JP4716494B2 - オブラート及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、強度を損なうことなく甘味あるいは酸味、又は香りを付加したオブラート及びその製造方法に関するものである。
オブラートは、炭水化物の多糖類の一種である澱粉の高分子原料としての性質を利用して、これを糊状にした急速乾燥して作る可食フィルム、あるいは特許文献1に示されるような流動体状のものがあり、主として食品の包装や、薬の飲用補助に使用されている。
ところで、従来から用いられているオブラートは無味無臭のものが多かったが、近年、包装対象となる食品の味や香りを向上させたり、苦みの強い薬や匂いの強い薬をより飲みやすくするために、オブラート自体に甘味や香りを付与する試みがなされている。
特開2003−144526 特開2002−187835
しかしながら、オブラートに甘味を付与するために、従来は所定量の砂糖等の糖類を添加していたが、これらの砂糖等の糖類を添加するとオブラートが固くなるという問題が生じていた。その理由は、砂糖等の糖類とオブラートの主成分である澱粉は、ともに炭水化物であるため親和性が高く、これらを添加すると飴化して固くなるためと考えられる。また、砂糖等の糖類を添加すると、オブラートを成形するために用いられるドラムに付着しやすくなるため、シート状に成形することが困難であるといった問題点もあった。
この点を修繕するために、特許文献2のように甘味料として粉末状のアスパルテームをオブラート製造過程で添加することにより、食感を損なうことなく従来のオブラート以上に甘味を感じさせる方法もあった。しかしながら、澱粉水溶液に対してアスパルテームを0.05wt%以上添加すると、このアスパルテームの添加量に応じて澱粉量の占める割合が減るため、オブラート自体の強度が損なわれるという問題があり、甘味付加の限界となっていた。
特に、オブラートに対して甘味などの味を付加することによって唾液量が増え、飲み込む意欲や飲込み力が大きくなるため、快く飲み下すことができるが、味覚障害者や味覚の低下した高齢者などの延下困難者は通常の使用者のための甘味付けでは満足な甘味を得られずに、オブラートを飲み込むことが困難であった。したがって、従来の砂糖やアスパルテームによる甘味付けでは、その添加量を増やす必要があるものの、澱粉量との兼合いから一定量を超えて添加するとオブラート自体の強度が損なわれるため問題であった。
また、このように澱粉量との兼合いから一定量を超えたアスパルテームの添加ができないことにより、十分な甘味を確保しつつアスパルテーム以外に調味料を加えることは難しく、甘味の他に風味を付加することができないことから味が単調なものとなっていた。
さらに、高甘味度の甘味料を添加することにより、単純な甘味を付けることは可能となるが、オブラートを食した際あるいは食後において、高甘味度甘味料由来の後引き感が口腔内に依然として残存するため爽快感を得られず、不快感が生じる場合があった。
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その第1の目的は、オブラート自体の強度及び食感を損なうことなく、甘味、酸味を付加したオブラートを提供することにある。また、第2の目的は、オブラート自体の強度及び食感を損なうことなく、甘味や酸味を付加することができるオブラートの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上述したような種々の問題点に鑑み、オブラート自体の強度及び食感を損なうことなく、オブラートに甘味、酸味を付加すべく、添加する甘味料、酸味料の種類・添加量・添加時期・調製方法等について鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。
以上のような目的を達成するために、請求項1の発明は、オブラートの原料となる所定量の澱粉と水とを混合してなる澱粉水溶液に、前記澱粉水溶液に対して、スクラロースを0.0026〜0.07wt%、クエン酸を0.005%未満(0%を除く)添加して薄膜状に成形したことを特徴とする。
以上のような請求項1の発明では、スクラロースの高甘味性により、上記澱粉水溶液に対しての添加量を少なくすることが可能となり、スクラロース少量の添加で十分な甘味を発現できるとともにオブラート自体の強度を確保することができる。
請求項2の発明は、オブラートの原料となる所定量の澱粉と水とを混合してなる澱粉水溶液に、前記澱粉水溶液に対して、ソーマチンを0.0013〜0.03wt%、クエン酸を0.005%未満(0%を除く)添加して薄膜状に成形したことを特徴とする。
以上のような請求項2の発明では、ソーマチンの高甘味性により、上記澱粉水溶液に対しての添加量をスクラロースに比べさらに少量とすることが可能となり、十分な甘味を付加することができるうえ、上記澱粉水溶液に対する澱粉量を減らさない程度で、他の調味料を加えることが可能なため、オブラート自体の強度を損なうことなく味にバリエーションを持たせることができる。
以上のような請求項1及び請求項2の発明では、クエン酸による酸味を加えることで、スクラロースあるいはソーマチンにより発現されるオブラートの甘味を一層際立たせることができるとともに、程良い酸味によって、飲み下し後にさっぱりとした爽快感を得ることも可能となる。
請求項3又は請求項4の発明は、所定量の澱粉と水とを混合し、攪拌して澱粉水溶液を製造し、この澱粉水溶液にスクラロースを前記澱粉水溶液に対して0.0026〜0.07wt%、あるいはソーマチンを0.0013〜0.03wt%、クエン酸を0.005%未満(0%を除く)添加した後、前記澱粉水溶液を加熱しながら攪拌して糊化物を生成し、前記糊化物を薄膜状に乾燥させることを特徴とする。
以上のような請求項3又は請求項4の発明によれば、糊化作業時にスクラロースやソーマチンを混合することでオブラートへの甘味付けを均一にまんべんなく行なうことが可能であり、十分な甘味が発現された均質な製品を作ることができる。また、糊化作業時に甘味料に加えてクエン酸を混合することで、オブラートへの甘味付けのみならず、酸味付けも均一にまんべんなく行なうことができ、酸味が偏らずに味のバリエーションを持たせた均質なオブラートを作ることができる。
請求項5の発明は、請求項3又は請求項4に記載のオブラート製造方法において、前記糊化物を薄膜状に乾燥させることにより製造したオブラートに香料を含浸させる基材として珪酸カルシウムを用い、この基材に前記香料を含浸させた後、この基材を前記甘味あるいは酸味をつけたオブラートの保管用容器内に収納して、前記香料をオブラートに付着させることを特徴とする。
以上のような請求項5の発明によれば、十分な甘味あるいは程良い酸味を付加したオブラートについてさらに香料を付着することで、より一層の味のバリエーションを持たせることができ、飲み下し意欲の向上を図ることが可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、オブラート自体の強度及び食感を損なうことなく、甘味、酸味を付加したオブラート及びその製造方法を提供することができる。
(1)甘味料について
本発明は、オブラートの原料となる所定量の澱粉と水とを混合してなる澱粉水溶液に、甘味料としてスクラロース又はソーマチンを添加する。
スクラロースは、別名トリクロロガラクトスクロースといい、ショ糖の3つの水酸基を塩素原子で選択的に置換することにより生成される白色あるいは淡灰白色の結晶性の粉末であり、砂糖の600倍の高い甘度を有することから、オブラートの原料への添加量も一般の糖類に比べて非常に少ない量で済むものである。また、他の甘味料であるアスパルテームすなわち化学名:α−L−アルパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステルが砂糖の約200倍の甘味度であるのに対し、スクラロースはこれの3倍にあたる約600倍の甘味度を有することから、より少量で高い甘味度を得ることが可能となる。
このように、甘味料として適量のスクラロースを用いることによって良好な効果が得られたのは、スクラロースが砂糖の約600倍の高い甘味度を有しているため、オブラートの原料への添加量も一般の糖類やアスパルテームに比べて非常に少ない量で済むことから、オブラート自体の製造に及ぼす影響が小さいためであると考えられる。
スクラロースは、砂糖に近い甘味を有し、苦み、渋みはほとんど感じられないことから、砂糖と同様の甘味を得ることができ、さらにスクラロースは体内で分解されたり、代謝されることはなく、血糖値に影響を与えることはないため、各種の臨床検査が繰り返される患者の薬剤の服用に適している。
ソーマチンは別名タウマチンともいい、西アフリカに生育するクズウコン科に属する多年性植物であるソーマトコッカスダニエリの種子から得られる淡黄褐色の無定形の粉末であり、甘味度は砂糖の2000〜3000倍の高甘味な甘味料であることから、前記スクラロースと同様、より少量で高い甘味度を得ることができる。
従って、前記澱粉水溶液に対しては、上記スクラロースの半分量を添加することでオブラートに甘味を発現することが可能である。また、ソーマチンは水に溶けやすい性質から、後述するオブラート製造方法に適している。
また、ソーマチンは酸や熱の影響を受けにくく安定性があることから、ソーマチンを用いたオブラートは幅広いpHや温度範囲で長期間保存してもその甘味度は変わらない。さらに、ソーマチンはフレーバー増強効果を有し、風味を引き立たせる効果があるため、後述する方法でオブラートに付加した香りを引立たせることができる。
(2)酸味料について
本発明は、上記甘味料を添加した澱粉水溶液に対して、クエン酸を添加する。
このようにクエン酸を添加することで、オブラートに酸味を付加することが可能となり、さっぱりとした後味により、爽快感を得ることができる。また、程良い酸味を加えることによって、スクラロースあるいはソーマチンによる甘味が際立つ。このクエン酸は、白色又は無色の結晶である有機酸であって、これを付加することによりオブラートに程良い酸味を付加できる。なお、オブラートに添加する酸味料としては、クエン酸の他に、アスコルビン酸を用いても同様の効果が得られた。
(3)甘味、酸味をつけたオブラートの製造方法
図1に示すように、澱粉Sを計量後(12〜20wt%)、水W(88〜80wt%)と共にドラム型タンク1に入れ、スクリュー攪拌機によって攪拌し、澱粉水溶液Mを作る。この澱粉水溶液Mを、スクリューポンプによってパイプ6を介して糊タンク2へ送り出す。ドラム型タンク1を送り出された澱粉水溶液Mは、糊タンク2の手前に配設された篩7によってろ過され、イモかす等の不純物が取り除かれる。
このようにして澱粉水溶液Mが導入された糊タンク2に、サラダ油とレシチンの混合物を投入するとともに、粉末状のスクラロースを0.0026〜0.07wt%又はソーマチンを0.0013〜0.03wt%澱粉水溶液Mに対して添加し、さらにクエン酸を0.04wt%未満添加する。
ここで、本発明に係るオブラートのスクラロース添加量は、上記澱粉水溶液Mに対して0.0026〜0.05wt%、好ましくは0.007〜0.009wt%である。0.0026wt%より添加量が少ないと、十分な甘味が得られず、0.05wt%より添加量が多くなると、甘味が強くなりすぎ、食感が損なわれるからである。
しかしながら、味覚障害者や味覚が低下した高齢者などを対象とする場合は、上記澱粉水溶液Mに対して0.05〜0.07wt%のスクラロースを添加するのが好ましい。これにより、一般人にとっては甘味が強すぎると感じられても、味覚障害者等は程良い甘味を感じることができ、何の抵抗もなくオブラートを飲み込むことができる。
また、ソーマチンの添加量は、上記澱粉水溶液Mに対して0.0013〜0.025wt%、好ましくは0.004〜0.006wt%である。0.0013wt%より添加量が少ないと、十分な甘味が得られず、0.025wt%より添加量が多くなると、通常の使用者にあっては高甘味度甘味料由来の後引き感が生じるためである。
しかしながら、味覚障害者や味覚が低下した高齢者などを対象とする場合は、上記澱粉水溶液Mに対して0.025〜0.03wt%のソーマチンを添加するのが好ましい。これにより、味覚障害者等は程良い甘味を感じることができるため、何の抵抗もなくオブラートを飲み込むことができる。
好ましいクエン酸の上記澱粉水溶液Mに対する添加量は、約0.005wt%である。なお、クエン酸の添加量が0.04wt%より多いと澱粉の分子量に影響を与え、オブラートの強度が損なわれるが、0.04wt%の範囲内でスクラロースやソーマチンの甘味料添加量と併せて上記澱粉水溶液Mに対し0.05wt%となるように適宜調整することができる。
そして、糊タンク2内において、澱粉水溶液Mを攪拌しながら約170℃の蒸気を吹き込み、糊化物になるまで煮る。なお、これにより加熱殺菌も行われる。また、この攪拌作業は、澱粉水溶液M中にまんべんなく蒸気を吹き込み、均質に糊化させるために行うが、糊の分子構造をこわしてしまうと、オブラートになった時に破れ易くなるので、攪拌しすぎないようにする必要がある。
そして、図2及び図3に示すように、糊タンク2内に所定の空気圧Aをかけることによって、パイプ9を介して、糊化物Pをドラム型ドライヤー3へ圧送する。このとき、糊化物Pはパイプ9との接合部に設けられた篩8にかけられて、不純物が除去される。
続いて、図3に示すように、ドラム型ドライヤー3のドラム3aを回転させるとともに、その表面を約100℃に加熱しておく。この状態で、パイプ9から送り出された糊化物Pが、漏斗3cによってゲージ3b内に導かれると、図4に示すように、ゲージ3bとドラム3aとの隙間から糊化物Pが漏れ出すので、回転するドラム3aの表面に薄く塗布されて、乾燥していく。なお、このときにも加熱殺菌が行われる。
ドラム3aが1回転する間に、糊化物Pの乾燥が進んでオブラートBになり、ドラム3aから剥離される。このオブラートBの乾燥と剥離作業は、上述のように、糊化工程において、サラダ油とレシチンの混合物が追加投入されているために、容易に行うことができる。剥離されたオブラートBは、冷却ローラ4における同方向に回転する複数のローラの間をくぐらせることによって、冷却される。
冷却されたオブラートBは、図5に示すように、巻取り機5の枷5aによって管状に巻かれる。巻き取られたオブラートBは、図6に示すように、枷5aから外されて作業台10に置かれ、平らにつぶされる。そして、オブラートBの両端(図6の矢印で示す箇所)をカットすると、図7に示すように、複数枚のオブラートBが積層された状態となる。この状態から、必要寸法に裁断することにより、製品としてのオブラートBが完成する。例えば、薬用の円形オブラートBとする場合には、筒状体による丸抜きが行われる。
(4)香料を含ませる基材について
香料を含ませる基材については、特許文献1にあるように珪酸カルシウムを用いる。これにより、オブラートの乾燥、破れを防ぐとともに、上記方法で甘味、あるいは酸味を付加したオブラートに程良い香りをつけることができる。
(5)オブラートの香り付け方法
図8に示すように、所望の香りを含浸させたビーズ状の基材を入れた通気性の良い小袋12を、オブラート保管用容器13の底に敷き、さらにその小袋12の上に、100枚程度重なったオブラートBを載せ、容器13の蓋13aを閉めて包装する。これにより、小袋12内の香料11から発散される香りが容器13内に充満し、オブラートBに付着する。
(6)実施形態の効果
以上のように本実施の形態によれば、糊化作業時に甘味料あるいは酸味料を混合するので、オブラートへの甘味あるいは酸味付けを均一にまんべんなく行うことができ、均質な製品を作ることができる。また、この方法により製造したオブラートへの香り付けを、オブラートの原料配合段階ではなく、製品包装段階で行うので、製造途中において香りが発散して消えてしまうことがなく、密閉された容器の中で、確実に香り付けすることができる。
また、オブラートの保管用容器ごとに異なる香料の小袋を収容すれば、容器ごとに異なる種類の香りのオブラートを製造できるので、多種の香りの製品が容易に作り出せる。さらに、香り、甘味、酸味及び色の組み合わせによって、多種多様なオブラートを製造することができる。例えば、付けた甘味や酸味に応じて、香りや色を変えることによって、味覚を香りや色によって識別できるようにすれば便利である。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
[A.甘味料について]
[A−1.試料の調製]
以下のようにして調製したオブラートの原料を用いて、上記の製造方法によりオブラートを製造し、オブラートの甘味、強度等の性状、製造工程の容易さ等について検討した。
(実施例1)澱粉を16g計量後、水84ccと共にドラム型タンクに入れ、スクリュー攪拌機によって攪拌して澱粉水溶液を作り、糊タンクへ送り出す。続いて、糊タンクに上記サラダ油とレシチンの混合物を適量投入すると共に、粉末状のスクラロースを0.008g投入し、この糊タンク内において、澱粉水溶液を攪拌しながら約170℃の蒸気を吹き込み、糊化物になるまで煮る。それ以降の工程は上記の製造方法と同様にしてオブラートを製造した。
(比較例1)添加する甘味料として、従来から用いられている砂糖を1g用い、その他の製造条件及び製造方法は上記実施例1と同様にしてオブラートを製造した。
(従来例1)甘味料を全く添加せず、その他の製造条件及び製造方法は上記実施例1と同様にしてオブラートを製造した。
[A−2.比較結果]
上記の方法により得られた実施例1、比較例1及び従来例1の各オブラートについて、その甘味、強度等の性状について調べたところ、表1に示すような結果が得られた。
Figure 0004716494
表1から明らかなように、従来から用いられている甘味料を添加した比較例1においては、オブラートに甘味をつけることはできたものの、オブラートが固くなり過ぎ、強度が著しく低下した。一方、本発明を適用した実施例1においては、オブラートに所望の甘味をつけることができただけでなく、オブラートの強度も従来と同様の強度が得られた。また、スクラロースの代わりにソーマチン0.004gを投入しても同様の効果が得られた。
[B.酸味料について]
[B−1.試料の調製]
以下のようにして調製したオブラートの原料を用いて、上記の製造方法によりオブラートを製造し、オブラートの甘味、酸味、強度等の性状、製造工程の容易さ等について検討した。
(実施例2)甘味料としてスクラロース又はソーマチンを添加した上記澱粉水溶液に、酸味料としてクエン酸を0.005gを投入し、それ以降の工程は上記の製造方法と同様にしてオブラートを製造した。
(比較例2)添加する酸味料として、アスコルビン酸を用い、その他の製造条件及び製造方法は上記実施例2と同様にしてオブラートを製造した。
[B−2.比較結果]
アスコルビン酸を添加した比較例2においては、オブラートに程良い酸味を付加するために0.04gを超える分量が必要となったため、オブラートが固くなり過ぎ、強度が著しく低下した。一方、本発明を適用した実施例2においては、オブラートに所望の酸味をつけることができただけでなく、オブラートの強度も従来と同様の強度が得られた。
[C.香りについて]
[C−1.試料の調製]
甘味料としてスクラロースを0.008g添加し、かつ、酸味料としてクエン酸0.005gを添加したオブラートと、甘味料及び酸味料を添加していないオブラートを製造し、レモンフレーバー、梅フレーバー等の香りを含ませる基材として珪酸カルシウムとシリカゲルを用いて、2週間放置した後、オブラートに付着した香り、甘味、酸味、強度等の性状等について検討した。
(実施例3)粉末状のスクラロースを0.008g添加し、その他の製造条件及び製造方法は上記実施例1と同様にしてオブラートを製造した。また、香りを含ませる基材として、珪酸カルシウムから成る粒径が2〜3mmのフローライトRM−20(商品名:株式会社トクヤマ製)を用い、このフローライトRM−20に香料を含浸させた後、通気性の良い小袋に入れ、その小袋をオブラートの保管用容器の底に敷き、その上に上記のようにして製造したオブラートを100枚載せて密閉し、2週間放置した。
(実施例4)甘味料及び酸味料を全く添加せず、その他の製造条件及び製造方法は上記実施例1と同様にしてオブラートを製造した。また、香りを含ませる基材及び香料の含浸方法及び含浸時間等は上記実施例3と同様にして、容器内にオブラートを収納して密閉し、2週間放置した。
(比較例3)粉末状のスクラロースを0.08g添加し、その他の製造条件及び製造方法は上記実施例1と同様にしてオブラートを製造した。また、香りを含ませる基材として、直径約2〜3mmのビーズ状に成形したシリカゲルを用い、このシリカゲルに香料を含浸させた後、通気性の良い小袋に入れ、その小袋をオブラートの保管用容器の底に敷き、その上に上記のようにして製造したオブラートを100枚載せて密閉し、2週間放置した。
(比較例4)甘味料及び酸味料を全く添加せず、その他の製造条件及び製造方法は上記実施例1と同様にしてオブラートを製造した。また、香りを含ませる基材及び香料の含浸方法及び含浸時間等は上記比較例3と同様にして、容器内にオブラートを収納して密閉し、2週間放置した。
(従来例3)甘味料及び酸味料を全く添加せず、その他の製造条件及び製造方法は上記実施例1と同様にしてオブラートを製造した。また、香り付けは一切行わずに、容器内にオブラートを収納して密閉し、2週間放置した。
[C−2.比較結果]
上記の方法により得られた実施例3、実施例4、比較例3、比較例4及び従来例3の各オブラートについて、その香り、甘味、酸味、強度等の性状について調べたところ、表2に示すような結果が得られた。
Figure 0004716494
表2から明らかなように、香りを含ませる基材として珪酸カルシウムを用いた実施例3及び実施例4においては、いずれも良好な香り付けがなされており、また、オブラートの強度も従来と同様の強度が得られた。さらに、甘味料としてスクラロースを添加し、かつ、酸味料としてクエン酸を添加した場合(実施例3)と添加しない場合(実施例4)を比較しても、香り付け及びオブラートの強度に有意差は認められなかった。また、スクラロースの代わりにソーマチン0.004gを投入しても同様の効果が得られた。
このことから、香りを含ませる基材として珪酸カルシウムが適しており、甘味料としてスクラロース又はソーマチンを添加し、また酸味料としてクエン酸を添加しすることがオブラートへの香り付けに影響を及ぼすことはないことが確認された。従って、オブラートに所望の香り付けと、それに合致した甘味や酸味付けを行うことにより、より適用範囲の広いオブラートを得ることができることが分かった。
これに対して、香りを含ませる基材としてシリカゲルを用いた比較例3及び比較例4においては、いずれも良好な香り付けがなされたものの、オブラートの強度は著しく低下した。また、甘味料としてスクラロースを添加した場合(比較例3)と添加しない場合(比較例4)を比較しても、香り付け及びオブラートの強度に有意差は認められなかった。このことから、香りを含ませる基材としてシリカゲルを用いた場合には、オブラートが乾燥しすぎて、強度が低下してしまうことが示された。
以上の結果から、甘味料としては、粉末状のスクラロース又はソーマチンが適しており、また酸味料としてはクエン酸が適しており、香りを含ませる基材としては、珪酸カルシウムが適していることが明らかとなった。また、スクラロース又はソーマチン及びクエン酸の添加と香り付けとは、互いに影響を及ぼすことはないことが明らかとなった。
本発明に係るオブラートの製造に用いられるオブラート製造装置の一部の工程を示す簡略斜視図である。 図1の糊タンクにおける糊化物の圧送作業工程を示す簡略斜視図である。 本発明に係るオブラートの製造に用いられるオブラート製造装置の一部の工程を示す簡略側面図である。 図3の漏斗及びゲージの拡大図である。 本発明に係るオブラートの製造に用いられるオブラート製造装置の巻取り機を示す簡略側面図である。 本発明に係るオブラートのカット作業工程を示す簡略説明図である。 本発明に係るオブラートのカット作業後の状態を示す簡略斜視図である。 本発明に係るオブラート保管用容器を示す縦断面図である。
符号の説明
1…ドラム型タンク
2…糊タンク
3…ドラム型ドライヤー
3a…ドラム
3b…ゲージ
3c…漏斗
4…冷却ローラ
5…巻取り機
5a…枷
6,9…パイプ
7,8…篩
10…作業台
11…香料を含ませた基材
12…小袋
13…容器
13a…蓋
A…空気圧
B…オブラート
M…澱粉水溶液
P…糊化物
S…澱粉
W…水

Claims (5)

  1. オブラートの原料となる所定量の澱粉と水とを混合してなる澱粉水溶液に、前記澱粉水溶液に対して、スクラロースを0.0026〜0.07wt%、クエン酸を0.005%未満(0%を除く)添加して薄膜状に成形したことを特徴とするオブラート。
  2. オブラートの原料となる所定量の澱粉と水とを混合してなる澱粉水溶液に、前記澱粉水溶液に対して、ソーマチンを0.0013〜0.03wt%、クエン酸を0.005%未満(0%を除く)添加して薄膜状に成形したことを特徴とするオブラート。
  3. 所定量の澱粉と水とを混合し、攪拌して澱粉水溶液を製造し、前記澱粉水溶液に対して、スクラロースを0.0026wt%〜0.07wt%、クエン酸を0.005%未満(0%を除く)添加した後、前記澱粉水溶液を加熱しながら攪拌して糊化物を生成し、前記糊化物を薄膜状に乾燥させることを特徴とするオブラートの製造方法。
  4. 所定量の澱粉と水とを混合し、攪拌して澱粉水溶液を製造し、前記澱粉水溶液に対して、ソーマチンを0.0013wt%〜0.03wt%、クエン酸を0.005%未満(0%を除く)添加した後、前記澱粉水溶液を加熱しながら攪拌して糊化物を生成し、前記糊化物を薄膜状に乾燥させることを特徴とするオブラートの製造方法。
  5. 前記糊化物を薄膜状に乾燥させることにより製造したオブラートに香料を含浸させる基材として珪酸カルシウムを用い、この基材を前記甘味あるいは酸味をつけたオブラートの保管用容器内に収納して、前記香料をオブラートに付着させることを特徴とする請求項3,4のいずれか1項に記載のオブラートの製造方法。
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