以下、本発明の一実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施の形態は、本発明における「打込み作業工具」の一例として充電式釘打ち工具について説明する。図1は、本発明の一実施の形態の釘打ち工具1の内部構造全体を示す側面図である。また、図2は、本発明の一実施の形態の釘打ち工具1の内部構造を、図1中の矢印A方向からみた図である。また、図3は、図2のB−B線断面矢視図であって、左右の駆動ホイール30,30間への伝達部20bの食い込み状態を示す横断面図である。
図1及び図2に示すように、本実施の形態の釘打ち工具1は、本体部2とハンドル部3に大別される。ハンドル部3は本体部2の側部から側方へ突き出す状態に一体に設けられている。このハンドル部3の基部にトリガ形式のトリガ4が設けられている。また、本体部2とハンドル部3との間には、多数の打ち込み材(本実施の形態では釘n〜nを例示する)が収容されたマガジン5が掛け渡す状態に装備されている。本実施形態の釘打ち工具1は、本発明における「被加工材」としての被加工材Wに対し、本発明における「打ち込み材」としての釘nを打ち込むための機構について特徴を有している。ハンドル部3及びマガジン5のその他の構成については従来構成と同様で、本実施形態において特に変更を要しないので、その詳細な説明及び図示を省略する。
図1及び図2では、本体部2の先端部が被加工材Wに向けられた状態で示されている。このため、図1及び図2において下向き方向が釘nの打ち込み方向であり、釘nの打撃方向となる。
本体部2は、概ね円筒形状に成形された樹脂製かつ2つ割り構造の本体ハウジング10を備えている。ハンドル部3はこの本体ハウジング10の側部に一体に成形されている。このハンドル部3の先端に充電式のバッテリパック6が装着されている。このバッテリパック6を電源とする電動モータ11は、釘打ち工具1の駆動源として起動される。ここでいう電動モータ11が、本発明における「電動モータ」に相当する。
本体ハウジング10の内部には、電動モータ11の駆動力をドライバ支持台20に伝達することによって、このドライバ支持台20を駆動し、これによって釘nを打撃するための駆動機構10aが内蔵されている。この駆動機構10aは、電動モータ11、駆動滑車12、従動滑車13,14、補助滑車15、駆動ベルト16等によって構成されている。ここでいう駆動機構10aが、本発明における「駆動機構」に相当する。
駆動機構10aでは、電動モータ11は本体ハウジング10の後部(図1において上部)に内蔵されている。この電動モータ11の出力軸には駆動滑車12が取り付けられている。この駆動滑車12に対応して、本体ハウジング10の長手方向ほぼ中央には、2つの従動滑車13,14と一つの補助滑車15が配置されている。2つの従動滑車13,14は、打ち込み方向に対して左右対称に配置されている。図2に示すように、電動モータ11の出力軸に取り付けた駆動滑車12と左右の従動滑車13,14と補助滑車15との間に1本の駆動ベルト16が掛け渡されている。電動モータ11が打撃方向(「正転方向」ともいう)に起動すると、この駆動ベルト16を介して左右の従動滑車13,14が相互に反対方向に回転し、従って左右一対の駆動ホイール(「フライホイール」ともいう)30,30が相互に反対方向に同じ回転速度で同時に回転するように構成されている。ここでいう左右一対の駆動ホイール30,30が、本発明における「一対の駆動ホイール」に相当する。
本体ハウジング10のほぼ中央には、図示省略したスライド支持機構を介してドライバ支持台20が打ち込み方向に沿って移動可能に設けられている。このドライバ支持台20の先端(図1において下面)には、ドライバ21が支持されている。このドライバ21は先方(図1において下方)へ向けて長く延在する長尺状の部材として構成される。本体ハウジング10の先端にはドライバガイド25が取り付けられている。このドライバガイド25にはドライバ21を挿通可能な打ち込み孔25aがその上端から下端(先端)に至って貫通した状態で設けられている。ドライバ21の先端部はこの打ち込み孔25a内に至っている。このドライバガイド25には上記マガジン5の供給側先端部が連結されている。マガジン5には、釘n〜nを供給方向(図1において左方)へ押すためのプッシャプレート5aが内蔵されている。このプッシャプレート5aによってドライバガイド25の打ち込み孔25a内に釘nが1本ずつ供給される。また、ドライバガイド25には、打ち込み孔25aを開放するためのドアラッチ28が設けられている。なお、本実施の形態では、ドライバ21と、このドライバ21を支持するドライバ支持台20をあわせて、「ドライバ」ということもできる。これらドライバ21及びドライバ支持台20によって、本発明における「作動部材」が構成される。
ドライバガイド25には、前記トリガ4の引き操作の有効、無効を切り換えるためのコンタクトアーム(「コンタクトレバー」ともいう)26が設けられている。このコンタクトアーム26は、ドライバガイド25に対して打ち込み方向に移動可能に支持されており、かつその下端部をドライバガイド25の先端から突き出す方向にバネ付勢されている。当該釘打ち工具1を用いて釘nを被加工材Wに打ち込むためには、先ずコンタクトアーム26を被加工材Wに当接させて、その後当該釘打ち工具1を移動させてドライバガイド25の先端を被加工材Wに接近させることによりこのコンタクトアーム26をドライバガイド25に対して相対的に上方へ変位させる必要がある。コンタクトアーム26がバネ付勢力に抗して上動させると、本体ハウジング10内に取り付けたリミットスイッチ27(後述する「コンタクトアームスイッチSW1」に相当するスイッチ)がオンし、これにより電動モータ11が起動する。これらの制御が、同じく本体ハウジング10内に取り付けられた制御装置100により行われる。詳細については後述するが、この制御装置100では、トリガ4のオン操作信号、リミットスイッチ27のオン信号等が入力され、これに基づいて電動モータ11及びソレノイド42の動作等が制御される。
図3に示すように、ドライバ支持台20は断面V字形の伝達部20bを備えている。この伝達部20bの打ち込み方向左右両側部には、伝達面20a,20aが設けられている。この両伝達面20a,20aが相互にV字形に配置されて断面V字形の伝達部20bを構成している。伝達部20bの打ち込み方向左右両側方には円柱体形状駆動ホイール30,30が配置されており、各駆動ホイール30の外周面30aが伝達部20bの伝達面20aに向かい合うように構成されている。そして、伝達部20bが駆動ホイール30,30間に挟み込まれた状態では、両伝達面20a,20aにはそれぞれ駆動ホイール30の外周面30aが当接することとなる。両駆動ホイール30,30は、それぞれ支軸31を介して上記従動滑車13,14と同軸かつ一体回転可能に支持されている。従動滑車13,14が回転すると両駆動ホイール30,30が回転する。
これら左右の駆動ホイール30,30を回転支持する支軸31,31は、それぞれその両端部を軸受け32〜32で支持されて、相互にV字形に配置されている。各軸受け32〜32は、本体ハウジング10に固定したホルダ17に取り付けられている。両駆動ホイール30,30の外周面30a,30aは、それぞれ支軸31の軸線(回転軸線)に平行な構成とされる。両支軸31,31は、ドライバ支持台20の伝達面20aと同じ傾斜角度で配置され、従って伝達面20aに対して平行に配置されている。このため、両駆動ホイール30,30の外周面30a,30aは伝達面20aに線当たり状態で当接されている。
両駆動ホイール30,30の外周面30a,30aがそれぞれドライバ支持台20の伝達面20aに当接された状態でそれぞれ反対方向に回転することにより、当該ドライバ支持台20が釘nの打ち込み方向(図1において下方)へ移動する。ドライバ支持台20が打ち込み方向に移動することにより、これと一体でドライバ21が所定の待機位置(「待機領域」、「初期位置」ないし「初期領域」ともいう)から打撃位置(「打撃領域」、「打ち込み位置」ないし「打ち込み領域」ともいう)へ向けて打ち込み方向に直線的に作動し、その移動過程で打撃位置に達したとき、ドライバガイド25の打ち込み孔25a内に供給された1本の釘nの頭部が当該ドライバ21の先端で打撃されて打ち込み力が付与され、ドライバガイド25の先端から打ち出される。
ここで、ドライバ支持台20は、打ち込み作業時には、押圧部材41によりその伝達部20bを両駆動ホイール30,30間に食い込ませる方向(図1において右方、図3において上方)に押圧される。本実施の形態の場合、この押圧部材41には2つのローラが用いられている。以下、この押圧部材41を含む押圧機構40について説明する。この押圧機構40の詳細が図4及び図5に示されている。図4は、本実施の形態の押圧機構40の側面図であって、押圧部材41がドライバ支持台20に押圧されていない時の状態を示す図であり、図5は、本実施の形態の押圧機構40の側面図であって、押圧部材41がドライバ支持台20に押圧された時の状態を示す図である。
図4及び図5に示すように、この押圧機構40は、ソレノイド(「電磁アクチュエータ」ともいう)42のプッシュ・プルタイプを駆動源として備えている。詳細については後述するが、この押圧機構40は、通常、ソレノイド42へのプル側の通電によって、ドライバ支持台20を一対の駆動ホイール30,30の外周面30a,30aによって両側から挟み込んで押圧した状態(「押圧状態」ともいう)に設定する機構とされ、本発明における「設定機構」を構成する。この押圧機構40では、ソレノイド42は、本体ハウジング10内の前部に配置されている。このソレノイド42の出力軸42aは圧縮バネ42bによって突き出し側に付勢されている。打ち込み作業に際し、ソレノイド42のプル側に通電されると、出力軸42aが圧縮バネ42bに抗して引き込み側に移動する。ソレノイド42への通電が遮断されると、出力軸42aは圧縮バネ42bによって突き出し側に戻される。なお、ソレノイド42は、既知のDCソレノイドとして構成され、強磁性体である可動鉄芯(プランジャー)と固定鉄芯を磁芯とし、絶縁材料で形成されたボビンに絶縁銅線を巻いて電流を流すことにより磁気を発生するコイルを有し、コイルへの通電によって可動鉄芯が固定鉄芯に対して吸引されて直線的にストロークする構成とされる。
このソレノイド42の出力軸42aの先端には、ブラケット43を介して作動アーム44の一端側が相対回転可能に連結されている。このブラケット43には出力軸42aの伸縮方向に対して直交する方向に長い連結孔43bが形成されている。この連結孔43bに挿通された連結軸43aを介して当該ブラケット43に作動アーム44が連結されている。このため、作動アーム44の一端側は、連結軸43aを介して回転可能かつ回転中心となる連結軸43aが連結孔43b内で移動可能な範囲でその回転中心を変位可能な状態でブラケット43に連結されている。
作動アーム44は、L字形に屈曲して後方(図1、図4及び図5において上方)へ延びている。この作動アーム44の他端側には、移動支軸45を介して規制アーム46の一端側が回転可能に連結されている。この規制アーム46は、本体ハウジング10に固定支軸47を介して回転可能に支持されている。また、作動アーム44の他端側は、移動支軸48を介して押圧アーム50に回転可能に連結されている。押圧アーム50は固定支軸49を介して本体ハウジング10に回転可能に支持されている。この押圧アーム50の回動先端側(図1、図4及び図5において上端側)に前記押圧部材(押圧ローラ)41が回転自在に支持されている。
このように構成された押圧機構40によれば、図1及び図4に示す待機状態(「初期状態」ともいう)では、ソレノイド42へのプル側の通電が遮断されており、従って出力軸42aは圧縮バネ42bによって突き出し側に戻されている。この待機状態では、作動アーム44の基端側(連結軸43a側)が図1及び図4において左斜め下方へ変位し、従って規制アーム46が固定支軸47を中心にして反時計回り方向へ傾動して押圧アーム50が固定支軸49を中心にして反時計回り方向に傾動し、その結果として押圧部材41がドライバ支持台20の背面から離間した状態(浮いた状態)となっている。この状態は、押圧部材41がドライバ支持台20の背面から離間して、押圧部材41とドライバ支持台20と接触し、ドライバ支持台20と左右駆動ホイール30は一直線上よりも時計回り方向へ少し多めに移動する、電動モータ11の駆動力をドライバ支持台20に伝達する伝達状態が解除された伝達解除状態とされる。
これに対して、ソレノイド42のプル側に通電されると、その出力軸42aが圧縮バネ42bに抗して引き込み側に作動する。すると、図5に示すように作動アーム44の基端側が右斜め上方へ変位し、従って規制アーム46が固定支軸47を中心にして時計回り方向に傾動して押圧アーム50が固定支軸49を中心にして時計回り方向に傾動し、その結果として押圧部材41がドライバ支持台20の背面に押圧された状態となる。押圧部材41がドライバ支持台20の背面に押圧された状態であるので、ドライバ支持台20の伝達部20bが左右の駆動ホイール30,30間に食い込んだ状態となっている。
しかも、図5に示すこの状態では規制アーム46の固定支軸47と、作動アーム44との連結点である移動支軸45と、作動アーム44の押圧アーム50との連結点である移動支軸48が一直線上に位置する状態となる。このため、押圧アーム50は、押圧部材41をドライバ支持台20の背面に押圧した状態にロックされ、これにより伝達部20bの両駆動ホイール30,30間への食い込み状態が強固に維持される。この状態は、押圧部材41がドライバ支持台20の背面の当接した押圧状態であり、電動モータ11の駆動力をドライバ支持台20に伝達する伝達状態とされる。
このように押圧機構40は、押圧部材41をドライバ支持台20の背面に押圧し、この押圧状態を固定支軸47及び移動支軸45,48により構成されるトグル機構によってロックし、これにより伝達部20bの駆動ホイール30,30間への食い込み状態を維持する機能を有している。両駆動ホイール30,30間に伝達部20bが強固に食い込まれた状態となるため、両駆動ホイール30,30の回転動力が大きな摩擦により滑りを発生することなく効率よくドライバ支持台20を打ち込み方向へ移動させるための駆動力として伝達される。
次に、本体ハウジング10の後部(図1において上部)には、釘nの打ち込みが完了して下動端に至ったドライバ支持台20及びドライバ21を待機位置に向けて上方へ戻すための巻き取り機構が設けられている。本実施の形態では、この巻き取り機構は、打ち込み方向に対して左右両側に設けられた巻き取りホイール60,60、戻しゴム70、ぜんまいバネ63等によって構成されている。この巻き取り機構は、ドライバ21を釘nの打込み後に待機位置へと復帰させるべく待機位置側へと巻き取り力を付与する(付勢する)機構であり、本発明における「付勢機構」を構成する。
当該巻き取りホイール60,60に関する構造については、図6〜図9が参照される。ここで、図6には、本実施の形態の戻しゴム70を巻き取る巻き取りホイール60の側面図が示される。また、図7には、本実施の形態の巻き取りホイール60の横断面図であって、戻しゴム70の一端側70aの固定状態が示される。また、図8には、本実施の形態のドライバ支持台20の平面図であって、戻しゴム70の他端側70bの固定状態が示され、図9には、本実施の形態のドライバ支持台20の側面図であって、戻しゴム70の他端側70bの固定状態が示される。
図6に示すように、2つの巻き取りホイール60,60は、軸受け61,61を介して本体ハウジング10に回転可能に支持された巻き取り軸62上に固定されている。また、巻き取り軸62と本体ハウジング10との間には、ぜんまいバネ63が介装されている。このぜんまいバネ63により巻き取り軸62は巻き取り方向に付勢され、従って両巻き取りホイール60,60が巻き取り方向(図6において時計回り方向)、に付勢されている。図7に示すように、両巻き取りホイール60,60にはそれぞれ紐状の弾性を有する戻しゴム70の一端側70aが結合されている。両巻き取りホイール60,60は、それぞれ回転軸線方向の2つ割り構造を有しており、戻しゴム70の一端側70aは、その2つ割り面60aに設けた溝部60b内に嵌め込んで、かつ2つ割り面60a,60a間に挟み込まれた状態で結合されている。溝部60b内には複数の突起60c〜60cが設けられている。この複数の突起60c〜60cに引っ掛かることにより戻しゴム70の一端側70aが溝部60bから抜け出ることが防止され、これにより当該戻しゴム70の一端側70aが巻き取りホイール60に対して一層強固に結合されている。図7に示すようにこの戻しゴム70は、操作されていない状態(巻き取られた状態)では、巻き取りホイール60に1回以上巻き取られるようにその長さ等が設定されている。
図8及び図9に示すように、戻しゴム70,70のドライバ支持台20に対する結合状態では、2本の戻しゴム70,70の他端側70bは、それぞれドライバ支持台20の側面に結合されている。このとき、両戻しゴム70,70の他端側70bは、それぞれ球形の係合部として構成されている。これに対してドライバ支持台20の両側面には、係合孔20c,20cが設けられている。この係合孔20cに球形の係合部(他端側70b)を戻し方向に係合させて強固に抜け止めされた状態で当該戻しゴム70の他端側がドライバ支持台20に結合されている。
次に、上記の制御装置100の具体的構成を図10を参照しつつ説明する。この図10には、本実施の形態の制御装置100のシステム構成が示される。
図10に示すように、本実施の形態の制御装置100では、CPU(中央演算処理装置)110に各種の入出力装置が接続されている。具体的には、CPU110の入力側にコンタクトアームスイッチSW1、トリガスイッチSW2及びドライバ検出部113が接続され、CPU110の出力側にソレノイド制御部114、モータ制御部115及び表示部120が接続されている。コンタクトアームスイッチSW1は、コンタクトアーム26が被加工材Wに対し押し付けられた場合にオン状態とされるスイッチとして構成される。トリガスイッチSW2は、トリガ4が引き操作された場合にオン状態とされるスイッチとして構成される。詳細については後述するが、ドライバ検出部113は、ドライバ21を検出する機構として構成される。ソレノイド制御部114は、押圧機構40のソレノイド42の駆動を制御する機能を有する。モータ制御部115は、電動モータ11の駆動を制御する機能を有する。表示部120は、釘詰まり等の警告信号を表示可能なLED等の表示体によって構成される。
また、図10に示す制御装置100による制御に関しては、図11〜図18が参照される。ここで、図11には、本実施の形態の制御装置100による制御フローチャートが示される。当該制御における判断は、図10中のCPU110が主体として行い、この判断結果に基づいて駆動機構10aの制御を行う。また、図12〜図18には、図11中の制御フローチャートを用いた制御過程における釘打ち工具1の状態が示される。
図11に示す制御では、まずハンドル部3の下端に電池を搭載したバッテリパック6が装着されることで、ステップS101において初期設定がなされ、これにより釘打ち工具1が動作可能な状態とされる。次に、ステップS102において、コンタクトアーム26が被加工材Wに対し押し付けられて、コンタクトアームスイッチSW1がオン状態になっているか否かを判断する。コンタクトアームスイッチSW1がオン状態であると判断した場合(ステップS102のYESの場合)には、ステップS103にすすみ、コンタクトアームスイッチSW1がオン状態でないと判断した場合(ステップS102のNOの場合)には、再度ステップS102を実行する。
ステップS103では、電動モータ11を規定回転数まで正転させる制御を行う。すなわち、コンタクトアーム26が相対的に上動してドライバガイド25の先端部が被加工材Wに接近すると、コンタクトアームスイッチSW1(リミットスイッチ27)がオンして電動モータ11が打ち込み方向(「正転方向」ともいう)に起動する。図12に示すように、電動モータ11が打ち込み方向に起動すると、左右の駆動ホイール30,30が白抜き矢印で示した打ち込み方向(相互に反対方向)に回転する。当該回転は、駆動滑車12が図2において白抜き矢印で示した方向(打ち込み方向)に回転することによる。左右の駆動ホイール30,30が打ち込み方向に回転すると、その回転駆動力をドライバ支持台20の伝達面20a,20aに対し付与可能な状態が形成される。この状態は、左右の駆動ホイール30,30は正転しているものの、押圧部材41はドライバ支持台20の背面から離間した状態(浮いた状態)であり、ドライバ支持台20が左右駆動ホイール30,30間に食い込んでいない状態である。
ステップS104では、規定時間(例えば5秒)内にトリガ4が引かれて、トリガスイッチSW2がオン状態になったか否かを判断する。トリガスイッチSW2が規定時間内にオン状態になったと判断した場合(ステップS104のYESの場合)には、ステップS105にすすみ、トリガスイッチSW2が規定時間内にオン状態になっていないと判断した場合(ステップS104のNOの場合)には、ステップS116によって電動モータ11を停止させ、その後にコンタクトアーム26の押し付けが解除されてコンタクトアームスイッチSW1がオフ状態になったことをステップS117によって確認した後に、ステップS102へ戻る。
ステップS105では、ドライバ検出部113がオン状態とされ、ドライバ21の状態の検出が開始される。ステップS106では、電動モータ11をオフ状態とし、引き続きステップS107では、ドライバ支持台20の押圧状態を形成するべくソレノイド42に対し規定時間(例えば、20[ms])のプル側の通電を行う。すなわち、図13に示すように、電動モータ11の起動後、トリガ4を引き操作すると、ソレノイド42がその出力軸42aを引き込む方向(押圧方向)に作動し、これにより作動アーム44が変位して押圧アーム50が固定支軸49を中心にして押圧方向に傾動し、従って押圧部材41,41がドライバ支持台20の背面に押圧される。この状態は、押圧部材41がドライバ支持台20の背面に押圧された状態であるので、ドライバ支持台20の伝達部20bが左右の駆動ホイール30,30間に食い込んだ状態である。また、この押圧状態は、トグル機構を構成する移動支軸45,48が図5に示すように一直線上に位置することによりロックされ、従ってドライバ支持台20の左右の駆動ホイール30,30間への食い込み状態がロックされる。こうしてドライバ支持台20の伝達部20bが左右の駆動ホイール30,30間に所定の押圧力で食い込むことにより、両者間に滑りを発生することなくドライバ支持台20に対して大きな駆動力が発生する。
ドライバ支持台20が大きな駆動力で打ち込み方向に移動すると、ドライバ21は、図13に示す待機位置から図14に示す打撃位置に向けてドライバガイド25の打ち込み孔25a内を下道(前進)して、打撃位置にて釘nの頭部を打撃することで打ち込み力が付与され、これによりこの釘nが被加工材Wに打ち込まれることとなる。すなわち、ドライバ21が左右一対の駆動ホイール30,30の外周面30a,30aによって両側から挟み込まれた状態で、電動モータ11を正転方向に回転制御し、正転方向に回転するこの電動モータ11の駆動力によって左右一対の駆動ホイール30,30を互いに打ち込み方向内まわり(図13及び図14中の白抜き矢印方向)に回転させ、これによってドライバ21を駆動ホイール30,30の回転力によって打ち込み方向に駆動する。この打ち込み制御は、駆動機構10aによって、電動モータ11が正転方向に回転したときの駆動力をドライバ21に伝達して、このドライバ21を打ち込み方向に駆動する駆動モードであり、本発明における「第1の駆動モード」に相当する。
打ち込み完了後、トリガ4の引き操作から一定時間(例えば20ms)経過すると、ソレノイド42へのプル側の通電が遮断されてその出力軸42aが圧縮バネ42bにより突き出し方向に戻される。出力軸42aが突き出し方向に戻されると、図4に示すように作動アーム44が変位して移動支軸45が固定支軸47と移動支軸48を結ぶ線上から外れてトグル機構が解除され、また押圧アーム50が固定支軸49を中心にして反時計回り方向に傾動して押圧部材41,41のドライバ支持台20の背面に対する押圧状態が解除される。
ドライバ支持台20に対する押圧部材41,41の押圧が解除されると、当該ドライバ支持台20が戻しゴム70,70により上方へ引っ張れられて図1に示す待機位置に戻される。この待機位置におけるドライバ支持台20の位置は、ストッパ71によって規制されている。なお、制御装置100の制御によりソレノイド42への通電時間(ドライバ支持台20の押圧状態)は、例えば20ms程度に設定されている。これにより、打ち込み完了後、トリガ4の引き操作をそのまま維持した場合であってもソレノイド42への通電が自動的に遮断されるようになっている。このため、次の作業へ移る場合に、急いでトリガ4の戻し操作をする必要はなく、この点で良好な操作性が確保されている。
戻しゴム70,70は、それぞれ収縮側への自身の弾性力を有しており、また巻き取り側にバネ付勢された巻き取りホイール60に巻き取られる。このため、ドライバ支持台20を大きなストロークで打ち込み方向に移動させる場合にも、当該ドライバ支持台20を確実に待機位置まで戻すことができ、また戻しゴム70,70のへたりを抑制してその耐久性を高めることができる。
ところで、上記の打ち込み動作において、場合によっては、ドライバ21によって打撃された釘nが打ち込み途中でドライバガイド25の打ち込み孔25a内にて変形した状態で詰まったり、ドライバ21自体が打ち込み孔25a内の釘nとの隙間に食い込んで噛み込み状にロックする状態(「こじり状態」ともいう)のような詰まり現象の発生によって、ドライバ21の適正な作動が妨げられることが想定される。例えば、図15には、ドライバ21によって打撃された釘nが打ち込み途中でドライバガイド25の打ち込み孔25a内にて詰まった状態が示されている。そこで、このような詰まり現象発生に速やかに対処する方策が要請されるところ、本実施の形態では、以下に示す図11中のステップS108〜S114までの制御を順次行うこととしている。なお、ステップS108〜S114として示すこれらの制御は、概してドライバ21自体の状態を検出したうえで、詰まり現象発生に速やかに対処するのに有効な制御とされる。すなわち、この種の打ち込み作業工具では、ドライバによる打ち込み作業時に発生し得る詰まり現象として、釘自体の詰まりのみならず、釘に対しドライバが食い込んで噛み込み状にロックするドライバ自体の詰まりの発生が想定されるところ、本実施の形態は、釘自体の状態を検出する技術では、釘及びドライバを含めた包括的な詰まり現象に適正に対処するのに限界があるという考えに基づいている。
ステップS108では、ドライバ検出部113からの情報に基づいて、規定回数以上の出力、例えば20[ms]毎で5回以上の出力がなされているか否かを検出し、詰まりの発生(釘n自体の詰まりや、ドライバ21自体の詰まりの発生の有無)を判断する。この判断は、詰まり発生時には、ドライバ21が前記の巻き取り機構による巻き取り力に抗して打撃位置に滞留しているとの考えに基づいている。ドライバ検出部113から規定回数以上の出力がなされている場合(ステップS108のYESの場合)には、詰まりが発生したと判断してステップS109へすすみ、ドライバ検出部113から規定回数を下回る出力がなされている場合、或いは出力がない場合(ステップS108のNOの場合)には、詰まりが発生していないと判断してステップS102へ戻る。
ステップS109では、詰まり解消のための第1ステップとして、ソレノイド42を複数回押す制御(プッシュ側の通電及び通電遮断の繰り返し動作)が行われる。この制御モードは、ドライバ検出部113による検出情報に基づいてドライバ21が打撃位置に滞留している場合に、駆動機構10aを前述の伝達状態と伝達解除状態とに繰り返し制御する制御モードである。この制御は、押圧機構40の作動状態が要因となってドライバ支持台20の押圧状態が維持されてドライバ21が打撃位置にて滞留しているような場合に、この押圧状態を解消してドライバ21の滞留状態を解消するのに有効とされる。そして、引き続きステップS110において、ドライバ検出部113からの出力があるか否かを判断する。ドライバ検出部113からの出力がある場合(ステップS110のYESの場合)には、未だ詰まりが解消されていないと判断されてステップS111にすすむ一方、ドライバ検出部113からの出力がない場合(ステップS110のNOの場合)には、ステップS102へ戻る。なお、必要に応じては、これらステップS109及びステップS110を省略し、ステップS108にて詰まり発生が検出されたら、そのままステップS111に移行する構成を採用することもできる。ステップS109の動作で、押し付け機構のみ解除されて釘詰まりは解除されていない場合は、逆転動作のみで釘詰まりが解除されないので、一旦ソレノイド42のプル動作で押し付け機構を有効にし、モータ逆転動作を行なう。
ステップS111及びステップS112では、詰まり解消のための第2ステップとして、押し付け機構を有効にした上で電動モータ11を逆転駆動させる。具体的には、ステップS111おいてドライバ支持台20の押圧状態を形成するべくソレノイド42に対しプル側を通電し、ドライバ21が左右一対の駆動ホイール30,30の外周面30a,30aによって両側から挟み込まれた状態で、ステップS112において電動モータ11を逆転方向に回転制御する。これにより、図16に示すように、逆転方向に回転するこの電動モータ11の駆動力によって左右一対の駆動ホイール30,30を互いに打ち込み方向外まわり(図16中の白抜き矢印方向)に回転させ、これによってドライバ21を駆動ホイール30,30の回転力によって待機位置側へと駆動する。この引き抜き制御(「詰まり解除制御」ともいう)は、ドライバ21を強制的に引き上げるのに有効とされる。この引き抜き制御は、駆動機構10aによって、電動モータ11が逆転方向に回転したときの駆動力をドライバ21に伝達して、このドライバ21を待機位置側へと駆動する駆動モードであり、本発明における「第2の駆動モード」に相当する。また、この第2の駆動モードに設定された駆動機構10aは、釘nの打込み時に、ドライバ21が前記の巻き取り機構による巻き取り力に抗して打撃位置に滞留したとき、当該滞留を解除するべくドライバ21に対し前記の巻き取り機構による付勢力とは別個に待機位置側への力を付与する機構であり、本発明における「解除機構」を構成する。
ステップS111及びS112における制御が有効である場合には、図17に示すように、ドライバ21が実際に元の待機位置へと引き上げられるドライバ戻り動作が行われる。また、引き続き図18に示すように、電動モータ11の駆動停止によって駆動ホイール30,30の回転が停止されるとともに、ソレノイド42に対するプル側の通電が遮断されて、押圧部材41がドライバ支持台20の背面に押圧された状態が解除される。この状態において、作業者は、釘打ち工具1自体を引き抜くか、或いはドアラッチ28を開放操作することによって、打ち込みが不完全な釘を打ち込み孔25aから除去することが可能となる。
ステップS113では、ドライバ検出部113からの出力があるか否かを判断する。ドライバ検出部113からの出力がある場合(ステップS113のYESの場合)には、依然として詰まりが解消されていないと判断されてステップS114及びステップS115にすすむ一方、ドライバ検出部113からの出力がない場合(ステップS113のNOの場合)には、ステップS102へ戻る。
ステップS114及びステップS115では、詰まり解消のための第3ステップとして、電動モータ11を停止させた後、釘詰まり状態であることを作業者に報知するべく、表示部120を作動させる制御を行う。この表示部120における表示を確認した作業者は、釘詰まり状態が未だ解消されていないことを認識し、ドアラッチ28を手動で外して打ち込みが不完全な釘を排除する作業によって詰まりを解消することが可能とされる。この作業の後にドライバ21が正常な位置に復帰することで表示部120の作動が停止され、ステップS101のシーケンスに戻る。詰まり状態の報知を行う報知機構に関しては、表示部120に加えて或いは代えて、音声などを出力する音出力部を用いた構成を採用することもできる。
なお、ドライバ21を検出する前記のドライバ検出部113としては、非接触タイプのセンサである光電スイッチ式センサや磁気式センサ等を用いた検出構造が採用され得る。このドライバ検出部113によって、一定時間内或いは所定時刻におけるドライバ21の挙動(ドライバ21の位置、速度或いは加速度等、作動部材の動きに関する情報)を検出することができる。当該検出構造に関しては、図19〜図22が参照される。
本実施の形態のドライバ検出部113としての光電スイッチ式センサ113aの概略構成が図19に示され、図19中の光電スイッチ式センサ113aを搭載した釘打ち工具の概略構成が図20に示される。この光電スイッチ式センサ113aは、ドライバ21を取り囲むように配設され、投光部及び受光部を備える。この光電スイッチ式センサ113aでは、可視光線や赤外線などの光を、投光部から信号光として発射し、ドライバ21にて反射する光を受光部で検出したり、ドライバ21によって遮光される光量の変化を受光部で検出することで出力信号を得る。この光電スイッチ式センサ113aにおいて検出される出力信号の検出回数に基づいて、釘nの打込み時にドライバ21が打撃位置に滞留しているか否かが検出され、これによって図11中のステップS108における釘詰まり発生の判断が可能とされる。この光電スイッチ式センサ113aは、待機位置よりも打撃位置側領域に配設されるのが好ましく、特には図20に示すように、ドライバガイド25の後端部付近に搭載されるのが好ましい。
また、本実施の形態のドライバ検出部113としての磁気式センサ113bの概略構成が図21に示され、図21中の磁気式センサ113bを搭載した釘打ち工具の概略構成が図22に示される。この磁気式センサ113bは、磁性体であるドライバ21に対置するように配設される磁石113cと、この磁石113cの磁束密度を検知するホールIC(素子)113dを備える。この磁気式センサ113bでは、磁石113cとホールIC113dとの間の磁束密度は、磁性体であるドライバ21が動作していない状態よりも、当該ドライバ21が動作しているときの磁束密度の方が高くなる。この現象に基づいて、磁束密度の変化を数回に渡ってモニタし、磁束密度が多くなっている合計時間から、釘nの打込み時にドライバ21が打撃位置に滞留しているか否かが検出され、これによって図11中のステップS108における釘詰まり発生の判断が可能とされる。この磁気式センサ113bは、待機位置よりも打撃位置側領域に配設されるのが好ましく、特には図22に示すように、ドライバガイド25の後端部付近に搭載されるのが好ましい。
以上のように、本実施の形態の釘打ち工具1によれば、釘nの打込み時に、ドライバ21が巻き取り機構による巻き取り力に抗して打撃位置に滞留したとき、駆動機構10aを引き抜き制御することによって、ドライバ21に対し待機位置側への力を付与し、これによりドライバ21を打撃位置から待機位置側へと移動させることが可能となる。従って、打ち込み時に打撃位置にて釘nやドライバ21の詰まり現象が発生した場合であっても、駆動機構10aを引き抜き制御することによって詰まりを解除することができ、また詰まり状態の釘nを排出するべくドアラッチ28の円滑な開放操作が可能とされる。
また、本実施の形態釘打ち工具1によれば、ドライバ21を駆動する駆動機構10aの構成を利用して、ドライバ21に対し待機位置側への力を付与する解除機構を構成することができるため合理的である。更に、この解除機構の具体的な構成として、一対の駆動ホイール30,30の外周面30a,30aによってドライバ21を両側から挟み込む構成を採用することによって、ドライバ21の待機位置側への移動方向を安定させて詰まりを確実に解除することが可能となる。
また、本実施の形態釘打ち工具1によれば、打ち込み時にドライバ21が打撃位置に滞留していることをドライバ検出部113で検出することによって、釘n自体の詰まりのみならず、釘nに対しドライバ21が食い込んだ状態の発生を検知することができ、これにより打ち込み時の不具合を包括的に検知することが可能となる。従って、打ち込み時における打撃位置での不具合を包括的に検知することができる。特に、一定時間内或いは所定時刻におけるドライバ21の挙動を検出するドライバ検出部113を待機位置よりも打撃位置側領域に配設することによって、ドライバ21の挙動を簡便に検出することが可能となる。
また、本実施の形態の釘打ち工具1によれば、詰まり解消のための第1ステップ、第2ステップ及び第3ステップの3段階のステップを順次遂行することによって、打撃位置におけるドライバ21の滞留状態を解消するのに有効とされ、また当該滞留状態を作業者に報知して、作業者に更なる操作を促すのに有効とされる。なお、詰まり解消のためのステップに関しては、第1ステップ、第2ステップ及び第3ステップのうちの少なくとも1つのステップを行う構成を適宜採用することが可能である。
(他の実施の形態)
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、本実施の形態に基づいた種々の応用例や変更例を想到することができる。例えば、本実施の形態を応用した以下の形態を実施することもできる。
上述した実施の形態では、ドライバ21による打ち込み動作において、ドライバ21の適正な作動が妨げられた場合に、駆動機構10aの制御によってドライバ21を電動モータ11の駆動力によって打撃位置から待機位置へと自動で復帰させる構成について記載したが、本発明では、ドライバ21を作業者の手動操作によって打撃位置から待機位置へと復帰させる構成を採用することもできる。本構成に関しては、図23〜図25が参照される。
図23は、別の実施の形態の釘打ち工具201の本体部202の内部構造を部分的に示す側面図である。また、図24は、別の実施の形態の釘打ち工具201の本体部202の内部構造を図23中の矢印C方向からみた図であって、レバー203が収納位置から使用位置へと起こし操作される過程を示すものであり、図25は、別の実施の形態の釘打ち工具201の本体部202の内部構造を図23中の矢印C方向からみた図であって、レバー203が使用位置に設定された状態を示すものである。
図23に示すように、別の実施の形態の釘打ち工具201は、前述の釘打ち工具1と同様の巻き取り機構において、更にレバー203を備える構成とされる。このレバー203は、2つの巻き取りホイール60,60の巻き取り軸62に対し設けられており、打ち込み作業時の釘nやドライバ21の詰まり発生に対処するための非常用レバーとしての機能を有する。レバー203を含むこの巻き取り機構は、ドライバ21を釘nの打込み後に待機位置へと復帰させるべく待機位置側へと巻き取り力を付与する(付勢する)機構であり、本発明における「付勢機構」を構成する。
具体的な使用方法に関しては、通常の打ち込み作業においては図24中に示す収納位置に設定される一方、詰まり発生が検出されると収納位置から図24中の矢印方向へとレバー起こし操作がなされ、図25中の使用位置に設定される。レバー203は、その収納位置にあっては巻き取り軸62と係合しないが、その使用位置にあっては巻き取り軸62側へと押し込まれることによって、図25に示すように巻き取り軸62と係合することとなる。これにより、使用位置のレバー203は、その回転操作によって巻き取り軸62を回転させることが可能となる。本実施の形態の場合には、使用位置のレバー203を右回り(図25中の矢印方向)に回転させ、両巻き取りホイール60,60を巻き取り方向(図23において時計回り方向)に回転させることによって、戻しゴム70を巻き取り、これによってドライバ21を元の待機位置へと復帰させることが可能となる。
なお、本発明では、上述の釘打ち工具1において、ドライバ21を電動モータ11の駆動力によって打撃位置から待機位置へと自動で復帰させる機構に加えてレバー203を設けた第1の構成や、当該機構に代えてレバー203を設けた第2の構成を適宜採用することができる。第1の構成を採用する場合、例えば図11中のステップS112において電動モータ11を逆転駆動しても詰まりが解消されないときに、ステップS115の警告表示に基づいて作業者がレバー203を操作することが可能となる。この場合、作業者によるレバー203の操作が、詰まり解消のための第4ステップとされる。また、第2の構成を採用する場合、例えば図11中のステップS108において詰まり発生が検出されたとき、所定の警告表示に基づいて作業者がレバー203を操作することが可能となる。
また、上述した本実施の形態では、打込み作業工具の一例として充電式の釘打ち工具を例にして説明しているが、本発明は、充電式の釘打ち工具の構成に限定されるものではなく、充電式、交流駆動式、エア駆動式の釘打機やピンタッカ等の構成に本発明を適用可能である。