと対応付けられて記憶部64に記憶されている。なお、同図に示すようなテーブルデータとしてではなく、磁束φ12’の振幅および交流電流E1に対する位相を周波数ωの関係を示す関数を記憶部64に記憶するようにしてもよい。また、交流電流I1’の振幅および交流電圧E1に対する位相についても同様に、周波数のωの関数として記憶部64に記憶するようにしてもよい。
【0065】
さて、本実施形態にあっては、先ず始めに、周波数コントローラ54が、交流電磁石20a、20bに供給される交流電流の最適周波数ωoptを決定する。この最適周波数ωoptは、電源効率ηを最大とする周波数である。そこで、周波数コントローラ54の最適周波数決定動作について説明する。なお、以下に説明する最適周波数決定動作にあっては、電流コントローラ22が、周波数コントローラ54から出力される周波数指示信号により示される周波数の交流電流を、交流電磁石20a、20bのうちのいずれか一の交流電磁石20に供給する。
【0066】
図7は、周波数コントローラ54の最適周波数決定動作を示すフローチャートである。
同図に示すように、先ず、周波数コントローラ54の制御部62は、交流電磁石20に供給する交流電流I1の周波数の初期値として初期周波数ω0を設定する(ステップA1)。次いで、制御部62は、ステップA1において設定した周波数値を示す周波数指示信号を電流コントローラ22に出力する(ステップA2)。周波数指示信号を取得すると、電流コントローラ22は、周波数指示信号により示される周波数を有するとともに、予め定められた振幅の交流電流I1を交流電磁石20に供給すべく、交流電磁石20に交流電圧E1を印加する。
【0067】
さて、交流電磁石20に交流電流I1が供給されることにより、交流電磁石20の磁極には、交流磁界が発生する。周波数コントローラ54の制御部62は、この交流磁界の磁束φ12の振幅(瞬時値)を磁束計50から取得するとともに、交流電磁石20に供給されてい交流電流I1の振幅(瞬時値)を電流計52から取得する(ステップA3)。
【0068】
次いで、周波数コントローラ54の制御部62は、磁束φ12と渦電流I2との位相差Φを算出する(ステップA4)。より具体的に説明すると、制御部62は、ステップA2において電流コントローラ22に周波数指示信号により指示された周波数ωに対応する磁束φ12’と交流電流I1’とのそれぞれの位相と振幅とを記憶部64に記憶されているテープルデータから取得する。次いで、制御部62は、テーブルデータから取得した値と、磁束計50および電流計52から取得した値とから(式16)にしたがって渦電流I2の振幅および交流電圧E1に対する位相を算出する。そして、制御部62は、算出した渦電流I2と磁束φ12との位相差Φを算出する。
【0069】
このように、位相差Φを算出した後、周波数コントローラ54の制御部62は、位相差Φが、電源効率ηを最大にする位相差(=3π/4)からどれだけ離れているかを求めるために、ステップA3において算出した位相差Φから3π/4を減算し、この減算した結果を位相偏差ΔΦとして一時的に記憶する(ステップA5)。次いで、この位相偏差ΔΦが十分に小さいかを判定するために、制御部62は、位相偏差ΔΦの絶対値と偏差許容値Φerrorとの大小を判別する(ステップA5)。この偏差許容値Φerrorは、十分小さい値に設定されており、位相偏差ΔΦが偏差許容値Φerrorよりも小さければ、電源効率ηは、概ね最大であるとみなされる。したがって、ステップA5における判別の結果、位相偏差ΔΦが偏差許容値Φerrorより小さい場合、制御部62は、ステップA2において、電流コントローラ22に周波数指示信号にて指定した周波数ωが電源効率ηを最大にする最適周波数ωoptであるとして、処理を終了する。
【0070】
一方、位相偏差ΔΦが偏差許容値Φerrorより大きければ、周波数コントローラ54の制御部62は、位相偏差ΔΦをより小さくすべく、処理手順をステップA7に進める。このステップA7にあっては、ステップA5において算出した位相差Φが3π/4よりも大であるか否かを判別するために、制御部62は、位相偏差ΔΦが’0’より大きいか否かの判別を行う(ステップA7)。
【0071】
ステップA7における判別の結果、位相偏差ΔΦが’0’よりも大きいと判別された場合、周波数ωを小さくすることにより磁束φ12と交流電流I2との位相差Φを小さくするために、周波数コントローラ54の制御部62は、ステップA2において電流コントローラ22に指示した周波数から、周波数変更幅Δωだけ減算した後(ステップA8)、処理手順をステップA2に戻す。この周波数変更幅Δωは、位相差Φを偏差許容値Φerrorだけ変化させるに必要な周波数幅よりも小さい値に設定されていれば、任意に設定可能である。
【0072】
一方、位相偏差ΔΦが’0’よりも小さければ、周波数ωを大きくすることにより磁束φ12と交流電流I2との位相差Φを大きくするために、制御部62は、ステップA2において電流コントローラ22に指示した周波数に周波数変更幅Δωだけ加算した後(ステップA9)、処理手順をステップA2に戻す。
【0073】
周波数コントローラ54の制御部62が、以上の動作を行うことにより、電源効率ηが概ね最大となる(つまり、磁束φ12と交流電流I2との位相差Φが3π/4に十分近くなる)最適周波数ωoptが決定される。
【0074】
さて、本実施形態にあっては、周波数コントローラ54が最適周波数ωoptを決定した後、電流コントローラ22が、この最適周波数のωoptの交流電圧E1を交流電磁石20a、20bに印加して、各交流電磁石20a、20bに交流電流を供給する。このとき、非磁性体材10が理想的な走路面からどれだけずれているかに応じて、それぞれの交流電磁石20a、20bに供給する交流電流の振幅を制御する。そこで、このような動作を行う電流コントローラ22について説明する。
【0075】
図8は、電流コントローラ22の構成の一例を示すブロック図である。同図において、減算器30は、距離センサ21の距離検出値dを目標値から減算し、減算結果を出力するものである。ここで、この目標値は、距離センサ21から非磁性体材10の理想的な走行面までの距離d0である。従って、減算器30から得られる減算結果は、非磁性体材10の理想的な走行面からのずれを表している。
【0076】
次いで、補償器31は、減算器30によって求められたずれ(以下、「偏差」と称する)が供給されると、この偏差をなくすために必要な非磁性体材10に与えるべき反発力を演算し、力指令値Fとして出力する。また、補償器31は、交流電磁石20と非磁性体材10とからなる力学系の応答特性を補償するための補償手段を有している。この補償手段は、P(比例要素)、I(積分要素)およびD(微分要素)を組み合わせて構成されている。補償器31は、力指令値Fとして、この補償手段による補償がなされたものを出力する。
【0077】
また、反発力コントローラ32は、補償器31からの力指令値Fに対応した反発力を発生させるために、交流電磁石20a、20bのそれぞれに供給する交流電流の大きさを演算して、電流指令信号Ia、Ibとして出力する。
【0078】
そして、駆動装置33は、電圧アンプなどを備えており、反発力コントローラ32から出力される電流指令信号IaおよびIbによって指定される振幅と、周波数コントローラ54から出力された周波数指示信号により指定される周波数とにより示される交流電流を交流電磁石20に供給すべく、交流電磁石20に交流電圧を印加するものである。
【0079】
上述したように、反発力コントローラ32は、補償器31から出力される力指令値Fにしたがって交流電磁石20a、20bの各々に供給するべき交流電流の振幅を設定するものである。以下、この交流電流の振幅の設定方法について説明する。
【0080】
一般的に、交流電磁石20に交流電流Iを供給した場合、非磁性体材10を交流電磁石20から遠ざける方向に発生する反発力Fの大きさは、この交流電流Iの振幅の2乗に概ね比例して大きくなる。したがって、比例乗数をkとすると、交流電流Iの振幅と、この交流電流Iが交流電磁石20に供給されることにより発生する反発力Fの大きさとの関係は、次式のように表される。
【0081】
【数18】
Figure 0004720015
【0082】
【数19】
Figure 0004720015
【0083】
一方、本実施形態にあっては、電流コントローラ22の非線形性が強まることにより、制御性能を上げることができないといった問題を回避するために、定常的に予め定めた強さの反発力(以下、「定常反発力」と称する)を非磁性体材10に加えるための定常反発力信号を生成して、制御系の非線形性の強まりを回避している。なお、以下の説明において、補償器31から出力される力指令値のうち、この定常反発力に対応する力指令値を定常力指令値F0と称する。
【0084】
さて、定常反発力を発生させるために必要な交流電流をIs、力指令値Fで指定された反発力を発生させるために必要な交流電流を△Iとする。
Is+△Iで指定される交流電流を交流電磁石20aに供給する一方で、Is−ΔIで指定される交流電流を交流電磁石20bに供給した場合、交流電磁石20aにより発生する反発力Faと、交流電磁石20bにより発生する反発力Fbとは、それぞれ(20)式、(21)式によって表される。
【0085】
【数20】
Figure 0004720015
【0086】
【数21】
Figure 0004720015
【0087】
さらに反発力Faと反発力Fbとの合力の計算から、非磁性体材10に加わる正味の反発力、つまり、力指令値Fで指定される反発力は、(22)式と表される。
【0088】
【数22】
Figure 0004720015
【0089】
(ただし、F0=kIs 2
したがって、力指令値Fで指定された反発力を発生させるために必要な交流電流△Iは、(23)式で表される。
【0090】
【数23】
Figure 0004720015
【0091】
図9は、上述した方法により交流電磁石20a、20bに供給する交流電流の振幅を決定する反発力コントローラ32の構成の概略を示したブロック図である。
同図において、比例ブロック42は、(23)式に示される演算を実行するために設けられている。より具体的には、比例ブロック42は、補償器31から力指令値Fを取得すると、この力指令値Fを4(F0/Is)により除算演算を実行して、この演算結果を変動分交流電流振幅指令値△Iとして出力する。
【0092】
加算器40aは、比例ブロック42から変動分交流電流振幅指令値△Iを取得すると、この変動分交流電流振幅指令値△Iと定常分交流電流振幅指令値Isとの加算演算を実行し、交流電流振幅指令加算値Is+△Iを出力する。この定常分交流電流振幅指令値Isは、定常反発力F0を発生させるに必要な交流電流の振幅を指定するものである。
【0093】
また、減算器40bは、比例ブロック42から変動分交流電流振幅指令値△Iを取得すると、この変動分交流電流振幅指令値△Iと定常分交流電流振幅指令値Isとの減算演算を実行し、交流電流振幅指令減算値Is−△Iを出力する。
次いで、クランプ器41aは、加算器40aから出力された交流電流振幅指令加算値I0+△Iの絶対値を求め、交流電流振幅指令値I’aとして出力する。また、クランプ器41bも同様に、減算器40bから出力された交流電流振幅指令減算値Is−△Iの絶対値を求め、交流電流振幅指令値I’bとして出力するものである。
【0094】
次に、乗算器45aは、クランプ器41aからの電流振幅指令値I’と発振器44からの正弦波信号との演算を実行して、演算結果を電流指令信号Iaとして駆動装置33へ出力するものである。また、乗算器45bも同様に、クランプ器41bからの電流振幅指令値I’bと発振器44からの正弦波信号との演算を実行して、演算結果を電流指令信号Ibとして駆動装置33へ出力するものである。
【0095】
次いで、本実施形態の動作について説明する。
先ず周波数コントローラ54により電源効率ηが最大となるような交流電流の最適周波数ωoptが決定され、この最適周波数ωoptを示す周波数指示信号が周波数コントローラ54から電流コントローラ22に出力される。
【0096】
そして、電流コントローラ22は、距離センサ21から出力される距離検出信号を取得すると、非磁性体材10の理想的な走路面からのずれを最小にするために、交流電磁石20a、20bのそれぞれに供給すべき交流電流の振幅を決定する。次いで、電流コントローラ22は、この振幅と周波数指示信号により指定される周波数を有する交流電流を対応する交流電磁石20a、20bに供給すべく、それぞれの交流電磁石20a、20bに交流電圧を印加する。
この結果、図1において、一点破線A、一点破線Bで示すような振動や、曲げ、反りなどによって生じる理想的な走行面からのずれを解消するに必要な反発力が発生し、ずれが解消される。
【0097】
以上説明したように、本実施形態によれば、周波数コントローラ54が、交流電磁石20a、20bに供給する交流電流の周波数の制御を行うことにより、電源効率が最大となる。
【0098】
<変形例および応用例>
上述した実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、本発明の技術思想の範囲内で任意に変更可能である。そこで、以下本発明の変形例および応用例について説明する。
【0099】
(a)例えば、本実施形態において、周波数コントローラ54の記憶部64には、非磁性体材10が搬送路に配置されていない場合における磁束φ12’と、交交流電流I1’とのそれぞれの振幅と位相とがテーブルデータとして記憶されているが、必ずしもこれらのデータが記憶されている必要はない。
この場合、周波数コントローラ54は、非磁性体材10が搬送路に配置されていない場合の磁束φ12’と、交流電流I1’とのそれぞれの振幅(瞬時値)を磁束計50と電流計52とから取得して、(16)式にしたがって磁束φ12と渦電流I2との位相差Φを求める。
【0100】
より具体的に説明すると、交流電磁石20に供給されている周波数を一定に保ちつつ、周波数コントローラ54の制御部62は、搬送路に非磁性体材10のない状態における、磁束φ12’および交流電磁石20に流れる交流電流I1’のそれぞれの振幅と、非磁性体材10を搬送路に配置した状態における、磁束φ12および交流電磁石20に流れる交流電流I1のそれぞれの振幅を、交互に取得する。そして、取得したこれらの値から、制御部62は、位相差Φを求め、この位相差Φの値にしたがって周波数ωの制御を行う。
【0101】
(b) また、上述した実施形態にあっては、電源効率ηを最大にするために、渦電流I2の位相と、交流磁界の磁束φ12との位相差Φにしたがって交流電磁石20に供給すべき交流電流I1の周波数ωの制御を行っているが、位相差Φを求めずに、交流電流I1の周波数ωを変化させた場合の電源効率ηの変化から、この電源効率ηを最大とする周波数ωを決定してもよい。
【0102】
より具体的に説明すると、周波数コントローラ54は、交流電磁石20に供給する交流電流の振幅を一定に保ちつつ、周波数ωだけを所定範囲内で順次変化させたときの皮相電力および反発力の大きさを測定し、この周波数ωと電源効率ηとが対応付けられたテーブルを作成する。そして、周波数コントローラ54は、作成されたテーブルから、電源効率ηが最も大きくなる周波数ωを求める。このとき反発力の大きさは、簡易的に、非磁性体材10の距離センサ21からの距離dの大きさとして求めることが可能である。また、皮相電力は、交流電磁石20に供給される電圧と電流の測定値の積から求められる。
【0103】
このような構成にすることにより、磁束計を用いる必要がなく、簡単な装置構成および手順により電源効率を最大にする交流電流の周波数を決定することが可能である。
【0104】
(c) 次に、本実施形態にあっては、周波数コントローラ54が図7に示す処理手順にしたがって周波数を自動で決定しているが、これに限らない。すなわち、周波数コントローラ54に表示部と入力部とを設けて、この表示部に測定された磁束φ12と交流電流I1とを表示させるようにする。そして、例えば作業員などが図7に示す処理手順にしたがって決定した周波数ωを入力部より周波数コントローラ54に入力するようにしてもよい。
【0105】
(d) 次いで、本実施形態にあっては、非磁性体材10を挟んで、両側に交流電磁石を配置しているが、非磁性体材10の変位方向が定常的に一方向のみに発生する場合、その変位を打ち消す方向に反発力を加えられればよく、片側に交流電磁石を配置するだけでよい。
【0106】
(e) また、本実施形態にあっては、非磁性体材を生産する設備において、この非磁性体材を搬送する搬送装置に本発明を適用したものを例示したが、本発明は、交流電磁石を用いて交流電磁界を発生させることにより、例えばアルミニウムや銅などの導電性を有する非磁性体に反発力を加える装置に適用可能である。このような装置には、例えば、磁性体金属片と非磁性体金属片とが混合した金属片から、交流電磁石により交流電磁界を発生させることで、非磁性体金属片に反発力を加え、この非磁性体金属片のみを分離するといった金属分離装置がある。
【0107】
(f) 次いで、本発明の応用例について説明する。
本実施形態において例示した非磁性体材の生産ラインにあっては、例えばアルミ板からステンレス板といったように、搬送される非磁性体材の種類が変化する場合がある。電源効率ηを最大にする交流電流の周波数ωopt(以下、「最適周波数」と称する)は、非磁性体材の種類に応じて異なるため、搬送される非磁性体材の種類が変化することにより、最適周波数ωoptも変化する。
そこで、本実施形態において説明したようにして、非磁性体材の種類ごとに最適周波数を求め、さらに、例えば周波数コントローラ54の記憶部64に非磁性体材の種類と最適周波数とが対応付けられたテーブルを記憶させておく。そして、搬送される非磁性体材の種類が変化した場合に、周波数コントローラ54の制御部62は、このテーブルを参照して、非磁性体材の種類に対応した最適周波数を取得し、この最適周波数を周波数指示信号にて電流コントローラ22に出力することにより、搬送される非磁性体材の種類が変化した場合であっても、電源効率ηを最大にすることが可能である。
なお、周波数コントローラ54が、非磁性体材の種類が変化するたびに、実施形態に説明した動作手順により、搬送されている非磁性体材に対応した最適周波数を求めるようにしてもよいことは勿論である。
【0108】
また、非磁性体材10の種類が変化する場合に、変化後の非磁性体材の板厚と、導電率と、透磁率とを取得することにより、電源効率ηを最大にする最適周波数ωoptを決定することもできる。
より具体的に説明すると、電源効率ηが最大となる条件を示す(13)式を変形すると、次式が得られる。
【0109】
【数24】
Figure 0004720015
【0110】
(24)式に示されるように、電源効率ηを最大にする最適周波数ωoptは、非磁性体材10の渦電流路における抵抗値R2に比例するとともに、漏れインダクタンスLl2に反比例する。ところで、抵抗値R2は、非磁性体材の板厚tおよび導電率σに反比例する一方、漏れインダクタンスLl2は、非磁性体材の透磁率μに比例することから、(24)式は、近似的に(25)式のように表される。
【0111】
【数25】
Figure 0004720015
【0112】
(25)式に示されるように、非磁性体材の板厚tと、導電率σと、透磁率μと、周波数ωとの積が、非磁性体材の種類の変化前後で一定になるように周波数を設定することにより、非磁性体材の種類が変化した場合であっても、電源効率は、最大に維持される。
【0113】
さらに、非磁性体材の板厚tを測定する測定器と、導電率σを測定する測定器と、透磁率μを測定する測定器とを、本実施形態にて説明した装置にくみ込む。そして、周波数コントローラ54は、それぞれの測定器から取得した測定結果から、非磁性体材の板厚tと、導電率σと、透磁率μと、周波数ωとの積が常に一定になるように周波数ωを制御することにより、搬送される非磁性体材の種類が変化した場合であっても、電源効率が最大となる周波数に自動的に制御される。
【0114】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電源効率を向上させることが可能な加力装置、加力方法、搬送装置および搬送方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態にかかる非磁性体材の搬送装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】 同実施形態にかかる交流電磁石と非磁性体材との等価回路を示す図である。
【図3】 同実施形態にかかる交流電磁石と非磁性体材との等価回路を示す図である。
【図4】 同実施形態にかかる交流電磁石と非磁性体材との等価回路を示す図である。
【図5】 同実施形態にかかる周波数コントローラの機能的構成を示すブロック図である。
【図6】 同周波数コントローラの記憶部に記憶されているデータの一例を示す図である。
【図7】 同周波数コントローラの動作を示すフローチャートである。
【図8】 同実施形態にかかる電流コントローラの構成の一例を示すブロック図である。
【図9】 同実施形態にかかる反発力コントローラの構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
100…非磁性体材の搬送装置、10…非磁性体材、11…ローラ、20、20a、20b…交流電磁石、21…距離センサ、22…電流コントローラ、30…減算器、31…補償器、32…反発力コントローラ、33…駆動装置、40、40a、40b…加算器、41a、41b…クランプ器、42…比例ブロック、44…発振器、45a、45b…乗算器、50…磁束計、52…電流計、54…周波数コントローラ、60…I/F部、62…制御部、64…記憶部

Claims (16)

  1. 導電性を有する非磁性体に力を作用させる加力装置において、
    前記非磁性体と離れて配置された交流電磁石と、
    前記交流電磁石に交流電流を供給する電流供給手段と、
    前記交流電流の周波数を制御する周波数制御手段と
    を具備し、
    前記周波数制御手段は、
    前記非磁性体に流れる渦電流と、前記交流電磁石による磁束との位相差に基づいて前記周波数を制御する
    ことを特徴とする加力装置。
  2. 前記周波数制御手段は、
    前記交流電磁石による磁束を測定する磁束測定手段と、
    前記交流電流を測定する電流測定手段とを有し、
    測定された前記磁束と前記交流電流とに基づいて前記非磁性体に流れる渦電流を推定し、当該推定された渦電流の位相と、測定された前記磁束の位相とに基づいて当該渦電流と前記磁束との位相差を推定する
    ことを特徴とする請求項に記載の加力装置。
  3. 前記周波数制御手段は、
    前記交流電磁石に印加される交流電圧の位相を取得する交流電圧取得手段を更に有し、
    前記交流電磁石による交流磁界を前記非磁性体に作用させる状態において測定された前記磁束および前記交流電流のそれぞれの振幅と前記交流電圧を基準としたそれぞれの位相と、前記交流電磁石による交流磁界を前記非磁性体に作用させない状態において測定された前記磁束および前記交流電流のそれぞれの振幅と前記交流電圧を基準としたそれぞれの位相とに基づいて前記交流電磁石による交流磁界を前記非磁性体に作用させる状態における渦電流を推定する
    ことを特徴とする請求項に記載の加力装置。
  4. 導電性を有する非磁性体に力を作用させる加力装置において、
    前記非磁性体と離れて配置された交流電磁石と、
    前記交流電磁石に交流電流を供給する電流供給手段と、
    前記交流電流の周波数を制御する周波数制御手段と
    を具備し、
    前記周波数制御手段は、前記非磁性体の変位を取得する変位取得手段と、
    前記交流電磁石に供給される皮相電力を取得する皮相電力取得手段と、
    取得した前記変位と前記皮相電力とのそれぞれと、前記周波数とを対応付けて記憶する記憶手段とを更に備え、
    前記記憶手段に記憶された皮相電力と変位との対のうち、変位と皮相電力との比率が最も大きな値となる皮相電力と変位との対を判別し、当該皮相電力と変位との対に対応する周波数に前記周波数を制御する
    ことを特徴とする加力装置。
  5. 前記周波数制御手段は、
    非磁性体の透磁率を取得する透磁率取得手段と、
    非磁性体の抵抗率を取得する抵抗率取得手段とを更に備え、
    加力の対象となる非磁性体が第1の非磁性体から、第2の非磁性体に変更されたとき、前記周波数を、当該周波数と前記第2の非磁性体の透磁率と抵抗率とのそれぞれの積算結果と、前記第1の非磁性体において制御された周波数と前記第1の非磁性体の透磁率と抵抗率とのそれぞれの積算結果とが等しくなる周波数に制御する
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の加力装置。
  6. 導電性を有する非磁性体に力を作用させる加力装置において、
    前記非磁性体と離れて配置された交流電磁石と、
    前記交流電磁石に交流電流を供給する電流供給手段と、
    前記交流電流の周波数を制御する周波数制御手段と
    を具備し、
    前記周波数制御手段は、
    非磁性体の透磁率を取得する透磁率取得手段と、
    非磁性体の抵抗率を取得する抵抗率取得手段とを更に備え、
    加力の対象となる非磁性体が第1の非磁性体から、第2の非磁性体に変更されたとき、前記周波数を、当該周波数と前記第2の非磁性体の透磁率と抵抗率とのそれぞれの積算結果と、前記第1の非磁性体において制御された周波数と前記第1の非磁性体の透磁率と抵抗率とのそれぞれの積算結果とが等しくなる周波数に制御する
    ことを特徴とする加力装置。
  7. 前記非磁性体の形状は、板状であり、
    前記抵抗率取得手段は、前記非磁性体の板厚および導電率を取得する
    ことを特徴とする請求項5又は6に記載の加力装置。
  8. 導電性を有する非磁性体に力を作用させる加力方法において、前記非磁性体と離れて配置された交流電磁石に供給される交流電流の周波数を、前記非磁性体に流れる渦電流と、前記交流電磁石による磁束との位相差に基づいて制御する
    ことを特徴とする加力方法。
  9. 請求項に記載の加力方法において、
    前記磁束を測定する一方で、前記交流電流を測定し、当該測定された磁束と前記交流電流とに基づいて前記非磁性体に流れる渦電流を推定し、当該推定された渦電流の位相と、測定された前記磁束の位相とに基づいて当該渦電流と前記磁束との位相差を推定する
    ことを特徴とする加力方法。
  10. 請求項に記載の加力方法において、
    前記交流電磁石による交流磁界を前記非磁性体に作用させる状態において測定された前記磁束および前記交流電流のそれぞれの振幅と前記交流電圧を基準としたそれぞれの位相と、前記交流電磁石による交流磁界を前記非磁性体に作用させない状態において測定された前記磁束および前記交流電流のそれぞれの振幅と前記交流電圧を基準としたそれぞれの位相とに基づいて前記交流電磁石による交流磁界を前記非磁性体に作用させる状態における渦電流を推定する
    ことを特徴とする加力方法。
  11. 導電性を有する非磁性体に力を作用させる加力方法において、前記非磁性体と離れて配置された交流電磁石に供給される交流電流の周波数を所定の範囲内で変更するとともに、当該周波数と、前記交流電磁石に供給される皮相電力と、前記非磁性体の変位とを対応付けて記憶し、当該記憶された皮相電力と変位との対のうち、変位と皮相電力との比率が最も大きな値となる皮相電力と変位との対を判別し、当該皮相電力と変位との対に対応する周波数に前記周波数を制御する
    ことを特徴とする加力方法。
  12. 請求項8乃至11のいずれかに記載の加力方法において、
    加力の対象となる非磁性体が第1の非磁性体から、第2の非磁性体に変更されたとき、前記周波数を、当該周波数と前記第2の非磁性体の透磁率と抵抗率とのそれぞれの積算結果と、前記第1の非磁性体において制御された周波数と前記第1の非磁性体の透磁率と抵抗率とのそれぞれの積算結果とが等しくなる周波数に制御する
    ことを特徴とする加力方法。
  13. 導電性を有する非磁性体に力を作用させる加力方法において、
    加力の対象となる非磁性体が第1の非磁性体から、第2の非磁性体に変更されたとき、前記非磁性体と離れて配置された交流電磁石に供給される交流電流の周波数を、当該周波数と前記第2の非磁性体の透磁率と抵抗率とのそれぞれの積算結果と、前記第1の非磁性体において制御された周波数と前記第1の非磁性体の透磁率と抵抗率とのそれぞれの積算結果とが等しくなる周波数に制御する
    ことを特徴とする加力方法。
  14. 請求項12又は13に記載の加力方法において、
    前記非磁性体の形状が板状であるとき、前記抵抗率を当該非磁性体の板厚および導電率に基づいて決定する
    ことを特徴とする加力方法。
  15. 導電性を有する非磁性体を搬送する手段を備えた搬送装置であって、請求項1乃至7のいずれかに記載の加力装置を備える
    ことを特徴とする搬送装置。
  16. 導電性を有する非磁性体の搬送方法であって、請求項8乃至14のいずれかに記載の加力方法を備える
    ことを特徴とする搬送方法。
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