JP4714305B2 - 同期電動機 - Google Patents

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Description

本発明は、同期電動機の巻線構成に関し、特に、トルク性能を向上させる技術に関する。
コンプレッサ、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車等に用いられる同期電動機には、小型軽量、高出力、低振動、低騒音、高効率の要請から、特に高トルクかつ低トルク脈動であることが求められる。
永久磁石を回転子鉄心の表面に配置した、いわゆる表面磁石型同期電動機の場合、永久磁石による界磁と電機子電流との位相差が90°であるとき、すなわち、回転子の磁極間と、固定子巻線が巻回された固定子ティースとが対向した位置関係でその固定子巻線に供給される電流が最大になるとき、永久磁石によるトルク(マグネットトルク)が最大となる。永久磁石による界磁と電機子電流との位相差が90°からずれるとトルクは減少する。
また、永久磁石を鉄心の内部に配置した、いわゆる永久磁石埋込み型同期電動機の場合、永久磁石によるマグネットトルクに加え、回転子と固定子の位置による磁気抵抗の差による突極性に基づくリラクタンストルクが発生する。リラクタンストルクは、永久磁石による界磁と電機子電流との位相差が45°近傍であるときに最大となる。従って、永久磁石埋込み型同期電動機のトルクは、マグネットトルクとリラクタンストルクとを合せたトルクとなり、界磁と電機子電流との位相差0°から45°近傍で最大トルクとなる。
一般に同期電動機のトルクは、永久磁石による界磁の高調波成分の影響や、電機子電流の高調波成分の影響等に基づく脈動成分をもつ。そこでトルク脈動を低減するために、同じ位相の電流が流れる固定子巻線の配置間隔(角度)を回転子の磁極間隔(角度)から機械的にずらす技術がある。このようにすると、互いの固定子巻線に生じるトルク脈動の位相がずれ、トルク脈動を打消すことができ、その結果、低振動、低騒音を実現することができる(例えば、特許文献1,2)
特許文献1には、固定子巻線が1つの固定子ティースに同心状に巻回されたいわゆる集中巻の同期電動機において、回転子の磁極の数を10とし、固定子ティースをU+相、U−相、V+相、V−相、W+相、W−相の順で2組繰り返し配置して合計12ティースとしたものが開示されている。この場合、同じ位相の電流が流れる固定子巻線(例えばU+相とU−相)は電気角でπ/6ラジアンずれることとなり、互いの固定子巻線に生じるトルク脈動の位相がπ/6ラジアンずれることになる。その結果、トルク脈動を低減することができる。
また、特許文献2は、固定子巻線が配置されるスロットの数(ティースの数と同等)と回転子の磁極数との関係を18スロットで20極とすることにより、12スロットで8極あるいは9スロットで8極などの従来の同期電動機に比べて、無通電時のトルク脈動であるコギングトルクを低減することを開示している。
特開平9−285088号公報 特開2003−244915号公報 特開2000−041392号公報
上記の通り、回転子の磁極間隔と異なる配置間隔で配置された固定子ティースに、それぞれ固定子巻線を巻回し、これらの固定子巻線に同じ位相の電流を供給することとした場合、各固定子ティースから生じるトルク脈動の位相をずらすことができ、その結果、全体としてのトルク脈動を低減することができる。
しかしながら、上記構成では、ある固定子ティースが回転子の磁極との関係で最大トルクを生みだす位置にあるとき、その固定子ティースから回転子の磁極間隔と異なる間隔で配置された固定子ティースは、最大トルクを生みだす位置からずれた位置にあることとなり、最大トルクを生みだすことができない。すなわち従来の技術では、トルク脈動を低減しようとすると全体のトルクが減少してしまうという課題がある。
そこで本発明は、上記課題に鑑み、トルク脈動を低減しつつ、トルクの減少を抑制することができる技術を提供することを目的とする。
本発明に係る同期電動機は、周方向に等間隔に並設された複数の磁極を含む回転子と、周方向に並設された複数の固定子ティースを含む固定子とを備え、前記複数の固定子ティースは、周方向に並ぶ所定個数単位で固定子ティース組を構成し、当該構成された複数の固定子ティース組の周方向の間隔は等しく、前記複数の固定子ティースでは、電気角で同じ位置にある固定子ティース組が複数個ずつ存在し、周方向に並んだ複数個の固定子ティース組単位で回転対称になっており、各固定子ティース組において、固定子ティース組に含まれる所定個数の固定子ティースは、前記回転子の磁極の配置間隔と異なる配置間隔で並設され、前記所定個数の固定子ティースには、個別にメイン巻線が巻回されていると共に、前記所定個数の固定子ティースのうちの少なくともひとつにはサブ巻線がさらに巻回され、固定子ティース組に含まれる所定個数のメイン巻線と、当該固定子ティース組とは電気角で異なる位置にある他の固定子ティース組に含まれる少なくともひとつのサブ巻線とが直列に結線されて、ひとつの相の巻線を構成し、前記固定子ティース組に含まれる少なくともひとつのサブ巻線と、当該固定子ティース組とは電気角で異なる位置にある他の固定子ティース組に含まれる所定個数のメイン巻線とが直列に結線されて、ひとつの相の巻線を構成している。
本発明の同期電動機によれば、以下のような効果を得ることができる。
上記構成では、各固定子ティース組において、所定個数の固定子ティースは回転子の磁極の配置間隔と異なる配置間隔で並んでいるので、無通電時のトルク脈動であるコギングトルクを低減することができる。
また、上記構成によれば、ひとつの固定子ティースに巻回されたメイン巻線およびサブ巻線は、それぞれ異なる相の巻線の一部分となる。そのため、当該固定子ティースに生じる磁界は、メイン巻線に基づく磁界とサブ巻線に基づく磁界とをベクトル合成したものとなる。このベクトル合成により得られる磁界の大きさおよび位相は、メイン巻線およびサブ巻線の巻数を調整することにより任意に調整することができる。したがって、各固定子ティースのメイン巻線およびサブ巻線の巻数を適切に調整すれば、固定子ティースが回転子の磁極間隔と異なる配置間隔で配置されていても、何れの固定子ティースも最大トルクを生みださせることができ、その結果、全体としてのトルクを高めることができる。
なお、上記構成では、メイン巻線およびサブ巻線は何れも固定子ティースに集中巻に巻回されているので、特許文献3に開示されているような分布巻を採用した同期電動機に比べてコイルエンド部を低く、かつ、巻線の配線長を短くすることができる。したがって、小型で高効率な同期電動機を実現することができる。
本発明の第1の実施形態に係る同期電動機の平面図 図1の同期電動機の詳細図 本発明の第1の実施形態に係る磁界の大きさおよび位相を示すベクトル図 従来の同期電動機の詳細図 トルクの時間変化を示す図 本発明の第2の実施形態に係る同期電動機の詳細図 本発明の第2の実施形態に係る同期電動機の巻線図 本発明の第3の実施形態に係る同期電動機の平面図 本発明の第4の実施形態に係る同期電動機の平面図 本発明の第4の実施形態に係る磁界の大きさおよび位相を示すベクトル図 本発明の第1の変形例に係る同期電動機の平面図 図11の同期電動機の詳細図 本発明の第1の変形例に係る磁界の大きさおよび位相を示すベクトル図 本発明の第2の変形例に係る同期電動機の平面図
本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
<概略構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る同期電動機の平面図、図2は、図1の同期電動機の詳細図である。
同期電動機1は回転子2および固定子3から構成される。
回転子2は、回転子コア4および20個の永久磁石5を含み、永久磁石5は回転子コア4に回転子の周方向に等間隔に配置されている。永久磁石5によって構成される磁極6は、固定子3に対してN極、S極が交互に配置された磁極対を構成している。磁極対N極、S極は電気角で2πラジアンとなり、隣り合う磁極の配置間隔は電気角でπラジアンとなる。本実施形態では、回転子の磁極は20極であり、機械角に対して電気角が10倍の関係となっている。
固定子3は、回転子2に対向配置されている18個の固定子ティース7を含む。このように磁極の個数が20であり固定子ティースの個数が18であるため、固定子ティース7は円周に沿って半円あたり10/9でずれて配置されている。なお、図1では固定子ティースの参照符号として「7a」のようにアルファベットが付記されているが、個々の固定子ティースを区別する必要がなく18個の固定子ティースを総称する場合には、単に「固定子ティース7」と表記する。これ以外の構成要素の参照符号についても同様とする。各固定子ティース7には巻線9が巻回されている。
回転子磁極間10,11は、回転子に配置された永久磁石で構成された磁極Nと磁極Sとの間の磁気中立点の位置を意味する。ここでは、機械的にも磁石と磁石との間の位置となっている。反時計回転方向にみてN極からS極に変わる磁極間を10、反時計回転方向にみてS極からN極に変わる磁極間を11と示している。なお、11’は、磁極間11に対して、電気角2πラジアンで、磁極対の繰り返しのため電気角で同じ位置だが機械角で異なる位置の磁極間位置を示している。
<固定子ティース組の構成>
次に、固定子ティース組の構成について説明する。18個の固定子ティース7は、周方向に並ぶ3個単位で固定子ティース組8を構成している。このように構成された合計6組の固定子ティース組8a,8b,8c,8a’,8b’,8c’は、機械角で60°毎に等間隔に配置されている。
固定子ティース組は、固定子の周方向に並ぶ複数の固定子ティースで構成され、回転子との位相関係を示す基準の固定子ティースに対して、他の基準の固定子ティースが示す回転子との位相関係よりも近い位相関係にある固定子ティースで構成される。ここでは、固定子ティース組8を構成する固定子ティースの個数が3の場合であり、固定子ティース組8は、メイン巻線のみが巻回されたひとつの固定子ティースとメイン巻線およびサブ巻線が巻回されたふたつの固定子ティースとで構成される。なお、固定子ティースにひとつの巻線のみが巻回されている場合には、その巻線をメイン巻線と称し、固定子ティースにふたつの巻線が巻回されている場合には、巻数の多い方をメイン巻線と称し、巻数の少ない方をサブ巻線と称することとする。
図2に示すように、固定子ティース組8aは、回転子との位相関係を示す基準の固定子ティース7aと、これに隣接する固定子ティース7ab,7acとから構成されている。反時計回転方向を+方向とすると、固定子ティース7abは、固定子ティース7aからみて電気角でπラジアンずれた位置からπ/9ラジアン遅れた位置に配置されており、固定子ティース7acは、固定子ティース7aからみて電気角でπラジアンずれた位置からπ/9ラジアン進んだ位置に配置されている。
また、固定子ティース7aにはメイン巻線91aのみが巻回され、固定子ティース7abにはメイン巻線91bおよびサブ巻線92eが巻回され、固定子ティース7acにはメイン巻線91cおよびサブ巻線93dが巻回されている。固定子ティース7abは、回転子との位相関係を示す基準の固定子ティース7a,7bに挟まれているが、固定子ティース7bの位相にπラジアン加えた位相に比べて固定子ティース7aの位相に近いため、固定子ティース7aと同じ固定子ティース組8aに属する。また、固定子ティース7acは、回転子との位相関係を示す基準の固定子ティース7a,7cに挟まれているが、固定子ティース7cの位相にπラジアン加えた位相に比べて固定子ティース7aの位相に近いため、固定子ティース7aと同じ固定子ティース組8aに属する。他の固定子ティース組8b,8c,8a’,8b’,8c’についても同様である。
なお、同期電動機1では、固定子ティース組8a,8b,8cの組み合わせが周方向に2組(固定子ティース組8a’,8b’,8c’)繰り替えされた配置となり、固定子ティース7a、7b、7cの組み合わせが周方向に2組、(7a’,7b’,7c’)繰り替えされた配置となる。
<固定子巻線の構成>
次に固定子巻線の構成について説明する。本実施形態では、ひとつの相の固定子巻線は、固定子ティース組に含まれる3個のメイン巻線と、当該固定子ティース組に時計回転方向に隣接する固定子ティース組に含まれる1個のサブ巻線と、当該固定子ティース組に反時計回転方向に隣接する固定子ティース組に含まれる1個のサブ巻線とから構成される。
例えば、図2に示すように、固定子巻線91は、固定子ティース組8aに含まれるメイン巻線91a,91b,91cと、固定子ティース組8bに含まれるサブ巻線91dと、固定子ティース組8cに含まれるサブ巻線91eとを直列に結線して構成されている。固定子巻線91の端部21aはU相の入力端子に接続され、固定子巻線91の端部21nは中性点に接続される。なお、便宜上「直列に結線」と表現しているが、固定子ティース毎に線材を個別に巻回して事後的に接続することに限らず、一本の線材を連続的に各固定子ティースに巻回して構成することも含むものとする。
固定子巻線92は、固定子ティース組8bに含まれるメイン巻線92a,92b,92cと、固定子ティース組8c’に含まれるサブ巻線92dと、固定子ティース組8aに含まれるサブ巻線92eとを直列に結線して構成されている。固定子巻線92の端部22aはV相の入力端子に接続され、固定子巻線92の端部22nは中性点に接続される。
同様に、固定子巻線93は、固定子ティース組8cに含まれるメイン巻線93a,93b,93cと、固定子ティース組8b’に含まれるサブ巻線93eと、固定子ティース組8aに含まれるサブ巻線93dとを直列に結線して構成されている。固定子巻線93の端部23aはW相の入力端子に接続され、固定子巻線93の端部23nは中性点に接続される。同期電動機1では、固定子巻線91,92,93の組み合わせが周方向に2組(固定子巻線91’,92’,93’)繰り替えされた配置となる。
本実施形態では、各相の固定子巻線が上記構成をもつため、ひとつの固定子ティースに巻回されたメイン巻線およびサブ巻線には、それぞれ異なる相の電流が供給されることになる。そのため、当該固定子ティースに生じる磁界は、メイン巻線に基づく磁界とサブ巻線に基づく磁界とをベクトル合成したものとなる。例えば、固定子ティース7abには、メイン巻線91bに流れるU相の電流に基づく磁界とサブ巻線92eに流れるV相の電流に基づく磁界とをベクトル合成した磁界が生じる。また、固定子ティース7acには、メイン巻線91cに流れるU相の電流に基づく磁界とサブ巻線93dに流れるW相の電流に基づく磁界とをベクトル合成した磁界が生じる。一方、回転子との位相関係を示す基準の固定子ティース7aには、メイン巻線91aに流れるU相の電流に基づく磁界が生じる。このように固定子ティース7a,7ab,7acにそれぞれ生じる磁界は互いに位相が異なる。
<固定子ティースに生じる磁界>
図3は、本発明の第1の実施形態に係る磁界の大きさおよび位相を示すベクトル図である。図2と図3を用いて固定子ティースに生じる磁界について説明する。
同期電動機1は3相同期電動機であり、U相、V相、W相の電流の位相差は電気角で2π/3ラジアンである。固定子ティース7a(図2,H2)には、U相の巻線91が第1方向に巻数N1だけ巻回されている。U相の電流が最大値のとき、固定子ティース7aのU相の巻線91に流れる電流により生じる磁界のベクトルを図3にH2で示す。
固定子ティース7ab(図2,H1)には、U相の巻線91が第1方向とは逆の第2方向に巻数N112だけ巻回されると共に、V相の巻線92が巻数N212だけ巻回されている。U相の電流が最大値のとき、固定子ティース7abのU相の巻線91に流れる電流により生じる磁界のベクトルを図3に−U2で示し、固定子ティース7abのV相の巻線92に流れる電流により生じる磁界のベクトルを図3にV3で示す。これらを合成して得られる磁界のベクトルを図3にH1で示す。
固定子ティース7ac(図2,H3)には、U相の巻線91が第2方向に巻数N113だけ巻回されると共に、W相の巻線93が巻数N313だけ巻回されている。U相の電流が最大値のとき、固定子ティース7acのU相の巻線91に流れる電流により生じる磁界のベクトルを図3に−U2で示し、固定子ティース7acのW相の巻線93に流れる電流により生じる磁界のベクトルを図3のW3で示す。これらを合成して得られる磁界のベクトルを図3にH3で示す。
ここで磁極の数A(Aは2以上の偶数)が20、固定子ティースの数B(BはAと等しくない3の倍数)が18であり、電気角で2π/3ラジアンの位相差をもつ3相交流で駆動されているので、A/2とした磁極対数Pが10、B/3とした1相当りの固定子ティースの数kが6となるので、巻線比係数αは以下の式で計算できる。
α=|2π/A−2π/B|×P
=|2π/20−2π/18|×10
=π/9 ラジアン
固定子ティース7aに巻回されたU相の巻線91の巻数をN1とすると、固定子ティース7abに巻回されたU相の巻線91の巻数N112およびV相の巻線92の巻数N212は、以下の通りである。
N112≒(N1)×sin(π/3−π/9)/sin(π/3)
≒(N1)×sin(2π/9)/sin(π/3)
N212≒(N1)×sin(π/9)/sin(π/3)
各巻線の巻数をこのように調整すれば、固定子ティース7abに生じる磁界H1は、固定子ティース7aに生じる磁界H2とほぼ同じ大きさとなり、固定子ティース7aに生じる磁界H2に対して磁界の向きを反転させて(πラジアンずらして)さらに電気角でπ/9ラジアン進めた位相をもつこととなる。
また、固定子ティース7acに巻回されたU相の巻線91の巻数N113およびW相の巻線93の巻数N313は、以下の通りである。
N113≒(N1)×sin(π/3−π/9)/sin(π/3)
≒(N1)×sin(2π/9)/sin(π/3)
N313≒(N1)×sin(π/9)/sin(π/3)
各巻線の巻数をこのように調整すれば、固定子ティース7acに生じる磁界H3は、固定子ティース7aに生じる磁界H2とほぼ同じ大きさとなり、固定子ティース7aに生じる磁界H2に対して磁界の向きを反転させて(πラジアンずらして)さらに電気角でπ/9ラジアン遅れた位相をもつこととなる。
なお、上記の式では、右辺と左辺とがほぼ等しいことを示す記号(≒)を用いているが、これは実際には完全に一致させることが困難な場合が多いためである。上記の記号は、右辺が小数になる場合にはその小数に近い整数を採用する程度の一致を含み、さらには、設計上誤差として無視できる程度の一致を含むこととする。
図2において、固定子ティース7aからみて固定子ティース7abは、電気角でπラジアンずれた位置からπ/9ラジアン遅れた位置にある。このような位置関係にある固定子ティース7abに、磁界H2に対して電気角でπラジアンからπ/9ラジアンだけ進んだ磁界H1が生じるので、固定子ティース7abの軸と回転子の磁極間11とが一致したときに固定子ティース7abに最大の磁界を生じさせると共に、固定子ティース7aの軸と回転子の磁極間10とが一致したときに固定子ティース7に最大の磁界を生じさせることができる。
また、図2において、固定子ティース7aからみて固定子ティース7acは、電気角でπラジアンずれた位置からπ/9ラジアン進んだ位置にある。このような位置関係にある固定子ティース7acに、磁界H2に対して電気角でπラジアンからπ/9ラジアンだけ遅れた磁界H3が生じるので、固定子ティース7aの軸と回転子の磁極間10とが一致したときに固定子ティース7aに最大の磁界を生じさせると共に、固定子ティース7acの軸と回転子の磁極間11’とが一致したときに固定子ティース7acに最大の磁界を生じさせることができる。
このように本実施形態では、固定子ティースの軸と回転子の磁極間とが一致したときに、その固定子ティースに生じる磁界が最大となるので、各固定子ティースが生み出すマグネットトルクを最大とすることができ、全体のトルクを向上させることができる。また、各固定子ティースから生み出されるトルクがほぼ一定となるので、トルク脈動を低減させることができる。
<トルクの比較>
次に、本実施形態の同期電動機から得られるトルクと、従来の同期電動機から得られるトルクとを比較する。図4は、従来の同期電動機の詳細図である。従来の同期電動機は、本実施形態の同期電動機と巻線の構成が異なる。図4に示すように、固定子ティース87a,87ab,87acには、それぞれ巻線891a,891b,891cが巻回され、これらは直列に結線されている。各固定子ティースにはU相の巻線しか巻回されていないため、各固定子ティースに生じる磁界は同位相となる。すなわち固定子ティース87aの軸と回転子の磁極間10とが一致したときに固定子ティース87aに最大の磁界を生じさせることとすれば、固定子ティース87abと回転子の磁極間11とがずれたときに固定子ティース87abに最大の磁界が生じ、同様に固定子ティース87acと回転子の磁極間11’とがずれたときに固定子ティース87acに最大の磁界が生じる。そのため固定子ティース87aが生み出すマグネットトルクについては最大とすることができるが、固定子ティース87ab,87acがそれぞれ生み出すマグネットトルクについては最大とすることができない。したがって、本実施形態に比べて、全体のトルクは低く、トルク脈動も大きい。
図5は、トルクの時間変化を示す図である。
本実施形態の同期電動機から得られるトルク波形をT1で示し、従来の同期電動機から得られるトルク波形をT0で示す。トルクの大きさについては、本実施形態は従来に比べて105%高めることができた。また、平均トルクに対するトルク脈動の比であるトルク脈動率については、本実施形態は従来に比べて5.3%から0.5%まで大幅に低減させることができた。このように本実施形態によれば、従来トレードオフの関係と考えられていた高トルク化とトルク脈動の低減とを両立させることができた。
<補足説明>
本実施形態の同期電動機では、回転子磁極の間隔が機械角18°(電気角πラジアン)であるのに対し、固定子ティース組内の3個の固定子ティースの間隔は機械角18°度からずれた機械角20°としている。このように機械的な位相差をもたせることにより、無通電時のトルク脈動であるコギングトルクを低減することができる。
また、本実施形態の同期電動機では、固定子ティース組内の固定子ティースは電気角πラジアンに対して各々π/9ラジアンの位相差をもつ配置となっており、各固定子ティースに生じる磁界にはπ/9ラジアンの位相差をもたせている。そのため、各々の固定子ティースから得られるトルクを同じにすることができるのでπ/3ラジアンを基本周期とするトルク脈動を打ち消すことができ、かつ、各々の固定子ティースから得られるトルクを最大にすることができるので全体のトルクを高めることができる。
なお、上述の説明では、永久磁石によるマグネットトルクのみを考慮していたので、固定子ティースの軸と回転子の磁極間とが一致したときに、その固定子ティースに生じる磁界の大きさが最大となるように磁界の位相を調整している。しかしながら、本実施形態の同期電動機は、回転子コア内部に永久磁石を配置した、いわゆる磁石埋込み型同期電動機であり、磁石によるマグネットトルクに加えて、磁気抵抗の差によるリラクタンストルクを利用することができる同期電動機である。そのため、マグネットトルクとリラクタンストルクの両者を生かして最大トルクを得るために、固定子ティースの軸と回転子の磁極間とがずれた位置関係で固定子ティースに生じる磁界の大きさが最大となるように磁界の位相を調整することが有効な場合がある。
また、本実施形態では、固定子ティースに固定子巻線を巻回するのに集中巻を採用している。そのため、固定子の端面の巻線いわゆるコイルエンドの小型化が図れ、同期電動機の小型化ができる。また、巻線のコイルエンドは、電流を流してもトルクに寄与しない部分であり、通電時の巻線抵抗によるジュール損である銅損を低下することができ高効率である。
また、本実施形態では、回転子が固定子の外周側に配置された、いわゆるアウターロータ型を採用している。そのため、同じ体積で比較した場合、回転子が固定子の内周側に配置されたインナーロータ型に比べて、回転子径を大きくすることができる。したがって、本実施形態のような極数が20となるような同期電動機でも、永久磁石の大きさを小さくする必要がないので有効磁束の低下を防ぐことができる。
また、本実施形態では、回転子磁極の数が20個、固定子ティースの数が18個の同期電動機であるが、固定子ティースが9個や27個といった9の倍数に対して、回転子の磁極数が10の倍数の組み合わせ、すなわち10q極9qティース(qは正の整数)の組み合わせであれば、電気角で上記の関係が成立する配置関係とすることで、同様の効果が得られる。
また、本実施形態では、固定子ティース組8a、8b、8cと、固定子ティース組8a’、8b’、8c’のグループが2個、軸に対して対称な配置となるので、固定子ティースによるラジアル方向の合成吸引力が0となり、回転子に磁気吸引力が作用しない。したがって、軸受寿命に悪影響を与えることがなくなり、長寿命の同期電動機が得られる。同様に30極27ティースでは、中性点接続された固定子ティース組が3個軸に対して機械角で120°ごとの配置となるため、巻線に通電した固定子ティースによるラジアル方向の合成吸引力が0となり、回転子に磁気吸引力が作用しない。
また、固定子ティースおよび回転子の磁極のいずれか、または両者を回転軸方向で旋回した構成とすることで、磁束変化がより滑らかになり、さらなる低振動な同期電動機とすることができる。
また、固定子の磁性材を圧粉鉄心材や、薄板の磁性材や、アモルファス磁性材を用いることで鉄損を大幅に低減することができ、より高効率な同期電動機とすることができる。
また、1極を構成する永久磁石を複数個で構成することにより永久磁石に発生する渦電流損を低減でき、より高効率な同期電動機とすることができる。
また、巻線を、複数の細い径の巻線や、扁平な平角線とすることで巻線の表面積を拡大し、高周波駆動時の表皮効果を低減して高効率な同期電動機とすることができる。
以上、本実施形態によれば、トルクを向上させてトルク脈動を低減することができ、小型、高出力、低振動、低騒音、高効率な同期電動機を提供することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、固定子巻線の構成が第1の実施形態と異なる。これ以外の構成については第1の実施形態と同様なので説明を省略する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る同期電動機の詳細図である。
第1の実施形態との差異は、固定子ティースに巻回された巻線の結線の順番が異なる点である。図6では、U相の固定子巻線94の構成について詳細に述べる。固定子巻線94は、U相の入力端子に接続される端部24aから中性点に接続される端部24nにかけて、巻線94a,94c,94b,94d,94eの順番に結線されて構成されている。本実施形態では、ひとつの巻線のみが巻回されている固定子ティースに巻回された巻線を最も入力端子の近くになるように結線している。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る同期電動機の巻線図である。
U相の固定子巻線94のうち、ひとつの巻線のみが巻回された固定子ティースの巻線を94a、複数の巻線が巻回された固定子ティースの巻線をそれぞれ94b、94c、94d、94eで示した。
同様に、V相の固定子巻線95のうち、ひとつの巻線のみが巻回された固定子ティースの巻線を95a、複数の巻線が巻回された固定子ティースの巻線をそれぞれ95b、95c、95d、95eで示した。また、W相の固定子巻線96のうち、ひとつの巻線のみが巻回された固定子ティースの巻線を96a、複数の巻線が巻回された固定子ティースの巻線をそれぞれ96b、96c、96d、96eで示した。
図7に示したとおり、各入力端子には、ひとつの巻線のみが巻回された固定子ティースに巻回されている巻線94a、95a、96aが接続されている。巻線94a、95a、96aは他の巻線と比較して巻数が多く、巻線の両端での電位差が他の巻数の少ない巻線よりも高くなる。
ひとつの固定子ティースにひとつの相の巻線のみを巻回すれば、他の固定子ティースに巻回された他の相の巻線との相間絶縁の信頼性が高い。一方、ひとつの固定子ティースに複数の相の巻線を巻回している場合は、複数の巻線における相間の絶縁が複雑となる。
そこで、ひとつの固定子ティースに複数の相の巻線を巻回した巻線間での相間絶縁の信頼性を高めるために、ひとつの固定子ティースに複数の相の巻線を巻回した巻線を中性点に近い結線とした。また、ひとつの固定子ティースにひとつの相の巻線のみを巻回した巻線の相関絶縁の信頼性を高めるために、ひとつの固定子ティースにひとつの相の巻線を巻回した巻線を入力端子に近い結線とした。
なお、上記目的に鑑みれば、巻線94c,94b,94d,94eの結線の順番は変わってもよい。
以上、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、複数の相の巻線間の相間絶縁の信頼性を高めることができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、8q極9qティース(qは正の整数)の同期電動機である点で、第1の実施形態と異なる。
<概略構成>
図8は、本発明の第3の実施形態に係る同期電動機の平面図である。
同期電動機31は、回転子32と固定子33から構成される。
回転子32は、回転子コア34および8個の永久磁石35を含み、永久磁石35は回転子コア34に回転子の周方向に等間隔に配置されている。永久磁石35によって構成される磁極36は、固定子33に対してN極、S極が交互に配置された磁極対を構成している。磁極対N極、S極は電気角で2πラジアンとなり、隣り合う磁極の配置間隔は電気角でπラジアンとなる。本実施形態では、回転子の磁極は8極であり、機械角に対して電気角が4倍の関係となっている。
固定子33は、回転子32に対向配置されている9個の固定子ティース37を含む。このように磁極の個数が8であり固定子ティースの個数が9であるため、固定子ティース37は円周に沿って半円あたり8/9でずれて配置されている。各固定子ティース37には巻線が巻回されている。
回転子磁極間310,311は、回転子に配置された永久磁石で構成された磁極Nと磁極Sとの間の磁気中立点の位置を意味する。ここでは、機械的にも磁石と磁石との間の位置となっている。反時計回転方向にみてN極からS極に変わる磁極間を311、反時計回転方向にみてS極からN極に変わる磁極間を310と示している。なお、311’は、磁極間311に対して、電気角2πラジアンで、磁極対の繰り返しのため電気角で同じ位置だが機械角で異なる位置の磁極間位置を示している。
固定子ティース37a,37b,37cは、それぞれメイン巻線のみが巻回された固定子ティースであり、機械角で120°の等間隔で配置されている。
図8に示す状態では、固定子ティース37aの軸は回転子の磁極間310と一致した状態で対向している。また、反時計回転方向を+方向とすると、固定子ティース37bの軸と回転子の磁極との位置関係は、機械角で120°、電気角で+2π/3ラジアンずれて配置されている。また、固定子ティース37cの軸と回転子の磁極との位置関係は、機械角で−120°、電気角で−2π/3ラジアンずれて配置されている。よって、固定子ティース37a,37b,37cは互いに電気角で2π/3ラジアンの間隔の配置となる。
<固定子ティース組の構成>
次に、固定子ティース組の構成について説明する。9個の固定子ティース37は、周方向に並ぶ3個単位で固定子ティース組を構成している。このように構成された合計3組の固定子ティース組は、機械角で120°毎に等間隔に配置されている。
例えば、ひとつの固定子ティース組は、回転子との位相関係を示す基準の固定子ティース37aと、これに隣接する固定子ティース37ab,37acとから構成されている。固定子ティース37abは、固定子ティース37aからみて電気角でπラジアンずれた位置からπ/9ラジアン遅れた位置に配置されており、固定子ティース37acは、固定子ティース37aからみて電気角でπラジアンずれた位置からπ/9ラジアン進んだ位置に配置されている。
また、固定子ティース37aにはメイン巻線391aのみが巻回され、固定子ティース37abにはメイン巻線391bおよびサブ巻線392eが巻回され、固定子ティース37acにはメイン巻線391cおよびサブ巻線393dが巻回されている。固定子ティース37abは、回転子との位相関係を示す基準の固定子ティース37a,37bに挟まれているが、固定子ティース37bの位相にπラジアン加えた位相に比べて固定子ティース37aの位相に近いため、固定子ティース37aと同じ固定子ティース組に属する。また、固定子ティース37acは、回転子との位相関係を示す基準の固定子ティース37a,37cに挟まれているが、固定子ティース37cの位相にπラジアン加えた位相に比べて固定子ティース37aの位相に近いため、固定子ティース37aと同じ固定子ティース組に属する。
<固定子巻線の構成>
次に固定子巻線の構成について説明する。例えば、図8に示すように、固定子巻線391は、巻線391a,391b,391c,391d,391eを直列に結線して構成されている。固定子巻線391の端部321aはU相の入力端子に接続され、固定子巻線391の端部321nは中性点に接続される。
<固定子ティースに生じる磁界>
本実施形態でも、図3に示すベクトル図が適用可能である。図8と図3を用いて固定子ティースに生じる磁界について説明する。
同期電動機31は3相同期電動機であり、U相、V相、W相の電流の位相差は電気角で2π/3ラジアンである。固定子ティース37a(図8,H2)には、U相の巻線391が第1方向に巻数N1だけ巻回されている。U相の電流が最大値のとき、固定子ティース37aのU相の巻線391に流れる電流により生じる磁界のベクトルを図3にH2で示す。
固定子ティース37ab(図8,H1)には、U相の巻線391が第1方向とは逆の第2方向に巻数N112だけ巻回されると共に、V相の巻線392が巻数N212だけ巻回されている。U相の電流が最大値のとき、固定子ティース37abのU相の巻線391に流れる電流により生じる磁界のベクトルを図3に−U2で示し、固定子ティース37abのV相の巻線392に流れる電流により生じる磁界のベクトルを図3にV3で示す。これらを合成して得られる磁界のベクトルを図3にH1で示す。
固定子ティース37ac(図8,H3)には、U相の巻線391が第2方向に巻数N113だけ巻回されると共に、W相の巻線393が巻数N313だけ巻回されている。U相の電流が最大値のとき、固定子ティース37acのU相の巻線391に流れる電流により生じる磁界のベクトルを図3に−U2で示し、固定子ティース37acのW相の巻線393に流れる電流により生じる磁界のベクトルを図3のW3で示す。これらを合成して得られる磁界のベクトルを図3にH3で示す。
ここで磁極の数A(Aは2以上の整数)が8、固定子ティースの数B(BはAと等しくない3の倍数)が9であり、電気角で2π/3ラジアンの位相差をもつ3相交流で駆動されているので、A/2とした磁極対数Pが4、B/3とした1相当りの固定子ティースの数kが3(3の倍数)となるので、巻線比係数αは以下の式で計算できる。
α=|2π/A−2π/B|×P
=|2π/8−2π/9|×4
=π/9 ラジアン
固定子ティース37aに巻回されたU相の巻線391の巻数をN1とすると、固定子ティース37abに巻回されたU相の巻線391の巻数N112およびV相の巻線392の巻数N212は、以下の通りである。
N112≒(N1)×sin(π/3−π/9)/sin(π/3)
≒(N1)×sin(2π/9)/sin(π/3)
N212≒(N1)×sin(π/9)/sin(π/3)
各巻線の巻数をこのように調整すれば、固定子ティース37abに生じる磁界H1は、固定子ティース37aに生じる磁界H2とほぼ同じ大きさとなり、固定子ティース37aに生じる磁界H2に対して磁界の向きを反転させて(πラジアンずらして)さらに電気角でπ/9ラジアン進めた位相をもつこととなる。
また、固定子ティース37acに巻回されたU相の巻線391の巻数N113およびW相の巻線393の巻数N313は、以下の通りである。
N113≒(N1)×sin(π/3−π/9)/sin(π/3)
≒(N1)×sin(2π/9)/sin(π/3)
N313≒(N1)×sin(π/9)/sin(π/3)
各巻線の巻数をこのように調整すれば、固定子ティース37acに生じる磁界H3は、固定子ティース37aに生じる磁界H2とほぼ同じ大きさとなり、固定子ティース37aに生じる磁界H2に対して磁界の向きを反転させて(πラジアンずらして)さらに電気角でπ/9ラジアン遅れた位相をもつこととなる。
図8において、固定子ティース37aからみて固定子ティース37abは、電気角でπラジアンずれた位置からπ/9ラジアン遅れた位置にある。このような位置関係にある固定子ティース37abに、磁界H2に対して電気角でπラジアンからπ/9ラジアンだけ進んだ磁界H1が生じるので、固定子ティース37abの軸と回転子の磁極間311’とが一致したときに固定子ティース37abに最大の磁界を生じさせると共に、固定子ティース37aの軸と回転子の磁極間310とが一致したときに固定子ティース37に最大の磁界を生じさせることができる。
また、図8において、固定子ティース37aからみて固定子ティース37acは、電気角でπラジアンずれた位置からπ/9ラジアン進んだ位置にある。このような位置関係にある固定子ティース37acに、磁界H2に対して電気角でπラジアンからπ/9ラジアンだけ遅れた磁界H3が生じるので、固定子ティース37aの軸と回転子の磁極間310とが一致したときに固定子ティース37aに最大の磁界を生じさせると共に、固定子ティース37acの軸と回転子の磁極間311とが一致したときに固定子ティース37acに最大の磁界を生じさせることができる。
このように本実施形態では、固定子ティースの軸と回転子の磁極間とが一致したときに、その固定子ティースに生じる磁界が最大となるので、各固定子ティースが生み出すマグネットトルクを最大とすることができ、全体のトルクを向上させることができる。また、各固定子ティースから生み出されるトルクがほぼ一定となるので、トルク脈動を低減させることができる。
本実施形態は8極9ティースの構成であるが、16極18ティースの構成でも同様の効果が得られる。なお、16極18ティースでは、U相、V相、W相が軸に対して対称な配置となるので、巻線に通電した固定子ティースによるラジアル方向の合成吸引力が0となり、回転子に磁気吸引力が作用しない。したがって、軸受寿命に悪影響を与えることがなくなり、長寿命の同期電動機が得られる。同様に24極27ティースでは、U相、V相、W相に対して機械角で120°ごとに3個の配置となるため、巻線に通電した固定子ティースによるラジアル方向の合成吸引力が0となり、回転子に磁気吸引力が作用しない。
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、10q極12qティース(qは正の整数)の同期電動機である点で、第1の実施形態と異なる。
<概略構成>
図9は、本発明の第4の実施形態に係る同期電動機の平面図である。
同期電動機41は、回転子42と固定子43から構成される。
回転子42は、回転子コア44および10個の永久磁石45を含み、永久磁石45は回転子コア44に回転子の周方向に等間隔に配置されている。永久磁石45によって構成される磁極46は、固定子43に対してN極、S極が交互に配置された磁極対を構成している。磁極対N極、S極は電気角で2πラジアンとなり、隣り合う磁極の配置間隔は電気角でπラジアンとなる。本実施形態では、回転子の磁極は10極であり、機械角に対して電気角が5倍の関係となっている。
固定子43は、回転子42に対向配置されている12個の固定子ティース47を含む。このように、磁極の個数が10であり、固定子ティースの個数が12であるため、固定子ティース47は円周に沿って半円あたり5/6でずれて配置されている。各固定子ティース47には巻線が巻回されている。
回転子磁極間410,411は、回転子に配置された永久磁石で構成された磁極Nと磁極Sとの間の磁気中立点の位置を意味する。ここでは、機械的にも磁石と磁石との間の位置となっている。反時計回転方向にみてN極からS極に変わる磁極間を411、反時計回転方向にみてS極からN極に変わる磁極間を410と示している。何れの固定子ティースにもメイン巻線およびサブ巻線がそれぞれ集中巻に巻回されている。
固定子ティース47ab,47acでは、U相の巻線491a,491bが他の相の巻線よりも多く巻回されている。反時計回転方向を+とした場合、固定子ティース47acが、回転子の磁極間410に対して電気角でπ/12ラジアン進んだ位置に配置されるときに、固定子ティース47abは、回転子の磁極間411に対して電気角でπ/12ラジアン遅れた位置に配置される。
また、固定子ティース47baは回転子磁極間411に対して2/3πラジアン進んだ位置422から電気角でさらにπ/12ラジアン進んだ位置に配置され、固定子ティース47bcは位置422からみて電気角でπラジアンずれた位置からπ/12ラジアン遅れた位置に配置される。
また、固定子ティース47caは、回転子磁極間410に対して2/3πラジアン遅れた位置423から電気角でさらにπ/12ラジアン遅れた位置に配置され、固定子ティース47cbは位置423からみて電気角でπラジアンずれた位置からπ/12ラジアン進んだ位置に配置されている。
よって、固定子ティース47acと固定子ティース47abに対して、固定子ティース47baと固定子ティース47bc、固定子ティース47cbと固定子ティース47caは、それぞれ電気角で2π/3ラジアンの等間隔で配置されている。
<固定子ティース組の構成>
次に、固定子ティース組の構成について説明する。12個の固定子ティース47は、周方向に並ぶ2個単位で固定子ティース組を構成している。ひとつの固定子ティース組のなかで回転子との位相関係を示す基準の固定子ティースは、メイン巻線の巻数が最も多い固定子ティースとする。例えば、固定子ティース47ab,47acから構成される固定子ティース組に着目すると、基準の固定子ティースは固定子ティース47ab,47acである。図9に示すように、固定子ティース47acおよび固定子ティース47abのそれぞれが、磁極間隔であるπラジアンに対してπ/12ラジアンずれて配置される。
<固定子巻線の構成>
次に固定子巻線の構成について説明する。例えば、図9に示すように、固定子巻線491は、巻線491a,491b,491c,491dを直列に結線して構成されている。固定子巻線491の端部421aはU相の入力端子に接続され、固定子巻線491の端部421nは中性点に接続される。
<固定子ティースに生じる磁界>
図10は、本発明の第4の実施形態に係る磁界の大きさおよび位相を示すベクトル図である。図9と図10を用いて固定子ティースに生じる磁界について説明する。
同期電動機41は3相同期電動機であり、U相、V相、W相の電流の位相差は電気角で2π/3ラジアンである。固定子ティース47ab(図9,H2)には、U相の巻線491が第1方向に巻数N112だけ巻回されると共に、V相の巻線492が巻数N212だけ巻回されている。U相の電流が最大値のとき、固定子ティース47abのU相の巻線491に流れる電流により生じる磁界のベクトルを図10にU1で示し、固定子ティース47abのV相の巻線492に流れる電流により生じる磁界のベクトルを図10に−V2で示す。これらを合成して得られる磁界のベクトルを図10にH2で示す。
固定子ティース47ac(図9,H1)には、U相の巻線491が第2方向に巻数N113だけ巻回されると共に、W相の巻線493が巻数N313だけ巻回されている。U相の電流が最大値のとき、固定子ティース47acのU相の巻線491に流れる電流により生じる磁界のベクトルを図10に−U1で示し、固定子ティース47acのW相の巻線493に流れる電流により生じる磁界のベクトルを図10のW2で示す。これらを合成して得られる磁界のベクトルを図10にH1で示す。
ここで磁極の数A(Aは2以上の整数)が10、固定子ティースの数B(BはAと等しくない3の倍数)が12であり、電気角で2π/3ラジアンの位相差をもつ3相交流で駆動されているので、A/2とした磁極対数Pが5、B/3とした1相当りの固定子ティースの数kが4(3の倍数以外)となるので、巻線比係数αは以下の式で計算できる。
α=|2π/A−2π/B|×P/2
=|2π/10−2π/12|×5/2
=π/12 ラジアン
固定子ティース47abに巻回されたU相の巻線491の巻数をN112、固定子ティース47abに巻回されたV相の巻線492の巻数をN212としたとき、以下の通りとなる。
N1=N112+N212
N112≒(N1)×sin(π/3−π/12)/sin(π/3)
≒(N1)×sin(π/4)/sin(π/3)
N212≒(N1)×sin(π/12)/sin(π/3)
各巻線の巻数をこのように調整すれば、固定子ティース47abに生じる磁界H2は、U相に対して電気角でπ/12ラジアン進んだ位相をもつこととなる。
固定子ティース47acに巻回されたU相の巻線491の巻数をN113、固定子ティース47acに巻回されたW相の巻線493の巻数をN313としたとき、以下の通りとなる。
N1=N113+N313
N113≒(N1)×sin(π/3−π/12)/sin(π/3)
≒(N1)×sin(π/4)/sin(π/3)
N313≒(N1)×sin(π/12)/sin(π/3)
各巻線の巻数をこのように調整すれば、固定子ティース47acに生じる磁界H1は、−U相に対して電気角でπ/12ラジアン遅れた位相をもつこととなる。
図9において、回転子磁極間410からみて固定子ティース47acは、電気角でπ/12ラジアン進んだ位置にある。このような位置関係にある固定子ティース47acに、−U相からπ/12ラジアンだけ遅れた磁界H1が生じるので、固定子ティース47acの軸と回転子の磁極間410とが一致したときに固定子ティース47acに最大の磁界を生じさせることができる。
また、図9において、回転子磁極間411からみて固定子ティース47abは、電気角でπ/12ラジアン遅れた位置にある。このような位置関係にある固定子ティース47abに、U相からπ/12ラジアンだけ進んだ磁界H2が生じるので、固定子ティース47abの軸と回転子の磁極間411とが一致したときに固定子ティース47abに最大の磁界を生じさせることができる。
このように本実施形態では、固定子ティースの軸と回転子の磁極間とが一致したときに、その固定子ティースに生じる磁界が最大となるので、各固定子ティースが生み出すマグネットトルクを最大とすることができ、全体のトルクを向上させることができる。また、各固定子ティースから生み出されるトルクがほぼ一定となるので、トルク脈動を低減させることができる。
本実施形態は10極12ティースの構成であるが、20極24ティースの構成でも同様の効果が得られる。10q極12qティースでは、U相、V相、W相が軸に対して対称な配置となるので、巻線に通電した固定子ティースによるラジアル方向の合成吸引力が0となり、回転子に磁気吸引力が作用しない。したがって、軸受寿命に悪影響を与えることがなくなり、長寿命の同期電動機が得られる。
以上、本発明に係る同期電動機について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限られない。例えば、以下のような変形例が考えられる。
(1)実施形態では、複数の固定子ティースが固定子の周方向に等間隔に配置されていたが、本発明はこれに限られない不等間隔配置でもよい。図11および図12に、20極18ティースの構成であり、固定子ティースが等間隔に配置されていない同期電動機を示す。
この同期電動機51は、周方向に並ぶ3個単位で固定子ティース組58を構成しており、このように構成された複数の固定子ティース組58は機械角で60°の等間隔で配置されている。また、各固定子ティース組において、3個の固定子ティースは機械角で19°の等間隔で配置されている。そうすると例えば、固定子ティース57abと固定子ティース57baとのなす角は機械角で22°となり、固定子ティース組内の固定子ティースどうしのなす角(機械角で19°)と異なることになる(図12参照)。同期電動機51に適した磁界の位相を図13に示す。
図13の磁界の位相を実現するには、固定子ティース57aに巻回されたU相の巻線591の巻数をN1とすると、固定子ティース57abに巻回されたU相の巻線591の巻数N112およびV相の巻線592の巻数N212は、以下の通りにすればよい。
N112≒(N1)×sin(π/3−π/18)/sin(π/3)
≒(N1)×sin(5π/18)/sin(π/3)
N212≒(N1)×sin(π/18)/sin(π/3)
また、固定子ティース57acに巻回されたU相の巻線591の巻数N113およびW相の巻線593の巻数N313は、以下の通りにすればよい。
N113≒(N1)×sin(π/3−π/18)/sin(π/3)
≒(N1)×sin(5π/18)/sin(π/3)
N313≒(N1)×sin(π/18)/sin(π/3)
このようにすれば、固定子ティースの軸と回転子の磁極間とが一致したときに、その固定子ティースに生じる磁界が最大となるので、各固定子ティースが生み出すマグネットトルクを最大とすることができ、全体のトルクを向上させることができる。また、各固定子ティースから生み出されるトルクがほぼ一定となるので、トルク脈動を低減させることができる。
(2)実施形態では、10q極9qティース、8q極9qティース、10q極12qティース(qは正の整数)の構成を挙げているが、本発明はこれに限らない磁極とティース数の組み合わせが可能である。例えば図14に示すように、16q極15qティースの構成でも構わない。
図14に示す同期電動機61は、15個の固定子ティースが周方向に等間隔に並設されており、5個単位で固定子ティース組を構成している。互いに隣接する固定子ティースは、電気角でπラジアンずれた位置からさらにπ/15ラジアンずれて配置されている。例えば、固定子ティース67aからみて固定子ティース671aは、電気角でπラジアンずれた位置からさらにπ/15ラジアン遅れた位置にある。また、固定子ティース671aからみて固定子ティース672aは、電気角でπラジアンずれた位置からさらにπ/15ラジアン遅れた位置にある。すなわち、固定子ティース672aは固定子ティース67aからみると電気角で2π/15ラジアン遅れた位置となる。
また、ひとつの相の固定子巻線は、5個のメイン巻線および4個のサブ巻線を直列に結線されて構成されている。例えば、U相の固定子巻線691は、巻線691a,691b,691c,691d,691e,691f,691g,691h,691iを直列に結線されて構成されている。
なお、各固定子ティースに巻回されているメイン巻線およびサブ巻線の比率は、基準の固定子ティースからみたときの位相差を打ち消すように設定されている。そうすることで固定子ティースの軸と回転子の磁極間とが一致したときに、その固定子ティースに生じる磁界が最大となるので、各固定子ティースが生み出すマグネットトルクを最大とすることができ、全体のトルクを向上させることができる。また、各固定子ティースから生み出されるトルクがほぼ一定となるので、トルク脈動を低減させることができる。
(3)実施形態では、例えば、図3に示すように、H1で示す磁界を作成するために、−U方向のベクトル(−U2)と+V方向のベクトル(V3)とを合成することとしている。しかしながらこれに限る必要はなく、例えば、−U方向のベクトルと−W方向のベクトルとを合成することでH1に示す磁界を作成することとしてもよい。また、実施形態では、各固定子ティース組において、隣り合う固定子ティースでメイン巻線の巻回方向を互いに逆向きとしているが、これに限らず、メイン巻線の巻回方向を同じ向きとし、メイン巻線とサブ巻線との巻線比を調整することで任意のベクトルを作成することとしてもよい。
(4)実施形態では3相駆動の同期電動機を例示しているが、本発明は、例えば5相や7相など多相駆動の同期電動機にも適用可能である。
(5)実施形態では固定子巻線は固定子ティースに巻回されているが、本発明はこれに限らず、固定子ティースのない、いわゆるコアレスモータにも適用可能である。
(6)実施形態では特に挙げていないが、固定子巻線が回転子の軸方向に進むほど周方向に最大で固定子巻線の配置間隔だけずれていくスキュー配置を施すこととしてもよい。
(7)実施形態では、回転子が固定子の外側に配置されたアウターロータ型の同期電動機で説明しているが、回転子を固定子の内側に配置したインナーロータ型の同期電動機や、回転子と固定子とが軸方向に空隙を持って配置された、いわゆる面対向のアキシャルギャップ式同期電動機や、それらを複数組み合わせた構造の同期電動機でも同じ効果があることは言うまでもない。
(8)実施形態では、回転子の磁極を永久磁石により構成したが、磁気抵抗の差で構成したリラクタンストルクを利用した同期電動機、回転子に両者を組み合わせた同期電動機でも適用可能である。
(9)本発明は、同期回転機に限らず、同期発電機、また、直動駆動されるリニア同期電動機、リニア同期発電機にも適用できる。
(10)本発明は、小型、高出力、低振動、低騒音、高効率な同期電動機を提供することができ、低振動、低騒音性が要求される自動車用途に特に有用である。
本発明は、小型高効率で低振動低騒音性が要求される、コンプレッサ用、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車等の同期電動機に利用可能である。
1、31、41、51、61 同期電動機
2、32、42、52、62 回転子
3、33、43、53、63 固定子
4、34、44、54、64 回転子コア
5、35、45、55、65 永久磁石
6、36、46、56、66 磁極
7、37、47、57、67 固定子ティース
8、58 固定子ティース組
9、59 固定子巻線
91、92、93、94、95、96 固定子巻線
391、491、591、691 固定子巻線

Claims (17)

  1. 周方向に等間隔に並設された複数の磁極を含む回転子と、
    周方向に並設された複数の固定子ティースを含む固定子とを備え、
    前記複数の固定子ティースは、周方向に並ぶ所定個数単位で固定子ティース組を構成し、当該構成された複数の固定子ティース組の周方向の間隔は等しく、
    前記複数の固定子ティースでは、電気角で同じ位置にある固定子ティース組が複数個ずつ存在し、周方向に並んだ複数個の固定子ティース組単位で回転対称になっており、
    各固定子ティース組において、固定子ティース組に含まれる所定個数の固定子ティースは、前記回転子の磁極の配置間隔と異なる配置間隔で並設され、
    前記所定個数の固定子ティースには、個別にメイン巻線が巻回されていると共に、前記所定個数の固定子ティースのうちの少なくともひとつにはサブ巻線がさらに巻回され、
    固定子ティース組に含まれる所定個数のメイン巻線と、当該固定子ティース組とは電気角で異なる位置にある他の固定子ティース組に含まれる少なくともひとつのサブ巻線とが直列に結線されて、ひとつの相の巻線を構成し、
    前記固定子ティース組に含まれる少なくともひとつのサブ巻線と、当該固定子ティース組とは電気角で異なる位置にある他の固定子ティース組に含まれる所定個数のメイン巻線とが直列に結線されて、ひとつの相の巻線を構成していること
    を特徴とする同期電動機。
  2. 前記固定子ティース組とは電気角で異なる位置にある他の固定子ティース組は、当該固定子ティース組に隣接する固定子ティース組であること
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  3. 各固定子ティース組において、前記所定個数の固定子ティースのうちの少なくとも二つにサブ巻線が巻回されており、
    ひとつの相の巻線は、固定子ティース組に含まれる所定個数のメイン巻線と、当該固定子ティース組からみて電気角で進んだ位置にある固定子ティース組に含まれるサブ巻線と、前記固定子ティース組からみて電気角で遅れた位置にある固定子ティース組に含まれるサブ巻線とを直列に結線して構成されていること
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  4. 各固定子ティース組において、所定個数の固定子ティースのうちの特定の固定子ティースにはメイン巻線のみが巻回されており、
    ひとつの相の巻線の一端は対応する相の入力端子に接続され、当該巻線の他端は中性点に接続されており、当該巻線を構成する所定個数のメイン巻線および少なくともひとつのサブ巻線は、前記特定の固定子ティースに巻回されているメイン巻線が最も入力端子の近くになるような結線順で結線されていること
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  5. 各固定子ティース組において、所定個数の固定子ティースのうちの第1の固定子ティースにはメイン巻線のみが巻回され、これに隣接する第2の固定子ティースにはメイン巻線およびサブ巻線が巻回されており、
    前記第1の固定子ティースと前記回転子の磁極とが所定の位置関係になったときに当該第1の固定子ティースから生じる磁界が最大となり、前記回転子が回転して前記第2の固定子ティースと前記回転子の磁極とが前記所定の位置関係と同一の位置関係になったときに当該第2の固定子ティースから生じる磁界が最大となるように、前記第2の固定子ティースに巻回されているメイン巻線およびサブ巻線の巻線比率が定められていること
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  6. 各固定子ティース組において、前記第1の固定子ティースから生じる磁界の最大値と前記第2の固定子ティースから生じる磁界の最大値とが同じになるように、前記第1の固定子ティースに巻回されているメイン巻線および前記第2の固定子ティースに巻回されているメイン巻線およびサブ巻線のそれぞれの巻数が定められていること
    を特徴とする請求項5に記載の同期電動機。
  7. 各固定子ティース組において、所定個数の固定子ティースのうちの第1の固定子ティースにはメイン巻線のみが巻回され、これに隣接する第2の固定子ティースにはメイン巻線およびサブ巻線が巻回されており、
    磁極の数をA(但し、Aは2以上の偶数)、固定子ティースの数をB(但し、BはAと等しくない3の倍数)とし、A/2とした磁極対数をP、正の整数mを用いて、B/3とした1相当りの固定子ティースの数をkとした場合に、
    k=3mのとき、
    α=|2π/A−2π/B|×Pとなり、
    k=3m+1、またはk=3m+2のとき、
    α=|2π/A−2π/B|×P/2となる巻線比係数αを定義し、
    前記第1の固定子ティースに巻回されたメイン巻線の巻数をN1としたとき、
    前記第2の固定子ティースに巻回されたメイン巻線の巻数は、
    (N1)×sin(π/3−α)/sin(π/3)
    にほぼ等しく、
    前記第2の固定子ティースに巻回されたサブ巻線の巻数は、
    (N1)×sin(α)/sin(π/3)
    にほぼ等しいこと
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  8. 各固定子ティース組において、所定個数の固定子ティースにはメイン巻線およびサブ巻線が巻回されており、
    磁極の数をA(但し、Aは2以上の偶数)、固定子ティースの数をB(但し、BはAと等しくない3の倍数)とし、A/2とした磁極対数をP、正の整数mを用いて、B/3とした1相当りの固定子ティースの数をkとした場合に、
    k=3mのとき、
    α=|2π/A−2π/B|×Pとなり、
    k=3m+1、またはk=3m+2のとき、
    α=|2π/A−2π/B|×P/2となる巻線比係数αを定義し、N1を任意の数とし、
    メイン巻線の巻数を、
    (N1)×sin(π/3−α)/sin(π/3)
    としたとき、
    サブ巻線の巻数が、
    (N1)×sin(α)/sin(π/3)
    にほぼ等しいこと、
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  9. 各固定子ティース組において、所定個数の固定子ティースのうちの第1の固定子ティースにはメイン巻線のみが巻回され、これに隣接する第2の固定子ティースにはメイン巻線およびサブ巻線が巻回されており、
    前記第2の固定子ティースは前記第1の固定子ティースからみて電気角でπラジアンからαラジアンだけずれて配置されており、
    前記第1の固定子ティースに巻回されたメイン巻線の巻数をN1としたとき、
    前記第2の固定子ティースに巻回されたメイン巻線の巻数は、
    (N1)×sin(π/3−α)/sin(π/3)
    にほぼ等しく、
    前記第2の固定子ティースに巻回されたサブ巻線の巻数は、
    (N1)×sin(α)/sin(π/3)
    にほぼ等しいこと
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  10. 各固定子ティース組において、所定個数の固定子ティースのうちの第1の固定子ティースにはメイン巻線のみが巻回され、これに隣接する第2の固定子ティースにはメイン巻線およびサブ巻線が巻回されており、
    前記第2の固定子ティースに巻回されているメイン巻線の巻数およびサブ巻線の巻数の和は、前記第1の固定子ティースに巻回されているメイン巻線の巻数にほぼ等しいこと
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  11. 前記同期電動機は、各巻線の位置関係を維持しつつ前記固定子ティースを無くしたコアレス型の同期電動機であること
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  12. 前記複数の固定子ティースのうち少なくともひとつは、前記回転子の軸方向に進むほど周方向に最大で固定子ティースの配置間隔だけずれていくスキュー配置が施されていること
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  13. 前記同期電動機はインナーロータ型であること
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  14. 前記同期電動機は永久磁石埋め込み型であること
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  15. 前記同期電動機は自動車用であること
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  16. 各固定子ティース組において、前記所定個数の固定子ティースは、前記回転子の磁極間隔と異なる間隔であって、かつ、前記複数の固定子ティースの全てを周方向に等間隔に配置した場合よりも磁極間隔に近い間隔で並んでいること
    を特徴とする請求項1に記載の同期電動機。
  17. 周方向に等間隔に並設された複数の磁極を含む回転子と、
    周方向に並設された複数の固定子ティースを含む固定子とを備え、
    前記複数の固定子ティースは、周方向に並ぶ所定個数単位で固定子ティース組を構成し、当該構成された複数の固定子ティース組の周方向の間隔は等しく、
    各固定子ティース組において、固定子ティース組に含まれる所定個数の固定子ティースは、前記回転子の磁極の配置間隔と異なる配置間隔で並設され、
    前記所定個数の固定子ティースには、個別にメイン巻線が巻回されていると共に、前記所定個数の固定子ティースのうちの少なくともひとつにはサブ巻線がさらに巻回され、
    固定子ティース組に含まれる所定個数のメイン巻線と、当該固定子ティース組とは電気角で異なる位置にある他の固定子ティース組に含まれる少なくともひとつのサブ巻線とが直列に結線されて、ひとつの相の巻線を構成し、
    前記固定子ティース組に含まれる少なくともひとつのサブ巻線と、当該固定子ティース組とは電気角で異なる位置にある他の固定子ティース組に含まれる所定個数のメイン巻線とが直列に結線されて、ひとつの相の巻線を構成しており、
    各固定子ティース組において、所定個数の固定子ティースのうちの特定の固定子ティースにはメイン巻線のみが巻回されており、
    ひとつの相の巻線の一端は対応する相の入力端子に接続され、当該巻線の他端は中性点に接続されており、当該巻線を構成する所定個数のメイン巻線および少なくともひとつのサブ巻線は、前記特定の固定子ティースに巻回されているメイン巻線が最も入力端子の近くになるような結線順で結線されていること
    を特徴とする同期電動機。
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