JP4703420B2 - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に使用されるトナーに関し、特に、オフセット印刷用紙上にトナー画像を安定して形成することが可能なトナーに関する。
複写機やプリンタなどの電子写真方式による画像形成技術の分野では、デジタル技術の進展に伴い、最近では1200dpi(dpi;1インチあたりのドット数、1インチ=2.54cm)レベルの微小なドット画像を正確に再現させるレベルの技術が要求される様になってきた。そのために、トナー粒子の小径化検討は加速され、重合トナーとも呼ばれるケミカルトナーにより、微小なドット画像を忠実に再現することが可能な小径トナーの開発を可能にした(例えば、特許文献1参照。)。
その結果、オフセット印刷レベルの高精細な画像形成も可能になったことに加え、版を起こす手間をかけずにプリント作成ができるという迅速性がビジネスチャンスを拡大し、最近では一部の商用軽印刷分野でオフセット印刷との競合が始まっている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、オフセット印刷と電子写真方式とでは、出力用紙の設計が大きく異なるものである。例えば、電子写真方式用の紙は、静電転写性を重視するため抵抗を制御し吸湿性を極力排除するように設計されているが、オフセット印刷用の紙は「浸し水」がのりやすいように水との親和性が得られるように設計されている。そこで、電子写真方式の画像形成にも使用可能なオフセット印刷用の紙の開発も検討され、耐水化剤や水溶性高分子でセルロース繊維間の結合性を改良してトナー画像形成にも使用できる様にしたオフセット印刷用用紙も開発されるようになった(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、オフセット印刷用の紙に加熱定着処理を行うと紙中の水分量が変化してカールの発生やトナーブリスタと呼ばれるミクロレベルの水蒸気噴出現象等の問題が発生した。これらの現象は、特に、表面処理の行われていない非塗工紙で顕著に見られた。その理由は、紙繊維の強度を確保するために添加されているカチオン化澱粉やポリビニルアルコールなどの親水性化合物の影響によるためと推測される。
また、オフセット印刷用の光沢塗工紙は、融点が100〜160℃のワックスやポリアクリルアミドなどの樹脂エマルジョンで形成される光沢層が表面に存在するため、表面層が定着時の加熱で破壊され易く、白地の光沢劣化も顕著に見られた。
これらの問題は、それぞれの画像形成に適合した出力用紙を使用することで解消されるものであるが、使用可能な用紙が装置により限定されることは印刷業者にとって望ましいことではなく、むしろ、印刷ビジネスを妨げる障害となってしまう。
そこで、オフセット印刷用紙も使用可能な電子写真方式の画像形成技術が考えられ、水蒸気の発生が抑制可能な温度レベル、すなわち、100℃未満の温度で定着可能なトナーが求められている。また、印刷分野ではとりわけ用紙の両面に画像形成を行うケースが多いので、プリント物が互いに汚染しあうことのない安定した画像保存性を有するトナーが求められている。
特開2000−214629号公報(段落0061等参照) 特開2001−240301号公報 特開平10−46498号公報(段落0005等参照)
本発明は、上記課題を鑑み、オフセット印刷用の用紙に電子写真方式による画像形成を安定して行えるトナーを提供することを目的とする。具体的には、100℃未満の温度での定着が可能で、トナーブリスタと呼ばれる定着時の水蒸気発生による画像欠陥の発生を抑制することトナーを提供することを目的とする。
また、本発明は定着後のカール発生を抑制するとともに、光沢塗工紙を加熱定着しても白地の光沢に変化をきたさないトナーを提供することを目的とする。
さらに、本発明はオフセット印刷用紙上へのトナー転写が特に困難な高湿度環境でも安定した画像形成を行えるトナーを提供するとともに、用紙の両面にプリントを行ってもプリント物が汚染しあうことなく、オン・デマンド方式での製本作業が円滑に行えるトナーを提供することを目的とする。
本発明は、下記構成により達成される。
1.
エステル基を有するビニル系樹脂(A)と着色剤(B)とを含有するトナーにおいて、該トナーが下記群Gから選ばれる化合物(C)を含有することを特徴とするトナー。
群G:エチリデン酢酸、プロピリデン酢酸、イソプロピリデン酢酸、ブチリデン酢酸、
イソブチリデン酢酸、ペンチリデン酢酸、イソペンチリデン酢酸

前記トナーは、前記化合物(C)を0.001〜0.500質量%含有するものであることを特徴とする前記に記載のトナー。

記化合物(C)が、イソブチリデン酢酸であることを特徴とする前記1または2に記載のトナー。

前記トナーは、ピーク分子量が330〜3400の(メタ)アクリル酸エステル重合体、または、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体を含有することを特徴とする前記1〜のいずれか1項に記載のトナー。

前記(メタ)アクリル酸エステル重合体が、ポリブチルアクリレート、または、ポリ−2−メチルヘキシルアクリレートであることを特徴とする前記に記載のトナー。

樹脂(A)100質量部に対して、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体、または、前記(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体を0.1〜20質量部含有することを特徴とする前記またはに記載のトナー。

前記(メタ)アクリル酸エステル重合体、または、前記(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体のピーク分子量が1000〜1800であることを特徴とする前記のいずれか1項に記載のトナー。

前記トナーは、コア・シェル構造を有するものであり、
前記樹脂(A)と前記着色剤(B)、及び、前記化合物(C)をコアに含有するものであることを特徴とする前記1〜のいずれか1項に記載のトナー。

前記ピーク分子量が330〜3400の(メタ)アクリル酸エステル重合体、または、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体を、前記コアに含有するものであることを特徴とする前記に記載のトナー。
10.
エステル基を有するビニル系樹脂(A)と着色剤(B)とを含有する粒子に樹脂粒子を固着させてコア・シェル構造を有するトナーを作製するトナーの製造方法において、
該樹脂(A)は下記群Gから選ばれる化合物(C)の存在下で作製されるものであること
を特徴とするトナーの製造方法。
群G:エチリデン酢酸、プロピリデン酢酸、イソプロピリデン酢酸、ブチリデン酢酸、
イソブチリデン酢酸、ペンチリデン酢酸、イソペンチリデン酢酸

前記樹脂(A)は、重合性単量体、前記化合物(C)を含有する油相を水系媒体中に分散させ、該油相の中で重合反応を行って作製されるものであり、
該樹脂(A)と前記着色剤(B)とを水系媒体中で会合させる工程を経て前記粒子を作製することを特徴とする前記1に記載のトナーの製造方法。

前記油相の中に、ピーク分子量が330〜3400の(メタ)アクリル酸エステル重合体、または、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体を含有させて、前記樹脂(A)を作製することを特徴とする前記1または1に記載のトナーの製造方法。
13.
エステル基を有するビニル系樹脂(A)と着色剤(B)とを含有する粒子に樹脂粒子を固着させてコア・シェル構造を有するトナーを作製するトナーの製造方法において、
水系媒体中で該樹脂(A)と該着色剤(B)とを会合させて粒子を形成する際に、該水系
媒体中に下記群Gから選ばれる化合物(C)を存在させた状態で該会合を行うことを特徴
とするトナーの製造方法。
群G:エチリデン酢酸、プロピリデン酢酸、イソプロピリデン酢酸、ブチリデン酢酸、
イソブチリデン酢酸、ペンチリデン酢酸、イソペンチリデン酢酸

本発明によれば、オフセット印刷用紙への安定したトナー画像形成が可能になった。すなわち、オフセット印刷用紙にトナー画像を転写した後、100℃未満の低い定着温度での処理が可能になり、トナーブリスタと呼ばれる定着時の水蒸気発生による画像欠陥の発生を抑制することができるようになった。
また、本発明によれば、オフセット印刷用紙を定着した後に見られたカール発生が抑制されるようになり、特に、カール発生が顕著に見られた非塗工紙で安定したトナー画像形成が行えるようになった。
また、本発明によれば、トナー画像を形成した光沢塗工紙を加熱定着しても白地の光沢に変化をきたさない画像形成を行えるようにした。
さらに、本発明によれば、水との親和性を有するオフセット印刷用紙に対して安定した転写性を発現し、転写ムラのない安定したトナー画像形成を可能にした。
そして、本発明によれば、トナー転写性が特に困難な高湿度環境下での安定したトナー画像形成が可能になり、且つ、両面プリントを行ってもプリント物が互いに汚染せずに安定した画像保存性が発現されて、電子写真方式の画像形成によるオン・デマンドな製本作業を実現させた。
本発明者らは、下記群から選ばれる化合物(C)(以下、単に化合物(C)とも言う)をトナー中に含有させることにより、定着温度を低下させ、常温での保存性、画像の堅牢性が著しく向上することを見出し本発明の効果を導き、発明を完成させるに至った。
:エチリデン酢酸、プロピリデン酢酸、イソプロピリデン酢酸、ブチリデン酢酸、イソブチリデン酢酸、ペンチリデン酢酸、イソペンチリデン酢酸
このメカニズムは定かではないが、アルキリデン−カルボン酸分子がトナーを構成する樹脂(A)の分子鎖間に入り込むことにより樹脂分子のミクロブラウン運動を促進させる結果、少ない熱量でも定着を安定して行える様になったものと推測される。特に、樹脂(A)がエステル基を含む場合、アルキリデン−カルボン酸化合物中のカルボキシル基と樹脂(A)のエステル基との間で水素結合を形成することにより、常温で化合物(C)のブリードアウトが抑制されたものと推測される。このことから、本発明に係るトナーでは、エステル基を含有する樹脂が好ましいものと推測される。
以下、本発明について詳細に説明する。
また、本発明に係るトナーは、さらにビニル重合体(D)をトナー粒子中に含有することが好ましい。また、離型剤(E)をトナー粒子中に含有することが好ましい。
本発明では、トナー粒子中に含有される樹脂(A)(以下結着樹脂(A)ともいう)と後述するビニル重合体(D)が極性基を有することが好ましい。ここで極性基とは、炭素、水素の他に酸素、窒素、硫黄元素などのヘテロ原子を含有する置換基をいい、具体的な例としては、カルボキシル基、エステル基、エーテル基、水酸基、アミド基、イミド基、ニトロ基、アミノ基、アンモニウム基、スルホニル基、チオール基、スルフィド基等が挙げられる。また、本発明では共役π電子を有する置換基も極性基に含まれ、例えば、フェニル基やナフチル基などの芳香族構造を有するものが挙げられる。
ここでカルボキシル基は金属と塩を構成していてもよい。好ましい金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛などである。極性基としては、カルボキシル基、エステル基、水酸基が好ましい。
また、本発明では、トナー粒子中に含有される離型剤(E)が非極性であることが好ましいが、ここで非極性とは、分子構造中の炭素原子数をX、炭素及び水素原子以外のヘテロ原子の数をYとしたときに、Y/Xの値が0〜0.05となるものをいう。非極性構造の具体例としては、アルケンやアルカンなどの炭化水素構造が挙げられる。
結着樹脂(A)は、ラジカル重合(付加重合)により生成されるビニル系樹脂が好ましく、他に、ポリエステル樹脂やポリオール樹脂などの縮合系の樹脂を用いることも可能である。本発明では1種類の単量体のみで生成した結着樹脂(A)でもよいが、複数種類の単量体を用いて生成した結着樹脂(A)が好ましい。
本発明で使用可能なラジカル重合性単量体としては、芳香族系ビニル単量体、アクリル酸エステル系ビニル単量体、メタクリル酸エステル系ビニル単量体、ビニルエーテル系単量体等が挙げられる。
芳香族系ビニル単量体としては、側鎖に共役π電子構造を有するスチレン系単量体やその誘導体が挙げられる。また、アクリル酸エステル系ビニル単量体とメタクリル酸エステル系ビニル単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
本発明では、トナーの特性を向上させるために架橋剤を添加して結着樹脂(A)を形成してもよい。架橋剤としては、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
また、本発明では解離基を有する重合性単量体や塩基性基を有する重合性単量体を用いて結着樹脂(A)を形成してもよく、例えば、解離基を有するものとしてはカルボキシル基含有単量体やスルホン酸基含有単量体が、塩基性基を有するものとしては第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系化合物が挙げられる。
カルボキシル基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等が挙げられる。これらは、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム等のアルカリ土類金属塩の形態を有するものであってもよい。
次に、塩基性基を有する重合性単量体としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、及び上記4化合物の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
再び、本発明に係るトナーに含有されるアルキリデン−カルボン酸化合物について説明する。本発明の効果をより引き出すために、アルキリデン−カルボン酸化合物の好ましい総炭素数は3乃至12であり、さらには4乃至7である。ここで、総炭素数にはカルボキシル基中の炭素数も含める。
好ましいアルキリデン−カルボン酸化合物としては、アルキリデン酢酸が挙げられ、具体的なアルキリデン酢酸化合物としては、エチリデン酢酸、プロピリデン酢酸、イソプロピリデン酢酸、ブチリデン酢酸、イソブチリデン酢酸、ペンチリデン酢酸、イソペンチリデン酢酸等が挙げられるが、この中でもイソブチリデン酢酸が特に好ましく用いられる。
アルキリデン−カルボン酸化合物のトナー粒子中の含有量は、トナーの質量に対して0.001〜0.500質量%であることが望ましい。更に好ましくは、0.004〜0.016質量%である。理由は明らかではないが、このような量の範囲のアルキリデン−カルボン酸化合物をトナー粒子に含有させることにより、高温高湿環境下でオフセット印刷用紙に画像形成した時により安定したトナー転写が可能となる。
化合物(C)は、トナー製造過程において、ビニル重合体(D)への添加によりトナー粒子中に含有することが好ましいが、結着樹脂(A)や着色剤とともに添加して、トナーを形成してもよい。
トナー中のアルキリデン−カルボン酸化合物の含有量は、例えば、ヘッドスペースGC/MS法により測定することが可能である。
以下、ヘッドスペースGC/MS法について説明する。
1.ヘリウムガス100ml/minで30分間TENAX TAに回収する。
2.パージ&トラップGC/MSでアルキリデン−カルボン酸化合物の量を測定する。
3.ヘキサデカンで作成した検量線に基づく換算の値とする。
詳細な条件は、以下の通りである。
(回収条件)
アウトガス捕集装置:HM−04GW型
容器の容量160ml
90℃ He100ml/min 30min TENAX TAに回収
試料量10mg
(パージ&トラップGC/MS測定分析条件の詳細)
装置 JTD−505
TFER HEATER:250℃
NEEDLE HEATER:250℃
SAT HEATER:200℃
SAT:TENAX TA(F=280、L=10mm)
HAED PRESS.:117kPa
COLUMN FLOW:2.0ml/min
SPLIT RATE:1/1000
(GC−2010)
OVEN TEMP.:40℃(3min)〜(10℃/min)〜280℃(3min)
DET.TEMP.:260℃
ANA.TIME:30min
(GCMS−QP2010)
MASS RANG:40〜800
SCAN TIME:30min
EM=0.75kV
COLUMN:DB−5MS:0.25mm×30m、t0.25μm
SAT:TENAX TA(F280、L10mm)
HAED PRESS.:117kPa
COLUMN FLOW:2.0ml/min。
また、本発明に係るトナーは、ビニル重合体(D)をトナー粒子中に含有しているものが好ましい。このビニル重合体(D)は、ガラス転移温度が−100℃〜20℃、ピーク分子量が330〜3400のものであることが好ましい。ビニル重合体(D)は、前述の樹脂(A)と比較して、ガラス転移温度が10〜150℃低く、分子量分布がシャープであることが好ましい。
ビニル重合体(D)の代表例としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体または(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体などが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル重合性単量体としては、例えば、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル単量体、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチルドデシル等のメタクリル酸エステル単量体が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルが好ましい。
また、ビニル重合体(D)は、エステル構造中のアルコール部位の炭素数が4以上のポリアクリル酸エステル、あるいはポリメタアクリル酸エステルを50質量%以上含有するものが好ましい。エステル構造中のアルコール部位の炭素数が4以上のポリアクリル酸エステルとしては、ポリブチルアクリレート、または、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。このような構造のビニル重合体(D)は、ガラス転位温度(Tg)を低目に設定できるので、トナーの最低定着温度を低減させる上で好ましい。また、これらのエステル化合物は、オフセット印刷用紙中に添加されているカチオン性澱粉やポリアクリルアミド等のカチオン性紙力剤との間で強い接着力を発現し、定着強度の向上にも寄与しているものと推測される。ポリブチルアクリレート、または、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレートなどのビニル重合体(D)のエステル基は、化合物(C)のアンカーとなり、両面プリントの画像保存性を向上させる。さらにビニル重合体(D)自身により定着性を向上させることも可能である。
オフセット印刷用紙でトナー画像形成を行う場合、光沢塗工紙では表面に設けられた光沢層が融点100〜160℃のワックスが用いられることが多いため、定着時の加熱で破壊され易い。また、非塗工紙を含めたオフセット印刷用紙は親水性が要求され、かつ、紙繊維間での強度を維持するためにカチオン化澱粉やポリビニルアルコールなどの親水性化合物が添加されている。この親水性化合物の存在により用紙中の水分量が変動し易く、紙の電気抵抗にも影響を与えていた。
本発明では、オフセット印刷用紙でトナーを用いて画像形成するにあたり、加熱が不可欠な定着工程を水の沸点以下レベルのような低い温度で行えるとともに、親水性が付与された用紙上でトナーが安定して転写できるトナーを提供可能となった。
特に、前述したビニル重合体をトナーに添加して、ビニル重合体がトナー粒子表面に析出せずトナー粒子中に適度に分散された結果、低い温度でも溶融し、両面プリントの画像保存性を維持できるようになったものと推測される。
本発明では、ビニル重合体(D)をトナー粒子のコア部に含有させることが転写性の観点から好ましい。そのため、ビニル重合体(D)を含有するコア部を形成した後、ビニル重合体(D)を含有しない樹脂粒子(s)をコア部の外周に固着させてシェル層を形成することが好ましい。ここで、シェル層とはトナーの外殻にあたる樹脂層で、水系媒体中でコア部粒子に樹脂粒子(s)を添加して、コア部の周りに樹脂粒子(s)を凝集させ、次いで融着させることでシェル層を形成する。
なお、本発明に係るトナーでは、ビニル重合体(D)の含有量を樹脂(A)100質量部に対して0.1〜20質量部含有させることが好ましく、より好ましくは2〜15質量部とする。このような範囲とすることによって、定着性と両面プリントの画像保存性の両立の観点で好ましい。
ビニル重合体(D)は、例えば、以下の反応工程を経て得ることができる。すなわち、ビニル重合体(D)の生成は、最初に重合性単量体を反応釜いっぱいに満たした状態で重合を開始する。そして、重合反応が進行した任意の段階で反応釜で生成された反応物(重合物と未反応重合性単量体の混合物)を揮発成分分離器に通過させて反応物より未反応の重合性単量体等の揮発成分を除去する。その後、揮発成分分離器で除去された揮発成分を反応釜に再び戻し、さらに重合反応を継続させ、最終生成物であるビニル重合体(D)を分離して取り出すことにより得られる。
この様に、ビニル重合体(D)は、反応釜の容積フル(100%)に重合性単量体を満たした状態で重合反応を開始するとともに、重合反応途中でも反応釜の容積フルに重合性単量体と反応生成物とが満たされた状態にして作製することができる。また、ビニル重合体(D)の重合反応中、適時反応釜内の反応物(未反応の重合性単量体と重合物の混合物)を揮発成分分離器に通過させて、反応物中の未反応重合性単量体を回収し、これを反応釜に戻してビニル重合体(D)の重合反応に使用できるようにしている。
図1は、ビニル重合体(D)の重合に用いる反応装置の一例を示す概略図である。
図1において、2は開始剤や溶剤などの重合性単量体以外の反応成分を供給するライン、4は重合反応を行う撹拌槽(反応器)、6は撹拌機、8は再使用物供給ライン、10、14、15は導管、12は除去導管、16は反応生成物を通過させて揮発成分を除去、回収する揮発器、18は重合性単量体供給ライン、20は重合性単量体供給槽、22は凝集器を示す。撹拌槽(反応器)4は所望の種類のビニル重合体を得るために適切な反応条件を選択できるようになっている。
重合性単量体供給槽20より1種または複数種の重合性単量体が重合性単量体供給ライン18を介して撹拌機6を備えた撹拌槽(反応器)4に供給され、フリーラジカル重合開始剤や溶剤などの反応成分がライン2より撹拌槽(反応器)4に供給されて重合反応を開始することが可能になる。重合開始は熱により行うものが好ましいが、これに限定されるものではない。また、供給ライン2より連鎖移動剤を撹拌槽(反応器)4に供給することも可能である。
次に、重合反応がある程度進行したところで、ビニル重合体生成物と揮発成分とを分離、除去するために、反応物を撹拌槽(反応器)4から揮発器16に供給する。揮発器16に反応物を通過させて揮発成分を除去、回収するとともに、ビニル重合体生成物は更なる処理を行うため、あるいは所望の最終生成物として導管15より回収される。揮発成分は凝集器22で凝縮、留出された後、導管14と導管10を経由して再使用物供給ライン8より撹拌槽型反応器4に再度供給される。または、除去導管12を経由して反応系より除去される。
本発明に用いられるビニル重合体(D)のガラス転移温度は、−100℃〜20℃、好ましくは−85℃〜6℃、更には好ましくは−80℃〜−20℃である。ガラス転移温度は、「DSC−7示差走査カロリメータ」(パーキンエルマー社製)、「TAC7/DX熱分析装置コントローラ」(パーキンエルマー社製)により測定される。
DSC−7示差走査カロリメータによる測定手順は以下のとおりである。すなわち、冷却用の液体窒素ユニットを取り付け、測定試料4.5〜5.0mgを小数点以下2桁まで精秤しこれをアルミニウム製パン「KITNo.0219−0041」に封入してサンプルホルダにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用する。測定は、温度範囲−150℃〜50℃、昇温速度10℃/分の下で、Heat−Cool−Heatの温度制御(上記範囲内で加熱と冷却を実施した後再度加熱を行う温度制御方法)で行い、2回目の加熱(2nd Heat)時におけるベースラインの変曲点より算出する。
ビニル重合体(D)のピーク分子量は330〜3400であり、好ましくは800〜2200、更には好ましくは1000〜1800である。ここで、ビニル重合体(D)のピーク分子量は重量平均分子量(Mw)、あるいは数平均分子量(Mn)のいずれの分子量におけるものでよい。
また、ビニル重合体(D)の重量平均分子量(Mw)は、840〜5200が好ましく、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnは1.2〜2.4が好ましく、1.4〜1.9がより好ましい。
上記ピーク分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により得られる。GPCによるピーク分子量測定は、溶剤にテトラヒドロフランを用い、カラムは東ソー社製「TskgelG2000」(排除限界10000)のカラムを3〜4本連結したものを用いて行う。
本発明に係るトナーは、離型剤(E)をトナーに対して1〜30質量%含有することが好ましく、より好ましくは2〜20質量%、3〜15質量%がさらに好ましい。
本発明でいう離型剤とは、定着部材にトナーが融着、いわゆるトナーオフセットの発生を防止する化合物で、定着時に定着部材とトナー画像との間に液膜を形成する性質を有するものである。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどの鎖状炭化水素化合物が挙げられ、慣用名でパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フッシャートロプシュワックス、メタロセン触媒を用いたアルファポリオレフィンワックス等が挙げられる。また、炭素原子数をX、酸素原子数をYとしたときに、Y/Xが1/20以下となる脂肪酸やそのエステルワックスも用いることができる。エステル化には、多価アルコールあるいは多価脂肪酸を用いることが好ましい。
本発明では、トナー画像表面の一部または全面が極性基をもたない離型剤(E)の層で被覆されることにより、トナー中のビニル重合体(D)が画像から画像に移動(ブリード)しにくくなっている。その結果、紙の両面にトナー画像を形成したプリント物を重ねたり束ねたりしても、隣接する用紙をトナーで汚染しにくい。
本発明に係るトナーは、着色剤(B)をトナーに対して1〜30質量%含有することが好ましく、より好ましくは2〜20質量%、3〜15質量%がさらに好ましい。本発明で使用される着色剤(B)は、公知の無機または有機着色剤を使用することが可能である。
黒色トナー用の着色剤としては、カーボンブラック、酸化鉄、チタンブラック等の黒色顔料、ニグロシン等の染料等が使用可能である。
イエロートナー用の着色剤としては、C.I.ソルベントイエロー162等の染料、C.I.ピグメントイエロー14、同74、同93、同94、同138等の顔料が挙げられる。
マゼンタトナー用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同184、C.I.ピグメントオレンジ31、同43等の顔料が挙げられる。
シアントナー用の着色剤としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等の顔料が挙げられる。
また、特別色のトナーの着色剤として、上記着色剤の混合物を用いることも可能である。染料、顔料の数平均一次粒子径は種類により多様であるが、おおむね10〜200nm程度が好ましい。
次に、本発明に係るトナーに使用可能な荷電制御剤、及び、外添剤について説明する。
本発明では、必要に応じてトナーに荷電制御剤や外添剤を添加することができる。荷電制御剤としては、公知の化合物を用いることができ、具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。含有される金属としては、Al、B、Ti、Fe、Co、Niなどが挙げられる。本発明に係るトナーの荷電制御剤含有量は、トナーに対して0.1〜10.0質量%が好ましい。
外添剤としては、無機粒子や有機樹脂粒子が挙げられる。無機粒子としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどが挙げられる。また、有機樹脂粒子としては、メタクリル酸エステル重合体粒子、アクリル酸エステル重合体粒子、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル共重合体粒子が挙げられる。また、滑剤として金属石鹸類が挙げられ、具体的には、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムが好ましく用いられる。
これらの外添剤は、透過型電子顕微鏡により大きさ10〜300nmの単体あるいは凝集物としてトナー中に含有されていることが観察される。また、シランカップリング剤やシリコンオイル等で疎水化処理したものが好ましい。
外添剤の添加量は、特に限定されないが、トナー中に0.1〜6質量%添加することが好ましい。2種以上の外添剤を組み合わせて用いてもよく、この場合、平均粒子径の異なる無機粒子同士または無機粒子と有機樹脂粒子とを組み合わせる方法が好適である。
次に、本発明に係るトナー粒子の構造例について具体的に説明する。
図2は、本発明に係るトナーの構造例を示す模式図である。
図2において、Tはトナー粒子、T1はコア部、T2はシェル部、Aは結着樹脂(A)、Bは着色剤(B)、Eは離型剤(E)を示す。
図2に示すように、トナー粒子Tはコア部T1とシェル部T2から構成されるコア・シェル構造を有し、コア部T1は樹脂(A)、着色剤(B)、離型剤(E)を含有し、樹脂(A)中に化合物(C)とビニル重合体(D)を含有する。また、シェル部T2は化合物(C)とビニル重合体(D)を含まない樹脂から形成される。
本発明では、粉砕法よりも重合法により、トナー粒子が製造されることが好ましい。特に、オフセットの観点からすると水系媒体中での粒子形成を行う重合トナーであることにより、トナー粒子表面に微量に残存する界面活性剤などの親水物質や水分子がオフセット用紙表面へのトナー付着を促進しやすくなると考えられるためである。
本発明に係るトナー粒子Tは、図2(a)に示すコア部表面の一部をシェルが被覆したものや図2(b)のコア部全面をシェルで被覆したもののいずれも含むものである。この様な、コア・シェル構造のトナー粒子により、本発明ではビニル重合体(D)を含有させることにより低い加熱温度での定着性と良好な保存性との両立を可能にしている。
本発明のトナーは、次の方法によって形成されたトナー粒子からなる粉体であることが好ましい。すなわち、ビニル重合体(D)を含有する樹脂粒子(s)を凝集させてコア部を形成し、その表面にシェル形成用の樹脂粒子(t)を固着させてシェルを形成する工程を経て製造される方法が好ましい。
以下、本発明に係るトナーの製造方法について説明する。なお、トナーのコア部を形成する樹脂粒子(化合物(C)とビニル重合体(D)を含有する樹脂粒子)(s)をコア用樹脂粒子(s)、コア部を被覆してシェルを形成する樹脂粒子(t)をシェル用樹脂粒子(t)と呼ぶ。
〈乳化会合法
合物(C)とビニル重合体(D)を含有する樹脂粒子(s)を凝集させたコア部の形成方法は、樹脂粒子(s)を水系媒体中で凝集、融着させる工程を有する、いわゆる乳化会合法が好ましい。ここで会合とは、樹脂粒子を水系媒体中で凝集、融着させてトナー粒子を形成する製造方法をいう。また、融着とは1個のトナー粒子に対して複数の樹脂粒子を合一させることを意味する。凝集と融着は並行して進行させることが好ましいが、いったん凝集を完結させた後に融着工程を設けてもよい。
樹脂粒子の凝集方法には、凝集剤(塩析剤ともいう)として金属塩を添加する塩析方法、ノニオン活性剤などを用い温度上昇とともに分散安定性を低下させる方法、有機溶剤を用いる方法、反応性プレポリマーを反応させる方法等が挙げられる。本発明で行う樹脂粒子(s)の凝集方法は特に限定されないが、オフセット印刷用紙への転写性に優れることから塩析方法が好ましい。
コア用樹脂粒子(s)の作製は、乳化重合法、ミニエマルジョン重合法、樹脂溶液を乳化させた後に溶剤を留去する方法等何れを用いてもよいが、多段階重合により多層構造の粒子形成が行い易い乳化重合法やミニエマルジョン重合法が好ましい。樹脂(A)は、化合物(C)、ビニル重合体(D)の存在下で重合させることが好ましい。具体的には、樹脂(A)の重合体組成物または重合性単量体に、化合物(C)、ビニル重合体(D)及び離型剤(E)を含有した油相を水系媒体中で重合反応させた後、これに着色剤(B)を会合させることが好ましい。
乳化会合法は、粒度分布がシャープで、トナーの形状や粒径を容易にコントロールできるという利点がある。例えば、粒子径5μmのトナーは、3μm、4μm、5μmと成長の時間を経て樹脂粒子の凝集が進行し、5μmとなったときに凝集停止剤を添加して凝集を停止することにより作製される。凝集停止は、凝集に使用した金属塩よりも小さな価数の金属塩を添加(例えば、硫酸アルミニウムを凝集剤に用いたときは塩化カリウムなど)したり、界面活性剤の添加や蒸留水での希釈により行うもので、トナーの粒径が固定される。その後、形状制御工程として樹脂粒子のガラス転移温度以上の温度で撹拌を継続して樹脂の表面張力によりトナーの形状を丸くし、所望の形状になったときに水系媒体の温度を冷却して反応を停止する。また、他の方法として、樹脂粒子のガラス転移温度以上の温度で撹拌を継続しながら、撹拌力を上昇させてトナーにせん断力をかけて異形化を促進させながら形状を制御する方法もある。
〈ミニエマルジョン重合法
合物(C)及びビニル重合体(D)を含有する樹脂粒子(s)は、水系媒体中の重合性単量体乳化液に化合物(C)及びビニル重合体(D)を添加し、ミニエマルジョン重合により製造されることが好ましい。具体的には、界面活性剤を臨界ミセル濃度以下に溶解させた水系媒体中に化合物(C)及びビニル重合体(D)を溶解させた重合性単量体の溶液を機械的エネルギーを利用して油滴分散させて分散液を調製する。そして、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して油滴内でラジカル重合する方法(これをミニエマルジョン重合、ミニエマルジョン法という。)である。なお、上記方法で水溶性重合開始剤に代えて、あるいは、水溶性重合開始剤とともに、油溶性重合開始剤を使用してもよい。
ミニエマルジョン法では、油滴を水系媒体中で機械的に分散させた状態で樹脂形成を行うので、ビニル重合体(D)は重合性単量体と効率よく複合化されて油相から脱離しにくくなる。その結果、形成される樹脂粒子(s)内にビニル重合体(D)を十分に導入することができる。機械的エネルギーを利用して油滴分散を行う分散機としては、特に限定されないが、例えば、「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)のように高速回転用のローターを有する撹拌装置や、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン及び圧力式ホモジナイザーなどが挙げられる。また、分散させた油滴の粒子径は、10〜1000nmが好ましく、より好ましくは50〜1000nm、30〜300nmが更に好ましい。
上記製法で作製されたトナーを含有する液を、公知の遠心脱水機やデカンタなどの濾過装置で固液分離するとともに、作製されたトナーを洗浄する。洗浄水の温度は20〜50℃が好ましく、35〜45℃がより好ましい。
洗浄を終えたトナーを、公知の気流乾燥機、流動層乾燥装置、あるいは、これらの乾燥装置を改造した装置で乾燥する。なお、乾燥温度は20〜50℃が好ましく、35〜45℃がより好ましい。乾燥終了によりトナーの製造は完了する。
作製されたトナーに前述した外添剤を添加する。外添剤の添加は、通常、外添剤とトナーとを「ヘンシェルミキサー」(三井三池化工社製)等の混合機に投入し、撹拌により行われる。混合温度は20〜35℃、混合時間は5〜30分、撹拌羽根の回転周速は20m/s〜45m/sが好ましい。
本発明に係るトナーは、一成分現像剤、二成分現像剤として用いることができる。一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、あるいは、トナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させて磁性一成分現像剤とするものが挙げられる。また、二成分現像剤はトナーにキャリアを混合する。キャリアの磁性粒子としては、鉄、フェライト、マグネタイト等の鉄含有磁性粒子が用いられる。上記磁性粒子は体積メディアン径が15〜100μmのものが好ましい。トナーとキャリアは、現像剤中のトナー濃度が3〜20%となる範囲で、V型混合器やダブルコーン型混合器を用い5〜60分撹拌して二成分現像剤を調製する。
〔画像形成方法〕
本発明に係るトナーで形成されたトナー画像は、加熱、加圧定着されて記録紙上に固定される。具体的には、ローラーで構成されたローラー定着方法、加熱ローラーと加圧ローラーが巻回自在に支持されたエンドレスベルトで構成されたベルト定着方法により、オフセット印刷用紙などの記録紙上に形成されたトナー画像を定着する。これらの中ではベルト定着方法が好ましい。以下、ベルト定着装置について説明する。
図3は、本発明に係るトナーで形成した画像を定着する定着装置の一例を示す概略図である。定着装置17は、無端状のベルト部材としての定着ベルト27と、定着ベルト27の一方の側端部で定着ベルト27(定着ベルト27の内周面の一方)を張架する第1のローラー部材である加熱ローラー17aと、定着ベルト27を挟んで加熱ローラー17aと当接する加圧ローラー17bと、定着ベルト27の他方の側端部において定着ベルト27(定着ベルト27の内周面の他方)を張架する第3のローラー部材である張架ローラー17cと、複数のローラー部材を有する。また、テンションローラー17dにより定着ベルト27にテンションが加えられている。
加熱ローラー17aの内部には発熱体としてのハロゲンランプHLaが設けられ(場合によっては加圧ローラー17bの内部にも設ける)、定着ベルト27を挟んで加熱ローラー17aと加圧ローラー17bとの間には定着ニップ部Nbが形成される。そして、定着ベルト27と加圧ローラー17bとの間にベルトニップ部Naを形成し、定着ニップ部Nbとベルトニップ部Naを通して熱と圧力とを加えて、記録紙P上に形成されたトナー画像を定着する。
定着ベルト27は、ニッケル電鋳ベルト等の金属ベルトを基体として用い、その外側(外周面)に絶縁性のシリコンゴムを被覆し、さらに、その上にフッ素樹脂(PFA)をコーティングして離型層を有するものが挙げられる。
加熱ローラー17aと加圧ローラー17bは、アルミニウム材やステンレス材等の円筒状金属パイプの外周面にシリコンゴム等で作製したゴム層を有し、ゴム層上にフッ素樹脂(PFA)をコーティングして表面に離型層を形成するものである。
次に、本発明に係るトナーを用いて画像形成を行う画像形成装置について説明する。図4は本発明に係るトナーが使用可能な画像形成装置の一例を示す概略図である。
画像形成装置GSは、画像形成装置本体GHと画像読取装置YSから構成される。画像形成装置本体GHの上部には、自動原稿送り装置201と原稿画像走査露光装置202からなる画像読取装置YSが設置されている。自動原稿送り装置201の原稿台上に載置された原稿は搬送手段により搬送され、原稿画像走査露光装置202の光学系により原稿の片面または両面の画像が走査露光され、ラインイメージセンサーCCDに読み込まれる。
ラインイメージセンサーCCDにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部でアナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が行われた後、画像書込部(露光手段)3Y、3M、3C、3Kに送られる。
図4の画像形成装置本体GHは、タンデム型カラー画像形成装置と呼ばれるもので、複数の画像形成部10Y、10M、10C、10K、ベルト状の中間転写体である中間転写ベルト6、再給紙機構(ADU機構)を含む給紙搬送手段と、定着手段として前述の定着装置17を有する。
イエロー(Y)画像を形成する画像形成部10Yは、像形成体である感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲にトナー像形成手段である帯電手段2Y、露光手段3Y、現像装置4Y及び像形成体クリーニング手段8Yを有する。画像形成部10Mはマゼンタ(M)色の画像形成を、画像形成部10Cはシアン(C)色の画像形成を、さらに、画像形成部10Kは黒(K)色の画像形成を行う。帯電手段2と露光手段3は潜像形成手段を構成する。現像装置4では、トナー極性と同極性の直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される反転現像が行われる。
中間転写ベルト6は、複数のローラーにより巻回され、回動可能に支持されている。
図4の画像形成装置における画像形成プロセスを以下に説明する。
画像形成部10Y、10M、10C及び10Kより形成された各色の画像は、1次転写ローラー7Y、7M、7C及び7Kにより、トナーと反対極性の1次転写バイアス(不図示)が印加されて、中間転写ベルト6上に逐次転写される。中間転写ベルト6上には合成されたカラー画像(カラートナー像)が形成される。
中間転写ベルト6上に形成されたカラー画像は、2次転写ローラー7Aで給紙カセット20より送り出しローラー21や給紙ローラー22によって供給された記録用紙P上に一括転写される。カラー画像が転写された記録用紙Pは、定着装置17で定着処理され、排紙ローラー24に挟持されて機外の排紙トレイ25上に載置される。
転写後の感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kの周面上に残った転写残トナーは、像形成体クリーニング手段8Y、8M、8C、8Kによりクリーニングされ、次の画像形成サイクルに入る。
なお、図4の画像形成装置はベルト転写のものであるが、本発明に係るトナーは、コロナ転写やローラー転写にも対応可能である。また、中間転写ベルトは図4に示すような複数のローラーに巻回されて回動可能に支持される構造のものが好ましい。
本発明に係るトナーが使用可能なオフセット印刷対応の代表的な用紙である光沢塗工紙と非光沢紙について説明する。
オフセット印刷用の光沢塗工紙は、印刷時に使用される浸し水によるぬれを促進させるため用紙表面に高い親水性が要求される。さらに、紙がぬれても紙表面から繊維や填材が剥離しないように、融点が100〜160℃のワックスやポリアクリルアミドなどの樹脂エマルジョンを紙基体に塗工して光沢層を形成している。
キャスト法(原紙に塗った塗料が生乾きのうちに鏡面加工したシリンダ面に紙を押しつけて乾燥させて光沢塗工紙を作製する方法)で作製した光沢塗工紙は、電子線硬化樹脂被覆層を2層以上積層した構造のものが代表的である。この様な光沢塗工紙は、内側の樹脂被覆層に顔料を含まない電子線硬化樹脂組成物を電子線照射して形成された硬化体が用いられ、外側の樹脂被覆層に顔料を含む電子線硬化樹脂組成物を電子線照射して形成された硬化体が用いられている。光沢塗工紙は、表面の白色度が高く、美粧性も良好である。
一方、オフセット印刷用の非光沢紙は、光沢塗工紙同様、印刷時に使用される浸し水によるぬれを促進させるため用紙表面に高い親水性が要求される。また、紙がぬれても紙表面から繊維や填材が剥離しないように、紙力剤と呼ばれる紙に強度を付与する薬剤が用いられている。
紙力剤には、一般にポリアクリルアミドが用いられ、そのイオン性によりアニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミドがある。主な紙力剤の添加処方には、カチオン性ポリアクリルアミドや両性ポリアクリルアミドを単品でパルプスラリーに添加する単独処方や、アニオン性ポリアクリルアミドとカチオン性ポリアクリルアミドとをそれぞれパルプスラリーに添加する併用処方がある。
また、アクリルアミドモノマーとアニオン性基を有するビニルモノマー、及び、必要に応じてカチオン性基を有するビニルモノマーを共重合させた製紙用添加剤を用いて抄紙することにより、被破壊強度を向上させた非光沢紙もある。
さらに、紙力剤として澱粉あるいはポリビニルアルコールを塗布した非光沢紙もある。なお、紙力剤にポリビニルアルコールを使用する場合、塗布液中のポリビニルアルコールの含有量を50質量%以上とし、さらにポリグリコール型非イオン界面活性剤などの浸透剤を10〜10,000ppm添加した塗布液を用いると良好な非光沢紙が得られる。
また、用紙の秤量は64〜150g/m2が好ましい。
以下に、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
〔A〕トナーの製造
〈ビニル重合体(D)の作製〉
(ビニル重合体(D−1)の製造)
ブチルアクリレート(BA)単量体100質量%を一定温度に維持した連続撹拌槽型反応器を含む反応装置に連続的に供給してビニル重合体(D−1)を作製した。ここで、反応装置は図1に記載のものに類似のものを用い、反応ゾーン質量は連続撹拌槽型反応器の使用可能容積の100%を重合性単量体で満たす様に制御した。
また、供給質量流量は平均滞留時間が10乃至15分の範囲内で一定となる様に、かつ、反応器内の循環回数が16回となるように滞留させる様、制御した。また、連続撹拌槽型反応器の反応温度を200℃の範囲内の異なる設定で一定に保持した。反応生成物を連続的に揮発分除去ゾーンにポンプで送り、揮発分除去ゾーンからのポリマー生成物を連続的に採取した。採取した生成物のピーク分子量とガラス転移点を測定し、生成物として導管15の経路から取り出した。
得られたビニル重合体を「ビニル重合体(D−1)」とする。ビニル重合体(D−1)の分子量ピークは1140、Tgは−71℃であった。
(ビニル重合体(D−2)の製造)
「ビニル重合体(D−1)」の製造において、ブチルアクリレート単量体100質量%に代わり、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)単量体100質量%とし、反応器内の循環回数を24回とした以外は同様にして「ビニル重合体(D−2)」を製造した。ビニル重合体(D−2)の分子量ピークは1760、Tgは−80℃であった。
《トナー1の製造》
〈コア用樹脂粒子(2−1−2)の製造〉
コア粒子の原料となるコア用樹脂粒子を、以下に示す二段重合により製造した。
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、以下の重合性単量体混合液に離型剤(ペンタエリスリトールテトラベヘネート)93.8gを添加し80℃に加温し、溶解した。これを、「重合性単量体溶液2−1−1」とする。
重合性単量体混合液2−1−1
スチレン 186.9g
n−ブチルアクリレート 76.5g
メタクリル酸 19.8g
一方、撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けたセパラブルフラスコに、下記のアニオン性界面活性剤(101)4.9gをイオン交換水1364gに溶解させ界面活性剤溶液を調製した。
アニオン性界面活性剤(101):C1225(OCH2CH22OSO3Na
上記界面活性剤溶液を80℃に加熱した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)により、「重合性単量体溶液2−1−1」を2時間混合分散させ、分散粒子径が750nmの乳化粒子(油滴)を含む乳化液(分散液)を調製した。
次いで、イオン交換水を1026g添加した後、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.8gをイオン交換水381gに溶解させた開始剤溶液と、n−オクタンチオール2.88gとを添加し、この系を80℃にて1.5時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第一段重合)を行い、樹脂粒子(高分子量樹脂粒子の分散液)を得た。これを「コア用樹脂粒子(2−1−1)」とする。
この「コア用樹脂粒子(2−1−1)」の分散液に、重合開始剤(KPS)3.51gをイオン交換水137gに溶解させた開始剤溶液を添加し、次いで、80℃の温度条件下に、下記の「重合性単量体溶液2−1−2」を80分かけて滴下した。
重合性単量体溶液2−1−2
スチレン 213.8g
n−ブチルアクリレート 69.4g
n−オクタンチオール 4.55
合物(C)として
エチリデン酢酸 0.016g
ビニル重合体(D−1) 1.7g
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第二段重合)を行った後、28℃まで冷却し、「コア用樹脂粒子(2−1−1)」を原料とした「コア用樹脂粒子(2−1−2)」の分散液を得た。
〈コア用樹脂粒子の凝集工程〉
以下に示す「着色剤分散液」と上記「コア用樹脂粒子(2−1−2)」の分散液を用いて、着色剤粒子とコア用樹脂粒子との凝集を行った。
〈着色剤粒子の調製〉
アニオン系界面活性剤(101)59.0gをイオン交換水1600gに撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330」(リーガル社製)420.0gを徐々に添加し、次いで「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、「着色剤粒子」の分散液を調製した。この分散液中の着色剤の粒子径は93nmであった。
〈凝集工程〉
「コア用樹脂粒子(2−1−2)」の分散液237.2g(固形分換算)と、イオン交換水2064gと、「着色剤粒子」の分散液82g(固形分換算)とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた四つ口フラスコに入れ撹拌した。容器内の温度を30℃に調製した後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物40.4gをイオン交換水40.4gに溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて85℃まで昇温し、「コア用樹脂粒子(2−1−2)」と「着色剤粒子」とを凝集させて「コア粒子(s1)」を作製した。
ここで、撹拌と加熱を続けながら「コールターカウンターTA−II」(ベックマン・コールター社製)にて「コア粒子(s1)」の粒径を測定し、体積メディアン径が5.5μmになった時点で、塩化ナトリウム5.1gをイオン交換水20gに溶解した水溶液を添加して粒子成長を抑制させた。
コア粒子(s1)のガラス転移点Tgsを測定したところ、28℃であった。なお、ガラス転移点Tgsは示差走査熱量計DSC−7(パーキンエルマー社製)を用い、100℃まで昇温しその温度にて3分間放置した後、降下温度10℃/minで室温まで冷却する。次いで、このサンプルを昇温速度10℃/minで測定した際に、ガラス転移点以下のベースラインの延長線とまで冷却した。さらに、同条件で再昇温を行い変極後のベースラインの接線との交点をガラス転移点として測定した。
なお、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)装置を用いて分子量を測定したところ、15,000にピーク分子量を有するものであり、重量平均分子量は22,000であった。
〈シェル用樹脂粒子(t1)の製造〉
コア粒子(s1)表面に固着させるシェル用樹脂粒子(t1)を含有する樹脂粒子分散液(T1)を調製した。
(シェル用樹脂粒子(1−1−1)の作製)
下記化合物を混合してなる重合性単量体溶液を調製し、これを「重合性単量体溶液(1−1−1)」とする。
重合性単量体溶液(1−1−1)
スチレン 70.1g
n−ブチルアクリレート 19.9g
メタクリル酸 10.9g
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けたセパラブルフラスコに、下記のアニオン系界面活性剤(102)7.08gをイオン交換水3010gに溶解させ、窒素気流下、撹拌しながら、内温を80℃に昇温させて、界面活性剤溶液を調製した。
アニオン系界面活性剤(102):C1225OSO3Na
前記界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.2gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、前記重合性単量体溶液(1−1−1)を1時間かけて滴下し、滴下終了後、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合(第一段重合)を行い、樹脂粒子を調製した。これを「シェル用樹脂粒子(1−1−1)」とする。
この樹脂粒子を構成する樹脂は、35,000にピーク分子量を有するものであった。また、この樹脂粒子の体積メディアン径は62nmであり、体積粒径で36nm未満の樹脂粒子の含有率は、体積基準の粒径分布で0.4%であった。
(シェル用樹脂粒子(1−1−2)の作製)
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、以下の重合性単量体の混合液に離型剤(ペンタエリスリトールテトラベヘネート)を96.0g添加し、80℃に加温し溶解した。これを、「重合性単量体溶液(1−1−2)」とする。
重合性単量体溶液(1−1−2)
スチレン 122.9g
n−ブチルアクリレート 49.7g
メタクリル酸 16.3g
撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けたのセパラブルフラスコに、下記のアニオン性界面活性剤(101)5.7gをイオン交換水1340gに溶解させた界面活性剤溶液を調製した。
アニオン性界面活性剤(101):C1225(OCH2CH22OSO3Na
上記界面活性剤溶液を80℃に加熱した後、前述の「シェル用樹脂粒子(1−1−1)」を全量添加した。循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)により、「重合性単量体溶液(1−1−2)」を2時間混合分散させ、分散粒子径646nmを有する乳化粒子(油滴)を含む分散液(乳化液)を調製した。なお、この操作は「シェル用樹脂粒子(1−1−1)」に「重合性単量体溶液(1−1−2)」を被覆させることを狙ったものである。
次いで、前記分散液(乳化液)にイオン交換水1460gと重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)6.51gをイオン交換水254gに溶解させた開始剤溶液と、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル0.75gとを添加し、この系を80℃にて3時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第2段重合)を行い、「シェル用樹脂粒子(1−1−1)」を原料とした樹脂粒子を得た。これを「シェル用樹脂粒子(1−1−2)」とする。
(シェル用樹脂粒子(t1)の作製)
上記で得られた「シェル用樹脂粒子(1−1−2)」に、重合開始剤(KPS)8.87gをイオン交換水346gに溶解させた開始剤溶液を添加し、次いで、80℃の温度条件下に、以下の「重合性単量体溶液(1−1−3)」を1時間かけて滴下した。ここで、「シェル用樹脂粒子(1−1−2)」の表面に「重合性単量体溶液(1−1−3)」を被覆させることを狙いとしている。
重合性単量体溶液(1−1−3)
スチレン 322.3g
n−ブチルアクリレート 121.9g
メタクリル酸 35.5g
n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル 9.55g
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌して重合反応(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、「シェル用樹脂粒子(1−1−2)」を原料とした「シェル用樹脂粒子(t1)」の分散液を得た。これを「シェル用樹脂粒子(t1)」の分散液とする。
この分散液よりシェル用樹脂粒子(t1)をサンプリングして、前述のDSC−7にてガラス転移温度Tgtを測定したところ46℃であった。
なお、「シェル用樹脂粒子(t1)」の分子量は、分子量分布で35,000及び17,000に分子量ピークを有し、重量平均子量は35,000であった。
〈シェル用樹脂粒子(t1)のコア粒子(s1)への固着〉
「シェル用樹脂粒子(t1)」の分散液12.5g(固形分換算)を5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH8に調製した。なお、「シェル用樹脂粒子(t1)」分散液のゼータ電位は−49.4mVであった。
一方、凝集工程で作成した「コア用粒子(s1)」分散液を加熱撹拌し、円形度が0.936になったところで、上記の「シェル用樹脂粒子(t1)」分散液を添加して、「コア粒子(s1)」表面に「シェル用樹脂粒子(t1)」を融着させた。
「シェル用樹脂粒子(t1)」添加後の「コア用粒子(s1)」の円形度は、0.956であった。その後、塩化ナトリウム96.3gをイオン交換水385gに溶解した水溶液を加え、粒子の凝集力をさらに弱めた上、85℃にて更に2時間加熱撹拌を継続し、「シェル用樹脂粒子(t1)」の「コア用粒子(s1)」への融着を完全にし、さらに所望の球形化度(円形度)になるまで加熱撹拌を継続した。その後、8℃/分の条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加してpH2に調整し、撹拌を停止した。これを「粒子1分散液」とする。
〈固液分離、乾燥工程〉
「粒子1分散液」を遠心脱水機にかけ、40℃のイオン交換水をふりかけながら洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより「粒子1」を得た。
〈外添剤混合工程〉
上記「粒子1」に、疎水性シリカ0.8質量部、疎水性酸化チタン1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーの回転翼の周速を30m/秒に設定し25分間混合して「トナー1」を調製した。
《トナー2の製造》
「トナー1」の製造において、化合物(C)としてエチリデン酢酸を0.016g、及びビニル重合体(D−1)を1.7g加えたところを、プロピリデン酢酸を0.036g、及びビニル重合体(D−2)を1.7gとした以外は同様にして「トナー2」を製造した。
《トナー3の製造》
「トナー1」の製造において、化合物(C)としてエチリデン酢酸を0.016g加えたところを、イソプロピリデン酢酸0.04gとした以外は同様にして「トナー3」を製造した。
《トナー4の製造》
「トナー1」の製造において、化合物(C)としてエチリデン酢酸を0.016g、及びビニル重合体(D−1)を1.7g加えたところを、ブチリデン酢酸を0.044g、及びビニル重合体(D−2)を1.7gとした以外は同様にして「トナー4」を製造した。
《トナー5の製造》
「トナー1」の製造において、化合物(C)としてエチリデン酢酸を0.016g加えたところを、イソブチリデン酢酸(1)を0.04gとした以外は同様にして「トナー5」を作製した。
《トナー6の製造》
「トナー1」の製造において、化合物(C)としてエチリデン酢酸を0.016g、及びビニル重合体(D−1)を1.7g加えたところを、ペンチリデン酢酸を0.160g、及びビニル重合体(D−2)を1.7gとした以外は同様にして「トナー6」を作製した。
《トナー7の製造》
「トナー1」の製造において、化合物(C)としてエチリデン酢酸を0.016g加えたところを、イソペンチリデン酢酸を0.04gとした以外は同様にして「トナー7」を作製した。
《トナー8の製造》
「トナー1」の製造において、「母体粒子の原料となる樹脂粒子の製造する工程」において、エチリデン酢酸を0.016g加えたところを添加せずに、「凝集工程」において237.2g(固形分換算)の母体用樹脂粒子分散液2−1−2と、イオン交換水2064gと、着色剤分散液82gとともに、エチリデン酢酸を0.020g添加した以外は同様にして「トナー8」を製造した。
《トナー9の製造》
「トナー1」の製造において、「母体粒子の原料となる樹脂粒子の製造する工程」において、エチリデン酢酸を0.016g、ビニル重合体(D−1)を1.7g加えたところを、エチリデン酢酸を添加せず、ビニル重合体(D−2)25.4gに変更した。さらに、「凝集工程」において、237.2g(固形分換算)の母体用樹脂粒子分散液2−1−2と、イオン交換水2064gと、着色剤分散液82gとともに、プロピリデン酢酸を0.045g添加した以外は同様にして「トナー9」を作製した。
《トナー10の製造》
「トナー1」の製造において、「コア粒子原料とする樹脂粒子の製造工程」において、エチリデン酢酸を0.016g、ビニル重合体(D−1)を1.7g加えたところを、エチリデン酢酸を添加せず、「凝集工程」において237.2g(固形分換算)の「コア用樹脂粒子分散液(2−1−2)」と、イオン交換水2064gと、「着色剤粒子」分散液82gとともに、イソプロピリデン酢酸を0.105g添加した以外は同様にして「トナー10」を作製した。
《トナー11の製造》
「トナー1」の製造において、「コア粒子の原料とする樹脂粒子の製造工程」において、エチリデン酢酸を0.016g、ビニル重合体(D−1)を1.7g加えたところを、エチリデン酢酸を添加せず、ビニル重合体(D−2)51.1gに変更した。さらに、「凝集工程」において237.2g(固形分換算)の「コア用樹脂粒子分散液(2−1−2)」と、イオン交換水2064gと、「着色剤粒子」分散液82gとともに、ブチリデン酢酸を0.120g添加した以外は同様にして「トナー11」を作製した。
《トナー12の製造》
「トナー1」の製造において、「コア粒子の原料とする樹脂粒子の製造工程」において、エチリデン酢酸を0.016g、ビニル重合体(D−1)を1.7g加えたところを、エチリデン酢酸を添加せず、「凝集工程」において237.2g(固形分換算)の「コア用樹脂粒子分散液(2−1−2)」と、イオン交換水2064gと、「着色剤粒子」分散液82gとともに、イソブチリデン酢酸を0.130g添加した以外は同様にして「トナー12」を作製した。
《トナー13の製造》
「トナー1」の製造において、「コア粒子の原料とする樹脂粒子の製造工程」において、エチリデン酢酸を0.016g、ビニル重合体(D−1)を1.7gを加えたところを、エチリデン酢酸を添加せず、ビニル重合体(D−2)86.2gに変更した。さらに、「凝集工程」において237.2g(固形分換算)の「コア用樹脂粒子分散液(2−1−2)」と、イオン交換水2064gと、「着色剤粒子」分散液82gとともに、ペンチリデン酢酸を0.470g添加した以外は同様にして「トナー13」を作製した。
《トナー14の製造》
「トナー1」の製造において、「コア粒子の原料とする樹脂粒子の製造工程」において、エチリデン酢酸を0.016g、ビニル重合体(D−1)を1.7gを加えたところを、エチリデン酢酸を添加せず、「凝集工程」において237.2g(固形分換算)の「コア用樹脂粒子分散液(2−1−2)」と、イオン交換水2064gと、「着色剤粒子」分散液82gとともに、イソペンチリデン酢酸を1.050g添加した以外は同様にして「トナー14」を作製した。
《トナー15の製造》
「コア用樹脂粒子(2−1−2)」の分散液をスプレードライヤーで乾燥させた樹脂粉末を1000質量部、カーボンブラック100質量部、離型剤(ペンタエリスリトールテトラベヘネート)150質量部とを二軸押し出し混練機で混練したのち、定法により粉砕、分級を行い、体積基準のメディアン径6.8μmのトナーを得た。これに、疎水性シリカ0.8質量部、疎水性酸化チタン1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーの回転翼の周速を30m/秒に設定し25分間混合し、「トナー15」を製造した。
《トナー16の製造》(比較用)
「トナー1」の製造において、エチリデン酢酸、ビニル重合体(D−1)のどちらも添加しなかった以外は同様にして「トナー16」を製造した。
《トナー17の製造》(比較用)
「トナー1」の製造において、エチリデン酢酸の代わりにn−ブタン酸を添加した以外は同様にして「トナー17」を製造した。
《トナー18の製造》(比較用)
「トナー7」の製造において、イソペンチリデン酢酸の代わりに4−メチルペンタン酸を添加した以外は同様にして「トナー18」を製造した。
表1に、トナーの作製に用いたアルキリデンーカルボン酸の種類、添加タイミング、含有量、ビニル重合体を示す。
Figure 0004703420
〔B〕現像剤の調製
上記「トナー1〜18」の各々に、シリコン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを、トナーの濃度が6質量%になるよう混合して「現像剤1〜18」を調製した。
〔C〕評価用オフセット印刷用紙の作製
評価用のオフセット印刷対応の用紙は、以下の様にして製造した用紙を、A4版に裁断して製造した。
(光沢塗工紙)
カオリン「UW−90」(エンゲルハード社製)80質量%と軽質炭酸カルシウム「タマパール123−SF」(奥多摩工業社製)20質量%からなる混合顔料100質量部当たりにポリアクリル酸ソーダ0.4質量部を添加し、デリッター(セリエ社製)を用いて水に分散させ、固形分濃度65質量%の顔料スラリーを調製した。次いで、この顔料スラリーを用いて次のような配合で塗工液を調製した。
塗工液の組成
前記顔料スラリー(固形分相当) 80質量%
ラテックス「L−1537」(旭化成社製) 15質量%
酸化澱粉「エースA」(王子コーンスターチ社製) 2質量%
エマルジョンサイズ剤「SPW−116H」(荒川化学工業社製) 3質量%
この塗工液の固形分100質量部当たり、潤滑剤としてステアリン酸カルシウム0.5質量部、蛍光染料0.2質量部、消泡剤0.2質量部、水を順次添加し、充分に撹拌、混合した後、25%アンモニア水溶液を用いてpHをアルカリ性に調節し、固形分濃度60質量%の水性塗工液を得た。
フリーネス450mlcsf(カナダ標準フリーネス)の広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)80質量%とフリーネス470mlcsfの針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20質量%からなる混合原料に、次の順序で以下の物質を添加した。ここに示す質量%は絶乾パルプ質量に対する各物質の絶乾質量%である。
サイズ剤「SPS−300」(荒川化学工業社製) 0.90質量%
アニオン性PAM「ポリストロン194−7」(荒川化学工業社製)
0.18質量%
硫酸バンド 2.00質量%
両性PAM「ハーマイドEX−300F」(ハリマ化成社製) 1.30質量%
(アニオン性PAM:両性PAM=12:88)
この様にして得られた紙料を白水で希釈して固形分濃度0.6%として公知の長網抄紙機で抄造し、更にはサイズプレスで下記処方の表面サイズ剤を2.0g/m2塗布して乾燥し、米坪量120g/m2の原紙を抄造した。
表面サイズ剤処方
酵素変性澱粉 80質量%
ポリビニルアルコール「T−330H」(日本合成化学工業社製) 17質量%
スチレンアクリル酸系サイズ剤「ポリマロン1308S」(荒川化学工業社製)
3質量%
前記原紙の片面に前記水性塗工液を「ブレードコーター」(三菱重工業社製)で、片面当たり15g/m2塗工し、次いで4セクションからなる「熱風ドライヤー」(アーチ型熱風ドライヤー、乾燥長さは各6m)(石川島播磨重工業社製)を用いて水分5.5質量%まで乾燥した。片面への塗工を終了後、反対面にも同様の塗工、乾燥を行い、両面塗工された坪量150g/m2の塗工紙を製造し、巻取りした。続いて、表面温度が140℃のチルドロールとウレタン樹脂製弾性ロール(ショアーD硬度、61度)とからなる仕上げ装置を2台設置し、前記の乾燥された両面塗工紙(巻取り)をこの仕上げ装置に導入し、表裏の塗工面が各1回チルドロールに当接するように通紙して仕上げを施し光沢塗工紙を製造した。この時ニップ線圧は1000N/cmであった。得られた光沢塗工紙の密度は1.01g/cm3、光沢度は70%であった。
なお、光沢度の測定はISO2813(JIS Z8741)記載の方法で行った。具体的には、下記測定装置及び下記測定条件の下で5mm2の面積を15カ所を測定し、その平均値を算出して求めたものである。
測定装置:「デジタル光沢計G−26D型」(村上色彩社製)
測定条件:20度、60度
(非光沢紙)
広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)をフリーネス480ml(カナダ標準フリーネス、CSF)に叩解した後、絶乾パルプ当たり合成サイズ剤「SPS−300」(荒川化学工業社製)を0.2質量%、硫酸バンドを1.0質量%、無機填料としてタルクを5質量%添加して紙料を調整し、この紙料を用いてシムホーマー湿式抄紙機「BALMET」(住友重工社製)において950m/分で抄造し、ゲートロールサイズプレス装置においてポリビニルアルコールと浸透剤からなる固形分濃度5質量%の塗布液(ポリビニルアルコール「P−7000」(日本合成化学工業社製)固形分当たりポリグリコール型非イオン界面活性剤「ハイルーブD550」(第一工業社製薬社製)を15ppm添加)を紙の表面と裏面に塗布し、全体の塗布量を0.55g/m2とし、坪量64g/m2の非光沢紙(フォーム用紙)を製造した。得られた非光沢紙の光沢度は6%であった。
〔D〕評価
評価用装置としては、電子写真式プリンタ(コピー、スキャナ機能も有する複合機)「Bizhub PRO 1050」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)の定着装置を図5に記載のベルト定着器に変更して用いた。
評価装置の条件は、105枚/分(A4版横送り)の速度で、加熱ロール表面温度を120℃に設定した。
評価用の用紙(記録紙)としては、上記で製造した光沢塗工紙(150g/m2)と非光沢紙(64g/m2)を用いた。
なお、加熱ロール表面温度を120℃に設定したのは、当該温度に設定した時に定着後に排出されたオフセット印刷用紙表面の温度が100℃以下であることを確認したことによる。
〈画像評価〉
(定着性)
プリント原稿は、10ポイントの文字が全面にある原稿を用いた。この原稿を各評価用紙(光沢塗工紙と非光沢紙)に250枚のプリントを行った。
プリントした評価用紙を、片手親指で10回めくり、親指がさわった文字周辺のにじみ状汚れと、親指の汚れを目視で観察し、下記のようにランク評価した。
評価基準
◎:光沢塗工紙と非光沢紙共に、全くに文字にじみ状の汚れがない(優良)
○:光沢塗工紙で、文字にわずかににじみ状の汚れが検知できるが実用上問題ない(良好)
×:光沢塗工紙と非光沢紙共に、文字に黒くにじんだような汚れがあり、且つ、親指がトナーで汚れる(不良)。
(トナーブリスタ)
評価用紙として非光沢紙を用い、非光沢紙上でのトナー付着量が1.6mg/cm2になるベタのトナー画像を形成した。
トナーブリスタの評価は、上記ベタのトナー画像に発生した0.1〜0.5μmの孔(トナーブリスタ)の数とその程度を目視観察して評価した。
評価基準
◎:トナーブリスタが全くない(優良)
○:トナーブリスタが4cm2当たり1〜2個存在するが実用上問題ないレベル(良好)
×:トナーブリスタが4cm2当たり3個以上存在し実用上問題有り(不良)。
(光沢塗工紙の表面維持)
プリント原稿として両面とも画素率25%の文字・写真の原稿を、評価用紙に光沢塗工紙、画像形成装置に上記評価用装置を使用して評価を行った。
光沢塗工紙の表面維持性能の評価は、定着後の白地部の光沢度とトナー画像部(ソリッド部)の光沢度を測定し、両者の差を算出して行った。なお、トナー画像部の光沢度も前述と同じ方法(ISO2813(JIS Z8741)記載の方法)で求めた。
評価基準
◎:白地部の光沢度が68〜72%、トナー画像部の光沢度が68〜74%、差が2%以下(優良)
○:白地部の光沢度が65〜75%、トナー画像部の光沢度が64〜78%、差が6%以下(良好)
△:白地部の光沢度が60〜80%、トナー画像部の光沢度が55〜80%、差が10%以下(実用可)
×:白地部の光沢度が35〜80%、トナー画像部の光沢度が35〜80%、差が10%よりも大きい(不良)。
(非光沢紙のカール)
プリント原稿として両面とも画素率25%の文字・写真の画像を、評価用紙に非光沢紙、前述の評価用装置を使用し、常温常湿(20℃、55%RH)環境下で用紙を横送りに搬送させて画像形成を行った。
カールの評価は、プリント直後、常温常湿(20℃、55%RH)環境下で以下の手順で行った。すなわち、断裁された用紙の流れ方向の一辺の中央部(一点)を手で支持してプリントを垂直に吊り下げ、吊り下げられた下端辺(支持されている辺と反対側の辺)の中央の円弧と両端の高さの差をミリメートル単位で測定し、これをカール値とした。
なお、カール値は、使用経験上A4版で15mm未満であればオフセット印刷工程でトラブル発生しないことが確認されている。
評価基準
◎:カール値が7mm未満(優良)
○:カール値が7mm以上、10mm未満(良好)
△:カール値が10mm以上、15mm未満(実用可)
×:カール値が15mm以上(不良)。
(非光沢紙の転写ムラ)
評価用プリント画像は、現像後、感光体上のトナー付着量が0.4mg/cm2となる条件で、5cm×2cmのトナー画像を感光体上に形成し、このトナー画像を非光沢紙に転写し、熱定着して作成した。
この評価用プリント画像を10人のパネラーに目視観察させ、下記評価を行った。
評価基準
◎:トナー画像のムラを感じると回答した人数が0名(優良)
○:トナー画像のムラが気になると答えた人が1名(良好)
△:トナー画像のムラが気になると答えた人が2名〜4名(実用可)
×:トナー画像のムラが気になると答えた人が5名以上(不良)。
(両面プリントの画像保存性)
評価用紙として光沢塗工紙を用い、プリント原稿に両面とも画素率50%の写真の画像を用いた。
評価用プリント画像は、上記プリント原稿を光沢塗工紙の両面にプリントし、100枚重ねて、高温高湿(33℃、90%RH)の条件下に72時間放置して作成した。
両面プリントの画像保存性の評価は、隣接する光沢塗工紙の裏面、表面にトナーの転移による汚れ、紙さばき性で評価した。
評価基準
◎:隣接する光沢塗工紙の裏面、表面にトナーの転移による汚れは認められず、紙さばき性も優れている(優良)
○:隣接する光沢塗工紙の裏面、表面にトナーの転移による汚れは認められないが、わずかに紙さばき性が低下している(良好)
△:隣接する光沢塗工紙の裏面、表面にトナーの転移による軽微な汚れが認められるがルーペで注視しなければ確認できない(実用可)
×:隣接する光沢塗工紙が、トナーによりはり付き、無理にはがすと隣接する光沢塗工紙の裏面、表面にトナーの転移による汚れが著しい(不良)。
評価結果を表2に示す。
Figure 0004703420
表2の結果から、本発明の「トナー1〜15」を用いた「実施例1〜15」は何れの評価項目も許容範囲であったが、比較用の「トナー16〜18」を用いた「比較例1〜3」は評価項目中に許容範囲外の結果となるものがあり、実用上問題を有することが確認された。この様に、本発明に係るトナーにより、オフセット印刷用紙を用いた時に良好なトナー画像形成が行えることが可能なことを見出した。
すなわち、上記「実施例1〜15」では、オフセット印刷用紙への安定したトナー画像形成が可能になった。すなわち、オフセット印刷用紙にトナー画像を転写した後、100℃未満の低い定着温度での処理が可能になり、トナーブリスタと呼ばれる定着時の水蒸気発生による画像欠陥の発生を抑制することができるようになった。
また、上記実施例によれば、オフセット印刷用紙を定着した後に見られたカール発生が抑制されるようになり、特に、カール発生が顕著に見られた非塗工紙で安定したトナー画像形成が行えるようになった。
また、トナー画像を形成した光沢塗工紙を加熱定着しても白地の光沢に変化をきたさない画像形成を行えるようになった。
さらに、本発明によれば、水との親和性を有するオフセット印刷用紙に対して安定した転写性を発現し、転写ムラのない安定したトナー画像形成を可能にした。
そして、本発明によれば、トナー転写性が特に困難な高湿度環境下での安定したトナー画像形成が可能になり、かつ、両面プリントを行ってもプリント物が互いに汚染せずに安定した画像保存性が発現されて、電子写真方式の画像形成によるオン・デマンドな製本作業を実現させた。
ビニル重合体(D)の重合に用いる反応装置の一例を示す概略図である。 本発明に係るトナー粒子の構造を示す模式図である。 ベルト式定着装置の例を示す概略図である。 ベルト式定着装置を搭載する画像形成装置の例を示す概略図である。
符号の説明
T トナー粒子
T1 コア部
T2 シェル
A 結着樹脂(A)
B 着色剤(B)
C アルキリデン−カルボン酸化合物(C)
D ビニル重合体(D)
E 離型剤(E)

Claims (13)

  1. エステル基を有するビニル系樹脂(A)と着色剤(B)とを含有するトナーにおいて、該トナーが下記群Gから選ばれる化合物(C)を含有することを特徴とするトナー。
    群G:エチリデン酢酸、プロピリデン酢酸、イソプロピリデン酢酸、ブチリデン酢酸、
    イソブチリデン酢酸、ペンチリデン酢酸、イソペンチリデン酢酸
  2. 前記トナーは、前記化合物(C)を0.001〜0.500質量%含有するものであるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記化合物(C)が、イソブチリデン酢酸であることを特徴とする請求項1または2に記
    載のトナー。
  4. 前記トナーは、ピーク分子量が330〜3400の(メタ)アクリル酸エステル重合体、
    または、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体を含有することを特徴とする請
    求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記(メタ)アクリル酸エステル重合体が、ポリブチルアクリレート、または、ポリ−2
    −メチルヘキシルアクリレートであることを特徴とする請求項4に記載のトナー。
  6. 樹脂(A)100質量部に対して、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体、または、前
    記(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体を0.1〜20質量部含有することを
    特徴とする請求項4または5に記載のトナー。
  7. 前記(メタ)アクリル酸エステル重合体、または、前記(メタ)アクリル酸エステル−ス
    チレン共重合体のピーク分子量が1000〜1800であることを特徴とする請求項4〜
    6のいずれか1項に記載のトナー。
  8. 前記トナーは、コア・シェル構造を有するものであり、
    前記樹脂(A)と前記着色剤(B)、及び、前記化合物(C)をコアに含有するものであ
    ることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のトナー。
  9. 前記ピーク分子量が330〜3400の(メタ)アクリル酸エステル重合体、または、(
    メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体を、前記コアに含有するものであることを
    特徴とする請求項8に記載のトナー。
  10. エステル基を有するビニル系樹脂(A)と着色剤(B)とを含有する粒子に樹脂粒子を固着させてコア・シェル構造を有するトナーを作製するトナーの製造方法において、
    該樹脂(A)は下記群Gから選ばれる化合物(C)の存在下で作製されるものであること
    を特徴とするトナーの製造方法。
    群G:エチリデン酢酸、プロピリデン酢酸、イソプロピリデン酢酸、ブチリデン酢酸、
    イソブチリデン酢酸、ペンチリデン酢酸、イソペンチリデン酢酸
  11. 前記樹脂(A)は、重合性単量体、前記化合物(C)を含有する油相を水系媒体中に分散
    させ、該油相の中で重合反応を行って作製されるものであり、
    該樹脂(A)と前記着色剤(B)とを水系媒体中で会合させる工程を経て前記粒子を作製
    することを特徴とする請求項10に記載のトナーの製造方法。
  12. 前記油相の中に、ピーク分子量が330〜3400の(メタ)アクリル酸エステル重合体
    、または、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体を含有させて、前記樹脂(A
    )を作製することを特徴とする請求項10または11に記載のトナーの製造方法。
  13. エステル基を有するビニル系樹脂(A)と着色剤(B)とを含有する粒子に樹脂粒子を固着させてコア・シェル構造を有するトナーを作製するトナーの製造方法において、
    水系媒体中で該樹脂(A)と該着色剤(B)とを会合させて粒子を形成する際に、該水系
    媒体中に下記群Gから選ばれる化合物(C)を存在させた状態で該会合を行うことを特徴
    とするトナーの製造方法。
    群G:エチリデン酢酸、プロピリデン酢酸、イソプロピリデン酢酸、ブチリデン酢酸、
    イソブチリデン酢酸、ペンチリデン酢酸、イソペンチリデン酢酸
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