JP4717204B2 - 2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は医農薬などの中間体などに有用な2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルのような含フッ素ジカルボニル化合物は、医薬品、農薬等の中間体として極めて有用な化合物である。
【0003】
これらの化合物の製造方法として、対応するジカルボニル化合物をフッ素ガスを用いて直接フッ素化する方法が知られている。例えば、J.Org.Chem.,57,2196(1992)、国際出願特許WO94/10120、国際出願特許WO95/14646、および特開平9−255611号公報には、フッ素ガスを用いて対応するジカルボニル化合物を直接フッ素化し、所望の2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルのような含フッ素ジカルボニル化合物を選択的に得ようとする技術が開示されている。
【0004】
しかし、フッ素ガスを用いてジカルボニル化合物を直接フッ素化する反応は、ラジカル的に進行する反応であり、所望の2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルのような含フッ素ジカルボニル化合物のみを選択的に得ることは困難である。例えば、この引例のフッ素化反応では、いくつかのモノフルオロ体、ジフルオロ体、並びに、さらにフッ素化された化合物などが生成している。
【0005】
しかし、これら引例には、フッ素化反応後に水を加え、ジクロロメタンなどで抽出する記載が見られるだけで、この反応生成物から、いくつかのモノフルオロ体、ジフルオロ体、並びに、さらにフッ素化された化合物などの生成を制御し、所望の2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルのような含フッ素ジカルボニル化合物を効率的に製造する技術は開示されていない。
【0006】
本発明者らは、3−オキソアルキルカルボン酸エステル類をフッ素化した反応液から常法により生成物を蒸留分離しようと試みたが、2,5−ジフルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルに代表される過フッ素化された3−オキソアルキルカルボン酸エステル類の分解によりフッ化水素が生成し、精製は困難であった。それ故、フッ素化した3−オキソアルキルカルボン酸エステル類を蒸留精製することなく、そのまま次の反応原料として用いてきたのである。例えば、欧州特許0440372A1には、2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルとアミジンを反応させ、抗真菌剤であるトリアゾール誘導体を製造する技術が開示されている。しかし、この原料として副生成物の多い2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルを使用すると、製品の純度が低く、構造不明の化合物が生成し易く、反応条件が極めて狭い範囲となり、製造が困難になるなどの問題が生ずる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明が解決しようとする課題は、3−オキソアルキルカルボン酸エステルのフッ素化を、副生成物の生成を制御して行い、医農薬中間原料として有用な2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルを純度良く効率的に製造する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような現状に鑑み、鋭意検討を行った。その結果、3−オキソアルキルカルボン酸エステル(MOP)のフッ素化は、反応の終盤で2,5−ジフルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルに代表される過フッ素化された3−オキソアルキルカルボン酸エステルの生成が急激に進行し、結果として2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルの含有量の低下が起きていることを見出した。
【0009】
本発明者等は、この知見からフッ素化に際して、3−オキソアルキルカルボン酸エステルの濃度を制御することにより、2,5−ジフルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルの副生を抑制することができ、2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルを効率的に製造でき、また副生成物が低濃度である場合、2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルの蒸留精製が可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は、一般式(1)
【0011】
【化3】
【0012】
(式中R1はアルキル基またはアルケニル基であり、R2はカルボン酸の保護基を示す)
で表される3−オキソアルキルカルボン酸エステルをフッ素ガスを用いてフッ素化し、一般式(2)
【0013】
【化4】
【0014】
(式中R1およびR2は、前記定義に同じ)
で表される2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルを製造する方法であって、フッ素化反応液中の3−オキソアルキルカルボン酸エステル濃度を3wt%以上で保持し、得られる反応液からフッ化水素を除去した後、2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルを蒸留分離することを特徴とする2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルの製造方法。
【0015】
【発明の実施形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明において、原料として使用する3−オキソアルキルカルボン酸エステルは前記一般式(1)で表される活性メチレン基を含むβ?ジカルボニル化合物である。
【0017】
前記一般式(1)においてR1としては炭素数が1から10の炭化水素からなる置換基、例えばアルキル基およびアルケニル基などを表す。これらの置換基の例としては、アルキル基として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル基等が挙げられ、アルケニル基としては、プロペニル、ブテニル、ヘキセニル基等が挙げられる。これらの置換基R1に含まれる水素原子は、任意にフッ素原子で置換されていてもよい。
【0018】
またR2は、カルボン酸の保護基で通常のエステル結合を形成できる有機化合物であればどのようなものでもよく、限定されないが、例えばアルキル基、アルケニル基、アリール基等を挙げることができる。
【0019】
3−オキソアルキルカルボン酸エステルとして好ましいものは、例えば3−オキソ酪酸エステルや3−オキソペンタン酸エステルを挙げることができる。
【0020】
一般式(1)で表される3−オキソアルキルカルボン酸エステルのエステルとしては、メチルエステルやエチルエステル等の低級アルキルエステルを挙げることができる。
【0021】
本発明の最初の段階は、3−オキソアルキルカルボン酸エステルをフッ素ガスによりフッ素化する工程である。
【0022】
例えば、国際出願特許WO95/14646には、窒素などの不活性ガスで希釈したフッ素ガスにより3−オキソアルキルカルボン酸エステルを直接フッ素化する技術が開示されている。この引例にしたがい、適宜フッ素化し、反応液を製造できる。例えば、攪拌機、温度計を備えた反応器に、3−オキソアルキルカルボン酸エステルを仕込み、この中に攪拌下、窒素で希釈した約10%フッ素ガスをバブリングしながら反応させる。反応は、原料の量やフッ素ガスの吹き込み速度にもよるが、例えば、0〜15℃の温度で、5〜40時間で終了する。この反応では、反応したフッ素ガスと等量のフッ化水素が生成し、通常、フッ化水素はそのまま反応液に溶解して含まれる。
【0023】
フッ素化反応の方法としては3−オキソアルキルカルボン酸エステルの中にフッ素ガスを吹き込む方法、フッ素ガスを溶解させた溶液を添加する方法などのバッチ式の他に、反応槽中に3−オキソアルキルカルボン酸エステルおよびフッ素ガスを連続的に吹き込む方法、反応管中に3−オキソアルキルカルボン酸エステルおよびフッ素ガスを連続的に流通させる方法などの連続式などが挙げられるが特に限定されるものではない。
【0024】
このフッ素化操作の際に過剰のフッ素化で副生する2,5−ジフルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルに代表される過フッ素化3−オキソアルキルカルボン酸エステルは、次工程の蒸留操作で熱分解によりフッ化水素を発生し、2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルを分解させるため含有量は極力減らすのが好ましい。
【0025】
副生する過フッ素化3−オキソアルキルカルボン酸エステルとしては、2,5−ジフルオロ−3−オキソカルボン酸エステル以外に、2,2,4−トリフルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルおよび2,2,5−トリフルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルなどが挙げられる。
【0026】
反応の進行率は反応液を適宜採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて確認することができ、原料である3−オキソアルキルカルボン酸エステルのフッ素化反応液中濃度を3wt%以上、好ましくは10wt%以上で保持し、2,5−ジフルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルの2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルに対するmol比を0.05以下、好ましくは0.01以下にする。
【0027】
3−オキソアルキルカルボン酸エステルのフッ素化反応液中濃度を3wt%以上に保持することにより、副生物である2,5−ジフルオロ−3−カルボン酸エステル等の過フッ素化された3−オキソアルキルカルボン酸エステルの生成を抑制することができ、結果的に2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルの収量を上げることができる。
【0028】
3−オキソアルキルカルボン酸エステルのフッ素化反応液中濃度を3wt%未満となると、2,5−ジフルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルの副生が進行する。2,5−ジフルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルの2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルに対するmol比が0.05を越えるにつれ、生成した2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルがさらにフッ素化され、不純物の生成が急激に進行し、結果として2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルの含有量の低下が起きる。
【0029】
本発明の次の工程は、3−オキソアルキルカルボン酸エステルをフッ素化して得られる反応液から、副生したフッ化水素を除去することである。
【0030】
反応液からフッ化水素を除去する方法としては、反応液を水洗する方法、反応液を減圧蒸留する方法等が挙げられる。
【0031】
水洗する方法としては、反応液に対し、約0.5〜3倍量の水を使用し、良く接触させ、反応液に溶解したフッ化水素を水で抽出して水洗除去する。水に抽出されたフッ化水素は、フッ化水素酸として存在する。この抽出温度は、特に限定されるものではないが、5〜40℃が良い。水による抽出は、水の量にもよるが、2回から6回繰り返すのが良く、通常は3〜4回で十分である。この水洗方法において、水に不溶な有機溶媒を水と併用して使用することができる。併用する有機溶剤として、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2?ジクロロエタン、トルエン,キシレンなどが使用できる。有機溶剤を併用する場合、反応液中のフッ化水素は水により効率よく抽出され、反応液は有機溶剤層に抽出される。水洗後の有機溶剤層から、有機溶剤を蒸留により取り除いた後、2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルを蒸留により分離すればよい。
【0032】
減圧下の蒸留処理方法としては、反応液を50℃以下、好ましくは40℃以下の温度条件下で、減圧蒸留することによりフッ化水素を除去処理することができる。減圧蒸留は、含まれるフッ化水素量に応じて、常圧から4.00KPa(30トール)程度まで、次第に減圧度を高めて行う。減圧蒸留時間は、特に限定されるものではないが、3〜15時間である。
【0033】
その他の除去方法としては、共沸剤を使用して、共沸組成物を形成して蒸留する方法が挙げられる。フッ化水素と共沸組成物を形成する化合物としては、例えば、エーテル類として、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フッ素化ハイドロクロロカーボン類として、トリフルオロエチルクロライド、フロン12、フロン22、炭化水素類として、ブタン、イソブタン等が挙げられる。これらの共沸剤は、この反応液に加えるか、連続的にバブリングしながら供給しても良い。
【0034】
これらのフッ化水素の除去には、前述のフッ化水素除去に加えて、付加的な方法として、塩基性化合物を添加することもできる。これら塩基性物質としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などが使用できる。
【0035】
フッ化水素はできる限り除去することが好ましいが、反応液当たり2.0重量%以下、好ましくは1.0重量%以下に除去する。フッ化水素が2.0重量%を越える反応液を、次工程の蒸留分離に付すと、得られる2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルの純度と収率が低下するため、好ましくない。
【0036】
本発明の次の工程は、フッ化水素を除去した反応液を蒸留して目的物である2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルを分離する工程である。
【0037】
2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルの精製蒸留は減圧蒸留が好ましく、4.00KPa(30トール)以下の圧力で、操作温度は低いほど望ましいが、125℃以下が望ましい。125℃を越えると、3−オキソアルキルカルボン酸エステルおよびそのフッ素化された誘導体は不安定であり熱分解する可能性がある。
【0038】
蒸留精製工程によりフッ素化反応を早く停止することによる未反応の原料である3−オキソアルキルカルボン酸エステルの製品への混入が回避でき、また蒸留精製工程で分離し、回収された3−オキソアルキルカルボン酸エステルはフッ素化工程に戻し、原料として再利用することができる。
【0039】
このようにして、高純度の2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルが効率的に製造できる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。以下に、実施例、比較例に用いた化合物の名称とその略号を示す。
【0041】
MOP:3−オキソペンタン酸メチルエステル
MFOP: 2−フルオロ−3−オキソペンタン酸メチルエステル
2,5−DFOP: 2,5−ジフルオロ−3−オキソペンタン酸メチルエステル。
【0042】
実施例1
10リットルの温度計、攪拌器付きステンレス製反応容器に、MOP5000gを仕込み、窒素で10%に希釈したフッ素ガスをバブリングさせながら反応した。反応温度を10℃に保ちながら20時間反応して反応を止め、反応液を得た。その一部を採り分析したところ、MOPが3.6wt%、MFOPが42.6wt%、2,5−DFOPが2.1wt%含まれていた。2,5−DFOPのMFOPに対するmol比は0.04であった。
【0043】
得られたフッ素化反応液の内1kgに1リットルの水および1リットルのクロロホルムを加え、室温で分液フラスコ中で振盪し、静置した。クロロホルム層を採り、新たに水を加えて同様な操作を繰り返し、3回の水洗を行った。
【0044】
この水洗したクロロホルム層に少量の窒素をバブリングしながら約40〜60℃に加温し、次に、26.7KPa(200トール)まで減圧にして、クロロホルムを留去した。
【0045】
次に、この缶液を用い、真空度を常圧から減圧度を2.67KPa(20トール)、缶温度を103℃として、さらに約4時間後に、減圧度を1.33KPa(10トール)、缶温度87℃としてバッチ蒸留し、約15時間後に終了した。これにより、低沸点物を主とする初留分、MOPを主とする留分、MFOPを主とする主留分、高沸点物を主とする缶残との4留分に分離した。それぞれの留分液をガスクロマトグラフィーで分析して、MFOPの濃度を調べた。
【0046】
初留分は49gであり、MFOPが0.6wt%含まれていた。MOPを主とする留分は26gであり、MFOPが12.4wt%含まれていた。MFOPを主とする留分は373gであり、MFOPが97.7wt%含まれていた。一方、缶残は103gであり、MFOPが14.8wt%含まれていた。MFOPの物質収支は98wt%で、分解は殆ど認められなかった。
【0047】
実施例2
実施例1と同様に、MOP5000gを仕込み、窒素で10%に希釈したフッ素ガスをバブリングさせながら反応した。反応温度を5℃に保ちながら12時間反応して反応を止め、反応液を得た。その一部を採り分析したところ、MOPが14.6wt%、MFOPが43.1wt%、2,5−DFOPが0.5wt%含まれていた。2,5−DFOPのMFOPに対するmol比は0.01であった。
【0048】
得られたフッ素化反応液の内1kgに1リットルの水および1リットルのクロロホルムを加え、室温で分液フラスコ中で振盪し、静置した。クロロホルム層を採り、新たに水を加えて同様な操作を繰り返し、3回の水洗を行った。
【0049】
この水洗したクロロホルム層に少量の窒素をバブリングしながら約40〜60℃に加温し、次に、26.7KPa(200トール)まで減圧にして、クロロホルムを留去した。
【0050】
次に、この缶液を用い、真空度を常圧から減圧度を2.67KPa(20トール)、缶温度を103℃として、さらに約4時間後に、減圧度を1.33KPa(10トール)、缶温度87℃としてバッチ蒸留し、約16時間後に終了した。これにより、低沸点物を主とする初留分、MOPを主とする留分、MFOPを主とする主留分、高沸点物を主とする缶残との4留分に分離した。それぞれの留分液をガスクロマトグラフィーで分析して、MFOPの濃度を調べた。
【0051】
初留分は50gであり、MFOPが0.6wt%含まれていた。MOPを主とする留分は92gであり、MFOPが3.5wt%含まれていた。MFOPを主とする留分は400gであり、MFOPが93.1wt%含まれていた。一方、缶残は44gであり、MFOPが26.8wt%含まれていた。MFOPの物質収支は99wt%で、分解は殆ど認められなかった。
【0052】
比較例1
実施例1と同様に、MOP5000gを仕込み、窒素で10%に希釈したフッ素ガスをバブリングさせながら反応した。反応温度を10℃に保ちながら28時間反応して反応を止め、反応液を得た。その一部を採り分析したところ、MOPが0.4wt%、MFOPが29.0wt%、2,5−DFOPが10.1wt%含まれていた。2,5−DFOPのMFOPに対するmol比は0.31であった。
【0053】
得られたフッ素化反応液の内1kgに1リットルの水および1リットルのクロロホルムを加え、室温で分液フラスコ中で振盪し、静置した。クロロホルム層を採り、新たに水を加えて同様な操作を繰り返し、3回の水洗を行った。
【0054】
この水洗したクロロホルム層に少量の窒素をバブリングしながら約40〜60℃に加温し、次に、26.7KPa(200トール)まで減圧にして、クロロホルムを留去した。
【0055】
次に、この缶液を用い、真空度を常圧から減圧度を2.67KPa(20トール)、缶温度を103℃として、さらに約4時間後に、減圧度を1.33KPa(10トール)、缶温度87℃としてバッチ蒸留し、約13時間後に終了した。これにより、低沸点物を主とする初留分、MFOPを主とする主留分、高沸点物を主とする缶残との3留分に分離した。それぞれの留分液をガスクロマトグラフィーで分析して、MFOPの濃度を調べた。
【0056】
初留分は71gであり、MFOPが2.9wt%含まれていた。MFOPを主とする留分は218gであり、MFOPが98.8wt%を含まれていた。一方、缶残は、248gでありMFOPが15.1wt%含まれていた。ここまでの蒸留操作途中に釜液の着色、組成物の分解および重質分の生成が認められ、MFOPの物質収支は85wt%と減少した。
【0057】
比較例2
実施例1と同様に、MOP5000gを仕込み、窒素で10%に希釈したフッ素ガスをバブリングさせながら反応した。反応温度を0℃に保ちながら32時間反応して反応を止め、反応液を得た。その一部を採り分析したところ、MOPが1.3wt%、MFOPが39.2wt%、2,5−DFOPが6.0wt%含まれていた。2,5−DFOPのMFOPに対するmol比は0.14であった。
【0058】
得られたフッ素化反応液の内1kgに1リットルの水および1リットルのクロロホルムを加え、室温で分液フラスコ中で振盪し、静置した。クロロホルム層を採り、新たに水を加えて同様な操作を繰り返し、3回の水洗を行った。
【0059】
この水洗したクロロホルム層に少量の窒素をバブリングしながら約40〜60℃に加温し、次に、26.7KPa(200トール)まで減圧にして、クロロホルムを留去した。
【0060】
次に、この缶液を用い、真空度を常圧から減圧度を2.67KPa(20トール)、缶温度を103℃として、さらに約4時間後に、減圧度を1.33KPa(10トール)、缶温度87℃としてバッチ蒸留し、約15時間後に終了した。これにより、低沸点物を主とする初留分、MFOPを主とする主留分、高沸点物を主とする缶残との3留分に分離した。それぞれの留分液をガスクロマトグラフィーで分析して、MFOPの濃度を調べた。
【0061】
初留分は69gであり、MFOPが0.3wt%含まれていた。MFOPを主とする留分は319gであり、MFOPが98.5wt%含まれていた。一方、缶残は140gであり、MFOPが23.1wt%含まれていた。ここまでの蒸留操作途中に釜液の着色、組成物の分解および重質分の生成が認められ、MFOPの物質収支は92wt%と減少した。
【0062】
【発明の効果】
フッ素化された3−オキソアルキルカルボン酸エステルは、多くのフッ素化物を不純物として含み選択的に製造することが困難のため、従来、精製されることなく使用されてきた。しかし、本発明により、不純物の生成を制御でき、2−フルオロー3−オキソアルキルカルボン酸エステルを高選択的に純度良く製造できるようになった。このため、2−フルオロ−3−オキソアルキルカルボン酸エステルを出発原料として誘導される有用な医薬品の品質を向上させ、しかも製造コストを低減することができ、その経済的効果は大きいものである。
Claims (2)
- 3−オキソアルキルカルボン酸エステルが、3−オキソ酪酸または3−オキソペンタン酸の低級アルキルエステルであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
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JP2002193886A (ja) | 2002-07-10 |
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