JP4716156B2 - 偏平状のコンデンサ素子 - Google Patents
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Description
本発明は、偏平状のコンデンサ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の偏平状のコンデンサは、図1に示すように陽極箔3と陰極箔4をセパレータ7を介して円筒状に巻回し、巻き終わり端を巻き止めテープ5により止めている。前記陽極箔3及び陰極箔4には、あらかじめ外部端子を接続するための内部電極8が機械的手段により電気的に接続されている。次に、図2に示すように、前記巻回状のコンデンサ素子1を直径方向に圧縮することにより偏平状のコンデンサ素子2を成形し、駆動用電解液を含浸した後、前記コンデンサ素子2の外観形状に適合した収納ケース10に前記コンデンサ素子2を収納し、封口部材をもって封止することにより偏平状のコンデンサを形成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図2に示すような従来の偏平状のコンデンサ素子2は、陽極及び陰極に使用されている電極箔は静電容量を増やすために表面積を拡大させるエッチング処理が行われており、特に陽極側には高度のエッチング処理が行われているため、前記電極箔の機械的強度が低下している。また、前記エッチング処理が施された陽極箔には、その表面に酸化皮膜層が形成されており、前記酸化皮膜層は硬性を有しているため、折り曲げる際の機械的強度は低い。そのため、前記巻回状のコンデンサ素子1を偏平状に成形する際に加わる外力、つまり前記コンデンサ素子1を直径方向に圧縮して偏平状に成形することにより、巻回状のコンデンサ素子1の曲率が大きくなる部分に機械的ストレスが加わり、特に最も曲率の大きくなる部分には過度の機械的ストレスが加わり、前記最も曲率が大きくなる部分の電極箔にヒビ割れ9等が生じることがある。これにより、漏れ電流の急増や、前記ヒビ割れ9がセパレータ7を突き破り陽極箔3及び陰極箔4が互いに接触してショートを引き起こしてしまう可能性がある。また、偏平状のコンデンサ素子2の収納ケース10への収納時や、偏平状のコンデンサの実際の使用時などに生じる振動により前記電極箔に生じたヒビ割れ9が拡大し、さらには前記電極箔が破断して静電容量が減少してしまうことも考えられる。
【0004】
また、前記偏平状のコンデンサ素子2は圧縮により機械的に成形されているため、その反力の発生により、偏平状のコンデンサ素子2の形状の維持が大変困難であった。そのため、前記偏平状のコンデンサ素子2が膨れる等の変形により、有底筒状の収納ケース10に収納する際に不具合が生じ、歩留まりが悪化する要因となっていた。
【0005】
本発明は、これらの問題点に着目してなされたもので、偏平状のコンデンサ素子に成形する際に、箔のヒビ割れや両電極箔のショート及び電気的特性の劣化が生じにくい偏平状のコンデンサ素子を提供することを目的とする。また、コンデンサ素子を偏平状に成形した後においても、素子の形状が変形しにくい偏平状のコンデンサ素子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の偏平状のコンデンサ素子は、可塑性材料からなる支持部材が中心部に形成された巻回状のコンデンサ素子を圧縮して偏平状に成形したことを特徴とする。
【0007】
この構成によると、前記巻回状のコンデンサ素子を圧縮して偏平状に成形する際に、前記可塑性材料からなる支持部材が、前記圧縮時に巻回状のコンデンサ素子の曲率が大きくなる部分の電極箔を支持するため、前記曲率が大きくなる部分の電極箔に加わる機械的ストレスを緩和させることができる。そのため、前記圧縮時に巻回状のコンデンサ素子の最も曲率が大きくなる部分に過度の機械的ストレスが加わることを防ぎ、かつ前記最も曲率の大きくなる部分の電極箔にヒビ割れ等が発生することを防止できるので、電気的特性が安定的な偏平状のコンデンサ素子を提供できる。
【0008】
また、前記可塑性材料が金属であることを特徴とする。これによると、金属からなる支持部材を巻回状のコンデンサ素子の中心部に形成し、前記コンデンサ素子を圧縮して偏平状に成形する際に、前記金属からなる支持部材が、前記圧縮時に巻回状のコンデンサ素子の曲率が大きくなる部分の電極箔を支持するため、前記曲率が大きくなる部分の電極箔に加わる機械的ストレスを緩和させることができる。さらに、前記金属からなる支持部材は、偏平状に成形したコンデンサ素子の全体の形状を内側から保持することができる。そのため、前記偏平状のコンデンサ素子の膨れる等の形状の変形を防止でき、収納ケースに不具合なく前記偏平状のコンデンサ素子を収納することができる。また、収納後においても、前記偏平状のコンデンサ素子の膨れる等の形状の変形を防止することができるため、収納ケース自体の形状の変形をも防止できる。なお、コンデンサ素子の中心部に金属からなる支持部材が形成されているため、前記コンデンサ素子の発熱を該支持部材により放熱することが可能となり、信頼性の高い偏平状のコンデンサ素子を形成できる。
【0009】
また、前記可塑性材料が熱可塑性樹脂であることを特徴とする。これによると、巻回状のコンデンサ素子の中心部に形成された熱可塑性樹脂からなる支持部材を加熱して軟化させるとともに、前記巻回状のコンデンサ素子を圧縮して偏平状に成形する際に、前記軟化した熱可塑性樹脂からなる支持部材が、前記圧縮時に巻回状のコンデンサ素子の曲率が大きくなる部分の電極箔を支持するため、前記曲率が大きくなる部分の電極箔に加わる機械的ストレスを緩和させることができる。さらに、前記巻回状のコンデンサ素子を圧縮して偏平状に成形した後、前記熱可塑性樹脂からなる支持部材を硬化させることで、前記硬化した熱可塑性樹脂からなる支持部材が偏平状のコンデンサ素子の全体の形状を内側から保持することができる。そのため、前記偏平状のコンデンサ素子の膨れる等の形状の変形を防止することができ、収納ケースに不具合なく前記偏平状のコンデンサ素子を収納することができる。
【0010】
また、本発明の偏平状のコンデンサ素子の製造方法は、巻回状のコンデンサ素子の中心部に形成された熱可塑性樹脂からなる支持部材を加熱して軟化させるとともに、前記コンデンサ素子を圧縮して偏平状に形成する工程と、前記圧縮されたコンデンサ素子の前記熱可塑性樹脂からなる支持部材を冷却して硬化させる工程を有することを特徴とする。
【0011】
この製造方法によると、巻回状のコンデンサ素子の中心部に形成された熱可塑性樹脂からなる支持部材を加熱して軟化させるとともに、前記コンデンサ素子を直径方向に圧縮して偏平状に成形することにより、前記軟化した熱可塑性樹脂からなる支持部材が前記圧縮時に曲率が大きくなる部分の電極箔を支持するため、前記曲率が大きくなる部分の電極箔に加わる機械的ストレスを緩和させることができる。そのため、前記圧縮時に巻回状のコンデンサ素子の最も曲率が大きくなる部分に過度の機械的ストレスが加わることを防ぎ、かつ前記最も曲率が大きくなる部分の電極箔にヒビ割れ等が発生することを防止できるので、電気的特性が安定的な偏平状のコンデンサ素子を提供することができる。
【0012】
また、前記コンデンサ素子を直径方向に圧縮して偏平状に成形した後、前記コンデンサ素子の中心部に形成された熱可塑性樹脂からなる支持部材を冷却して硬化させることで、前記硬化した熱可塑性樹脂からなる支持部材が内側から偏平状のコンデンサ素子の全体の形状を保持することができる。そのため、前記巻回状のコンデンサ素子を圧縮して所望の偏平状に成形し、前記熱可塑性樹脂からなる支持部材を冷却して硬化することで、前記所望の偏平状のコンデンサ素子、かつコンデンサ素子の形状が変形しない偏平状のコンデンサ素子を製造することができる。また、前記製造方法で製造された偏平状のコンデンサ素子は収納ケースに不具合なく収納することができる。
【0013】
【実施例】
以下、図面に基づいて本発明の偏平状のコンデンサ素子及びその製造方法の実施例を説明する。
【0014】
図3は本実施例に用いられた成形工程前のコンデンサ素子を示す斜視図である。図4、6は本実施例のコンデンサ素子の成形工程を示す斜視図である。図6は本実施例のコンデンサ素子及びその収納工程を示す斜視図である。
【0015】
本実施例に用いられたコンデンサ素子は、図3に示すようにアルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔3と陰極箔4をセパレータ7を介して円筒状に巻回し、巻き終わり端を巻き止めテープ5により止めている。前記巻回状のコンデンサ素子1の中心部6には、所定の中空空間が形成されている。前記陽極箔3及び陰極箔4は、あらかじめ静電容量を増やすために表面積を拡大するエッチング処理が施されており、陽極箔には誘電体酸化皮膜層を形成する化成処理が施されている。また外部端子に接続するための内部電極8がステッチ又は超音波溶接などの手段により前記陽極箔3及び陰極箔4の一部にそれぞれ電気的に接続されている。
【0016】
前記巻回状のコンデンサ素子1の中心部6に設けられた中空空間には、可塑性材料からなる支持部材11が形成されている。前記可塑性材料からなる支持部材11は、セパレータ7の巻き始め部に可塑性材料からなるシートを用いて巻回することによって形成することができる。また、円筒状の可塑性材料を巻軸として巻回することによっても形成することができる。前記可塑性材料からなる支持部材11は前記中心部6の中空空間の全体に形成してもよいし、パイプ状などの円筒状に形成してもよい。また、巻回状のコンデンサ素子1を圧縮する際に曲率が大きくなる部分にのみ形成してもよい。なお、前記曲率が大きくなる部分を支持する支持部材11の外周形状を円形などの曲形状や、八角形などの角部を多い形状にし、偏平形状にコンデンサ素子を圧縮する際に、前記曲率が大きくなる部分に前記支持部材11から加わる機械的ストレスを緩和させて前記コンデンサ素子を円滑に圧縮することができる。
【0017】
また、低圧用のコンデンサと高圧用のコンデンサとでは、陽極箔3に形成された酸化皮膜の厚みが異なり、高圧用のコンデンサの酸化皮膜の方が厚く形成されているためその強度が弱くなっている。そのため、高圧用のコンデンサでは、支持部材11の厚みを厚く形成して前記支持部材11の支持力を強化するなど、酸化皮膜の厚みに対応させた厚みの支持部材11を用いることができる。
【0018】
本実施例の偏平状のコンデンサ素子2は、前記中心部6に可塑性材料からなる支持部材11を形成した前記巻回状のコンデンサ素子1を、直径方向に圧縮して偏平状に成形して形成される。これによると、前記圧縮時に、前記可塑性材料からなる支持部材11が巻回状のコンデンサ素子1の曲率が大きくなる部分の電極箔を支持するため、前記曲率が大きくなる部分の電極箔に加わる機械的ストレスを緩和させることができる。そのため、前記圧縮時に巻回状のコンデンサ素子1の最も曲率が大きくなる部分に過度の機械的ストレスが加わることを防ぎ、かつ前記最も曲率の大きくなる部分の電極箔にヒビ割れ等が発生することを防止できるので、電気的特性が安定的な偏平状のコンデンサ素子2を提供できる。
【0019】
前記可塑性材料として可塑性を有する金属を用いることができる。例えば、アルミニウムやアルミニウム合金等が挙げられる。前記アルミニウムなどからなる支持部材11は、パイプ状に形成され、コンデンサ素子の巻軸として、あるいはコンデンサ素子の巻回後に中心部に挿入されなどにより、巻回状のコンデンサの中心部に前記パイプ状の支持部材11が形成される。前記支持部材11の高さ方向への長さは主にコンデンサ素子と略同等の長さで形成されているが、コンデンサ素子の内部電極8の導出側の端面より、突出しないように形成される。これは、支持部材11が金属からなるため、前記内部電極8の導出側の端面より突出すると、前記内部電極8と支持部材11が接触してショートを引き起こす可能性があるためである。前記支持部材11の厚みは、主に0.3mmから1.0mmの範囲でコンデンサの低圧用には薄く、高圧用には厚く対応させて形成されている。そして、前記アルミニウムなどからなる支持部材11が中心部に形成された巻回状のコンデンサ素子は圧縮されて偏平状に成形される。これにより、前記圧縮時に巻回状のコンデンサ素子1の曲率が大きくなる部分の電極箔を前記支持部材11が支持するため、前記曲率が大きくなる部分の電極箔に加わる機械的ストレスを緩和させることができる。さらに、前記金属からなる支持部材11は、偏平状に成形したコンデンサ素子の全体の形状を内側から保持することができる。そのため、前記偏平状のコンデンサ素子2の膨れる等の形状の変形を防止でき、収納ケース10に不具合なく前記偏平状のコンデンサ素子2を収納することができる。また、収納後においても、前記偏平状のコンデンサ素子2の膨れる等の形状の変形を防止することができるため、収納ケース10自体の形状の変形をも防止できる。なお、偏平状のコンデンサ素子2の中心部に金属からなる支持部材11が形成されているため、前記コンデンサ素子の発熱を該支持部材11により放熱することが可能となり、信頼性の高い偏平状のコンデンサ素子2を形成できる。
【0020】
また、前記可塑性材料として熱可塑性樹脂を用いて支持部材11を形成することが好ましい。これによると、前記巻回状のコンデンサ素子1の中心部に形成された前記熱可塑性樹脂からなる支持部材11を加熱して軟化させるとともに、前記巻回状のコンデンサ素子1を圧縮して偏平状に成形する際に、前記軟化した熱可塑性樹脂からなる支持部材11が、前記圧縮時に巻回状のコンデンサ素子1の曲率が大きくなる部分の電極箔を支持するため、前記曲率が大きくなる部分の電極箔に加わる機械的ストレスを緩和させることができる。さらに、前記巻回状のコンデンサ素子1を圧縮して偏平状に成形した後、前記熱可塑性樹脂からなる支持部材11を硬化させることで、前記硬化した熱可塑性樹脂からなる支持部材11が偏平状のコンデンサ素子2の全体の形状を内側から保持することができる。そのため、前記偏平状のコンデンサ素子2の膨れる等の形状の変形を防止でき、収納ケース10に不具合なく前記偏平状のコンデンサ素子2を収納することができる。
【0021】
なお、前記熱可塑性樹脂からなる支持部材11は、前述した可塑性材料と同様の方法により巻回状のコンデンサ素子1の中心部6に設けられた中空空間に形成することができるが、前記中空空間に熱可塑性樹脂を注入することによっても形成することができる。前記熱可塑性樹脂からなる支持部材11は主にコンデンサ素子の高さ方向への長さと略同等の長さで形成されている。熱可塑性樹脂としては熱可塑性を有するポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。そして、
【0022】
次に、本発明の偏平状のコンデンサ素子2の製造方法の実施例を説明する。偏平状のコンデンサ素子2は、中心部6に熱可塑性樹脂からなる支持部材11が形成された巻回状のコンデンサ素子1を加熱し、前記熱可塑性樹脂からなる支持部材11を軟化させるとともに、前記コンデンサ素子1を直径方向に圧縮して、偏平状に成形する第一工程、前記偏平状に成形されたコンデンサ素子2の前記熱可塑性樹脂からなる支持部材11を冷却して硬化させる第二工程を経て製造される。さらに前記コンデンサ素子2を収納ケース10に収納し、開口部を封口部材4により封止すると偏平状のコンデンサは完成する。
【0023】
さらに詳しく前記巻回状のコンデンサ素子1の製造方法の実施例を説明すると、第一工程では、図4に示すように、中心部6に熱可塑性樹脂からなる支持部材11を有する巻回状のコンデンサ素子1を台座13に載置し、前記巻回状のコンデンサ素子1を圧縮するプレス機12を上方に、さらに前記巻回状のコンデンサ素子1の中心部6に形成された熱可塑性樹脂からなる支持部材11を加熱する加熱装置14及び冷却する冷却装置15を近傍に配置する。まず、台座13に載置された巻回状のコンデンサ素子1の中心部に形成された熱可塑性樹脂からなる支持部材11を前記加熱装置14からの熱風により加熱して軟化させる。次に前記熱可塑性樹脂からなる支持部材11を軟化させた状態で前記プレス機12により巻回状のコンデンサ素子1をA方向、つまりコンデンサ素子の直径方向に圧縮して偏平状に成形する。これにより、前記軟化した熱可塑性樹脂からなる支持部材11が圧縮時に巻回状のコンデンサ素子の曲率が大きくなる部分の電極箔を支持するため、前記曲率が大きくなる部分の電極箔に加わる機械的ストレスを緩和させることができる。そのため、前記圧縮時に巻回状のコンデンサ素子の最も曲率が大きくなる部分に過度の機械的ストレスが加わることを防ぎ、かつ前記最も曲率が大きくなる部分の電極箔にヒビ割れ9等が発生することを防止できるので、電気的特性が安定的な偏平状のコンデンサ素子2を提供することができる。
【0024】
さらに、第二工程では、図5に示すように、巻回状のコンデンサ素子1を前記加熱装置15により加熱し、前記プレス装置12により偏平状に圧縮した状態で前記偏平状のコンデンサ素子2の中心部6に形成された熱可塑性樹脂からなる支持部材11を前記冷却装置15により冷却して硬化させる。これにより、前記硬化した熱可塑性樹脂からなる支持部材11が内側から偏平状のコンデンサ素子2の全体の形状を保持することができるため、前記巻回状のコンデンサ素子1を圧縮して所望の偏平状に成形し、前記熱可塑性樹脂からなる支持部材11を冷却して硬化することで、前記所望の偏平状のコンデンサ素子2、かつコンデンサ素子の形状が変形しない偏平状のコンデンサ素子2を製造することができる。尚、本発明でいう偏平状とは長円、楕円などの非円形状のことを言う。
【0025】
前記製造方法により偏平状に成形されたコンデンサ素子2は、前述のように、前記硬化した熱可塑性樹脂からなる支持部材11が内側から偏平状のコンデンサ素子2の全体の形状を保持しているため、膨れる等の形状の変形を防止することができる。そのため、図6に示すように、前記偏平状のコンデンサ素子2の形状に適合する収納空間を有する有底筒状の収納ケース10に不具合なく収納することができる。なお、前記陽極箔3及び陰極箔4の一部に電気的に接続されている内部電極8を封口部材に設けられた外部用電極端子に接続するとともに、前記封口部材により前記収納ケースの開口部を封止することで、偏平状のコンデンサを構成することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、可塑性材料からなる支持部材が中心部に形成された巻回状のコンデンサ素子を圧縮して偏平状に成形する際に、前記可塑性材料からなる支持部材が前記圧縮時に巻回状のコンデンサ素子の曲率が大きくなる部分の電極箔を支持するため、前記曲率が大きくなる部分の電極箔に加わる機械的ストレスを緩和させることができる。そのため、前記圧縮時に巻回状のコンデンサ素子の最も曲率が大きくなる部分に過度の機械的ストレスが加わることを防ぎ、かつ前記最も曲率の大きくなる部分の電極箔にヒビ割れ等が発生することを防止できるので、電気的特性が安定的な偏平状のコンデンサ素子を提供することができる。
【0027】
また、前記可塑性材料が金属であることを特徴とする。これによると、金属からなる支持部材を巻回状のコンデンサ素子の中心部に形成し、前記コンデンサ素子を圧縮して偏平状に成形する際に、前記金属からなる支持部材が、前記圧縮時に巻回状のコンデンサ素子の曲率が大きくなる部分の電極箔を支持するため、前記曲率が大きくなる部分の電極箔に加わる機械的ストレスを緩和させることができる。さらに、前記金属からなる支持部材は、偏平状に成形したコンデンサ素子の全体の形状を内側から保持することができる。そのため、前記偏平状のコンデンサ素子の膨れる等の形状の変形を防止でき、収納ケースに不具合なく前記偏平状のコンデンサ素子を収納することができる。また、収納後においても、前記偏平状のコンデンサ素子の膨れる等の形状の変形を防止することができるため、収納ケース自体の形状の変形をも防止できる。なお、コンデンサ素子の中心部に金属からなる支持部材が形成されているため、前記コンデンサ素子の発熱を該支持部材により放熱することが可能となり、信頼性の高い偏平状のコンデンサ素子を形成できる。
【0028】
また、前記可塑性材料として熱可塑性樹脂を用い、巻回状のコンデンサ素子の中心部に形成された前記熱可塑性樹脂からなる支持部材を加熱して軟化させるとともに、前記巻回状のコンデンサ素子を圧縮して偏平状に成形する際に、前記軟化した熱可塑性樹脂からなる支持部材が、前記圧縮時に巻回状のコンデンサ素子の曲率が大きくなる部分の電極箔を支持するため、前記曲率が大きくなる部分の電極箔に加わる機械的ストレスを緩和させることができる。さらに、前記巻回状のコンデンサ素子を圧縮して偏平状に成形した後、前記熱可塑性樹脂からなる支持部材を硬化させることで、前記硬化した熱可塑性樹脂からなる支持部材が偏平状のコンデンサ素子の全体の形状を内側から保持することができる。そのため、前記偏平状のコンデンサ素子の形状の変形を防止することができ、収納ケースに不具合なく前記偏平状のコンデンサ素子を収納することができる。
【0029】
また、本発明における製造方法によると、巻回状のコンデンサ素子の中心部に形成された熱可塑性樹脂からなる支持部材を加熱して軟化させるとともに、前記コンデンサ素子を直径方向に圧縮して偏平状に成形することにより、前記軟化した熱可塑性樹脂からなる支持部材が前記圧縮時に曲率が大きくなる部分の電極箔を支持するため、前記曲率が大きくなる部分の電極箔に加わる機械的ストレスを緩和させることができる。そのため、前記圧縮時に巻回状のコンデンサ素子の最も曲率が大きくなる部分に過度の機械的ストレスが加わることを防ぎ、かつ前記最も曲率が大きくなる部分の電極箔にヒビ割れ等が発生することを防止できるので、電気的特性が安定的な偏平状のコンデンサ素子を提供することができる。
【0030】
さらに、本発明の製造方法によると、前記コンデンサ素子を直径方向に圧縮して偏平状に成形した後、前記コンデンサ素子の中心部に形成された熱可塑性樹脂からなる支持部材を冷却して硬化させることで、前記硬化した熱可塑性樹脂からなる支持部材が内側から偏平状のコンデンサ素子の全体の形状を保持することができる。そのため、前記巻回状のコンデンサ素子を圧縮して所望の偏平状に成形し、前記熱可塑性樹脂からなる支持部材を冷却して硬化することで、前記所望の偏平状のコンデンサ素子、かつコンデンサ素子の形状が変形しない偏平状のコンデンサ素子を製造することができる。また、前記製造方法で製造された偏平状のコンデンサ素子は収納ケースに不具合なく収納することができ、歩留まりの悪化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の製造過程における偏平状のコンデンサ素子を示す斜視図である。
【図2】従来の偏平状のコンデンサ素子を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施例の製造過程における偏平状のコンデンサ素子を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施例の偏平状のコンデンサ素子の製造方法を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例の偏平状のコンデンサ素子の製造方法を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施例の偏平状のコンデンサ素子及びその収納過程を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 巻回状のコンデンサ素子
2 偏平状のコンデンサ素子
3 陽極箔
4 陰極箔
5 巻き止めテープ
6 中心部
7 セパレータ
8 内部電極
9 ヒビ割れ
10 収納ケース
11 支持部材
12 プレス
13 台座
14 冷却装置
15 加熱装置
Claims (1)
- 可塑性材料からなる支持部材が中心部に形成された巻回状のコンデンサ素子を圧縮して偏平状に成形したことを特徴とする偏平状のコンデンサ素子において、
前記可塑性材料が金属である偏平状のコンデンサ素子。
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