JP4708191B2 - ベローズの劣化検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ニッケル基超合金インコネル625からなるベローズの劣化検査方法に関する。
石油プラント等の設備においては、高温下での長時間使用に伴い金属材料の劣化が懸念される。そのため、設備を構成する金属部材の劣化の程度を非破壊的に検知することは、適切な時期での劣化部材の交換、並びに安全且つ効率的な設備の運用の点で重要である。
金属材料の劣化を非破壊的に評価する方法としては、例えば、電磁誘導の原理を利用し、劣化材の初期推定不平衡電圧と測定不平衡電圧との変化量から金属材料の劣化の程度を算出する検査方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開昭63−241348号公報
しかし、上記従来の検査方法であっても、精度の点で必ずしも十分とはいえず、また、金属材料の種類によっては劣化の程度を正確に評価できない場合がある。
例えば、ニッケル基超合金インコネル625(以下、単にインコネル625という場合もある)は高温下で高いクリープ強度を有することからベローズなどの材料として利用されているが、上記従来の検査方法ではこのようなベローズの劣化を高精度で評価できない。
なお、ベローズとは、図1(a)に示される形状を有し、反応塔や再生塔等に使用される伸縮継手などのように高温下で伸縮を繰返す部材として用いられるものである。このようなベローズにおいては、インコネル625製であっても高温脆化が進行しすぎると応力のかかる部分に割れが生じることがあるため、脆化の程度を検知することが重要となる。脆化についてはビッカース硬度測定等により評価することも可能であるが、ベローズの厚さは通常3〜4mm程度であるため、測定によってベローズが損傷してしまう虞がある。また、ベローズのように対象物が薄い場合、簡易反発硬度試験器等による非破壊的な硬度測定では正確な硬度を測定することは困難である。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、インコネル625からなるベローズの高温脆化を非破壊的に正確に見積もることができるベローズの劣化検査方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、電磁誘導の原理を利用した検査方法において、交流電流をコイルに印加して発生させた磁界中にインコネル625からなるベローズを配置したときに誘導される誘導起電力の位相がベローズの硬度の指標として好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のベローズの劣化検査方法は、コイルに交流電流を印加して磁界を発生させ、その磁界中にニッケル基超合金インコネル625からなる被検体であるベローズを配置したときに誘導される誘導起電力の位相と、健全なベローズ片を上記磁界中に配置したときに誘導される誘導起電力の位相との位相差を測定する第1のステップと、予め得られている、加熱による時効処理が施されたベローズの硬度と、加熱による時効処理が施されたベローズ片を上記磁界中に配置したときに誘導される誘導起電力の位相と健全なベローズ片を上記磁界中に配置したときに誘導される誘導起電力の位相との位相差と、の相関に基づいて、第1のステップで得られる誘導起電力の位相の測定値から被検体であるベローズの硬度を求める第2のステップとを備え、上記磁界は、コイルに50〜70kHzの範囲にある特定の周波数の交流電流を印加することにより発生させたものであることを特徴とする。
本発明において、「誘導起電力の位相」とは、予め用意した基準試料を上記磁界中に配置したときに誘導される誘導起電力の位相に対する相対値、すなわち、基準試料によって誘導される誘導起電力と被検体としてのベローズによって誘導される誘導起電力との位相差を意味する。
また、「ニッケル基超合金インコネル625」とは、以下の化学組成を満たす金属のことを意味する。
Ni:58質量%以上、Cr:20〜23質量%、Mo:8〜10質量%、Fe:5.0質量%以下、NbとTaとの合計:3.15〜4.15質量%、Si:0.5質量%以下、Mn:0.5質量%以下、Al:0.4質量%以下、Ti:0.4質量%以下、C:0.1質量%以下、S:0.015質量%以下、および、P:0.015質量%以下。
本発明のベローズの劣化検査方法によれば、インコネル625からなるベローズの高温脆化を非破壊的に正確に見積もることができる。
なお、上記の効果は、高温脆化によって上昇するベローズ硬度と、電磁誘導試験における誘導起電力の位相との間に高い相関関係があり、その相関関係を用いれば位相を指標としてベローズの硬度を精度よく評価できること、及び、割れが生じる状態に至った実使用のベローズの硬度及び誘導起電力の位相が係る相関関係に良好に合致するという本発明者らの知見に基づくものであり、以下の理由によって奏されたものと考えられる。先ず、電磁誘導によって検出される誘導起電力の位相の変化は透磁率に、電位の変化は導電率に関係していると本発明者らは考えている。そして、インコネル625からなるベローズの脆化、すなわち、硬度の上昇の原因は、エッチングによるミクロ組織観察の倍率では認識できないγ’’(NiNb)の析出が主であり、この場合においては透磁率へ与える影響が大きいため位相にその変化が大きく現れ、位相と硬度との間に高い相関関係が得られたものと推察される。
本発明のベローズの劣化検査方法において、上記磁界は、コイルに50〜70kHzの範囲にある特定の周波数の交流電流を印加することにより発生させたものである。かかる磁界中にベローズを配置させた場合、ベローズの硬度上昇に対する誘導起電力の位相の変化量が増大し、硬度の見積もり精度を更に向上させることができる。これによりベローズの高温脆化の度合いをより一層正確に見積もることが可能となる。
本発明のベローズの劣化検査方法においては、予め得られているベローズの硬度と誘導起電力の位相との相関として、以下の検量線作成方法により得られた検量線を用いることが好ましい。すなわち、かかる検量線作成方法は、インコネル625からなる健全なベローズ片を複数準備するステップと、準備したベローズ片をそれぞれ所定温度で所定時間加熱して時効処理するステップと、時効処理されたベローズ片を上記磁界中に配置したときに誘導される誘導起電力の位相を測定するステップと、時効処理されたベローズ片の硬度を測定するステップと、誘導起電力の位相の測定値とベローズ片の硬度の測定値に基づいて検量線を作成するステップとを備える。
ここで、上記ベローズ片は、検査時において磁界中に配置させるベローズの部位(測定部位)と同様の場所を含み、測定部位周辺の環境の相違で誘導起電力の位相が大きく変わらない程度の大きさに切り出されていることが好ましい。
更に、ベローズの高温脆化の度合いをより正確に見積もる観点から、ベローズ片を加熱する所定温度が、590〜760℃の範囲にある特定の温度であることが好ましい。
本発明のベローズの劣化検査方法において、予め得られているベローズの硬度と誘導起電力の位相との相関として上記検量線作成方法によって得られる検量線を用いる場合、時効処理されたベローズ片についての位相が、時効処理されていない健全なベローズ片を上記磁界中に配置したときに誘導される誘導起電力の位相に対する相対値として測定されるものであり、且つ、上記磁界中に被検体としてのベローズを配置したときに誘導される誘導起電力の位相が、時効処理されていない健全なベローズ片を上記磁界中に配置したときに誘導される誘導起電力の位相に対する相対値として測定されるものであることが好ましい。
上記の劣化検査方法によれば、時効処理されていない健全なベローズ片を基準とすることで、検量線の作成時及び検査時において測定される誘導起電力の位相のばらつきを低減させることができ、ベローズの高温脆化の度合いをより一層正確に見積もることが可能となる。
本発明よれば、インコネル625からなるベローズの高温脆化を非破壊的に正確に見積もることができるベローズの劣化検査方法を提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、各図面の寸法比率は、必ずしも実際の寸法比率とは一致していない。
先ず、本発明のベローズの劣化検査方法を実施するための検査システムについて説明する。図3は、本発明のベローズの劣化検査方法を実施するための検査システムの一実施形態を示す図である。図3に示される検査システム1は、検査プローブ10と、検査プローブ10に交流電流を供給する交流電源部40と、検査プローブ10からの信号を受け取り誘導起電力の位相が測定可能な測定器50とから構成されている。交流電源部40は、周波数を設定できる調整ダイアル41を有し、検査プローブ10に特定の周波数の交流電流を供給することができる。測定器50は、基準周波数信号Iを入力する基準信号入力コネクタ35と、検出対象信号Iを入力する検査信号入力コネクタ36と、信号I及び信号Iを処理する演算処理部(図示せず)と、処理した結果(例えば、ベローズ硬度)を表示するディスプレイ34とを備えている。検査システム1による誘導起電力の位相の測定は、図3に示されるように被検体としてのベローズ2の所定測定部位に検査プローブ10の先端を当接させて実施される。なお、図3は、測定部位が分かるようにベローズ2の一部を切欠いた斜視図となっている。
図4は、図3に示される検査システムの構成を示すブロック図である。以下、図4を参照しながら本実施形態に係る検査システムを更に説明する。
検査プローブ10は、交流電源部40からの交流電流の印加を受けて励磁し交流磁界(磁束f)を形成する励磁コイル11aと励磁コイル11aの外周面の一方端の一部に密接状に同軸巻回され励磁コイル11aの交流磁界によって電磁誘導して起電力を出力する誘導コイル11bとから構成される検出コイル部11を備えている。
一方、測定器50は、検出コイル部11に直列接続され、検出コイル部11とほぼ同一構造を有する平衡インダクタ部12を備えている。この平衡インダクタ部12は、検出コイル部11の励磁コイル11aと同一構成の励磁コイル12aと、検出コイル部11の誘導コイル11bと巻回方向以外は同一構成の誘導コイル12bとから構成されている。
上記回路において、励磁コイル11a、12aを共通の交流電源部40で励磁して各々の誘導コイル11b、12bを電磁誘導させると、各コイルで等量の起電力が発生するが、誘導コイル11b、12bの巻回方向が逆であるため逆符号のインダクタンスとなる。つまり、検出コイル部11が定常状態であるかぎり、誘導コイル11b、12bで発生する起電力は打ち消しあい、起電力は実質的に零となる。ここで、検出コイル部11における励磁コイル11aの磁界中に被検体(ベローズ)を配置させると、誘導コイル11b、12bのインダクタンスが非平衡となり交流起電力(検出対象信号I)が現れる。そして、現れた起電力は誘導コイル11b、12bに接続された増幅器23によって増幅される。
更に、測定器50は、電源部40からの基準周波数信号Iをアナログ・デジタル変換する第1のA/D変換器22と、増幅器23からの増幅された検出対象信号Iをアナログ・デジタル変換する第2のA/D変換器21とからなるA/D変換部20、A/D変換部20からのデータに基づいて検出対象信号Iの位相を検出する位相検出器30、及び、演算処理部31を備えている。演算処理部31は、CPU32及び外部記憶装置33から構成され、CPU32は、所定の演算処理を行なう演算プログラムが記憶されたROMと演算処理の際に各種データを記憶するRAMとを有している。このCPU32は、被検体(ベローズ)についての位相データから、外部記憶装置33に記憶させた予め得られているベローズの硬度と誘導起電力の位相との相関(検量線)に基づいてベローズ2の硬度を算出し、得られた結果をディスプレイ34に出力する。
次に、本発明のベローズの劣化検査方法の実施形態について説明する。先ず、本実施形態のベローズの劣化検査方法で用いるベローズの硬度と誘導起電力の位相との相関(検量線)を得る方法について実施例により詳述する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例)
<検量線の作成>
(時効処理)
先ず、インコネル625からなるベローズの一部を切り出し、図1(b)に示されるものと同様の形状を有するベローズ片100を複数用意した。なお、ベローズ片のサイズは、図2(a)に示される図1(b)のベローズ片を上方から見た上面図における幅L1が139mmであり、山部101の頂点間の距離L2が60.0mmであり、図2(b)に示される図1(b)のベローズ片を側面から見た側面図における山部101と谷部102との距離H1が78.7mmであり、ベローズ片の厚みT1が3.4mmである。
次に、用意したベローズ片に対して、電気炉内で700℃の条件下、所定時間加熱することにより時効処理を施した。電気炉は、いすずマッフル炉「SMR−13K」(仕様:直熱方式、温度範囲:250℃〜1150℃、温度調節器:マイクロコンピュータ、温度制御装置:オートチューニング機能付きPD制御、温度検出端子:K熱電対、温度分布精度:1.5%FS、最高温度到達時間:約50〜60分、加熱ヒータ:カンタル線ヒータ)を用いた。また、炉内雰囲気は空気、大気圧とした。更に、マッフル炉内の設定温度と炉内に入れたベローズ片との温度には多少のずれが生じるため、ベローズ片が700℃に加熱されるよう設定温度の補正を行った。なお、補正は、予め温度補正用のベローズ片にR熱電対を取り付け、測定されるベローズ片の温度が700℃になるよう炉内温度を設定することにより行った。
上記所定時間は、0時間(時効処理を施さない)、200時間、500時間、800時間、900時間、1000時間、4000時間及び5300時間とした。
(誘導起電力の位相の測定)
次に、時効処理を施したベローズ片及び時効処理を施さないベローズ片について、上述の検査システムと同様の構成を有する電磁誘導試験機(ペンシル型、偕成エンジニア(株)社製)を用い、誘導起電力の位相を以下の手順で測定した。
測定手順:先ず、所定の周波数の交流電流を印加した検査プローブをベローズ片から十分離れた大気中に配置し、このときに定常状態を維持するようにキャリブレーションを行った。次に、時効処理を施さないベローズ片を用意し、検査プローブの先端をベローズ片の図1(b)に示されるMPの位置に当接させて誘導起電力を検出し、このときの位相が0°を示すようにフェーズ調整を行った。なお、プローブの先端は励磁コイルが巻かれた鉄芯が突き出た形状となっており、この鉄芯を試料に当接させることでコイルと試料表面とが一定の距離(コイルと試料表面との最小の距離が約1mm)に保たれる。続いて、時効処理を施したベローズ片を用意し、検査プローブの先端をベローズ片の図1(b)に示されるMPの位置に当接させて誘導起電力の位相を測定した。
印加する交流電流の周波数は、10kHz、25kHz、40kHz、50kHz、60kHz、70kHzに設定し、周波数毎に測定を実施した。
本実施例では、時効処理を施したベローズ片についての位相は、時効処理を施さないベローズ片についての位相に対する相対値、すなわち、位相差として求めた。従って、時効処理を施さないベローズ片についての位相差は0°とした。
図6は、実施例において検出された、磁界中に時効処理を施さないベローズ片を配置したときに誘導される誘導起電力波形片及び同条件で発生させた磁界中に時効処理を施したベローズ片を配置したときに誘導される誘導起電力波形の一例を示す図である。図6中、bの誘導起電力波形が時効処理を施さないベローズ片についてのものであり、フェーズ調整によって位相は0°となっている。また、図6中、aの誘導起電力波形が、フェーズ調整後に検出される時効処理を施したベローズ片についてのものである。図6において、aとbとの位相差は、cで示される差を意味する。
図5(a)は、周波数毎に測定された誘導起電力の位相とベローズ片の時効時間との関係をプロットしたグラフである。図5(a)に示されるように、インコネル625からなるベローズ片については、印加する交流電流の周波数を50kHz、60kHz及び70kHzに設定した場合に時効時間の増大にともなう位相差の変化が大きく現れることが分かる。特に、60kHzの交流電流を印加した場合、誘導起電力の位相差を精度よく検出できることが確認された。
(ベローズの硬度の測定)
誘導起電力の位相の測定後、時効処理を施したベローズ片及び時効処理を施さないベローズ片について、誘導起電力の位相の測定において検出コイルを当接させた部位でビッカース硬度を測定した。図5(b)は、ベローズ片の時効時間とベローズ片のビッカース硬度との関係をプロットしたグラフである。図5(b)に示されるように、700℃での時効処理時間が増加するとともにベローズ片の硬度も上昇していることが分かる。
(検量線の作成)
上記位相差の測定で得られたデータのうち誘導起電力の位相差の変化が大きく検出された60kHzでの測定値と、上記硬度の測定値とに基づいて、ベローズ片の硬度と誘導起電力の位相差との関係を求め、検量線を作成した。図5(c)に、60kHzの交流電流の印加時に測定されたベローズ片についての位相差とベローズ片のビッカース硬度との関係をプロットしたグラフ及び検量線を示す。図5(c)において、AG1、AG2、AG3、AG4、AG5、AG6及びAG7は、それぞれ時効処理時間が200時間、500時間、800時間、900時間、1000時間、4000時間及び5300時間であるベローズ片のデータを示す。また、S0は、時効処理を施さないベローズ片のデータを示す。なお、検量線は、S0、AG1、AG2、AG3、AG4、AG5、AG6及びAG7のデータに基づいて、最小二乗法により作成した。
図5(c)に示されるように、時効処理によって硬度が上昇すると検出される誘導起電力の位相差も大きくなることが分かり、ベローズ片の硬度と誘導起電力の位相差との間には良好な相関関係があることが確認された。
<劣化検査>
検量線の作成において使用された電磁誘導試験機及び上記で得られた検量線を用い、実機中で510℃の条件下、14年間使用されたベローズから切り出したベローズ片A、及び、実機中で300℃の条件下、14年間使用されたベローズから切り出したベローズ片Bについて、劣化検査を実施した。誘導起電力の位相差の測定は、上述の検量線の作成における測定手順と同様にして行った。なお、実機中で510℃の条件下、14年間使用されたベローズには割れが発生しているため、割れが見られない部位で測定を行った。ここで、本実施例で用いられる検量線においては、誘導起電力の位相差とベローズ硬度とが相関する位相差は100×90/1000°以下の範囲にあるため、硬度の見積もりに有効である位相差は、目視や顕微鏡により確認できる割れが発生した個所を測定した場合の大きな位相差と明確に区別することができる。
測定の結果、ベローズ片Aについての位相差は、52×90/1000°〜70×90/1000°であった。また、ベローズ片Bについての位相差は、13×90/1000°〜20×90/1000°であった。上記検量線から、ベローズ片Aのビッカース硬度は、Hv484を超える値であると見積もられた。一方、ベローズ片Bのビッカース硬度は、Hv308〜Hv340と見積もられた。
位相の測定後、ベローズ片A及びベローズ片Bについて、位相の測定において検出コイルを当接させた部位でビッカース硬度を測定した。
上記で求められた、ベローズ片A及びベローズ片Bについての位相差及び実測のビッカース硬度のデータを図5(c)のグラフ上に示す。図5(c)中、SP1がベローズ片Aのデータ、SP2がベローズ片Bのデータを示す。実使用のベローズについての位相差及びビッカース硬度の関係も、時効処理されたベローズ片を用いて得られる検量線に良好に対応していることが分かる。
以上のことから、電磁誘導試験によって被検体としてのベローズと時効処理されていないベローズ片との誘導起電力の位相差を測定することにより、上記の検量線から被検体としてのベローズの硬度を推定することができ、インコネル625からなるベローズ高温脆化の度合いを高精度で見積もることが可能になることが明らかとなった。
また、本実施形態においては、誘導起電力の位相差が50×90/1000°を超えない、好ましくは40×90/1000°を超えない、より好ましくは30×90/1000°を超えない範囲でベローズの使用期間を管理すれば、適切な時期での交換並びに安全且つ効率的な設備の運用が実現できる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
例えば、上述した実施例では、時効処理されていないベローズ片、時効処理を施したベローズ片又は被検体としてのベローズ片、の順に2度の電磁誘導試験を行って誘導起電力の位相差を測定しているが、平衡インダクタ部12の励磁コイル12aの磁場中に時効処理されていないベローズ片を配置させておくことにより、時効処理を施したベローズ片又は被検体としてのベローズ片についての位相(位相差)を1度の電磁誘導試験で求めることができる。
また、コイルの種類としては、励磁と検出において自己誘導形及び相互誘導形のいずれも使用でき、更に、単一方式、自己比較方式及び標準比較方式のいずれも使用でき、適宜変更することが可能である。
(a)は本発明に係るベローズを示す図であり、(b)はベローズから切り出したベローズ片を上方斜めから見た斜視図である。 (a)は図1(b)に示されるベローズ片の上面図であり、(b)は図1(b)に示されるベローズ片の側面図である。 本発明のベローズの劣化検査方法を実施するための検査システムの一例を示す図である。 図3に示される検査システムのブロック図である。 (a)は周波数毎に測定された誘導起電力の位相とベローズ片の時効時間との関係を示すグラフであり、(b)はベローズ片の時効時間とベローズ片のビッカース硬度との関係を示すグラフであり、(c)は60kHzの交流電流の印加時に測定されたベローズ片についての位相とベローズ片のビッカース硬度との関係を示すグラフである。 時効処理が施されていないベローズ片及び時効処理が施されたベローズ片についての起電力波形の一例を示す図である。
符号の説明
1…検査システム、2…ベローズ、10…検査プローブ、11…検出コイル部、12…平衡インダクタ部、11a,12a…励磁コイル、11b,12b…誘導コイル、20…A/D変換部、21,22…A/D変換器、23…増幅器、30…位相検出器、31…演算処理部、32…CPU、33…外部記録装置、34…ディスプレイ、35…基準信号入力コネクタ、36…検査信号入力コネクタ、40…交流電源部、50…測定器、100…ベローズ片、101…山部、102…谷部。

Claims (2)

  1. コイルに交流電流を印加して磁界を発生させ、その磁界中にニッケル基超合金インコネル625からなる被検体であるベローズを配置したときに誘導される誘導起電力の位相と、健全なベローズ片を前記磁界中に配置したときに誘導される誘導起電力の位相との位相差を測定する第1のステップと、
    予め得られている、加熱による時効処理が施されたベローズの硬度と、加熱による時効処理が施されたベローズ片を前記磁界中に配置したときに誘導される誘導起電力の位相と健全なベローズ片を前記磁界中に配置したときに誘導される誘導起電力の位相との位相差と、の相関に基づいて、前記第1のステップで得られる誘導起電力の位相の測定値から被検体であるベローズの硬度を求める第2のステップと、
    を備え、
    前記磁界は、前記コイルに50〜70kHzの範囲にある特定の周波数の交流電流を印加することにより発生させたものであることを特徴とするベローズの劣化検査方法。
  2. 前記時効処理が、電気炉内で700℃の条件下、空気雰囲気、大気圧で、所定時間加熱するものである、請求項1に記載のベローズの劣化検査方法。
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