JP4705320B2 - 多層セラミック基板の製造方法 - Google Patents
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例えば、上記収縮抑制シートを除去するため、セラミック粉末、または水とセラミック粉末とを吹き付ける方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、上記収縮抑制シートに対して、アルミナ砥粒を分散した水溶液を圧縮空気を介して吹き付ける方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
即ち、本発明の多層セラミック基板の製造方法(請求項1)は、複数のグリーンシートと、これらのグリーンシートのうち最上層および最下層のグリーンシートの表面および裏面に形成された配線層と、該配線層上で且つ最上層および最下層のグリーンシートの表面および裏面に配置され、上記グリーンシートの焼成温度よりも高い焼成温度を有する焼成収縮抑制シートと、を積層して複合積層体を形成する積層工程と、上記複合積層体を上記グリーンシートの焼成温度で上記焼成収縮抑制シートにより上記グリーンシートの焼成収縮を抑制しつつ焼成する焼成工程と、焼成後の上記複合積層体における未焼成の上記焼成収縮抑制シートを除去する除去工程と、を含み、かかる除去工程は、焼成後の上記複合積層体を冷却媒体中に投入して浸漬し、該複合積層体に対して熱的変化を与えることにより、上記焼成収縮抑制シートを破砕することで行われる、ことを特徴とする。
また、前記「浸漬」は、複合積層体を冷却媒体である冷水などの中に投入する形態である。
更に、本発明には、前記冷却媒体は、水である、多層セラミック基板の製造方法も含まれ得る。
図1は、本発明により製造する多層セラミック基板を得るためのグリーンシートs1〜s3の断面を示す。グリーンシートs1〜s3は、重量比で約1:1のアルミナとガラスとを主成分とし、これらに有機バインダおよび可塑剤を所要量添加して得たセラミックスラリを、ドクターブレード法により、約0.2mmの厚みのシートに成形したものである。
図1に示すように、グリーンシートs1〜s3には、追ってビア導体vとなる複数の導電性ペーストの円柱体vがそれらの表面と裏面との間を貫通している。また、グリーンシートs1〜s3の表面と裏面の少なくとも一方には、追って配線層4〜10となる所定パターンの導電性ペースト4〜10が印刷法などにより形成されている。尚、上記導電性ペーストは、例えばAg粉末を含んでいる。
かかる焼成収縮抑制シートy1,y2は、アルミナを含み且つガラスを含まないか、ガラスの含有量が前記グリーンシートs1〜s3よりも50wt%以上少なく、且つグリーンシートs1〜s3よりも高い焼成温度である。尚、焼成収縮抑制シートy1,y2も、前記同様の方法で厚み約0.3mmのシートに成形したものである。
この結果、グリーンシートs1〜s3は、焼成されてセラミック層S1〜S3となり、これらが一体となったセラミック積層体SSとなる。同時に、前記導電性ペースト4〜10や円柱体vは、燒結して配線層4〜10およびビア導体vとなる。
次に、焼成後の複合積層体fsを25℃において30分以上保持した後、10℃の冷水(冷却媒体)中に投入して浸漬(接触)する(温度変化を与える除去工程)。
この結果、図5に示すように、焼成収縮抑制シートy1,y2は、細かく破砕された多数の破片yhとなって、セラミック積層体SSの表面1および裏面2から自動的に剥離される。即ち、焼成時にセラミック層S1,S3寄りの焼成収縮抑制シートy1,y2に内包された残留応力が、熱的変化による熱衝撃を受けて瞬時に開放されるため、かかる部位の急激な体積膨張により、割れ、破砕、粉砕などを誘発するものと推定される。
この際、セラミック層S1,S3の表・裏面1,2と、かかる表面1および裏面2に位置する配線層(表層電極)4,10とは、上記焼成収縮抑制シートy1,y2が多数の破片yhとなって自ずから剥離するため、損傷を受けない。
以上のような製造方法によれば、除去工程を短時間で効率良く行えると共に、焼成収縮抑制シートy1,y2を自動的に剥離できるため、多層セラミック基板Kの表面1および裏面2や、これらに位置する配線層(表層電極)4,10の損傷を防止できる。従って、寸法精度に優れ且つ表面1および裏面2などが損傷してない多層セラミック基板Kを低コストで確実に製造することが可能となる。
図7に示すように、グリーンシートs4,s5間および表面11には、追って配線層12,14となる所定パターンの導電性ペースト12,14が印刷法などで形成されている。また、配線層12,14間などは、追ってビア導体vとなる導電性ペーストの円柱体vを介して接続される。更に、積層体ss1の表面1側に位置し且つ貫通孔Cの底面に露出する導電性ペースト4上には、例えばAg粉末を含むハンダバンプ5用の導電性ペースト5が設けられる。
次いで、前記複合積層体fsを図示しない焼成炉に入れ、前記グリーンシートs1〜s5の焼成温度(約900℃)で焼成する(焼成工程)。
更に、焼成後の複合積層体fsを25℃において30分以上保持した後、10℃の冷水(冷却媒体)中に投入して浸漬(接触)する(温度変化を与える除去工程)。
以上のような製造方法によっても、除去工程を短時間で効率良く行えると共に、焼成収縮抑制シートy1,y2を容易且つ自動的に除去できると共に、キャビティ付き多層セラミック基板の表面11および裏面2や、これらに位置する配線層(表層電極)12,10などの損傷を防止することができる。従って、寸法精度に優れ且つ表面11および裏面2などが損傷してないキャビティ付き多層セラミック基板を低コストで確実に製造することが可能となる。
例えば、前記配線層4などやビア導体vは、Ag、W、Mo、Cuなどの金属、またはAg−Cu、Ag−Pt、Ag−Pd、Cu−Wなどの合金としても良く、前記各製造方法では、これらの金属粉末または合金粉末を含む導電性ペーストを用いて良い。
また、多層セラミック基板Kなどの裏面2に位置する表層電極の配線層10には、NiメッキおよびAuメッキした表面10に、ハンダボールまたは導体ピンなどをハンダ付けしても良い。
加えて、前記キャビティC付き多層セラミック基板には、複数のキャビティCを形成しても良く、この場合、前記グリーンシートs4,s5に複数の貫通孔cを予め開設しておけば良い。
2………………裏面
4,6〜14…配線層
s1〜s5……グリーンシート
y1,y2……焼成収縮抑制シート
S1〜S5……セラミック層
K………………多層セラミック基板
Claims (1)
- 複数のグリーンシートと、これらのグリーンシートのうち最上層および最下層のグリーンシートの表面および裏面に形成された配線層と、該配線層上で且つ最上層および最下層のグリーンシートの表面および裏面に配置され、上記グリーンシートの焼成温度よりも高い焼成温度を有する焼成収縮抑制シートと、を積層して複合積層体を形成する積層工程と、
上記複合積層体を上記グリーンシートの焼成温度で上記焼成収縮抑制シートにより上記グリーンシートの焼成収縮を抑制しつつ焼成する焼成工程と、
焼成後の上記複合積層体における未焼成の上記焼成収縮抑制シートを除去する除去工程と、を含み、
上記除去工程は、焼成後の上記複合積層体を冷却媒体中に投入して浸漬し、該複合積層体に対して熱的変化を与えることにより、上記焼成収縮抑制シートを破砕することで行われる、
ことを特徴とする多層セラミック基板の製造方法。
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