JP4707145B2 - 吸気加熱装置 - Google Patents
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Description
また、温度の高い空気は燃料の気化を促進するため、エンジンに供給した燃料は効率的に燃焼し、さらなる燃費の向上、および未燃焼の燃料成分(HC)の排出の低減が達成される。特にエンジンを低温下で始動する場合、燃料の気化を促進することにより、燃費が向上し、未燃焼のHCの排出低減に加え、始動時間の短縮および燃料成分の潤滑油への混入が低減される。
そこで、特許文献1に開示されている発明では、吸気通路を二つに分け、エンジンの負荷によって吸気を導入する吸気通路を切り換えている。特許文献1に開示されている発明では、エンジンの負荷が小さなとき、エンジンが搭載された車両のエンジンルーム内から吸気を導入する。これにより、温度の高いエンジンルームの空気がエンジンに導入され、燃料の消費量の低減および排気中の未燃焼のHCの低減が図られる。一方、エンジンの負荷が大きなとき、吸気通路を切り換えて、車両の前方から吸気を導入する。これにより、温度の低い外気がエンジンに導入され、吸気の充填効率が向上し、エンジンの出力の増大が図られる。特許文献1以外にも、例えば特許文献2に開示されている発明のように、ヒータによって吸気を加熱することが考えられている。
また、特許文献2に開示されている発明の場合、ヒータには電気ヒータあるいは燃焼ヒータが用いられる。電気ヒータは車両に搭載されているバッテリからの電力を消費し、燃焼ヒータはエンジンで使用される燃料を消費する。そのため、エネルギーの消費効率が低いという問題がある。さらに、特許文献2に開示されている発明の場合、吸気の加熱、特に低温時の吸気の加熱のためだけにヒータを設ける必要があり、部品点数の増加にともなう重量増加を招くという問題がある。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるエンジンシステムを図1に示す。エンジンシステム10は、車両に搭載され、エンジン本体11、吸気装置20およびエアコンディショナー装置用のヒートポンプ40を備えている。吸気装置20およびヒートポンプ40は、特許請求の範囲の吸気加熱装置を構成している。エンジン本体11は、例えばガソリン、軽油やエタノールまたはこれらの混合物などを燃料とするエンジンである。エンジン本体11は、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンなどいずれであってもよい。エンジン本体11は、単数または複数のシリンダ12を有している。エンジンシステム10は、冷却水が流れる冷却水通路13を備えている。冷却水通路13には、ラジエータ14およびサーモスタット15が設けられている。ラジエータ14には、エンジン本体11の発熱によって加熱された冷却水が供給される。加熱された冷却水は、ラジエータ14で放熱する。サーモスタット15は、エンジン本体11とラジエータ14との間を循環する冷却水の流量を調整する。これにより、冷却水の温度は所定値に維持される。
(冷間始動時)
車両の外気の温度が低い冷間においてエンジン本体11が始動されるとき、エンジン本体11の始動に先立ってヒートポンプ40が始動する。例えば車両のドアロックが解除されたとき、車両のドアが開かれたとき、あるいは車両のキーが差込口に挿入されたときなど、エンジン本体11が始動される前にヒートポンプ40は始動する。ヒートポンプ40のコンプレッサ41は、バッテリ16から供給される電力によって駆動される。そのため、ヒートポンプ40は、エンジン本体11の運転とは独立して、バッテリ16から制御回路部17を経由して電力が供給されると始動する。
エンジン本体11が始動し暖機運転が完了した後、吸気加熱装置は、エンジン本体11の負荷に応じて吸気管部21における吸気の流れを制御する。エンジン本体11の負荷は、例えば図示しないアクセル開度およびエンジンの回転数などから検出される。エンジン本体11が低負荷状態で運転されるとき、制御弁22は、第二通路32を開放し、第一通路31を閉鎖している。そのため、低負荷状態のとき、エンジン本体11には第二通路32を経由して空気が吸入される。暖機運転が完了した後、放熱部50のラジエータ14および凝縮器42は十分に発熱している。そこで、第二通路32を経由して空気を吸入することにより、エンジン本体11には温度が高く密度の低い空気が供給される。その結果、吸入される空気の量が同一であっても、絞り損失が低減し、燃費の向上を図ることができる。
一方、エンジン本体11が高負荷状態で運転されるとき、制御弁22は、第一通路31を開放し、第二通路32を閉鎖する。そのため、エンジン本体11には、第一通路31を経由して空気が供給される。第一通路31は、エンジン本体11とは反対側の端部が開放端部33として大気に開放している。これにより、高負荷状態のとき、エンジン本体11には第一通路31を経由して温度が低く密度の高い空気が供給される。その結果、エンジン本体11のシリンダ12への空気の充填効率は向上する。したがって、エンジン本体11の出力を向上させることができる。
本発明の第2実施形態による吸気加熱装置を図2に示す。
第2実施形態では、ヒートポンプ40は第一蒸発器71および第二蒸発器72を有している。第一蒸発器71は、第1実施形態と同様にエアコンディショナーのエアコンユニット60に設けられている。これにより、第一蒸発器71は、第一冷却部を構成している。一方、第二蒸発器72は、第一蒸発器71とは独立して設けられている。ヒートポンプ40の冷媒が流れるヒートポンプ回路46は、通路切換弁73において第一蒸発器71および第二蒸発器72に分岐している。
第2実施形態では、ヒートポンプ40の作動によって発生した冷気の車室内への流入を低減している。したがって、車室内の快適性を損なうことなく、エンジン本体11における燃料の燃焼性能を高めることができる。
本発明の第3実施形態による吸気加熱装置を図3に示す。
第3実施形態では、エアコンユニット60は切換弁62を有している。切換弁62は、蒸発器43で冷却された空気の流れを車室内または車両の外部のいずれかへ切り換える。第2実施形態で説明したように、冷却部を構成する蒸発器43では、ヒートポンプ40の作動によって空気が冷却される。そのため、蒸発器43で冷却された空気が車室内へ供給されると、車室内の快適性を損なうおそれがある。そこで、第3実施形態では、冷間始動時においてヒートポンプ回路46を流れる冷媒は、蒸発器43へ供給されるものの、切換弁62がエアコンユニット60と車室との間を遮断している。これにより、蒸発器43で冷却された空気は、車室内へ供給されることなく、エアコンユニット60の外部へ排出される。
本発明の第4実施形態による吸気加熱装置を図4に示す。
第4実施形態では、放熱部50にはバイパス弁52が設けられている。バイパス弁52は、放熱部50と第二通路32との間を開閉する。バイパス弁52が閉じているとき、放熱部50で加熱された空気はすべて第二通路32に流入する。一方、バイパス弁52が開いているとき、放熱部50で加熱された空気の一部はバイパス弁52を通して第二通路32の外部へ排出される。
本発明の第5実施形態による吸気加熱装置を図5に示す。
第5実施形態では、ヒートポンプ40は第一凝縮器81および第二凝縮器82を有している。第一凝縮器81は、第1実施形態と同様に放熱部50に設けられている。一方、第二凝縮器82は、第一凝縮器81とは独立して設けられている。また、第5実施形態の場合、吸気管部21は一つの吸気通路34を形成している。
第5実施形態では、第二凝縮器82を設けることにより、エンジン本体11へ吸入する空気を直接加熱することができる。
Claims (3)
- 車両に搭載されているエンジンへ供給される吸気が流れる吸気通路を形成する吸気管部と、
前記エンジンと独立して駆動され、第一凝縮器と第二凝縮器とからなる放熱手段、および、電動のコンプレッサを有するエアコンディショナー用のヒートポンプと、
を備え、
前記第二凝縮器は、前記第一凝縮器と独立して前記吸気管部に内蔵され、
前記ヒートポンプの冷媒が流れるヒートポンプ通路は、通路切換弁において前記第一凝縮器および前記第二凝縮器に分岐している吸気加熱装置。 - 前記ヒートポンプは、前記車両の車室内へ冷却した空気を供給する送風部に設けられている第一冷却部と、前記第一冷却部とは別に前記車両の外部へ冷却した空気を排出する排出部に設けられている第二冷却部と、を有する請求項1記載の吸気加熱装置。
- 前記ヒートポンプは、前記車両の車室内へ冷却した空気を供給する送風部に設けられている冷却部と、前記冷却部で冷却された空気の流路を前記車両の内部または外部へ切り換える切換弁と、を有する請求項1記載の吸気加熱装置。
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