JP4708538B2 - 微粉体の散布装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ガス体の気流と共に微粉体を放出し、微粉体を基板などの被散布体上に散布する微粉体の散布装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、微粉体の散布装置としては、液晶表示装置等に使用される液晶表示板を構成する液晶基板の間、例えばガラス基板とガラス基板又はプラスチック系基板との間に、均一な粒子径の微粉体である液晶用スペーサ(スペーサビーズ)を単層で均一にかつ所定の量だけ散布する液晶用スペーサ散布装置が代表的な例として知られている。
【0003】
液晶表示装置等の液晶表示板では、液晶基板となるガラス基板とガラス基板との間、あるいはガラス基板以外のプラスチック系(有機ガラス系など)の基板の間、もしくはこのプラスチック系基板とガラス基板との間(以下、ガラス基板を代表例として説明し、ガラス基板と称する)に液晶を注入する隙間を形成するために、粒子径が数ミクロン〜数十ミクロンの均一な径の粒子(各種プラスチック製の粒子やシリカ粒子からなるスペーサビーズ)をスペーサとして、1mm2当たり10〜2000個程度を、液晶用スペーサ散布装置を用いて出来るだけ均一に、単層となるように散布または塗布している。
【0004】
このような液晶用スペーサ散布装置には、微細な液晶用スペーサの粒子を空気や窒素ガス等のガス体の気流にのせて細いパイプ(輸送管)内を輸送し、揺動する散布ノズル管から気流と共に液晶用スペーサの粒子を放出することによってガラス基板上に散布するものが存在する。ここで液晶用スペーサの粒子は、数ミクロン〜数十ミクロンの微細な粉体で浮遊しやすいものであり、また、液晶用スペーサの粒子は各種プラスチック製の粒子やシリカ粒子であるため帯電しやすく、ガラス基板上に一定の密度で再現性良く散布するのが困難であるため、液晶用スペーサの粒子を帯電極性(静電気極性)に応じて帯電させるとともに、ガラス基板および基台(テーブル)を接地(アース)してガラス基板上に液晶用スペーサの粒子を確実に一定の密度で散布することを可能にしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、液晶表示板が次第に大型化すると共に、1枚のガラス基板から多数個の液晶表示板を製造することも多くなり、液晶用スペーサ散布装置のチャンバ内に配置された基台上に大型のガラス基板を固定することが必要になっている。ところで基台上へのガラス基板の固定は、基台側からガラス基板を真空引きすることにより行うのが一般的である。しかしながらガラス基板を引付ける強さによっては、その部分の液晶用スペーサの密度が他の部分と異なりガラス基板上に液晶用スペーサを均一に散布することができない場合があった。また、ガラス基板の表面に電界差が生じた場合にも液晶用スペーサを均一散布できない場合があった。
この発明の課題は、ガラス基板などの被散布体上に液晶用スペーサなどの微粉体を散布する場合に部分的に微粉体の密度を変更することが可能な微粉体の散布装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の微粉体の散布装置は、被散布体と所定の間隔をおいて配置されガス体の気流と共に微粉体をその先端から放出する散布ノズル管を有する微粉体の散布装置において、前記被散布体上の所定領域における前記散布ノズル管の先端部の移動速度を制御する制御係数を入力する制御係数入力手段と、前記散布ノズル管の先端部の前記所定領域における移動速度を前記制御係数入力手段により入力された制御係数に基づき制御する移動速度制御手段を備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2記載の微粉体の散布装置は、前記制御係数入力手段は前記被散布体上の各所定領域毎に制御係数を入力し、前記移動速度制御手段は前記微粉体の散布点が前記各所定領域の中の何れの領域に位置するかによりその領域に対して入力された制御係数に基づいて前記散布ノズル管の先端部の移動速度を制御することを特徴とする。
【0008】
この請求項1及び2記載の微粉体の散布装置によれば、制御係数入力手段により被散布体上の各所定領域毎に制御係数を入力する。例えば、テスト散布の結果等に基づいて、散布密度が低かった所定領域に対しては散布ノズル管の先端部の移動速度を遅くするための制御係数を入力すると共に、散布密度が高かった所定領域に対しては散布ノズル管の先端部の移動速度を速くするための制御係数を入力する。そして、移動速度制御手段により散布ノズル管の先端部の移動速度を制御係数入力手段により入力された制御係数に基づき制御することにより、散布ノズル管の先端部の移動速度を被散布体上の所定領域において制御することができ被散布体の全体に対する散布密度を均一にすることができる。
【0009】
また、請求項3記載の微粉体の散布装置は、前記被散布体上の前記各所定領域が前記被散布体の散布面を格子状に分割した領域であることを特徴とする。
この請求項3記載の微粉体の散布装置によれば、被散布体上の各所定領域が被散布体の散布面を格子状に分割した領域であるため、各所定領域に対して行う制御係数の入力をタッチパネル等を用いて容易に行うことができる。
【0010】
また、請求項4記載の微粉体の散布装置は、前記被散布体が液晶基板であり、前記微粉体が液晶用スペーサであることを特徴とする。
この請求項4記載の微粉体の散布装置によれば、散布ノズル管の先端部の移動速度を液晶基板上の所定領域において制御することができ液晶基板の全体に対する液晶用スペーサの散布密度を均一にすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態にかかる微粉体の散布装置について説明する。
図1は、微粉体の散布装置である液晶用スペーサ散布装置10の断面図である。液晶用スペーサ散布装置10においては、密閉されたチャンバ12内の下部に配置された基台14上に被散布体であるガラス基板(液晶ガラス基板)16が載置され位置決め固定されている。この基台14は、接地(アース)され、上部に載置されたガラス基板16をアースし、帯電した微粉体である液晶用スペーサ20をアースされたガラス基板16に確実に付着させるようにされている。
基台14の上方には、散布ノズル管18を有する液晶用スペーサ20の散布機構22が配置されている。この散布ノズル管18は、フレキシブルチューブ24から空気や窒素等のガス体の気流とともに搬送されてくる液晶用スペーサ20を放出して、ガラス基板16上に散布するものであって、所定の第1の方向及びこれと直交する第2の方向、例えばX軸方向及びY軸方向のいずれの方向にも揺動することが可能なものである。そして散布ノズル管18を所定の方向に傾斜させてガス体の気流とともに液晶用スペーサ20を放出することによって、ガラス基板16上の所定の位置に液晶用スペーサ20が散布される。
【0012】
図2は、液晶用スペーサ散布装置10における液晶用スペーサ20の散布機構22の概略を示す斜視図である。散布機構22は、取付台26上に2個の直動アクチュエータ28,30がY軸方向に平行にかつ相互に並行して設けられ、それぞれの直動アクチュエータ28,30の内側には、自在継手(球面継手)からなる第2のジョイント部32,34がそれぞれ設けられている。そして、2個の直動アクチュエータ28,30に挟まれた位置の奥側には、散布ノズル管18がX軸方向及びY軸方向のいずれの方向にも揺動可能であって、任意の方向に傾斜することが可能に設けられている。直動アクチュエータ28,30は、それぞれスライダ(移動子)28a,30aと、Y軸方向に平行に設けられているガイド28b,30bとを有し、スライダ28a,30aは、それぞれガイド28b,30bに沿ってY軸方向に往復動する。なお、直動アクチュエータとしては、ACサーボ駆動のリニアアクチュエータ、リニアステッピングモータ等を用いることができる。
散布ノズル管18の上端部には、第1のジョイント部35が設けられている。この第1のジョイント部35は、X軸方向の両側に突出して設けられた自在継手(ユニバーサルジョイント)36,38を採用している。そして直動アクチュエータ28,30の内側にそれぞれ設けられた第2のジョイント部32,34と、散布ノズル管18の上端部に設けられた第1のジョイント部35の自在継手36,38とが、それぞれ2本のロッド40,42によって連結されている。
【0013】
図3は、散布ノズル管18を揺動させる揺動機構の詳細を示す図2のA−A断面図、図4は、図3のB−B矢視図、図5は、図3のC−C矢視図である。図3において中央に設けられている散布ノズル管18は中空の管からなっており、上端にフレキシブルチューブ24(図3には図示せず)が接続され、ガス体の気流と共に供給される液晶用スペーサ20(図3には図示せず)を下端の開口部から放出するものである。散布ノズル管18は、その長手方向の中央付近に設けられた支持部(ユニバーサルジョイント部)50を介して取付台26に取り付けられ、図2に示すX軸方向およびY軸方向のいずれの方向にも揺動可能となっている。
散布ノズル管18の支持部50は、図3及び図4に示すように、取付台26に固定されたジョイントベース52の中央の穴部に、Y軸と平行に設けられた2個の支持ピン54とこの支持ピン54が挿入されたボールベアリング56を介して、Y軸を回転中心として回動自在に支持されたジョイントリング58が配置されている。更にこのジョイントリング58は、中央の穴部に位置する散布ノズル管18をX軸と平行に設けられた2個の支持ピン60とこの支持ピン60が挿入されたボールベアリング62を介して、X軸を回転中心として回動自在に支持している。これにより散布ノズル管18は、X軸方向及びY軸方向のいずれの方向にも揺動することが可能であり、かつ、散布ノズル管18の中心線の回りには回転不能となっている。
【0014】
散布ノズル管18の上端部には、図2に示す直動アクチュエータ28,30の内側にそれぞれ設けられた第2のジョイント部32,34に、ロッド40,42によって散布ノズル管18を連結する第1のジョイント部35の自在継手36,38が設けられている。この自在継手(ユニバーサルジョイント)36,38は、図3及び図5に示すように、散布ノズル管18の上端部にX軸方向の両側に突出して設けられているもので、散布ノズル管18の上端部にボールベアリング66を介して水平方向に回転自在に取り付けられた2個の回転リング68と、この回転リング68にボールベアリング70を介して取り付けられたジョイントアーム72からなっている。なお、散布ノズル管18の傾斜角度をあまり大きくする必要がない場合には、第1のジョイント35の自在継手36及び38としてユニバーサルジョイントの代わりに、球面軸受を用いた球面継手を採用してもよい。
そして、ジョイントアーム72にロッド40(42)が固定され、このロッド40(42)によって直動アクチュエータ28(30)の第2のジョイント部32(34)に連結され、直動アクチュエータ28(30)の移動が散布ノズル管18に伝達される。なお、直動アクチュエータ28及び30の第2のジョイント32及び34の自在継手も、この自在継手36(38)と同様のものを用いてもよいし、あるいは、球面継手等の任意の自在継手を用いてもよい。
【0015】
ジョイントベース52は、取付けリング74を介して取付台26に固定されている。この取付けリング74は、散布ノズル管18の位置を調整するための調整機構76を有している。散布ノズル管18の下端は、チャンバー12を密閉するとともに散布ノズル管18を揺動可能にするゴムカバー78に嵌挿されており、ゴムカバー78の外周部は、固定リング80によって取付台26に固定されている。散布機構22が駆動されるときに、散布ノズル管18の支持部50等から僅かではあるがゴミや塵の類が発生する可能性がある。このため、ゴムカバー78は、液晶用スペーサ以外のゴミや塵等がチャンバー12内へ侵入しないようにするために取り付けられている。
以上のように構成されている液晶用スペーサ20の散布機構22においては、直動アクチュエータ28(30)の移動、詳細にはそのスライダ28a(30a)のガイド28b(30b)に沿った移動によって、散布ノズル管18が次のように揺動する。
【0016】
図6は、直動アクチュエータ28(30)の(スライダ28a(30a)の)移動による散布ノズル管18の揺動を説明する図であって、図6(a)は、散布ノズル管18が移動範囲の中央(垂直位置)にある状態を示す図、図6(b)は、Y軸方向に最大移動範囲まで揺動した際の直動アクチュエータ28,30の位置、詳細にはそのスライダ28a,30aの位置を示す図、図6(c)は、X軸方向に最大移動範囲まで揺動した際の直動アクチュエータ28,30の(スライダ28a,30aの)位置を示す図、図6(d)は、散布ノズル管18が移動範囲の角部にある状態を示す図である。
【0017】
図6(a)と図6(b)及び図6(c)とを比較すれば明らかなように、散布ノズル管18がY軸方向に揺動する際には、2個の直動アクチュエータ28,30が同時に同じ方向に移動し、散布ノズル管18がX軸方向に揺動する際には、直動アクチュエータ28,30が同時に逆の方向に移動することによって達成される。その他の角度に散布ノズル管18を揺動するときには、この2個の直動アクチュエータ28,30の移動方向および移動速度を合成することによって、散布ノズル管18をX軸方向及びY軸方向に任意の速度で移動可能であり、ガラス基板16上の任意の位置に液晶用スペーサ20を散布することができる。
【0018】
図7は、液晶用スペーサ散布装置10を含む微粉体散布システム90のシステム構成図である。微粉体散布システム90は、液晶用スペーサ散布装置10と、液晶用スペーサ散布装置10の散布機構22の直動アクチュエータ28及び30に電気的に接続され、これらを制御するアクチュエータドライバ92と、アクチュエータドライバ92に電気的に接続されるシーケンサ94と、シーケンサ94に電気的に接続され液晶用スペーサ散布装置10の動作、特に散布ノズル管18の揺動に必要な指示や動作定数などの入力を行うタッチパネル96とを有する。
次に、ガラス基板16上への液晶用スペーサ20の散布について説明する。ガラス基板16上に液晶用スペーサ20を散布する場合には、まず、テスト用のガラス基板16上へ液晶用スペーサ20のテスト散布を行う。この場合には、タッチパネル96を用いて散布ノズル管18を移動させるための軌跡及びガラス基板16のサイズ(横×縦:例えば720cm×600cm)及び液晶用スペーサ20の散布条件の入力を行う。
【0019】
図8は、テスト散布を行う場合の液晶用スペーサ20の散布条件を説明するための図である。この図に示されるように、テスト散布を行う場合の散布条件は、ガラス基板16の散布面を12×10個(横×縦)の格子状の領域に分割し、各領域毎に制御係数Cの入力を行う。なお、制御係数「5」の場合は散布条件の補正なし、制御係数「6」〜「9」の場合は、数字が大きくなるに従い散布密度を高くする方向(散布ノズルの先端をゆっくり移動させる方向)の補正を行うことを示し、制御係数「1」〜「4」の場合は、数字が小さくなるに従い散布密度を低くする方向(散布ノズルの先端を速く移動させる方向)の補正を行うことを示す。ここでテスト散布の場合には、散布密度の補正を行わないことから、12×10個(横×縦)の格子状の領域の全てについて「5」の制御係数が入力されている。
【0020】
入力された散布ノズル管18を移動させるための軌跡、ガラス基板16のサイズ及び液晶用スペーサ20の散布条件は、シーケンサ94を介してアクチュエータドライバ92に入力され、アクチュエータドライバ92により散布ノズル管18の先端の延長線がガラス基板16上のX−Y座標系に描く軌跡が決定される。なお、X−Y座標系は、ガラス基板16上の位置を表す座標系であり散布ノズル管18を鉛直方向に向けたときに、ガラス基板16と交わる点が原点とされる。また、散布ノズル管18の先端の延長線がガラス基板16上のX−Y座標系に描く軌跡は、複数の制御点の連続((x1,y1),(x2,y2),(x3,y3),(x4,y4),………(xn,yn))として決定される。
【0021】
アクチュエータドライバ92は、このガラス基板16上のX−Y座標系に描く軌跡から、散布ノズル管18のXY方向の傾斜角を演算し、X−Y座標系の各制御点を、この制御点に対応した直動アクチュエータ28及び30のスライダ28a及び30aのL1−L2座標系の位置((L11,L21),(L12,L22),(L13,L23),(L14,L24),………(L1n,L2n))に変換する。なお、L1−L2座標系は、直動アクチュエータ28及び30のスライダ28a及び30aのスライド位置を表す座標系である。
【0022】
次に、アクチュエータドライバ92は、液晶用スペーサ散布装置10を動作させ、直動アクチュエータ28及び30のスライダ28a及び30aの位置を順次、(L11,L21),(L12,L22),(L13,L23),(L14,L24),………(L1n,L2n)に移動させながら、決定された軌跡に沿った散布位置が仮速度Vで移動するように散布ノズル管18の傾斜角を変更させてテスト用のガラス基板16に液晶用スペーサ20のテスト散布を行う。
【0023】
次に、テスト散布が終了したテスト用のガラス基板16上の液晶用スペーサ20の密度をスペーサカウンタ(図示せず)を用いて測定する。ここで図9は、720cm×600cmのガラス基板16の全面におけるテスト散布による散布密度(個/mm2)の測定結果を、ガラス基板16の散布面を12×10個(横×縦)の格子状の領域に分割し各領域毎に示すものであり(散布密度は、格子状の各領域の中心部で測定)、図10は、図9に示す散布密度の測定結果に基づいてガラス基板16の全面における散布密度(個/mm2)の分布を表すグラフである。
【0024】
次に、タッチパネル96を用いて液晶用スペーサ20の散布条件の入力を行う。この液晶用スペーサ20散布条件の入力は、図10に示すガラス基板16の全面における散布密度の分布を表すグラフを参照して行う。この図10の散布密度の分布を表すグラフによれば、ガラス基板16の左右の部分の散布密度が低く、ガラス基板16の上下の部分の散布密度が高いと判断することができるため、図11に示すような散布条件の入力が行われる。即ち、ガラス基板16の左右の部分の散布密度が低くいことから、この部分の散布密度を高くするように制御係数「8」(密度を大きくする方向(散布ノズルの先端をゆっくり移動させる方向)の補正を行うことを示す)が入力され、ガラス基板16の上下の部分の散布密度が高いことから、この部分の散布密度を低くするように制御係数「4」(密度を小さくする方向(散布ノズルの先端を速く移動させる方向)の補正を行うことを示す)が入力される。
【0025】
次に、アクチュエータドライバ92は、X−Y座標系における各制御点間の散布ノズル管18の延長線とガラス基板16とが交わる点、即ち散布点の移動速度を算出する。ここで制御点(x1,y1)と(x2,y2)との間における散布点の移動速度は、制御点(x1,y1)がガラス基板16の散布面の12×10個の格子状の領域の中でどの領域に位置しているかに基づいて定められる。即ち制御点(x1,y1)が位置している領域に対応して入力されている制御係数をテスト散布の時の散布点の移動速度(仮速度V)に乗算して、制御点(x1,y1)と(x2,y2)との間における散布点の移動速度を求める。この場合に制御点(x1,y1)が位置している領域に対応して入力されている制御係数がC1(「1」〜「9」の中の何れかの値)であるとすれば、移動速度として(C1×V)が求められる。
【0026】
同様に、制御点(x2,y2)と(x3,y3)との間における散布点の移動速度は、制御点(x2,y2)がガラス基板16の散布面の12×10個の格子状の領域の中でどの領域に位置しているかに基づいて定められ、制御点(x2,y2)が位置している領域に対応して入力されている制御係数がC2(「1」〜「9」の中の何れかの値)であるとすれば(x2,y2)と(x3,y3)との間における散布点の移動速度(C2×V)が求められる。更に、同様にして(x3,y3)と(x4,y4)との間における散布点の移動速度(C3×V)、(xn-1,yn-1)と(xn,yn)との間における散布点の移動速度(Cn-1×V)を求める。
【0027】
次に、アクチュエータドライバ92は、X−Y座標系における各制御点間の距離及び散布点の移動速度に基づいて、直動アクチュエータ28及び30のスライダ28a及び30aの移動速度を求める。即ち制御点(x1,y1)と(x2,y2)との間の距離、制御点(x1,y1)と(x2,y2)との間の散布点の移動速度(C1×V)に基づいて、(L11,L21)と(L12,L22)との間における直動アクチュエータ28及び30のスライダ28a及び30aの移動速度を求める。同様にして、(L12,L22)と(L13,L23)との間、(L13,L23)と(L14,L24)との間、(L1n-1,L2n-1)と(L1n,L2n)との間のそれぞれについて、直動アクチュエータ28及び30のスライダ28a及び30aの移動速度を求める。
【0028】
次に、密閉されたチャンバ12内の基台14上に、実際に微粉体の散布を行うガラス基板16を載置し位置決め固定する。この場合の固定位置は、液晶用スペーサ20のテスト散布を行ったテスト用のガラス基板の位置と同一の位置とする。
【0029】
次に、アクチュエータドライバ92は、液晶用スペーサ散布装置10を動作させ、直動アクチュエータ28及び30のスライダ28a及び30aの位置を求められた速度で、順次、(L11,L21),(L12,L22),(L13,L23),(L14,L24),………(L1n,L2n)に移動させながらガラス基板16上に液晶用スペーサ20の散布を行う。これにより制御点(x1,y1)と(x2,y2)との間においては移動速度(C1×V)で散布点を移動させ、制御点(x2,y2)と(x3,y3)との間においては移動速度(C2×V)で散布点を移動させ、制御点(x3,y3)と(x4,y4)との間においては移動速度(C3×V)で散布点を移動させ、(xn-1,yn-1)と(xn,yn)との間においては、移動速度(Cn-1×V)で散布点を移動させながらガラス基板16上に液晶用スペーサ20の散布を行うことができる。
【0030】
図12は、入力された散布条件に基づいてガラス基板16に液晶用スペーサ20の散布を行なった場合のガラス基板16の全面における散布密度(個/mm2)の測定結果を12×10個(横×縦)の格子状の各領域毎に示すものであり(散布密度は、格子状の各領域の中心部で測定)、図13は、図12に示す散布密度の測定結果に基づいてガラス基板16の全面における散布密度(個/mm2)の分布を表すグラフである。この図13の散布密度の測定結果に示されるように、散布ノズル18の先端部の移動速度を局所的に制御するためガラス基板16の全面にわたって均一に液晶用スペーサ20の散布を行うことができる。なお、このガラス基板16への液晶用スペーサ20の散布が終了した場合には、次のガラス基板16に液晶用スペーサ20の散布を同様にして行う。
【0031】
この液晶用スペーサ散布装置10によれば、ガラス基板16上の各所定領域毎に制御係数を入力するため、例えば、テスト散布の結果等に基づいて、散布密度が低かった所定領域に対しては散布ノズル管18の先端部の移動速度を遅くするための制御係数を入力すると共に、散布密度が高かった所定領域に対しては散布ノズル管18の先端部の移動速度を速くするための制御係数を入力することにより、散布ノズル管18の先端部の移動速度をガラス基板16の全体に対する散布密度を均一にすることができる。
【0032】
なお、上述の実施の形態においては、基台14に位置決めして水平に固定された液晶ガラス基板16にその上方に配設された散布ノズル管18を揺動させて液晶用スペーサ20を下方に落下させて均一に散布する液晶用スペーサ散布装置10について説明したが、これに限定されるものではなく、散布する微粉体は、均一に散布する必要があるものであれば何でもよく、例えば、液晶用スペーサの他、粉体塗料、トナー等を挙げることができる。また、微粉体が散布される被散布体も、均一散布が必要とされるものであれば何でもよく、液晶ガラス基板の他、粉体塗料を塗布する塗装面などを挙げることができる。また、これらの被散布体も基台14に水平に配置されたものに限定されず、基台がなくてもよいし、垂直に立設された基板や塗装面や、傾斜して配置された基板や塗装面等であってもよい。また、散布方向も、水平または傾斜配置された披散布体への鉛直下方や斜め方向であってもよいし、垂直に立設されたまたは傾斜配置された被散布体への水平方向や斜め方向であってもよい。
【0033】
また、上述の実施の形態においては、直動アクチュエータ28及び30のスライダ28a及び30aの位置を制御することによりX軸方向及びY軸方向に散布ノズル管18を揺動させているが、モータに連結されたクランク又は偏心カムによって散布ノズル管18をX軸方向及びY軸方向に揺動させる液晶用スペーサ散布装置にこの発明を適用することも可能である。
また、上述の実施の形態においては、ガラス基板16の散布面を12×10個の格子状の領域に分割し、各領域に対応させて散布のノズル18の先端部の速度を制御するための制御係数の入力を行っているが、ガラス基板16の散布面を分割する領域の数は適宜変更可能である。
【0034】
【発明の効果】
この発明によれば、制御係数入力手段により被散布体上の各所定領域毎に制御係数を入力するため、被散布体上に微粉体を散布する場合に部分的に微粉体の密度を変更することができる。また、被散布体上の各所定領域が被散布体の散布面を格子状に分割した領域であるため、各所定領域に対して行う制御係数の入力をタッチパネル等を用いて容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態にかかる液晶用スペーサ散布装置の断面図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかる液晶用スペーサ散布装置に用いられる微粉体の散布機構の概略斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態にかかる微粉体の散布機構に用いられる散布ノズル管を揺動させる揺動機構の詳細を示すA−A線切断断面図である。
【図4】この発明の実施の形態にかかる揺動機構(図3)のB−B線矢視図である。
【図5】この発明の実施の形態にかかる揺動機構(図3)のC−C線矢視図である。
【図6】この発明の実施の形態にかかる液晶用スペーサ散布装置おける直動アクチュエータの移動による散布ノズル管の揺動を説明する図である。
【図7】この発明の実施の形態にかかる液晶用スペーサ散布装置を含む微粉体散布システムのシステム構成図である。
【図8】この発明の実施の形態にかかる液晶用スペーサ散布装置によりテスト散布を行う場合の散布条件を説明するための図である。
【図9】この発明の実施の形態にかかる液晶用スペーサ散布装置によりテスト散布を行った場合の散布密度の測定結果を格子状の各領域毎に示すものである。
【図10】この発明の実施の形態にかかる液晶用スペーサ散布装置によりテスト散布を行ったガラス基板の全面における散布密度の分布を表すグラフである。
【図11】この発明の実施の形態にかかる液晶用スペーサ散布装置により散布を行う場合の散布条件を説明するための図である。
【図12】この発明の実施の形態にかかる液晶用スペーサ散布装置により散布を行った場合の散布密度の測定結果を格子状の各領域毎に示すものである。
【図13】この発明の実施の形態にかかる液晶用スペーサ散布装置により散布を行ったガラス基板の全面における散布密度の分布を表すグラフである。
【符号の説明】
10…液晶用スペーサ散布装置、12…チャンバ、14…基台、16…ガラス基板、18…散布ノズル管、20…液晶用スペーサ、22…散布機構、24…フレキシブルチューブ、26…取付台、28,30…直動アクチュエータ、32,34…第2のジョイント部、35…第1のジョイント部、36,38…自在継手、40,42…ロッド、50…支持部、90…微粉体散布システム、92…アクチュエータドライバ、94…シーケンサ、96…タッチパネル。
Claims (2)
- 被散布体と所定の間隔をおいて配置され、ガス体の気流と共に微粉体をその先端から放出する散布ノズル管を有する微粉体の散布装置において、
前記被散布体上の所定領域における前記散布ノズル管の延長線と被散布体の散布面とが交わる散布点の移動速度を制御する制御係数を入力する制御係数入力手段と、前記散布ノズル管の延長線と被散布体の散布面とが交わる前記散布点の前記所定領域における移動速度を前記制御係数入力手段により入力された制御係数に基づき制御する移動速度制御手段とを備え、
前記被散布体上の前記各所定領域は、前記被散布体の散布面が格子状に分割された領域であり、
前記制御係数入力手段は、前記被散布体上の各所定領域毎における前記散布ノズル管の延長線と被散布体の散布面とが交わる制御点が位置している前記所定領域に対応して入力される制御係数を前記散布ノズル管の延長線と被散布体の散布面とが交わる前記散布点の移動速度を制御する制御係数として入力するものであり、
前記移動速度制御手段は、前記微粉体の散布ノズル管の延長線が被散布体の散布面とが交わる制御点が前記各所定領域の中の何れの領域に位置するかにより、その領域に対して入力された前記制御係数に基づいて制御点間における前記散布ノズル管の散布点の移動速度を制御するものであり、
前記散布点の移動速度が、前記散布ノズル管の延長線と被散布体の散布面上に描く軌跡から制御点を決定し、制御点が位置している所定領域に対して入力された前記制御係数とテスト散布の時の散布点の移動速度(仮速度V)を乗算して、制御点間における散布点の移動速度として求めたものである
ことを特徴とする微粉体の散布装置。 - 前記被散布体が液晶基板であり、前記微粉体が液晶用スペーサであることを特徴とする請求項1に記載の微粉体の散布装置。
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