JP4705250B2 - エンボスエンドレスベルトの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面にエンボスパターンが施され、エンボスシートを製造するために用いられるエンボスエンドレスベルトの製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】
従来から、樹脂シートまたはフィルムの表面に立体的な凹凸模様(エンボスパターン)を形成した、いわゆるエンボスシートが製造されている。
一般に、このようなエンボスシートの製造においては、金属ロールや金属平板の表面にエンボスを形成しておき、これを樹脂シートまたはフィルムの表面に転写する方法や、複数のロールに巻装されたベルトの表面にエンボスを形成した、いわゆるベルトプロセスにより、樹脂シートまたはフィルムの表面にエンボスパターンを形成する方法が採用される。
【0003】
ベルトプロセスを用いた従来の方法として以下のようなものがある。
エンボスパターンを有する彫刻等でベルト表面に模様を形成した金属ベルトを用い、熱と圧力により連続的にエンボスを形成する方法(従来技術1 米国特許
4740258号)。
さらに、金属基板上のポリイミド系樹脂薄膜に凹凸溝を付けるにあたり、薄膜が溶融状態にある間に転写ロールで押圧して表面に凹凸溝を転写する方法(従来技術2 特開平10−337806号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の各従来技術には、以下にあげるような問題がある。すなわち、従来技術1による方法では、金属ベルト面に木目や生地目等の細かな模様を彫刻等の手段で立体模様をつけることは困難または時間がかかり、不経済であるという問題もある。また、金属ベルト表面で樹脂シートにエンボス付けを行う際、加熱により軟化したシートがベルト表面に溶着して、剥離が困難になるとともに無理に剥離した場合シートが破損するという問題もある。
また、従来技術2による方法では、ポリイミド表面への転写時の型再現性が悪いため、細かい模様をつけようとすると押圧時の圧力を高くする必要があり、加工が難しい問題がある。また、型再現性の向上をはかるため、ポリイミドを柔らかくして押圧すると転写ロールにポリイミドが付着して転写効率が悪くなるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、簡便に、迅速に、かつ低コストで製造できるとともに、精密な模様を確実に転写でき、しかもエンボスシート加工時の離型性がよいエンボスエンドレスベルトの製造方法を提供することにある。
【0006】
請求項1に記載のエンボスエンドレスベルトの製造方法は、外面にエンボスパターンが施され、エンボスシートを製造するために用いられるエンボスエンドレスベルトの製造方法であって、エンドレスベルトの外面に熱硬化性樹脂を塗布する塗布工程と、エンドレスベルトの外面に塗布された熱硬化性樹脂を加熱し、半乾燥または半硬化させる半硬化工程と、半乾燥または半硬化させた熱硬化性樹脂に膜状の転写材料を押圧・貼着させる転写工程と、転写材料を貼着させたまま熱硬化性樹脂を加熱し、硬化させる硬化工程と、硬化させた熱硬化性樹脂から転写材料を剥離させる剥離工程とを備え、前記剥離工程で転写材料を剥離することで、外面にエンボスパターンが設けられた熱硬化性樹脂が前記エンドレスベルトの外面にコーティングされたエンボスエンドレスベルトを製造することを特徴とする。
【0007】
ここで、エンドレスベルトには、スチール、ステンレス、銅など金属製の材質のものを採用できる。また、エンドレスベルトが巻装されるロールの数は2以上であれば任意であり、ロールの種類としては、加熱ロール、冷却ロール等適宜選択できる。
そして、塗布工程に使用される熱硬化性樹脂としては、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリアメラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が採用できる。中でもポリイミド樹脂が好ましい。
ポリイミド樹脂としては、非熱可塑性ポリイミド、熱可塑線状ポリイミド、熱硬化性ポリイミド、変性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド等を採用できる。
【0008】
さらに、熱硬化性樹脂を半乾燥または半硬化の状態にするための半硬化工程においては、加熱手段が必要である。加熱手段は、エンドレスベルトの内側、外側の一方から行う場合、または両側から行う場合等、適宜選択できるが、ベルトの内側から加熱することが好ましい。
ベルトの内側から加熱することで、加熱されたエンドレスベルトに固着したシートを直接加熱することができ、加熱効率を向上できる。
【0009】
ここで、エンドレスベルトの内側からの加熱手段としては、例えば、ベルトが巻装される複数のロールのうち少なくとも1つを加熱ロールとする方法や、ベルト内側に設置された電熱ヒータ等で加熱する方法等が挙げられる。一方、ベルト外側からの加熱手段としては、例えば、外側に設置された電熱ヒータ等で加熱する方法や、ベルト外側に設けられたニップロールを兼ねた加熱ロール等でシートを直接加熱する方法等が挙げられる。
その他、熱風による加熱等を適宜組み合わせて加熱効率を向上させることも可能である。
【0010】
また、転写工程において、熱硬化性樹脂に転写するパターンを備える転写材料としては、布地、レース地、エンボスペーパー、樹皮、金網、木の葉、畳おもて等種々の材料を採用することができる。
さらに、転写工程において熱硬化性樹脂の膜に転写材料を押圧する際の加圧手段としては、例えば、エンドレスベルトの外側に設けられたニップロールで、シートをエンドレスベルト側に押圧する方法等を採用できる。
【0011】
そして、硬化工程においても、半硬化工程と同様に加熱手段が必要であるが、半硬化工程よりも高温に設定できるものであれば、前記と同様の加熱手段を採用できる。
【0012】
また、剥離工程において、エンボス加工した熱硬化性樹脂から転写材料を剥離させなければならないが、その手段としては、エンドレスベルトを冷却する冷却手段を備え、その冷却手段によって熱硬化性樹脂を冷却するとともにエンドレスベルトの外側に設けられた剥離ロールを用いて冷却された熱硬化性樹脂上に位置する転写材料を巻き取って剥離させる方法が採用できる。
冷却手段としては、例えば、金属製エンドレスベルトが巻装されるロールを冷却ロールとする方法や、ベルト外側に冷却ロールを設ける方法等を採用できる。
【0013】
この発明によれば、半乾燥または半硬化した熱硬化性樹脂にエンボスパターンを転写するため熱硬化性樹脂上にエンボスパターンを保持させやすく、このまま冷却することで、精密な模様を確実に転写することができる。
また、転写材料を貼着・押圧してエンドレスベルト上にコーティングされた熱硬化性樹脂にエンボスパターンを転写する方法を採用しているため、エンドレスベルト上またはコーティングされたポリイミドに直接彫刻するのと比較して、簡便に、迅速に、かつ低コストで、エンボスエンドレスベルトを製造することができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のエンボスエンドレスベルトの製造方法において、前記塗布工程で塗布する熱硬化性樹脂は液状ポリイミドであることが好ましい。
この発明によれば、塗布した液状ポリイミドを半乾燥または半硬化しエンボスパターンを転写するためポリイミド上にエンボスパターンを保持させやすく、このまま冷却することで、精密な模様を確実に転写することができる。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載のエンボスエンドレスベルトの製造方法において、前記液状ポリイミドの固形分濃度は、33重量%以上であること特徴とする。
【0016】
ここで、液状ポリイミドの溶媒には、ポリイミドを分散させる溶媒ならば任意の溶媒を採用することができる。
また、固形分濃度が33重量%未満の場合には、溶媒が多すぎるため、残留溶媒が揮発することにより、ポリイミドとエンドレスベルトとの界面が剥離して、転写性が悪くなる。また、溶液の粘度が低くなるため、転写したエンボスパターンをポリイミドが保持することが困難になる。
しかしながら、固形分濃度が33重量%以上の場合には、溶媒が少ないため、ポリイミドとエンドレスベルトとの界面が剥離し、転写性が悪くなるという虞はない。また、溶媒が揮発することなく溶液の粘度が高いため、転写したエンボスパターンをポリイミドが保持することができ、転写性を高めることができる。
【0023】
本発明の被加工物となるシートを構成する熱可塑性樹脂としては、任意の熱可塑性樹脂を採用することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、2種類以上のオレフィンの共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、アイオノマー等を採用できる。
なお、熱可塑性樹脂中には、必要に応じて、充填剤(炭酸カルシウム、タルク等)、滑剤、帯電防止剤、可塑剤、着色剤、熱分解型発泡剤等を含有させておいてもよい。
【0024】
以上のようなシートは、2種以上のシートを積層してエンボス加工してもよく、予め積層したシートをエンドレスベルト上に供給してもよい。
また、予め積層する方法としては、例えば、熱ラミネート、ドライラミネート等のラミネート法、共押出法、カレンダ法等を用いることができる。
なお、本発明におけるシートは、厚さが相対的に薄いフィルムをも含む概念である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係るエンボスエンドレスベルト10の製造に用いられる製造装置1が示されている。
製造装置1は、所定間隔を開けて配置された第1加熱ロール110、第2加熱ロール111および冷却ロール120と、これら各ロール110、111、120に巻装されたエンドレスベルト10Aと、バーコータ30と、押出し機40と、ニップロール50および剥離ロール60とを備えて構成されている。
【0027】
ここで、加熱ロール110、111は、ヒータ等の加熱手段が内蔵されており、その表面温度は、調節可能である。
また、冷却ロール120は、水冷式等の冷却手段が内蔵されており、その表面温度は、調節可能である。
なお、これら各ロールの内の少なくとも一つは、モータ等の回転駆動手段と連結され、回転可能にされている。
【0028】
エンドレスベルト10Aは、ステンレス鋼から形成され、その表面には、凹凸のエンボスパターンを形成するポリイミド10Bがコーティングされる。
このポリイミド10Bは、溶媒に分散したポリイミドからなり、その濃度は、33重量%以上が好ましい。また、その粘度は、40〜700 Poise が好ましい。粘度が40Poise未満ならば、ポリイミド10Bが柔らかくなりすぎて、エンボスパターンを転写しても保持できないという虞があり、700 Poiseより大きければ、ポリイミド10Bが硬くなりすぎて、エンボスパターンを転写する際の押圧に余分な力が必要になるという虞がある。
【0029】
ポリイミド10Bをコーティングする際に、押出し機40から、液状のポリイミド10Bを押し出し、または粘度が低い場合には、流し込み、バーコータ30で所定の厚さに調節する。押出し機40は、対象物の粘度が高い場合に押し出す機能を備えているものならば、好ましい。本実施形態では、ポリイミド10Bを押し出す機能を備えた押出し機40を使用している。
また、バーコータ30は、ポリイミド10Bを所定の厚さに調節するためプラスチックやゴム製等の部材が好ましい。本実施形態では、プラスチック製のバーコータ30を使用している。
【0030】
また、ニップロール50は、ゴムにより形成され、その外周面にシリコーンゴム製の表面材が装着されている。ニップロール50は、第1加熱ロール110に適当な圧力で押圧するように調整されている。ここでニップロール50と第1加熱ロール110とにより、エンボスパターン転写時の加圧工程が行われる。なお、上記押圧力は、樹脂シートの厚さ、幅、樹脂の材質等に応じて適宜設定することができる。
さらに、剥離ロール60も、ゴムにより形成され、その外周面にシリコーンゴム製の表面材が装着されている。
【0031】
図1の製造装置1を用いた本実施形態に係るエンボスエンドレスベルト10の製造方法を説明する。上述した製造装置1によるエンボスエンドレスベルト10の製造方法を図1〜3に基づいて説明する。
(1)押出し機40により、矢印方向に動作しているエンドレスベルト10A上に液状のポリイミド10Bを塗布する。その際、バーコータ30によって、ポリイミド10Bの厚さを約300μmに調節する(塗布工程)。
(2)第1加熱ロール110、第2加熱ロール111の温度を昇温し、冷却ロール120は、冷却機能をOFFして,エンドレスベルト10Aの回転速度を調節し、1時間、エンドレスベルト10Aを回転させ、エンドレスベルト10A上にコーティングされたポリイミド10Bを乾燥させ、半硬化させた(半硬化工程)。
【0032】
図2には、図1に加えて、ニップロール50側に、転写材料70を送り出すための送り出しロール51が備えられ、剥離ロール60側には、送り出しロール51からエンドレスベルト10A上にコーティングされたポリイミド10B上に貼着された転写材料70を巻き取るための巻き取りロール61が備えられている。
【0033】
(3)半硬化したポリイミド10Bに送り出しロール51から送り出されるエンボスパターンをエンボス加工面に備えた転写材料70をニップロール50とエンドレスベルト10Aの間を挿通させて押圧・貼着させる(転写工程)。
【0034】
(4)その後、第1加熱ロール110、第2加熱ロール111の温度をさらに昇温し、エンドレスベルト10Aの回転速度を調節し、1時間、エンドレスベルト10Aを回転させ、エンドレスベルト10A上にコーティングされたポリイミド10Bを硬化させる(硬化工程)。
【0035】
(5)さらに、硬化したポリイミド10Bから貼着させた転写材料70を剥離ロール60とエンドレスベルト10Aの間を挿通させて引き剥がす(剥離工程)。
【0036】
図3には、図2からバーコータ30と押出し機40が取り除かれている。剥離工程が終わった後に、製造装置1からバーコータ30と押出し機40を取り外す。
【0037】
(6)そして、第1加熱ロール110、第2加熱ロール111の温度を昇温し、エンドレスベルト10Aの回転速度を調節し、1時間、エンドレスベルト10Aを回転させ、エンドレスベルト10A上にコーティングされたポリイミド10Bをさらに完全に硬化させる。
以上で、エンボスパターンが形成されたポリイミド10Bがエンドレスベルト10A上にコーティングされているエンボスエンドレスベルト10が完成する。
【0038】
このようにして製造されたエンボスエンドレスベルト10は、そのままエンボスシート製造装置として利用される。図4では、このエンボスエンドレスベルト10を備えた製造装置1が示されている。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
製造装置1は、所定間隔を開けて配置された第1加熱ロール110、第2加熱ロール111および冷却ロール120と、これら各ロール110、111、120に巻装されたエンボスエンドレスベルト10、ニップロール50、送り出しロール52、剥離ロール60および巻き取りロール62とを備えて構成されている。
【0039】
ここで、送り出しロール52には、本発明の被加工物となるシート71が巻かれており、ここからニップロール50とエンボスエンドレスベルト10の間を挿通し、押圧することによって、エンボスエンドレスベルト10上のエンボスパターンをシート71に転写する。本実施形態では、シート71はポリプロピレンシートを採用している。
さらに、巻き取りロール62には、エンボスパターンを転写されたシート71を剥離ロール60とエンボスエンドレスベルト10の間を挿通して、さらに、引き剥がす。
【0040】
図4の製造装置1を用いた本実施形態に係るエンボスシート72の製造方法を説明する。
(7)まず、第1加熱ロール110と、第2加熱ロール111の温度を昇温し、冷却ロール120で冷却する。エンボスエンドレスベルト10の回転速度を調節する。
(8)その後、送り出しロール52に巻かれているシート71をニップロール50とエンボスエンドレスベルト10の間を挿通し、押圧することによって、エンボスエンドレスベルト10上のエンボスパターンをシート71に転写する。
(9)さらに、エンボスパターンが転写されたシート71を剥離ロール60とエンボスエンドレスベルト10の間を挿通させて引き剥がす。
以上でエンボスシート72が完成する。得られたエンボスシート72は、図5に示すように、凹凸のエンボスパターンを構成するエンボス加工面72Aを備える.
【0041】
上述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
まず、半硬化したポリイミド10Bにエンボスパターンを転写するためポリイミド10B上にエンボスパターンを保持させやすく、精密な模様を確実に転写することができる。
また、転写材料70を貼着・押圧してエンドレスベルト10A上にコーティングされたポリイミド10Bにエンボスパターンを転写する方法を採用しているため、エンドレスベルト10A上またはコーティングされたポリイミドに直接彫刻するのと比較して、簡便に、迅速に、かつ低コストで、エンボスエンドレスベルト10を製造することができる。
【0042】
さらに、硬化したポリイミド10Bのエンボスパターンを被加工物であるシート71に転写するため、エンボスシート加工時のエンボスシート72の剥離時に、ポリイミド10Bにエンボスシート72が付着することなくエンボスシート72を剥がすことができる製品価値の高いエンボスシート72を製造することができる。
そして、エンボスエンドレスベルト10の製造装置1の大部分の部品(加熱ロール110、111、冷却ロール120など)を引き続き、エンボスシート72の製造装置1として使用できるので、別の装置でエンボスエンドレスベルトを製造し、エンボスシート製造装置に取り付けるのと比較して、簡便に、迅速に、かつ低コストで、エンボスシート72を製造することができる。
【0043】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれるものである。例えば、エンドレスベルト10Aとしては、前記実施形態では、ステンレスを採用していたが、これに限られず、スチール、銅など金属製の材質のものを採用できる。
また、熱硬化性樹脂として、前記実施形態では、ポリイミド10Bを採用していたが、これに限られず、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリアメラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の他の熱硬化性樹脂を採用できる。
【0044】
また、加熱ロール110,111としては、前記実施形態では、電熱ヒータを内蔵した加熱ロールを採用していたが、これに限られず、外側に設置された電熱ヒータ等で加熱する方法や、ベルト外側に設けられたニップロール50を兼ねた加熱ロール等でシート70を直接加熱する方法等を採用できる。
【0045】
さらに、被加工物となるシート71としては、前記各実施形態では、ポリプロピレンシートを採用していたが、これに限られず、ポリエチレン等の他の熱可塑性樹脂シート、または、前記熱可塑性樹脂を複数積層した樹脂シート等を採用できる。
その他、本発明を実施する際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造等としてもよい。
【0046】
【実施例】
上記実施形態において、エンボスエンドレスベルトおよびエンボスシートの製造の具体的条件を下記の通りとした。
エンボスエンドレスベルトの製造
エンドレスベルト10Aの周長:2000mm
加熱ロール、冷却ロールの内径:250mm
塗布するポリイミド10B:宇部興産(株)製FS−510T
塗布するポリイミド10Bの粘度10B:351 Poise
塗布するポリイミド10Bの固形分濃度:66.3重量%
加熱ロール110、111の温度(図1):80℃
加熱ロール110、111の温度(図2):150℃
加熱ロール110、111の温度(図3):170℃
エンドレスベルト10Aの回転速度(図1,図2、図3):1m/min
転写したエンボスパターン:花柄レース模様
【0047】
得られたエンボスエンドレスベルト10のポリイミド10B側の表面には、正確に花柄レース模様が転写されていた。
【0048】
エンボスシートの製造
使用するシート71:ポリプロピレン(出光石油化学(株)製F−744NP)
加熱ロール110の温度(図4):170℃
加熱ロール111の温度(図4):200℃
冷却ロール120の温度(図4):常温の水で冷却
エンボスエンドレスベルト10の回転速度(図4):2m/min
【0049】
得られたエンボスシート72のエンボス加工面側には、花柄レース模様が正確に転写されていた。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、半乾燥または半硬化した熱硬化性樹脂にエンボスパターンを転写するため熱硬化性樹脂上にエンボスパターンを保持させやすく、精密な模様を確実に転写することができる。
また、転写材料を貼着・押圧してエンドレスベルト上にコーティングされた熱硬化性樹脂にエンボスパターンを転写する方法を採用しているため、エンドレスベルト上またはコーティングされたポリイミドに直接彫刻するのと比較して、簡便に、迅速に、かつ低コストで、エンボスエンドレスベルトを製造することができるという効果がある。
さらに、硬化した熱硬化性樹脂のエンボスパターンを被加工物であるシートに転写するため、エンボスシート加工時のエンボスシートの剥離時に、熱硬化性樹脂にエンボスシートが付着することなくエンボスシートを剥がすことができる製品価値の高いエンボスシートを製造することができるエンボスエンドレスベルトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエンボスエンドレスベルトの製造方法の塗布工程、半硬化工程を示す図である。
【図2】本発明に係るエンボスエンドレスベルトの製造方法の転写工程、硬化工程、剥離工程を示す図である。
【図3】本発明に係るエンボスエンドレスベルトの完成した状態を示す図である。
【図4】本発明に係るエンボスシートの製造装置を示す図である。
【図5】本発明に係るエンボスシートを示す図である。
【符号の説明】
1 製造装置
10 エンボスエンドレスベルト
10A エンドレスベルト
10B ポリイミド
30 バーコータ
40 押出し機
50 ニップロール
60 剥離ロール
70 転写材料
71 シート
72 エンボスシート
110,111 加熱ロール
120 冷却ロール

Claims (3)

  1. 外面にエンボスパターンが施され、エンボスシートを製造するために用いられるエンボスエンドレスベルトの製造方法であって、
    エンドレスベルトの外面に熱硬化性樹脂を塗布する塗布工程と、
    エンドレスベルトの外面に塗布された熱硬化性樹脂を加熱し、半乾燥または半硬化させる半硬化工程と、
    半乾燥または半硬化させた熱硬化性樹脂に膜状の転写材料を押圧・貼着させる転写工程と、
    転写材料を貼着させたまま熱硬化性樹脂を加熱し、硬化させる硬化工程と、
    硬化させた熱硬化性樹脂から転写材料を剥離させる剥離工程とを備え、
    前記剥離工程で転写材料を剥離することで、外面にエンボスパターンが設けられた熱硬化性樹脂が前記エンドレスベルトの外面にコーティングされたエンボスエンドレスベルトを製造する
    ことを特徴とするエンボスエンドレスベルトの製造方法。
  2. 請求項1に記載のエンボスエンドレスベルトの製造方法において、
    前記塗布工程で塗布する熱硬化性樹脂は液状ポリイミドである
    ことを特徴とするエンボスエンドレスベルトの製造方法。
  3. 請求項2に記載のエンボスエンドレスベルトの製造方法において、
    前記液状ポリイミドの固形分濃度は、33重量%以上である
    こと特徴とするエンボスエンドレスベルトの製造方法。
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