JP4713787B2 - カップ付き女性用衣類 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラジャーのようなカップ付き女性用衣類に関し、好適にはワイヤーを有しないノンワイヤー型のカップ付き女性用衣類に適用される。
【0002】
【従来の技術】
カップ付き女性用衣類の代表例は、ファンデーション衣類としてのブラジャーである。このようなブラジャーでは、バストの「寄せ」機能と「上げ」機能が重視されるが、このような機能を好適に奏するものとしてワイヤーフォーム型ブラジャーが広く利用されている。
【0003】
一方、プラスチック等からなるワイヤーを有しないノンワイヤー型も広く知られており、このようなブラジャーはカップ(上カップ、下カップ)、肩ストラップ、土台(前中心を含む)、バックの各パーツから構成されている。ここで、土台はカップの底辺部をカバーし、カップの造形性や保形性、安定性を効果的に発揮する役割を持っている。そして、土台とカップは互いに縫着され、着用前の自然状態において着用者のバスト下部近傍(いわゆるバージスライン近傍)と類似の形状を成し、着用者のバストに優しくフィットし、着心地の良さをもたらしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のノンワイヤー型はワイヤーフォーム型に比べて保形性が劣るという欠点がある。具体的には、ノンワイヤー型ブラジャーを着用する時には、土台布が着用者の体幹(バージスを含む)に密着した状態から、カップ部がバック布によって横方向に引かれて潰れた状態に変化する。そのため、カップ部の上辺の押えが弱くなり、トップから上カップの部分が着用者のバストから浮いたり皺が生じたりする等、カップ部の造形性や保形性が低下する欠点があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決したカップ付き女性用衣類を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係るカップ付き女性用衣類は、脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凹型に湾曲した上縁湾曲部を有する土台部と、脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凸型に湾曲した下縁湾曲部を有し、カップ形状を成すように立体成型されたカップ部と、を備え、平面に配置した状態での土台部の少なくとも中間部分(望ましくは中間部分と脇寄り部分)における上縁湾曲部の曲率半径は、カップ形状を成す状態でのカップ部の少なくとも中間部分における下縁湾曲部の曲率半径と同等もしくは大きくされ、土台部の上縁湾曲部とカップ部の下縁湾曲部が互いに縫着されていることを特徴とする。
【0007】
また、第2発明に係るカップ付き女性用衣類は、脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凹型に湾曲した上縁湾曲部を有する土台部と、脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凸型に湾曲した下縁湾曲部を有し、カップ形状を成すように立体成型されたカップ部と、を備え、カップ形状を成す状態でのカップ部の曲面形状に沿って土台部を配置した状態での少なくとも中間部分(望ましくは中間部分と脇寄り部分)における上縁湾曲部の曲率半径は、カップ形状を成す状態でのカップ部の少なくとも中間部分における下縁湾曲部の曲率半径と同等もしくは大きくされ、土台部の上縁湾曲部とカップ部の下縁湾曲部が互いに縫着されていることを特徴とする。
【0008】
第1、第2発明に係るカップ付き女性用衣類によれば、カップ形状を成す状態でのカップ部の延長線(延長面)上または近傍に、土台部の少なくとも中間部分(望ましくは中間部分と脇寄り部分)が位置するので、着用に際して土台部を左右に引く前の状態では、特にバージスに相当する部分(概ね土台部とカップ部の縫着線上)において着用者の体から大きく離れているが、着用に際して土台部が左右に引かれると上記縫着線上または近傍で着用者側に折れ曲がる。このため、着用中は平面に戻ろうとする力が働き、バストをカップ部の下側から持ち上げる作用が生じる。よって、土台部を横方向に引く力を、カップ部を上方に持ち上げる力に変換しているので、快適な着用感を維持しながら、優れたバストの造形性と保形性を実現できる。
【0009】
更に、第3発明に係るカップ付き女性用衣類は、カップ形状を成すように立体成型され、凸型に湾曲した下縁湾曲部を有するカップ部と、凹型に湾曲した上縁湾曲部を有し、カップ部の曲面形状に沿って配置した状態での上縁湾曲部の曲率半径が、カップ部の下縁湾曲部の曲率半径と同等もしくは大きくされた土台部と、を備え、土台部の上縁湾曲部とカップ部の下縁湾曲部が互いに縫着されていることを特徴とする。
【0010】
第3発明に係るカップ付き女性用衣類によれば、カップ形状を成す状態でのカップ部の延長線(延長面)上または近傍に土台部が位置するので、着用前に着用者の体から離れていた土台部とカップ部の境界部が、着用に際して土台部が左右に引かれると着用者側に折れ曲がる。このため、着用中は平面に戻ろうとする力が働き、バストをカップ部の下側から持ち上げる作用が生じるので、土台部を横方向に引く力をカップ部を上方に持ち上げる力に変換できる。
【0011】
更に、第4発明に係るカップ付き女性用衣類は、カップ形状を成すように立体成型され、凸型に湾曲した下縁湾曲部を有するカップ部と、凹型に湾曲した上縁湾曲部を有し、カップ部の下縁湾曲部が当該上縁湾曲部に縫着された土台部と、を備え、カップ部の下カップ領域の曲面形状と、土台部のカップ下領域の曲面形状とが、少なくとも脇寄り部分と前中心寄り部分に挟まれた中間部分(望ましくは中間部分と脇寄り部分)で滑らかに連続していることを特徴とする。
【0012】
第4発明に係るカップ付き女性用衣類によれば、カップ部の下カップ領域と土台部のカップ下領域とが、少なくとも中間部分で滑らかに連続しているので、着用に際して土台部が左右に引かれると、土台部とカップ部の境界部が着用者側に折れ曲がる。このため、土台部を横方向に引く力をカップ部を上方に持ち上げる力に変換できる。
【0013】
なお、第1、第2、第3および第4発明に係るカップ付き女性用衣類において、土台部は伸縮性を有する左右一対の土台布を前中心で互いに縫着して形成されていることを特徴としても良く、カップ部の下縁湾曲部と土台部の上縁湾曲部が直接に縫着されたノンワイヤー型であることが特に好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。なお、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1、2は実施形態のノンワイヤー型ブラジャーを示し、図1は斜め下側から見た自然状態(非着用状態)での斜視図、図2は斜め横側から見た着用状態の斜視図である。このブラジャーは、左右一対のカップ部1と、前中心部から脇布部までを含む土台部2と、土台部2の背側に続くバック部3と、カップ部1の上縁部とバック部3の間に掛け渡された肩ストラップ4と、を主要なパーツとして構成されている。なお、伸縮性(特に左右に引く方向の伸縮性)を有するバック部3の背中の部分には、係脱自在のホック5が取り付けられている。
【0016】
ここで、カップ部1は上カップ11と下カップ12を接ぎ線で縫着することにより、丸みを帯びた円錐形に類似のカップ形状に立体成型されている(図1参照)。立体成型されたカップ部1は、脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凸型に湾曲した下縁湾曲部(下カップ12の下縁部)を有しているが、いわゆるワイヤーは有していない。
【0017】
土台部2は伸縮性(特にバック部3によって左右に引かれる方向の伸縮性)を有する織布や編布のような素材を含んで形成され、前中心で左右のパーツが互いに縫着されて左右一体の土台部2を構成している。土台部2は着用者のバスト下部(いわゆるバージスラインの下部)にフィットするように、脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凹型に湾曲した上縁湾曲部を有している。そして、この土台部2の上縁湾曲部がカップ部1の下縁湾曲部と対向し、互いに縫着されている。
【0018】
更に、カップ部1の脇寄り部分から土台部2の脇下部分に沿って、平板状で可撓性を有するプラスチック製のボーン部材61が縫い込んで設けられている。このボーン部材61の上端は上カップ11と下カップ12の接ぎの部分に位置し、下端は土台部2のアンダーテープ21の部分に届いている。また、土台部2の脇部分を縦方向に横断するように、別のボーン部材62が設けられている。これらボーン部材61,62は脇寄せ機能を好適に発揮するが、特にボーン部材61は自然状態において。カップ部1の脇寄り部分から土台部2の脇下部分が滑らかに連続するのをサポートしている。
【0019】
肩ストラップ4は織布のような布地を成形、縫製して形成され、カップ部1とバック部3の間に掛け渡されている。すなわち、肩ストラップ4の一端はカップ部1の上縁部に縫着等で取り付けられ、他端はバック部3に縫着等で取り付けられる。
【0020】
図1,2に示される実施形態のブラジャーは、このカップ部1の下縁湾曲部の形状と土台部2の上縁湾曲部の形状との相関関係に特徴があり、これを説明するために図3を参照する。
【0021】
図3は従来のブラジャーを平面に配置した状態の斜視図であり、カップ形状を成すように立体成型された左右一対のカップ部1は、その下縁湾曲部において土台部2の上縁湾曲部に縫着されている。図3に示す従来のブラジャーの自然状態は、実施形態に係るブラジャーの自然状態(図1の状態)とは形態(姿態)が根本的に相違する。
【0022】
すなわち、カップ部1と土台部2を縫着する前の状態において、図3の従来品(ブラジャー)を平面に配置した状態の土台部2の上縁湾曲部の曲率半径は、カップ形状を成す状態におけるカップ部1の下縁湾曲部の曲率半径より小さくなっている。したがって、カップ部1と土台部2を縫着した後には、土台部2を平面配置した状態から多少とも反り返った状態が自然状態となり、この状態においてカップ部1の裾部分(下カップ12の領域)における斜面(曲面)と土台部2のカップ下領域の面が滑らかに連続することなく一定の角度(概ね20〜70度)で交叉し、カップ部1と土台部2の縫着線近傍でくびれ(括れ)ることになる。
【0023】
これに対し、実施形態に係るブラジャーの自然状態は図1の状態であり、土台部2を平面配置するとカップ部1は元来のカップ形状を維持できない。すなわち、着用前の図1に示されるように、カップ部1の下カップ領域の曲面形状と、土台部2のカップ下領域の曲面形状とが、脇寄り部分と中間部分(前中心寄り部分を除く脇側の部分)で滑らかに連続しており、カップ部1と土台部2の縫着線近傍に括れや不連続な屈曲、折曲がない。
【0024】
実施形態に係るブラジャーは、着用後の状態では図3に示されるようにカップ部1と土台部2の縫着線近傍に括れや不連続な屈曲、折曲が生じる。この理由(仕組み)は、概ね下記の通りである。
【0025】
まず、自然状態でカップ形状を成すようにしたカップ部1の下カップ12の延長線(延長面)上には、土台部2の中間部分と脇寄り部分が位置しているので、着用に際して土台部2を左右に引く前の状態では、特にバージスに相当する部分(概ねカップ部1と土台部2の縫着線上)においてブラジャーは着用者の体から離れている。これは、着用者のバスト下部が括れているのに対し、ブラジャーの当該部分は実施形態では滑らかに連続する曲面形状となっているからである。
【0026】
しかし、着用に際して土台部が左右に引かれると、カップ部1と土台部2の縫着線上または近傍でブラジャーは着用者側に折れ曲がる。言い換えると、滑らかに連続する曲面形状のものが、バージスラインに沿って逆「く」の字型に折れ曲がる。このため、着用中は滑らかに連続する曲面形状に戻ろうとする力がカップ部1と土台部2に働き、バストを下側から持ち上げる作用が生じる。つまり、実施形態では土台部2を横方向に引く力をカップ部1に伝達し、バストを上方に持ち上げる力に変換しているので、快適な着用感を維持しながら、優れたバストの造形性と保形性を実現できる。
【0027】
図4、図5は上記の実施形態の作用を従来例と対比して説明する図であり、図4は従来例、図5は実施形態を示している。また、図4(A)及び図5(A)はブラジャーを側面方向から見た図であって、点線は土台部2を左右に引く前の状態、実線は着用して土台部2を左右に引いた後の状態を示している。図4(B) 、(C)及び図5(B)、(C)はブラジャーを正面方向から見た図であって、白抜き矢印はカップ部1と土台部2の自然状態における折れ曲がり(括れ)の状態を示している。
【0028】
具体的には、図4(B)の従来例では、カップ部1と土台部2の境界における湾曲部で、脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分に至る全ての範囲で折れ曲がっている。また、従来例に関する図4(C)の例では、湾曲部の中間部分と前中心寄り部分でカップ部1と土台部2の境界ラインが折れ曲がる一方、脇寄り部分で不連続に折れ曲がることなく滑らかに連続している。
【0029】
これに対し、実施形態に関する図5(B)の例では、湾曲部の脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分に至る全ての範囲で、カップ部1と土台部2の境界ラインが折れ曲がることなく滑らかに連続している。また、実施形態に関する図5(C)の例では、湾曲部の中間部分でカップ部1と土台部2の境界ラインが折れ曲がることなく滑らかに連続する一方、脇寄り部分と前中心寄り部分で不連続に折れ曲がっている。
【0030】
また、別の実施形態に関する図6(B)の例では、湾曲部の脇寄り部分から中間部分に至る範囲で、カップ部1と土台部2の境界ラインが折れ曲がることなく滑らかに連続しているが、前中心寄り部分では境界ラインが折れ曲がっている。また、実施形態に関する図6(C)の例では、湾曲部の中間部分でカップ部1と土台部2の境界ラインが反対向きに折れ曲がる(境界ラインが着用者の体より浮き上がる方向に折れ曲がる)一方、脇寄り部分と前中心寄り部分では折れ曲がることなくストレートに延びている。
【0031】
図4(A)に示す従来のブラジャーでは、着用前(点線)にはカップ部1と土台部2の境界ライン(図中に矢印Lで示す)で身体側に折れ曲がっている。着用後に土台部2を左右に引っ張った状態では、図中に実線で示すように形状が変化し、境界ラインLでの折れ曲がりが大きくなる。つまり、土台部2が着用者の体幹(バージスを含む)に密着した状態から、カップ部1がバック布によって横方向に引かれて潰れた状態に変化する。そのため、従来例ではカップ部1の上辺の押えが強くなり、トップ(カップ部1の頂部)から上カップ11の部分が着用者のバストから浮いたり皺が生じたりする等、カップ部1の造形性や保形性が低下する欠点があった。また、個々人の体型に合わせ難い欠点もあった。
【0032】
図5(A)に示す実施形態のブラジャーでは、着用前(点線)にはカップ部1と土台部2の境界ラインで身体側に折れ曲がることなく、滑らかに連続している。すなわち、カップ形状を成す状態でのカップ部1(下カップ12)の延長線(延長面)上または近傍に、土台部2が位置している。このため、着用に際して土台部2を左右に引く前の状態では、特にバージスに相当する土台部2とカップ部1の縫着線(境界ラインL)上において、ブラジャーの布地は着用者の体から浮き上がって大きく離れている。
【0033】
ところが、着用に際して土台部2が左右に引かれると、縫着線上または近傍でブラジャーの布地は着用者側に折れ曲がる(実線で図示)。つまり、実施形態のブラジャーを着用すると、滑らかに連続する曲面形状の境界ラインL近傍が、逆「く」の字型に折れ曲がる。このため、着用中は滑らかに連続する曲面形状に戻ろうとする力が働き、バストをカップ部1の下側から持ち上げる作用が生じる。つまり、伸縮性を有する土台部2を横方向に引く力を、カップ部1を上方に持ち上げる力に変換しているので、快適な着用感を維持しながら、優れたバストの造形性と保形性を実現できる。また、従来のブラジャーではサイズ毎に決まった(予め決められた)バージスを創ることとなるが、本実施形態では土台部2を左右に引くことでブラジャーが変形し、個々人の体型に見合った綺麗なバージスを創る効果がある。
【0034】
図6(A)に示す別の実施形態のブラジャーでは、着用前(点線)にはカップ部1と土台部2の境界ラインで身体側から離れる方向に折れ曲がっている。すなわち、カップ形状を成す状態でのカップ部1(下カップ12)の延長線(延長面)の着用者側に、土台部2が位置している。このため、着用に際して土台部2を左右に引く前の状態では、特にバージスに相当する土台部2とカップ部1の縫着線(境界ラインL)上において、ブラジャーの布地は着用者の体から浮き上がって大きく離れている。
【0035】
ところが、着用に際して土台部2が左右に引かれると、縫着線上または近傍でブラジャーの布地は着用者側に折れ曲がる(実線で図示)。つまり、実施形態のブラジャーを着用すると、身体側から離れるように折れ曲がって連続する曲面形状の境界ライン近傍が、逆「く」の字型に折れ曲がる。このため、着用中は反対方向に折れ曲がった曲面形状に戻ろうとする力が働き、バストをカップ部1の下側から持ち上げる作用が生じる。つまり、伸縮性を有する土台部2を横方向に引く力を、カップ部1を上方に持ち上げる力に変換しているので、快適な着用感を維持しながら、優れたバストの造形性と保形性を実現できる。また、従来のブラジャーではサイズ毎に決まった(予め決められた)バージスを創ることとなるが、本実施形態では土台部2を左右に引くことでブラジャーが変形し、個々人の体型に見合った綺麗なバージスを創る効果がある。
【0036】
図7〜9は実施形態に係るノンワイヤー型ブラジャーの第1〜3態様を示し、図7はフルカップ、図8は3/4カップ、図9はハーフカップに対応する。また、各図(A)は自然状態(着用していない状態)の斜視図であり、いずれの態様のブラジャーでも、前中心寄り部分を除く中間部分と脇寄り部分において、下カップ12は土台部2に滑らかに連続している。
【0037】
図7〜9の各図(B)は、上カップ11及び下カップ12のパターン図であり、互いに接ぎ線で縫着されてカップ形状を成すように立体成型される。そして、カップ部1は脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凸型に湾曲した下縁湾曲部(図中のP1〜P2)を有し、これはカップ形状を呈する自然状態において一定の曲率半径を有することになる。
【0038】
図7〜9の各図(C)は、土台部2からバック部3に至る布地のパターン図であり、一点鎖線は従来例、実線は実施形態に対応する。図示の通り、脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて、土台部2は凹型に湾曲した上縁湾曲部(図中のQ1〜Q2、R1〜R2)を有する。そして、一点鎖線で示される従来例の上縁湾曲部(図中のQ1〜Q2)は、例えば平面に配置された状態において一定の曲率半径を有し、実線で示される実施形態の上縁湾曲部(図中のR1〜R2)は、例えばカップ部1(特に下カップ12)に沿う曲面に配置された状態において一定の曲率半径を有することになる。
【0039】
したがって、図7〜9の各図(B),(C)から、従来例と本発明の特徴的相違点として、次の点(第1の相違点)を理解することができる。
【0040】
まず、従来例のブラジャーでは、平面に配置した状態における土台部2の上縁湾曲部(図中のQ1〜Q2)の曲率半径は、カップ形状を成す状態におけるカップ部1の下縁湾曲部(図中のP1〜P2)の曲率半径より小さくされ、土台部2の上縁湾曲部とカップ部1の下縁湾曲部が互いに縫着されている。
【0041】
これに対し、実施形態のブラジャーでは、平面に配置した状態での土台部2の少なくとも中間部分(望ましくは中間部分と脇寄り部分)における上縁湾曲部(図中のR1〜R2)の曲率半径は、カップ形状を成す状態でのカップ部1の少なくとも中間部分(望ましくは中間部分と脇寄り部分)における下縁湾曲部(図中のP1〜P2)の曲率半径よりも大きくされ、土台部2の上縁湾曲部とカップ部1の下縁湾曲部が互いに縫着されている。
【0042】
また、図7〜9の各図(B),(C)から、従来例と本発明の特徴的相違点として、次の点(第2の相違点)を理解することができる。
【0043】
まず、従来例のブラジャーでは、カップ形状を成す状態でのカップ部1の曲面形状に沿って土台部2を配置した状態における上縁湾曲部(図中のQ1〜Q2)の曲率半径は、カップ形状を成す状態でのカップ部の下縁湾曲部(図中のP1〜P2)の曲率半径より小さくされ、土台部2の上縁湾曲部とカップ部2の下縁湾曲部が互いに縫着されている。
【0044】
これに対し、実施形態のブラジャーでは、カップ形状を成す状態でのカップ部の曲面形状に沿って土台部2を配置した状態での少なくとも中間部分(望ましくは中間部分と脇寄り部分)における上縁湾曲部(図中のR1〜R2)の曲率半径は、カップ形状を成す状態でのカップ部1の少なくとも中間部分(望ましくは中間部分と脇寄り部分)における下縁湾曲部(図中のP1〜P2)の曲率半径と同等もしくは大きくされ、土台部2の上縁湾曲部とカップ部1の下縁湾曲部が互いに縫着されている。
【0045】
本発明は、上記の実施形態や変形例に限らず、種々の態様が可能である。
例えば、ファンデーション衣類としてのブラジャー以外にも、カップ部と土台部を備えるものには適用できる。また、前中心を係脱自在のホックで連結するフロントホック型ブラジャーにも適用できる。
【0046】
【発明の効果】
本発明のカップ付き女性用衣類によれば、土台部を横方向に引く力をカップ部を上方に持ち上げる力に変換できるので、美麗なバストラインを創造しつつ、ノンワイヤー型に特有の優れた着用感を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るノンワイヤー型ブラジャーの斜視図である。
【図2】図1のブラジャーの着用状態における斜視図である。
【図3】従来のブラジャーの構成を説明する斜視図である。
【図4】別の従来のブラジャーの機能を説明する図である。
【図5】実施形態のブラジャーの機能を説明する図である。
【図6】別の実施形態のブラジャーの機能を説明する図である。
【図7】実施形態のブラジャーの第1態様を説明する図である。
【図8】実施形態のブラジャーの第2態様を説明する図である。
【図9】実施形態のブラジャーの第3態様を説明する図である。
【符号の説明】
1…カップ部、11…上カップ、12…下カップ、2…土台部、3…バック部、4…肩ストラップ、5…ホック、61,62…可撓性のボーン部材。
Claims (9)
- 脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凹型に湾曲した上縁湾曲部を有する土台部と、
脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凸型に湾曲した下縁湾曲部を有するカップ部と、
を備え、
平面に配置した状態での前記土台部の少なくとも前記中間部分における前記上縁湾曲部の曲率半径は、カップ形状を成す状態での前記カップ部の少なくとも前記中間部分における前記下縁湾曲部の曲率半径と同等もしくは大きくされ、
前記土台部の上縁湾曲部と前記カップ部の下縁湾曲部が互いに縫着されていることを特徴とするカップ付き女性用衣類。 - 平面に配置した状態での前記土台部の少なくとも前記中間部分と前記脇寄り部分における前記上縁湾曲部の曲率半径は、カップ形状を成す状態での前記カップ部の少なくとも前記中間部分と前記脇寄り部分における前記下縁湾曲部の曲率半径と同等もしくは大きくされていることを特徴とする請求項1記載のカップ付き女性用衣類。
- 脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凹型に湾曲した上縁湾曲部を有する土台部と、
脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凸型に湾曲した下縁湾曲部を有するカップ部と、
を備え、
カップ形状を成す状態での前記カップ部の曲面形状に沿って前記土台部を配置した状態での少なくとも前記中間部分における前記上縁湾曲部の曲率半径は、カップ形状を成す状態での前記カップ部の少なくとも前記中間部分における下縁湾曲部の曲率半径と同等もしくは大きくされ、
前記土台部の上縁湾曲部と前記カップ部の下縁湾曲部が互いに縫着されていることを特徴とするカップ付き女性用衣類。 - カップ形状を成す状態での前記カップ部の曲面形状に沿って前記土台部を配置した状態での少なくとも前記中間部分と前記脇寄り部分における前記上縁湾曲部の曲率半径は、カップ形状を成す状態での前記カップ部の少なくとも前記中間部分と前記脇寄り部分における下縁湾曲部の曲率半径と同等もしくは大きくされていることを特徴とする請求項3記載のカップ付き女性用衣類。
- カップ形状を成すように立体成型され、凸型に湾曲した下縁湾曲部を有するカップ部と、
凹型に湾曲した上縁湾曲部を有し、前記カップ部の曲面形状に沿って配置した状態での前記上縁湾曲部の曲率半径が、前記カップ部の前記下縁湾曲部の曲率半径と同等もしくは大きくされた土台部と、
を備え、
前記土台部の上縁湾曲部と前記カップ部の下縁湾曲部が互いに縫着されていることを特徴とするカップ付き女性用衣類。 - カップ形状を成すように立体成型され、凸型に湾曲した下縁湾曲部を有するカップ部と、
凹型に湾曲した上縁湾曲部を有し、前記カップ部の下縁湾曲部が当該上縁湾曲部に縫着された土台部と、
を備え、
前記カップ部の下カップ領域の曲面形状と、前記土台部のカップ下領域の曲面形状とが、少なくとも脇寄り部分と前中心寄り部分に挟まれた中間部分で滑らかに連続していることを特徴とするカップ付き女性用衣類。 - 前記カップ部の下カップ領域の曲面形状と、前記土台部のカップ下領域の曲面形状とが、少なくとも前中心寄り部分から脇側の中間部分と脇寄り部分で滑らかに連続していることを特徴とする請求項6記載のカップ付き女性用衣類。
- 前記土台部は左右一対の伸縮性を有する土台布を前中心で互いに縫着して形成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか記載のカップ付き女性用衣類。
- 前記カップ部の下縁湾曲部と前記土台部の上縁湾曲部が直接に縫着されたノンワイヤー型であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか記載のカップ付き女性用衣類。
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