JP4701457B2 - 隅肉溶接ののど厚値測定方法及びのど厚値測定装置 - Google Patents

隅肉溶接ののど厚値測定方法及びのど厚値測定装置 Download PDF

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本発明は、隅肉溶接における溶接部ののど厚値を測定する方法及び装置に関する。特には、鋼材の腐食衰耗によるのど厚の減少度合いを簡便に測定することができ、船舶等の大型構造物のメンテナンス費を低減して安全性の向上に貢献することのできる方法及び装置に関する。
まず、図7及び図8を参照して、本明細書で用いる隅肉溶接に関する用語及び各部分の名称について説明する。
図7は、元板の裏面に立板の端面を当てた当接部の隅を溶接した隅肉溶接の溶接部付近を示す模式図である。なお、元板、立板は、本明細書で付けた名称である。
図8(A)〜(F)は、それぞれ隅肉溶接の溶接部の名称を説明するための模式図である。
図7には、元板1の裏面1Bに立板2の端面を当接させ、これら両板1、2の当接部の隅を溶接した隅肉溶接の状態が描かれている。両板1、2の当接部の隅は、溶接部3で溶着されている。ここで、溶接部とは、溶接中に溶融凝固した部分(母材(元板1、立板2)が溶け込んだ部分)+溶着金属(デポ))をいう。溶着金属(デポ)とは、溶加材(溶接棒や溶接ワイヤー)が溶融凝固した部分をいう。
本明細書では、元板1において、立板2の端面が当接される面(図7において上側の面)を裏面1Bといい、裏面1Bの反対の面(図7において下側の面)を表面1Aという。
図7に示すように、元板1の裏面1Bと立板2の端面との間の未溶着面Sの端部を未溶着端X1、X2といい、溶接部3の断面の表面ラインを隅肉表面ラインL1、L2という。また、溶接部3の幅をのど幅Hという。
溶接部の余盛とは、図8(A)に示すように、隅肉溶接の必要寸法以上に溶接部3表面から盛り上がった部分をいう。
溶接のルートとは、図8(B)における点P1、P2等、溶接部の断面において母材(元板1、立板2)と溶接部3とが交わる点をいう。また、突合せのルートとは、元板1と立板2において溶接部3に関わる双方の表面又はその延長が交差する部分をいい、溶接部の断面においては図8(B)における点P3で表される。
溶接部の隅肉サイズとは、溶接部の大きさを表す寸法であって、図8(C)及び(D)に示すように、溶接部3の断面内に書くことのできる最大直角二等辺三角形の等辺の長さをいう。
のど厚には、理論のど厚と実のど厚とがある。図8(E)及び(F)に示すように、理論のど厚とは、設計計算上用いるのど厚であって、前述した隅肉サイズで定まる三角形の突合せのルートから計った寸法をいう。一方、のど厚値とは、実際に溶接されたのど厚であって、前述した溶接のルートから隅肉表面ラインLまでの最短距離(仰角45°での距離)をいう。
次に、特許文献1(特公平6−43988号公報)を参照しつつ、隅肉溶接の溶接部の探傷方法の一例について説明する。
特許文献1に開示された『超音波探傷試験方法』は、かど継手隅肉溶接部や内面隅肉溶接部等の超音波探傷試験を行う方法である。この方法は、溶接部の溶接線方向及びこれに直交する方向のそれぞれに測定点を設定して探触子を走査し、測定点における超音波エコーの測定データに基づき欠陥位置及び欠陥寸法を検出する。検出された測定データは、記録手段でチャート紙上に記録・表示されるので、溶接部の欠陥の有無をリアルタイムで検知できる。さらに、測定データをデータ処理手段で処理してスコープで表示することにより、欠陥位置、欠陥寸法、欠陥の種類を検出することもできる。
ところが、この特許文献1の方法は、単にかど継手隅肉溶接部や内面隅肉溶接部等の欠陥(ブローホールや溶け込み量不足等)を測定し得るものであって、図8(E)及び(F)を参照しつつ説明したのど厚を測定することに関しては何ら記載されていない。
特公平6−43988号公報
船体の船殻部材を例に採って説明する。
図9は、オイルタンカーの一例を示す断面概念図である。
この図に概念的に示すオイルタンカー100には、デッキプレート101とロンジ102の接合部103等、隅肉溶接で溶接された箇所が多数存在する。近年、経年船体において、デッキプレート101とロンジ102の接合部103が腐食衰耗して破断すると、大規模な船体破損を引き起こすおそれが高いことが確認された。そのため、デッキプレート101とロンジ102の接合部103ののど厚値を測定し、腐食衰耗の度合いを評価することが、経年船体の健全性を確保するうえで重要であるとの認識が高まった。しかしながら、そのようなのど厚値を実際に測定するには、次の(1)及び(2)の理由により、現在のところ困難を伴う。
(1)デッキプレート101とロンジ102の接合部103は、デッキプレート101の下面側にあるため、測定箇所へと接近することが極めて困難である。なお、デッキプレート101とロンジ102の接合部へと接近するには、図9に示すように、船倉105にバラスト水をはり、そこにボートBを浮かべて接近する等、大掛かりな作業が伴う。
(2)デッキプレート101とロンジ102の接合部103に接近できたとしても、接合部103及びその周辺箇所が腐食衰耗している場合がほとんどであるため、のど厚値を測定するための基準点の設定が著しく困難である。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、船体のデッキプレートとロンジの接合部等、測定困難な箇所における隅肉溶接部の経年劣化後ののど厚値を簡便に高精度で測定することが可能な隅肉溶接ののど厚値測定方法及びのど厚値測定装置を提供することを目的とする。
本発明の隅肉溶接ののど厚値測定方法は、元板の裏面に立板の端を当接させ、両板の当接部の隅を溶接する隅肉溶接における溶接部ののど厚に対応するのど厚値を測定する方法であって、 前記元板の表面からフェイズドアレイ超音波計測して、前記元板の裏面と前記立板の端面との間の未溶着面の端部(未溶着端)の位置、及び、隅肉溶接部の表面ライン(隅肉表面ライン)を検知し、 前記未溶着端と前記隅肉表面ラインとの間の距離を算出し、同距離をのど厚値とすることを特徴とする。
本方法によれば、元板の表面からフェイズドアレイ超音波計測し、未溶着端と隅肉表面ラインとの間の距離を算出することで、のど厚値を測定することができる。そのため、従来は測定困難とされていた溶接部、例えば船体の船殻部材のデッキプレートとロンジの接合部について、船体のデッキの上面側からフェイズドアレイ超音波計測してのど厚値を測定することが可能となる。本方法を用いると、溶接部の腐食衰耗等の検査が楽になるので、メンテナンス費を低減でき、船舶の安全性の向上に貢献できる。
本発明の隅肉溶接ののど厚値測定方法においては、前記隅肉溶接部の幅(のど幅)の半分以下の寸法にビーム径を絞った超音波を用いることができる。
この場合、のど厚の計測誤差を小さくすることができる。
本発明の隅肉溶接ののど厚値測定方法においては、振動子のアレイを有する超音波探触子を前記元板の表面に当て、該探触子から任意の屈折角で任意の深度に絞りながら超音波ビームを放射しつつ、該ビームを前記立板の板厚方向に走査して超音波計測し、 この際、該探触子の振動子のアレイの方向と走査方向との角度を変えるように該探触子を首振りして、反射エコーの結像性のよい角度を選択することができる。
この場合、超音波探触子のアレイ方向を溶接線に対する90°方向から適度に首振り走査してエコーの結像性をよくし、隅肉溶接部断面の画像の分解能を向上できるので、のど厚の測定誤差を小さくすることができる。
本発明の隅肉溶接ののど厚値測定方法においては、前記隅肉溶接部の表面ラインを検知する際の屈折角を40°程度とすることができる。
この場合、超音波探触子の超音波送受信感度が良好になる。
本発明の隅肉溶接ののど厚値測定装置は、元板の裏面に立板の端を当接させ、両板の当接部の隅を溶接する隅肉溶接における溶接部ののど厚に対応するのど厚値を測定する装置であって、 前記元板の表面に当てられる、超音波を送受信する複数のエレメント(小振動子)を有するフェイズドアレイ探触子、及び、該探触子で送受信する超音波の屈折角及び焦点深さを制御する制御部を有するフェイズドアレイ探傷器と、 前記探触子で受信された超音波の反射エコーに基づき、前記元板の裏面と前記立板の端面との間の未溶着面の端部(未溶着端)の位置と、隅肉溶接部の表面ライン(隅肉表面ライン)との間の距離を算出し、同距離をのど厚値として表示する解析手段と、を具備することを特徴とする。
本発明によれば、船体のデッキプレートとロンジの接合部等、測定困難な箇所における隅肉溶接部の経年劣化後ののど厚値を簡便に高精度で測定することが可能であり、船舶等の大型構造物のメンテナンス費を低減し、安全性の向上に貢献することのできる方法及び装置を提供することができる。
発明を実施するための形態
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施の形態では、図7及び図8を参照しつつ前述した溶接部の各名称を引き続き用いる。
まず、図1を参照しつつ、本実施の形態におけるのど厚値測定装置の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るのど厚値測定装置の構成を示す模式図である。
図1に示すのど厚値測定装置10は、大きく分けて、フェイズドアレイ探触子(以下、単に探触子という)11と、フェイズドアレイ探傷器制御部(以下、単に制御部という)15と、解析手段(パーソナルコンピュータ)17で構成されている。
探触子11は、長方形の超音波振動子13を備えている。この超音波振動子13は、一例で128個のエレメント(小振動子)13aに短冊状に分けられている。超音波振動子13の各エレメント13aは、それぞれ個別に振動することができる。本実施の形態における探触子11の超音波振動子13は、複数のエレメント13aに分けられていることで、超音波ビームの指向角を大きくできる。これにより、各エレメント13aから時間差を設けて放射した超音波の正面方向以外の部分も有効利用することができ、波面が集束波となるように又は放射方向が偏向するように制御することで、ビームの焦点深さ及び屈折角を変化させることが可能となっている。
探触子11のリニヤスキャンとは、超音波振動子13において、送受信制御する連続したエレメント数を定め、このエレメント群の位置を電子的に走査することにより、超音波振動子13における超音波送受信位置を走査する方法である。リニヤスキャンは、機械的な走査がないため、ほぼ瞬時に超音波振動子13がカバーする範囲の走査が可能であり、走査の効率が高い。
制御部15は、探触子11の各エレメント13aの超音波送受信タイミングを制御する。制御部15は、探触子11のエレメントのうちの一部の超音波送受信タイミング(送信側のエレメントからの送信波の送信、及び、受信側のエレメントにおける受信波の受信)を制御し、ビームの屈折角及び焦点深さを電子的に制御する。本実施の形態における制御部15は、一例でリニヤスキャンステップ数が96、屈折角範囲が−42°〜+42°の範囲で制御可能である。実際の測定時には、探触子11から送信される超音波のビーム径を、隅肉溶接部の幅(図7に示すのど幅H)の半分以下の寸法に絞るような制御を行う。このようなビーム径の超音波を用いることで、計測誤差を小さくすることができる。
解析手段17は、超音波振動子13のエレメント群の制御パターンを多数作成し、これにしたがって、収集したデータを画像化する。このとき、反射源の像を特定すれば、その位置等を表示する。最適な探傷画像を得るためには、異なる集束深さに設定した探傷画像をそれぞれ作成し、最も分解能の高い画像を合成する必要がある。この解析手段17は、最適な探傷画像を得るためのエレメント群の制御パターンを多数作成し、その制御パターンを実行する。
次に、図2を参照しつつ、図1ののど厚測定装置10を用いた超音波ビームの照射方法及び反射エコーの検出方法について説明する。
図2(A)〜(C)は、隅肉溶接部の未溶着部のエコーとのど部のエコーの検出方法を説明するための説明図である。
図2(A)〜(C)には、前述したのど厚測定装置10の探触子11と、被験体Eとが描かれている。被験体Eは、図7に示す隅肉溶接部に相当する形状の部分であって、左のど部el(図7の隅肉表面ラインL2)、未溶着部ec(図7の未溶着面S)、右のど部er(図7の隅肉表面ラインL1)を有している。探触子11は、被験体Eの図における上側の面に当てられる。この面は、図7に示す隅肉溶接部においては、元板1の表面1Aに相当する。このように、元板1の表面1A側に探触子を当てて計測することができるので、例えば図9に示すデッキプレート101とロンジ102の接合部103等について、デッキの上面側からの計測が可能である。
測定にあたっては、未溶着部ecからの反射エコーと、のど部el、erからの反射エコーを確実に検出する必要がある。本実施の形態では、未溶着部ecからの反射エコーは、図2(B)に示すようにビームの屈折角0°(垂直)のリニヤスキャンで検出する。また、左のど部elの表面ラインからの反射エコーは、図2(A)に示すように屈折角−40°のリニヤスキャンで検出し、右のど部erの表面ラインからの反射エコーは、図2(C)に示すように屈折角+40°のリニヤスキャンで検出する。
のど部エコーを検出するためには、一般的に屈折角45°が望ましいが、本発明者が行った実験で図1のようなフェイズドアレイ探触子11を用いたとき、屈折角42°以上の領域では探触子11の送受信感度が低下する傾向が見られた。そのため、本実施の形態では、のど部el、erを検出する屈折角を−40°、+40°とし、探触子11の超音波送受信感度を良好に保つようにした。
なお、反射エコーの検出結果は、探触子11から制御部15へと送出された後、解析手段17で解析され、探傷画像(断面画像)として表示される。
次に、図3を参照しつつ、のど厚値の求め方について説明する。
図3(A)は本のど厚測定方法における未溶着部端部の決定方法を説明するための図であり、図3(B)は本のど厚測定方法におけるのど厚値の求め方を説明するための図である。
本実施の形態では、以下に述べる3つの手順(1)〜(3)にしたがってのど厚値が求められる。なお、以下の説明において、未溶着部とは図7に示す未溶着面Sに相当し、未溶着部右端部とは図7に示す未溶着端X1に相当し、未溶着部左端部とは図7に示す未溶着端X2に相当する。また、図3における底面エコーとは、図7に示す元板1の裏面1Bからの反射エコーを意味する。
(1)エコー高さ及び路程情報の抽出
この手順(1)では、探傷画像から、表面1A上の位置と未溶着部エコー高さとの関係を示す走査グラフ、及び、表面1A上の位置と表面1Aからのど部エコーのピークまでの路程との関係を示す走査グラフを抽出する。
(2)未溶着部左右端部の位置の決定
この手順(2)では、未溶着部の左右端部の位置を求める。図2(B)を用いて説明したように屈折角0°(垂直)のリニヤスキャンで検出した探傷画像から、未溶着エコー及び底面エコーが図3(A)に示すような鞍型の走査グラフとして得られたとする。このとき、グラフの左右最大ピークの高さ(のど部付近の最大ピーク)hl、hrを求め、これらの半分の値hl/2、hr/2となる計測位置を求める。この位置が、未溶着部の左右端部の位置となる。
(3)のど厚値の算出
この手順(3)では、手順(1)で求めた表面1A上の位置とのど部エコーのピークまでの路程との関係(走査グラフ)と、手順(2)で求めた未溶着部端部の位置とに基づき、次のようにしてのど厚値を算出する。すなわち、図3(B)に示すように、手順(1)で抽出した表面1A上の位置とのど部エコーのピークまでの路程との関係(走査グラフ)に、手順(2)で求めた未溶着部端部の位置を記入し、この未溶着端部から45°方向に引いた直線がのど部エコーを示す点線グラフと交わるところまでの距離を求め、この距離をのど厚値とする。なお、45°方向に引いた直線がのど部エコーと交わらない場合には、のど部エコーを外挿して(引き延ばして)交点を求める。
なお、比較のための実のど厚は、以下の手順で求めた。
のど厚被験体の端面において、未溶着端部から45°方向で隅肉余盛までの距離を測定し、端部における実のど厚とする。但し、溶接線長さが50mmの被験体については、両端面部における実のど厚から、測定部位の実のど厚を内挿計算で求め、超音波測定値との比較に用いた。溶接線長さが120mm以上の被験体については、型取り材で隅肉形状を測定し、端部における実のど厚と組み合わせ、測定部位の実のど厚を内挿計算した。
一部の被験体については、隅肉余盛の凹凸をレーザー変位計で求め、これと端面部の実のど厚から測定部位の実のど厚を内挿計算した。一例として、図4にデッキロンジ材、人工衰耗材、溶接まま材(詳しくは後述する)の隅肉余盛の凹凸をレーザー変位計で求めた結果を示す。
なお、内挿計算とは、両端面における実のど厚が異なるため、測定部位ののど厚を両端面からの距離と両端面における実のど厚から内挿して求める方法である。前述の実のど厚は、型どり材で隅肉形状を測定し、端部における未溶着端部から未溶着端部位置を用いて内挿計算することにより推定した。
次に、図5及び図6を参照しつつ、本発明に係るのど厚測定方法を用いた測定実験結果について説明する。
図5は、横軸の実のど厚と、縦軸の本方法を用いて測定したのど厚値(超音波測定値)との関係を示すグラフである。(A)は試験材が人工衰耗材と機械衰耗材の場合を示し、(B)は試験材がデッキロンジの場合を示し、(C)は試験材が溶接まま材の場合に探触子を首振りした場合(首振り有り)としない場合(首振り無し)を示し、(D)は(A)〜(C)を纏めたものを示す。
図6は、のど厚の測定誤差を示す表である。
この測定実験で用いた試験材は、次の4種である。
自然衰耗試験材
・実船のデッキプレートから採取したデッキロンジ試験材2枚(板厚8mm、14mm)
溶接まま試験材
・溶接まま(溶接したままの状態で溶接スラグは除去したもの)試験材6枚(板厚12mm、22mm)
模擬衰耗試験材
・機械加工による試験材(これを機械衰耗と称する)8枚(板厚9〜22mm)
・グラインダ加工による試験材(これを人工衰耗と称する)12枚(板厚12mm、22mm)
図5(A)〜(D)は、横軸が実のど厚(単位mm)を表し、縦軸が本方法を用いて求めたのど厚値(単位mm)を表している。各図における右上がりの点線は、実のど厚とのど厚測定値とが等しい点を結んだ線であり、この点線上に乗っている場合は測定誤差がゼロであることを意味する。
図5(A)に示すように、人工衰耗試験材(○印)と機械衰耗試験材(△印)については、点線に近い箇所に纏まった分布が見られ、のど厚値が実のど厚に近い値となっていることがわかる。
図5(B)に示すように、デッキロンジ試験材(○印)についても、点線に近い箇所に纏まった分布が見られ、のど厚値が実のど厚に近い値となっていることがわかる。
図5(C)に示す溶接まま試験材について、探触子の方向を溶接線に直角な方向で固定した場合(首振り無しの場合:○印)は、分布にバラツキが見られる。これは、余盛(図8(A)参照)の凹凸が大きいいため、測定精度が悪くなってしまったためであると考えられる。そこで、のど部エコーを安定させるため、探触子の方向を溶接線に直角な方向から左右に首振りした場合(首振り有りの場合:△印)について、エコーが高く安定する位置でも計測を行った。この例では首振り角を±10°以下としており、角度による補正量は小さくて済むため、無補正でのど厚値を求めた。首振り有りの場合のデータは、実のど厚7mm以下に対応するもののみであるが、首振りを行うことでのど厚値の測定精度が向上しているといえる。
なお、図5(D)には、図5(A)〜(C)の結果が纏めて示されている。
図6の表には、本方法で得られたのど厚値の誤差が纏められている。
デッキロンジ材、板厚22mmの人工衰耗材、溶接まま材の首振り有りの場合は、誤差平均が0.3mmに収まっており、実のど厚に極めて近い値が得られることがわかる。
板厚12mmの人工衰耗材は、誤差平均が0.5mm程度の過大評価となっており、機械衰耗材及び溶接まま材の首振り無しの場合は、誤差平均が−0.5mm程度の過小評価となった。これは、本実施の形態で用いたのど厚値測定装置10(図1参照)の設定が、厚みの薄い板材には不向きであることが大きな理由と考えられる。詳しくは、本のど厚値測定装置10の設定は、等価振動子サイズ(制御エレメント数×ピッチ=32×0.74)が24mmであるため、板厚12mm等の薄い板材には不向きといえるのである。この対策としては、制御エレメント数を少なくすればよい。こうすると、厚みの薄い板材であっても、実のど厚に近いのど厚値が得られると考えられる。
最後に、本方法によるのど厚測定時の留意点(1)〜(4)について述べる。
(1)測定時に当たっては、測定面の表面を必要に応じて平滑に仕上げる。例えば、測定部に凹凸や錆がある場合は、塗装を剥がしてグラインダをかけるようにする。塗装表面が充分に平滑な場合は、塗装を剥がさずに測定できる。測定部に角変形が認められるときには、溶接線を跨いで左右を別々に平滑化し、計測も左右別々に行う。
(2)前述したように、未溶着部(図7の未溶着面S)からの反射エコーは、屈折角0°のリニヤスキャンで検出し、のど部の表面ライン(図7の隅肉表面ラインL)からの反射エコーは、屈折角−40°、+40°のリニヤスキャンで検出する。これにより、超音波探触子の超音波送受信感度を良好に維持しつつ計測を行うことができる。
(3)のど部エコーが安定しない場合には、溶接線直角方向から探触子を首振り走査し、エコーがはっきりと検出できるように操作する。
(4)未溶着端X1、X2(図7参照)にスラグ巻き込み等の欠陥が存在すると、未溶着端の位置の決定が困難になるが、このような場合は、スラグ端部から測定を行う。スラグ端部からの測定はのど厚値を減少させ、安全側の評価となるため、問題は少ない。
本発明の一実施の形態に係るのど厚値測定装置の構成を示す模式図である。 隅肉溶接部の未溶着部のエコーとのど部のエコーの検出方法を説明するための説明図である。 図3(A)は本のど厚測定方法における未溶着部端部の決定方法を説明するための図であり、図3(B)は本のど厚測定方法におけるのど厚値の求め方を説明するための図である。 被験体の隅肉余盛の凹凸をレーザー変位計で求めた結果の一例を示す図である。 横軸の実のど厚と、縦軸の本方法を用いて測定したのど厚値(超音波測定値)との関係を示すグラフである。(A)は試験材が人工衰耗材と機械衰耗材の場合を示し、(B)は試験材がデッキロンジの場合を示し、(C)は試験材が溶接まま材の場合に探触子を首振りした場合(首振り有り)としない場合(首振り無し)を示し、(D)は(A)〜(C)を纏めたものを示す。 のど厚の測定誤差を示す表である。 元板の裏面に立板の端面を当てた当接部の隅を溶接した隅肉溶接の溶接部付近を示す模式図である。 それぞれ隅肉溶接の溶接部の名称を説明するための模式図である。 オイルタンカーの一例を示す断面概念図である。
符号の説明
1 元板
1A (元板の)表面 1B (元板の)裏面
2 立板 3 溶接部
10 のど厚値測定装置
11 フェイズドアレイ探触子(探触子)
13 超音波振動子 13a エレメント(小振動子)
15 フェイズドアレイ探傷器制御部(制御部)
17 解析手段(パーソナルコンピュータ)
S 未溶着面 X1、X2 未溶着端
L1、L2 隅肉表面ライン H のど幅
E 被験体 ec 未溶着部
el 左のど部 er 右のど部

Claims (5)

  1. 元板の裏面に立板の端を当接させ、両板の当接部の隅を溶接する隅肉溶接における溶接部ののど厚に対応するのど厚値を測定する方法であって、
    前記元板の表面からフェイズドアレイ超音波計測して、前記元板の裏面と前記立板の端面との間の未溶着面の端部(未溶着端)の位置、及び、隅肉溶接部の表面ライン(隅肉表面ライン)を検知し、
    前記未溶着端と前記隅肉表面ラインとの間の距離を算出し、同距離をのど厚値とすることを特徴とする隅肉溶接ののど厚値測定方法。
  2. 前記隅肉溶接部の幅(のど幅)の半分以下の寸法にビーム径を絞った超音波を用いることを特徴とする請求項1記載の隅肉溶接ののど厚値測定方法。
  3. 振動子のアレイを有する超音波探触子を前記元板の表面に当て、該探触子から任意の屈折角で任意の深度に絞りながら超音波ビームを放射しつつ、該ビームを前記立板の板厚方向に走査して超音波計測し、
    この際、該探触子の振動子のアレイの方向と走査方向との角度を変えるように該探触子を首振りして、反射エコーの結像性のよい角度を選択することを特徴とする請求項1又は2記載の隅肉溶接ののど厚値測定方法。
  4. 前記隅肉溶接部の表面ラインを検知する際の屈折角を40°程度とすることを特徴とする請求項3記載の隅肉溶接ののど厚値測定方法。
  5. 元板の裏面に立板の端を当接させ、両板の当接部の隅を溶接する隅肉溶接における溶接部ののど厚に対応するのど厚値を測定する装置であって、
    前記元板の表面に当てられる、超音波を送受信する複数のエレメント(小振動子)を有するフェイズドアレイ探触子、及び、該探触子で送受信する超音波の屈折角及び焦点深さを制御する制御部を有するフェイズドアレイ探傷器と、
    前記探触子で受信された超音波の反射エコーに基づき、前記元板の裏面と前記立板の端面との間の未溶着面の端部(未溶着端)の位置と、隅肉溶接部の表面ライン(隅肉表面ライン)との間の距離を算出し、同距離をのど厚値として表示する解析手段と、
    を具備することを特徴とする隅肉溶接ののど厚値測定装置。
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