JP4699097B2 - 発振装置とこれを用いた送信モジュール - Google Patents

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本発明は、患者の内視鏡等に用いられる発振装置とこれを用いた送信モジュールに関するものである。
患者の体内を検査するために、超小型の発振装置を飲み込んで、この発振装置から放射される電波を体外に設けられた受信アンテナで受信し、患者の体内の様子を検査する検査装置がある。
この検査装置に用いる発振装置は、超小型にしなければならないという制約から、送信アンテナは指向性を有してしまうものが一般的であった。これに用いる発振装置は、患者の体内を巡るため、位置と方角が時間とともに変化することになる。従って、この変化する位置と方角から放射される指向性のある電波を受信するために、受信装置に用いる受信アンテナは、複数本とし、どの方向からの電波も受信できるように多数の受信アンテナを夫々方向を変えて装着していた。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開平3−49303号公報
しかしながらこのような従来の発振装置では、送信アンテナが指向性を有しているため、この送信アンテナから放射される電波を少数の受信アンテナを用いて均一な電波強度で受信することは困難であった。そのために、図10に示すように、患者1の内臓2を中心に多数本の受信アンテナ3を装着する必要があり、患者への負担が大きかった。
そこで本発明は、この問題を解決したもので、患者への負担の少ない発振装置を提供することを目的としたものである。
この目的を達成するために本発明の発振装置は、送信アンテナ機能を兼ね備えたコイルと、このコイルとコンデンサが並列接続された共振器と、この共振器に接続された発振器とからなり、前記コイルの外径を前記コイルの全長と略等しくしたものである。これにより、初期の目的を達成することができる。
本発明は、送信アンテナ機能を兼ね備えたコイルと、このコイルとコンデンサが並列接続された共振器と、この共振器に接続された発振器とからなり、前記コイルの外径を前記コイルの全長と略等しくしたものである。このように、コイルの外径をコイルの全長と略等しくすることにより、コイルから放射される垂直偏波と、この垂直偏波と直角方向に出力される水平偏波の強さが略同じ大きさで出力されることになる。従って、指向性が少なくなり、この電波を受信する受信アンテナの数は少なくても良いことになる。即ち、人体への負担が少なくなる。
また、送信アンテナ機能を兼ね備えたコイルを用いているので、別途送信アンテナを設ける必要は無く、発振装置の小型化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における発振装置を用いた送信用カプセルの断面図である。図1において、11は絶縁基板であり、この絶縁基板11の上面にはコイル12が装着されている。このコイル12の外径12aと全長12bとは略等しくしている。そして、このコイル12の両端は絶縁基板11の裏面に導出され、コンデンサ13と並列接続されて共振器31(図5参照)を形成している。この共振器31は、発振器14に接続されて発振装置30を形成している。また、この発振装置30には、図6で説明するPLL回路16が接続されて送信モジュール40を形成している。
15は、送信コイル12を除く送信モジュール40を覆う分離材である。この分離材15により高周波的に分離された空間17には、カメラ19(図7参照)と、このカメラ19の出力に接続されるとともに送信モジュール40を制御するための制御部18(図7参照)が設けられている。
また、この分離材15の材質は、洋白(導体の一例として用いた)15aの表面に樹脂(絶縁材の一例として用いた)15bを塗布して形成したものである。
この分離材15は、それを形成する中心となる材質に洋白15aを用いているので、薄くて丈夫な分離材15を形成することができる。また、この洋白15aは導電性を有しているので、送信モジュール40と制御部18との高周波的な干渉による妨害をなくすことができる。
更に、樹脂15bを塗布しているので、絶縁性能に優れ、この分離材15の内側と外側の距離を近づけることができる。従って、小型化に貢献することができる。
図2は、コイル12から放射される電波(垂直偏波と水平偏波)を受信装置の受信アンテナで受信したときの利得(dB)のシミュレーション結果である。横軸25は、コイル12の外径12aと全長12bとの比であり、縦軸26は、利得(dB)である。
27は、コイル12の巻軸方向に直角に配置した受信アンテナによる受信レベルであり、垂直偏波成分による受信レベルとなる。また、28はコイル12の軸方向に平行に配置した受信アンテナによる受信レベルであり、水平偏波成分による受信レベルとなる。
図2に示すように、コイル12の外径12aと全長12bとの比が小さい場合、すなわちソレノイドコイルのような場合には、磁束が均一化されて放射されるので、水平偏波成分による受信レベルが良好となると考えられる。
反対に、コイル12の外径12aと全長12bとの比が大きい場合、すなわち巻数が極端に少ないコイル12のような場合には、磁束が均一化されることがなく、コイル12の両端面での放射が多くなる。このため、垂直偏波成分による受信レベルが良好となり、水平偏波成分による受信レベルが小さくなると考えられる。
これに対して、コイル12の外径12aと全長12bとの比が略等しいと、コイル12からは垂直偏波と水平偏波が略等しい大きさで出力される。従って、指向性が少なくなり、この電波を受信する受信アンテナの数は少なくて良いことになる。本実施の形態では、コイル12の外径12aと全長12bとの比の値29を1.2にして良い結果を得ている。なお、この比の値29は、1〜1.4程度の範囲で使用することが好ましい。
次に、コイル12について述べる。コイル12の形状は円形のものを用いることが、指向性を少なくする上で好ましい。また、図3に示すように、コイル12の端部12c、12dは、コイル12を形成する円の接線方向であって、お互い接線方向に折り曲げている。また、このコイルの端部12c、12dを半田装着するランド11a、11bも同一方向に設けている。なお、このランド11a、11bは、絶縁基板11の上面に形成されている。このように構成することにより、コイル12と端部12c、12dによる磁束の向きが同一となるので、電波を効率良く放射することができる。
なお、このコイル12の外径12aは、3.4mmであり、全長12bは3.0mmとしている。また、コイル12の太さは0.4mmであり、巻数は5.5回巻である。
図4は、コイルの端部12e、12fをコイル12の軸方向へ折り曲げた例である。しかし、このように軸方向に折り曲げると、コイル12と端部12e、12fによる磁束の向きが異なるので、電波の放射効率が悪くなる。
図5は、発振装置30の回路図である。図5において、31は、コイル12とコンデンサ13とで構成された共振器であり、この共振器31は発振器14に接続されている。なお、前記コンデンサ13はバリキャップダイオードで形成された可変コンデンサであり、外部からの電圧の制御で周波数が制御される(図6を参照)。
発振器14は、共振器31の一方の端子がコレクタに接続されたトランジスタ32と、共振器31の他方の端子がコレクタに接続されたトランジスタ33と、このトランジスタ33のコレクタとトランジスタ32のベースとの間に接続されたコンデンサ36と、トランジスタ32のコレクタとトランジスタ33のベースとの間に接続されたコンデンサ37と、トランジスタ32のエミッタとトランジスタ33のエミッタが接続され、この接続点とグランドとの間に接続された定電流源38とで構成されている。
以上のように本実施の形態における発振装置30は、共振器31と、この共振器31に接続された発振器14とで構成されており、その発振周波数は共振器31の共振周波数で決定される。また、この発振装置30において、共振器31を構成するコイル12は、共振用インダクタとしての役目と送信アンテナとしての役目を兼ね備えている。従って、この発振装置30で発振する発振周波数は、コイル12から電波となって放射される。
図6は、この発振装置30を用いた送信モジュール40のブロック図である。図6において、共振器31を構成するコンデンサ13は、バリキャップダイオード13aと13bの直列接続体で形成され、そのアノード同士は接続されている。そしてその接続点はデータ入力端子41に接続されている。
また、この共振器31の一方の端子は、発振器14に接続(図5参照)されるとともに、発振成分を阻止するためのインダクタ42を介して電源端子43に接続されている。この電源端子43は電池に接続されている。同様に、共振器31の他方の端子は、発振器14に接続(図5参照)されるとともに、発振成分を阻止するためのインダクタ44を介して電源端子43に接続されている。
共振器31の一方の端子と他方の端子とは夫々分周器45の入力(平衡入力)に接続されており、この分周器45で分周された出力信号は位相比較器46の一方の比較入力に供給される。また、47はクロック周波数が入力される入力端子であり、この入力端子47からのクロック周波数は分周器48の入力に接続されて分周される。この分周された信号は、位相比較器46の他方の比較入力に供給されている。
また、この位相比較器46の出力は、ローパスフィルタ49を介して共振器31のバリキャップダイオード13a、13bのアノードに接続されている。ここで、発振器14と、分周器45、位相比較器46と、分周器48とは同一の集積回路内に集積されている。また、分周器45、位相比較器46と、分周器48と、ローパスフィルタ49と、入力端子47と、データ入力端子41とでPLL回路を形成している。
以上のように構成された送信モジュール40について、以下にその動作を説明する。データ入力端子41からFSKデータが入力されると、このFSKデータに応じてバリキャップダイオード13a、13bの静電容量が変化する。そうすると共振器31の共振周波数がそれに従って変化する。
このことにより、発振器14における発振周波数が変化(変調される)し、この変化した発振周波数がコイル12から放射されることになる。このときの中心周波数は、微弱電波として国内では322MHz以下(電界強度500μV/m以下)の周波数がよく用いられる。例えば、300MHzを中心周波数とし、この中心周波数に対してデジタルデータ「0」、「1」のデータレートに応じたデビュエーションでFM変調を行うことができる。
(実施の形態2)
図7は、医療装置50のブロック図である。この医療装置50は、送信用カプセル51と受信装置52とから構成される。送信用カプセル51は、カメラ19と、このカメラ19の出力に接続された制御部18と、この制御部18の出力に接続された送信モジュール40とで構成されている。なお、この送信モジュール40内には、実施の形態1で述べた発振装置30が含まれている。また、この発振装置30には、送信アンテナ機能を有するコイル12が接続されている。そして、これらの回路はカプセル21内に実装されて、送信用カプセル51を構成している。
受信装置52は、複数本の受信アンテナ53と、これらの受信アンテナが夫々接続された電子的な切替え回路54と、この切替え回路54の共通端子に接続された受信器55と、この受信器55の出力に接続された復調器56と、この復調器56の出力に接続された表示器(モニタ)57と、受信器55の出力と切替え回路54の制御端子との間に接続された制御回路58とで構成されている。
以上のように構成された医療装置50について、以下にその動作を説明する。送信用カプセル51を図8に示すように患者61が飲み込む。送信用カプセル51は患者61の口から内臓へ流入する。そして、内臓の様子をカメラ19で撮影して、そのデータをコイル12で形成された送信アンテナから電波として、体外へ放射される。
この送信アンテナから電波は、患者61の外部に、設けられた複数の受信アンテナ53で受信される。この受信された電波は、受信器55でベースバンド周波数に変換され、次の復調器56で復調される。この復調された信号は表示器57に表示される。
また、受信器55からの出力信号は、制御回路58内に設けられたレベル検出器により受信レベルが検出される。この検出結果に基づいて切替え回路54を制御することにより、電波が強く受信できる受信アンテナ53が選択される。
このようにして、送信用カプセル51が患者61のどの部位に進行しても最良の感度で受信できるようになっている。即ち、カメラ19で撮影した患者61の内臓のデータを感度良く表示器57に表示することができるようになっている。
(実施の形態3)
図9は、実施の形態3における送信用カプセル51aの要部断面図である。図9において、送信用カプセル51aはコイル12の周囲に誘電体62を充填したものである。例えば、コイル12がカプセル21内の空気で覆われている場合には、コイル12は誘電率(1)で充填されていることになる。また、カプセル外である患者61の体内は誘電率(40)である。つまり、カプセル内外で誘電率の違いによる電波の反射が発生することになる。
従って、この誘電体62は患者61の体内の誘電率(約40)に近づける程、反射による損失が少なくて望ましい。しかし、一般には誘電率の高い材料はQ(きゅう)が低くなるので、Qが低くならない程度で誘電率の高い誘電体62を充填している。従って、この誘電体62は1以上20以下の誘電体62を用いることが好ましい。
本発明の発振装置とこれを用いた送信モジュールは、患者に対する負担が少ないので、医療用機器として有用である。
本発明の実施の形態1における発振装置を用いた送信系の断面図 同、出力される電波の特性図 (a)は同、発振装置に用いられるコイルの斜視図、(b)は同、側面図 (a)は同、好ましくないコイルの斜視図、(b)は同、側面図 同、発振装置の回路図 同、発振装置を用いた送信モジュールのブロック図 同、実施の形態2による医療装置のブロック図 同、医療装置の患者への装着平面図 同、実施の形態3による送信用カプセルの要部断面図 従来の発振装置を用いた医療装置の患者への装着平面図
符号の説明
12 コイル
12a 外径
12b 全長
13 コンデンサ
14 発振器
30 発振装置
31 共振器

Claims (9)

  1. 固定位置に設置された受信装置の受信アンテナに向って、位置と方角とが時間と共に変化しながら電波を放射する発振装置であって、前記発振装置は、送信アンテナ機能を兼ね備えたコイルと、このコイルとコンデンサが並列接続された共振器と、この共振器に接続された発振器とからなり、前記コイルの外径を前記コイルの全長と略等しくした発振装置。
  2. コイルの外径は、そのコイルの全長の1.2倍とした請求項1に記載の発振装置。
  3. 絶縁基板の上面側にコイルを装着するとともに、裏面側にコンデンサと発振器とが装着された請求項1に記載の発振装置。
  4. コイルの両端はコイルの接線方向に導出されるとともに、前記両端が装着されるランドの長さ方向も前記コイルの接線方向と同一とした請求項1に記載の発振装置。
  5. コイルの周囲に誘電率が1以上40以下の誘電体が充填された請求項1に記載の発振装置。
  6. 絶縁基板の上面側にはコイルのみを装着し、他の部品を非装着とした請求項3に記載の発振装置。
  7. コイルの巻軸に対して垂直面を円形形状とした請求項1に記載の発振装置。
  8. 請求項3に記載の発振装置をPLL回路に接続し、前記発振装置の共振器を形成するコンデンサにバリキャップダイオードを用い、このバリキャップダイオードにデータ入力端子が接続された送信モジュール。
  9. 発振器の絶縁基板の上面側と反対側に制御部とカメラを配置し、前記発振器と前記制御部との間に分離材を挿入するとともに、この分離材は導体に絶縁材を塗布して形成された請求項8に記載の送信モジュール。
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