JP4716610B2 - 管継手構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、管継手構造に係り、特に、水やガス等の配管に用いられる継手構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、床暖房設置の配管(家庭用屋内配管)に於て、図5〜図7に示すような管継手構造のものが使用されている。即ち、31はヘッド部であって、複数の分岐用孔部32…を有するヘッド本体33と、これを包囲する保温材34とを、備えている。さらに、このヘッド部31の孔部32…に挿入される挿入部35と、外鍔部36と、を有するジョイント本体37…は、上記挿入部35に2本の凹周溝38, 38が形成されていて、この凹周溝38, 38にOリング39, 39を嵌着し、Oリング39, 39にて流体を密封状として挿入部が上記ヘッド部31の孔部32に挿入され、クリップ40にて、ヘッド本体33の孔部32の開口端側の外鍔部41と、ジョイント本体37の外鍔部36とを、連結して、抜止めしていた。
【0003】
また、ジョイント本体37は、タケノ子形継手部42を有するものや、閉じた外端部を有する止水栓状のものや、雄ネジ部43を有するもの等が使用されている。タケノ子形継手部42を有する場合は、図外の被接続ホースの端部にこのタケノ子形継手部42を挿入し、図外のクリップ(又は締付バンド等)にて、接続できる。
【0004】
矢印Aのように、水やガス等の流体がヘッド部31へ流入し、分岐して、各孔部32…に達して、上述の被接続ホース等にて、所望の場所へ流れてゆく。または、各孔部32から流入した水やガス等の流体がヘッド部31内で合流した後、矢印Aと逆方向に流れてゆく。
ジョイント本体37は一般的に耐腐食性金属であり、Oリング39はゴムが用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の図5〜図7に示したような管継手構造では、次のような問題がある。
(1) Oリング39,39を装着するために深い凹周溝38, 38をジョイント本体37に加工する必要があり、加工工数が掛かる。
(2) 凹周溝38の底壁44の肉厚Tが薄くなり、強度が低下するので、ジョイント本体37の使用できる材質の選択が限定され、プラスチック化が困難視されていた。ジョイント本体37の径が小さい場合には特にプラスチック化が至難である。
(3) Oリング39, 39は、シールの安全と信頼性向上のため、及び、孔部32とジョイント本体37の軸振れを防止(センタリング)のために、2個以上を使用せねばならず、凹周溝38, 38を2本以上加工する手間が掛かり、また、組立作業時にOリング39の嵌め忘れや、傷付きの発生等の問題が生じたり、アッセンブリにも手間が掛かった。
(4) 現在、この種のジョイント本体37としては高価な耐蝕性金属(例えば耐脱亜鉛黄銅等)が主流であり、メンテナンスの際、Oリング39, 39のみを交換して再使用しているのが実状である。そのため、取替え(交換)作業に手間を要する。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点を解決して、機械加工を少なくして製作が容易であり、ジョイント本体の強度低下を防いでプラスチック化を可能とし、孔部とジョイント本体の軸振れが生じない優れたセンタリングを保って、かつ、密封性も良好であり、さらに、修理・交換等のメンテナンスも容易・迅速に可能な管継手構造を、提供することを、目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、相手部材の孔部へ挿入される挿入部を有するジョイント本体の該挿入部に、シール用凸条部、及び、該シール用凸条部よりも小径であって上記孔部へ挿入圧接状態でのつぶし代が小さいセンタリング用凸条部を、一体成形して成る短筒形のモールド弾性材を、外嵌させた管継手構造であって、モールド成形によって上記ジョイント本体に上記モールド弾性材が一体に外嵌形成されており、上記シール用凸条部を軸心方向の中間部に、上記センタリング用凸条部を、軸心方向の先端部と基端部に、夫々、配設し、上記シール用凸条部は上記孔部の内径に対して十分なつぶし代を有し、かつ、上記センタリング用凸条部の外径を上記内径と同等乃至僅かに大に設定し、上記ジョイント本体の挿入部には、上記モールド弾性材の平均肉厚寸法よりも小さな深さ寸法の凹周溝を形成して、外嵌された上記モールド弾性材の脱落防止溝としたものである。
【0008】
また、相手部材の孔部へ挿入される挿入部を有するジョイント本体の該挿入部に、シール用凸条部、及び、該シール用凸条部よりも小径であって上記孔部へ挿入圧接状態でのつぶし代が小さいセンタリング用凸条部を、一体成形して成る短筒形のモールド弾性材を、外嵌させた管継手構造であって、モールド成形によって上記ジョイント本体に上記モールド弾性材が一体に外嵌形成されており、上記シール用凸条部を軸心方向基端部に、上記センタリング用凸条部を軸心方向中間部及び先端部に、夫々、配設し、上記シール用凸条部は上記孔部の内径に対して十分なつぶし代を有し、かつ、上記センタリング用凸条部の外径を上記内径と同等乃至僅かに大に設定し、上記ジョイント本体の挿入部には、上記モールド弾性材の平均肉厚寸法よりも小さな深さ寸法の凹周溝を形成して、外嵌された上記モールド弾性材の脱落防止溝としたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
【0010】
図1に於て、ジョイント本体1を例示し、このジョイント本体1は、従来の図5に示したようなヘッド部31等の相手部材の孔部へ挿入される挿入部2を有している。このジョイント本体1の材質は各種プラスチック、又は、耐蝕性金属とする。また、中間部位に外鍔部3が突設され、従来の図5に示したようなクリップ40にて相手部材(ヘッド部31)へ保持(連結)される。そして、挿入部2と軸方向の反対側には、タケノ子形継手部4が形成され、軸心に沿って流路用孔部5が貫設されている。
【0011】
このようなジョイント本体1の上記挿入部2に、シール用凸条部6、及び、センタリング用凸条部7を、一体成形して成る(短筒状の)モールド弾性材10が、外嵌されている。
モールド弾性材10の材質は、ゴム又は軟質プラスチックから成り、モールド成形金型内に、ジョイント本体1を設置して後に、ゴム又はプラスチックを射出成型等にてモールド成形して、挿入部2に外嵌状に一体的に成形するのが、望ましい。
【0012】
このように、ジョイントJは、ジョイント本体1とモールド弾性材10とから成る。そして、図1、及び、その要部を模式的に図示した図3に示した実施の形態では、センタリング用凸条部7は、シール用凸条部6よりも小径であって、相手部材の孔部へ挿入圧接状態でのつぶし代が、シール用凸条部6よりも小さく設定される。図1に於て、相手部材の孔部(図5のヘッド部31の孔部32等)の内径をD0 とすれば、シール用凸条部6は十分なつぶし代を有し、他方、センタリング用凸条部7はこの内径D0 と同等乃至僅かに大に設定されている。
【0013】
しかも、図1と図3では、シール用凸条部6は軸心方向の中間部に、センタリング用凸条部7は軸心方向の先端部と基端部に、夫々、配設されている。基端部側のセンタリング凸条部7は、1本でも、2本以上であっても自由である。また、先端部側のセンタリング凸条部7も、1本でも、2本以上でも良い。また、シール用凸条部6のみを3個以上形成することは、相手部材の孔部への挿入抵抗が増大するという欠点があるので、好ましくない。
【0014】
次に、図2、及び、その要部を模式的に図示した図4の実施の形態では、短筒形のモールド弾性材10は、シール用凸条部6を挿入部2の軸心方向基端部に、センタリング用凸条部7を中間部及び先端部に、夫々配設している。
【0015】
また、図1又は図2に於て、ジョイント本体1の挿入部2の外周面には、モールド弾性材10の平均肉厚寸法よりも小さな深さ寸法Gの断面三角形(又は長方形や台形や半円)等の凹周溝11…が、脱落防止溝として、形成されている。
【0016】
上述の如く、プラスチック製又は金属製のジョイント本体1と、シール用凸条部6・センタリング用凸条部7を一体成形した(ゴム又は軟質プラスチック製の)モールド弾性材10とを、ジョイントJが具備している。そして、モールド弾性材10はジョイント本体1とモールド一体成形するのが望ましいが、それに限らず、モールド弾性材10とジョイント本体1とを別々に成形して後、モールド弾性材10をジョイント本体1の挿入部2に外嵌状に装着しても良い。
そのとき、接着剤を介して、挿入部2の外周面と短筒形のモールド弾性材10の内面とを、固着するのが良いが、接着剤は省略可能である。
【0017】
モールド弾性材10の脱落防止溝としての凹周溝11…の横断面形状はV字形以外に、矩形や台形としたり、半円形としても良く、また、凹周溝11は、モールド弾性材10を成形後に挿入部2へ外嵌させる以外に、ジョイント本体1と一体成形する場合にも、モールド弾性材10の脱落防止用として有益である。
【0018】
なお、図1のように、凸条部6,7の山の位置と、凹周溝11の軸心方向位置を一致させるのが、挿入作業時の脱落防止上有効であるが、図2のように軸心方向位置をずらせることも可能である。また、この凹周溝11は省略可能であり、若しくは、図示省略したが挿入部2の外周面から突状に突条部を形成して、モールド弾性材10の脱落防止を図っても良い。
【0019】
上述の本発明に係るジョイントJは、床暖房配管に用いた場合に、相手部材として配管ヘッド部に挿入され、クリップ(図5の符号40参照)にて抜止めされ、水やガス等の密封作用を、シール用凸条部6にて、行う。このとき、ジョイント本体1の挿入部2に外嵌したモールド弾性材10は、山の高さの相違するシール用凸条部6とセンタリング用凸条部7を有することで、孔部への挿入抵抗が減少して、スムーズな挿入接続作業が実現し、かつ、シール性(密封性能)及びセンタリングを確保できる。
【0020】
本発明によれば、従来のOリングのような深い溝が不要となるので、加工が簡略化でき、さらに、ジョイント本体1の挿入部2の肉厚寸法も極端に小さな部分が発生せず、機械的強度もアップし、これに伴って、ジョイント本体1に使用可能な材質の幅も広がり、特に径の小さなジョイントJのプラスチック化も実現できる。
【0021】
また、脱落防止溝としての凹周溝11は浅く小さいので、簡単に形成でき、特に、プラスチックのインジェクション成形でジョイント本体1を製造する場合も容易である。なお、インジェクション成形の際、上記凹周溝11を小凸条に形成しても良く、そうすれば、射出成形金型側は小凹周溝として、金型の加工も容易となる。
【0022】
また、ゴム又は軟質プラスチックのモールド弾性材10は、一体成形とすることで、従来のOリングのような装着忘れ、及び、装着時の傷付きを、解消でき、かつ、アッセンブリの手間も省き得る。また、一体成形にてシール用凸条部6・センタリング用突条部7の数を確保することができ、孔部とのセンタリングを維持して、シールの安定性・信頼性を向上できる。
【0023】
さらに、メンテナンス(修理交換)作業時、安価なプラスチック化したジョイント本体1であれば、そのまま廃棄できる。あるいは、接着剤なしでジョイント本体1の挿入部にモールド弾性材10を外嵌してある構造ならば、分別廃棄も可能で、環境保護にも貢献する。
【0024】
なお、本発明は床暖房に限らず、他の用途にも応用可能である。また、図1又は図2に於て、タケノ子形継手部4を、他の形状───ネジ形継手部やC形止め輪等───とすることも可能である。
【0025】
【発明の効果】
本発明は上述の構成により次のような著大な効果を奏する。
【0026】
(請求項1,2によれば、)従来の図7で示したOリングのような深い凹周溝が省略でき、挿入部2の加工が簡略化でき、かつ、挿入部2の全体の肉厚も十分に厚く確保できて、機械的強度が向上し、材料の選択の幅が広がり、径の小さなジョイント本体1でも、プラスチック化が可能となる。
【0027】
また、従来のOリングの場合の装着忘れを防止でき、装着作業時のシール部の傷付きを防止できる。また、相手部材の孔部の軸心と、挿入部2の軸心とが自動的に一致して、スムーズに、かつ、確実に挿入でき、シール性(密封性能)も良好である。また、シール用凸条部6の数を増加することも容易で、安定したシール性を確保でき、シール寿命も延長できる。
【0028】
また、モールド弾性材10がモールド成形によって一体化されているので、従来のOリングのような(シール材の)装着忘れを防止でき、装着時の傷付き防止も図り得る。かつ、アッセンブリ作業の手間も不要となる。
【0029】
(請求項1によれば、)先端部側のセンタリング用凸条部7によって相手部材の孔部へ誘導案内され、スムーズに挿入可能であり、しかも、挿入装着後は、ジョイント本体1と孔部の軸心が相互に傾斜しても、中間位置のシール用凸条部6は全周にわたって密封性を維持する。
【0030】
(請求項2によれば、)センタリング用凸条部7…を軸心方向に長く配設可能であり、かつ、本数も増加可能であるので、一層、スムーズに相手部材の孔部へ(センタリングしながら)挿入できる。かつ、挿入状態で、シール用凸条部6が強く弾性的に圧縮することが可能であって、十分な密封性能を発揮する。
【0031】
(請求項1,2によれば、)挿入部2とモールド弾性材10との相対的位置ずれが防止でき、モールド弾性材10の傷付きや異常変形を防止できる。また、凹周溝11の深さ寸法は小さいので、(従来の図7で述べた底壁44強度の過小の問題を解決して、)ジョイント本体1をプラスチック製とすることもできる。また、この凹周溝11は成形も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の一形態を示す要部の断面図である。
【図2】 本発明の実施の他の形態を示す要部の断面図である。
【図3】 簡略説明図である。
【図4】 他の簡略説明図である。
【図5】 従来例を示す分解説明図である。
【図6】 従来例の要部断面図である。
【図7】 従来例の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 ジョイント本体
2 挿入部
6 シール用凸条部
7 センタリング用凸条部
10 モールド弾性材
11 凹周溝
D 0 内径
J ジョイント
Claims (2)
- 相手部材の孔部へ挿入される挿入部を有するジョイント本体の該挿入部に、シール用凸条部、及び、該シール用凸条部よりも小径であって上記孔部へ挿入圧接状態でのつぶし代が小さいセンタリング用凸条部を、一体成形して成る短筒形のモールド弾性材を、外嵌させた管継手構造であって、
モールド成形によって上記ジョイント本体に上記モールド弾性材が一体に外嵌形成されており、
上記シール用凸条部を軸心方向の中間部に、上記センタリング用凸条部を、軸心方向の先端部と基端部に、夫々、配設し、
上記シール用凸条部は上記孔部の内径に対して十分なつぶし代を有し、かつ、上記センタリング用凸条部の外径を上記内径と同等乃至僅かに大に設定し、
上記ジョイント本体の挿入部には、上記モールド弾性材の平均肉厚寸法よりも小さな深さ寸法の凹周溝を形成して、外嵌された上記モールド弾性材の脱落防止溝としたことを特徴とする管継手構造。 - 相手部材の孔部へ挿入される挿入部を有するジョイント本体の該挿入部に、シール用凸条部、及び、該シール用凸条部よりも小径であって上記孔部へ挿入圧接状態でのつぶし代が小さいセンタリング用凸条部を、一体成形して成る短筒形のモールド弾性材を、外嵌させた管継手構造であって、
モールド成形によって上記ジョイント本体に上記モールド弾性材が一体に外嵌形成されており、
上記シール用凸条部を軸心方向基端部に、上記センタリング用凸条部を軸心方向中間部及び先端部に、夫々、配設し、
上記シール用凸条部は上記孔部の内径に対して十分なつぶし代を有し、かつ、上記センタリング用凸条部の外径を上記内径と同等乃至僅かに大に設定し、
上記ジョイント本体の挿入部には、上記モールド弾性材の平均肉厚寸法よりも小さな深さ寸法の凹周溝を形成して、外嵌された上記モールド弾性材の脱落防止溝としたことを特徴とする管継手構造。
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