JP4704277B2 - 高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法 - Google Patents
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Description
すなわち、ステーブクーラー同士の間隙に充填される不定形耐火物には、高炉内の装入物の荷下がりによる摩耗に耐えるために高強度、炉内の高温ガスや溶融物との反応に耐えるために耐熱性及び耐食性、更にステーブクーラーとしての冷却効果を高めるために高熱伝導性等の諸特性が要求される。一方、ステーブクーラーと高炉鉄皮との空隙に充填される不定形耐火物には、高炉鉄皮への熱負荷を軽減するために低熱伝動性、炉内ガスの侵入を防止するために亀裂や収縮を起こさない容積安定性等の諸特性が要求される。このように、ステーブクーラー同士の間隙に充填される不定形耐火物と、ステーブクーラーと高炉鉄皮との空隙に充填される不定形耐火物としては、特に熱伝動性において相反する特性が必要になるため、それぞれ異なる材質の不定形耐火物の使用を余儀なくされていた。なお、最近では、不定形耐火物の材料及び施工技術の開発、更には、高炉の操業技術の開発等により、例えば、高炉炉体の朝顔部より上の位置においては、ステーブクーラー同士の間隙に充填する不定形耐火物と、ステーブクーラーと高炉鉄皮との空隙に充填する不定形耐火物に同じ材質及び性状を有する不定形耐火物を用いることが一部試みられている。
すなわち、特許文献1に記載された発明では、ステーブクーラーの側面にシール板を取付けるための溝加工が必要となり、この溝加工のために総コストが上昇する。高炉のステーブクーラー同士の間隙及びステーブクーラーと高炉鉄皮との空隙に充填する不定形耐火物の材質はそれぞれ異なるため、先ず、炉内側ステーブクーラーの表面よりシール板までは高熱伝導性のスタンプ材を充填し、高炉鉄皮内側からシール板までには低熱伝導性のキャスタブルを充填することが開示されている。しかしながら、スタンプ材の充填は、高炉の内部に人が入って行なう必要があるが、休風時の炉内は200℃以上で、かつ高炉ガスの雰囲気となっており、炉内作業を伴うスタンプ材の充填施工は事実上不可能であるという問題が生じる。また、ステーブクーラーの取り替え時、取り替え対象となるステーブクーラーの隣の既設ステーブクーラーに溝加工が施されていない場合、高炉内部に人が入って既設ステーブクーラーに溝加工を行なう必要が生じ、炉内作業を伴うため事実上不可能である。そして、既設ステーブクーラーに溝加工が施されていたとしても、取り替えを行なうステーブクーラーの製作誤差、取り替え後のステーブクーラーの据え付け誤差等により、隣接するステーブクーラーとの溝の位置がずれることとなり、かつ、シール板の溝への配設は炉内作業となるため、シール板の配設は事実上不可能であり、ステーブクーラーの取り替えができないという問題が生じる。
前記ステーブクーラーの側部に袋体を設け、該袋体を膨張させて前記間隙の少なくとも炉内開口側を塞ぎ、前記空隙内及び炉内開口側が塞がれた前記間隙内に前記不定形耐火物を充填する。
請求項3記載の高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法においては、ステーブクーラー群の周囲及びステーブクーラー同士の間隙を袋体で容易にシールできるので、高炉の新設や改修を能率よく行なうことができる。
請求項6記載の高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法においては、袋体内に充填材を圧送して膨張させるので、ステーブクーラー同士の間隙の炉内開口側を充填材で塞ぐことができ、ステーブクーラーの損傷を抑制して高炉寿命を延長することができる。
請求項8記載の高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法においては、袋体内には不定形耐火物を0.05MPa以上1.0MPa以下の圧力で圧送するので、袋体内の不定形耐火物に0.05MPa以上1.0MPa以下の内圧を発生させて、充填された不定形耐火物中の液体と気体を袋体を介して外部に容易に逃がすことができ、不定形耐火物の固化時間が短縮すると共にその充填率を向上させることができる。
ここで、図1は本発明の第1の実施の形態に係る高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法を適用して取り替えたステーブクーラーの設置状態を示す正面図、図2は同充填方法を適用して取り替えたステーブクーラーの設置状態を示す側断面図、図3は同充填方法を適用してステーブクーラーを取り替える際にステーブクーラーの周囲に取付けた袋体の状態を示す斜視図、図4は同充填方法の流れ図、図5は同充填方法において使用するキャスタブルの圧入装置の説明図、図6は同充填方法の変形例において隣り合う2つのステーブクーラーを取り替える際の袋体の取付け状態を示す正面図、図7は本発明の第2の実施の形態に係る高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法の流れ図、図8は同充填方法を適用して新設高炉の炉壁に配設するステーブクーラーへの袋体の取付け状態を示す正面図である。
先ず、損傷したステーブクーラーの背面側に存在する複数の炉内点検口23、23a(図5参照)を利用して、損傷したステーブクーラーの側部周囲及びステーブクーラーと高炉鉄皮10との間にそれぞれ充填された不定形耐火物を除去する。次いで、炉内点検口23から不定形耐火物の除去により形成された開口部を介して高炉内にワイヤー引き寄せ部材を差し込み、高炉の図示しない炉頂開口部から高炉内に吊り下げた昇降ワイヤー及びガイドワイヤーをワイヤー引き寄せ部材で引き寄せて損傷したステーブクーラーに連結し、このステーブクーラーを昇降ワイヤー及びガイドワイヤーで吊り上げて炉頂開口部より炉外に搬出する。また、図3に示すように、取付けるステーブクーラー13の周囲に袋体14を巻き付け接着剤で固定する。更に、袋体14の端末部24に取り出し紐25を取付ける(以上、準備工程)。
次いで、混練機33内にキャスタブルを投入し、所定量の水を加えて混練し、キャスタブルを流動状態にする。そして、流動状態になったキャスタブル19aを圧送機34に供給し、0.05MPa以上1.0MPa以下の圧力を加えて流入配管35及び耐火物圧入金物27を介して袋体14内に圧送する。袋体14内に圧送されたキャスタブル量に応じて袋体14は徐々に膨張を始める。
例えば、袋体、第1の袋部、第2の袋部として先端部が予め閉じられたものを使用したが、筒状シームレス織布の一端側に筒状シームレス織布と同材質の部材で形成した閉塞用キャップを取付けて一端側を閉塞することで、袋体、第1の袋部、第2の袋部をそれぞれ形成することもできる。また、袋体、第1の袋部、第2の袋部をアラミド繊維を使用して形成したが、流動状態のキャスタブルを圧入した際に、キャスタブルの圧送圧力に耐え、キャスタブルは透過させず、好ましくは気液透過性を有し、更に、200〜500℃程度の温度に耐えられる耐熱性を有する材質であれば、いずれでも使用することができる。
また、袋体内に充填する不定形耐火物と、ステーブクーラーと高炉鉄皮との空隙及び炉内開口側が塞がれた間隙内に充填する不定形耐火物を同一材質のキャスタブルとしたが、袋体内には、高強度、耐熱性、耐食性、及び高熱伝導性に優れた別の材質のキャスタブルを充填しても、キャスタブルの代りに高強度、耐熱性、耐食性、及び高熱伝導性に優れた圧入材を充填することもできる。
更に、袋体を耐熱及び気密性の材質(例えば、耐熱ゴム)で形成し、空気を充填して膨張させて間隙の炉内開口側を塞ぎ、ステーブクーラーと高炉鉄皮との空隙及び炉内開口側が塞がれた間隙内に不定形耐火物を充填することもできる。
Claims (8)
- 内側に複数のステーブクーラーが設けられた高炉の隣り合う前記ステーブクーラーの間隙及び前記ステーブクーラーと高炉鉄皮との空隙に不定形耐火物を充填する高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法において、
前記ステーブクーラーの側部に袋体を設け、該袋体を膨張させて前記間隙の少なくとも炉内開口側を塞ぎ、前記空隙内及び炉内開口側が塞がれた前記間隙内に前記不定形耐火物を充填することを特徴とする高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法。 - 請求項1記載の高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法において、前記袋体は、前記高炉の炉壁中に設置される前記ステーブクーラーの周囲に取付けられていることを特徴とする高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法。
- 請求項1記載の高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法において、前記袋体は、隣接して配置される複数の前記ステーブクーラーからなるステーブクーラー群の外周に取付けられる第1の袋部と、前記ステーブクーラー群の各ステーブクーラーの間隙に配置される第2の袋部とを有していることを特徴とする高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法において、前記袋体の自由膨張時の断面形状は、円形、楕円形、正方形、及び長方形のいずれか1であることを特徴とする高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法において、前記不定形耐火物はキャスタブルであることを特徴とする高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法において、前記袋体内に前記ステーブクーラーと前記高炉鉄皮との空隙に充填する不定形耐火物と同一の不定形耐火物又は別の不定形耐火物からなる充填材を圧送して膨張させることを特徴とする高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法。
- 請求項6記載の高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法において、前記袋体は、前記充填材に含有されている液体及び気体を透過させる気液透過性を有することを特徴とする高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法。
- 請求項6及び7のいずれか1項に記載の高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法において、前記充填材は、0.05MPa以上1.0MPa以下の圧力で前記袋体内に圧送されることを特徴とする高炉のステーブクーラー周辺への不定形耐火物の充填方法。
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