JP4706050B2 - 改変dreb2a遺伝子を用いた、植物の環境ストレス耐性の制御 - Google Patents
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Description
(1) 配列番号4で示されるアミノ酸配列から136〜165位のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAをストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結して含む形質転換植物。
(2) 前記タンパク質が前記ストレス応答性プロモーターと結合しうるものである、上記(1)に記載の形質転換植物。
(3)前記配列番号4で示されるアミノ酸配列から136〜165位のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質が、全長DREB2Aタンパク質に比較して、レポーター遺伝子のトランス活性化活性を少なくとも3倍増大させるものである、上記(1)に記載の形質転換植物。
(4) 配列番号4で示されるアミノ酸配列から136〜165位のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列からなるDREB2Aタンパク質をコードする単離された核酸分子。
(5) 上記(4)に記載の単離された核酸分子を含むDNAをストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結して含む形質転換植物。
(6) 配列番号4で示されるアミノ酸配列から136〜165位のアミノ酸が欠失した配列を有する単離されたタンパク質。
(7) 配列番号4の254〜335位のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAをストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結して含む形質転換植物。
(8) DNA結合ドメイン及び核局在化シグナルをコードするDNAをさらに含む、上記(7)に記載の形質転換植物。
(9) 前記タンパク質が前記ストレス応答性プロモーターと結合しうるものである、上記(7)に記載の形質転換植物。
(10) 配列番号4の254〜335位のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAを含む形質転換植物。
(11) 前記タンパク質が配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質の非存在下に比較して、レポーター遺伝子のトランス活性化活性を約5倍〜約9倍増大させるものである、上記(10)に記載の形質転換植物。
(12)配列番号4の254〜317位、136〜335位、318〜335位、166〜135位及び282〜335位からなる群から選択される位置のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAをストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結して含む形質転換植物。
(13)DNA結合ドメイン及び核局在化シグナルをコードするDNAをさらに含む、上記(12)に記載の形質転換植物。
(14)配列番号4の254〜335位のアミノ酸配列を含むDREB2Aタンパク質のトランス活性化ドメインをコードする単離された核酸分子。
(15)上記(14)に記載の単離された核酸分子を含むDNAをストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結して含む形質転換植物。
(16)配列番号4の254〜335位のアミノ酸配列を有するDREB2Aタンパク質活性を有する単離されたタンパク質。
(17)136〜165位のアミノ酸が欠失した配列番号4で示されるアミノ酸配列の断片からなるタンパク質をコードするDNAを含む形質転換植物であって、前記断片が254〜335位のアミノ酸配列とDNA結合ドメイン及び核局在化シグナルを含み、前記DNAがストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結していることを特徴とする形質転換植物。
(18)配列番号3で示される塩基配列から572〜661位ヌクレオチド位の領域が欠失した塩基配列を含むDNAをストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結して含む形質転換植物。
(19)前記DNAによってコードされるタンパク質が前記ストレス応答性プロモーターと結合しうるものである、上記(18)に記載の形質転換植物。
(20)前記DNAが前記ストレス応答性プロモーターと結合しうるタンパク質をコードするものである、上記(18)に記載の形質転換植物。
(21)配列番号3で示される塩基配列から572〜661位ヌクレオチド位の領域が欠失した単離された核酸分子。
(22) 上記(21)に記載の単離された核酸分子を含むDNAをストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結して含む形質転換植物。
(23)配列番号3の926〜1171位の塩基配列を含むDNAをストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結して含む形質転換植物。
(24)前記DNAによってコードされるタンパク質が前記ストレス応答性プロモーターと結合しうるものである、上記(23)に記載の形質転換植物。
(25)配列番号3の926〜1171位の塩基配列を含む単離された核酸分子。
(26) 上記(25)に記載の単離された核酸分子を含むDNAをストレス応答性プロモーターの下流に機能しうる態様で連結して含む形質転換植物。
1-1. シロイヌナズナのmRNA及びcDNAライブラリーの調製
mRNAの供給源としては、葉、茎、根、花などシロイヌナズナの植物の一部、又は植物全体を使用することができる。あるいは、シロイヌナズナの種子をGM培地、MS培地、#3培地などの固体培地に播種し、無菌条件下で生育させて得た植物を使用してもよい。シロイヌナズナ個体中のDREB1A遺伝子のmRNAレベルは、低温ストレス(例えば、10〜-4℃)に暴露すると増大する。一方、DREB2A遺伝子のmRNAレベルは、植物を塩ストレス(例えば、150〜250 mMのNaCl)又は乾燥ストレス(例えば、乾燥状態)に暴露すると増大する。したがって、そのようなストレスに暴露したシロイヌナズナ植物を使用してもよい。
例えば、酵母を用いた1ハイブリッドスクリーニング法によってDREB遺伝子をクローニングすることができる。スクリーニングは市販のキット(例えば、Matchmaker 1ハイブリッドシステム: Clontech)を用いて行うことができる。
DREB1A遺伝子及びDREB2A遺伝子は、酢酸リチウム法などにより、上記1-1で得られたcDNAライブラリーで、上記1-2で得られた宿主を形質転換し、得られた形質転換体を、Xgal(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトシド)及び3-AT(3-アミノトリアゾール)を含むLB培地プレートなどに播種・培養後、該プレート上に出現した青色のコロニーからプラスミドを単離することにより得ることができる。
生物は、塩基配列が類似した複数の遺伝子を有することがあり、それらは、単一の遺伝子から進化したと考えられる。そのような遺伝子によってコードされたタンパク質は、互いにホモログと呼ばれる。関連する遺伝子ライブラリーから、塩基配列がすでに知られている遺伝子の一部をプローブとして用いてそれらをクローニングすることができる。本発明において、シロイヌナズナcDNAライブラリーから、上記の1〜3で得られたDREB1AのcDNA又はDREB2AのcDNAをプローブとして用いて、DREB1Aタンパク質又はDREB2Aタンパク質に対するホモログをコードする遺伝子をクローニングすることができる。
上記の1-3又は1-4で得られたプラスミドから、制限酵素を用いてcDNA部分を切り出し、サブクローニング用のpSK(Stratagene)など適当なプラスミドと連結する。次いで、全塩基配列を決定する。配列決定は、マキサム-ギルバートによる化学修飾法、又はM13ファージを用いたジデオキシヌクレオチド鎖終結法などの公知の方法に従って実施できるが、通常は自動塩基配列決定機(例えばPERKIN-ELMER社製373A DNAシークエンサーなど)を用いて配列決定が行われる。
2-1. DREB遺伝子によってコードされるタンパク質のDRE結合能の分析
DREB遺伝子によってコードされるタンパク質(以下、「DREBタンパク質」と呼ぶ)のDRE結合能は、上記タンパク質とGSTから構成される融合タンパク質を用いたゲルシフトアッセイ[Urao, T. et al., The Plant Cell 5:1529-1539 (1993)]を行うことによって確認することができる。DREB1Aタンパク質とGSTからなる融合タンパク質は、以下のようにして調製することができる。まず、2つの遺伝子の読み枠が互いに合致するように、DREB1A遺伝子を、GST遺伝子を含むプラスミド(例えばpGEX-4T-1ベクター: Pharmacia)のGSTコード領域の下流に連結する。得られたプラスミドで大腸菌を形質転換し、融合タンパク質の合成を誘導する条件下で培養する。得られた大腸菌細胞を、例えば超音波処理によって破砕する。遠心によって、破砕した材料から細胞の細片を除去する。次いで、グルタチオン-セファロースなどの担体を用いたアフィニティークロマトグラフィーによって上清を精製し、それにより融合タンパク質を得る。
DREB遺伝子によってコードされるタンパク質の転写活性化能は、シロイヌナズナのプロトプラストの系を用いたトランス活性化実験によって分析することができる。例えば、DREB1AのcDNAを、CaMV35Sプロモーターを含むpBI221プラスミド(Clontech)に連結してエフェクタープラスミドを構築する。一方、上記の1-2で得られた、DREを含む71塩基のDNA領域のカセット3個を直列に結合してDNA断片を調製し、pBI221プラスミド中でβ-グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子の上流に配置したTATAプロモーターの上流に該DNA断片を連結してレポータープラスミドを構築する。その後、これら2つのプラスミドをシロイヌナズナのプロトプラスト中に導入し、GUS活性を測定する。DREB1Aタンパク質の同時発現によってGUS活性が増大することにより、プロトプラスト中で発現したDREB1Aタンパク質が、DRE配列を介してGUS遺伝子の転写を活性化していることがわかる。
遺伝子工学的手法を用いて上記の1で得られた遺伝子を宿主植物中に導入することによって、環境ストレス、特に、低温ストレス(凍結ストレスを含む)、乾燥ストレス及び塩ストレスに対して耐性を有する形質転換植物を作製することができる。宿主植物中に遺伝子を導入する方法としては、アグロバクテリウム感染法などの間接導入法、又はパーティクルガン法、ポリエチレングリコール法、リポソーム法、マイクロインジェクションなどの直接導入法を使用することができる。アグロバクテリウム感染法を使用する場合は、以下の手順によって形質転換植物を作製することができる。
植物中に導入する組換えベクターは、上記の1で得られたDREB1A、DREB1B、DREB1C、DREB2A、又はDREB2B遺伝子を含むDNAを適当な制限酵素で消化し、必要に応じて、得られたDNAに適当なリンカーを連結し、植物細胞のクローニング用ベクター中にDNAを導入することによって調製することができる。クローニング用ベクターとしては、pBI2113Not、pBI2113、pBI101、pBI121、pGA482、pGAH、pBIGなどのバイナリーベクター型プラスミド、又はpLGV23Neo、pNCAT、pMON200などの中間ベクター型プラスミドを使用することができる。
rd29A遺伝子プロモーター[Yamaguchi-Shinozaki, K. et al., The Plant Cell 6:251-264 (1994)]、
rd29B遺伝子プロモーター[Yamaguchi-Shinozaki, K. et al., The Plant Cell 6:251-264 (1994)]、
rd17遺伝子プロモーター[Iwasaki, T. et al., Plant Physiol., 115:1287 (1997)]、
rd22遺伝子プロモーター[Iwasaki, T. et al., Mol. Gen. Genet., 247:391-398 (1995)]、
DREB1A遺伝子プロモーター[Shinwari, Z.K. et al., Biochem. Biophys. Res. Com. 250:161-170 (1988)]、
cor6.6遺伝子プロモーター[Wang, H. et al., Plant Mol. Biol. 28:619-634 (1995)]、
cor15a遺伝子プロモーター[Baker, S.S. et al., Plant Mol. Biol. 24:701-713 (1994)]、
erd1遺伝子プロモーター[Nakashima K. et al., Plant J. 12:851-861 (1997)]、
kin1遺伝子プロモーター[Wang, H. et al., Plant Mol. Biol. 28:605-617 (1995)]。
本発明において、植物宿主とは、植物培養細胞、栽培植物の植物体全体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、根茎、種子等)、又は植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)のいずれをも意味するものである。植物宿主として用いることができる植物としては、シロイヌナズナ、タバコ、イネ、トウモロコシなどが挙げられる。
DREB遺伝子が導入された形質転換植物中のDREB遺伝子の発現レベル及び発現部位は、常法によりその植物の細胞及び組織からRNAを抽出し、当技術分野で知られているRT-PCR又はノーザンブロット分析によりDREB遺伝子のmRNAを検出することによって分析することができる。あるいは、DREBタンパク質に対する抗体を用いたウェスタンブロット法などによってDREBタンパク質を直接分析してもよい。
DREB遺伝子が導入された形質転換植物体内における各種遺伝子のmRNAレベルの変化DREB遺伝子が導入された形質転換植物体内において、DREBタンパク質の作用により、発現レベルが変化したと考えられる遺伝子はノーザン分析によって同定することができる。ノーザン分析においては、DREB遺伝子が導入された形質転換植物と導入されていない植物とを用いて、標的遺伝子と考えられる遺伝子のmRNAレベルを常法に従って、比較することによって検定することができる。
DREB遺伝子が導入された形質転換植物の環境ストレスに対する耐性は、バーミキュライト、パーライトなどを含む土を入れた鉢に植物を植え、乾燥、低温や凍結などの様々なストレスに植物を暴露し、当該植物の生存を調べることによって評価することができる。例えば、乾燥ストレスに対する耐性は、水を与えずに植物を2〜4週間放置し、次いでその生存について調べることによって評価することができる。凍結ストレスに対する耐性は、-6〜-10℃で植物を5〜10日間放置し、20〜25℃でそれを5〜10日間生育させ、次いでその生存率を調べることによって評価することができる。
乾燥及び高塩ストレス誘導性の転写因子であるDREB2Aは、その活性化にある種の改変を必要とすると思われるが、その活性化の機構は明らかとなっていない。DREB2Aのドメイン分析の結果、DREB2Aの転写活性化ドメインがアミノ酸残基254〜335の間に存在し、アミノ酸残基136〜165の間の領域が欠失すると、DREB2Aが恒常的に活性型に転換することが見出された。活性型DREB2Aを構成的に過剰発現する形質転換植物のマイクロアレイ分析から、DREB2Aが多くの水ストレス誘導性の遺伝子発現を制御することが明らかとなった。しかし、DREB2Aの標的遺伝子の一部は、同じシスエレメントを認識するDREB1Aの標的ではなかった。活性型DREB2Aを構成的に過剰発現させると、形質転換植物の凍結耐性がわずかに向上し、乾燥耐性が著しく向上した。
恒常的活性型変異体を用いたシロイヌナズナDREB2Aの機能分析
1. 材料及び方法
1) 植物材料
植物(Arabidopsis thaliana ecotype Columbia)を発芽培地寒天プレート上で3週間生育させた。ノーザン分析では、3週齢の植物にストレス処理を施し、次いでRNA抽出用に液体窒素で凍結させた。ストレス耐性試験では、3週齢の植物を土上に移し1週間生育させた。上記のようにストレス処理を実施した。既報にしたがい、シロイヌナズナT87懸濁培養細胞を維持した(Axelos et al., 1992, Plant Physiol. Biochem. 30, 123-128)。
既報にしたがい、DREB2AのC末端欠失変異体に関する一過性トランス活性化実験で使用するエフェクター及びリポータープラスミドを構築した(Liu et al, 1998 Plant Cell 10, 1391-1406)。また、DREB2AのC末端と融合したGAL4 DNA結合ドメインをコードするエフェクタープラスミド、及びGAL4結合配列を含むレポータープラスミドを上記のように構築した。エフェクタープラスミドの構築に使用する挿入断片は、表1に示すプライマーセット(配列番号11〜62)を用いて、PCRにより増幅した。
アミノ酸残基136〜165の領域を欠失させた変異体DREB2A断片を用いて、シロイヌナズナの形質転換用プラスミドを構築した。トランス活性化実験で使用するΔ136〜165エフェクタープラスミドからNotIでその断片を消化し、pBluescript II SK- (Stratagene)のNotI部位に挿入した。次いで、その断片をプラスミドからEcoRV及びSacIで切り出し、pBE2113Notベクター(Liu et al., 1998)のSmaI-SacI部位にセンス方向にサブクローニングした。構築したプラスミドを、アグロバクテリウムツメファシエンスC58中にエレクトロトランスフォーメーションによって導入した。以上のようにして植物の形質転換を実施した。
TRIZOL試薬(Invitrogen)を使用して、pBI121を有する又は恒常的活性型DREB2Aを過剰発現する3週齢の植物からtotalRNAを単離した。PolyATract mRNA単離システムIII (Promega)を用いてmRNAを調製した。蛍光プローブの調製、マイクロアレイハイブリダイゼーション、及びスキャニングについては以前に記載されている(Seki et al., 2002, Plant J. 31, 279-292)。
TRIZOL試薬を使用してtotalRNAを抽出した。上記のようにノーザンブロット分析を行った。
1) DREB2Aの欠失変異体の転写活性化活性
DREB2AのC末端領域が酸性アミノ酸に富んでいるので、DREB2Aタンパク質の転写活性化ドメインはこの領域に存在すると予測されていた(Liu et al., 1998)。転写活性化ドメインを同定するために、DREB2Aのドメイン分析を詳細に実施した。DREB2Aの様々なC末端領域欠失変異体を含むエフェクターコンストラクトを、DRE配列によって駆動されるβ-グルクロニダーゼ(GUS)レポーターコンストラクトと同時に、シロイヌナズナT87懸濁培養細胞から調製したプロトプラストにトランスフェクトした(図1)。全長DREB2Aを過剰発現させると、何も含まないエフェクター対照の場合と比べてレポーター遺伝子のトランス活性化が5〜9倍高くなった。C末端からアミノ酸残基(a.a.)254までを欠失させると(DREB2A: 1〜253)、DREB2A変異体依存性のトランス活性化が、対照の場合と同じレベルに低下した。その一方で、a.a. 136〜a.a. 253の領域を欠く内部欠失変異体は、全長のDREB2Aと同じレベルのレポーター遺伝子活性化を示した。これらの結果から、転写活性化ドメインがa.a. 254からC末端までの間に存在することが示唆される。
DREB2Aの機能を分析するために、一過性のトランス活性化実験で最も高い活性を示したDREB2A欠失変異体のDREB2AΔ136〜165(図1)を、シロイヌナズナで過剰発現させた。CaMV35Sプロモーター(Mitsuhara et al., 1996)の調節下で恒常的活性型DREB2Aをコードする遺伝子を過剰発現させた。タバコモザイクウイルス(TMV)Ω配列(Gallie et al., 1987)を変異体DREB2A断片の上流に挿入して、転写レベルを増大させた。真空浸透法を用いることによって、55体の形質転換シロイヌナズナ個体を作製した。形質転換T2個体における導入遺伝子の発現レベルをノーザンブロット分析で分析し、それぞれ導入遺伝子の強い発現、中程度の発現、及び弱い発現を示したCA-a、CA -b及びCA -cというDREB2Aの3つの系統をさらなる分析用に選択した。T2形質転換体の生育及びDREB2A標的遺伝子発現について確認した。DREB2A CA個体の生育パターンを、pBI121ベクターを有する対照個体(wt)、及び全長DREB2A cDNAを過剰発現するDREB2A FL個体と比較した。DREB2A CA個体すべてが生育遅延を示した(図3A及びB)。最も重度の生育遅延は、導入遺伝子が強く発現するDREB2A CA-a個体で観察され、導入遺伝子が弱く発現するDREB2A CA-cの生育遅延レベルは軽度であった。対照的に、全長のDREB2Aを過剰発現するDREB2A FLでは生育遅延は観察されなかった。DREB2A CA個体は、円形でわずかに暗緑色の葉を有し、葉柄が短かった。これらの表現型は、DREB2A-cの場合よりDREB2A CA-aで大きく現れた(図3C)。環境ストレス応答性遺伝子rd29Aは、そのプロモーター領域中にDREモチーフを有し、DREB2Aタンパク質が上記のようにこのDRE配列と結合できることが確認されている。rd29A mRNAの蓄積レベルは、恒常的活性型DREB2Aの発現レベルと相関して増大した。
どの遺伝子がDREB2Aの調節下にあるかを理解するため、シロイヌナズナ全長cDNAマイクロアレイを用いることによって、遺伝子約7000個のmRNAの蓄積を野生型個体とDREB2A CA個体の間で比較した。ストレス処理を行わなかったDREB2A CA及び対照個体からそれぞれ単離されたmRNAを用いることによって、Cy3標識cDNA及びCy5標識cDNAのプローブを調製した。これらのプローブをcDNAマイクロアレイとハイブリダイズさせ、遺伝子約7000個の発現プロファイルを分析した。実験は3回反復し、シグナル強度が少なくとも1回の実験で2000を超えた遺伝子についてさらに分析した。野生型個体よりDREB2A CA-a個体で5倍以上大きい発現比率を示した遺伝子を、DREB2A標的遺伝子の候補として選択した(表2)。
DREB2A CA個体の凍結及び乾燥ストレス耐性を、DREB1A-b及び野生型個体と比較した(図5)。植物を発芽培地寒天プレート上で3週間育て、次いでそれを土で満たした鉢に移し、22℃で1週間育てた。乾燥ストレス処理では、植物に2週間水を与えずにおいた。次いでそれに水を与え、対照の条件下で3日間育てた。この処理によってすべての野生型個体が枯れたが、DREB1A-b個体の約60%がこの処理で生存した。DREB1A-bの場合と同様に、DREB2A CA個体の62.8%〜83.3%がこの処理で生存した。凍結ストレス処理では、植物を温度-6℃に30時間暴露し、22℃に戻して5日間置いた。この処理によってすべての野生型個体が枯れたが、DREB1A-b個体の約40%がこの処理をしても生存した。乾燥ストレス耐性とは対照的に、DREB2A CA個体の5.0%〜11.7%だけ凍結処理後に残存した。さらに、野生型個体及び形質転換植物(DREB1A-a、DREB2A CA-a、DREB2A CA-b、及びDREB2A CA-c)を一つの鉢に植え、10日間灌水停止した後のその生存について比較した。野生型の植物は10日間の灌水停止後に枯れたが、形質転換植物は健全に生育した。これらの結果から、DREB2Aの標的遺伝子は乾燥ストレスに対する耐性の獲得に重要な役割を果たすが、凍結ストレスに対する耐性には十分でないことが示唆される。
CaMV35Sプロモーターの調節下でDREB1Aを過剰発現させると形質転換植物で表現型の変化が生じるが、DREB2Aの全長cDNAを発現する形質転換植物は、野生型個体とほぼ同じ表現型を示した。したがって、翻訳されたDREB2Aタンパク質は不活性型であり、そのDREB2Aタンパク質はその活性化にある種の改変を必要とすると思われる。
Claims (6)
- 植物を組換えベクターで形質転換することを含む、環境ストレスに対する耐性が向上した形質転換植物を生産する方法であって、前記組換えベクターは、
1)配列番号4で示されるアミノ酸配列の254〜335位、254〜317位、136〜335位、318〜335位、166〜335位及び282〜335位から成る群より選択される位置のアミノ酸配列から成るタンパク質をコードするDNA、
2)配列番号4で示されるアミノ酸配列において136〜165位のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列から成るタンパク質をコードするDNA、
3)配列番号3で示される塩基配列の926〜1171位の塩基配列から成るDNA、又は
4)配列番号3で示される塩基配列において572〜661位の塩基配列が欠失した塩基配列から成るDNA、
を含む、前記方法。 - 前記DNAがストレス応答性プロモーターの下流に機能的に連結されている、請求項1記載の方法。
- 前記組換えベクターがDNA結合ドメイン及び核局在化シグナルをコードするDNAをさらに含む、請求項2記載の方法。
- 1)配列番号4で示されるアミノ酸配列の254〜335位、254〜317位、136〜335位、318〜335位、166〜335位及び282〜335位から成る群より選択される位置のアミノ酸配列から成るタンパク質をコードするDNA、
2)配列番号4で示されるアミノ酸配列において136〜165位のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列から成るタンパク質をコードするDNA、
3)配列番号3で示される塩基配列の926〜1171位の塩基配列から成るDNA、又は
4)配列番号3で示される塩基配列において572〜661位の塩基配列が欠失した塩基配列から成るDNA、
を含む、環境ストレスに対する耐性が向上した形質転換植物。 - 前記DNAがストレス応答性プロモーターの下流に機能的に連結されている、請求項4記載の形質転換植物。
- DNA結合ドメイン及び核局在化シグナルをコードするDNAをさらに含む、請求項5記載の形質転換植物。
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