JP4702473B2 - 照射装置 - Google Patents

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本発明は、半導体素子や液晶基板の製造工程において、ウエハやガラス基板等の基板のドライ洗浄に好適に用いることができる照射装置に関する。
半導体素子や液晶基板の製造工程においては、シリコンウエハやガラス基板等の基板の表面に付着した有機化合物等の除去処理が行われており、かかる有機化合物等の除去処理方法としては、水や有機溶剤等を使用しないドライ洗浄法が広く利用されている。
このようなドライ洗浄法の一つとして大気圧プラズマ発生装置が知られている。この装置は、一対の電極の間にプラズマが生じる空隙が形成されており、この空隙に窒素ガスを流しながら、短パルスの高電圧電界が印加される。高周波電界が印加された電極の大気圧近傍でプラズマが発生し、プラズマによってガラス基板などの被処理物に付着した有機物を除去することができる。
プラズマは、大気圧下では一瞬にしてグロー放電からアーク放電に移行し、スパーク放電が発生しやすい。そのため、短パルスの電界を電極に印加して、グロー放電からアーク放電に移行する前に、強制的に電界を切替えて、アーク放電に移行しないようにし、グロー放電のまま維持させている。
しかしながら、短パルスの電界を生成するパルス電源は高価であるため、装置全体の価格が上昇してしまうという問題がある。また、短パルス電界を印加する場合は、処理物であるガラス基板との走行位置とのタイミングを図る複雑な制御が必要となることや、急峻な電界が発生することからノイズの問題も生じる。
特開2002−151480号公報
本発明は、上記の問題点に鑑み、グロー放電からアーク放電への移行を防止することができ、かつ、パルス電源を使うことの種々の問題を解決できる新しい大気圧プラズマ発生装置を提供することを目的とする。
本願第1の発明は、不活性ガスが封入された不活性ガス層が形成された放電容器の内部に配置された内部電極と、放電容器の外部に大気圧下に反応性ガスが流過された反応性ガス層を挟んで配置された外部電極との間に交流電界が供給され、前記外部電極と前記内部電極との間で発生する放電が、反応性ガス層におけるプラズマ放電と不活性ガス層におけるエキシマ放電とを介して発生することを特徴とする。
本願第2の発明は、第1の発明において、前記内部電極に高電圧が供給されることを特徴とする。
本願第1の発明に係る照射装置によれば、一対の電極で発生する放電が反応性ガス層と不活性ガス層とを介して生じるようにすることによって、反応性ガス層の放電を持続させずに停止できるので、正弦波交流電圧を供給してもプラズマ放電のアーク放電への移行を防止でき、プラズマ放電を安定に維持することができる。また、被処理体に対して、エキシマランプからの紫外線による洗浄処理およびエキシマランプと電極との間に発生したプラズマによる洗浄処理の両方を行うことができるので、被処理体に対して高い洗浄処理能力が得られる。
本願第2の発明に係る照射装置によれば、内側電極は放電容器の内部の閉じられた空間内にあるので、内側電極を高圧側とすることによって、容易に絶縁を図ることができる。
第1の実施形態の照射装置の構成を示す説明用断面図 第2の実施形態の照射装置の構成を示す説明用断面図
図1は、第1の実施形態の照射装置の構成を示す説明用断面図である。
ランプハウス20の内部に、エキシマランプ10が配置され、エキシマランプ10の下方に被処理体Wを水平方向に搬送して移動させる搬送機構30が設けられている。ランプハウス20は、側壁を形成する側壁部材21a、21bが向かい合うように配置され、側壁部材21a、21bの上部の開口を塞ぐように天板22が形成されている。ランプハウス20を、側壁部材21a、21bと天板22とに分けて構成することにより、天板22を開閉式にしてランプハウス20内部に配置されるエキシマランプ10を交換できるようにしている。搬送機構30は、複数の搬送コロ31が被処理体Wの搬送方向に沿って並ぶよう配置されて構成されている。
ランプハウス20の天板22の内面には、例えばアルミニウムよりなる直方体状の外側電極25が設けられている。外側電極25の内部に、エキシマランプ10の長手方向に沿って水平に伸びる冷却水管26が複数設けられている。一方の側壁部材21aと外側電極25との間にマニホールド27が設けられ、エキシマランプ10と外側電極25との間に反応性ガスを供給している。反応性ガスとしては、窒素ガス(N)、アルゴンガス(Ar)、炭酸ガス(CO)、ヘリウムガス(He)などを主成分とし、酸素ガスが1〜2体積%含有してなるものを用いることが好ましい。また、単位長さ当りの流量が、1m当り0.5〜4m/sとなるように流過させている。
反応性ガスが、大気圧またはその近傍の圧力下において、マニホールド27から外側電極25とエキシマランプ10との間を流れ、他方の側壁部材21bとの隙間からエキシマランプ10の下方の被処理体Wに向かって流すことによって、発生したプラズマが被処理体Wに照射されるようにしている。反応性ガスが一方の側壁部材21aに沿って流出しないように、エキシマランプ10の側面に接触するように固定板23が配置されている。また、他方の側壁部材21bとの間にはエキシマランプ10の側面との間に反応性ガスが流過する隙間を挟んで案内部材28が配置されている。
エキシマランプ10は、合成石英ガラスなどのシリカガラス、サファイアなどの真空紫外線を良好に透過する断面矩形状で中空長尺の放電容器11の内部に、希ガス、または、希ガスとハロゲンガスとを混合した混合ガスよりなる不活性ガスが、例えば10〜80kPaで気密に封入されている。放電容器11の内部に内側電極13が設けられている。内側電極13は、アルミニウム、ニッケル、金などの金属材料よりなり、放電容器11の内部で支持することや、放電容器11の内面に導電性ペーストをスクリーン印刷することなどにより形成される。
外側電極25および内側電極13は、正弦波交流電圧を供給する高周波電源Pに接続されている。高周波電源Pから供給される電力は、例えば、周波数が10〜100kHzであり、電圧が1kVrms〜数10kVrmsである。外側電極25と内側電極13との間に、放電容器11の内部に不活性ガスが封入された不活性ガス層14と、大気圧下に反応性ガスが流過する反応性ガス層24とが連続して挟まれるように配置されている。このため、外側電極25と内側電極13との放電は、エキシマランプ10の上面11aを介してプラズマ放電とエキシマ放電とを経ることになる。
内側電極13と放電容器11の上面11aに挟まれる不活性ガス層14でエキシマ放電が発生してエキシマ分子が形成され、真空紫外線が放射される。また、反応性ガス層24にかかる高周波電界によってプラズマ放電が発生し、反応性ガス24が電離または励起されてプラズマが生成される。そして、搬送機構30によって水平方向に移動する被処理体Wの表面に、エキシマランプ10から放射された真空紫外線が照射されると共に、真空紫外線によって発生したオゾン等の活性酸素が被処理体Wの表面に接触することにより、被処理体Wの表面に付着した有機化合物が分解・酸化される。更に、プラズマを含むガスが、エキシマランプ10の側面と案内部材28によって下方に導かれ、被処理体Wの表面に接触することにより、被処理体Wの表面に付着した有機化合物が分解・酸化される。
被処理体Wに対して、エキシマランプ10からの真空紫外線による洗浄処理、およびプラズマによる洗浄処理の両方を行うことができるので、被処理体Wに対して高い洗浄処理能力が得られる。
エキシマ放電およびプラズマ放電の開始電圧は、放電空間の圧力、放電ギャップの大きさ、ガスの種類等によって定まるが、プラズマ放電の開始電圧の方がエキシマ放電の開始電圧よりも高く、プラズマ放電がエキシマ放電より例えば数マイクロ秒間遅延して発生するよう設定されることが好ましい。このような条件が満たすように、反応性ガス層24と不活性ガス層14の放電ギャップの大きさや、不活性ガス層14のガス圧が設定される。
例えば、反応性ガス層24の放電ギャップの大きさとなるエキシマランプ10と外側電極25との離間距離を1〜10mmとし、不活性ガス層14の放電ギャップとなる放電容器11の上面11aと内側電極13との距離を0.05〜5mmとする。
内側電極13を高電圧発生側として正弦波交流電圧を供給した場合について説明する。内側電極13に印加された高電圧により電荷が蓄えられ、電圧がエキシマ放電の開始電圧に達すると、不活性ガス層14でエキシマ放電が発生する。不活性ガス層14でのエキシマ放電により、エキシマランプ10の上面11aに電荷がさらに充電され、プラズマ放電の放電開始電圧に達すると、反応性ガス層24でプラズマ放電が発生する。しかしながら、不活性ガス層14では、エキシマ放電により内側電極13とエキシマランプ10の下面11bとの間の電圧が低下するため、放電が維持することなく停止する。さらに、エキシマ放電の停止により、反応性ガス層24への電流が制限されてプラズマ放電も停止する。印加される高圧電圧をさらに上昇させていくと、上記状態が最大電圧に到達するまで繰り返し発生して放電する。反応性ガス層24の放電を持続させずに停止できるので、アーク放電への移行を防止できる。
プラズマ放電用電極25の極性が反転することによって、上記放電が再び生じる。
外側電極25と内側電極13との間に挟まれる空間に、反応性ガス層24と不活性ガス層14とが内側電極13と外側電極25に対して並ぶよう配置することによって、内側電極13と外側電極25との間で発生する放電が反応性ガス層24と不活性ガス層14とを介して生じるようにしている。このような構成にすることによって、反応性ガス層24の放電を持続させずに停止できるので、正弦波交流電圧を供給してもプラズマ放電のアーク放電への移行を防止でき、プラズマ放電を安定に維持することができる。
また、内側電極13は放電容器11の内部の閉じられた空間内にあるので、内側電極13を高圧側とすることによって、ランプハウス20や被処理体Wとの絶縁を容易に図ることができる。
続いて、第2の実施形態を示す。
図2は、第2の実施形態の照射装置のランプハウス内に配置される反射鏡51とエキシマランプ40とを示す説明用断面図である。
第2の実施形態のエキシマランプ40は、不活性ガスが封入された円筒状の放電容器41の内部に、円筒状の内側電極43が配置されている。エキシマランプ40の上方にアルミニウムよりなる樋状の反射鏡51が配置されている。放電容器31と反射鏡51との間には、反応性ガスが大気圧下において流過され、漏れ出たガスが被処理体に向かって流れ出るようになっている。
放電容器41の内部に配置された内側電極44は、反射鏡51を他方の電極として対をなし、正弦波交流電圧を供給する高周波電源Pが接続されている。内側電極44は放電容器41の内部の閉じられた空間内にあるので、内側電極44を高圧側とし、反射鏡51を低圧側とすることによって、容易に絶縁を図ることができる。
内側電極44の上半分側は、反射鏡51との間に、放電容器41の内部に不活性ガスが封入された不活性ガス層45と、大気圧下に反応性ガスが流過する反応性ガス層52とが連続して挟まれるように配置されている。このような構成にすることによって、反応性ガス層52の放電を持続させずに停止できるので、正弦波交流電圧を供給してもプラズマ放電のアーク放電への移行を防止でき、プラズマ放電を安定に維持することができる。
また、被処理体に対して、エキシマランプ40からの真空紫外線による洗浄処理、およびプラズマによる洗浄処理の両方を行うことができるので、被処理体に対して高い洗浄処理能力が得られる。
10 エキシマランプ
11 放電容器
13 内側電極
14 不活性ガス層
15 誘電体
20 ランプハウス
21 側壁部材
22 天板
23 固定板
24 反応性ガス層
25 外側電極
26 冷却水管
27 マニホールド
28 案内部材
29 側面電極
30 搬送機構
31 搬送コロ
P 高周波電源
W 被処理体

Claims (2)

  1. 不活性ガスが封入された不活性ガス層が形成された放電容器の内部に配置された内部電極と、
    放電容器の外部に大気圧下に反応性ガスが流過された反応性ガス層を挟んで配置された外部電極との間に交流電界が供給され、
    前記外部電極と前記内部電極との間で発生する放電が、反応性ガス層におけるプラズマ放電と不活性ガス層におけるエキシマ放電とを介して発生することを特徴とする照射装置。
  2. 前記内部電極に高電圧が供給されることを特徴とする請求項1に記載の照射装置。
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