JP4703244B2 - 舶用一軸二舵システムおよび一軸二舵船舶 - Google Patents
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Description
(あ)プロペラの後流の回転エネルギのうち一対の高揚力舵に挟まれた範囲(内側)の回転エネルギは回収されるものの、一対の高揚力舵に挟まれていない範囲(外側)の回転エネルギは回収されない。
(い)一対の舵ブレードのフィンの迎え角は、それぞれ一方が俯角で他方が仰角になる一律の関係にあるため、プロペラの後流の形態によって推進力が得られない場合がある。
前記一対の舵のそれぞれの両側面に水平面に対して所定の迎角を具備するフィンが設置され、
前記一対の舵のうちの一方の舵の両側面に水平面に対して所定の仰角を具備するフィンが設置され、
前記一対の舵のうちの他方の舵には、前記一方の舵に対向する側面に水平面に対して所定の俯角を具備するフィンが設置され、前記一方の舵とは反対の側面に水平面に対して所定の仰角を具備するフィンが設置されることを特徴とする。
(1−2)また、前記迎角が何れも仰角であることを特徴とする。
前記前記一対の舵の外側面に設置されるフィンおよび前記一方の舵の内側面に設置されるフィンが、上向きのキャンバーを具備する非対称の翼形状であって、
前記他方の舵の内側面に設置されるフィンが、下向きのキャンバーを具備する非対称の翼形状であることを特徴とする。
前記前記一対の舵の外側面に設置されるフィンおよび前記一方の舵の内側面に設置されるフィンが、前方が高くなる仰角を有し、
前記他方の舵の内側面に設置されるフィンが、前方が低くなる俯角を有することを特徴とする。
前記前記一対の舵の外側面および内側面に設置されるフィンが、何れも前方が高くなる仰角を有することを特徴とする。
さらに、本発明に係る一軸二舵船舶は、前記舶用一軸二舵システムの作用効果によって、大きな推進力が得られるため、推進動力の消費が大幅に低減し、顕著な省エネを図ることができる。
(舶用一軸二舵システム:右回りプロペラ後流)
図1は本発明の実施形態1に係る舶用一軸二舵システムを模式的に示す背面図である。図1は船首に向かって船尾を見た図であって、舶用一軸二舵システム10は、一軸のプロペラ1(図示しない)と、プロペラ1の後方でプロペラ1の軸心1Cを挟んで略鉛直面内に配置される左舵2Lおよび右舵2Rと、左舵2Lの外側22L(図中、左側に同じ)に設置される左外フィン3Aと、左舵2Lの内側24L(図中、右側に同じ)に設置される左内フィン3Bと、右舵2Rの内側24R(図中、左側に同じ)に設置される右内フィン3Cと、右舵2Rの外側22R(図中、右側に同じ)に設置される右外フィン3D(以下まとめて「フィン3」と称する場合がある)と、を有している。なお、破線の円1Bでプロペラ1のボス直径を、一点鎖線の円1Rでプロペラ1の直径を示している。
図2の(a)において、左内フィン3Bはプロペラ1の軸心1Cの高さに設置され、前縁31B側が高く後縁32B側が低くなるような迎角α(仰角)を有している。そして、左内フィン3Bは、非対称の翼形状であって、前縁から翼弦長の40%の範囲に上向きに翼弦長の4%以上の高さのキャンバーを有している。
なお、左外フィン3Aおよび右外フィン3Dは、左内フィン3Bに同様である。
そして、上方向の流れ4A、4Bおよび4Dのエネルギが、それぞれ左外フィン3A、左内フィン3Bおよび右外フィン3Dによって推力として回収され、下方向の流れ4Cのエネルギが右内フィン3Cよって推力として回収される。
一方、図4の(b)において、右内フィン3Cは、斜め後方下向きの流れ4C内に配置され、下向きの迎角α(俯角)と下向きのキャンバーを具備するから、図中、白抜き矢印で示す流入速度Vによって、マイナスの揚力FLが発生する。すなわち、マイナスの揚力FLの水平方向成分として推力FDが得られる。
(舶用一軸二舵システム:右回りプロペラ後流)
図5は本発明の実施形態2に係る舶用一軸二舵システムにおけるプロペラ後流の流入鉛直方向角度分布図である。図5は、プロペラ後流の前進方向速度成分(Vx)に対する鉛直方向速度成分(Vz)の割合を角度β(=ATAN(Vz/Vx)で示したものである。図5において、下向きの流れ4Cの流入角度が20°を超えている。
なお、流入鉛直方向角度はプロペラ作動時の流速方向であり、水槽実験結果による計測、もしくは、CFD計算によるシミュレーション結果により決定する。
(舶用一軸二舵システム:左回りプロペラ後流)
図7および図8は、本発明の実施形態3に係る舶用一軸二舵システムを模式的に示す背面図および該舶用一軸二舵システムにおけるプロペラ後流の断面速度分布図である。
図7は船尾から船首に向かって見た図であって、舶用一軸二舵システム30は、左舵2Lの外側22L(図中、左側に同じ)に設置される左外フィン5Aと、左舵2Lの内側24L(図中、右側に同じ)に設置される左内フィン5Bと、右舵2Rの内側24R(図中、左側に同じ)に設置される右内フィン5Cと、右舵2Rの外側22R(図中、右側に同じ)に設置される右外フィン5D(以下まとめて「フィン5」と称する場合がある)と、を有している。なお、実施の形態1(図1〜図4)と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
このとき、実施形態3の左外フィン5A、左内フィン5B、右内フィン5Cおよび右外フィン5Dは、それぞれ実施形態1の右外フィン3D、右内フィン3C、左内フィン3Bおよび左外フィン3Aと同様の形状であって同様の姿勢に設置されるものであるから、舶用一軸二舵システム30は舶用一軸二舵システム10同様の作用効果を奏する。
(一軸二舵船舶)
図9は本発明の実施形態3に係る一軸二舵船舶を模式的に示す背面図である。
図9は船首に向かって船尾を見た図であって、右回りプロペラ後流を形成する船体100(たとえば、大型肥大船型)に舶用一軸二舵システム10が設置されている。
したがって、一軸二舵船舶30は、舶用一軸二舵システム10が推力を獲得するから、推進のための消費動力が低減し、顕著な省エネ効果を奏する。また、舶用一軸二舵システム20を設置しても同様の効果が得られるものである。また、左回りプロペラ後流を形成する船体の場合には、舶用一軸二舵システム30または20を設置すれば、同様の効果が得られるものである。
図10から明らかなように、本発明の一軸二舵船舶30の模型船は比較船の模型船に対して、全速度域において2〜5%程度の省エネ効果が達成されている。
1B ボス直径(プロペラ)
1C 軸心(プロペラ)
1D プロペラ直径
2L 左舵
2R 右舵
3A 左外フィン(右回りプロペラ後流)
3B 左内フィン(右回りプロペラ後流)
3C 右内フィン(右回りプロペラ後流)
3D 右外フィン(右回りプロペラ後流)
4A プロペラ後流(右回り)
4B プロペラ後流(右回り)
4C プロペラ後流(右回り)
4D プロペラ後流(右回り)
5A 左外フィン(左回りプロペラ後流)
5B 左内フィン(左回りプロペラ後流)
5C 右内フィン(左回りプロペラ後流)
5D 右外フィン(左回りプロペラ後流)
6A プロペラ後流(左回り)
6B プロペラ後流(左回り)
6C プロペラ後流(左回り)
6D プロペラ後流(左回り)
10 舶用一軸二舵システム(実施形態1、右回りプロペラ後流)
20 舶用一軸二舵システム(実施形態2、右回りプロペラ後流)
30 舶用一軸二舵システム(実施形態3、左回りプロペラ後流)
21R 前縁(右舵)
22L 外側(左舵)
22R 外側(右舵)
24L 内側(左舵)
24R 内側(右舵)
31B 前縁(右内フィン)
31C 前縁(左内フィン)
32B 後縁(右内フィン)
32C 後縁(左内フィン)
100 一軸二舵船舶(実施形態4)
α 迎角
β 角度
FD 推力
FL 揚力
V 流入速度
Claims (7)
- 船尾に設置される一軸のプロペラと、該プロペラの後方で該プロペラの軸心を挟んで略鉛直面内に配置される一対の舵と、を有する舶用一軸二舵システムであって、
前記一対の舵のそれぞれの両側面に水平面に対して所定の迎角を具備するフィンが設置され、
前記一対の舵のうちの一方の舵の両側面に水平面に対して所定の仰角を具備するフィンが設置され、
前記一対の舵のうちの他方の舵には、前記一方の舵に対向する側面に水平面に対して所定の俯角を具備するフィンが設置され、前記一方の舵とは反対の側面に水平面に対して所定の仰角を具備するフィンが設置されることを特徴とする舶用一軸二舵システム。 - 前記迎角が何れも仰角であることを特徴とする請求項1記載の舶用一軸二舵システム。
- 前記フィンが、鉛直方向で前記プロペラの軸心と略同一高さに設置されることを特徴とする請求項1または2記載の舶用一軸二舵システム。
- 前記プロペラの軸心と略同一高さにおけるプロペラ後流が、前記一対の舵に挟まれた範囲の外側および前記一対の舵に挟まれた範囲の内側の一方の舵の内側面寄りで略斜め上方向であり、前記一対の舵に挟まれた範囲の内側の他方の舵の内側面寄りで略斜め下方向であるとき、
前記前記一対の舵の外側面に設置されるフィンおよび前記一方の舵の内側面に設置されるフィンが、上向きのキャンバーを具備する非対称の翼形状であって、
前記他方の舵の内側面に設置されるフィンが、下向きのキャンバーを具備する非対称の翼形状であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の舶用一軸二舵システム。 - 前記プロペラの軸心と略同一高さにおけるプロペラ後流が、前記一対の舵に挟まれた範囲の外側および前記一対の舵に挟まれた範囲の内側の一方の舵の内側面寄りで略斜め上方向であり、前記一対の舵に挟まれた範囲の内側の他方の舵の内側面寄りで略斜め下方向であるとき、
前記前記一対の舵の外側面に設置されるフィンおよび前記一方の舵の内側面に設置されるフィンが、前方が高くなる仰角を有し、
前記他方の舵の内側面に設置されるフィンが、前方が低くなる俯角を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の舶用一軸二舵システム。 - 前記プロペラの軸心と略同一高さにおけるプロペラ後流が、前記一対の舵に挟まれた範囲の外側および前記一対の舵に挟まれた範囲の内側の一方の舵の内側面寄りで略斜め上方向であり、前記一対の舵に挟まれた範囲の内側の他方の舵の内側面寄りで略斜め下方向であるとき、
前記前記一対の舵の外側面および内側面に設置されるフィンが、何れも前方が高くなる仰角を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の舶用一軸二舵システム。 - 請求項1乃至6の何れかに記載の舶用一軸二舵システムを有することを特徴とする一軸二舵船舶。
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