(1) 筒状を呈し、互いに連結されるべき第一の管体と第二の管体のそれぞれの端部が、軸方向両側に位置する第一の開口部側部位と第二の開口部側部位とに各々挿入される継手本体を備え、該継手本体における該第一の開口部側部位の内周面に、該第二の開口部側に向かって次第に小径となる第一のテーパ面部を設ける一方、該第一の開口部側部位の内部に、該第二の開口部側とは反対側に向かって次第に小径となる第二のテーパ面部が内周面に設けられた筒状移動部材を挿入配置すると共に、該筒状移動部材と該第一のテーパ面部との間にOリングを位置せしめ、更に、該筒状移動部材の内部に、弾性変形に基づいて縮径可能とされたグリップリングを挿入配置する一方、該継手本体と該筒状移動部材のそれぞれに対して径方向外方に突設された突部同士を連結するように配置された一つのボルト部材の締付け操作に基づく該筒状移動部材の軸心回りの一方向の回転に伴って、該筒状移動部材を該第二の開口部側に移動せしめると共に、所定の移動位置において、該継手本体内からの該筒状移動部材の離脱を不能と為す移動機構を、該継手本体と該筒状移動部材との間に設けて構成した管継手において、前記筒状移動部材の筒壁部に挿通孔を設けて、該挿通孔に、スペーサ部材を、その一部が該筒状移動部材内に突入せしめられた状態で、抜出し可能に挿通すると共に、該筒壁部の内周面における該挿通孔の近傍に、ストッパ部を突設し、更に、前記グリップリングを、周方向に所定距離を隔てて位置する二つの自由端を有するように、周上の一個所で切断された形態を呈し、且つ弾性変形に基づいて縮径及び拡径可能とされた、前記第一の管体の外径よりも小さな内径を有するCリングにて構成して、かかるグリップリングを、内径が該第一の管体の外径よりも大なる大きさとなるように弾性変形せしめた状態で、該グリップリングの一方の自由端を前記ストッパ部に係合せしめる一方、他方の自由端を、前記スペーサ部材の該筒状移動部材内への突入部分に係合せしめて、該筒状移動部材の内部に挿入配置することにより、該スペーサ部材の該筒状移動部材内への突入部分を、弾性変形せしめられた該グリップリングの復元力に基づいて、該グリップリングの該他方の自由端と該挿通孔の内周面との間で挟圧保持するようにしたことを特徴とする管継手。
(2) 上記せる態様(1)において、前記挿通孔への前記スペーサ部材の挿通状態下において、前記筒状移動部材の外部に露呈せしめられる該スペーサ部材の露呈部分に、該筒状移動部材の前記継手本体内への挿入方向前方側に向かって突出する突起が設けられる一方、該スペーサ部材の前記筒状移動部材内への突入部分における該挿通孔の内周面との接触部を含む部位に、該スペーサ部材の回動に伴って、該挿通孔の内周面に摺動せしめられて、該スペーサ部材の突入部分の該筒状移動部材からの抜出しを許容する摺動面が設けられ、更に、前記ボルト部材の締付け操作に基づく該筒状移動部材の軸心回りの一方向に回転に伴って、該スペーサ部材の突起を該筒状移動部材の回転方向とは逆方向に押圧して、該スペーサ部材を回動せしめる押圧突起が、該継手本体の外周面に設けられていること。
この本態様によれば、筒状移動部材と継手本体の外周面上にそれぞれ突設された突部同士を連結する一つのボルト部材の締付け操作に基づく筒状移動部材の軸心回りの回転により、スペーサ部材の突起が、継手本体の外周面に設けられた押圧突起にて押圧されることによって、スペーサ部材が、摺動面において挿通孔の内周面に対して摺動せしめられつつ、一軸回りに回動せしめられ、以て、スペーサ部材が挿通孔から自動的に引き抜かれるようになる。
それ故、かかる本態様では、筒状移動部材の外周面上に露呈せしめられたスペーサ部材の露呈部分を把持して、スペーサ部材を挿通孔から引き抜く操作さえも、何等行うことなく、第一の管体の端部が、継手本体内と筒状移動部材内にそれぞれ挿入された状態下で、唯一、筒状移動部材と継手本体の外周面上にそれぞれ突設された突部同士を連結する一つのボルト部材の締付け操作を行うだけで、第一の管体の端部が、継手本体の第一の開口部側部位にシール状態で固定されることとなる。
従って、このような本態様によれば、互いに連結されるべき第一の管体と第二の管体の端部同士のシール状態での連結が、更に一層簡単に且つよりスピーディーに行われ得ることとなるのである。
(3) 上記せる態様(1)又は態様(2)において、前記筒状移動部材の外部への前記スペーサ部材の露呈部分に、該筒状移動部材の外周面における前記挿通孔の開口周縁部に接触して、該挿通孔を通じての該スペーサ部材の該筒状移動部材内への突入量を規制する規制部が設けられていること。この本態様によれば、例えば、第一の管体の端部が、継手本体における第一の開口部側部位内及び筒状移動部材内に挿入される前に、スペーサ部材が、外部から押圧される等して、挿通孔を通じて筒状移動部材の内部に脱落し、それによって、筒状移動部材内に挿入位置せしめられたグリップリングの弾性変形に基づく拡径状態が解消されるようなことが未然に防止され得る。従って、継手本体における第一の開口部側部位内及び筒状移動部材内への第一の管体の端部の挿入作業、ひいては第一の管体と第二の管体との連結作業が、よりスムーズにおこなわれ得ることとなる。
(4) 上記せる態様(1)乃至態様(3)のうちの何れか一つにおいて、前記グリップリングの前記他方の自由端に、径方向外方に向かって、該グリップリングの前記一方の自由端側に傾斜する第一の係合傾斜面が設けられる一方、前記筒状移動部材内への前記スペーサ部材の突入部分に、該第一の係合傾斜面に対応した第二の係合傾斜面が設けられて、それら第一の係合傾斜面と第二の係合傾斜面とにおいて、該グリップリングの他方の自由端と該スペーサ部材の突入部分とが互いに係合せしめられていること。このような本態様においては、例えば、スペーサ部材の第二の係合傾斜面を、グリップリングの第一の係合傾斜面に対して摺動させつつ、スペーサ部材を挿通孔内に挿通せしめるようにすれば、スペーサ部材の挿通孔への挿通と、かくの如きスペーサ部材の挿通孔への挿通状態でのグリップリングの一方の自由端に対するスペーサ部材の係合とが、より円滑に行われ得る。
(5) 上記せる態様(1)乃至態様(4)のうちの何れか一つにおいて、前記継手本体における前記第一の開口部側部位の内周面のうち、前記第一のテーパ面部よりも前記第二の開口部側において該第一のテーパ面部に連続する部分に、該第二の開口周縁部側の部分よりも径が大きな大径円筒面部が設けられて、該第一の開口部側部位への前記第一の管体の端部の挿入状態下で、前記移動機構による該第二の開口部側への前記筒状移動部材の移動により、前記Oリングが該筒状移動部材にて押圧されつつ、該第一のテーパ面部に沿って径方向内方に移動せしめられたときに、該Oリングが、該第一のテーパ面部と該第一の管体の外周面との間か、若しくは該大径円筒面部と該第一の管体の外周面との間に位置して、圧縮せしめられることによって、該Oリングの最大圧縮率が15〜55%の範囲内の値となるように構成されていること。なお、Oリングの最大圧縮率とは、圧縮前のOリングの断面の径(幅)と圧縮後のOリングの断面の径(幅)との差の最大値の、圧縮前のOリングの断面の径(幅)に対する百分率を言うものとする。
この本態様によれば、筒状移動部材と継手本体の外周面上にそれぞれ突設された突部同士を連結する一つのボルト部材の締付け操作を行って、移動機構により、筒状移動部材を移動せしめた際に、Oリングが必要以上に圧縮せしめられることが有利に防止され得、それによって、かかるボルト部材の締付け操作に基づく筒状移動部材の軸心回りの回転トルクが、Oリングの過剰な圧縮にて著しく高くなってしまうようなことが、効果的に回避せしめられ得る。従って、これによっても、互いに連結されるべき第一の管体と第二の管体の端部同士のシール状態での連結が、よりスムーズに行われ得ることとなる。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係る管継手の具体的な構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1乃至図3には、本発明に従う構造を有する一実施形態として、外周面が平滑で、互いに外径の異なる二つの水道管を連結する管継手が、その正面形態と平面形態と縦断面形態とにおいて、それぞれ概略的に示されている。それらの図から明らかなように、本実施形態の管継手は、継手本体10と筒状移動部材12とを有して、構成されている。
より具体的には、図1乃至図6に示されるように、継手本体10は、軸方向の両側に、小さな外径の水道管13(図3において二点鎖線で示す)と大なる外径の水道管15(図3において二点鎖線で示す)がそれぞれ挿入可能な開口部を有し、且つ軸方向一方側に向かうに従って、内外径が三段階に拡径する略段付円筒状の全体形状を有している。
すなわち、継手本体10においては、軸方向一方側の開口部が、第二の管体としての小径の水道管13の外径よりも所定寸法大きな内径を有する、第二の開口部としての小径側開口部14とされていると共に、かかる小径側開口部14を備えた軸方向一方側の端部が、小径の水道管13の端部が挿入される小径部16とされている。また、軸方向他方側の開口部が、第一の管体たる大径の水道管15の外径よりも十分に大きな内径を有する、第一の開口部としての大径側開口部18とされていると共に、かかる大径側開口部18を備えた軸方向他方側の端部が、大径の水道管15の端部が挿入される大径部20とされている。更に、それら小径部16と大径部20との間に位置する軸方向の中間部が、大径の水道管15の外径よりも僅かな寸法だけ大きく、且つ大径部20の内径よりも小さな内径を有し、かかる大径の水道管15の先端部分が突入可能な中径部22とされている。
また、かかる継手本体10にあっては、大径部20と中径部22との間に位置する部分のうち、大径部20側部分が、小径部16側に向かって次第に小径化するテーパ筒部24とされて、このテーパ筒部24の内周面が、小径側開口部14に向かって次第に小径となる第一のテーパ面部26とされている。更に、大径部20と中径部22との間に位置する部分のうちの中径部22側部分は、中径部22よりも大径で且つ大径部20よりも小径の中間円筒部28とされて、かかる中間円筒部28の内周面が、第一のテーパ面部26よりも小径側開口部14側において、中径部22の内径よりも大なる径をもって、第一のテーパ面部26に連続する大径円筒面部30とされている。
そして、このような継手本体10の大径部20における周上の一個所には、矩形の切欠部32が、1/4周分に満たない周方向長さと、テーパ筒部24の軸方向中間部分にまで達する深さとををもって設けられている。また、この切欠部32の底部には、径方向の内方と外方とにそれぞれ所定高さ突出して、周方向に連続して延びる鍔部34が、一体形成されている。更に、かかる鍔部34の外周面には、切欠部32の周方向(継手本体10の周方向に延びる長さ方向)の一端部から中間部に至るまでの部分に、かかる中間部に向かうに従って徐々に高くなる押圧突起36が、一体的に設けられている。
また、そのような切欠部32の周方向の一端部(押圧突起36の形成側の端部)に隣り合って位置する大径部20の外周面部分には、ボルト用突起38が、一体的に突設されている。このボルト用突起38は、大径部20の軸方向に対向位置せしめられて、大径部20の外周面に取り付けられる二つの取付板部40a,40bと、それら二つの取付板部40a,40bを、大径部20の周方向の一方側において連結する連結板部42とからなる、縦断面略コ字形状を呈している。そして、かかる連結板部42の略中央部には、大径部20の径方向に延びる長孔からなるボルト用孔44が、板厚方向に貫通して、設けられている。
さらに、このような大径部20の内周面には、切欠部32の両サイド部分の二個所を含む、周方向に等間隔を隔てた周上の四個所に、内側摺動突起46が、それぞれ一つずつ一体形成されている。これら四つの内側摺動突起46は、何れも、径方向内方に所定高さ突出し、且つ1/8周分に満たない周方向長さをもって周方向に連続して延びる突条形態を有している。そして、各内側摺動突起46にあっては、大径側開口部18の側とは反対の小径側開口部14の側の端面が、周方向の一方側に向かって小径側開口部14の側に徐々に高くなる傾斜面からなる内側摺動傾斜面48とされている。
そして、かかる継手本体10においては、上記の如き構成とされた大径部20に対して小径側開口部14の側に連続して設けられたテーパ筒部24の内側に、Oリング50が、かかるテーパ筒部24の内周面からなる第一のテーパ面部26の軸方向中間部に接触せしめられた状態で、容易に移動可能に配置されている。なお、図中、52は、継手本体10の小径部16の外周面に一体的に周設された外フランジ部であり、また、54は、かかる外フランジ部52に複数設けられた貫通孔である。
一方、筒状移動部材12は、図1乃至図3、図7、及び図8に示される如く、全体として、継手本体10の大径部20の内径よりも所定寸法小さな外径と、かかる大径部20内に挿入される前記大径の水道管15の外径よりも所定寸法大きな内径と、継手本体10の大径部20とテーパ筒部24の合計高さと略同じかそれよりも所定寸法低い高さとを有する厚肉の円筒状乃至はリング形状を呈している(図14参照)。
そして、この筒状移動部材12の外周面における軸方向一方側に偏寄した部位には、周方向に等間隔を隔てた周上の四個所に、外側摺動突起56が、それぞれ一つずつ一体形成されている。これら四つの外側摺動突起56は、何れも、径方向外方に所定高さ突出し、且つ略1/8周分の周方向長さをもって周方向に連続して延びる突条形態を有している。そして、各外側摺動突起56における筒状移動部材12の軸方向一方側に位置する端面が、周方向の一方側に向かって徐々に高くなる傾斜面からなる外側摺動傾斜面58とされている。なお、この外側摺動傾斜面58は、前記せる継手本体10の大径部20の内周面に設けられた内側摺動突起46の内側摺動傾斜面48と、傾斜角度が略同一の大きさとされている。
また、かかる筒状移動部材12の外周面において、四つの外側摺動突起56のうちの一つのものと隣り合う部分には、ボルト用突起60が、一体的に突設されている。このボルト用突起60は、略厚肉の平板形状を有して、板厚方向が筒状移動部材12周方向に対応するように位置せしめられており、また、その中央部には、筒状移動部材12の軸方向に延びる長孔からなるボルト用孔62が、板厚方向に貫通して、設けられている。
一方、筒状移動部材12の内周面には、その軸方向中間部に、周溝64が、所定の幅をもって全周に延びるように設けられている。また、この周溝64は、その深さが、軸方向一方側に向かって徐々に浅くされている。つまり、周溝64の底面が、軸方向において、前記外側摺動突起56の外側摺動傾斜面58の形成側に対応する側に向かって次第に小径となるテーパ面とされている。これにより、筒状移動部材12の内周面に設けられた周溝64の底面にて、軸方向における外側摺動突起56の外側摺動傾斜面58の形成側に向かって次第に小径となる第二のテーパ面部66が、筒状移動部材12の内周面の軸方向中間部に、全周に亘って周方向に連続して延びるように形成されているのである。
また、筒状移動部材12における前記ボルト用突起60の形成部位と隣り合う部分の軸方向略中央部には、挿通孔68が、かかる部分を貫通し、筒状移動部材12の外周面と、その内周面における第二のテーパ面部66とにおいてそれぞれ開口して、形成されている。これによって、筒状移動部材12の内周面に設けられた周溝64が、その外周面における挿通孔68の開口部を通じて、筒状移動部材の外周面側にも開口せしめられるようになっている。また、この挿通孔68においては、筒状移動部材12の周方向に対向する二つの側面のうち、ボルト用突起60の形成側に位置する一方の側面が、径方向内方に向かって、他方の側面とは離隔する方向に傾斜する第一の係合面70とされている
さらに、筒状移動部材12の内周面における挿通孔68の開口部の両サイド部分のうち、上記第一の係合面70側の部位には、第二のテーパ面部66上において径方向内方に突出するストッパ部72が、一体的に形成されている。換言すれば、筒状移動部材12の内周面における挿通孔68の近傍部位に、ストッパ部72が、周溝64を分断して、不連続と為す隔壁形態をもって、一体的に立設されている。また、このストッパ部72においては、筒状移動部材12の周方向に対向する二つの側面のうち、挿通孔68側とは反対側の側面が、径方向内方に向かって、挿通孔68側とは反対側に傾斜する第二の係合面74とされている。
そして、ここでは、このような筒状移動部材12の挿通孔68に、スペーサ部材76が、その一部を筒状移動部材12の内部に突入せしめた状態で、挿通せしめられている。このスペーサ部材76は、図7乃至図10に示されるように、金属製の板材からなり、挿通孔68への挿通状態で、筒状移動部材12の内部に突入せしめられる突入部78と、筒状移動部材12の外周面上に露呈せしめられる露呈部80とを一体的に有している。
また、かかるスペーサ部材76においては、突入部78の幅が、挿通孔68の幅よりも十分に小さくされていると共に、その長さが、筒状移動部材12の厚さと同じかそれよりも僅かに小さくされている。これによって、挿通孔68に対して自由に挿脱可能とされており、また、挿通孔68への挿通状態下で、突入部78の先端が、筒状移動部材12の第二のテーパ面部66よりも内側に突出位置せしめられるものの、筒状移動部材12の内周面よりも内側には突出位置せしめられないようになっている。
そして、このようなスペーサ部材76の突入部78における幅方向一方側の端面の先端部位には、係合爪82が、一体的に突設されている。また、この係合爪82は、突入部78の先端側に向かって、突入部の幅方向外方に斜めに延び出す係止面84を有している。更に、スペーサ部材76の突入部78においては、係合爪82の形成側とは反対側の端面の基部部位(露呈部80側の部位)が、筒状移動部材12の挿通孔68における前記第一の係合面70に対応した傾斜面からなる第三の係合面86とされている。また、かかる突入部78における係合爪82の形成側とは反対側の先端角部が斜めにカットされて、そこに、傾斜面形態を呈する先端摺動面88が、設けられている。
一方、スペーサ部材76の露呈部80には、突入部78の幅方向両側の端面よりも側方に突出する二つの規制部90a,90bが、突入部78に連続して、形成されている。そして、これら二つの規制部90a,90bが設けられた露呈部80部分の幅が、挿通孔68の幅よりも所定寸法大きくされている。これによって、スペーサ部材76が挿通孔68に挿通せしめられる際に、各規制部90が、筒状移動部材12の外周面における挿通孔68の開口周縁部にそれぞれ接触し、突入部78のみが挿通孔68に挿通せしめられて、スペーサ部材76の挿通孔68への挿通量が規制されるようになっている。また、かかる露呈部80の厚さ方向一方の面における突入部78の側とは反対側の端部には、突起としての係合ピン92が一体的に立設されている。
そして、このようなスペーサ部材76が、規制部90a,90bを、筒状移動部材12の外周面における挿通孔68の開口周縁部にそれぞれ接触させると共に、突入部78の第三の係合面86を、挿通孔68の第一の係合面70に接触させて、係合せしめ、更に、突入部78の係合爪82の先端部分を、筒状移動部材12の周溝64内に突入させる一方、係合ピン92を、筒状移動部材12の外周面上で、前記外側摺動突起56の外側摺動傾斜面58側とは反対側に延出せしめた状態で、挿通孔68に挿通せしめられている。
また、このようなスペーサ部材76の挿通孔68への挿通状態下において、スペーサ部材76の係合爪82の先端部が突入せしめられる筒状移動部材12の周溝64内には、グリップリング94が、収容配置されている。このグリップリング94は、図11及び図12に示されるように、断面円形状を呈するリングを、周方向に所定距離を隔てて位置する二つの自由端96a,96bが存在するように、周上の一個所で切断してなる、所謂Cリングにて構成されている。そして、ステンレス等の弾性を有する金属材料にて形成されることで、弾性変形に基づいて縮径及び拡径可能とされている。なお、ここでは、グリップリング94の内径が、継手本体10の大径部20に挿入される前記大径の水道管15の外径よりも小さくされていると共に、円形断面の径が、筒状移動部材12の周溝64の最大深さよりも所定寸法小さな大きさとされている。
また、このグリップリング94においては、二つの自由端96a,96bの内周側角部が斜めにカットされる如き形態とされて、それら二つの自由端96a,96bの先端面の内周側部分が、それぞれ、径方向内方に向かって互いに離隔する方向に傾斜する係合傾斜面98a,98bとされている。
さらに、かかるグリップリング94の内周部分には、三つの周溝100が、軸方向に並んで位置するように周設されている。そして、それら各周溝100においては、一方の側面が、グリップリング94の軸方向に対して直角な方向に広がる円環面とされる一方、他方の側面が、周溝100の底部から開口部側に向かって次第に小径化するテーパ面とされている。
かくして、グリップリング94の内周部における軸方向に隣り合う周溝100同士の間に、径方向内方に所定高さ突出し且つ周方向に連続して延びる、先端が鋭利な山形の突条形態を呈する二つの刃部102が、一体形成されており、更に、軸方向一方の端に位置する周溝100の側壁部が斜めにカットされることで、かかる側壁部にも、二つの刃部102と同様な刃部102が、設けられている。また、それら各刃部102にあっては、周溝100の二つの側面に対応した二つの側面を有しており、それらのうちの一方の側面が、軸方向一方側に向かって径方向内方に傾斜する縦断面形態を呈するテーパ状側面104とされている一方、他方の側面が、軸方向に対して直角方向に延びる縦断面形態を呈する円環状側面106とされている。
そして、図7及び図8に示されるように、かかるグリップリング94が、外周面の全周において、筒状移動部材12の周溝64の最大深さとなる部位における第二のテーパ面部66部分に接触せしめられる大きさまで、弾性変形により拡径せしめられた状態で、周溝64の最大深さとなる部分の内部に収容配置されている。また、そのような状態下において、テーパ状側面104が円環状側面106よりも外側周突起56の外側摺動傾斜面58側に位置せしめられている。更に、一方の自由端96aの係合傾斜面98aが、筒状移動部材12における第二のテーパ面部66上に立設されたストッパ部72の第二の係合面74に係合せしめられる一方、他方の自由端96bの係合傾斜面98bが、挿通孔68に挿通されたスペーサ部材76の係合爪82の係止面84に係合せしめられている。このことから明らかなように、本実施形態では、グリップリング94における他方の自由端96bの係合傾斜面98bにて、第一の係合傾斜面が構成されている一方、スペーサ部材76の係合爪82の係止面84にて、第二の係合傾斜面が構成されている。
かくして、ここでは、グリップリング94が、筒状移動部材12の内径と同じかそれよりも大径となるまで弾性変形により拡径されて、内周側部分が筒状移動部材12の内周面上に突出しないようにされた状態で、スペーサ部材76とストッパ部72との係合により、周溝64内で保持されるようになっている。また、そのようなグリップリング94の復元力に基づいて、挿通孔68に挿通されたスペーサ部材76の突入部78が、グリップリング94の一方の自由端96aと他方の自由端96bとの間で挟圧保持されて、スペーサ部材76の挿通孔68への挿通状態が維持されるようになっている。
そして、図1乃至図3に示されるように、上記の如き構造とされた筒状移動部材12が、軸方向における外側摺動突起56やボルト用突起60の形成側の端部部位を、管継手10の大径側開口部18から外部に突出位置せしめると共に、かかる端部部位を除く部分を、管継手10の大径側開口部18を通じて、大径部20内に挿入位置せしめた状態で、配置されている。
また、そのような筒状移動部材12の継手本体10内への挿入配置状態下において、筒状移動部材12における継手本体10内への挿入部分の先端面が、継手本体10のテーパ筒部24内に収容されたOリング50に接触位置せしめられている。更に、筒状移動部材12における四つの外側摺動突起56が、各外側摺動傾斜面58の高さの低い側の部分において、継手本体10の四つの内側摺動突起46における各内側摺動傾斜面48の高さの低い部分に対して、それぞれ接触位置せしめられている。
更にまた、筒状移動部材12のボルト用突起60が、継手本体10の大径部20に設けられた切欠部32を通じて、継手本体10の外周面上に突出せしめられて、継手本体10におけるボルト用突起38の連結板部42に対して、周方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられている。そして、そのような筒状移動部材12のボルト用突起60と継手本体10のボルト用突起38との間に、取付ボルト108が、各ボルト用孔62,44を挿通せしめられた状態で、筒状移動部材12のボルト用突起60側から継手本体10のボルト用突起38側に向かって延出して、それら二つのボルト用突起60,38とを連結するように配されている。また、かかる取付ボルト108においては、継手本体10のボルト用突起38のボルト用孔44を挿通して、更に延びる脚部の先端部分に、ナット110が螺合せしめられている。
さらに、筒状移動部材12の挿通孔68に挿通せしめられたスペーサ部材76の露呈部80が、継手本体10の切欠部32を通じて、継手本体10の外周面上に突出せしめられている。そして、かかるスペーサ部材76に設けられた係合ピン92が、継手本体10の外周面に一体形成された押圧突起36の周方向の端面に対して、周方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられている。
かくして、本実施形態の管継手にあっては、筒状移動部材12が、その一部部位を継手本体10の大径部20内に挿入された状態で、継手本体10に対して相対回転可能に且つ離脱不能に位置せしめられて、それら筒状移動部材12と継手本体10とが互いに組み付けられていることにより、構成されているのである。
而して、かくの如き構造とされた本実施形態の管継手を用いて、二つの水道管13,15を連結する際には、先ず、小径の水道管13の端部が、継手本体10の小径部16内に、小径側開口部14を通じて挿入されて、公知の方法により固定される。また、その一方で、大径の水道管15の端部が、継手本体10の大径部20内に挿入される。このとき、大径水道管15の端部は、継手本体10の大径部20内に挿入された筒状移動部材12を挿通して、先端部分が、継手本体10の中径部22内に位置せしめられるように、挿入される(図3参照)。
次に、継手本体10のボルト用突起38と筒状移動部材12のボルト用突起60とを連結するように配された取付ボルト108と、それに螺合されたナット110との締付け操作が行われる。これにより、図2に矢印で示されるように、二つのボルト用突起60,38が互いに接近せしめられて、継手本体10と筒状移動部材12とが互いに相対回転せしめられる。
その際、継手本体10と筒状移動部材12との相対回転に伴って、筒状移動部材12における外側摺動突起56の外側摺動傾斜面58が、継手本体10における内側摺動突起46の内側摺動傾斜面48に対して、摺動せしめられる。このとき、外側摺動傾斜面58と内側摺動傾斜面48との間で楔機構が発揮されて、筒状移動部材12が、大径部20及びテーパ筒部24内を、小径側開口部14の側に向かって、軸方向に移動せしめられ、また、かかる移動方向とは反対方向への筒状移動部材の継手本体10内からの離脱が阻止される。このことから明らかなように、ここでは、継手本体の内側摺動突起46と筒状移動部材12の外側摺動突起56とにて、移動機構が構成されている。
また、このような筒状移動部材12の移動に伴って、テーパ筒部24内に配置されたOリング50が、筒状移動部材12に押圧されて、小径側開口部14の側に移動せしめられると共に、テーパ筒部24の第一のテーパ面部26にて径方向内方に押圧されて、縮径せしめられる。一方、筒状移動部材12の周溝64内に拡径状態で保持されたグリップリング94は、筒状移動部材12と共に、大径部20及びテーパ筒部24内を、小径側開口部14の側に向かって軸方向に移動せしめられる。
そして、図13に示されるように、継手本体10のボルト用突起38と筒状移動部材12のボルト用突起60とが当接せしめられるまで、取付ボルト108とナット110との締付け操作が更に行われると、図14に示される如く、筒状移動部材12が、小径側開口部14の側に更に移動せしめられて、筒状移動部材12の全体が、継手本体10内に挿入位置せしめられる。これによって、Oリング50が、第一のテーパ面部26と筒状移動部材12の先端面と大径水道管15の外周面との間で圧縮せしめられて、それらの面に対して密接せしめられ、以て、継手本体10の内周面と大径水道管15外周面との間がシールされる。
なお、本実施形態では、前述せる如く、第一のテーパ面部26を内周面とするテーパ筒部24と、大径水道管15の外径よりも僅かな寸法だけ大きな内径とされた中径部22との間に、中間円筒部28が設けられて、この中間円筒部28の内周面からなり、且つ第一のテーパ面部26に対して、小径側開口部14の側に連続する面が、中径部22の内径よりも大径の大径円筒面部30とされている。そのため、筒状移動部材12の小径側開口部14の側への移動により、Oリング50が圧縮せしめられる際に、Oリング50が、かかる大径円筒面部30と大径水道管15の外周面との間に侵入することによって、それら大径円筒面部30と大径水道管15の外周面との間で圧縮されるよりも大なる圧縮率で圧縮されることが未然に防止されるようになっている。
そして、ここでは、特に、そのような大径円筒面部30と大径水道管15の外周面との間で圧縮されるOリング50の最大圧縮率、即ち圧縮前のOリング50の断面の径(幅)と圧縮後のOリング50の断面の径(幅)との差の最大値の、圧縮前のOリング50の断面の径(幅)に対する百分率が、好ましくは15〜55%の範囲内の値となるように、Oリング50の断面の径と大径水道管15の外径とに基づいて、大径円筒面部30の内径が設計されている。
何故なら、かかるOリング50の最大圧縮率が15%を下回る場合には、継手本体10の内周面と大径水道管15外周面との間の十分なシール状態の確保が困難となるといった問題が惹起されるからであり、また、Oリング50の最大圧縮率が55%を上回る場合には、Oリング50の復元力が大き過ぎて、取付ボルト108とナット110との締付け操作の実施時における取付ボルト108の回転トルクが過大となって、取付ボルト108とナット110との締付け操作をスムーズに行うことが難しくなるといった不具合が生ずることとなるからである。従って、本実施形態では、Oリング50の最大圧縮率が15〜55%の範囲内の値となるように、大径円筒面部30の内径が設計されていることによって、継手本体10の内周面と大径水道管15外周面との間の十分なシール性が、効果的に確保され得ると共に、取付ボルト108とナット110との締付け操作がスムーズに行われ得るようになっているのである。また、そのような優れた特徴を、より効果的に得るためには、Oリング50の最大圧縮率が25〜44%の範囲内の値となるように、大径円筒面部30の内径が設計されていることが、より望ましい。
また、図13に二点鎖線で示されるように、取付ボルト108とナット110との締付け操作によって継手本体10と筒状移動部材12とが相対回転せしめられる際には、継手本体10のボルト用突起38と筒状移動部材12のボルト用突起60とが当接せしめられるまでの途中で、継手本体10の外周面上に設けられた押圧突起36が、筒状移動部材12の挿通孔68に挿通位置せしめられたスペーサ部材76の係合ピン92に接触せしめられる。そして、継手本体10と筒状移動部材12との更なる相対回転に伴って、係合ピン92が、押圧突起36にて、筒状移動部材12の回転方向とは反対側の方向に押圧される。これによって、スペーサ部材76の露呈部80における二つの規制部90a,90bのうち、筒状移動部材12の回転方向後方側に位置する規制部90aの継手本体10の外周面との接触部位を回動中心として、筒状移動部材12の回転方向とは逆方向にスペーサ部材76を回動せしめる作用力が、スペーサ部材76に作用せしめられる。そして、その際、スペーサ部材76の突入部78に設けられた先端摺動面88が、挿通孔68の第一の係合面70に対して摺動せしめられるようになる。
かくして、ここでは、継手本体10の押圧突起36がスペーサ部材76の係合ピン92に接触せしめられた状態から、取付ボルト108とナット110との締付け操作が更に行われると、図13に二点鎖線で示されるように、スペーサ部材76が、規制部90aの継手本体10の外周面との接触部位を回動中心として、筒状移動部材12の回転方向とは逆方向に回動せしめられると共に、先端摺動面88において、挿通孔68の第一の係合面70に摺動せしめられる。その結果、スペーサ部材76の突入部78が、挿通孔68内から抜脱せしめられて、スペーサ部材76が、筒状移動部材12から自動的に脱落せしめられる。
また、それによって、弾性変形により拡径せしめられた状態で、筒状移動部材12の周溝64内に収容、保持されていたグリップリング94が、その復元力によって縮径せしめられる。そして、図14に示される如く、縮径されたグリップリング94が、筒状移動部材12内に挿入された大径水道管15の外周面に対して、内周面の全周に亘って密接せしめられて、各刃部102の鋭利な先端部において、大径水道管15の外周面に食い込まされる。
そして、そのような状態において、例えば水圧等により、大径水道管15に対して、それを筒状移動部材12内から抜脱せしめるような作用力が加えられると、大径水道管15が、筒状移動部材12内からの抜脱方向に僅かに変位せしめられ、それに伴って、かかる大径水道管15の端部外周面に密接せしめられたグリップリング94が、図14に二点鎖線で示される如く、大径水道管15と共に、それと同一方向に一体的に変位せしめられて、筒状移動部材12の周溝64の深さの浅い部分に位置せしめられる。これによって、グリップリング14が、第二のテーパ面部66と大径水道管15の外周面との間で挟圧保持され、以て、筒状移動部材12内、ひいては継手本体10内からの大径水道管15の抜出しが阻止されるようになる。即ち、かくの如くして、大径水道管15が、筒状移動部材12を介して継手本体10に固定されることとなるのである。
また、ここでは、グリップリング94が、その外周面において、大径水道管15の継手本体10からの抜脱方向に向かって次第に小径となる第二のテーパ面部66と接触せしめられている。それ故、大径水道管15に対して作用せしめられる筒状移動部材12内からの抜脱方向への作用力が大きくなればなる程、グリップリング94が、第二のテーパ面部66と大径水道管15の外周面との間での挟持状態下において、第二のテーパ面部66から、より大きな押圧力が加えられるようになり、それに伴って、第二のテーパ面部66と大径水道管15の外周面との間でのグリップリング94に対する挟持力が、更に増大せしめられる。その結果、大径水道管15が、継手本体10に対して、より強固に固定されるようになるのである。
このように、本実施形態の管継手にあっては、継手本体10の小径部16内に小径水道管13の端部が固定された状態下において、継手本体10の大径部20内に挿入されて、組み付けられた筒状移動部材12の内部に、大径水道管15の端部を挿入した上で、余分な作業を何等行うことなく、単に、取付ボルト108とナット110との締付け操作を行うだけで、大径水道管15を継手本体10に対して固定することが出来る。
従って、このような本実施形態の管継手を用いれば、互いに連結されるべき小径の水道管13と大径の水道管15の端部同士を、シール状態で、より容易に且つ一層迅速に連結することが出来るのである。
また、かかる管継手においては、スペーサ部材76に規制部90a,90bが設けられ、この規制部90a,90bにて、スペーサ部材76の突入部78のみが挿通孔68に挿通せしめられて、スペーサ部材76の挿通孔68への挿通量が規制されるようになっているところから、継手本体10の大径部20内に大径水道管15が挿入される前に、スペーサ部材76が、挿通孔68を通じて、筒状移動部材12内に無用に脱落するようなことが有利に防止され得、それによって、かかる大径部20内への大径水道管15の挿入作業、ひいては大径水道管15と小径水道管13の連結作業におけるスムーズな作業性が、効果的に確保され得る。
さらに、本実施形態では、スペーサ部材76の係合爪82とグリップリング94の自由端96bとが、互いに対応する傾斜面からなる係止面84と係合傾斜面98bとにおいて相互に係合せしめられるようになっているため、例えば、スペーサ部材76の係止面84をグリップリング94の係合傾斜面98bに摺動させつつ、スペーサ部材76を挿通孔68内に挿通すれば、スペーサ部材76の挿通孔68への挿通と、スペーサ部材76の係止面84とグリップリング94の係合傾斜面98bとの係合とが、より円滑に行われ得る。
また、かかる管継手においては、グリップリング94が、筒状移動部材12の周溝64内に収容された状態下で、テーパ状側面104が円環状側面106よりも外側周突起56の外側摺動傾斜面58側に位置せしめられているところから、グリップリング94の刃部102の先端が、筒状移動部材12の内周面上から多少突出していても、かかる刃部102の先端にて、筒状移動部材12内への大径水道管15の挿入が阻害されるようなことが可及的に回避され得、またその一方で、取付ボルト108とナット110との締付け操作による大径水道管15の固定作業の実施時に、かかる刃部102が大径水道管15の外周面に対して確実に食い込まされ得て、大径水道管15の継手本体10対する固定状態が安定的に確保され得るといった利点がある。
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約を受けるものではない。
例えば、前記実施形態では、取付ボルト108とナット110との締付け操作に伴う継手本体10と筒状移動部材12との相対回転によって、継手本体10の外周面に設けられた押圧突起36が、スペーサ部材76の係合ピン92を押圧することによって、スペーサ部材76が、挿通孔68から自動的に離脱せしめられるようになっていたが、例えば、スペーサ部材76の露呈部80を手指で把持して、スペーサ部材76を挿通孔68から手動で引き抜くようにしても、何等差し支えない。この場合には、押圧突起36や係合ピン92を継手本体10やスペーサ部材76から省略することが出来、それによって、管継手の構造の簡略化が、より有利に図られ得ることとなる。
また、前記実施形態では、移動機構が、継手本体10の内周面に設けられた内側摺動突起46と筒状移動部材12の外周面に設けられた外側摺動突起56とにて、構成されていたが、かかる移動機構は、取付ボルト108とナット110との締付け操作により、継手本体10と筒状移動部材12の相対回転に伴って、筒状移動部材12を、継手本体10内で小径側開口部14の側に移動させて、筒状移動部材12の継手本体10内からの離脱を阻止し得るものであれば、その構造が、例示のものに、何等限定されるものでないことは、勿論である。
さらに、スペーサ部材76の具体的な形状も、前記実施形態に示されるものに、特に限定されるものではない。
また、前記実施形態では、外径の異なる水道管13,15の端部同士が相互に連結されるようになっていたが、継手本体10の軸方向両側の開口部の内径や、筒状移動部材12の内径を適宜に変更することで、同一の外径を有する水道管の端部同士を連結することも出来る。
加えて、本発明は、水道管以外の各種の管体の二つを連結する管継手の何れに対しても、同様に適用可能であることは、勿論である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。