JP4707404B2 - 耐火建材ならびにそれを用いた施工方法及び耐火構造 - Google Patents

耐火建材ならびにそれを用いた施工方法及び耐火構造 Download PDF

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Description

本発明は、新規な耐火建材に関する。
建築物、土木構築物等の構造物が火災によって高温に晒された場合には、これら構造物の基材(鉄骨、コンクリート等)の物理的強度が急激に低下するという問題がある。これに対し、発泡性耐火塗料を基材に塗付しておくことで、火災時における基材の温度上昇を遅延させ、物理的強度の低下を抑制する方法が採られている。このような発泡性耐火塗料による塗膜は、通常(非火災時)は数mm程度の膜厚であるが、火災時には数倍〜数十倍の倍率で発泡して有効な断熱層を形成することができるものである。
発泡性耐火塗料としては、合成樹脂に対し、ポリリン酸アンモニウム等の難燃剤、メラミン等の発泡剤、多価アルコール等の炭化剤、酸化チタン等の充填剤を分散させた塗料が知られている(例えば、特許文献1等)。
特開2001−40290号公報
このような発泡性耐火塗料は、美観性・意匠性を付与するような部位への施工要望が多く、したがって、多種多様に亘る美観性・意匠性の要望に応える必要がある。
しかしながら、前記のような従来の塗料では、塗膜の透明性に劣っており、適用される基材がもつ素材感や意匠性を生かすことは困難であった。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、通常時(非火災時)には基材の素材感や意匠性を生かすことが可能な透明性を有する塗膜を有する耐火建材を提供することを主な目的とする。さらに本発明耐火建材は、火災時には十分な強度を有し、建材自体の温度上昇を効果的に抑制できる発泡層が得られることを特徴とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、特定の構成からなる建材が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の耐火建材ならびにそれを用いた施工方法及び耐火構造に係る。
1. 基材上に、隠ぺい率10%以下の発泡性耐火塗膜を有することを特徴とする耐火建材。
2. 基材が、木質層、有機系断熱層及び無機質層の少なくとも1種を含む前記1.記載の耐火建材。
3. 基材が、木質層からなる前記1.記載の耐火建材。
4. 基材が、少なくとも1)有機系断熱層及び無機質層の少なくとも1種ならびに2)木質層により順に構成されており、当該木質層上に発泡性耐火塗膜を有する前記1.記載の耐火建材。
5. 基材が、少なくとも1)第一木質層、2)無機質層、有機系断熱層及び非発泡性耐火被覆材層の少なくとも1種ならびに3)第二木質層により順に構成されており、当該第二木質層上に発泡性耐火塗膜を有する前記1.記載の耐火建材。
6. 基材が、少なくとも1)有機系断熱層、2)無機質層及び非発泡性耐火被覆材層の少なくとも1種ならびに3)木質層により順に構成されており、当該木質層上に発泡性耐火塗膜を有する前記1.記載の耐火建材。
7. 基材が、少なくとも模様層を有し、当該模様層上に発泡性耐火塗膜を有する前記1.記載の耐火建材。
8. 基材が、少なくとも1)支持層及び2)模様層により順に構成されており、当該模様層上に発泡性耐火塗膜を有する前記1.記載の耐火建材。
9. 支持層が、有機系断熱層、無機質層及び木質層の少なくとも1種からなる前記8.記載の耐火建材。
10. 基材が、有機系断熱層及び無機質層の少なくとも1種からなる前記1.記載の耐火建材。
11. 基材が、少なくとも1)有機系断熱層及び木質層の少なくとも1種ならびに2)無機質層により順に構成されており、当該無機質層上に発泡性耐火塗膜を有する前記1.記載の耐火建材。
12. 基材が、少なくとも1)木質層及び無機質層の少なくとも1種ならびに2)有機系断熱層により順に構成されており、当該有機系断熱層上に発泡性耐火塗膜を有する前記1.記載の耐火建材。
13. 基材が、透明性材料層からなる前記1.記載の耐火建材。
14. 基材が、少なくとも1)木質層、有機系断熱層及び無機質層の少なくとも1種ならびに2)透明性材料層により順に構成されており、当該透明性材料層上に発泡性耐火塗膜を有する前記1.記載の耐火建材。
15. 基材が、少なくとも1)木質層、有機系断熱層及び無機質層の少なくとも1種、2)模様層ならびに3)透明性材料層により順に構成されており、当該透明性材料層上に発泡性耐火塗膜を有する前記1.記載の耐火建材。
16. 基材が、熱反射性材料層からなる前記1.記載の耐火建材。
17. 基材が、少なくとも1)熱反射性材料層ならびに2)透明性材料層により順に構成されており、当該透明性材料層上に発泡性耐火塗膜を有する前記1.記載の耐火建材。
18. 基材が、少なくとも1)木質層、有機系断熱層及び無機質層の少なくとも1種ならびに2)熱反射性材料層により順に構成されており、当該熱反射性材料層上に発泡性耐火塗膜を有する前記1.記載の耐火建材。
19. 基材が、少なくとも1)木質層、有機系断熱層及び無機質層の少なくとも1種、2)熱反射性材料層ならびに3)透明性材料層により順に構成されており、当該透明性材料層上に発泡性耐火塗膜を有する前記1.記載の耐火建材。
20. 木質層が、難燃処理された木質層であることを特徴とする前記2.、3.、4.、5.、6.、9.、11.、12.、14.、15.、18.、19.のいずれかに記載の耐火建材。
21. 発泡性耐火塗膜が、結合剤、リン化合物、発泡剤及び炭化剤を含む発泡性耐火塗料により形成されている前記1.〜20.のいずれかに記載の耐火建材。
22. 発泡性耐火塗膜が、結合剤、リン化合物、発泡剤、炭化剤ならびに屈折率1.4〜1.8及び平均粒子径0.01〜50μmである発泡層安定剤を含む発泡性耐火塗料により形成されている前記1.〜20.のいずれかに記載の耐火建材。
23. 発泡性耐火塗膜が、(a)トリアジンポリオール、(b)リン化合物、(c)炭化剤及び(d)屈折率1.4〜1.8及び平均粒子径0.01〜50μmである発泡層安定剤を含む発泡性耐火塗料により形成されている前記1.〜20.のいずれかに記載の耐火建材。
24. 発泡性耐火塗料が、トリアジンポリオールの水酸基と反応可能な官能基を含有する化合物を含む前記23.記載の耐火建材。
25. 当該化合物が、イソシアネート基を有する化合物である前記24.記載の耐火建材。
26. 発泡性耐火塗料が、メラミン樹脂を含む前記21.〜25.記載の耐火建材。
27. (a)トリアジンポリオールが、トリアジン含有量1〜50重量%である前記23.〜26.のいずれかに記載の耐火建材。
28. 発泡性耐火塗料が、ホルムアルデヒド捕捉剤を含む前記21.〜27.記載の耐火建材。
29. 発泡層安定剤の一部又は全部がSiOである化合物である前記22.〜28.のいずれかに記載の耐火建材。
30. 前記1.〜29.のいずれかに記載の耐火建材を用いて耐火構造を構成する施工方法。
31. 前記1.〜29.のいずれかに記載の耐火建材を躯体に積層することを特徴とする耐火建材の施工方法。
32. 躯体が、木質材、有機系断熱材及び無機質材の少なくとも1種であることを特徴とする前記31.に記載の耐火建材の施工方法。
33. 前記1.〜32.のいずれかに記載の耐火建材を用いて得られる耐火構造。
本発明の耐火建材は、発泡性耐火塗膜があるにもかかわらず、基材が透けて見えるので、基材の素材感や意匠性を生かすことができる。また、上記塗膜は、火災時には十分な強度を有し、基材の温度上昇を抑制する発泡層を形成することができ、優れた耐火性を得ることができる。
特に、特定量のトリアジン含有量を有するトリアジンポリオールを用いる場合には、メラミン樹脂を含有する場合と同程度又はそれ以上の優れた耐火性を発揮することもできる。
以下、本発明をその実施の形態に基づき詳細に説明する。
1.耐火建材
(1)基材を構成する各層
基材を構成する層としては、木質層、有機系断熱層、無機質層等を単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。また、同じ層を2つ以上重ね合わせても良い。これら各層の厚みは、一般的には0.01〜500mmの範囲において、各層に要求される特性等に応じて適宜決定することができる。
各層の形成方法は、公知の方法に従えば良い。例えば、層形成に塗料を用いる場合は、刷毛、スプレー、ローラー等の塗布方法に従って実施すれば良い。また、層形成に可撓性シート状物、板状物等の固体を用いる場合は、接着剤、固定部材(釘、ネジ等)、熱圧着等によって実施すれば良い。
木質層
木質層としては、一般的な建材に使用されているものを使用できる。例えば、松、ブナ、ヒノキ、すぎ、なら、チーク、ラワン等の造作材、集成材・積層材、普通合板、木質繊維板・パーティクルボード等が挙げられる。木質層の厚みとしては、使用用途によって適宜決定することができるが、一般的には0.5〜500mmとすることが望ましい。
さらに、これらの材料は、難燃処理したものが望ましい。難燃処理する方法としては、特に限定されず、難燃処理剤を塗付する方法、難燃処理剤を減圧加圧法、拡散法等により付与する方法等が挙げられる。
難燃処理剤としては、例えば珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アンモニウム等の珪酸塩化合物又は水ガラス;
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物;
トリクレジルホスフェート、ジフェニルクレジルフォスフェート、ジフェニルオクチルフォスフェート、トリ(β−クロロエチル)フォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリ(ジクロロプロピル)フォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリ(ジブロモプロピル)フォスフェート、クロロフォスフォネート、ブロモフォスフォネート、ジエチル−N, N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルフォスフェート、ジ(ポリオキシエチレン)ヒドロキシメチルフォスフォネート等の有機リン系化合物;
塩素化ポリフェニル、塩素化ポリエチレン、塩化ジフェニル、塩化トリフェニル、五塩化脂肪酸エステル、パークロロペンタシクロデカン、塩素化ナフタレン、テトラクロル無水フタル酸等の塩素化合物;
テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルオキサイド、ヘキサブロモシクロドデカン、トリブロモフェノール、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスペンタブロモジフェニル等の臭素化合物;
三酸化アンチモン、五塩化アンチモン等のアンチモン化合物; 三塩化リン、五塩化リン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン化合物;
ホウ酸亜鉛、ホウ酸ナトリウム、水酸化アルミニウム等の無機質化合物等が挙げられる。上記難燃処理剤は、1種又は2種以上を混合して使用できる。
有機系断熱層
有機系断熱層としては、公知又は市販の多孔質有機材料(建材)から適宜選ぶことができる。例えば、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム等の発泡有機材料を好適に使用することができる。有機系断熱層の厚みとしては、使用用途によって適宜決定することができるが、一般的には10〜200mmとすることが望ましい。
無機質層
無機質層としては、建材として使用されている一般的な材料を使用できる。例えば、銅、アルミニウム、鉄、鋼、真鍮、亜鉛、マグネシウム、ニッケル等の金属材料又は合金材料;コンクリート、モルタル、セメントモルタル、磁器類、繊維混入セメント、珪酸カルシウム、セメント含有珪酸カルシウム、スラグセメント入りパーライト、石綿セメント、石綿スレート、スレート、軽量気泡コンクリート(ALC)、サイディングボード、石膏、GRC等の無機質材料等が挙げられる。これらは板状物、金網等の形態で使用できる。その他にも、グラスウール、ロックウール等の無機系断熱材のほか、水硬性無機物質を含有する非発泡性耐火被覆材等を用いることもできる。無機質層の厚みとしては、使用用途によって適宜決定することができるが、一般的には0.5〜200mmとすることが望ましい。
模様層
模様層としては、公知の建材で模様層、柄層等として使用されている材料を適宜用いることができる。例えば、コンクリート調、木質調、石材調、砂岩調、天然石調、陶磁器タイル調、レンガ調、メタリック調、多彩模様調、ゆず肌調、ウェーブ調のほか、各種の模様が挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて使用される。これらの模様層は、例えば印刷、意匠性塗料による塗装、エンボス加工、意匠性シート又は壁紙の貼着等によって形成することができる。また、着色ガラス板、着色プラスチック板、着色樹脂フィルム等も使用することができる。(但し、木質層以外のもの)
模様層の厚みとしては、使用用途によって適宜決定することができるが、一般的には0.01〜10mmとすることが望ましい。
透明性材料層
透明性材料層としては、例えばガラス板、プラスチック板、樹脂フィルム等の中から適宜選択することができる。特に、光透過率が50%以上、さらには70%以上の材料を好ましく用いることができる。この限りにおいては、透明、半透明、着色透明、着色半透明等のいずれの材料であっても良い。透明性材料層の厚みとしては、使用用途によって適宜決定することができるが、一般的には0.01〜10mmとすることが望ましい。
なお、光透過率は、JIS K 7105−1981 5.5「光線透過率及び全光線反射率」に規定する測定法Aに準拠し、積分球式光線透過率測定装置(例えば、株式会社島津製作所社製)を用いて測定した全光線透過率の値である。
熱反射性材料層
熱反射性材料層(以下「反射層」と略記する。)は、熱反射機能を有するものであれば限定されない。例えば、銅、アルミニウム、鉄、真鍮、亜鉛、マグネシウム、ニッケル等の金属板(鋼板)又は金属箔、あるいはそれらの金属フレークを含有した塗膜等の中から適宜選択することができる。特に、赤外線反射率が20%以上、さらには50%以上の材料であることが望ましい。熱反射性材料層の厚みとしては、使用用途によって適宜決定することができるが、一般的には0.01〜5mmとすることが望ましい。
なお、赤外線反射率は、JIS A 5759−1998「建築窓ガラス用フィルム」、6.3.5遮へい係数試験 b)日射反射率、に準じて測定した値であり、分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−3100)を用いて、波長1200〜2100nmにおける日射反射率で示す。
さらに、反射層は、光反射機能を有するものであることが望ましい。特に、光反射率が20%以上、さらには50%以上の材料であることが望ましい。なお、光反射率は、JIS A 5759−1998「建築窓ガラス用フィルム」、6.3.5遮へい係数試験 b)日射反射率、に準じて測定した値であり、分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−3100)を用いて、波長350〜780nmにおける日射反射率で示す。
(2)発泡性耐火塗膜及びその形成
(2−1)発泡性耐火塗膜
発泡性耐火塗膜は、特に限定されず、公知の発泡性耐火塗料、発泡性耐火シート等により形成することができる。
本発明発泡性耐火塗膜は、特に、発泡倍率が5倍以上、さらには発泡倍率が10倍以上、さらには20倍以上であることが望ましい。
本発明では、結合剤、リン化合物、発泡剤及び炭化剤を含む塗料が好ましく、さらには、結合剤、リン化合物、発泡剤及び炭化剤ならびに屈折率1.4〜1.8及び平均粒子径0.01〜50μmである発泡層安定剤を含む塗料であることが好ましい。
特に、本発明では、(a)トリアジンポリオール、(b)リン化合物、(c)炭化剤及び(d)屈折率1.4〜1.8及び平均粒子径0.01〜50μmである発泡層安定剤を含む塗料であって、かつ、当該塗料によって形成された塗膜が隠ぺい率10%以下である、ことを特徴とする発泡性耐火塗料(以下「本発明塗料」ともいう。)によって形成された塗膜が好ましい。
本発明塗料では、主としてトリアジンポリオールを結合剤とするものである。トリアジンポリオールを用いることによって、透明性に優れた強固な塗膜を得ることができる。さらに、トリアジンポリオールは優れた発泡作用も有していることから、火災時において安定した発泡層を得ることができる。
トリアジンポリオールはトリアジン骨格(N)を有するポリオールであれば特に限定的でない。例えば、トリアジンポリエステルポリオール、トリアジンアルキルポリオール、トリアジンアクリルポリオール、トリアジンポリエーテルポリオール及びトリアジンエポキシポリオールの少なくとも1種を好適に用いることができる。これらの中でも、トリアジンポリエステルポリオールが好ましい。このようなトリアジンポリエステルポリオールとしては、例えばトリアジン化合物とポリエステルポリオールとを反応させて得られたものを好適に用いることができる。
トリアジンポリオールのトリアジン含有量は、特に限定されないが、1〜50重量%とすることが好ましく、より好ましくは5〜30重量%、最も好ましくは8〜20重量%である。トリアジン含有量を上記範囲内に設定することによって、より優れた発泡性とともに良好な造膜性を得ることができる。
なお、本発明において、トリアジン含有量とは、トリアジンポリオール中に含まれるトリアジン骨格(N)の含有量(重量%)を示す。
トリアジンポリオールは、より強固で透明性に優れた塗膜が得られるという点では、水酸基価(ヒドロキシル価)が10〜200KOHmg/g(特に15〜100KOHmg/g)のものを使用することが好ましい。
本発明塗料では、さらにトリアジンポリオールの水酸基(−OH基)と反応可能な官能基を含有する化合物を含むことが望ましい。このような化合物はポリオールと架橋反応することによって、より強固な塗膜を形成することができる。
トリアジンポリオールの水酸基と反応可能な官能基は限定的でなく、例えばイソシアネート基、カルボキシル基、イミド基、アルデヒド基等が挙げられる。本発明では、特にイソシアネート基であることが好ましい。
また、上記のような官能基は、化合物の分子中に2つ以上有していることが好ましい。また、官能基を2つ以上有する場合には、それらが互いに同じ官能基であっても良いし、互いに異なっていても良い。
上記イソシアネート基を有する化合物としては、ジイソシアネート類を好適に用いることができる。例えば(A)1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,3−ペンタメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネ−ト、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;
(B)1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;
(C)m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、4,4´−ジフェニルジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルエ−テルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、2,2´−ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネート、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシネート、4,4´−ジフェニルプロパンジイソシアネート、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;
(D)1,3−キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト(XDI)、ω,ω´−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン等の芳香脂肪族ジイソシアネート;
(E)上記(A)〜(D)の化合物をアロハネート化、ビウレット化、2量化(ウレチジオン)、3量化(イソシアヌレート)、アダクト化、カルボジイミド反応等によって生成した誘導体;
(F)上記(A)〜(E)の化合物と、その化合物と共重合可能な単量体との共重合体であって、ポリオールとの架橋反応が可能なもの;
ここで、上記の共重合可能な単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、イソクロトン酸、サリチル酸、けい皮酸等のカルボキシル基含有単量体;
(メタ)アクリル酸アミノメチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸アミノブチル、ブチルビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、p−アミノスチレン、(メタ)アクリル酸−N−メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N−t−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノプロピル、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピペリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピロリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕モルホリン、4−〔N,N−ジメチルアミノ〕スチレン、4−〔N,N−ジエチルアミノ〕スチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のアミノ基含有単量体;
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有単量体;
(メタ)アクリル酸グリシジル、ジグリシジルフマレート、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、3,4−エポキシビニルシクロヘキサン、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−ε−カプロラクトン変性グリシジル、(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル等のエポキシ基含有単量体;
(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクロイルピロリジン、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、N、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタクリレート)、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、ビニルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等のアミド基含有単量体;
ジアセトン(メタ)アクリレート、ジアセトンアクリルアミド、アクロレイン、ビニルメチルケトン、アセトニルアクリレート、ジアセトンメタクリルアミド、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、アクリルオキシアルキルプロパナール類、メタクリルオキシアルキルプロパナール類、2ーヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、及びブタンジオールアクリレートアセチルアセテート等のカルボニル基含有単量体;
アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシアリルエステル等のアセトアセトキシル基含有単量体;
(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル等のアルコキシシリル基含有単量体;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基含有単量体;
アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル基含有単量体;
N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド等のメチロール基含有単量体;
プロピレン−1,3−ジヒドラジン及びブチレン−1,4−ジヒドラジン等のヒドラジノ基含有単量体;
ビニルオキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−プロペニル2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有単量体;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸n一アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸オキチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ドデセニル、(メタ)アクリル酸オタタデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−4−tert−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−フェニルエチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−4−メトキシブチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;
フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系単量体;
スチレン、2−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル系単量体;
エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン、シリコーンマクロマー等のその他の単量体;
等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いることができる。
(G)上記(A)〜(F)の混合物;
等が挙げられる。
イソシアネート基を含有する化合物は、1種又は2種以上で用いることができる。本発明では、これらのイソシアネート基を含有する化合物の中でも、(C)芳香族ジイソシアネート及び(D)芳香脂肪族ジイソシアネートの少なくとも1種が望ましく、さらには2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)及び2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)の少なくとも1種がより望ましい。
上記カルボキシル基を含有する化合物としては、例えば(1)カルボキシル基含有単量体又は多価カルボン酸、(2)これらカルボキシル基含有単量体又は多価カルボン酸を単独重合又は共重合させた重合体、(3)これらカルボキシル基含有単量体又は多価カルボン酸と、これらと共重合可能な他の単量体とを共重合させた共重合体等が挙げられる。
上記カルボキシル基含有単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、イソクロトン酸、サリチル酸、けい皮酸等が挙げられる。
上記多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
上記の共重合可能な単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸アミノメチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸アミノブチル、ブチルビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、p−アミノスチレン、(メタ)アクリル酸−N−メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N−t−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノプロピル、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピペリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピロリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕モルホリン、4−〔N,N−ジメチルアミノ〕スチレン、4−〔N,N−ジエチルアミノ〕スチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のアミノ基含有単量体;
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有単量体;
(メタ)アクリル酸グリシジル、ジグリシジルフマレート、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、3,4−エポキシビニルシクロヘキサン、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−ε−カプロラクトン変性グリシジル、(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル等のエポキシ基含有単量体;
(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクロイルピロリジン、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、N、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタクリレート)、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、ビニルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等のアミド基含有単量体;
ジアセトン(メタ)アクリレート、ジアセトンアクリルアミド、アクロレイン、ビニルメチルケトン、アセトニルアクリレート、ジアセトンメタクリルアミド、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、アクリルオキシアルキルプロパナール類、メタクリルオキシアルキルプロパナール類、2ーヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、及びブタンジオールアクリレートアセチルアセテート等のカルボニル基含有単量体;
アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシアリルエステル等のアセトアセトキシル基含有単量体;
(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル等のアルコキシシリル基含有単量体;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基含有単量体;
アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル基含有単量体;
N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド等のメチロール基含有単量体;
プロピレン−1,3−ジヒドラジン及びブチレン−1,4−ジヒドラジン等のヒドラジノ基含有単量体;
ビニルオキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−プロペニル2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有単量体;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸n一アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸オキチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ドデセニル、(メタ)アクリル酸オタタデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−4−tert−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−フェニルエチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−4−メトキシブチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;
フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系単量体;
スチレン、2−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル系単量体;
エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン、シリコーンマクロマー等のその他の単量体;
等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で用いることができる。
トリアジンポリオールとトリアジンポリオールの水酸基と反応可能な官能基を含有する化合物の混合比率は、特に限定されないが、(水酸基)/(水酸基と反応可能な官能基)の比率が、0.1〜10程度であることが好ましい。
例えば、トリアジンポリオールの水酸基と反応可能な官能基を含有する化合物がイソシアネート基を含有する化合物である場合、トリアジンポリオールとイソシアネート基を含有する化合物の混合比率は、OH/NCO比率で通常、0.1〜10、好ましくは0.2〜5、さらに好ましくは0.3〜2となる範囲内で設定すれば良い。上記範囲に設定することによって、適切な架橋密度が得られ、硬化性、耐久性、強度等において優れた物性を得ることができる。
また、本発明では、反応促進剤を用いて硬化反応を迅速に進めることもできる。例えば、トリアジンポリオールとイソシアネート基を含有する化合物の反応では、反応促進剤として、例えば(i)トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン、ジメチルアミノエタノール、ダイマージアミン、ダイマー酸ポリアミドアミン等のアミン類;(ii)ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、錫オクテート等の錫カルボン酸塩類;(iii)ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸マンガン、オクチル酸亜鉛等の金属カルボン酸塩類;(iv)ジブチルチンチオカルボキシレート、ジオクチルチンチオカルボキシレート、トリブチルメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等のカルボキシレート類;(v)アルミニウムトリスアセチルアセテート等のアルミニウム化合物等を好ましく使用することができる。これらは、1種又は2種以上を用いることができる。
反応促進剤は、トリアジンポリオールの固形分100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の比率で混合する。上記範囲に設定することによって、反応促進効果が得られるとともに、所定の耐候性、耐変色性等を確保することができる。
本発明塗料では、さらにメラミン樹脂を含んでいても良い。メラミン樹脂を含む場合には、透明性に優れた強固な塗膜を得ることができるとともに、火災時において安定した発泡層が得られる。
メラミン樹脂は特に限定されないが、例えばメチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、イソブチル化メラミン樹脂、シアヌル酸メラミン樹脂等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。これらの中でも、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、イソブチル化メラミン樹脂が好ましい。
メラミン樹脂の使用量は、用いるメラミン樹脂、トリアジンポリオールの種類等に応じて適宜設定できるが、一般的には固形分重量比でトリアジンポリオール:メラミン樹脂=1:0.1〜10(好ましくは1:0.2〜5)となるように設定すれば良い。上記範囲内に設定することによって、より良好な発泡状態が得られ、優れた耐火性を発揮することができる。
また、メラミン樹脂とトリアジンポリオールとを効果的に反応させて良好な透明性塗膜を形成させるために、必要に応じて触媒を含有させることもできる。触媒としては、例えばリン酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸、硝酸、硫酸、塩化アンモニウム等の酸性触媒を好適に用いることができる。これらは、1種又は2種以上で用いることができる。触媒の使用量は、前記のトリアジンポリオール及びメラミン樹脂の合計量(固形分)100重量部に対して、通常0.1〜5重量部とすれば良い。
また、本発明塗料では、本発明の効果を妨げない範囲内で、公知の発泡性耐火塗料で結合剤として含まれているものを使用することもできる。例えば、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、プロピレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、イソブチレンゴム等の有機質結合剤が挙げられる。これらは1種又は2種以上で使用することができる。また、所定の透明性が失われない範囲内であれば、必要に応じてセメント、石膏、水ガラス、シリコーン樹脂等の無機質結合剤を併用することも可能である。
また、本発明塗料では、さらにホルムアルデヒド捕捉剤を含んでいても良い。ホルムアルデヒド捕捉剤を含む場合、基材等に含まれるホルムアルデヒドの放散を抑制ないしは防止することができる。このため、本発明の建材を内装用として適用する場合に好ましい。基材として木質層(例えば普通合板、パーティクルボード等)を使用する場合は、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、ユリア樹脂等から構成される接着剤等を用いて製造されるため、ホルムアルデヒドの放散がみられることがある。このような基材に対し、ホルムアルデヒド捕捉剤を含む発泡性耐火塗料が特に有効である。
このようなホルムアルデヒド捕捉剤としては、例えばアミン、イミン、アミド、イミド、アミジン、ジアミン、カルバミド、ヒドラジド、ジヒドラジド等の含窒素有機化合物、多孔質物質等のほか、多孔質物質を含窒素有機化合物で処理したもの等が挙げられる。
含窒素有機化合物としては、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族アミン;
アニリン、メチルアニリン、ジメチルアニリン、エチルアニリン、ジエチルアニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、トリベンジルアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン等の芳香族アミン;
シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂環式アミン;
ヘキサメチレンテトラミングリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、トリメチルアミノエチルアルキルアミド、アルキルピリジニウム硫酸塩、アルキルトリメチルアンモニウムハロゲン化物、アルキルベタイン、アルキルジエチレントリアミノ酢酸等のアミノ酸及びアミノ酸類;
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルトリメチル−シリルアミン等のアミノ基を有するケイ素化合物;
また、4−アミノ−3−ヒドラジノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、アゾベンゼン−p−フェニルヒドラジンスルホン酸、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,2’−ジチオビス(1−アミノナフタリン)、1,2−ジアミノナフタリン、1,2−ジメトキシ−4,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジニトロフェニルヒドラジン、硫酸ヒドロキシルアミン、塩酸ヒドロキシルアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ジシアンジアミド、尿素、エチレン尿素、4,5−ジメトキシエチレン尿素、プロピレン尿素、5−メチルプロピレン尿素、5−ヒドロキシプロピレン尿素、5−メトキシプロピレン尿素、オキサリル尿素(パラバン酸)、ヒドラゾベンゾチアゾール、セミカルバジド、チオセミカルバジド、ヒドラジン、メチルヒドラジン、N,N−ジメチルヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジド等が挙げられる。これらの含窒素有機化合物は、一般に、ホルムアルデヒドと反応することにより捕捉作用を発現する。
多孔質物質としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ストロンチウム、バリウム、コバルト、ニッケル、銅、ビスマス、ジルコニウム、マンガン、鉄等の金属のうち1種又は2種以上から構成される多孔質物質、あるいはこれら金属の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、水酸化物、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、酢酸塩等の無機多孔質物質;
アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂等の有機多孔質物質;
ゼオライト、合成ゼオライト、ベントナイト、ラジオライト、ベンナイト、セピオライト、スメクタイト、イモゴライト、パルゴスカイト、ハロイサイト、バーミキュライト、カオリナイト、バイデライト、スチブンサイト等の粘土鉱物;
シリカ、アロフェン、雲母、膨潤性フッ素雲母、膨潤性合成マイカ、タルク、珪藻土、木炭、活性炭等が挙げられる。
これらの多孔質物質は、ホルムアルデヒドを吸着することにより、捕捉作用を発現する。
多孔質物質の比表面積(BET法)は限定的ではないが、通常10m/g以上の比表面積を有するものが好ましい。
本発明では、特に、含窒素有機化合物のほか、無機多孔質物質又は粘土鉱物に含窒素有機化合物を付与したものが好適に用いられる。
また、含窒素有機化合物の中でも、テトラエチレンペンタミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族アミン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するケイ素化合物、4−アミノ−3−ヒドラジノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2,4−ジニトロフェニルヒドラジン、尿素、エチレン尿素、ヒドラゾベンゾチアゾール、セミカルバジド、チオセミカルバジド、ヒドラジン、メチルヒドラジン、N,N−ジメチルヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジド等の少なくとも1種が好ましい。
ホルムアルデヒド捕捉剤の含有量は限定的ではないが、前記のトリアジンポリオール(及びポリオールと反応可能な官能基を含有する化合物及び/又はメラミン樹脂の合計量)(固形分)100重量部(ポリオールと反応可能な官能基を含有する化合物及び/又はメラミン樹脂を含む場合は、トリアジンポリオールにこれらを含めた合計量を100重量部とする。以下同じ。)に対して、通常0.1〜70重量部、好ましくは0.5〜30重量部である。ホルムアルデヒド捕捉剤が70重量部より多い場合は、隠ぺい性が高くなる場合があり、耐火性能に劣る場合もある。ホルムアルデヒド捕捉剤が0.1重量部より少ない場合は、ホルムアルデヒド捕捉効果が得られない場合がある。
リン化合物は、火災時に脱水冷却効果、不燃性ガス発生効果、結合剤炭化促進効果等の少なくとも1つの効果を発揮し、結合剤の燃焼を抑制する作用を発揮することができる。このようなリン化合物としては、例えばトリクレジルホスフェート、ジフェニルクレジルフォスフェート、ジフェニルオクチルフォスフェート、トリ(β−クロロエチル)フォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリ(ジクロロプロピル)フォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリ(ジブロモプロピル)フォスフェート、クロロフォスフォネート、ブロモフォスフォネート、ジエチル−N, N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルフォスフェート、ジ(ポリオキシエチレン)ヒドロキシメチルフォスフォネート、三塩化リン、五塩化リン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン化合物等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。本発明では、特にポリリン酸アンモニウムが好ましい。ポリリン酸アンモニウムを使用する場合には、脱水冷却効果と不燃性ガス発生効果とをより効果的に発揮することができる。
リン化合物の含有量は限定的ではないが、前記のトリアジンポリオール(及びポリオールと反応可能な官能基を含有する化合物及び/又はメラミン樹脂の合計量)(固形分)100重量部(ポリオールと反応可能な官能基を含有する化合物及び/又はメラミン樹脂を含む場合は、トリアジンポリオールにこれらを含めた合計量を100重量部とする。以下同じ。)に対して、通常20〜200重量部、好ましくは50〜100重量部である。
炭化剤は、一般に、火災による結合剤の炭化とともにそれ自体も脱水炭化していくことにより、断熱性により優れた厚みのある発泡層を形成する作用を有する。炭化剤としては、このような作用を有する限り特に制限されず、公知の発泡性耐火材料における炭化剤と同様のものが使用できる。例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールの他、デンプン、カゼイン等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。本発明では、特にジペンタエリスリトールが脱水冷却効果と発泡層形成作用に優れている点で好ましい。
炭化剤の含有量は特に制限されないが、前記のトリアジンポリオール(固形分)100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部である。
本発明の発泡層安定剤としては、その屈折率(光の波長:589nm、測定温度:20℃)が1.4〜1.8(特に1.45〜1.65)であるものを使用する。屈折率が上記範囲内であれば、優れた耐火断熱性能を発揮するとともに、良好な透明性を有する塗膜を形成することが可能となる。なお、ここに言う屈折率とは、アッベ屈折計を用いて測定される値である。
このような屈折率を有する材料としては、例えば、タルク、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、粘土、クレー、シラス、マイカ、珪砂、珪石粉、石英粉、アルミナ、ホウ酸亜鉛、硫酸バリウム等が挙げられ、好ましくは4価の元素(特にSi)を含む材料が挙げられる。最も好ましい発泡層安定剤はSiOを含む材料(特に、SiO含有粉末)である。このような材料(又はその供給源)としては、例えば珪砂、珪石、石英等を用いることができる。
また、発泡層安定剤は、好ましくは粉末状のものを使用する。特に、発泡層安定剤の平均粒子径は、0.01〜50μm(好ましくは0.1〜10μm)である。このような平均粒子径をもつ粉末を発泡層安定剤として使用することにより、形成される塗膜の鮮映性をより高めることができる。
このような発泡層安定剤の使用によって、通常時には基材の素材感や意匠性を生かすことが可能な透明性を有する塗膜が効果的に得られ、かつ、火災時には十分な強度を有し、基材の温度上昇を効果的に抑制できる発泡層が効果的に得られる。
発泡層安定剤の含有量は、前記のトリアジンポリオール(固形分)100重量部に対して、通常5〜150重量部、好ましくは10〜80重量部である。発泡層安定剤が5重量部より少ない場合は、発泡層の強度が不足し、発泡層が消失又は崩壊してしまうおそれがある。発泡層安定剤が150重量部より多い場合は、塗膜の透明性が低下し、あるいは発泡倍率が低下するおそれがある。
本発明塗料による塗膜は、加熱時(例えばISO834の標準加熱曲線に準じて加熱したとき)におけるリン化合物との反応によって、発泡層(好ましくは結晶構造を有する発泡層)を形成するものである。このような発泡層は、十分な強度を有しており、長時間の加熱によってもその形状を保持することができるため、優れた耐火断熱性を発揮することができる。発泡層が結晶構造を有する場合、その結晶構造はMPO及び/又はM(PO(ただし、Mは3価の元素)あるいはMP(ただし、Mは4価の元素)で表される。特に、優れた耐火断熱性を発揮できるという点で、本発明の発泡層は、上記MPで表される結晶構造を有することが好ましい。
本発明の発泡性耐火塗料には、本発明の効果を阻害しない範囲内において、必要に応じて、繊維、可塑剤、分散剤等を配合することもできる。
本発明の発泡性耐火塗料は、その塗料により形成された塗膜が、隠ぺい率10%以下、好ましくは9%以下、より好ましくは7%以下である。このような塗膜が形成可能であれば、基材の素材感や意匠性を十分に生かすことができる。
なお、本発明における隠ぺい率は、JIS 5600−4−1:1999「隠ぺい力」に準じて、隠ぺい率試験紙を用い、乾燥厚み80μmの塗膜(乾燥塗膜)について測定した値である。
(2−2)発泡性耐火塗膜の形成
上記発泡性耐火塗膜を形成するために用いられる発泡性耐火塗料は、上記のような各成分を均一に混合すれば得ることができる。各成分の混合順序等は特に制限されないが、予め混合しておいても良いし、塗装直前に混合しても良い。上記混合に際しては、ミキサー、ニーダー等の公知の装置を使用すれば良い。
発泡性耐火塗膜の形成方法は限定的でない。例えばスプレー、ローラー、刷毛等の塗装器具を使用して、一回ないし数回塗り重ねて塗装すれば良い。最終的に形成される発泡性耐火層の厚みは、所望の耐火性能、適用部位等により適宜設定すれば良いが、通常は0.2〜5mm程度である。
本発明では、発泡性耐火層を保護するために、必要に応じてさらに透明上塗層を積層することもできる。このような透明上塗層は、公知のクリヤー塗料を塗付することによって形成することができる。クリヤー塗料としては、例えばアクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリルシリコン樹脂系、フッ素樹脂系等の塗料を用いることができ、例えば、これらクリヤー塗料中にホルムアルデヒド捕捉剤を含有することにより、ホルムアルデヒド捕捉効果を発現することもできる。クリヤー塗料の塗装は、公知の塗装方法によれば良く、スプレー、ローラー、刷毛等の塗装器具を使用することができる。
(3)本発明の耐火建材の層構成
以下、本発明の耐火建材は、前記の各層からなる基材上に発泡性耐火塗膜を形成したものである。基材は、単層タイプのほか、2層、3層、4層等に積層した複層タイプのいずれであっても良い。以下、その好ましい層構成を実施の形態として示す。
実施の形態1
本形態の層構成(断面図)を図1(a)(b)に示す。図1(a)は、木質層からなる基材上に発泡性耐火塗膜が形成された耐火建材である。図1(b)は、第一基材上に木質層が形成され、その木質層上に発泡性耐火塗膜が形成された耐火建材である。上記第一基材は、木質層又はそれ以外の有機系断熱層または無機質層であっても良い。例えば、有機系断熱層及び無機質層の少なくとも1種を好適に採用することができる。これらの基材では、発泡性耐火塗膜の下層が木質層であるので、上から建材を見ると木質層が透けて見え、良好な意匠性が得られる。
実施の形態2
本形態の層構成(断面図)を図2に示す。これは、第一基材上に第二基材が積層され、第二基材上に木質層が形成され、木質層上に発泡性耐火塗膜が形成されてなる耐火建材である。この場合も、発泡性耐火塗膜の下層が木質層であるので、上から建材を見ると木質層が透けて見え、その意匠性が発現される。従って、上記第一基材及び第二基材は、木質層又はそれ以外の層であっても良い。
例えば、基材が、少なくとも1)第一木質層、2)無機質層、有機系断熱層及び非発泡性耐火被覆材層の少なくとも1種ならびに3)第二木質層により順に構成されており、当該第二木質層上に発泡性耐火塗膜を有する耐火建材が好ましい態様である。あるいは、基材が、少なくとも1)有機系断熱層、2)無機質層及び非発泡性耐火被覆材層の少なくとも1種ならびに3)木質層により順に構成されており、当該木質層上に発泡性耐火塗膜を有する耐火建材も好適に採用することができる。
特に、上記2)として、鋼板、非発泡型耐火被覆材等の難燃性層を採用することによって、より優れた耐火性を得ることができる。
実施の形態3
本形態の層構成(断面図)を図3(a)(b)に示す。図3(a)は、模様層からなる基材上に発泡性耐火塗膜が形成された耐火建材である。図3(b)は、支持層上に模様層が形成され、模様層上に発泡性耐火塗膜が形成された耐火建材である。すなわち、基材が、少なくとも1)支持層及び2)模様層により順に構成されており、当該模様層上に発泡性耐火塗膜を有する耐火建材である。これらの基材では、発泡性耐火塗膜の下層が模様層であるので、上から建材を見ると模様層が透けて見え、良好な意匠性が得られる。従って、上記支持層(第一基材層)は、木質層又はそれ以外の層であっても良い。特に、上記支持層が、有機系断熱層、無機質層及び木質層の少なくとも1種からなることが好ましい。
実施の形態4
本形態の層構成(断面図)を図4に示す。これは、第一基材上に第二基材が積層され、第二基材上に模様層が形成され、模様層上に発泡性耐火塗膜が形成されてなる耐火建材である。この場合も、発泡性耐火塗膜の下層が模様層であるため、上から建材を眺めると木質層が透けて見え、その意匠が確認できる。従って、上記第一基材及び第二基材は特に限定されないが、特に有機系断熱層、無機質層及び木質層の少なくとも1種からなることが好ましい。
実施の形態5
本形態の層構成(断面図)を図5(a)(b)に示す。図5(a)は、第一基材上に発泡性耐火塗膜が形成された耐火建材である。図5(b)は、第一基材上に第二基材が積層され、第二基材上に発泡性耐火塗膜が形成された耐火建材である。これらの態様における基材としては、有機系断熱層及び無機質層の少なくとも1種を好適に採用できる。図5(b)の場合の態様としては、基材が、少なくとも1)有機系断熱層及び木質層の少なくとも1種ならびに2)無機質層により順に構成されており、当該無機質層上に発泡性耐火塗膜を有する耐火建材がある。
あるいは、基材が、少なくとも1)木質層及び無機質層の少なくとも1種ならびに2)有機系断熱層により順に構成されており、当該有機系断熱層上に発泡性耐火塗膜を有する耐火建材がある。これらの基材では、発泡性耐火塗膜の下層が着色層(着色基材層)である場合等には、その色が外観として確認することができ、その色彩による意匠性が得られる。
実施の形態6
本形態の層構成(断面図)を図6(a)(b)に示す。図6(a)は、透明性材料層からなる基材上に発泡性耐火塗膜が形成された耐火建材である。図6(b)は、第一基材上に透明性材料層が形成され、透明性材料層上に発泡性耐火塗膜が形成された耐火建材である。例えば、基材が、少なくとも1)木質層、有機系断熱層及び無機質層の少なくとも1種ならびに2)透明性材料層により順に構成されており、当該透明性材料層上に発泡性耐火塗膜を有する耐火建材が好ましい態様である。また例えば、基材が、少なくとも1)木質層、有機系断熱層及び無機質層の少なくとも1種、2)模様層ならびに3)透明性材料層により順に構成されており、当該透明性材料層上に発泡性耐火塗膜を有する耐火建材が好ましい別の態様である。図6(a)の建材では、発泡性耐火塗膜の下層が透明性材料層であるので、2つの透明性のある材料の積層による特異な意匠性が得られる。また、図6(b)のように、さらに透明性材料層の下に不透明な材料を積層することによって、当該材料のもつ意匠性を2つの透明性材料を通して視認することができ、奥行きのある外観が得られる。
実施の形態7
本形態の層構成(断面図)を図7(a)(b)に示す。図7(a)は、反射層からなる基材上に発泡性耐火塗膜が形成された耐火建材である。図7(b)は、反射層上に透明性材料層が形成され、その透明性材料層上に発泡性耐火塗膜が形成された耐火建材である。例えば、基材が、少なくとも1)反射層ならびに2)透明性材料層により順に構成されており、当該透明性材料層上に発泡性耐火塗膜を有する耐火建材が好ましい。また、基材が、少なくとも1)木質層、有機系断熱層及び無機質層の少なくとも1種ならびに2)反射層により順に構成されており、当該反射層上に発泡性耐火塗膜を有する耐火建材も好ましい。さらに、基材が、少なくとも1)木質層、有機系断熱層ならびに3)透明性材料層により順に構成されており、当該透明性材料層上に発泡性耐火塗膜を有する耐火建材も好ましい態様である。これらの基材では、反射層上に直接又は透明性材料層を介して発泡性耐火塗膜が形成されているので、建材に照射される熱を効率的に反射することができる。すなわち、この建材による構造物の内部が熱から効果的に保護される。
2.施工方法
本発明の施工方法は、本発明の耐火建材を用いて耐火構造を構成することに特徴を有する。したがって、本発明の耐火建材を用いるほかは、公知の施工手順等に従って実施すれば良い。例えば、本発明の建材自体で躯体を構築しても良いし、既存の躯体に本発明建材を積層等により組み合わせて使用することもできる。特に、本発明の方法では、予め特定の発泡性耐火塗膜を有する建材を使用できるので、耐火性・意匠性に優れた外観をもつ構造物を効率的につくることができる。
上記躯体の材質は限定的ではないが、木質材、有機系断熱材及び無機質材の少なくとも1種であることが好ましい。
3.耐火構造
本発明では、上記のように、本発明の耐火建材を用いて得られる耐火構造も包含する。耐火構造の種類も限定的でなく、木構造(軸組み構造、パネル構造等)、重量鉄骨構造、軽量鉄骨構造、鉄筋コンクリート構造、補強コンクリートブロック構造等のいずれであっても良い。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にする。ただし、本発明の範囲は、これら実施例の範囲に限定されない。
実施例1〜12及び比較例1
(1)発泡性耐火塗料の調製
表1に示す原料を用い、表2に示すような配合割合で発泡性耐火塗料をそれぞれ調製した。
Figure 0004707404
Figure 0004707404
各実施例及び比較例で得られた各発泡性耐火塗料について、隠ぺい率の測定及び加熱試験を行なった。
(2)隠ぺい率の測定
各発泡性耐火塗料による塗膜の隠ぺい率をJIS 5600−4−1:1999「隠ぺい力」に準じて測定した。具体的には、上記発泡性耐火塗料による塗膜の乾燥厚みが80μmとなるようにフィルムアプリケータで上記発泡性耐火塗料を隠ぺい率試験紙に塗り付け、温度23℃・相対湿度50%の条件下にて48時間乾燥させることによって、試験片を作製した。得られた試験片について、色彩色差計「CR−300」(ミノルタ社製)を用いて黒地上塗膜と白地上塗膜の視感反射率を測定し、これらの結果に基づいて隠ぺい率を算出した。その結果を表2に示す。
(3)耐火建材の作製及び加熱試験
(加熱試験A)
黒皮鋼板に対し、各発泡性耐火塗料を乾燥厚み1mmとなるように刷毛で塗り付け、温度23℃・相対湿度50%下にて48時間乾燥させることにより試験体を作製した。この試験体を用いて加熱試験を実施した。試験方法は、ISO834の標準加熱曲線に準じて一定時間(1時間)加熱し、室温に冷却した後、発泡層の発泡倍率を測定した。評価は下記のとおりとした。その結果を表2に示す。
◎:発泡倍率20倍以上
○:発泡倍率10倍以上
△:発泡倍率10倍未満
×:発泡層消失又は崩壊
また、加熱試験後の発泡層について、X線回折装置(製品名「RINT−1100」,株式会社リガク社製)による測定を行い、そこで得られたX線回折パターンから、その結晶構造を解析した。その結果を表2に示す。
(加熱試験B)
カラマツ集成材に対し、各発泡性耐火塗料を乾燥厚み1mmとなるように刷毛で塗り付け、温度23℃・相対湿度50%下にて48時間乾燥させることにより試験体を作製した。この試験体を用いて加熱試験を実施した。試験方法は、ISO834の標準加熱曲線に準じて一定時間(30分)加熱し、室温に冷却した後、発泡層の発泡倍率を測定した。評価は加熱試験Aと同様で、その結果を表2に示す。
(4)造膜性試験
(造膜性試験A)
黒皮鋼板(150mm×90mm×10mm)に対し、各発泡性耐火塗料を乾燥厚み0.5mmとなるように刷毛で塗り付けた。その後、温度23℃・相対湿度50%下にて放置し、造膜性(塗膜の割れ等)を目視にて評価した。評価は下記のとおりとした。その結果を表2に示す。
◎:塗膜の割れ無し
○:ほとんど塗膜の割れなし
△:2週間以内にクラック発生
×:1週間以内にクラック発生
(造膜性試験B)
黒皮鋼板の代わりに、ヒノキ木材(150mm×90mm×10mm)を用いた以外は、造膜性試験Aと同様の方法で評価した。その結果を表2に示す。
(5)ホルムアルデヒド放散試験
実施例1及び実施例12で得られた発泡性耐火塗料については、次のホルムアルデヒド放散試験を行った。
ラワン材(150mm×150mm×5mm)の裏面、側面をエポキシ塗料で被覆(乾燥厚み1mm)し、該裏面、側面からホルムアルデヒドの放散を防止した基材を作製した。
該基材の表面に対し、発泡性耐火塗料を乾燥厚み1mmとなるようにそれぞれ刷毛で塗り付け、温度23℃・相対湿度50%下にて1週間乾燥させ、試験体を作製した。これらの試験体を用い、JIS K 5667−7−13に準じ、デシケータ法にてホルムアルデヒド放散量をそれぞれ測定した。評価は次のように示す。
◎:0.12mg/L以下
○:0.12mg/L超0.35mg/L未満
△:0.35mg/L以上1.8mg/L未満
×:1.8mg/L以上
その結果、実施例1で得られた発泡性耐火塗料を使用した試験体の放散量は×、実施例12で得られた発泡性耐火塗料を使用した試験体の放散量は◎であった。
本発明の耐火建材の層構成を示す図である。 本発明の耐火建材の層構成を示す図である。 本発明の耐火建材の層構成を示す図である。 本発明の耐火建材の層構成を示す図である。 本発明の耐火建材の層構成を示す図である。 本発明の耐火建材の層構成を示す図である。 本発明の耐火建材の層構成を示す図である。

Claims (12)

  1. 基材上に、トリアジンポリオール、リン化合物、発泡剤及び炭化剤を含む発泡性耐火塗料により形成され、隠ぺい率10%以下の発泡性耐火塗膜を有することを特徴とする耐火建材。
  2. 基材が、木質層、有機系断熱層及び無機質層の少なくとも1種を含む請求項1記載の耐火建材。
  3. 基材が、木質層からなる請求項1記載の耐火建材。
  4. 木質層が、難燃処理された木質層であることを特徴とする請求項2または3に記載の耐火建材。
  5. 発泡性耐火塗膜が、さらに、屈折率1.4〜1.8及び平均粒子径0.01〜50μmである発泡層安定剤を含む発泡性耐火塗料により形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の耐火建材。
  6. 発泡性耐火塗料が、トリアジンポリオールの水酸基と反応可能な官能基を含有する化合物を含む請求項1〜5のいずれかに記載の耐火建材。
  7. リアジンポリオールが、トリアジン含有量1〜50重量%である請求項1〜6のいずれかに記載の耐火建材。
  8. 発泡性耐火塗料が、ホルムアルデヒド捕捉剤を含む請求項1〜7のいずれかに記載の耐火建材。
  9. 発泡層安定剤の一部又は全部がSiOである化合物である請求項のいずれかに記載の耐火建材。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の耐火建材を用いて耐火構造を構成する施工方法。
  11. 請求項1〜のいずれかに記載の耐火建材を躯体に積層することを特徴とする耐火建材の施工方法。
  12. 請求項1〜のいずれかに記載の耐火建材を用いて得られる耐火構造。
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