JP4702971B2 - コンピュータ支援診断システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、現在および過去のヘリカルCTスキャンで得たCT画像を用いて、初期段階の肺癌候補陰影を自動的に検出するコンピュータ支援診断(CAD)システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
日本において死亡者をその死因別にみると、癌による死亡は、年々上昇の傾向にあり、現在の死亡率は死亡者全体の4分の1を占める。癌による死因の中でも、肺癌は最も良く知られた死因の1つで、日本の男性の癌死亡者全体の20%を占めている。肺癌の回復率向上を計るため、癌細胞が成長する初期段階での発見と治療が必要である。
【0003】
従来の集団検診の方法としては、胸部X線フィルムが肺癌診断に使用されてきた。この胸部X線フィルムは2次元投影画像であり、骨と臓器の陰影が重なるため、微小肺癌の早期発見を結果的に妨げることになる。近年、被検体に対してX線管が螺旋軌道を描きながら投影データの収集が繰り返されるいわゆるヘリカルCTスキャナの登場により、短時間に全肺野の撮影を行うことができるようなった。よって肺癌が疑わしい領域の検出において、これら胸部CT画像に関心が集まりつつある。このことは、「N.Moriyama、 R.Iwata、 F. Wako、 M.Ohtani and H.Ohmatsu: Helical computed tomography scanning of the thorax and abdomen、 Jpn. J. Clin. Oncol、 23、 pp.156-161、 1993.」や、「T.iinuma、 Y.Tateno、 T.Matsumoto、 S.Yamamoto、 M.Matsumoto: Preliminary Specification of X-ray CT for Lung Cancer Screening (LSCT) and its Evaluation on Risk-Cost-Effectiveness、 Nippon Acta Radiologica、 Japan、52、 2、 pp.182-190、 1992.」に記述されている。
【0004】
このように、肺癌の集団検診において、これらヘリカルCTスキャナが肺野全体の撮影に使用されるようになってきた。しかし、ヘリカルCT画像を使った集団検診では、専門医が読影する画像は膨大な枚数に上る。この集団検診では画像が膨大な枚数に上るため診断に時間がかかり、臨床に応用することが困難になっている。
【0005】
この問題を解決するため、発明者らは、胸部CT画像から疑わしい領域を自動的に検出するCADシステムを開発した。このCADシステムについては、「K.Kanazawa、 N.Niki、 H.Nishitani、 H.Satoh、 H.Omatsu、 N.Moriyama: Computer Assisted Diagnosis of Lung Cancer Using Helical X-ray CT、 IEEE Workshop on Biomedical image analysis、 IEEE Computer Society Press、 pp.261-267、1994.」、「K.Kanazawa、 K.Kubo、 N.Niki、 H.Satoh、 H.Ohmatsu、 K.Eguchi、 N.Moriyama: Computer Aided Screening System for Lung Cancer Based on Helical CT images、 Visualization in Biomedical Computing、 Lecture Notes in Computer Science、 Spring、 pp.223-228、 1996.」、「K.Kanazawa、 Y.Kawata、 N.Niki、 H.Satoh、 H.Ohmatsu、 R.Kakinuma、 M.Kaneko、 N.Moriyama、 K.Eguchi: Computer-aided diagnosis for pulmonary nodules based on helical CT images、 Computerizes Medical imaging & Graphics 、 22、 pp.157-167、1998.」、「K.Kanazawa、 Y.Kawata、 N.Niki、 H.Satoh、 H.Ohmatsu、 R.Kakinuma、 M.Kaneko、 N.Moriyama、 K.Eguchi: Computer-aided diagnosis for pulmonary nodules based on helIcal CT images、 inf. Conf. on Pattern Recognition、 Brisbane、 ii、 pp.1683-1685、 1998. 」等に記載されている。
【0006】
しかし、専門医はプロトタイプCADシステムのCRTモニタ及びフィルムを使って、現在と過去のCTスキャンの間のスライス画像を照合し、比較読影する必要がある。よって比較読影においても読影すべき画像が膨大な枚数に上ると言う問題が発生する。このようにヘリカルCTスキャナにより得られた大量の3次元画像の読影は、専門医に膨大な読影時間と労力の負担を強いることになる。
【0007】
発明者らは、肺癌を早期に発見するために現在と過去のCT画像の間で比較読影を行う機能を備えたCADシステムを提案する。このCADシステムの重要な処理に、現在のCT画像のうちで注目するスライス画像と同じ画像情報を含んだ過去のCT画像を求めてスライス差を算出し、現在と過去のCT画像を比較し易いように並べて同時表示するスライスマッチングアルゴリズムがある。またCADシステムは現在のCT画像と過去のCT画像で肺癌が疑わしい領域の特徴量を計測してCRT表示する機能も備えている。これらの機能を使って得られる効果は、臨床の場で複数の被検者のデータを適応することによって示される。
【0008】
このような現在と過去のCT画像の間での比較読影の精度を左右する重要な問題の一つは、現在のCT画像と過去のCT画像とのスライス位置の整合に関わっている。つまり、現在のCT画像と過去のCT画像とを比較するにあたって、現在のCT画像のスライス位置と過去のCT画像のスライス位置とが異なっている、つまり体軸方向の位置が異なっている画像どうしを比較する場合、比較読影はその診断上の意義を完全に消失してしまう。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、コンピュータ支援診断システムにおいて、現在の画像と過去の画像とのスライス位置とを整合させることで、その比較読影による診断精度の向上を図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るコンピュータ支援診断システムは、マルチスライスを構成する複数の第1の断層画像と、前記第1の断層画像と同じ被検者の同じ部位に関し、且つ前記第1の断層画像と撮影時期の異なるマルチスライスを構成する複数の第2の断層画像との各々から特定臓器の領域を抽出する領域抽出部と、前記第1の断層画像から抽出した特定臓器の領域と前記第2の断層画像から抽出した特定臓器の領域との間の重畳部分のサイズの非重畳部分のサイズに対する比を表すインデックスを計算し、前記第1の断層画像各々に対する前記インデックスが最大値を示す第2の断層画像のスライス差に基づいて、前記第1の断層画像と前記第2の断層画像との間で体軸方向に関する解剖学的な位置を揃えるスライスマッチング部とを具備する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明を好ましい実施形態により詳細に説明する。まず、本発明の概略について説明する。本発明は、現在および過去のヘリカルCTスキャンで得たCT画像を用いて、病状の進行状況から初期段階の肺癌候補陰影を自動的に検出するコンピュータ支援診断(CAD)システムの改良、特に現在のCT画像と過去のCT画像とのスライス位置(被験者の体軸方向の位置)のマッチング(整合)に関するものである。同一被検者において、異なった時間に撮影した胸部CT画像の比較読影を支援するアルゴリズムの中で重要なのは、現在のCTスキャンのスライス画像と過去のCTスキャンのスライス画像を自動的にマッチングする、つまり現在と過去の画像間で、解剖学的な被検者の体軸方向の位置を揃えるスライスマッチングアルゴリズムである。
【0013】
このスライスマッチングアルゴリズムは、肺、心臓、下降大動脈の領域抽出処理部と、肺、心臓、下降大動脈領域の画像情報を使って現在と過去のCTスライス画像のマッチングを行うスライスマッチング処理部から成る。本アルゴリズムの性能を評価するため、1993年から1998年の間にスクリーニングで得た50人の被検者のデータに本アルゴリズムを適用した。50人の被検者の全検査データ総数は150である。これらの検査データから、同一被検者からなる100ペアの組み合わせを求めた。この時スライスマッチングアルゴリズムの処理結果は、100ペアのうち88ペアにおいて良好であった。現在および過去のCTスキャンのスライス画像、及び肺癌が疑わしい領域のサイズ、形状、濃度変化を示す特徴量は、CRTモニター上に並べて同時表示される。この実験結果は、CADシステムを使うことにより診断の迅速性と正確性が増すため、CADシステムが臨床の場で効果的に使用できることが示している。
【0014】
なお、本発明のコンピュータ診断支援システムで扱われる画像データとしては、ヘリカルCTスキャンで得たCT画像データが代表的であり、以下の実施形態ではこのヘリカルCTスキャンで得たCT画像データを例に説明するものであるが、それに限定されるものではなく、スライス方向(被験者の体軸方向)、それに直交する幅方向、厚さ方向、その他任意の方向に関して拡がりがあって、それぞれの方向に関して過去と現在との間で位置整合が必要とされる可能性のある全ての種類の画像データが対象であり、例えば、ヘリカルでないCTスキャンで得たマルチスライスのCT画像データ、磁気共鳴映像装置(MRI)で得た画像データ、被検者内部の固定点を中心にX線撮影系を揺動し、それにより固定点を通る断層面上の組織等だけが鮮明に映り、その面から外れた浅い又は深い部分の組織等は非鮮明でぼけて映るという撮影法を備えたX線断層撮影装置で得た画像データ等があげられる。
【0015】
1.システム構成
図1には、本実施形態に係るコンピュータ診断支援システムの構成を示している。このシステムは、ヘリカルCT画像データベース100を有している。このヘリカルCT画像データベース100には、過去から現在に至るまでにヘリカルCTスキャンで撮影された多くの被験者に関する例えば胸部のCT画像データが保管されている。コンピュータ診断支援を実行するに際しては、ヘリカルCT画像データベース100に対するアクセスにより、診断対象の被験者に関する過去の1又は数フレームのCT画像データと、同じ被験者に関する現在の1又は数フレームのCT画像データが検索され、ヘリカルCT画像データベース100から読み出される。
【0016】
ヘリカルCT画像データベース100には、計算機200が接続されている。この計算機200は、ヘリカルCT画像データベース100から読み出される診断対象の被験者に関する過去と現在のCT画像データを使って、プログラムコードに従って例えば肺癌の支援診断処理を実行するものである。この計算機200には、サブプログラムコードとして、過去と現在のCT画像データからスライスマッチング処理の有効な指標となり得る肺野、心臓、下降大動脈といった領域を抽出するための肺野領域抽出部211と心臓領域抽出部212と下降大動脈領域抽出部213とからなる領域抽出部210が設けられている。
【0017】
また、計算機200には、サブプログラムコードとして、スライスマッチング部220が設けられており、このスライスマッチング部220には、肺野領域抽出部211で過去と現在の画像データから抽出された肺野領域を使って過去のスライスと現在のスライスとの間でスライス位置の整合をとるための肺野領域によるスライスマッチング部221と、心臓領域抽出部212で過去と現在の画像データから抽出された心臓領域を使って過去のスライスと現在のスライスとの間でスライス位置の整合をとるための心臓領域によるスライスマッチング部222と、下降大動脈領域抽出部213で過去と現在の画像データから抽出された下降大動脈領域を使って過去のスライスと現在のスライスとの間でスライス位置の整合をとるための下降大動脈領域によるスライスマッチング部223と、これら3種のスライスマッチングの結果から最終的なスライスマッチングを判定するスライスマッチング判定部224とが装備されている。
【0018】
さらに、計算機200には、サブプログラムコードとして、スライスマッチング部220で整合されたスライス位置を用いて、過去と現在の画像データから特徴量を計算する特徴量計算部231と、その特徴量から肺癌候補を検出する肺癌候補検出部232とを有する特徴解析部230が設けられている。
【0019】
計算機200には、CRTモニタ300が接続されており、ここに特徴解析部230での解析結果(特徴量、肺癌候補)が表示されるようになっている。
【0020】
以下に、計算機200による支援診断処理の詳細に付いて説明する。
2.現在および過去のCT画像における比較読影
2.1 肺癌陰影の自動診断
ヘリカルCTスキャナは、短時間に全肺野領域の撮影を行うことができる。ここで得られる胸部CT画像には、肺癌などの疑わしい領域の早期発見の可能性において関心が集まっている。肺癌の集団検診用撮影条件は、表1に示す撮影条件で、1回の息止め(約15秒)の間に肺野領域全体のヘリカルCT画像が得られる。
【0021】
【表1】
【0022】
これらは、180度線形補間、間隔10mmで再構成された画像サイズ512×512pixel 、一画素あたり12bit 階調のヘリカルCT画像である。全ての被検者から約35枚の画像を収集し、上部から下部までの肺野全域を順次、各スライス画像毎に診断が行われる。しかし、ヘリカルCT画像を用いた集団検診では膨大な枚数のCT画像が発生する。この集団検診はCT画像の読影に時間があまりにかかるため、臨床応用を困難にしている。そこで発明者らは、胸部CT画像から、肺癌として疑わしい領域を自動的に検出して医師を支援するプロトタイプCADシステムについて報告する。
【0023】
肺癌として疑わしい領域を自動的に検出するアルゴリズムを、450例のヘリカルCT画像(合計15750画像)に適用する。その結果、肺癌陰影の自動検出感度は、約95%であった。図2はCADシステムの自動診断結果の一例で、図2(a)に原画像を、又図2(b)に肺癌候補陰影の自動診断結果を示している。なお、図2(a)において肺癌箇所を丸印で示しており、図2(b)において自動診断で検出された肺癌候補を×印で示している。
【0024】
2.2 比較読影
現在、国立癌センター中央病院および国立癌センタ東病院の専門医は、肺癌の集団検診で得た胸部CT画像をプロトタイプCADシステムのCRTモニタ及びフィルムを使って読影している。これらの読影において、過去の集団検診で得た同一被検者のCT画像を必要とする場合がある。ヘリカルCTスキャナにより得られた大量の3次元画像の読影は、膨大な読影時間と労力の負担を専門医に強いることになるため、誤診の原因になる。専門医は、現在及び過去の全てのCT画像をCADシステムのCRTモニタ上で読影することを望んでいる。よってCADシステムは、胸部CT画像から肺癌として疑わしい領域を自動的に検出し、現在及び過去のCT画像間の比較読影で専門医を支援する機能を備える必要がある。
【0025】
この専門医の比較読影を支援する機能の基本的な部分は、現在と過去のCT画像の間で同じ画像情報を含むスライス画像、つまり解剖学的に見て被検者の同じ位置のスライス画像をCRT上に並べて同時表示することである。これを実現するためには、過去と現在との間でスライス位置の整合、つまりスライスマッチングを図る必要がある。すなわち、殆どのケースで過去のスキャン範囲と現在のスキャン範囲との間には、ずれがあり、このためスライス番号が同じであっても、実際の解剖学的な位置は相違する。従って、現在のCT画像のなかで注目するCT画像のスライス番号と、過去の画像の中で現在の注目スライスと解剖学的な位置が同じスライスのスライス番号との間の対応関係(スライス番号の差)を求める必要がある。
【0026】
しかし、プロトタイプCADシステムは、このスライスマッチング機能を備えていない。よって今回、発明者らは、比較読影を支援する機能を備えたCADシステムを開発した。このCADシステムは、現在と過去のCT画像においてそのスライス番号の差をスライスマッチング部220で算出し、その結果を使って現在と過去のCT画像を並べて表示する機能と、肺癌が疑わしい関心領域の特徴量を算出して表示する機能を備えている。
【0027】
比較読影を支援する機能を備えたCADシステムの基本的な構成は図1を参照して説明した通りである。つまり、肺、心臓、下降大動脈の抽出部211、212、213と、肺、心臓、下降大動脈の領域の画像情報を使ってスライスマッチングを行うスライスマッチング部220とが設けられているのは、上述した通りである。スライスマッチングの結果として現在の注目スライス画像と、それと解剖学的に同じ位置の過去のスライス画像とを、専門医が比較読影し易いようにCRTモニタ300上に並べて同時表示する。又肺癌が疑わしい領域の特徴量は、現在と過去のCT画像の間で、サイズ、形状、濃度の変化を検出し易いように、現在と過去のCT画像毎に求めてCRTモニタ300上に表示される。
【0028】
3.スライスマッチングアルゴリズム
3.1 抽出処理
3.1.1 肺野領域の抽出
スライスマッチングに際しては、まず、しきい値処理および欠損部分の補正処理に基づいて、現在と過去の両方のスライス画像各々から肺野領域を抽出する。この肺野領域は、空気を多く含有する。そのため肺野領域内のCT値は骨格や軟部組織のCT値より低い値を示すので、比較的抽出能は高い。
【0029】
肺野領域の抽出処理は、以下の通りである。
(1)しきい値処理によって基本肺野領域を抽出し、原画像を2値画像に変換する。
(2)抽出した基本肺野領域を初期の肺野領域として定義する。しかしこの肺野領域は、軟部組織と同等の濃度をもった病変等が胸壁に接している場合には、それらの重要な領域を欠損された状態で肺野として認識してしまう。この問題を解決するため、初期の肺野領域の輪郭の曲率を求めて補正する。
【0030】
図3に、肺野領域の抽出処理結果を示している。図3(a)は、胸部CT画像の原画像である。図3(b)はしきい値を−400HUでしきい値処理した2値画像であり、円領域に示すように欠損領域がある。図3(c)に、この欠損領域の補正処理補正結果を示す。斜線領域は補正した肺野領域に組み込まれ、欠損領域が補正される。図3(d)に最終的に抽出した肺野輪郭を示す。
【0031】
(3)次に、右肺と左肺を判別する。図4に、この判別結果を示す。赤の領域が右肺、緑の領域が左肺である。
(4)こうして抽出された肺野領域を、図5(a)に示すように、肺野領域のサイズおよび形状によって4つのセクションに分類する。セクション1は、肺尖部である。セクション2は、鎖骨や大静脈が現れる区間である。セクション3は、心臓がある区間である。セクション4は、横隔膜がある区間である。図5(b)および(c)に、右肺野領域内のセクション2およびセクション3内の断層像を示す。分類方法は、以下の通りである。なお、nはスライス枚数であり、S(n)はn番目のスライス内の肺野領域のサイズ(肺野領域内のピクセル数)であり、C1は、肺尖部の標準的な最大サイズ(固定値)であり、また、x(n)、y(n)は図5(b)、図5(c)に示すセクション2と3の断面形態上の特徴的な部分の距離であり、C2は、セクション2とセクション3とを断面形態上の特徴に基づいて判別するためのインデックス(x(n)/y(n))に関するしきい値(固定値)である。
【0032】
(4−1) S(n)<C1の場合、そのn番目のスライスは、肺尖部のセクション1に属するものとして判定される。
(4−2) S(n)≧C1、且つx(n)/y(n)<C2の場合、S(n)は、鎖骨のあるセクション2に属するものとして判定される。
(4−3) 1≦k<nとして、S(n)≧(2/3)・(max{S(k)})、且つx(n)/y(n)≧C2の場合(1≦k<n)、S(n)は、心臓のあるセクション3に属するものとして判定される。なお、max{S(k)}は、S(1)からS(n)の中の最大値である。
(4−4) S(n)<(2/3)・(max{S(k)})の場合、S(n)は、横隔膜のあるセクション4に属するものとして判定される。
3.1.2 心臓領域および下降大動脈の抽出
しきい値処理およびラベリング処理を用いて、各スライスにおける心臓領域と、心臓の尖部から頭部に向かって少し延び、そして緩やかに下肢側に湾曲し下降している弓状形態の下降大動脈領域とを抽出する。各スライスにおける心臓領域の抽出方法としては、図6に示すように、肺野の幅および高さにより決定される矩形エリアAおよびBを抽出する。また、矩形エリアAにおける左肺と右肺を最短距離で結ぶ直線を取得する。図6で示す領域B内(背骨のある長方形領域)において、CT値170HUにて閾値処理を行って得た処理結果の中で最大面積を持つ領域を背骨の領域とした。そして、肺の輪郭領域、領域Bの背骨領域、および左肺と右肺とを最短距離で結んだ直線で囲まれた領域を基本心臓領域として抽出する。さらに、膨張と収縮の繰り返し処理により、心臓候補領域から肺血管およびぞの他組織を除去する。
【0033】
肺血管及び気管等は、心臓領域に対して、CT値が接近しているため、閾値処理を中心とした上記の方法で心臓候補領域を求めると、心臓候補の一部に肺野内部の血管や気管が含まれた形で抽出されることになる。これら領域を除去して、真の心臓領域を求めるため、心臓候補領域を一度収縮させてから膨張させる。この処理は画像処理的にはヒゲ領域や小さい点の除去を行うというものであり、肺血管や気管のような比較的細い突出したような領域の除去を行う手段として有効である。なお、膨張、収縮のそれぞれのサイズは、例えば30画素である。
以上のようにして、図7に示すように、右肺、左肺、下降大動脈、心臓部が抽出される。
【0034】
3.2 マッチング処理
より精度の高いスライスマッチングを行うために、肺野、下降大動脈、心臓各々の形態的特徴に応じたそれぞれ固有の方法でインデックス(マッチング値)を求め、このマッチング値に基づいてスライスマッチング、つまり現在のあるスライスのスライス番号と、そのスライスと解剖学的に同じ過去のスライスのスライス番号との差(スライス差)を求める。
【0035】
3.2.1 肺野領域に着目した現在と過去との間のスライスマッチング
現在のあるスライスと過去のあるスライスとの間のマッチング値は、現在のCT画像の中のある1スライスの肺野領域と、過去のCT画像のある1スライスの肺野領域との間で、肺野領域どうしで重畳する論理積領域(“AND”領域)のサイズ(重畳領域内のピクセル数)に対する重畳しない論理和領域(“OR”領域)のサイズ(非重畳領域内のピクセル数)の比率をマッチング値として求める。AND領域の大きさとOR領域の大きさを使って得るマッチング値は、現在のCTスライスと過去のCTスライスを閾値処理して得る2つの肺野領域のバイナリーイメージの間で重ならない論理積領域(AND領域)の画素数と、2つの肺野領域のバイナリーイメージの間で重なる論理和領域(OR領域)の画素数との比で決定される。
【0036】
AND領域とOR領域を使って得るマッチング値は、
AND領域の画素数/OR領域の画素数
の式で求められる。この値が大きいほど2つのバイナリーイメージはマッチング値が高い、すなわち「似ている」ということになる。
【0037】
なお、セクション1およびセクション4は、肺野領域の辺縁部は明瞭でないため、セクション2およびセクション3において肺野領域のマッチング値を計算するのが適当である。
【0038】
図8に示すように、現在のCTスキャンにおけるi番目のスライスと過去のCTスキャンにおけるj番目のスライスとの間のマッチング値m(i、j)を計算する。mmax (i、j)は、i−5≦j≦i+5内、つまり現在のi番目のスライスに対して、それより前後5スライスにわたる過去のスライスを探索範囲として、その中でのマッチング値m(i、j)の最大値を表しており、また、jmax は、mmax (i、j)に対応する過去のスライス番号jを示す。この場合、現在のi番目のスライスと、過去のj番目のスライスとの間のスライス差は、以下によって定義される。
d(i)=jmax −i (1)
セクション2およびセクション3内の全てのスライスを対象としてd(i)を計算し、その中から最高頻度のスライス差dL (i)を求める。ここで、最高頻度のスライス差dL (i)を、肺野領域のマッチング処理から得られる最終スライス差の値として特定する。
【0039】
このように肺野領域に着目して現在と過去との間のスライス差と共に、それとは別な方法で下降大動脈領域に着目して現在と過去との間のスライス差を求める。この方法では、下降大動脈の形態的な特徴、つまり弓状をしていることを利用している。
【0040】
3.2.2 下降大動脈領域に着目した現在と過去との間のスライスマッチング大動脈弓を含むスライス画像を選択し、このスライス画像を用いて、現在のCTスキャンのスライス画像と過去のCTスキャンの画像の間で、上述と同様にマッチング値を計算する。図9(a)に、大動脈弓スライス画像の上部スライス画像を示す。一般的に大動脈弓が認識され始め、上部のスライスでは大動脈弓が認識されないか、あるいはCT値が非常に小さな値となる.図9(b)は、大動脈の領域内で最上部のスライス画像を示す。図9(c)は、図9(a)における肺および心臓領域の抽出画像を示す。図9(d)は、図9(b)の肺、心臓、大動脈弓領域の抽出画像を示す。図10(a)に示すように、Sは下降大動脈のサイズ(下降大動脈領域内のピクセル数)、w1は左右肺が最も接近した部分を線で結んだ時の線の長さ、w2は、下降大動脈の幅である。そして、S、w1、w2を用いてパラメータrを計算する。パラメータrは、S・(w2/w1)によって定義される。現在および過去のCTスキャンにおける大動脈弓スライス画像を選択するため、全スライス画像においてrを計算する。下降大動脈は弓状に湾曲していることを利用して、このr値が急激に増加するスライスを大動脈弓のスライスとして特定する。図10(b)は、rが急上昇する大動脈弓スライス画像のあることを示している。
【0041】
現在および過去のCTスキャンの全てのrを計算し、現在のCTスキャンの大動脈弓スライスと、過去のCTスキャンの大動脈弓スライスを決定する。大動脈弓領域のマッチング処理から求めたスライス差の値として、dA (i)を求める。このdA (i)は、以下によって定義される。
dA (i)=j−I (2)
この場合、現在のCTスキャンの大動脈弓領域はI番目のスライス、過去のCTスキャンの大動脈弓領域はj番目のスライスである。
【0042】
大動脈弓領域のマッチング処理を用いて、過去のCTスキャンのスライス画像を現在のCTスキャンのスライス画像にマッチングすることができる。
【0043】
3.2.3 肺、大動脈弓、心臓領域による最終的なスライスマッチング
肺野領域で行うマッチング処理の結果と、下降大動脈領域で行うマッチング処理の結果とは、典型的には、殆ど同じ結果となる。しかし、前記2種類の方法で求めた結果が異なる場合は、これらの結果のうちの何れか一方をマッチング処理の最終結果として選択する。
【0044】
前記2種類の方法で求めた結果が異なる最大の原因は、肺野領域のサイズが、被検者が呼吸停止時に1呼吸で吸い込む空気の量の差異により現在と過去のCT画像の間で異なることにある。つまり、吸い込んだ空気の量により肺野領域のサイズが大きく異なり、それに起因して現在と過去の画像の間の肺野領域のマッチング結果に誤差が生じる。また、アーチファクトの影響により大動脈弓の影を正確に抽出できない場合には、下降大動脈マッチングで誤差が生じる。このように、2つのマッチング処理結果が同じでないとき、最終結果は心臓領域の情報を参照して前記2つの結果から選択される。
【0045】
図11に、前記2つのマッチング処理結果が同じにならない場合、現在と過去の画像の心臓領域の間でマッチング処理を用いて得たマッチング値を使って最終結果を得るスライスマッチング処理のフローを示す。図11(a)に、図5に示すセクション3の先頭スライス画像を示す。図11(b)に、肺野領域のマッチング処理から得た過去のCT画像におけるセクション3の先頭スライス画像を示す。また、図11(c)に、大動脈弓のマッチング処理で得た過去のCTスキャンにおけるセクション3の先頭スライス画像を示す。過去のCTスライスの心臓領域と現在のCTスライスの心臓領域の重なりから求めるマッチング値は、論理積領域(重畳領域)のサイズ(画素数)に対する論理和領域(非重畳領域)のサイズの比率として計算する。
【0046】
スライス差dL (i)は、肺野領域のマッチング方法によって計算され、現在のCTスキャンのセクション3の先頭スライス番号をk、過去のCTスキャンのセクション3の先頭スライスmとすると、以下の式によって定義される。
m=k+dL (i) (3)
スライス差dA (i)は、大動脈弓のマッチング処理により計算され、現在のCTスキャンのセクション3の先頭スライス番号をk、過去のCTスキャンのセクション3の先頭スライス番号をnとすると、以下の式で定義される。
n=k+dA (I) (4)
また、前記方法で得たスライス差が異なった場合に最終結果を得るスライスマッチング処理を以下に示す。先ず、現在のCTスキャンのセクション3の先頭スライスkと、過去のCTスキャンのセクション3の先頭スライスmとを用いて心臓領域のマッチング値を計算する。次に、現在のCTスキャンのセクション3の先頭スライスkと、過去のCTスキャンの先頭スライスnを用いて心臓領域のマッチング値を計算する。
【0047】
最後に、心臓領域を用いて求めた2つのマッチング値のなかから大きい値を選択し、この値をdH (i)として表わす。この時、dH (i)は、結果としてdL (i)とdA (i)のいずれかに等しい。
【0048】
4.疑わしい陰影の特徴量の計測
肺癌の疑わしい陰影の特徴量を定義する5つの特徴量を以下に示す。
【0049】
サイズ(Fa);疑わしい陰影のサイズが非常に小さい場合、肺癌の候補領域(CR)に分類しない。ここでサイズはCRのピクセル数を示す。
【0050】
円形度(Fc);肺癌の形状は、通常楕円形で、2次元断面上では円に類似した形状に見える。そのため円形度は、疑わしい領域の外接円内の占有率で表す。疑わしい陰影の円形度として、各CRの外接円内で収容率Fcを計算する。
【0051】
平均CT値(Fg);ヘリカルCT画像内に血管が縦方向に走る場合、血管のCT値は肺癌のCT値より通常高くなる。各CRのピクセルの平均CT値は、疑わしい陰影の値として計算される。
【0052】
値の分散(Fv);肺癌領域のピクセルのグレイスケールは、比較的均一である。各CRのCT値の分散は、疑わしい陰影のピクセル値から求める。
【0053】
太さ(Ft);血管の太さは、その位置が肺壁部に近づくにつれ、細くなる。肺癌の太さは通常、各位置の血管の通常の太さより大きくなる。疑わしい陰影の太さとして、重み付き距離変換処理を用いる。
【0054】
抽出された候補領域の殆どは血管であり、腫瘍および血管は、疑わしい陰影の特徴量を用いて区別される。これらの現在および過去のCTスキャンの特徴量は、サイズ、形状、濃度の変化を検出するためにCRTモニター上に表示される。専門医は、現在および過去の疑わしい陰影の特徴量を各々チェックし、これらの変化を検出する。
【0055】
真の肺癌陰影の特徴は、時間の経過と共に癌細胞が成長してサイズ(Fa)が大きくなること、形状において円形度(Fc)が高いこと、濃度において血管の陰影の濃度より淡いこと、表面が凸凹していること等の様々な点にあることが、臨床的に解明されつつある。専門医は、これらの特徴のうちで、1つ以上の特徴を示す陰影を癌を強く疑う陰影として認識する。図13(a)に示すCT画像の上に×印でマーキングされた陰影は、CADシステムが検出した肺癌候補陰影である。専門医は、図13(b)、図13(c)に示すこれら肺癌候補陰影のサイズの情報Fa、形状の情報Fc、濃度の情報Fv、Fgについて過去のCT画像と現在のCT画像の間で比較し、癌を強く疑う陰影かどうかを判断する。図13(b)、図13(c)では、Fa、Fv、Fgの値が増加しているため、専門医を肺癌を強く疑う陰影とした検査例である。このように専門医は、過去画像と現在画像との間の5つの特徴量の変化を、肺癌を強く疑う陰影とするかどうかを判断する情報として、容易に得ることができる。
【0056】
5.実験結果
5.1 スライスマッチングの評価
東京から肺癌をなくす会(ALCA)において1993年から1998年までに検診を受けた50被検者のデータに適用した。50被検者の総検査数は150であった。我々はアルゴリズムの性能を評価するため50被検者の検査のうちから100ペアの組み合わせを作った。表2に、代表的な8被検者のCT検査を表で示す。
【0057】
【表2】
【0058】
発明者らは、この自動スライスマッチングのアルゴリズムを現在および過去のCTスキャンのスライス画像に適用した。専門医は、表3に示す判定基準により、この結果を評価した。
【0059】
【表3】
【0060】
図12に自動スライスマッチングの結果を示す。上段の(a)、(b)、(c)のCTスキャン日付は1993年であり、下段の(d)、(e)、(f)のCTスキャン日付は1995年である。その結果として、上段の18番目のスライスと、下段の19番目のスライスとのマッチングを示す。この場合のスライス差は1である。
【0061】
【表4】
【0062】
表4に示すように、グループS1は、専門医の判定がIのマッチング結果を、グループS2は判定がIおよびIIのマッチング結果を、グループS3は判定がI、II、IIIのマッチング結果を示す。又グループS4は判定がI、 II、 III、 IVのマッチング結果を、グループS5は判定がIIIおよびIVのマッチング結果を示す。その結果、表3に示す判定基準により、表4において100ペアのうちグループS1、グループS2、グループS3からなる88ペアで良好な結果であったことが分かる。しかし、グループ4、グループ5からなる12ペアは、幾分問題があり、これらのペアは2スライス以上のスライマッチング誤差を含んでいる。
【0063】
また、以下の表5に示すように100ペアのなかで組み合わせた全スライス画像の組み合わせ総数2806ペアのうち、表3に示す判定基準により、グループI1、I2、I3の2734ペアで良好な結果であったことを示している。残りの72ペアはスライスマッチングに失敗している。これら72ペアのうち68ペアは、セクション4における横隔膜部で発生した。
【0064】
【表5】
【0065】
また、スライスマッチング処理の失敗は、以下の事例で発生した。肺野領域のサイズは、呼吸停止時の空気の吸入量に依存する。よって肺野領域を使ったマッチング処理の結果は、現在及び過去の検査における呼吸停止時の空気の吸入量に依存する。
【0066】
CT画像のアーチファクトにより大動脈弓を正確に検出できない場合、下降大動脈領域を用いたマッチング処理は良い結果を得られない。
88ペアのうち80ペアの組み合わせは、肺野領域および大動脈弓の画像情報を使ったマッチング処理だけから得られ、残りの8ペアは、心臓領域のマッチング方法により補正される。肺野領域と大動脈弓の画像情報を使ったマッチング処理は、呼吸停止時の空気の吸入量およびアーチファクトの影響により良好な結果が得られるかどうかが左右されるため、本マッチング処理に少し問題が残る。
【0067】
5.2 CADシステムのインタフェース
図13に、専門医がCADシステムを使って読影する場合の画像表示の一例を示す。現在および過去のCTスキャンの画像は、専門医の比較読影を支援するため、並んで同時に表示される。CRTモニターに表示される画像は、図13(a)に示すように、上段と下段からなり、過去のCTスキャンで得た3スライス画像は上段に表示される。現在のCTスキャンで得たの3スライス画像も同時に下段に表示される。これら3スライス画像は、読影する対象画像の上スライス画像と、対象画像、対象画像の下スライス画像からなる。専門医は、過去のCTスキャンの1つを選択、表示して、現在のCTスキャンと効果的に比較、読影することができる。
【0068】
肺癌が疑わしい領域の特徴量の幾つかは、図13(b)および図13(c)に示すように、サイズ、形状、濃度の変化を検出するためCRTモニター上に表示される。図13(b)に現在のCT画像上で疑わしい領域の特徴量を示す。図13(c)に、過去のCT画像の特徴量を示す。これら特徴量は、サイズ(Fa)、円形度(Fc)、分散(Fv)、平均(Fg)、太さ(Ft)である。専門医は、現在の特徴量と、過去の特徴量を比較するため、図13(b)および図13(c)に示す5つの特徴量の変化を見る。
【0069】
6.結論
肺癌のCT検診において、現在と過去のCT画像を用いた比較読影を支援するCADシステムを提案した。このCADシステムは、現在および過去のCTスキャンの間で自動スライスマッチングを行う機能、現在と過去のCT画像を並べて同時表示し、疑わしい領域に5つの特徴量を表示する機能、を備えている。我々は、1993年から1998年の間にスクリーニングした50被検者のデータにこれらの機能を適用した。その結果は、50被検者において被検者毎に組み合わせて作成した100ペアのうち88ペアでスライスマッチング処理が正しく行われたことを示した。またこの結果は、100ペアのなかのスライス画像の組み合わせ総数2806ペアのうち2734ペアで良好であることを示した。これらの機能は、本CADシステム上で実現できる。専門医は、プロトタイプCADシステムから機能拡張した本CADシステムに一部臨床データを適用し、現在と過去のCT画像間の比較読影を支援する機能の有効性を試験した。
【0070】
以上のように、同一被験者に関する現在と過去のCT画像のスライスマッチングは高精度で実現することができ、それに伴って誤診の危険性が確実に減少するものと考えられる。
【0071】
本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々変形して実施可能である。
【0072】
【発明の効果】
(1)請求項1記載の本発明によれば、第1の断層画像から抽出した特定臓器の領域と第2の断層画像から抽出した特定臓器の領域とのサイズ及び形態に関わるインデックスに基づいて、第1の断層画像と第2の断層画像との間で体軸方向に関する解剖学的な位置を揃えるので、その精度は向上し、それにより比較読影診断精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンピュータ支援診断システムの構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態において、CT画像の原画像と結果とを示す図。
【図3】本実施形態の肺野抽出処理に関する補足図。
【図4】本実施形態の肺野領域の左右判別に関する補足図。
【図5】本実施形態のセクション分類に関する補足図。
【図6】本実施形態の心臓抽出処理に関する補足図。
【図7】本実施形態の抽出処理により抽出された右肺、左肺、下降大動脈、心臓の各領域を示す図。
【図8】本実施形態による肺野領域に着目した現在と過去との間のスライスマッチングに関する補足図。
【図9】スライスによって変化する下降大動脈領域を示す図。
【図10】本実施形態による下降大動脈領域に着目した現在と過去との間のスライスマッチングに関する補足図。
【図11】本実施形態において、肺野領域によるマッチング処理結果と下降大動脈領域によるマッチング処理結果とが同じにならない場合、心臓領域によるマッチング処理結果からいずれかのマッチング結果を選択する処理の補足図。
【図12】本実施形態によるスライスマッチングの結果として現在と過去のスライス画像を並べて表示する表示例を示す図。
【図13】本実施形態による特徴量の表示例を示す図。
【符号の説明】
100…ヘリカルCT画像データベース、
200…コンピュータ、
300…CRTモニタ、
210…領域抽出部、
211…肺野領域抽出部、
212…心臓領域抽出部、
213…下降大動脈領域抽出部、
220…スライスマッチング部、
221…肺野領域によるスライスマッチング部、
222…心臓領域によるスライスマッチング部、
223…下降大動脈領域によるスライスマッチング部、
230…特徴解析部、
231…特徴量計算部、
232…肺癌候補検出部。
Claims (3)
- マルチスライスを構成する複数の第1の断層画像と、前記第1の断層画像と同じ被検者の同じ部位に関し、且つ前記第1の断層画像と撮影時期の異なるマルチスライスを構成する複数の第2の断層画像との各々から特定臓器の領域を抽出する領域抽出部と、
前記第1の断層画像から抽出した特定臓器の領域と前記第2の断層画像から抽出した特定臓器の領域との間の重畳部分のサイズの非重畳部分のサイズに対する比を表すインデックスを計算し、前記第1の断層画像各々に対する前記インデックスが最大値を示す第2の断層画像のスライス差に基づいて、前記第1の断層画像と前記第2の断層画像との間で体軸方向に関する解剖学的な位置を揃えるスライスマッチング部とを具備することを特徴とするコンピュータ支援診断システム。 - 前記スライスマッチング部は、前記インデックスに基づいて特定した前記第1の断層画像から抽出した特定臓器の領域の辺縁位置と、前記第2の断層画像から抽出した特定臓器の領域の辺縁位置とから解剖学的な位置を揃えることを特徴とする請求項1記載のコンピュータ支援診断システム。
- 前記スライスマッチング部は、前記抽出された特定臓器の領域を複数のセクションに分類する手段と、前記分類した複数のセクションの中の特定のセクションに限定してスライスマッチングを行うことを特徴とする請求項1記載のコンピュータ支援診断システム。
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