JP4705733B2 - 合成樹脂製古竹垣パネル - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、和風庭園等に用いられる合成樹脂製古竹垣パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の合成樹脂製の竹垣パネルとしては、例えば、実公平7−46689号公報や特開平10−159309号公報に記載されているようなものがある。
【0003】
これらの公報等に記載されている従来の竹垣パネルは、緑色や黄土色といった天然の若竹を複数縦割りにして、これら縦割り若竹を複数並設した状態の形状に合成樹脂によって形成したものである。
【0004】
この竹垣パネルは、和風庭園等において間仕切りや、塀や壁面の覆い等として使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、天然の若竹で形成した竹垣パネルでは、間仕切り等に使用している間に枯れてきて灰色がかった褐色(天然竹パネルの使用可能期間の内、この色の状態でいる期間が一番長く、竹垣として一番目にする色)の古竹の趣がでてきて、独特の風情を醸し出すようになってくる。この枯れた天然竹の竹垣パネルは、和風庭園等の雰囲気と相まって重厚で落ち着いた趣を醸し出す一助となる。
【0006】
しかし、従来の合成樹脂製の竹垣パネルは、天然竹垣の一番長い期間の姿(色)を模したものではなく、天然竹垣の施工後まもない少しの期間の状態である緑色や黄土色を模したものであるため、天然竹のように時間の経過に伴なって灰色がかった褐色に変色していくといったことがなく、わび、さびの風情を醸し出すものではなかった。
【0007】
そのため、従来の合成樹脂製の竹垣パネルでは、古い和風庭園等の間仕切り等に使用しようとしても庭園等の他の構築物との色合いや雰囲気と合わず、古い和風庭園等には使用できないのが現状である。
【0008】
本発明は、上記のような点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、種々の和風庭園等に設置したときから天然の古竹で形成した竹垣のような趣を醸し出す合成樹脂製古竹垣パネルを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を有効に達成するために、次のような構成にしてある。すなわち、請求項1に記載の本発明の合成樹脂製古竹垣パネルは、天然古竹を所定長さに切断し、長さ方向に分割して得られる複数の分割竹片を、並設して形成される天然古竹垣パネルの片面側の模様を印刷した所定範囲の全光線透過率のフィルムを、明灰色板状合成樹脂素材の片面に被着し、フィルムを被着した明灰色板状合成樹脂素材を横断面波形状に形成して、上記天然古竹垣パネル風の趣を出すように構成してなる。そして、上記明灰色板状合成樹脂素材は、JISZ−8729(1980)による試験方法でのL*a*b*表色系の表示で、L*:98〜75、a*:−0.3〜0.7、b*:1.5〜3.0の範囲の色である。
これに対し、請求項2に記載の本発明の合成樹脂製古竹垣パネルは、天然古竹を所定長さに切断し、長さ方向に分割して得られる複数の分割竹片を、並設して形成される天然古竹垣パネルの片面側の模様を印刷した所定範囲の全光線透過率のフィルムを、明灰色板状合成樹脂素材の片面に被着し、フィルムを被着した明灰色板状合成樹脂素材を横断面波形状に形成して、上記天然古竹垣パネル風の趣を出すように構成してなる。そして、上記明灰色板状合成樹脂素材は、JIS Z−8729(1980)による試験方法でのL*a*b*表色系の表示で、L*:82.2、a*:−0.1、b*:2.6の色である。
【0010】
請求項3に記載の本発明の合成樹脂製古竹垣パネルは、請求項1又は請求項2に記載の合成樹脂製古竹垣パネルにおいて、フィルムの全光線透過率は、JIS K−7105による試験方法で85〜99%である。
【0011】
請求項4に記載の本発明の合成樹脂製古竹垣パネルは、請求項1又は請求項2に記載の合成樹脂製古竹垣パネルにおいて、フィルムの全光線透過率は、JIS K−7105による試験方法で92%である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付の図に基づいて説明する。
図1〜図4は本発明の合成樹脂製古竹垣パネルに関する図であって、図中符号1は本発明の一例の合成樹脂製古竹垣パネルであり、フィルム2と、明灰色板状合成樹脂素材3によって構成されている。
【0015】
フィルム2は、JIS K−7105による試験方法での全光線透過率85〜99%、好ましくは全光線透過率92%で、厚さ30〜80μmのアクリルフィルムが使用されている。このフィルム2には、天然古竹を所定長さに切断し、更に長さ方向に分割して得られる複数の分割竹片を、長辺側の縁が隣接するようにして並設した天然古竹垣パネル(図示せず)の片面側の模様を印刷してある。この片面側とは、並設された天然古竹の模様の表れている天然古竹垣パネルの表面側(外面側)である。
【0016】
明灰色板状合成樹脂素材3は、JIS Z−8729(1980)、 5.5.1.L*a*b*表色系による測色機が分光測色機 マクベス社製 CE−3100 測色条件が光源 D65 等色関数(視野)10度 による試験方法でのL*a*b*表色系の表示で、L*:98〜75、a*:―0.3〜0.7、b*:1.5〜3.0の範囲の色、好ましくはL*:82.2、a*:−0.1、b*:2.6の色で、合成樹脂によって形成した長方形又は正方形等の板状の部材である。
【0017】
合成樹脂製古竹垣パネル1は、この明灰色板状合成樹脂素材3の片面に上記フィルム2を被着し、上記天然古竹垣パネル(図示せず)で形をとった型に、フィルム2を被着した面を内側にして成形した横断面波形状のものである。
【0018】
上記の合成樹脂製古竹垣パネル1は、一例として次のようにして製造される。すなわち、図3に示すように押し出しダイス4から送り出された明灰色板状合成樹脂素材3は、別の箇所から送り込まれる天然古竹垣パネル(図示せず)の片面模様を印刷したフィルム2と共にサイジングロール5と6の間に挿入されて挟み込まれる。この時、天然古竹垣パネル(図示せず)の片面模様を印刷していない側のフィルム面2aが、明灰色板状合成樹脂素材3の片面3aに当接される。
【0019】
更にこのフィルム2と明灰色板状合成樹脂素材3は、サイジングロール6と7の間に挿入されて挟み込まれる。この場合、各サイジングロール5、6、7は60℃〜100℃位であり、明灰色板状合成樹脂素材3は約200℃〜250℃である。フィルム2と明灰色板状合成樹脂素材3は、各サイジングロール5、6、7に挟み込まれている間に、明灰色板状合成樹脂素材3の温度とロール間の樹脂圧力によって接着される。
【0020】
上記フィルム2を被着した明灰色板状合成樹脂素材3は、更に上記天然古竹垣パネル(図示せず)で形を採った型に、フィルム2を被着した面を内側にして載置される。そして型側から真空吸引によってフィルム2と共に明灰色板状合成樹脂素材3を型側に吸引し、型の形状の横断面波形の合成樹脂製古竹垣パネル1が形成される。
【0021】
また、他の製造方法としては、図4に示すように一方の押出機8から上記パネル1の表層側を形成する上記明灰色の溶融樹脂が押出され、他方の押出機9から上記パネル1のベース層側を形成する黄色又は緑色又は茶色等の溶融樹脂が押出されて、フィードブロック10の中に入り、上記各溶融樹脂は合流して二層の流れとなる。
【0022】
このフィードブロック10からTダイ(フラットダイ)11に流れ込んだ二層の溶融樹脂は、Tダイ11内で所定の厚さ、幅に広げられて二層の状態で押出される。押出された溶融樹脂は、3本の冷却ロール12によって厚さを制御されながら冷却される。この溶融樹脂の表層側の表面には字や模様を印刷してあるフィルム2又はこれらの文字等の印刷されていないフィルム2が、冷却ロール12aに溶融樹脂が噛み込まれる時に同時に挟み込まれ、溶融樹脂の熱で上記表面に接着される。以降の工程は先に説明した製造方法と同様である。
【0023】
上述したような製造方法によって形成された合成樹脂製古竹垣パネル1は、フィルム2面側から見た場合うっすらと透けて見え、明灰色板状合成樹脂素材3の色と、天然古竹垣パネル(図示せず)の片面模様を印刷したフィルム2とによって、天然古竹垣パネルと同様又は酷似した色合いや趣を醸し出す。
【0024】
この合成樹脂製古竹垣パネル1は、和風庭園等の間仕切りや、壁や塀の目隠しとして使用することにより、天然古竹垣パネルと何ら遜色のない趣を醸し出すことができる。
【0025】
なお、本発明の合成樹脂製古竹垣パネルは、明灰色板状合成樹脂素材を横断面波形状に形成した後に、上記フィルム2を円弧の連続する成形した明灰色板状合成樹脂素材の表面に被着したものであってもよい。また、明灰色板状合成樹脂素材は、灰色板状合成樹脂素材に設計変更して本発明の合成樹脂製古竹垣パネルを構成してもよい。また、本発明における天然古竹の所定長さとは、一般的に各々箇所に設置されている竹垣の長さ(高さ)であって、数値的に特に限定された長さではなく、設置する箇所の要望等を考慮して取り決めた長さである。更に本発明の合成樹脂製古竹垣パネルの長さも特に限定されるものではない。勿論、フィルムに印刷される天然古竹の太さ(幅)も特に限定されるものではない。また、フィルムに印刷される天然古竹の種類は、特に限定されるものではなく各種の天然古竹であってよい。
【0026】
【発明の効果】
上記した説明でも明らかなように本発明の合成樹脂製古竹垣パネルは、合成樹脂によって形成した擬似古竹垣パネルではあるが、基材となる明灰色板状合成樹脂素材の灰色が天然古竹垣パネルの模様を施した所定範囲の全光線透過率からなるフィルムによって、外からうっすらと透けて見え、フィルムに施した天然古竹垣パネルの模様と、明灰色板状合成樹脂素材との色とによって、天然古竹垣パネルと何ら遜色のない趣を醸し出す。したがって、従来の合成樹脂製竹垣パネルでは合わなかった古い和風庭園等にも積極的に使用することができる。
そして、明灰色板状合成樹脂素材が、JIS Z−8729(1980)による試験方法でのL*a*b*表色系の表示で、L*:98〜75、a*:−0.3〜0.7、b*:1.5〜3.0の範囲の色であるため、天然古竹垣パネルの模様を施した所定範囲又は所定値の全光線透過率からなるフィルムの上記効果と相まって、天然古竹垣パネルと同様の趣を醸し出すことができる。
これに対し、明灰色板状合成樹脂素材が、JIS Z−8729(1980)による試験方法でのL*a*b*表色系の表示で、L*:82.2、a*:−0.1、b*:2.6の色であれば、天然古竹垣パネルの模様を施した所定範囲又は所定値の全光線透過率からなるフィルムの上記効果と相まって、最も効果的に天然古竹垣パネルと同様の趣を醸し出すことができる。
【0027】
また、フィルムは、JIS K−7105による試験方法での全光線透過率85〜99%の範囲のものを使用することにより、効果的に古竹垣パネルと同様の趣を醸し出すことができる。
【0028】
また、フィルムは、JIS K−7105による試験方法での全光線透過率92%のものを使用することにより、より効果的に古竹垣パネルと同様の趣を醸し出すことができる。
【0031】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例の合成樹脂製古竹垣パネルの斜視図である。
【図2】本発明に係るフィルムと明灰色板状合成樹脂素材との説明図である。
【図3】本発明に係るフィルムと明灰色板状合成樹脂素材との接着過程の一例の説明図である。
【図4】本発明に係る合成樹脂製古竹垣パネルの製造過程を示す説明図である。
【符号の説明】
1 合成樹脂製古竹垣パネル
2 フィルム
3 明灰色板状合成樹脂素材
3a 明灰色板状合成樹脂素材の片面
Claims (4)
- 天然古竹を所定長さに切断し、長さ方向に分割して得られる複数の分割竹片を、並設して形成される天然古竹垣パネルの片面側の模様を印刷した所定範囲の全光線透過率のフィルムを、明灰色板状合成樹脂素材の片面に被着し、フィルムを被着した明灰色板状合成樹脂素材を横断面波形状に形成して、上記天然古竹垣パネル風の趣を出すように構成しているとともに、
上記明灰色板状合成樹脂素材は、JIS Z−8729(1980)による試験方法でのL*a*b*表色系の表示で、L*:98〜75、a*:−0.3〜0.7、b*:1.5〜3.0の範囲の色であることを特徴とする合成樹脂製古竹垣パネル。 - 天然古竹を所定長さに切断し、長さ方向に分割して得られる複数の分割竹片を、並設して形成される天然古竹垣パネルの片面側の模様を印刷した所定範囲の全光線透過率のフィルムを、明灰色板状合成樹脂素材の片面に被着し、フィルムを被着した明灰色板状合成樹脂素材を横断面波形状に形成して、上記天然古竹垣パネル風の趣を出すように構成しているとともに、
上記明灰色板状合成樹脂素材は、JIS Z−8729(1980)による試験方法でのL*a*b*表色系の表示で、L*:82.2、a*:−0.1、b*:2.6の色であることを特徴とする合成樹脂製古竹垣パネル。 - フィルムの全光線透過率は、JIS K−7105による試験方法で85〜99%である請求項1又は請求項2に記載の合成樹脂製古竹垣パネル。
- フィルムの全光線透過率は、JIS K−7105による試験方法で92%である請求項1又は請求項2に記載の合成樹脂製古竹垣パネル。
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