JP4706050B2 - 改変dreb2a遺伝子を用いた、植物の環境ストレス耐性の制御 - Google Patents

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Description

本発明は、改変転写因子遺伝子DREB2A、及び植物の環境ストレス耐性を制御するためのその使用に関する。
自然界では、植物は、乾燥、高温、低温や塩など様々な環境ストレス下で生存している。動物と異なり、植物は、移動によってストレスから自身を保護することができない。したがって、植物は、その進化の過程で様々なストレス耐性機構を獲得してきた。例えば、低温耐性植物(シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、ホウレンソウ、レタス、エンドウ、オオムギ、テンサイなど)は、その生体膜脂質中の不飽和脂肪酸の含量が低温感受性植物(トウモロコシ、イネ、カボチャ、キュウリ、バナナ、トマトなど)より少ない。そのため、前者の植物が低温にさらされたときでも、その生体膜脂質で相転移が起こりにくく、容易には低温障害が起こらない。
これまで、環境ストレス耐性植物を人工的に作製することを試みて、乾燥、低温又は塩に耐性な系統が選択され、交配されてきた。しかし、そのような選択には長い時間が必要であり、交配方法は限られた種の間にしか適用できないため、環境ストレス耐性の高い植物を作製することは困難であった。
近年生命工学の進歩にしたがい、植物中に特定の異種遺伝子を導入する形質転換技術を用いて、乾燥、低温又は塩耐性を有する植物の作製が試みられている。環境ストレス耐性植物の作製に使用されてきたそれらの遺伝子には、浸透圧保護物質(マンニトール、プロリン、グリシンベタインなど)の合成酵素遺伝子、及び細胞膜脂質の修飾酵素遺伝子が含まれる。具体的には、マンニトール合成酵素遺伝子としては、大腸菌(Escherichia coli)由来のマンニトール1-リン酸脱水素酵素遺伝子[Science 259:508-510 (1993)]が使用された。プロリン合成酵素遺伝子としては、マメ由来のΔ1-プロリン-5-カルボキシレート合成酵素遺伝子[Plant Physiol. 108:1387-1394 (1995)]が使用された。グリシンベタイン合成酵素遺伝子としては、細菌由来のコリン脱水素酵素遺伝子[Plant J. 12:1334-1342 (1997)]が使用された。細胞膜脂質の修飾酵素遺伝子としては、シロイヌナズナ由来のω-3脂肪酸不飽和化酵素遺伝子[Plant Physiol. 105:601-605 (1994)]及びラン藻類由来のΔ9不飽和化酵素遺伝子[Nature Biotech. 14:1003-1006 (1996)]が使用された。しかし、これらの遺伝子を導入して得られた植物は、ストレス耐性度が不安定であったり、耐性レベルが低く、今日までに実用に至ったものはない。
さらに、乾燥、低温、又は塩ストレス耐性の獲得には、複数の遺伝子が働き、その結果、植物はストレス耐性になることが報告されている[Plant Physiol., 115:327-334(1997)]。そこで、ストレス耐性の獲得に関与する複数の遺伝子の発現を同時に活性化することができる転写因子をコードする遺伝子が植物に導入され、ストレス耐性度の高い植物が作出されている[The Plant Cell, 10:1-17(1998)]。しかし、このように複数の遺伝子の発現を誘導する遺伝子を導入した場合、複数の遺伝子が同時期に活性化されるため、宿主植物のエネルギーは、該遺伝子産物の生成や、該遺伝子産物に起因する細胞内代謝に向けられ、宿主植物は、成長が遅れたり矮化してしまうことが多い。
本発明者らは、シロイヌナズナにおいて、ストレス応答性エレメントと結合し、該エレメントの下流に位置する遺伝子の転写を特異的に活性化する転写因子をコードする遺伝子DREB1A、DREB1B、DREB1C、DREB2A、及びDREB2Bを単離した(Lie Q. et al., The Plant Cell, Vol. 10, 1391-1406, August 1998、JP10-228457)。そして、この遺伝子を植物中に導入し過剰発現させると、植物の遅延を起こさずにストレス耐性を付与することができることを報告している(Lie Q. et al., The Plant Cell, Vol. 10, 1391-1406, August 1998、JP10-292348)。
本発明の目的は、環境ストレス(乾燥、低温や塩など)に対する耐性が向上し、かつ矮化しない形質転換植物を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明者らは様々な改変DREB2A遺伝子を用いて植物を形質転換し、環境ストレス耐性が著しく向上し、かつ矮化しない植物の作製に成功した。
すなわち、本発明は、下記の(1)〜(26)を提供する。
(1) 配列番号4で示されるアミノ酸配列から136〜165位のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAをストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結して含む形質転換植物。
(2) 前記タンパク質が前記ストレス応答性プロモーターと結合しうるものである、上記(1)に記載の形質転換植物。
(3)前記配列番号4で示されるアミノ酸配列から136〜165位のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質が、全長DREB2Aタンパク質に比較して、レポーター遺伝子のトランス活性化活性を少なくとも3倍増大させるものである、上記(1)に記載の形質転換植物。
(4) 配列番号4で示されるアミノ酸配列から136〜165位のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列からなるDREB2Aタンパク質をコードする単離された核酸分子。
(5) 上記(4)に記載の単離された核酸分子を含むDNAをストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結して含む形質転換植物。
(6) 配列番号4で示されるアミノ酸配列から136〜165位のアミノ酸が欠失した配列を有する単離されたタンパク質。
(7) 配列番号4の254〜335位のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAをストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結して含む形質転換植物。
(8) DNA結合ドメイン及び核局在化シグナルをコードするDNAをさらに含む、上記(7)に記載の形質転換植物。
(9) 前記タンパク質が前記ストレス応答性プロモーターと結合しうるものである、上記(7)に記載の形質転換植物。
(10) 配列番号4の254〜335位のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAを含む形質転換植物。
(11) 前記タンパク質が配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質の非存在下に比較して、レポーター遺伝子のトランス活性化活性を約5倍〜約9倍増大させるものである、上記(10)に記載の形質転換植物。
(12)配列番号4の254〜317位、136〜335位、318〜335位、166〜135位及び282〜335位からなる群から選択される位置のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAをストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結して含む形質転換植物。
(13)DNA結合ドメイン及び核局在化シグナルをコードするDNAをさらに含む、上記(12)に記載の形質転換植物。
(14)配列番号4の254〜335位のアミノ酸配列を含むDREB2Aタンパク質のトランス活性化ドメインをコードする単離された核酸分子。
(15)上記(14)に記載の単離された核酸分子を含むDNAをストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結して含む形質転換植物。
(16)配列番号4の254〜335位のアミノ酸配列を有するDREB2Aタンパク質活性を有する単離されたタンパク質。
(17)136〜165位のアミノ酸が欠失した配列番号4で示されるアミノ酸配列の断片からなるタンパク質をコードするDNAを含む形質転換植物であって、前記断片が254〜335位のアミノ酸配列とDNA結合ドメイン及び核局在化シグナルを含み、前記DNAがストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結していることを特徴とする形質転換植物。
(18)配列番号3で示される塩基配列から572〜661位ヌクレオチド位の領域が欠失した塩基配列を含むDNAをストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結して含む形質転換植物。
(19)前記DNAによってコードされるタンパク質が前記ストレス応答性プロモーターと結合しうるものである、上記(18)に記載の形質転換植物。
(20)前記DNAが前記ストレス応答性プロモーターと結合しうるタンパク質をコードするものである、上記(18)に記載の形質転換植物。
(21)配列番号3で示される塩基配列から572〜661位ヌクレオチド位の領域が欠失した単離された核酸分子。
(22) 上記(21)に記載の単離された核酸分子を含むDNAをストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結して含む形質転換植物。
(23)配列番号3の926〜1171位の塩基配列を含むDNAをストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結して含む形質転換植物。
(24)前記DNAによってコードされるタンパク質が前記ストレス応答性プロモーターと結合しうるものである、上記(23)に記載の形質転換植物。
(25)配列番号3の926〜1171位の塩基配列を含む単離された核酸分子。
(26) 上記(25)に記載の単離された核酸分子を含むDNAをストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結して含む形質転換植物。
本発明により、ストレス応答性エレメントに結合し、該エレメントの下流に位置する遺伝子の転写を制御するタンパク質をコードするDNAをストレス応答性プロモーターの下流に連結した遺伝子を含む形質転換植物が提供される。前記形質転換植物は、矮化することなく、向上した環境ストレス(乾燥、低温や塩など)耐性を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の形質転換植物は、乾燥応答性エレメント(DRE)と結合し、DRE下流に位置する遺伝子の転写を活性化する転写因子をコードするDNA(「DREB遺伝子」と呼ぶ)をストレス応答性プロモーターの下流に連結して導入することによって作製された、環境ストレス耐性形質転換植物である。
本発明で使用するDREB遺伝子は、以下のようにしてクローニングできる。これらのDREB遺伝子のうち、DRE結合タンパク質1Aの遺伝子をDREB1A遺伝子と呼び、DRE結合タンパク質1Bの遺伝子をDREB1B遺伝子と呼び、DRE結合タンパク質1Cの遺伝子をDREB1C遺伝子と呼び、DRE結合タンパク質2Aの遺伝子をDREB2A遺伝子と呼び、DRE結合タンパク質2Bの遺伝子をDREB2B遺伝子と呼ぶ。
1. DREB遺伝子のクローニング
1-1. シロイヌナズナのmRNA及びcDNAライブラリーの調製
mRNAの供給源としては、葉、茎、根、花などシロイヌナズナの植物の一部、又は植物全体を使用することができる。あるいは、シロイヌナズナの種子をGM培地、MS培地、#3培地などの固体培地に播種し、無菌条件下で生育させて得た植物を使用してもよい。シロイヌナズナ個体中のDREB1A遺伝子のmRNAレベルは、低温ストレス(例えば、10〜-4℃)に暴露すると増大する。一方、DREB2A遺伝子のmRNAレベルは、植物を塩ストレス(例えば、150〜250 mMのNaCl)又は乾燥ストレス(例えば、乾燥状態)に暴露すると増大する。したがって、そのようなストレスに暴露したシロイヌナズナ植物を使用してもよい。
mRNAの調製は、例えば、GM培地で生育させたシロイヌナズナの植物体を、上記乾燥ストレス、低温ストレス又は塩ストレスに曝露後、液体窒素で凍結する。その後は、通常行われる手法により行うことができる。例えば、凍結した植物体を乳鉢などで摩砕後、得られた摩砕物から、グリオキザール法、グアニジンチオシアネート-塩化セシウム法、塩化リチウム-尿素法、プロテイナーゼK-デオキシリボヌクレアーゼ法などにより粗RNA画分を抽出調製する。次いで、この粗RNA画分から、オリゴdT-セルロースやセファロース2Bを担体とするポリ U-セファロースなどを用いたアフィニティーカラム法、あるいはバッチ法によりポリ(A)+RNA(mRNA)を得ることができる。さらに、ショ糖密度勾配遠心法などによりmRNAをさらに分画してもよい。
こうして得られたmRNAを鋳型として、一本鎖cDNAを合成する。合成は、市販のキット(例えば、ZAP-cDNA合成キット: Stratagene)、オリゴdT20及び逆転写酵素を用いて行う。次いで、得られた一本鎖cDNAから二本鎖cDNAを合成する。得られた二本鎖cDNAにEcoRI-NotI-BamHIアダプターなどの適当なアダプターを付加し、次いで転写活性化ドメイン(GAL4活性化ドメインなど)を含むプラスミド(pAD-GAL4プラスミド:Stratageneなど)の転写活性化ドメインの下流に連結することによりcDNAライブラリーを調製する。
1-2. DREB遺伝子のクローニングで使用する宿主
例えば、酵母を用いた1ハイブリッドスクリーニング法によってDREB遺伝子をクローニングすることができる。スクリーニングは市販のキット(例えば、Matchmaker 1ハイブリッドシステム: Clontech)を用いて行うことができる。
上記キットを用いたDREB遺伝子のクローニングでは、最初に、DREB遺伝子によってコードされるタンパク質(すなわち、DREBタンパク質)が結合するDRE配列を含むDNA断片を、キットに含まれるプラスミドpHISi-1及びpLacZiに連結することが必要である。次いで、得られたプラスミドでキットに含まれる酵母(出芽酵母(Saccharomayces cerevisiae)YM4271)を形質転換して、クローニングのための宿主酵母を調製する。
クローニングのための宿主酵母は、HIS3最小プロモーターによってリーキー(leaky)に発現されるHIS3タンパク質の作用によりヒスチジンを生合成することができる。したがって、通常は、この酵母はヒスチジンの非存在下で生育することができる。しかし、HIS3タンパク質をコードする遺伝子の発現に使用されるプロモーターが、最低限の転写レベルしか維持できない最小プロモーターであるため、細胞中で生成されるHIS3タンパク質は極めて少量である。そのため、HIS3タンパク質に対する競合的阻害剤である3-AT(3-アミノトリアゾール)存在下で宿主酵母を培養すると、細胞中のHIS3タンパク質の機能は、3-ATによって濃度依存的に阻害される。3-ATの濃度が一定のレベルを超えると、細胞中のHIS3タンパク質は機能できなくなり、その結果、宿主酵母はヒスチジン非存在下では生育できなくなる。同様に、lacZ遺伝子もCYC1最小プロモーターの下流に位置する。したがって、酵母細胞中では、極めて少量のβ-ガラクトシダーゼしか生成されず、Xgalを含むプレート上に宿主酵母を播種すると、出現するコロニーは、コロニー全体が青色になるようなXgal分解能を有しない。しかし、HIS3及びlacZ遺伝子の上流に位置するDRE配列と結合しその転写を活性化する転写因子が宿主酵母中で発現されると、酵母は、十分な量の3-ATの存在下でも生存可能となり、同時に、Xgalが分解されてコロニーが青色となる。
本明細書において、「乾燥応答性エレメント(DRE)」という用語は、乾燥ストレス、低温ストレスなどにさらされた後に発現する遺伝子の上流に位置する9 bpの保存された配列5'-TACCGACAT-3'からなるシス作用性DNAドメインを指す。
DREを含むDNA断片は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、乾燥耐性遺伝子の1つであるrd29A遺伝子[Kazuko Yamaguchi-Shinozaki and Kazuo Shinozaki, The Plant Cell 6:251-264 (1994)]のプロモーター領域(その遺伝子の翻訳開始部位を基点として-215〜-145)を増幅することによって得ることができる。このPCRで使用しうる鋳型DNAとしては、シロイヌナズナのゲノムDNAを挙げることができる。
1-3. DREB1A遺伝子及びDREB2A遺伝子のクローニング
DREB1A遺伝子及びDREB2A遺伝子は、酢酸リチウム法などにより、上記1-1で得られたcDNAライブラリーで、上記1-2で得られた宿主を形質転換し、得られた形質転換体を、Xgal(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトシド)及び3-AT(3-アミノトリアゾール)を含むLB培地プレートなどに播種・培養後、該プレート上に出現した青色のコロニーからプラスミドを単離することにより得ることができる。
つまり、DREB1A遺伝子又はDREB2A遺伝子を含む陽性クローンは、GAL4活性化ドメイン(GAL4 AD)をコードするDNA領域、及びDRE結合タンパク質をコードするDNA領域からなる融合遺伝子を含み、アルコール脱水素酵素プロモーターの調節下で、DRE結合タンパク質及びGAL4活性化ドメインからなる融合タンパク質(ハイブリッドタンパク質)を発現する。その後、発現した融合タンパク質は、DRE結合タンパク質部分を介して、レポーター遺伝子の上流に位置するDREと結合する。次いで、GAL4活性化ドメインは、lacZ遺伝子及びHIS3遺伝子の転写を活性化する。その結果、陽性クローンは、かなりのHIS3タンパク質及びβ-ガラクトシダーゼを生成する。したがって、生成したHIS3タンパク質の作用のために、陽性クローンは、3-ATの存在下でもヒスチジンを生合成することができる。したがって、前記クローンは、3-ATの存在下で生存可能となり、同時に、培地中のXgalがβ-ガラクトシダーゼにより分解されてコロニーが青色となる。
次いで、そのような青色コロニーについてシングルセルアイソレーションを行った後、単離された細胞を培養し、培養細胞からプラスミドDNAを精製することによりDREB1A遺伝子又はDREB2A遺伝子を得る。
1-4. DREB1Aタンパク質又はDREB2Aタンパク質ホモログ
生物は、塩基配列が類似した複数の遺伝子を有することがあり、それらは、単一の遺伝子から進化したと考えられる。そのような遺伝子によってコードされたタンパク質は、互いにホモログと呼ばれる。関連する遺伝子ライブラリーから、塩基配列がすでに知られている遺伝子の一部をプローブとして用いてそれらをクローニングすることができる。本発明において、シロイヌナズナcDNAライブラリーから、上記の1〜3で得られたDREB1AのcDNA又はDREB2AのcDNAをプローブとして用いて、DREB1Aタンパク質又はDREB2Aタンパク質に対するホモログをコードする遺伝子をクローニングすることができる。
1-5. 塩基配列の決定
上記の1-3又は1-4で得られたプラスミドから、制限酵素を用いてcDNA部分を切り出し、サブクローニング用のpSK(Stratagene)など適当なプラスミドと連結する。次いで、全塩基配列を決定する。配列決定は、マキサム-ギルバートによる化学修飾法、又はM13ファージを用いたジデオキシヌクレオチド鎖終結法などの公知の方法に従って実施できるが、通常は自動塩基配列決定機(例えばPERKIN-ELMER社製373A DNAシークエンサーなど)を用いて配列決定が行われる。
配列番号1はDREB1A遺伝子の塩基配列を示し、配列番号2はこの遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を示す。配列番号3はDREB2A遺伝子の塩基配列を示し、配列番号4はこの遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を示す。配列番号5はDREB1B遺伝子の塩基配列を示し、配列番号6はこの遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を示す。配列番号7はDREB1C遺伝子の塩基配列を示し、配列番号8はこの遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を示す。配列番号9はDREB2B遺伝子の塩基配列を示し、配列番号10はこの遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を示す。上記アミノ酸配列の1つからなるタンパク質がDRE結合能を有し、DRE下流に位置する遺伝子の転写を活性化する限り、当該アミノ酸配列は、少なくとも1個のアミノ酸に変異(欠失、置換や付加など)を有してもよい。そのような変異を生じたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする変異型遺伝子も、本発明において使用することができる。
例えば、配列番号2、4、6、8又は10で示すアミノ酸配列中で、少なくとも1個のアミノ酸、好ましくは1〜約20個のアミノ酸、より好ましくは1〜5個のアミノ酸が欠失してもよく、配列番号2、4、8又は10で示すアミノ酸配列に、少なくとも1個のアミノ酸、好ましくは1〜約20個のアミノ酸、より好ましくは1〜5個のアミノ酸が付加されてもよく、あるいは、配列番号2、4、8又は10で示すアミノ酸配列中で、少なくとも1個のアミノ酸、好ましくは1〜約160個のアミノ酸、より好ましくは1〜40個のアミノ酸が他の(複数の)アミノ酸と置換されてもよい。そのような変異を生じたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子も、そのタンパク質がDRE結合能を有し、DRE下流に位置する遺伝子の転写を活性化する限り、本発明において使用することができる。
また、上記遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができるDNAも、そのDNAによってコードされるタンパク質がDRE結合能を有し、DRE下流に位置する遺伝子の転写を活性化する限り、本発明において使用することができる。「ストリンジェントな条件」とは、例えば、ホルムアミドの濃度が30〜50%、好ましくは50%であり、温度が37〜50℃、好ましくは42℃である条件を意味する。
なお、変異型遺伝子は、Kunkel法や Gapped duplex法などの公知の手法又はこれに準ずる方法により、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-K(TAKARA社製)やMutant-G(TAKARA社製)など)を用いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて作製することができる。
一旦DREB遺伝子の塩基配列が確定されると、その後は化学合成によって、又は本遺伝子のcDNAないしゲノムDNAを鋳型としたPCRによって、あるいは該塩基配列を有するDNA断片をプローブとしてハイブリダイズさせることにより、DREB遺伝子を得ることができる。
DREB1A遺伝子及びDREB2A遺伝子をそれぞれ含む組換えベクターは、大腸菌K-12株に導入され、受託番号FERM BP-6654 (DREB1A遺伝子を含む大腸菌)及びFERM BP-6655 (DREB2A遺伝子を含む大腸菌)で、1998年8月11日に工業技術院生命工学工業技術研究所(日本国茨城県つくば市東1丁目1-3)に寄託されている。
2. DREB遺伝子によってコードされるタンパク質のDRE結合能及び転写活性化能の測定
2-1. DREB遺伝子によってコードされるタンパク質のDRE結合能の分析
DREB遺伝子によってコードされるタンパク質(以下、「DREBタンパク質」と呼ぶ)のDRE結合能は、上記タンパク質とGSTから構成される融合タンパク質を用いたゲルシフトアッセイ[Urao, T. et al., The Plant Cell 5:1529-1539 (1993)]を行うことによって確認することができる。DREB1Aタンパク質とGSTからなる融合タンパク質は、以下のようにして調製することができる。まず、2つの遺伝子の読み枠が互いに合致するように、DREB1A遺伝子を、GST遺伝子を含むプラスミド(例えばpGEX-4T-1ベクター: Pharmacia)のGSTコード領域の下流に連結する。得られたプラスミドで大腸菌を形質転換し、融合タンパク質の合成を誘導する条件下で培養する。得られた大腸菌細胞を、例えば超音波処理によって破砕する。遠心によって、破砕した材料から細胞の細片を除去する。次いで、グルタチオン-セファロースなどの担体を用いたアフィニティークロマトグラフィーによって上清を精製し、それにより融合タンパク質を得る。
ゲルシフトアッセイは、DNAとタンパク質の間の相互作用を調べる方法である。つまり、32Pなどで標識したDREを含むDNA断片を、上記した融合タンパク質と混合し、インキュベートする。得られた混合物を電気泳動する。乾燥後、そのゲルについてオートラジオグラフを行って、DNA断片とタンパク質の結合の結果遅れて泳動されたバンドを検出する。本発明において、DREB1A又はDREB2Aタンパク質とDRE配列の特異的な結合は、変更を加えたDRE配列を含むDNA断片を用いたときに上記したような遅れるバンドが検出されないことを確かめることによって確認することができる。
2-2. DREB遺伝子によってコードされるタンパク質の転写活性化能の分析
DREB遺伝子によってコードされるタンパク質の転写活性化能は、シロイヌナズナのプロトプラストの系を用いたトランス活性化実験によって分析することができる。例えば、DREB1AのcDNAを、CaMV35Sプロモーターを含むpBI221プラスミド(Clontech)に連結してエフェクタープラスミドを構築する。一方、上記の1-2で得られた、DREを含む71塩基のDNA領域のカセット3個を直列に結合してDNA断片を調製し、pBI221プラスミド中でβ-グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子の上流に配置したTATAプロモーターの上流に該DNA断片を連結してレポータープラスミドを構築する。その後、これら2つのプラスミドをシロイヌナズナのプロトプラスト中に導入し、GUS活性を測定する。DREB1Aタンパク質の同時発現によってGUS活性が増大することにより、プロトプラスト中で発現したDREB1Aタンパク質が、DRE配列を介してGUS遺伝子の転写を活性化していることがわかる。
本発明において、プロトプラストの調製、及びプロトプラストへのプラスミドDNAの導入は、Abelらの方法[Abel, S. et al., Plant J. 5:421-427 (1994)]によって行うことができる。実験によってプラスミドDNAの導入効率が異なることから生じる実験誤差を最小限にするため、ルシフェラーゼ遺伝子をCaMV35Sプロモーターの下流に連結したプラスミドを、上記2つのプラスミドと一緒にプロトプラスト中に導入し、ルシフェラーゼ活性に対するβ-グルクロニダーゼ活性を測定してもよい。測定した値は、転写活性化能を示す値とみなすことができる。β-グルクロニダーゼ活性は、Jeffersonらの方法[Jefferson, R.A. et al., EMBO J. 83:8447-8451 (1986)]により測定でき、ルシフェラーゼ活性は、PicaGeneルシフェラーゼアッセイキット(Toyo Ink)を用いて測定できる。
3. 形質転換植物の作製
遺伝子工学的手法を用いて上記の1で得られた遺伝子を宿主植物中に導入することによって、環境ストレス、特に、低温ストレス(凍結ストレスを含む)、乾燥ストレス及び塩ストレスに対して耐性を有する形質転換植物を作製することができる。宿主植物中に遺伝子を導入する方法としては、アグロバクテリウム感染法などの間接導入法、又はパーティクルガン法、ポリエチレングリコール法、リポソーム法、マイクロインジェクションなどの直接導入法を使用することができる。アグロバクテリウム感染法を使用する場合は、以下の手順によって形質転換植物を作製することができる。
3-1. 植物中に導入する組換えベクターの調製及びアグロバクテリウムの形質転換
植物中に導入する組換えベクターは、上記の1で得られたDREB1A、DREB1B、DREB1C、DREB2A、又はDREB2B遺伝子を含むDNAを適当な制限酵素で消化し、必要に応じて、得られたDNAに適当なリンカーを連結し、植物細胞のクローニング用ベクター中にDNAを導入することによって調製することができる。クローニング用ベクターとしては、pBI2113Not、pBI2113、pBI101、pBI121、pGA482、pGAH、pBIGなどのバイナリーベクター型プラスミド、又はpLGV23Neo、pNCAT、pMON200などの中間ベクター型プラスミドを使用することができる。
バイナリーベクター型プラスミドを使用する場合は、対象とする遺伝子を、バイナリーベクターの境界配列(LB、RB)間に挿入する。得られた組換えベクターを大腸菌内で増幅する。増幅した組換えベクターを、凍結融解、エレクトロポレーションなどによってアグロバクテリウムツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens) C58、LBA4404、EHA101、C58C1RifR、EHA105などに導入する。得られたアグロバクテリウムツメファシエンスを、対象とする植物の形質導入に使用する。
上記方法に加えて、3者接合法(three-member conjugation method) [Nucleic Acids Research, 12:8711 (1984)]を使用して、植物感染に使用するDREB遺伝子を含むアグロバクテリウムを調製することもできる。すなわち、対象とする遺伝子を含むプラスミドを含有する大腸菌、ヘルパープラスミド(例えば、pRK2013)を含有する大腸菌及びアグロバクテリウムを混合し、リファンピシリン及びカナマイシンを含有する培地上で培養する。かくして、植物感染に使用する接合体アグロバクテリウムを得ることができる。
DREB遺伝子は転写を活性化するタンパク質をコードするため、DREB遺伝子を導入した植物では発現したDREBタンパク質の作用によって様々な遺伝子が活性化される。これにより、植物内のエネルギー消費が増大し代謝が活性化されて、植物自体の生育が抑制されることがある。そのような抑制を防止する手段として、ストレスが負荷されるときだけにDREB遺伝子が発現するように、ストレス応答性プロモーターをDREB遺伝子の上流に連結することが考えられる。そのようなプロモーターの特定の例として、以下のものがある:
rd29A遺伝子プロモーター[Yamaguchi-Shinozaki, K. et al., The Plant Cell 6:251-264 (1994)]、
rd29B遺伝子プロモーター[Yamaguchi-Shinozaki, K. et al., The Plant Cell 6:251-264 (1994)]、
rd17遺伝子プロモーター[Iwasaki, T. et al., Plant Physiol., 115:1287 (1997)]、
rd22遺伝子プロモーター[Iwasaki, T. et al., Mol. Gen. Genet., 247:391-398 (1995)]、
DREB1A遺伝子プロモーター[Shinwari, Z.K. et al., Biochem. Biophys. Res. Com. 250:161-170 (1988)]、
cor6.6遺伝子プロモーター[Wang, H. et al., Plant Mol. Biol. 28:619-634 (1995)]、
cor15a遺伝子プロモーター[Baker, S.S. et al., Plant Mol. Biol. 24:701-713 (1994)]、
erd1遺伝子プロモーター[Nakashima K. et al., Plant J. 12:851-861 (1997)]、
kin1遺伝子プロモーター[Wang, H. et al., Plant Mol. Biol. 28:605-617 (1995)]。
ストレス応答性で植物中で機能することが知られている限り、他のプロモーターを使用してもよい。これらのプロモーターは、そのプロモーターを含むDNAに基づいて設計されたプライマーを用い、関連するゲノムDNAを鋳型として用いたPCR増幅によって得ることができる。
必要に応じて、転写の終結を要求するターミネーターをDREB遺伝子の下流に連結してもよい。ターミネーターとしては、カリフラワーモザイクウイルス由来ターミネーター、又はノパリン合成酵素遺伝子ターミネーターを使用することができる。植物中で機能することが知られている限り、他のターミネーターを使用することもできる。
必要に応じて、遺伝子の発現を促進するイントロン配列を、プロモーター配列とDREB遺伝子の間に入れることができる。例えば、トウモロコシのアルコール脱水素酵素(Adh1)のイントロン[Genes & Development 1:1183-1200(1987)]を導入してもよい。
対象とする形質転換細胞を効率よく選択するために、DREB遺伝子と組み合わせて有効な選択マーカー遺伝子を使用することが好ましい。選択マーカーとしては、カナマイシン耐性遺伝子(NPTII)、抗生物質ハイグロマイシンに対する耐性を植物に付与するハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(htp)、ビアラホス(bialaphos)に対する耐性を付与するホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(bar)などから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる、。
DREB遺伝子及び選択マーカー遺伝子は、単一のベクターに一緒に組み込んでもよいし、別々のベクターに組み込んで2種の組換えDNAとして調製してもよい。
3-2. 宿主植物へのDREB遺伝子の導入
本発明において、植物宿主とは、植物培養細胞、栽培植物の植物体全体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、根茎、種子等)、又は植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)のいずれをも意味するものである。植物宿主として用いることができる植物としては、シロイヌナズナ、タバコ、イネ、トウモロコシなどが挙げられる。
DREB遺伝子は、採取した植物切片にDREB遺伝子を含むベクターをアグロバクテリウム感染法、パーティクルガン法、又はポリエチレングリコール法などで、上記植物宿主に導入することができる。あるいはプロトプラストにエレクトロポレーション法によりDREB遺伝子を含むベクターを導入することもできる。
アグロバクテリウム感染法によって対象とする遺伝子を導入する場合、宿主植物を、対象とする遺伝子を含むプラスミドを含有するアグロバクテリウムに感染させる工程が必要である。この工程は、バキュームインフィルトレーション法[CR Acad. Sci. Paris, Life Science, 316:1194 (1993)]によって行うことができる。すなわち、バーミキュライトとパーライト(50:50)からなる土でシロイヌナズナを生育させる。得られた植物を、DREB遺伝子を含むプラスミドを含有するアグロバクテリウムの培養液に直接浸し、それをデシケーターに入れ、次いで65〜70 mmHgまで真空ポンプで吸引する。次いで、その植物を室温で5〜10分間放置した。その植物の鉢をトレーに移し、ラップで覆って湿度を維持する。次の日に、そのラップを取り除く。植物をその状態で生育させて、種子を採取する。
次いで、目的遺伝子保有個体を選択するために、様々な植物体からの種子を、適当な抗生物質を補充したMS寒天培地上に播種する。培地上で生育したシロイヌナズナを鉢に移して生育させることにより、DREB遺伝子が導入された形質転換植物の種子を得ることができる。
一般に、植物に導入した遺伝子は、宿主植物のゲノム中に組み込まれるが、その場合、導入されるゲノム上での位置が異なることにより導入遺伝子の発現が異なるポジションイフェクトと呼ばれる現象が見られる。導入遺伝子がより強く発現している形質転換体は、導入遺伝子のDNA断片をプローブとして用いるノーザン法により宿主植物中に発現しているmRNAレベルを検定することによって選抜することができる。
対象とする遺伝子が本発明の形質転換植物及びその次世代中に組み込まれていることは、従来の方法によりその植物の細胞及び組織からDNAを抽出し、当技術分野で公知のPCR又はサザン分析により導入遺伝子を検出することによって確認することができる。
3-3. 植物組織中のDREB遺伝子の発現レベル及び発現部位の分析
DREB遺伝子が導入された形質転換植物中のDREB遺伝子の発現レベル及び発現部位は、常法によりその植物の細胞及び組織からRNAを抽出し、当技術分野で知られているRT-PCR又はノーザンブロット分析によりDREB遺伝子のmRNAを検出することによって分析することができる。あるいは、DREBタンパク質に対する抗体を用いたウェスタンブロット法などによってDREBタンパク質を直接分析してもよい。
3-4. DREB遺伝子が導入された形質転換植物中での様々な遺伝子のmRNAレベルの変化
DREB遺伝子が導入された形質転換植物体内における各種遺伝子のmRNAレベルの変化DREB遺伝子が導入された形質転換植物体内において、DREBタンパク質の作用により、発現レベルが変化したと考えられる遺伝子はノーザン分析によって同定することができる。ノーザン分析においては、DREB遺伝子が導入された形質転換植物と導入されていない植物とを用いて、標的遺伝子と考えられる遺伝子のmRNAレベルを常法に従って、比較することによって検定することができる。
例えば、GM寒天培地などで生育させた植物に、所定期間(例えば、1〜2週間)乾燥及び/又は低温ストレスを与える。寒天培地から植物を取り出し、それを濾紙上で10分〜24時間乾燥させることにより乾燥ストレスを与えることができる。15〜-4℃で10分〜24時間植物を保持することにより低温ストレスを与えることができる。ストレスを付与していない対照植物、ならびに乾燥及び低温ストレスを付与した植物からtotal RNAを調製する。得られたtotalRNAを電気泳動にかける。次いで、ノーザンブロット分析又はRT-PCRにより、発現している遺伝子を検出する。
3-5. 形質転換植物の環境ストレスに対する耐性の評価
DREB遺伝子が導入された形質転換植物の環境ストレスに対する耐性は、バーミキュライト、パーライトなどを含む土を入れた鉢に植物を植え、乾燥、低温や凍結などの様々なストレスに植物を暴露し、当該植物の生存を調べることによって評価することができる。例えば、乾燥ストレスに対する耐性は、水を与えずに植物を2〜4週間放置し、次いでその生存について調べることによって評価することができる。凍結ストレスに対する耐性は、-6〜-10℃で植物を5〜10日間放置し、20〜25℃でそれを5〜10日間生育させ、次いでその生存率を調べることによって評価することができる。
4. DREB2Aの改変
乾燥及び高塩ストレス誘導性の転写因子であるDREB2Aは、その活性化にある種の改変を必要とすると思われるが、その活性化の機構は明らかとなっていない。DREB2Aのドメイン分析の結果、DREB2Aの転写活性化ドメインがアミノ酸残基254〜335の間に存在し、アミノ酸残基136〜165の間の領域が欠失すると、DREB2Aが恒常的に活性型に転換することが見出された。活性型DREB2Aを構成的に過剰発現する形質転換植物のマイクロアレイ分析から、DREB2Aが多くの水ストレス誘導性の遺伝子発現を制御することが明らかとなった。しかし、DREB2Aの標的遺伝子の一部は、同じシスエレメントを認識するDREB1Aの標的ではなかった。活性型DREB2Aを構成的に過剰発現させると、形質転換植物の凍結耐性がわずかに向上し、乾燥耐性が著しく向上した。
以下、本発明を下記の実施例を参照しながらより具体的に説明する。しかし、本発明の技術的範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:
恒常的活性型変異体を用いたシロイヌナズナDREB2Aの機能分析
1. 材料及び方法
1) 植物材料
植物(Arabidopsis thaliana ecotype Columbia)を発芽培地寒天プレート上で3週間生育させた。ノーザン分析では、3週齢の植物にストレス処理を施し、次いでRNA抽出用に液体窒素で凍結させた。ストレス耐性試験では、3週齢の植物を土上に移し1週間生育させた。上記のようにストレス処理を実施した。既報にしたがい、シロイヌナズナT87懸濁培養細胞を維持した(Axelos et al., 1992, Plant Physiol. Biochem. 30, 123-128)。
2) 一過性発現実験
既報にしたがい、DREB2AのC末端欠失変異体に関する一過性トランス活性化実験で使用するエフェクター及びリポータープラスミドを構築した(Liu et al, 1998 Plant Cell 10, 1391-1406)。また、DREB2AのC末端と融合したGAL4 DNA結合ドメインをコードするエフェクタープラスミド、及びGAL4結合配列を含むレポータープラスミドを上記のように構築した。エフェクタープラスミドの構築に使用する挿入断片は、表1に示すプライマーセット(配列番号11〜62)を用いて、PCRにより増幅した。
既報にしたがい、シロイヌナズナT87細胞プロトプラストの単離、及びポリエチレングリコールによるDNAトランスフェクションを行った(Abel and Theologis, 1994 Plant J. 5, 421-427)。5日齢のシロイヌナズナT87懸濁培養細胞を濾過して収集し、水で洗浄した。T87細胞5 gを酵素溶液(0.4 Mマンニトール、5 mM MES-KOH (pH 5.7)、8 mM CaCl2、1% [w/v] Cellulase ONOZUKA R10 (Yakult)、0.5% [w/v] Macerozyme R10 (Yakult))とともに、穏やかに攪拌しながら室温で2時間インキュベートした。細胞を125μmのナイロンメッシュに通し、室温で5分間、450 gで遠心して回収し、30 mlの0.4 mMマンニトール、70 mM CaCl2、及び5 mM MES-KOH (pH 5.7)で2回洗浄した。最後に、プロトプラストをMaMg溶液(0.4 Mマンニトール、15 mM MgCl2、5 mM MES-KOH (pH 5.7))中に再懸濁させ、濃度を細胞3×106個/mlに調整した。単離されたプロトプラストは、使用するまで氷上で維持した。QIAGENプラスミド単離キット (QIAGEN)を用いて、プロトプラストの形質転換に使用するプラスミドDNAを調製し、10 mM Tris-HCl (pH 8.0)、及び1 mM EDTA中に溶解させて1μg/μLとした。プロトプラスト懸濁液100μlを、エフェクタープラスミド10μL、レポータープラスミド10μL、及び35S:ルシフェラーゼ内部対照プラスミド5μLとよく混合した。次いで、PEG-CMS溶液(0.4 Mマンニトール、0.1 M Ca(NO3)2、及び40% [w/v] ポリエチレングリコール(PEG) 3350 (Sigma))をこのプロトプラスト-プラスミド混合物に直ちに加え、よく混合した。プロトプラストを氷上で20分間維持し、次いで10 mLの0.4 Mマンニトール、125 mM CaCl2、5 mM KCl、5 mMグルコース、及び1.5 mM MES-KOH (pH 5.7)で希釈した。室温で5分間、450 gで遠心することによって希釈プロトプラストを回収した。培地(0.4 Mマンニトール、1×Murashige and Skoog [1962]基本培地)2.5 mL中に形質転換プロトプラストを再懸濁させ、22℃で最大24時間、暗所で培養した。
上記のように、グルクロニド前駆体から生成される4-メチルウンベリフェロンの蛍光定量によって、GUS活性のアッセイを行った。PikkaGeneルシフェラーゼアッセイキット(Toyo-ink)を用いた反応の発光を、ルミノメーター(Wallac 1420 ARVOsx)を使用して測定することによりルシフェラーゼ活性のアッセイを行った。
Figure 0004706050
3) 植物の形質転換
アミノ酸残基136〜165の領域を欠失させた変異体DREB2A断片を用いて、シロイヌナズナの形質転換用プラスミドを構築した。トランス活性化実験で使用するΔ136〜165エフェクタープラスミドからNotIでその断片を消化し、pBluescript II SK- (Stratagene)のNotI部位に挿入した。次いで、その断片をプラスミドからEcoRV及びSacIで切り出し、pBE2113Notベクター(Liu et al., 1998)のSmaI-SacI部位にセンス方向にサブクローニングした。構築したプラスミドを、アグロバクテリウムツメファシエンスC58中にエレクトロトランスフォーメーションによって導入した。以上のようにして植物の形質転換を実施した。
4) マイクロアレイ分析
TRIZOL試薬(Invitrogen)を使用して、pBI121を有する又は恒常的活性型DREB2Aを過剰発現する3週齢の植物からtotalRNAを単離した。PolyATract mRNA単離システムIII (Promega)を用いてmRNAを調製した。蛍光プローブの調製、マイクロアレイハイブリダイゼーション、及びスキャニングについては以前に記載されている(Seki et al., 2002, Plant J. 31, 279-292)。
5) ノーザンブロット分析
TRIZOL試薬を使用してtotalRNAを抽出した。上記のようにノーザンブロット分析を行った。
2. 結果
1) DREB2Aの欠失変異体の転写活性化活性
DREB2AのC末端領域が酸性アミノ酸に富んでいるので、DREB2Aタンパク質の転写活性化ドメインはこの領域に存在すると予測されていた(Liu et al., 1998)。転写活性化ドメインを同定するために、DREB2Aのドメイン分析を詳細に実施した。DREB2Aの様々なC末端領域欠失変異体を含むエフェクターコンストラクトを、DRE配列によって駆動されるβ-グルクロニダーゼ(GUS)レポーターコンストラクトと同時に、シロイヌナズナT87懸濁培養細胞から調製したプロトプラストにトランスフェクトした(図1)。全長DREB2Aを過剰発現させると、何も含まないエフェクター対照の場合と比べてレポーター遺伝子のトランス活性化が5〜9倍高くなった。C末端からアミノ酸残基(a.a.)254までを欠失させると(DREB2A: 1〜253)、DREB2A変異体依存性のトランス活性化が、対照の場合と同じレベルに低下した。その一方で、a.a. 136〜a.a. 253の領域を欠く内部欠失変異体は、全長のDREB2Aと同じレベルのレポーター遺伝子活性化を示した。これらの結果から、転写活性化ドメインがa.a. 254からC末端までの間に存在することが示唆される。
興味深いことに、a.a. 136〜165の領域を欠失させると、その活性が有意に増大した。DREB2AΔ136〜165によるレポーター遺伝子の発現は、基底レベルの30倍を超え、全長のDREB2Aの場合より3倍を超えて高かった。この誘導は、DREB1Aエフェクターコンストラクトと同等であった。a.a. 136〜165の領域は、DREB2Aの活性の制御に負の役割を有すると思われる。他の領域を欠失させても、トランス活性化活性は有意に増加しなかった。
2) 254からC末端までの領域は、転写活性化に必要十分なドメインを含み、a.a. 136〜a.a. 165の領域は、DREB2Aの活性に負の役割を有する。
DREB2Aのさらなるドメイン分析を行うために、GAL4転写因子(Ma et al, 1988, Nature 334, 631-633)の DNA結合ドメイン(GB)と融合した様々なDREB2Aの断片を含んだエフェクターコンストラクトを調製した。そのエフェクタープラスミドを、CaMV35Sの最小プロモーター及びGUSレポーター遺伝子と融合した9コピーのGAL4結合部位を含んだレポータープラスミドと同時に、シロイヌナズナT87細胞のプロトプラストにトランスフェクトした(図2)。図1の結果の場合と同様に、a.a. 254からDREB2AのC末端までの領域を欠いたGB-DREB2A 136〜253及びGB-DREB2A 166〜253のエフェクターコンストラクトは、レポーター遺伝子の発現を誘導しなかった。GB-DREB2A 254〜335というa.a. 254からC末端までの領域を含むエフェクターコンストラクトが、すべてのエフェクターコンストラクトの中でレポーター遺伝子の最も高い発現を誘導した。この領域は3つの小領域に分割できる。各小領域は、それをGAL4結合ドメインと個々に融合させたとき、レポーター遺伝子の発現を刺激することができず、又は弱く刺激することしかできず(図2B、GB-DREB2A 254〜281, 282〜317及び318〜335)、少なくとも1つの小領域を欠失させると、GB-DREB2A 254〜335と比べてGUSレポーターの活性が有意に低下した(図2B、GB-DREB2A 254〜317及び282〜335)。GB-DREB2A 254〜335の断片をGB-DREB2A 166〜335や136〜335のようにN末端の方へ伸長させた場合でも、レポーター活性のさらなる増大は認められなかった。エフェクターコンストラクトGB-DREB2A 166〜335は、GB-DREB2A 254〜335とほぼ同レベルのレポーター遺伝子発現を誘導したが、a.a. 136〜165の領域を含んだGB-DREB2A 136〜335によるトランス活性化は、GB-DREB2A 254〜335によるトランス活性化の約1/6であった。これらの結果から、a.a. 254〜a.a. 335の領域がDREB2Aの必要十分な活性化ドメインであり、a.a. 136〜165の領域がDREB2Aタンパク質の転写活性化活性を負に調節することが示唆される。
3) シロイヌナズナにおける恒常的活性型DREB2Aの過剰発現
DREB2Aの機能を分析するために、一過性のトランス活性化実験で最も高い活性を示したDREB2A欠失変異体のDREB2AΔ136〜165(図1)を、シロイヌナズナで過剰発現させた。CaMV35Sプロモーター(Mitsuhara et al., 1996)の調節下で恒常的活性型DREB2Aをコードする遺伝子を過剰発現させた。タバコモザイクウイルス(TMV)Ω配列(Gallie et al., 1987)を変異体DREB2A断片の上流に挿入して、転写レベルを増大させた。真空浸透法を用いることによって、55体の形質転換シロイヌナズナ個体を作製した。形質転換T2個体における導入遺伝子の発現レベルをノーザンブロット分析で分析し、それぞれ導入遺伝子の強い発現、中程度の発現、及び弱い発現を示したCA-a、CA -b及びCA -cというDREB2Aの3つの系統をさらなる分析用に選択した。T2形質転換体の生育及びDREB2A標的遺伝子発現について確認した。DREB2A CA個体の生育パターンを、pBI121ベクターを有する対照個体(wt)、及び全長DREB2A cDNAを過剰発現するDREB2A FL個体と比較した。DREB2A CA個体すべてが生育遅延を示した(図3A及びB)。最も重度の生育遅延は、導入遺伝子が強く発現するDREB2A CA-a個体で観察され、導入遺伝子が弱く発現するDREB2A CA-cの生育遅延レベルは軽度であった。対照的に、全長のDREB2Aを過剰発現するDREB2A FLでは生育遅延は観察されなかった。DREB2A CA個体は、円形でわずかに暗緑色の葉を有し、葉柄が短かった。これらの表現型は、DREB2A-cの場合よりDREB2A CA-aで大きく現れた(図3C)。環境ストレス応答性遺伝子rd29Aは、そのプロモーター領域中にDREモチーフを有し、DREB2Aタンパク質が上記のようにこのDRE配列と結合できることが確認されている。rd29A mRNAの蓄積レベルは、恒常的活性型DREB2Aの発現レベルと相関して増大した。
4) 恒常的活性型DREB2Aを過剰発現する形質転換シロイヌナズナ個体のマイクロアレイ分析
どの遺伝子がDREB2Aの調節下にあるかを理解するため、シロイヌナズナ全長cDNAマイクロアレイを用いることによって、遺伝子約7000個のmRNAの蓄積を野生型個体とDREB2A CA個体の間で比較した。ストレス処理を行わなかったDREB2A CA及び対照個体からそれぞれ単離されたmRNAを用いることによって、Cy3標識cDNA及びCy5標識cDNAのプローブを調製した。これらのプローブをcDNAマイクロアレイとハイブリダイズさせ、遺伝子約7000個の発現プロファイルを分析した。実験は3回反復し、シグナル強度が少なくとも1回の実験で2000を超えた遺伝子についてさらに分析した。野生型個体よりDREB2A CA-a個体で5倍以上大きい発現比率を示した遺伝子を、DREB2A標的遺伝子の候補として選択した(表2)。
Figure 0004706050
19個の遺伝子が、野生型個体よりDREB2A CA-a個体で5倍を超える発現の増大を示した。DREB2A CA-a、b及びcの間では、これらの遺伝子の発現レベルは、恒常的活性型DREB2AのmRNAの蓄積と相関していた(データは示さず)。これらの遺伝子の多くは、LEAタンパク質などの水ストレス関連タンパク質をコードするものである。その19個の遺伝子のプロモーター領域がDRE及びABA応答性エレメント(ABRE)を含むか否かを確認するために、ATGから1 kb上流までのプロモーター領域を調べた。そのプロモーター領域において、19個の遺伝子のうち17個がDRE配列を有し、15個の遺伝子がABRE配列を有し、14個の遺伝子がどちらのシスエレメントも有していた。これらのことから、ほとんどのDREB2A標的遺伝子が水ストレス耐性において重要であり、したがってこれらの遺伝子がDREB経路とABA経路のどちらによっても制御されることが示唆される。その一方で、興味深いことに、リストされた10個の遺伝子しか、DREB1A標的遺伝子として同定されなかった。
恒常的活性型DREB2Aの過剰発現によって発現が増加した遺伝子のさらなる分析を行うために、ノーザンブロット分析を実施した。5時間4℃の暴露する、又は5時間乾燥状態に暴露するストレス処理を行った、又は行わなかった野生型、DREB1A-b及びDREB2A CA a〜cの個体から単離したtotalRNAをノーザンブロット分析に使用した(図4)。野生型個体と比べてDREB1A-bとDREB2A CAの個体の両方で遺伝子11個のmRNAの蓄積が増大した(図4B)。DREB1A-bは、CaMV35Sプロモーターの調節下でDREB1Aを過剰発現する形質転換植物である。DREB1A-b個体は、DREB1A過剰発現体の中で中程度の表現型の変化を示した(Liu et al, 1998 Plant Cell 10, 1391-1406)。AtGolS3はプロモーター領域中にDRE配列を有するが、この遺伝子は低温誘導性であるが乾燥誘導性ではないことが知られている。したがって、この遺伝子のプロモーター領域が乾燥条件下で遺伝子発現を負に制御する新規のシスエレメントを含むと予測される(Taji et al., 2002, Plant J. 29, 417-426)。DREB2A CA個体でのAtGolS3の発現は、対照及び低温処理で強く、乾燥処理で弱かった。このことは、上記した仮説を強く支持するものであり、DREB2A タンパク質はAtGolS3のプロモーター領域と結合することができるが、AtGolS3は、生理的にDREB2Aの標的遺伝子でない可能性がある。At2g02100及びAt1g29395はDREB1Aの標的遺伝子であり、これらがそのプロモーター領域中にDREを有するにもかかわらず、これらの遺伝子の発現は野生型個体と比較して、DREB2A CA個体で発現が増加しなかった。しかし、At1g29395の発現は、野生型個体で乾燥によって誘導された。4個のABREがAt1g 29395のプロモーター領域中に存在し、したがってABAがAt1g29395の乾燥誘導性発現に関与すると思われる。DREB1A-b個体で発現が誘導されず、DREB2A CA個体で発現が誘導された遺伝子に関するノーザンブロット分析の結果を図4Dに示す。これらの遺伝子のほとんどが誘導性であることが示されている。特に、rd29B、At1g52690、At3g09390、At1g69870及びAt1g22985が明確な乾燥特異的遺伝子発現を示した。DREを介するこれらの遺伝子の発現制御がDREB1AではなくDREB2Aによって制御されることが示唆される。At5g54170のプロモーター領域はDRE配列を含まなかったので、この遺伝子の乾燥特異的遺伝子発現は、DREB2Aの間接的な影響である可能性がある。At1g22985は、ERF/AP2ドメインを含む転写因子をコードする。At1g22985のような遺伝子が、At5g54170など、そのプロモーター領域中にDREを含まないDREB2A標的遺伝子を調節すると思われる。At4g33720は、ストレス誘導性の遺伝子発現を示さなかった。さらに、この遺伝子はそのプロモーター領域中にDREを含まなかった。したがって、At4g33720の発現が増大したことは、おそらく恒常的活性型DREB2Aの強い発現の間接的かつ人為的効果である。
5) 恒常的活性型DREB2Aを過剰発現する形質転換シロイヌナズナの凍結及び乾燥ストレス耐性
DREB2A CA個体の凍結及び乾燥ストレス耐性を、DREB1A-b及び野生型個体と比較した(図5)。植物を発芽培地寒天プレート上で3週間育て、次いでそれを土で満たした鉢に移し、22℃で1週間育てた。乾燥ストレス処理では、植物に2週間水を与えずにおいた。次いでそれに水を与え、対照の条件下で3日間育てた。この処理によってすべての野生型個体が枯れたが、DREB1A-b個体の約60%がこの処理で生存した。DREB1A-bの場合と同様に、DREB2A CA個体の62.8%〜83.3%がこの処理で生存した。凍結ストレス処理では、植物を温度-6℃に30時間暴露し、22℃に戻して5日間置いた。この処理によってすべての野生型個体が枯れたが、DREB1A-b個体の約40%がこの処理をしても生存した。乾燥ストレス耐性とは対照的に、DREB2A CA個体の5.0%〜11.7%だけ凍結処理後に残存した。さらに、野生型個体及び形質転換植物(DREB1A-a、DREB2A CA-a、DREB2A CA-b、及びDREB2A CA-c)を一つの鉢に植え、10日間灌水停止した後のその生存について比較した。野生型の植物は10日間の灌水停止後に枯れたが、形質転換植物は健全に生育した。これらの結果から、DREB2Aの標的遺伝子は乾燥ストレスに対する耐性の獲得に重要な役割を果たすが、凍結ストレスに対する耐性には十分でないことが示唆される。
3. 考察
CaMV35Sプロモーターの調節下でDREB1Aを過剰発現させると形質転換植物で表現型の変化が生じるが、DREB2Aの全長cDNAを発現する形質転換植物は、野生型個体とほぼ同じ表現型を示した。したがって、翻訳されたDREB2Aタンパク質は不活性型であり、そのDREB2Aタンパク質はその活性化にある種の改変を必要とすると思われる。
この研究では、DREB2Aタンパク質の転写活性化ドメインがC末端のa.a. 254〜335の領域に存在することが明らかとなっている。この領域とGAL4 DNA結合ドメインの融合タンパク質は、レポーター遺伝子の有意なトランス活性化を示した(図2、GD-DREB2A 254〜335)。これらの結果から、この領域が改変を加えなくても転写活性化能を有し、DREB2Aタンパク質の活性を負に制御する他の領域が存在することが示唆される。実際、a.a.136〜165の領域を欠失させると、DREB2A活性が有意に増大した。このことから、この領域がDREB2Aタンパク質の活性の制御に負の役割を有することが示唆される。そのa.a. 254〜335の領域及びa.a.136〜165の領域は、配列番号3のそれぞれ926〜1171位及び572〜661位によってコードされている。
DREB2A遺伝子のN末端領域中のDNA結合ドメイン及び核局在化シグナル(NLS)も、DREB2Aのトランス活性化の行使に不可欠である。実際、図1に示すDREB2A遺伝子の様々なC末端領域欠失変異体を含むエフェクターコンストラクトは、N末端領域中にDNA結合ドメイン及び核局在化シグナルを含む。また、図2に示すエフェクターコンストラクトも、DREB2A遺伝子の内因性DNA結合ドメイン及びNLSの代わりに、その中にNLSを含む外因性のGAL4 DNA結合ドメインを含む。Liuらは、「DREB1A及びDREB2Aタンパク質の配列と相同な配列についてDNA及びタンパク質のデータベースを検索し、各DREBタンパク質が、タバコのEREBP、及びシロイヌナズナのAP2を含めて、大きなファミリーのDNA結合タンパク質の植物遺伝子に存在する58アミノ酸の保存されたDNA結合ドメインを有することを発見した」と記載している。DREB1A及びDREB2Aの推定されるアミノ酸配列は、その保存されたDNA結合ドメイン以外では有意な配列同一性を示さなかった。しかし、各DREBタンパク質は、核局在化シグナルとして機能する可能性があるそのN末端領域中の塩基性領域、及び転写活性化ドメインとして働く可能性がある酸性のC末端領域を含む。これらのデータから、各DREB cDNAが、植物における転写活性化因子として機能する可能性があるDNA結合タンパク質をコードすることが示唆される。
DREB2AのNLS及びDNA結合ドメインの位置を決定するために、以下の分析及びデータベース検索を行った。PSORTプログラム(http://psort.ims.u-tokyo.ac.jp/)による分析から、DREB2Aタンパク質が、N末端領域に、19アミノ酸位からのRKRK、52アミノ酸位からのKKRKという二つの核局在化シグナル(NLS)を有することが明らかとなった。CDD(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Structure/cdd/cdd.shtml)の検索から、DREB2Aタンパク質が、それぞれa.a. 78〜138、a.a. 77〜137、及びa.a. 79-135領域内に3個のDNA結合ドメインを有することが明らかとなった。
DREB1Aタンパク質及びDREB2Aタンパク質は、同じシスエレメントDREを認識するように思われていた。しかし、この研究で、DREB1A標的遺伝子セットとDREB2A標的遺伝子セットが完全には一致しないことが明らかとなった。さらに、Cor15A及びBはどちらのDREBによっても認識されたが、これらの遺伝子の発現レベルは、DREB1A-b個体とDREB2A CA-aの間で顕著に異なっていた(図4B)。DREBタンパク質間の標的遺伝子セットに関するこの不一致は、おそらく、これら2種の形質転換植物が同じレベルの乾燥ストレス耐性を示したが、DREB2A CA個体の凍結耐性がDREB1A-b個体より弱かったことの原因と考えられる。我々は、以前の報告で、DREB1AとDREB2Aのどちらのタンパク質も同じコア配列のRCCGACを認識することを明らかにした(Sakuma et al., 2002)。しかし、最近、DREB1A標的遺伝子のプロモーター領域の詳細な分析によって、DREB1Aタンパク質がRCCGACxT配列に対して最も高い親和性を有することを解明した(Maruyama et al., 2003)。DREB1AとDREB2Aの標的遺伝子セットが一致しなかった理由を明らかにするために、マイクロアレイ分析での発現レベルが野生型個体と比較してDREB2A CA-a個体では5倍を超えて増大するがDREB1A-b個体では3倍未満しか増大しない遺伝子のATGから上流の500 bp以内のプロモーター領域を分析した。その結果、8個のDRE配列を発見したが、2個(25%)のDRE配列しかRCCGACxT配列を有していなかった。DREB2Aタンパク質は、おそらく、RCCGACxT以外のDRE配列と結合し、DREB1Aでは発現がほとんど調節されない遺伝子の発現を調節することができると思われる。DREB2Aタンパク質の結合に欠くことのできない配列の同定も試みた。しかし、ヌクレオチド量の比率の著しい偏りは観察されなかった。この目標を達成するには、より多くのDREB2A特異的標的遺伝子が必要となのであろう。
DREB2Aの発現は、乾燥及び高塩ストレスによって誘導され、DREB2Aタンパク質は、DREエレメントと特異的に結合する。したがって、DREB2Aは、ABA非依存的な水ストレス誘導性の遺伝子発現に関与するものと予想される。しかし、DREB2Aの過剰発現ではその形質転換植物中にどんな表現型の変化も誘導されなかったので、この仮説を裏付ける明確な証拠は得られなかった。また、DREB2遺伝子ファミリーは、少なくとも2つの構成要素(DREB1A及びDREB2A)からなり、したがって、それらのDREB2遺伝子の機能は重複している可能性がある。さらに、ほとんどの水ストレス誘導性遺伝子は、そのプロモーター領域中にDREもABREも有し、DREB1D/CBF4を介してABAシグナルをDREに伝達することもできる。この研究から、DREB2Aが乾燥ストレス誘導性のシグナル伝達経路に確実に役割を果たすことが明らかに示された。この事実は、環境ストレスに対する植物の耐性を分子的に向上させるための新規の手段を得たことを意味する。
本明細書で引用したすべての刊行物、特許及び特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
シロイヌナズナT87細胞から調製したプロトプラストを用いることによってDREB2Aタンパク質のC末端領域のドメイン分析を行った結果を示す図である。 (A)は、同時トランスフェクション実験で使用したレポーター及びエフェクターコンストラクトの概略図である。 (B)は、DREB1A、DREB2A又はDREB2A のC末端領域欠失変異体によるrd29AプロモーターとGUSの融合遺伝子のトランス活性化を示す。 GAL4結合ドメインと融合したDREB2のC末端領域での転写活性化の結果を示す図である。 (A)は、レポーター及びエフェクターコンストラクトの概略図である。 (B)は、GAL4 DNA結合ドメインと、GAL4活性化領域、又はアミノ酸残基の番号で示されるDREB2Aタンパク質のC末端領域の融合タンパク質によるGAL4結合部位とGUSの融合遺伝子のトランス活性化を示す。 形質転換植物中での恒常的活性型DREB2A過剰発現の効果を示す図である。 (A)は、播種後30日の、35Sと恒常的活性型DREB2A のコンストラクトを有し、生育遅延を示す個体(DREB2A CA-a、b及びc)、35Sと全長DREB2Aコンストラクトを有する個体(DREB2A FL)及びpBI121を有する個体(wt)を示す。 (B)は、5週齢のDREB2A関連形質転換植物間での生育遅延の比較を示す。 (C)は、(B)に示すpBI121を有する個体(wt)及び35S:恒常的活性型DREB2Aを有する個体(DREB2A-a)の近接写真である。 (D)は、形質転換植物中のDREB2A 及びrd29A 遺伝子のRNAゲルブロット分析を示す。 pBI121(wt)、35S:恒常的活性型DREB2A(35S:DREB2A CA)及び35S:DREB1Aコンストラクトを有する個体でのDREB標的遺伝子の発現を示す写真である。 35S:恒常的活性型DREB2A及び35S:DREB1Aコンストラクトを有する個体の凍結及び乾燥耐性を示す図である。 (A)は、ストレス処理前後の植物の写真である。 (B)は、凍結及び乾燥ストレスに暴露した植物の生存率を示す。 (C)は、ひとつの鉢に植えたときの、10日間の脱水状態前後の植物の写真である。

Claims (6)

  1. 植物を組換えベクターで形質転換することを含む、環境ストレスに対する耐性が向上した形質転換植物を生産する方法であって、前記組換えベクターは、
    1)配列番号4で示されるアミノ酸配列の254〜335位、254〜317位、136〜335位、318〜335位、166〜335位及び282〜335位から成る群より選択される位置のアミノ酸配列から成るタンパク質をコードするDNA、
    2)配列番号4で示されるアミノ酸配列において136〜165位のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列から成るタンパク質をコードするDNA、
    3)配列番号3で示される塩基配列の926〜1171位の塩基配列から成るDNA、又は
    4)配列番号3で示される塩基配列において572〜661位の塩基配列が欠失した塩基配列から成るDNA、
    を含む、前記方法。
  2. 前記DNAがストレス応答性プロモーターの下流に機能的に連結されている、請求項1記載の方法。
  3. 前記組換えベクターがDNA結合ドメイン及び核局在化シグナルをコードするDNAをさらに含む、請求項2記載の方法。
  4. 1)配列番号4で示されるアミノ酸配列の254〜335位、254〜317位、136〜335位、318〜335位、166〜335位及び282〜335位から成る群より選択される位置のアミノ酸配列から成るタンパク質をコードするDNA、
    2)配列番号4で示されるアミノ酸配列において136〜165位のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列から成るタンパク質をコードするDNA、
    3)配列番号3で示される塩基配列の926〜1171位の塩基配列から成るDNA、又は
    4)配列番号3で示される塩基配列において572〜661位の塩基配列が欠失した塩基配列から成るDNA、
    を含む、環境ストレスに対する耐性が向上した形質転換植物。
  5. 前記DNAがストレス応答性プロモーターの下流に機能的に連結されている、請求項4記載の形質転換植物。
  6. DNA結合ドメイン及び核局在化シグナルをコードするDNAをさらに含む、請求項5記載の形質転換植物。
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