JP2004048762A - スロットアンテナ装置およびこのアンテナ装置を用いた無線機 - Google Patents
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Abstract
【目的】アンテナ体自身、それと共に無線機内に搭載される回路基板との配置関係を改良することにより、高い送受信性能を維持しながら、小型化、薄型化が可能なスロットアンテナ装置およびこのアンテナ装置を用いた無線機を提供すること。
【構成】アンテナ体11bは、導電板111の長さ方向にスロット112が形成されたスロットアンテナである。導電体111は、屈曲部113で面方向に屈曲して、スロット112は、2方向に開口している。スロット112の内部には、無線機回路が構成されている回路基板12が挿入され、誘電体が充填された状態にある。
【選択図】 図5
【構成】アンテナ体11bは、導電板111の長さ方向にスロット112が形成されたスロットアンテナである。導電体111は、屈曲部113で面方向に屈曲して、スロット112は、2方向に開口している。スロット112の内部には、無線機回路が構成されている回路基板12が挿入され、誘電体が充填された状態にある。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ポケットベルなどに用いられる携帯用無線機のアンテナ装置に関し、特に、ケース内蔵型のスロットアンテナ装置およびこのアンテナ装置を用いた無線機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯用無線機のうち、携帯用電話などには、モノポールアンテナ、逆F型アンテナなどが用いられ、ポケットベル(商標)などには、フェライトアンテナ、微小ループアンテナや板状ループアンテナなどが用いられている。
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アンテナの送信効率または受信効率は、使用する電波の波長と、アンテナ長との比によって規定されるため、ポケットベルに搭載できるほどの小さなアンテナの場合には、高い周波数で使用せざるを得ないという制約があり、FM帯域などで使用可能なポケットベルを実現できないという問題点がある。たとえば、ループアンテナの場合には、FM帯域などで使用可能にするには、開口面積を大きくする必要があるため、ポケットベルに搭載できなくなってしまう。
【0003】
このような問題点に鑑みて、本発明の課題は、アンテナ体自身、それと共に無線機内に搭載される回路基板との配置関係を改良することにより、高い送受信性能を維持しながら、小型化、薄型化が可能なケース内蔵型のスロットアンテナ装置およびこのアンテナ装置を用いた無線機を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段および作用】
上記課題を解決するために、ポケットベルなどのケース内蔵型の携帯用アンテナにおいて、以下の手段を講じてある。まず、ケース内に、スロットが開口する電板を備えるスロットアンテナ体と、前記スロットアンテナ体を介して送信または受信を行うための無線機回路が形成された回路基板とを有し、前記スロットアンテナ体は前記回路基板の表面に対向する位置に配置され、前記スロットアンテナ体には長さ方向の所定位置で屈曲させる屈曲部が形成されていることを特徴とする。このようにスロットアンテナ体に屈曲部を形成することにより、回路基板が占めるスペース内で、その長さ寸法を長くできる。また、本発明のアンテナ体は、スロットアンテナとして構成されるので、磁界成分に対して感度を有する。従って、人体に装着したときに、感度が向上することも期待できるので、ポケットベルなどの携帯用のアンテナ装置に適している。
【0005】
ここで、前記屈曲部は2つまたは4つ形成され、前記導電板と前記回路基板の間には部品が実装され、前記回路基板の表面に形成された導体パターンは反射板として機能することを特徴とする。
【0006】
また、前記導電板は前記回路基板の表面に形成された導体パターンであることを特徴とする。導電板を回路基板の表面に形成された導体パターンで構成することにより、部品点数を削減して、小型化を図ることができる。
【0007】
ここで、回路基板の裏面側には、導電板に対し、それよりも大きな反射板を対向させることが好ましい。この場合には、反射板も、回路基板の基板面に形成された導体パターンを利用することが好ましい。また、回路基板が複数層の導電層を備える多層基板である場合には、そのうちの2層の導電層から形成された導体パターンによって、導電板および反射板を構成することが好ましい。
【0008】
このようなスロットアンテナ装置では、たとえば、スロットアンテナ体に対し、スロットの両側に、不平衡回路で構成された無線機回路の端子との第1の給電点、および無線機回路のグランド端子との第2の給電点を設けることがある。または、スロットの両側に、平衡回路で構成された無線機回路の2つの端子との給電点を設けることがある。
【0009】
【実施例】
添付図面を参照して、本発明の実施例を説明する。なお、いずれの実施例においても、各アンテナ体は、ケース内に構成されて、ポケットベルなどのケース内蔵型の携帯用アンテナ装置を構成している。
【0010】
実施例1
図1(a)は、実施例1に係るアンテナ装置におけるアンテナ体自身の構造を模式的に示す説明図、図1(b)は、それとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板との配置構造を示す説明図である。
【0011】
これらの図において、本例の携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体11aは、帯状の導電板111の幅方向の中央位置に、その長さ方向に1条の溝としてのスロット112が形成されており、スロットアンテナとして機能するようになっている。導電板111には、スロット112の開口縁から面方向に突出する端子111a〜111dが形成されている。このような構成のアンテナ体11aは、それを介して送信または受信を行うための無線機回路が構成された回路基板12(銅張ガラス−エポキシ積層板)とともに、無線機用ケース内に収納される。
【0012】
本例では、アンテナ体11aと回路基板12とを無線機用ケース内に収納する際には、図1(b)に示すように、アンテナ体11aのスロット112に回路基板12を挿入してある。この状態で、各端子111a〜111dは、回路基板12の基板面に沿う状態にあるため、各端子111a〜111dを回路基板12の導体パターンに対してはんだ付けなどによって固定して、アンテナ体11aと回路基板12とを一体にしておく。
【0013】
回路基板12には、同調用容量素子、給電回路または受信回路などを備える無線機回路が構成されており、たとえば、端子111a〜111dのうち、端子111a、111bを同調用容量素子に電気的接続し、端子111c、111dの間に給電回路または受信回路を電気的に接続する。この際に、給電回路または受信回路が不平衡回路の場合には、端子111c、111dの一方をグランド電位とする。これに対して、給電回路または受信回路が平衡回路の場合には、端子111c、111dを回路の平衡入力端子にそれぞれ電気的に接続する。ここで、アンテナ体11aと無線機回路とのインピーダンス・マッチングを図るには、アンテナ体11aの給電点の位置を同調用容量素子の接続位置からずらす必要があるため、端子111a、111bと端子111c、111dとを比較的離れた位置に形成してあり、それらの離間距離は、アンテナ体11aや無線機回路などの電気的特性で決定される。
【0014】
なお、アンテナ体11aが搭載される携帯用無線機が固定周波数受信機の場合には、無線機回路に、たとえば、図2に示すように、シングルスーパーヘテロダイン回路120が構成されている。この回路では、アンテナ体11aでの受信周波数が、それ自身の電気的特性と、スロット112を跨いでアンテナ体11aに接続された同調用容量素子121の電気的特性とによって選択されるようになっている。同調用容量素子121の後段には、結合回路122が構成され、この結合回路122は、後段の増幅回路123と、アンテナ体11aおよび同調用容量素子121で構成されるアンテナ回路とを整合させている。増幅回路123の後段側では、発振回路126からの信号によって、受信信号を周波数変換する周波数変換回路124が構成され、その後段には、周波数変換した受信信号を復調するための復調回路125が構成されている。
【0015】
一方、アンテナ体11aが搭載される無線機が広帯域受信機の場合には、無線機回路に、たとえば、図3に示すように、広帯域受信用回路130が構成されている。この回路でも、アンテナ体11aの受信周波数は、それ自身の電気的特性と、スロット112を跨いでアンテナ体11aに接続された同調用容量素子131としてのバラクタダイオードの電気的特性とによって選択されるようになっている。バラクタダイオード131の後段には、結合回路132および増幅回路133が構成されている。増幅回路133の後段側には、発振回路136からの信号によって、受信信号を周波数変換する周波数変換回路134、その出力信号を復調するための復調回路135が構成されている。さらに、周波数変換後の信号レベルを検出するレベル検出回路137と、その検出結果に基づいて、信号レベルが最大になるように、同調用容量素子131に印加する電圧を制御する同調電圧発生回路138とが構成されている。ここで、アンテナ体11aの一端をグランド電位にすることによって、平衡を損なうことなく、同調用容量素子131(バラクタダイオード)のアノードをグランド電位とすることができる。
【0016】
このように構成した携帯用無線機では、その図4(a)に示すように、アンテナ体11aをXZ面方向に配置すると、垂直偏波に対しては、図4(b)に示すように、8の字を描く指向性を示す。この形状は、水平に配置したダイポールアンテナが水平偏波に対して示す指向性特性と同じである。すなわち、スロット112の長手方向の磁界成分に対して感応するアンテナとして動作する。
【0017】
また、本例では、アンテナ体11aのスロット112に対して、回路基板12を挿入してあるため、スロット112内に対し、比誘電率が4.4の誘電体(ガラス−エポキシ)を充填した状態にある。従って、受信信号は、スロット112内の誘電体の誘電率の平方根に比例してみかけ上短縮され、アンテナ体11aの実効長さが延長された状態にある。それ故、アンテナ体11aを小型、薄型化しても、長波長の信号を受信できる。逆に、同じ波長の信号であれば、アンテナ体11aを小型、薄型化できるので、たとえば、携帯用無線機を手帳型の携帯機器として構成できるとともに、腕時計ケースの内部に収容することもできる。
【0018】
なお、本例では、導電板111の中央を切り抜いてスロット112を形成したが、たとえば、金属製の線状材料を曲げ加工し、その内側をスロット112として利用してもよい。また、アンテナ体11aと回路基板12とを固定および接続するにあたって、端子111a〜111dを利用し、それらを強固に一体化したが、導電板111のスロット112の内周縁を回路基板12の導体パターンに直接はんだ付けしてもよい。
【0019】
実施例1の改良例1
図5は、実施例1の改良例1に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体、およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板との配置構造を示す説明図である。なお、本例および以降に説明する改良例において、その基本的な構成は、実施例1と同様になっているため、共通する機能を有する部分には同符号を付して、その詳細な説明および図示を省略する。また、以降に説明する各実施例およびその改良例についても、それぞれ共通する機能を有する部分には同符号を付して、その詳細な説明および図示を省略する。
【0020】
本例のアンテナ体11bは、導電板111の長さ方向の中央位置に屈曲部113を有し、この屈曲部113によって、導電板111が面方向に直角に曲がって、Y方向に向かう部分110aとX方向に向かう部分110bとを有するL字形になっている。また、無線機回路が構成された回路基板12(銅張ガラス−エポキシ積層板)は、2方向に向けて開口するスロット112に挿入されている。なお、本例では、導電板111に端子を設けていないため、導電板111のスロット112の内周縁と、回路基板12とを直接はんだ付けしてある。
【0021】
このように構成したアンテナ体11bでは、それ自身がL字形に曲がっているため、2方向に向けて、スロット112が開口する状態にある。従って、本例のアンテナ体11bは、X方向およびY方向の2方向に対し、高い感度を有する。また、回路基板12を基準面としたときの垂直偏波および水平偏波の双方を検出できるため、アンテナ体11bは、磁界成分を検出しながら、それに直交する電界成分を検出することもできるので、感度が高い。
【0022】
また、アンテナ体11bは、導電板111を屈曲させてあるため、回路基板12が占めるスペース内で長くすることができるので、波長が比較的長い周波数帯域の電磁波でも受信できる。
【0023】
なお、本例では、アンテナ体11bの端部が回路基板12から外周にはみ出る構造になっているが、図5に点線で示すように、回路基板12に切込み12aなどを形成し、そこにアンテナ体11bの端部が嵌まるようにして、アンテナ体11bやスロット112の形状、大きさなどを変えることなく、アンテナ体11bを回路基板12の面内に完全に収めてもよい。また、回路基板12のスルーホールを利用して、回路基板12の表面側と裏面側とにおいて、アンテナ体11bを接続してもよい。このような構造は、実施例1および以下に説明する改良例にも適用できる。
【0024】
実施例1の改良例2
図6は、実施例1の改良例2に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体および回路基板との配置構造を示す説明図である。
【0025】
本例のアンテナ体11cは、導電板111の途中位置に2つの屈曲部113a、113bを有し、いずれの屈曲部113a、113bでも、導電板111は、面方向の内側に直角に曲がって、Y方向に向かう部分110a、X方向に向かう部分110b、および再びY方向に向かう部分110cとを有する。
【0026】
また、無線機回路が構成された回路基板12は、アンテナ体11cのスロット112に挿入されている。なお、本例でも、導電板111に端子を設けていないため、導電板111のスロット112の内周縁と、回路基板12とを直接はんだ付けしてある。
【0027】
このように構成したアンテナ体11cでは、それ自身を2か所で屈曲させているため、回路基板12を大きくすることなく、アンテナ体11cをさらに長くすることができるので、波長が比較的長い周波数帯域の電磁波を送信または受信するのに適している。また、アンテナ体11cと回路基板12とは、Y方向に向かう部分110a、110c、およびX方向に向かう部分110bのそれぞれで固定されているため、衝撃などが加わっても、回路基板12がアンテナ体11cから脱落することがない。
【0028】
なお、本例でも、アンテナ体11cを回路基板12の外周縁に沿って配置した方が、アンテナ体11cを長くすることができるので、波長が比較的長い周波数帯域の電磁波を送信または受信するのに有利である。但し、同調周波数は、スロット112の周囲長によって規定されるので、同調周波数に応じて、アンテナ体11cの長さ、回路基板12の長さ寸法および幅寸法を設定することになる。
【0029】
実施例1の改良例3
図7は、実施例1の改良例3に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構造を模式的に示す説明図である。
【0030】
本例のアンテナ体11dは、導電板111の途中位置に4箇所の屈曲部113a、113b、113c、113dを有し、いずれの屈曲部でも、導電板111は、面方向の内側に直角に曲がって略矩形の平面形状を有する。なお、本例でも、スロット112には、無線機回路が構成された回路基板12が挿入されるが、図7では、その図示を省略してある。
【0031】
このように構成したアンテナ体11dでは、それ自身を4か所で屈曲させているため、回路基板12を大きくすることなく、アンテナ体11dをさらに長くすることができる。また、アンテナ体11dを回路基板12に強固に固定できる。
【0032】
なお、アンテナ体11dは、端部111e、111f同士を接続して、リング状にしてもよい。この場合に、スロット112の長さは、送信または受信すべき電磁波の周波数、波長に合わせて決定することになる。
【0033】
実施例2
図8は、実施例2に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体および回路基板との配置構造を示す説明図である。
【0034】
本例の携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体21aは、導電板211の幅方向の中央位置に1条の溝としてのスロット212が形成されており、スロットアンテナとして機能するようになっている。導電板211には、その外周縁から張り出す4つの端子211a〜211dが形成されている。このような構成のアンテナ体21aは、それを介して、送信または受信を行うための無線機回路が構成された回路基板22(銅張ガラス−エポキシ積層板)とともに、無線機用ケース内に収納される。
【0035】
本例では、アンテナ体21aと回路基板22とを無線機用ケース内に収納するにあたって、アンテナナ体21aを回路基板22に沿うように平行に配置してある。この状態で、各端子211a〜211dを回路基板22の導体パターンに対してはんだ付けすることによって、アンテナ体21aを回路基板22に固定するとともに、回路基板22上に構成された同調用容量素子や無線機回路に電気的に接続してある。
【0036】
このように構成したアンテナ体21aでは、厚さ寸法が極めて小さいので、薄型の携帯用無線機に搭載するのに適している。また、回路基板22に形成されている導体パターンは、アンテナ体21aの裏面で反射板として機能するため、アンテナ体21aの上面側からの電磁波に対する感度が高い。
【0037】
なお、端子211a〜211dを設けない場合には、導電板211と回路基板22の導体パターンとを直接はんだ付けすることになる。この場合、同調用容量素子は、導電板211の外周側、スロット212、または導電板211の上面に配置する。
【0038】
実施例2の改良例1
なお、実施例2において、アンテナ体21aを回路基板22に密着させてもよいが、図9に示すアンテナ体21bのように、スロット212の内周縁から下方に端子211e〜211hを突出させ、これらの端子211e〜211hを回路基板22の導体パターンにはんだ付けしてもよい。この場合には、回路基板22とアンテナ体21との間に隙間を形成できるので、回路基板22とアンテナ体21bとの間に回路素子を実装することができる。すなわち、アンテナ体21bと回路基板22との隙間を部品実装用の空間として利用して、回路基板22の小型化を図ってもよい。
【0039】
実施例2の改良例2
図10に示すアンテナ体21cのように、スロット212の内周縁から下方に端子211e〜211hを突出させるとともに、導電板211自身の端部210をL字状に屈曲させ、これらの端子211e〜211h、および端部210を回路基板22の導電パターンにはんだ付けしてもよい。
【0040】
このように構成したアンテナ体21cでは、回路基板22との間に部品を実装できるとともに、それらの接着強度が向上する。また、端部210をはんだ付けした導体パターンをグランド電位にするとともに、アンテナ体21cに対する給電点の位置(端子211e〜211hの形成位置)を調整することによって、アンテナ体21cにおいて、スロットアンテナとしてのモードによる磁界成分の検出と、逆F形アンテナのモードによる電界成分の検出の双方を行うことができる。
【0041】
実施例2の改良例3
図11は、実施例2の改良例3に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体と回路基板との配置構造を示す説明図である。
【0042】
本例のアンテナ体21dも、導電板211が回路基板22に沿うように平行に配置してあり、回路基板22に形成されている導体パターンを反射板として利用するようになっている。また、アンテナ体21dには、導電板211の長さ方向の2か所に2つの屈曲部213a、213bが形成されており、いずれの屈曲部213a、213bでも、導電板211は、回路基板22の外周側で面方向に直角に曲がっている。このため、アンテナ体21dは、X方向に向かう上面部210a、Z方向に向かう側面部210b、および再びX方向に向かう下面部210cのうち、上面部210aと下面部210cとの間で回路基板22を挟んだ状態にある。なお、導電板211と回路基板22との電気的な接続は、それらを直接はんだ付けしてもよいが、所定の形状に屈曲した端子などを用いて電気的な接続を行ってもよい。
【0043】
このように構成したアンテナ体21dでは、回路基板22が占めるスペース内で、その長さ寸法を長くできる。また、アンテナ体21dは、回路基板22の表面および裏面の双方でスロット212が開口し、かつ、回路基板22に形成されている導体パターンは、その表面側および裏面側の双方において、アンテナ体21dに対する反射板として機能する。それ故、アンテナ体21dは、上面側および下面側の双方に対して感度が高い。
【0044】
実施例2の改良例4
なお、図11に示すアンテナ体21dにおいて、回路基板22との間に部品を実装する隙間を確保する場合には、図12に示すアンテナ体21eのように、屈曲部213a、213bに加えて、その両端側に屈曲部213c、213dを形成し、これらの屈曲部213c、213dによって、導電板211の端部210d、210eが回路基板22に向けて曲げておく。この場合には、アンテナ体21eと回路基板22との間に部品を実装できることに加えて、アンテナ体21e端部210d、210eを回路基板22の導体パターンにはんだ付けすることによって、アンテナ体21eを回路基板22に強固に固定するとともに、それらの間の電気的接続を行うことができる。
【0045】
実施例3
図13は、実施例3の携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体を示す説明図である。
【0046】
本例のアンテナ体21fでは、スロット212が形成された導電板211に対し、長さ方向の2か所に2つの屈曲部213a、213bが形成されており、これらの屈曲部213a、213bでは、導電板211は、面方向に直角に曲がっている。このため、アンテナ体21fは、X方向に向かう上面部210a、Z方向に向かう側面部210b、および再びX方向に向かう下面部210cを有する。本例では、導電板211の上面部210aのみにスロット212が形成されており、その他の部分には、スロットが形成されていない。
【0047】
このため、スロット212が形成されている上面部210aには、その裏面側に反射板(下面部210c)が配置された状態にあるため、上面側からの電磁波に対する感度が高い。なお、アンテナ体21fでは、無線機回路が構成された回路基板をスロット212に挿入することによって、スロット212内に誘電体を充填した効果を得ることができる。また、アンテナ体21fに対し、上面部210aと下面部210cとの間に回路基板22を配置してもよく、この場合には、下面部210cに対してグランド電位を印加することが好ましい。
【0048】
なお、アンテナ体21fは、上面部210a、側面部210bおよび下面部210cがそれぞれ別体のものをねじ止めなどの方法で連結した構造であってもよい。
【0049】
実施例3の改良例1
図14は、実施例3の改良例1に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構造を示す説明図である。
【0050】
本例のアンテナ体21gでも、スロット212が形成された導電板211の裏面側に反射板214が配置された構造になっているが、本例では、導電板211と反射板214との間に誘電体215が充填された状態にある。また、誘電体215は、導電板211のスロット212内にも充填されており、アンテナ体21gで受信した電磁波の波長を見かけ上短縮し、短いスロット212でありながら、比較的長い波長にも対応できるようになっている。また、反射板214の効果によって、上面側からの感度を高めてある。
【0051】
このようなアンテナ体21gは、所定の形状に成形した誘電体215の上面および下面に導電板211および反射板214をそれぞれ貼り付けることによって形成できる。なお、アンテナ体21gでは、導電板211と反射板214とが誘電体215の側面で電気的に接続する構造でもよい。
【0052】
実施例3の改良例2
また、図14に示すアンテナ体21gを導電板211、反射板214、および誘電体215を1枚の回路基板22から形成してもよい。すなわち、回路基板22として両面プリント基板(両面銅張ガラス−エポキシ積層板)を用い、その表面側の金属層(銅層)をパターニングして、スロット212が形成された導電板211を導体パターンとして形成する一方、回路基板22の裏面側では、この導電板211に対向する領域に反射板214を導体パターンとして残す。このように構成したアンテナ体21gでは、導電板211と反射板214との間、およびスロット212の内部に誘電体215(ガラス−エポキシ)が充填されたアンテナ体21gを簡単に製造できる。
【0053】
また、回路基板22として、両面に金属層がプリントされたフレキシブルテープを用い、その金属層を所定の形状にパターニングして、導電板211および反射板214を導体パターンとして形成してもよい。この場合には、アンテナ体21gは、自由に曲げることができるので、腕時計の内部などの狭い空間にアンテナ体21gを配置できる。
【0054】
実施例4
図15は、実施例4に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体および回路基板の構造を示す説明図である。
【0055】
本例のアンテナ体21hも、回路基板22として両面プリント基板を用い、その両面の金属層をパターニングして、スロット212が形成された導電板211と、反射板214を導体パターンとして形成してある。導電板211は、回路基板22の金属層に対するパターンで形成するため、任意の形状に形成できる。従って、本例のように、導電板211およびスロット212が屈曲部213gでL字形に曲がったものとして、一定面積の回路基板22上において、寸法を長く形成するのも容易である。なお、導電板211の形状については、L字形の他にも、途中位置で屈曲させて矩形としたもの、外周形状が円形のものなど、携帯用無線機のケースの形状などに合わせた形状に設計できる。
【0056】
本例では、回路基板22からアンテナ体21hを形成できるので、その小型化および薄型化が可能であり、特に、回路基板22および導電板211の外周形状を円形にした場合には、腕時計の円形ケース内に収納するのに適している。また、導電板211自身が導体パターンであるため、導電板211の上面に対し、スロット212を跨ぐように同調用容量素子221を実装することもできる。
【0057】
さらに、導電板211と反射板214とを電気的接続するにあたって、回路基板22に形成したスルーホールを利用することもできる。
【0058】
なお、反射板214は、導電板211に対して同等以上の面積をもって対向させ、それには、グランド電位を印加することとなる。
【0059】
なお、図16に示すアンテナ体21iのように、導電板211および反射板214のうち、いずれか一方のみを回路基板22の導体パターンで構成してもよい。すなわち、アンテナ体21iでは、回路基板22と別体の導電板211を回路基板22に対向するように固定してある一方、反射板214は、回路基板22の裏面側の金属層に施したパターンで形成してある。ここで、導電板211には、その外周側に端子211a〜211dが形成されており、これらの端子211a〜211dは、回路基板22の導体パターンにはんだ付けされている。
【0060】
また、実施例4において、4層または6層の金属層を有する多層基板を用いた場合には、これらの金属層のいずれの層を用いて、導電板または反射板を構成してもよい。
【0061】
実施例5
図17は、本発明の実施例5に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0062】
本例のアンテナ体31aでは、矩形の第1の導電板32および第2の導電板33を所定の隙間34を介して平行に配置されている。ここで、第1および第2の導電板32、33としては、金属板を用いることができる他にも、たとえば、プラスチック製の携帯用無線機のケースの内面に蒸着された導電性の薄膜を用いることもでき、導電率が高いものであれば、その材質に限定がない。
【0063】
第1および第2の導電体32、33は、その一方側の端縁において、短絡板35によって電気的に接続されており、これに隣接する端縁では、無線機回路が構成された無線機回路ブロック36が給電点37a、37bで電気的に接続している。
【0064】
このように構成したアンテナ体31aは、第1および第2の導電板32、33の外周側において、短絡板35の形成位置から第1および第2の導電板32、33との外周を回って短絡板35に戻るまでの隙間34によって、スロット342が形成されている状態にあり、スロットアンテナとして機能する。
【0065】
しかも、スロット342は、第1および第2の導電板32、33の対向距離に相当する幅をもって、全周囲に向けて開口する状態にある。このため、直線的に延びるスロットが形成されたスロットアンテナに比較して、本例のアンテナ体31aは、ループアンテナのようなモードも複合的に作用する。このため、電磁界成分が有効に受信または送信されるので、アンテナ利得が高いという効果を奏する。
【0066】
すなわち、図18には、スロット342が矩形に曲がる本例のアンテナ体31aの指向性特性を実線A1で示してあり、同様に、同寸法のスロットが直線に延びる比較例としてのスロットアンテナの指向性特性(点線A2で示す。)と比較してある。ここで、各値は、アンテナ、利得の最大値に対する相対比で示してあり、水平面における指向性である。これらの指向性特性を比較すると、本例のアンテナ体31aは、比較例に比して、アンテナ利得が数dBほど向上している。また、本例のアンテナ体31aは、比較例に比して、パターンが丸く、ヌルポイントが減少傾向にあり、無指向性に近い。それ故、本例のアンテナ体31aは、薄型化が可能であることに加えて、感度も高いので、携帯用無線機に適している。
【0067】
なお、隙間34に対しては、アンテナ体31aを補強する目的に、プラスチック材料などを挿入してもよい。特に、隙間34に対し、低損失の誘電体を挿入すると、スロット342に誘電体を充填した状態になって、受信した電磁波の波長をみかけ上短縮する効果を得ることができる。それ故、アンテナ体31aは、小型であっても、波長が比較的長い電磁波を受信することもできる。また、アンテナ体31aを大きくすることなく、アンテナ利得を高めることができる。
【0068】
なお、給電点37a、37bの位置については、アンテナ体31aと、無線機回路ブロック36とのインピーダンス・マッチングの面から最適な位置に設定することにより高い感度を得ることができる。また、短絡部35については、各導電板と一体のもの、またはねじ止めなどで導電板に固定されたものなど、いずれの構造のものでもよい。
【0069】
実施例5の改良例1
図19は、本発明に実施例5の改良例1に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0070】
本例のアンテナ体31bでは、実施例5と同様に、矩形の第1の導電板32および第2の導電板33が所定の隙間34を介して平行に配置され、それらの一方側の端縁には、第1および第2の導電板32、33を電気的接続する短絡板35が形成されている。
【0071】
本例では、第1および第2の導電板32、33に対し、短絡板35とは反対側の端縁で同調用容量素子38がスロット342を跨いで電気的に接続している。この接続位置は、同調用容量素子38がスロット342の長さ方向の中心位置でアンテナ体31bで電気的に接続する位置に相当する。
【0072】
ここで、同調用容量素子38は、第1および第2の導電板32、33の外周寸法、すなわち、スロット342の長さが使用周波数の半波長に相当する寸法よりも短くても、アンテナ体31bが同調するようにしている。しかも、同調用容量素子38をスロット342の長さ方向の中心位置に配置して、アンテナ利得を最大限に高めてある。その理由を、実施例5に係るアンテナ体と、本例のアンテナ体31bとを比較して、以下に説明する。図20(a)に示すように、同調用容量素子を用いないアンテナ体31aでは、電流の振幅Iが正弦波を描くため、半波長とスロット342の長さが一致したときにアンテナ体が共振する。これに対し、図20(b)に示すように、スロット342の長さ方向の中央位置に同調用容量素子38を設けたアンテナ体31bでは、電流の振幅Iが同調用容量素子38によって急変するため、見掛け上、波長が短くなった状態となる。また、図20(b)に示すように、スロット342の中央位置に同調用容量素子38を配置した方が、その両側で電流バランスをとることができるため、アンテナ体31bに電流を最大に流すことができるので、アンテナ利得が向上する。
【0073】
実施例5の改良例2
図21は、本発明に実施例5の改良例2に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0074】
本例のアンテナ体31cでは、実施例5の改良例1に対し、無線機回路ブロック36からの給電点371a、372bを同調用容量素子38の第1および第2の導電板32、33への接続点38a、38bと同じ端縁の側に配置したことに特徴点がある。すなわち、本例では、給電点371a、372bと接続点38a、38bが並んでいるため、同調用容量素子38も、無線機回路とともに、無線機回路ブロック36内に実装することができる。それ故、組み立て時の部品点数を削減できるとともに、構造を簡素化できるので、コストを低減できる。
【0075】
実施例5の改良例3
図22は、本発明に実施例5の改良例3に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0076】
本例のアンテナ体31dでは、実施例5の改良例1に対し、第1の導電板32の外周部を第2の導電板33に向けて折り曲げて側面部321を形成する一方、第2の導電板33の外周部を第1の導電板32に向けて折り曲げて側面部331を形成してある。ここで、側面部321の下端縁と、側面部331の上端縁との間には、隙間34を確保してあり、それがスロット342である。
【0077】
このように構成したアンテナ体31dでは、隙間34の幅(スロット342の幅)によって、アンテナ利得が変わる。使用周波数が高く(波長が短く)なる場合には、スロット342の幅を狭める必要があり、例えば使用周波数が100MHzであれば、スロット342の幅は、5〜9mm程度が適正である。これに対し、使用周波数が300MHzであれば、スロット342の幅は、3〜7mm程度が適正である。このようなスロット342の幅の調整を本例のアンテナ体31dでは、その基本的な設計条件を変えることなく行なうことができる。
【0078】
すなわち、本例では、第1および第2の導電板32、33の対向距離を変更せずに、それらに側面部321、331を設け、その幅寸法を変えることにより、スロット342の幅を同調周波数に対して適正な値に調整できる。従って、第1および第2の導電板32、33などを収容する無線機本体のケースや第1および第2の導電板32、33を固定する部材などを設計変更せずに、同調周波数を変更できる。
【0079】
実施例5の改良例4
図23は、本発明に実施例5の改良例4に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0080】
本例の携帯用無線機では、実施例5の改良例3に係るアンテナ体31dに対し、第1の導電板32と第2の導電板33との間に無線機回路ブロック36を配置して、無線機回路ブロック36をアンテナ体31dの外側には、配置していない。このため、無線機回路ブロック36が占有していたスペースを省くことができるので、携帯用無線機の小型化を実現できる。
【0081】
実施例5の改良例5
図24(a)は、本発明の実施例5の改良例5に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0082】
本例の携帯用無線機のアンテナ体31eでは、実施例5の改良例4に係るアンテナ体に対し、第1の導電板32の中央部分に矩形の開口部320を形成し、第2の導電板33の中央部分に矩形の開口部330を形成してある。また、第1の導電板32と第2の導電板33との間の中央部分に無線機回路ブロック36を配置して、携帯用無線機を小型化してある。ここで、開口部320、330の形成位置は、無線機回路ブロック36の配置位置に対応しており、開口部320、330の大きさは、無線機回路ブロック36が占める面積よりも大きく設定してあるため、無線機回路ブロック36の上方側および下方側は、開放状態にある。
【0083】
このように構成したアンテナ体31eでは、第1および第2の導電板32、33の間に無線機回路ブロック36があることに起因して、第1および第2の導電板32、33は、無線機回路ブロック36が発生するノイズを拾いやすいが、本例では、無線機回路ブロック36に対応する位置に開口部320、330を形成してあるため、第1および第2の導電板32、33の間に発生する電界が導体板32、33の外側部分に集中し、無線機回路ブロック36の近傍には、電界が発生しない。それ故、無線機回路ブロック36が発生するノイズが、第1および第2の導電板32、33の間に発生する電界を乱さないので、ノイズの影響が少なく、アンテナ利得が向上する。
【0084】
たとえば、アンテナ体31eの指向性特性を、アンテナ装置単体で測定すると、図24(b)の点線B2に示すように、アンテナ利得を示す。また、本例のアンテナ体31eを胸ポケットに入れた場合の指向性特性を実線B1で示す。ここで各値はアンテナ利得の最大値に対する相対比出示してあり、水平面における指向性である。これらの値を比較すると人体のイメージ効果によって、人体の正面(0゜方向)で数dBほどアンテナ利得が高くなるため、ポケットベルなどの携帯用無線機に適している。
【0085】
また、図24(a)に示すように、無線機回路ブロック36の上面に液晶表示パネル361を搭載して、そこで情報を表示するようにしても、第1の導電板32の開口部320から表示を見ることができる。一方、第2の導電板33の開口部330によって、無線機回路ブロック36の下面が開放状態にあるため、無線機回路ブロック36の内部に装着されている電池を交換するのも容易である。それ故、アンテナ体31eを用いて、図25に示すような腕時計型携帯用無線機を構成できる。
【0086】
図25は、腕時計型携帯用無線機を裏面側からみた分解図であり、この腕時計型携帯用無線機では、ケース39の表面側に表示部としての開口部390が形成されている。ケース39の両側には、腕装着用バンド391、392が連結されている。ここで、ケース39に対しては、第1の導電板32、無線機回路ブロック36、および第2の導電板33が順次収納された後、ケース39の裏面側が裏蓋393で閉じられて、腕時計型携帯用無線機が構成される。
【0087】
このように構成した腕時計型携帯用無線機では、第1の導電板32によって遮られることなく、ケース39の開口部390から無線機回路ブロック36の上面に形成された液晶表示パネルやLED等の表示手段に表示された情報を確認できる。また、アンテナ体31eは、ケース体39および裏蓋393によって完全に覆われるため、アンテナ体31eを構成する材料には、耐腐食性や耐磨耗性などを考慮する必要がなく、たとえば、銅などのように、耐腐食性は低いが導電性が高い金属材料でアンテナ体31eを構成して、そのアンテナ利得を高めることができる。
【0088】
実施例5の改良例6
図26は、本発明に実施例5の改良例6に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)の構成を示す説明図である。
【0089】
本例の携帯用無線機では、アンテナ体31fにおいて、スロットを介して対向し合う第1の導電板32および第2の導電板33のうち、中央部に開口部320が形成された第1の導電板32は、腕時計型携帯用無線機のケースを兼ねており、第2の導電板33は、腕時計型携帯用無線機のケース(第1の導電板32)の裏面側を閉じる裏蓋を兼ねている。このため、第2の導電板33の中央部分には、実施例5の改良例4と相違し、開口部が形成されていないが、ケース(第1の導電板32)の裏面側で簡単に取り外すことができるようになっている。
【0090】
ここで、第1の導電板32の側面部325には、その端面326に凸部としての短絡部35を残して切り欠き329を形成し、そこにプラスチック製などの絶縁材料で構成したスペーサ327を固定してある。このため、第1の導電板32の内側に無線機回路ブロック36を収納した後に、第1の導電板32の裏側を第2の導電板33で覆っても、それらの間には、スペーサ327が介在するので、スロット342が確保される。また、第1の導電板32と、第2の導電板33とは、短絡部35によって電気的に接続する。それ故、本例でも、第1の導電板32、スペーサ327および第2の導電板33を備えるアンテナ体31fは、スロットアンテナとして機能する。
【0091】
このように構成した腕時計型携帯用無線機では、第1の導電板32(ケース)の開口部から無線機回路ブロック36の上面に形成された液晶表示パネルなどの表示手段に表示された情報を確認できる。
【0092】
なお、本例では、アンテナ体31fと、無線機回路ブロック36とは、図27(a)に示す回路を構成している。すなわち、アンテナ体31fに対し、不平衡給電を行なう目的に、第1の導電板32の給電点371aは、アンテナ端子373を介して、無線機回路ブロック36の給電回路361に電気的に接続され、第2の導電板33の給電点372bは、無線機回路ブロック36のグランド端子362に電気的に接続されている。このような接続構造では、第1および第2の導電板32、33の外周部で給電点371a、372bの設定位置を変えて、給電点371a、372bと同調用容量素子38との離間距離を最適な条件に設定することによって、アンテナ体31fと、無線機回路ブロック36とのインピーダンス・マッチングを図ることができる。
【0093】
これに対して、アンテナ体31fに対し、平衡給電を行なう目的に、図27(b)に示す回路を構成する。この回路では、第1の導電板32の給電点371aは、アンテナ端子373を介して、無線機回路ブロック36の給電回路361に電気的に接続され、第2の導電板33の給電点372bも、アンテナ端子374を介して、無線機回路ブロック36の給電回路361に電気的に接続されている。このような接続構造でも、第1および第2の導電板32、33の外周部で給電点371a、372bの設定位置を変えて、給電点371a、372bと同調用容量素子38との離間距離を最適な条件に設定することによって、アンテナ体31fと、無線機回路ブロック36とのインピーダンス・マッチングを図ることができる。
【0094】
実施例6
図28は、本発明の実施例6に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0095】
本例のアンテナ体41aは、第1の導電板42および第2の導電板43を所定の隙間44を介して平行に配置されており、第1および第2の導電体42、43は、その一方側の端縁において、短絡部45によって電気的に接続されている。このため、アンテナ体41aは、第1および第2の導電板42、43との外周側において、短絡部45から第1および第2の導電板42、43の外周を回って短絡部45に至るまでの隙間44によって、スロット442が形成されている状態にある。このため、アンテナ体41aは、スロットアンテナとして機能する。
【0096】
本例では、第1および第2の導電板42、43を構成するにあたって、回路基板47(両面銅張ガラス−エポキシ積層板)の両面に形成されている金属層(銅層)をパターニングした外周側の導体パターンを用いている。従って、隙間44は、回路基板47のガラス−エポキシ自身であり、短絡部45は、回路基板47のスルーホール471の内面に形成されているめっき層である。
【0097】
さらに、本例では、第1および第2の導電板42、43の双方に同調用容量素子48を接続するにあたって、まず、回路基板47の表面側では、第1の導電板42の内側に導体パターン472を形成する一方、回路基板47の裏面側では、第2の導電板43から内側に向けて導体パターン473を延設してある。ここで、導体パターン472と導体パターン473とは、回路基板47のスルーホール474の内面に形成されためっき層を介して電気的に接続している。そして、回路基板47の表面側において、第1の導電板42および導体パターン472に対して同調用容量素子48を実装してある。この同調用容量素子48は、チップコンデンサやバラクタダイオードなどであって、隙間44(スロット442)を跨がって、第1および第2の導電板42、43に電気的に接続する状態にある。また、同調用容量素子48の接続位置は、短絡部45と対向する位置にあり、スロット442の長さ方向の中央に相当する。
【0098】
このような構成したアンテナ体41aでは、回路基板47の両面の金属層をパターニングするだけで、任意の形状の第1および第2の導電板42、43を得ることができるとともに、その隙間44(スロット442)の幅も一定である。また、回路基板47の厚さ寸法でスロット幅を正確に設計することもできる。しかも、薄型のアンテナ体41aを形成できるので、ポケットベルなどの携帯用無線機に搭載するのに適している。また、同調用容量素子48も、無線機回路を構成する電子部品と同じように実装できる。さらに、第1および第2の導電板42、43は、回路基板47の外周縁に沿ってパタニングされた導体パターンであるため、長さ寸法が長いとともに、その内側を利用して、無線機回路を配置することもできる。
【0099】
実施例6の改良例1
図29は、本発明の実施例6の改良例1に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0100】
本例のアンテナ体41bも、第1および第2の導電板42、43を構成するにあたって、回路基板47(両面プリント基板)の両面に形成されている金属層をパターニングした導体パターンを用いている。従って、スロット442としての隙間44は、回路基板47のガラス−エポキシ基板の基体自身である。また、第1および第2の導電板42、43の短絡部45は、回路基板47に形成されたスルーホール471の内面に形成されているめっき層自身である。
【0101】
本例では、第1および第2の導電板42、43は、図面に向かって、回路基板47の左半部47aに形成され、それに面方向で隣接する右半部47bは、無線機回路の形成領域になっている。右半部47bと左半部47aとの境界部分には、導体パターン475が形成されており、この導体パターン475と第1の導電板42とに対し、結合コンデンサ491が実装されている。この結合コンデンサ491は、図30に示すように、アンテナ体41bと、無線機回路の初段側で増幅回路として動作するトランジスタ490とを電気的に接続している。ここで、結合コンデンサ491とアンテナ体41bとの接続位置(給電点)は、スロット442に対し、短絡部45の形成位置と同調用容量素子48の接続位置との略中間に配置し、アンテナ体41bと無線機回路とのインピーダンス・マッチングを行なっている。
【0102】
このように構成したアンテナ体41bは、回路基板47上において、無線機回路(トランジスタ490)から離れた領域に形成されているため、無線機回路から発生するノイズの影響を受けることがない。
【0103】
実施例6の改良例2
図31は、本発明の実施例6の改良例2に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図、図32は、その導電板を分解して示す説明図である。
【0104】
本例のアンテナ体41cでは、実施例6の改良例1と同様に、回路基板47(プリント基板)の両面に形成されている金属層をパターニングして第1の導体パターン42aおよび第2の導体パターン43aを形成し、それらの間に、回路基板47のガラス−エポキシ基板の基体として存在する隙間44をスロット442として利用している。
【0105】
さらに、第1および第2の導体パターン42a、43aの上面には、矩形の第1の導電板42bおよび第2の導電板43bをはんだ付けしている。このため、アンテナ体41cは、第1の導体パターン42aと第1の導電板42bとが一体になって、1つの導体を構成し、第2の導体パターン43aと第2の導電板43bとが一体になって、1つの導体を構成している。このため、本例では、実施例6の改良例1に係るアンテナ体に比較して、第1および第2の導電板42b、43bの導電性が寄与するため、アンテナ体41cの抵抗損失が低減され、感度が向上するという効果を奏する。なお、本例では、第1および第2の導体板42b、43bは、一部が切り欠かれた形状になっているが、完全なループ形状でもよい。
【0106】
実施例7
図33は、本発明の実施例7に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図であり、本例では、回路基板と、それとは別体の導体を用いてスロットアンテナが構成されている。
【0107】
図において、本例のアンテナ体51aでは、導体としての第1および第2の金属ワイヤー52、53を回路基板54(両面基板)の両面に形成した導体パターン541、542、543にはんだ付けしてある。このため、第1および第2の金属ワイヤー52、53の間には、隙間55が形成されている。また、導体パターン543では、回路基板54のスルーホール540の内面に形成されためっき層によって、第1および第2の金属ワイヤー52、53を電気的に接続する短絡部56が形成されている。このため、図34に示すように、短絡部56から第1および第2の金属ワイヤー52、53の間を通って短絡部56に戻る経路にはスロット550が形成された状態にあるため、アンテナ体51aは、スロットアンテナとして機能する。
【0108】
なお、導体パターン541と、それに隣接する導体パターン545との間には、同調用容量素子57が実装されている。また、導体パターン542と、それに隣接する導体パターン544との間には、結合コンデンサ58が実装され、この結合コンデンサ58は、導体パターン544を介して、図34に示すように、無線機回路の増幅回路59(トランジスタ)に電気的に接続されている。
【0109】
このように、本例では、回路基板54の導体パターン541、542やスルーホール540を利用して、アンテナ体51aを構成しているため、その固定や電気的接続が容易である。
【0110】
実施例8
なお、第1および第2の金属ワイヤー52、53に代えて、図35に示す矩形の枠形の第1および第2の導電板62、63を用いて、アンテナ体61aを構成することもできる。この場合でも、第1および第2の導電板62、63を回路基板64の導体パターン641、642、643にはんだ付けしてある。また、これらの導体パターン641、642に隣接する位置に形成された導体パターン644、645を利用して、第1および第2の導電板62、63に対し、同調用キャパシタンス素子65や結合コンデンサ66を電気的に接続してある。さらに、回路基板64に形成されているスルーホール640を利用して、第1および第2の導電板62、63を電気的に接続する短絡部68を構成してある。
【0111】
ここで、第1および第2の導電板62、63には、側面部621、631をそれぞれ形成してあり、これらの側面部621、631を導体パターン641、642にはんだ付けしてある。従って、回路基板64と第1および第2の導電板62、63との間に隙間を確保してあるため、その内側に同調用容量素子65や導体パターン644を配置することができる。
【0112】
実施例8の改良例1
図36は、本発明の実施例8の改良例1に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0113】
本例では、実施例8と同様に、側面部621、631を有する第1および第2の導電板62、63を用いて、アンテナ体61bを構成してあり、さらに、側面部621、631からは、同じ長さ寸法の端子62a〜62c、63a〜63cが突出している。ここで、端子62a〜62c、63a〜63cは、それぞれ回路基板64に形成された導体パターン641、642、643にはんだ付けされる。
【0114】
従って、本例のアンテナ体61bでは、回路基板64の厚さに加えて、端子62a〜62c、63a〜63cの長さ寸法を加えた幅の隙間(スロット)が形成されることになる。それ故、スロットの幅を変更する場合には、端子62a〜62c、63a〜63cの長さ寸法を変更すればよい。
【0115】
なお、本例では、図面に向かって、回路基板64の右半部を無線機回路を構成する領域として空けてあるが、この領域を設けずに、端子62a〜62c、63a〜63cによって、第1、第2の導電板62、63と回路基板64との間の隙間が拡張されているので、この隙間を利用して、第1および第2の導電板62、63の内側に無線機回路を構成してもよい。
【0116】
また、図37に示すように、第1および第2の導電板62、63が側面部621、631に相当する部分のみで構成されて矩形の枠状になっている場合でも、端子62a〜62c、63a〜63cを利用して、回路基板64に固定するとともに、そのスロットの幅を調整してもよい。この場合にも、第1および第2の導電板62、63の内側に無線機回路ブロックを配置できるとともに、無線機回路ブロックの上面に液晶表示パネルなどを形成して、情報を表示してもよい。
【0117】
さらに、図38に示すように、略中央部に開口部620を形成した第1の導電板62のみに、側面部621および端子62a〜62cを形成し、第2の導電板63の方は、平板として形成してもよい。この場合でも、第1の導電板62の側において、端子62a〜62cの長さ寸法でスロットの幅を調整できる。
【0118】
実施例9
図39は、本発明の実施例9に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0119】
本例のアンテナ体71aには、第1および第2の金属層72、73が両面に形成されたセラミック基板74を用いてあり、その側面741にスロット740が形成されている。セラミック基板74の側面741の長さ方向の中央位置には、第1および第2の金属層72、73を導電接続する短絡部75が形成されている。
【0120】
このような構成のアンテナ体71aでは、通常のセラミック基板74を所定のサイズに切断するとともに、その側面741に、たとえば、導電性塗料層、めっき層、または蒸着層などで短絡部75を形成すればよいので、小型化および薄型化が容易である。また、スロット740は、セラミック基板74の基体自身で充填された状態であるため、受信した波長のみかけ上の短縮効果が得られるので、小型でも、波長が比較的長い電磁波も受信できる。
【0121】
実施例9の改良例1
また、実施例9に係るアンテナ体71aに対し、図40に示すように、セラミック基板74の側面部741には、第1および第2の金属層72、73から接続するように、導電性塗料層、めっき層、または蒸着層などを用いて側面部721、731を形成し、これらの側面部721、731の隙間をスロット76として利用することができる。この場合には、スロット76の幅を調整するときには、側面部721、731の幅を調整すればよく、セラミック基板74の厚さを変える必要がない。
【0122】
実施例9の改良例2
さらに、実施例9に係るアンテナ体71aにおいて、図41に示すように、セラミック基板74の両面において、その中央部分に金属層を残さずに、セラミック基板74の端縁のみに第1の金属層72を形成してもよい。この場合には、セラミック基板74の表面に第1の金属層72に接続する導体パターン742、それに隣接する導電パターン744、およびセラミック基板74の裏面で第2の金属層73に接続する導体パターン743を形成し、この導電パターン743をスルーホール740内のめっき層を介して導電パターン744に電気的に接続しておく。そして、導体パターン741、744に対して、同調用容量素子78を実装することによって、同調用容量素子78をスロット76を跨ぐようにして、第1および第2の金属層72、73に電気的に接続させてもよい。
【0123】
このように構成したアンテナ体71cは、小型のチップ状のアンテナ体であるので、そのまま回路基板などに搭載することもでき、小型、薄型の携帯用無線機に適している。
【0124】
その他の実施例
なお、上記の実施例1ないし9、およびそれらの改良例で示した各構造については、上記の例に加えて、それぞれを組み合わせてもよい。たとえば、図2および図3に示した回路構成は、実施例1に係るアンテナ体だけでなく、その他のいずれの実施例またはその改良例とも組み合わせることができる。
【0125】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明では、スロットが開口する導電板を備えるスロットアンテナ体を有するケース内蔵型のスロットアンテナ装置において、回路基板をスロット内に挿入した構成にしてある。従って、本発明によれば、アンテナ体は、スロットアンテナであるので、磁界成分に対して感度を有し、人体に装着したときに、感度が向上することも期待できるので、ポケットベルなどの携帯用のアンテナ装置に適している。また、スロット内に回路基板を挿入してあるため、誘電体が充填された場合と同様に、受信した信号の波長を見掛け上、短縮することができるので、小型のアンテナ体でも、波長が比較的長い電磁波でも受信できる。
【0126】
ここで、導電板を面方向に屈曲させた場合には、小型化、薄型化したままで、スロットの開口方向を2方向ないし4方向とすることができ、指向性特性が向上する。
【0127】
また、スロットが開口する導電板を備えるスロットアンテナ体を有するスロットアンテナ装置において、導電板を回路基板の表面に対向する状態に配置した場合には、薄型化できる。
【0128】
さらに、スロットが開口する導電板を備えるスロットアンテナ体を有するスロットアンテナ装置において、導電板の裏面側に反射体を配置したことに特徴を有する。従って、本発明によれば、小型化、薄型化したままで、反射板によって、感度を高めることができる。
【0129】
また、本発明では、導電体を回路基板の基板面に形成された導体パターンで構成しているため、部品点数を削減して、小型化を図ることができる。
【0130】
本発明の別の形態では、外周側にスロットにされるべき隙間をもって対向する一対の導電板を利用したスロットアンテナ体を構成したことに特徴を有する。従って、本発明によれば、薄型のアンテナ体を構成できるとともに、外周に向けてスロットが開口するため、指向性の優れたアンテナ体を構成できる。
【0131】
ここで、導電板に無線機回路の形成領域に対応して開口部を形成した場合には、それをケース本体として利用した場合でも、無線機回路の上面側に形成された表示パネルでの表示を導電板の開口部から見ることができる。
【0132】
また、導電体を、無線機回路が構成された回路基板の表面および裏面にそれぞれ形成して場合には、アンテナ体を薄型化できるとともに、回路基板の厚さを基準に正確なスロット幅に設定することもできる。この場合には、導電体を回路基板の基板面に形成された導電パターンで構成して、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の実施例1に係るアンテナ装置におけるアンテナ体自身の構造を模式的に示す説明図、(b)は、それとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板との配置構造を示す説明図である。
【図2】図1に示すアンテナ装置の構成されるスーパーヘテロダイン受信回路のブロック図である。
【図3】図1に示すアンテナ装置の構成される広帯域受信回路のブロック図である。
【図4】(a)は、図1に示す携帯用無線機の構成図、(b)は、その指向性特性を説明するための図である。
【図5】実施例1の改良例1に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図6】実施例1の改良例2に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図7】実施例1の改良例3に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体の構造を示す説明図である。
【図8】実施例2に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図9】実施例2の改良例1に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図10】実施例2の改良例2に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図11】実施例2の改良例3に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図12】実施例2の改良例4に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図13】実施例3に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図14】実施例3の改良例1に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図15】実施例4に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図16】実施例4の変形例に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図17】実施例5に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)の要部の構成を示す説明図である。
【図18】図17に示す携帯用無線機(スロットアンテナ装置)の指向性特性を示す図である。
【図19】実施例5の改良例1に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)の要部の構成を示す説明図である。
【図20】(a)は、図17に示す携帯用無線機(スロットアンテナ装置)の動作を説明するための説明図、(b)は、図19に示す携帯用無線機(スロットアンテナ装置)の動作を説明するための説明図である。
【図21】実施例5の改良例2に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路ブロックの配置構造を示す説明図である。
【図22】実施例5の改良例3に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体の構造を示す説明図である。
【図23】実施例5の改良例4に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路ブロックの配置構造を示す説明図である。
【図24】(a)は、実施例5の改良例5に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体の構造を示す説明図、(b)は、その指向性特性を示す図である。
【図25】図24に示すアンテナ体を搭載した腕時計型携帯用無線機を裏面側からみた分解図である。
【図26】実施例5の改良例6に係る腕時計型携帯用無線機を裏面側からみた分解図である。
【図27】(a)は、図26に示す腕時計型携帯用無線機に構成した不平衡回路を示す説明図、(b)は、平衡回路を示す説明図である。
【図28】本発明の実施例6に係るアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図29】本発明の実施例6の改良例1に係るアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図30】図29に示すアンテナ体のアンテナ回路および無線機回路の構成図である。
【図31】本発明の実施例6の改良例2に係るアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図32】図31に示すアンテナ体の分解図である。
【図33】本発明の実施例7のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図34】図33に示すアンテナ体のアンテナ回路および無線機回路の構成図である。
【図35】本発明の実施例8のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図36】本発明の実施例8の変形例1に係るアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図37】本発明の実施例8の変形例2に係るアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図38】本発明の実施例8の変形例3に係るアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図39】本発明の実施例9のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図40】本発明の実施例9の改良例1に係るアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図41】本発明の実施例9の改良例2に係るアンテナ体の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
11a〜11d21a〜21i、31a〜31f、41a〜41c、51a、61a、61b、71a、71c・・・アンテナ体
12、22、47、54、64・・・回路基板
36・・・無線機回路ブロック
112、212、342、442、550、76・・・スロット
111、211、32、33、42、43、62、63、72、73・・・導電板
113、113a、113b、113c、113d・・・屈曲部
121、131、38、48、57、65、78・・・同調用容量素子
【産業上の利用分野】
本発明は、ポケットベルなどに用いられる携帯用無線機のアンテナ装置に関し、特に、ケース内蔵型のスロットアンテナ装置およびこのアンテナ装置を用いた無線機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯用無線機のうち、携帯用電話などには、モノポールアンテナ、逆F型アンテナなどが用いられ、ポケットベル(商標)などには、フェライトアンテナ、微小ループアンテナや板状ループアンテナなどが用いられている。
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アンテナの送信効率または受信効率は、使用する電波の波長と、アンテナ長との比によって規定されるため、ポケットベルに搭載できるほどの小さなアンテナの場合には、高い周波数で使用せざるを得ないという制約があり、FM帯域などで使用可能なポケットベルを実現できないという問題点がある。たとえば、ループアンテナの場合には、FM帯域などで使用可能にするには、開口面積を大きくする必要があるため、ポケットベルに搭載できなくなってしまう。
【0003】
このような問題点に鑑みて、本発明の課題は、アンテナ体自身、それと共に無線機内に搭載される回路基板との配置関係を改良することにより、高い送受信性能を維持しながら、小型化、薄型化が可能なケース内蔵型のスロットアンテナ装置およびこのアンテナ装置を用いた無線機を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段および作用】
上記課題を解決するために、ポケットベルなどのケース内蔵型の携帯用アンテナにおいて、以下の手段を講じてある。まず、ケース内に、スロットが開口する電板を備えるスロットアンテナ体と、前記スロットアンテナ体を介して送信または受信を行うための無線機回路が形成された回路基板とを有し、前記スロットアンテナ体は前記回路基板の表面に対向する位置に配置され、前記スロットアンテナ体には長さ方向の所定位置で屈曲させる屈曲部が形成されていることを特徴とする。このようにスロットアンテナ体に屈曲部を形成することにより、回路基板が占めるスペース内で、その長さ寸法を長くできる。また、本発明のアンテナ体は、スロットアンテナとして構成されるので、磁界成分に対して感度を有する。従って、人体に装着したときに、感度が向上することも期待できるので、ポケットベルなどの携帯用のアンテナ装置に適している。
【0005】
ここで、前記屈曲部は2つまたは4つ形成され、前記導電板と前記回路基板の間には部品が実装され、前記回路基板の表面に形成された導体パターンは反射板として機能することを特徴とする。
【0006】
また、前記導電板は前記回路基板の表面に形成された導体パターンであることを特徴とする。導電板を回路基板の表面に形成された導体パターンで構成することにより、部品点数を削減して、小型化を図ることができる。
【0007】
ここで、回路基板の裏面側には、導電板に対し、それよりも大きな反射板を対向させることが好ましい。この場合には、反射板も、回路基板の基板面に形成された導体パターンを利用することが好ましい。また、回路基板が複数層の導電層を備える多層基板である場合には、そのうちの2層の導電層から形成された導体パターンによって、導電板および反射板を構成することが好ましい。
【0008】
このようなスロットアンテナ装置では、たとえば、スロットアンテナ体に対し、スロットの両側に、不平衡回路で構成された無線機回路の端子との第1の給電点、および無線機回路のグランド端子との第2の給電点を設けることがある。または、スロットの両側に、平衡回路で構成された無線機回路の2つの端子との給電点を設けることがある。
【0009】
【実施例】
添付図面を参照して、本発明の実施例を説明する。なお、いずれの実施例においても、各アンテナ体は、ケース内に構成されて、ポケットベルなどのケース内蔵型の携帯用アンテナ装置を構成している。
【0010】
実施例1
図1(a)は、実施例1に係るアンテナ装置におけるアンテナ体自身の構造を模式的に示す説明図、図1(b)は、それとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板との配置構造を示す説明図である。
【0011】
これらの図において、本例の携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体11aは、帯状の導電板111の幅方向の中央位置に、その長さ方向に1条の溝としてのスロット112が形成されており、スロットアンテナとして機能するようになっている。導電板111には、スロット112の開口縁から面方向に突出する端子111a〜111dが形成されている。このような構成のアンテナ体11aは、それを介して送信または受信を行うための無線機回路が構成された回路基板12(銅張ガラス−エポキシ積層板)とともに、無線機用ケース内に収納される。
【0012】
本例では、アンテナ体11aと回路基板12とを無線機用ケース内に収納する際には、図1(b)に示すように、アンテナ体11aのスロット112に回路基板12を挿入してある。この状態で、各端子111a〜111dは、回路基板12の基板面に沿う状態にあるため、各端子111a〜111dを回路基板12の導体パターンに対してはんだ付けなどによって固定して、アンテナ体11aと回路基板12とを一体にしておく。
【0013】
回路基板12には、同調用容量素子、給電回路または受信回路などを備える無線機回路が構成されており、たとえば、端子111a〜111dのうち、端子111a、111bを同調用容量素子に電気的接続し、端子111c、111dの間に給電回路または受信回路を電気的に接続する。この際に、給電回路または受信回路が不平衡回路の場合には、端子111c、111dの一方をグランド電位とする。これに対して、給電回路または受信回路が平衡回路の場合には、端子111c、111dを回路の平衡入力端子にそれぞれ電気的に接続する。ここで、アンテナ体11aと無線機回路とのインピーダンス・マッチングを図るには、アンテナ体11aの給電点の位置を同調用容量素子の接続位置からずらす必要があるため、端子111a、111bと端子111c、111dとを比較的離れた位置に形成してあり、それらの離間距離は、アンテナ体11aや無線機回路などの電気的特性で決定される。
【0014】
なお、アンテナ体11aが搭載される携帯用無線機が固定周波数受信機の場合には、無線機回路に、たとえば、図2に示すように、シングルスーパーヘテロダイン回路120が構成されている。この回路では、アンテナ体11aでの受信周波数が、それ自身の電気的特性と、スロット112を跨いでアンテナ体11aに接続された同調用容量素子121の電気的特性とによって選択されるようになっている。同調用容量素子121の後段には、結合回路122が構成され、この結合回路122は、後段の増幅回路123と、アンテナ体11aおよび同調用容量素子121で構成されるアンテナ回路とを整合させている。増幅回路123の後段側では、発振回路126からの信号によって、受信信号を周波数変換する周波数変換回路124が構成され、その後段には、周波数変換した受信信号を復調するための復調回路125が構成されている。
【0015】
一方、アンテナ体11aが搭載される無線機が広帯域受信機の場合には、無線機回路に、たとえば、図3に示すように、広帯域受信用回路130が構成されている。この回路でも、アンテナ体11aの受信周波数は、それ自身の電気的特性と、スロット112を跨いでアンテナ体11aに接続された同調用容量素子131としてのバラクタダイオードの電気的特性とによって選択されるようになっている。バラクタダイオード131の後段には、結合回路132および増幅回路133が構成されている。増幅回路133の後段側には、発振回路136からの信号によって、受信信号を周波数変換する周波数変換回路134、その出力信号を復調するための復調回路135が構成されている。さらに、周波数変換後の信号レベルを検出するレベル検出回路137と、その検出結果に基づいて、信号レベルが最大になるように、同調用容量素子131に印加する電圧を制御する同調電圧発生回路138とが構成されている。ここで、アンテナ体11aの一端をグランド電位にすることによって、平衡を損なうことなく、同調用容量素子131(バラクタダイオード)のアノードをグランド電位とすることができる。
【0016】
このように構成した携帯用無線機では、その図4(a)に示すように、アンテナ体11aをXZ面方向に配置すると、垂直偏波に対しては、図4(b)に示すように、8の字を描く指向性を示す。この形状は、水平に配置したダイポールアンテナが水平偏波に対して示す指向性特性と同じである。すなわち、スロット112の長手方向の磁界成分に対して感応するアンテナとして動作する。
【0017】
また、本例では、アンテナ体11aのスロット112に対して、回路基板12を挿入してあるため、スロット112内に対し、比誘電率が4.4の誘電体(ガラス−エポキシ)を充填した状態にある。従って、受信信号は、スロット112内の誘電体の誘電率の平方根に比例してみかけ上短縮され、アンテナ体11aの実効長さが延長された状態にある。それ故、アンテナ体11aを小型、薄型化しても、長波長の信号を受信できる。逆に、同じ波長の信号であれば、アンテナ体11aを小型、薄型化できるので、たとえば、携帯用無線機を手帳型の携帯機器として構成できるとともに、腕時計ケースの内部に収容することもできる。
【0018】
なお、本例では、導電板111の中央を切り抜いてスロット112を形成したが、たとえば、金属製の線状材料を曲げ加工し、その内側をスロット112として利用してもよい。また、アンテナ体11aと回路基板12とを固定および接続するにあたって、端子111a〜111dを利用し、それらを強固に一体化したが、導電板111のスロット112の内周縁を回路基板12の導体パターンに直接はんだ付けしてもよい。
【0019】
実施例1の改良例1
図5は、実施例1の改良例1に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体、およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板との配置構造を示す説明図である。なお、本例および以降に説明する改良例において、その基本的な構成は、実施例1と同様になっているため、共通する機能を有する部分には同符号を付して、その詳細な説明および図示を省略する。また、以降に説明する各実施例およびその改良例についても、それぞれ共通する機能を有する部分には同符号を付して、その詳細な説明および図示を省略する。
【0020】
本例のアンテナ体11bは、導電板111の長さ方向の中央位置に屈曲部113を有し、この屈曲部113によって、導電板111が面方向に直角に曲がって、Y方向に向かう部分110aとX方向に向かう部分110bとを有するL字形になっている。また、無線機回路が構成された回路基板12(銅張ガラス−エポキシ積層板)は、2方向に向けて開口するスロット112に挿入されている。なお、本例では、導電板111に端子を設けていないため、導電板111のスロット112の内周縁と、回路基板12とを直接はんだ付けしてある。
【0021】
このように構成したアンテナ体11bでは、それ自身がL字形に曲がっているため、2方向に向けて、スロット112が開口する状態にある。従って、本例のアンテナ体11bは、X方向およびY方向の2方向に対し、高い感度を有する。また、回路基板12を基準面としたときの垂直偏波および水平偏波の双方を検出できるため、アンテナ体11bは、磁界成分を検出しながら、それに直交する電界成分を検出することもできるので、感度が高い。
【0022】
また、アンテナ体11bは、導電板111を屈曲させてあるため、回路基板12が占めるスペース内で長くすることができるので、波長が比較的長い周波数帯域の電磁波でも受信できる。
【0023】
なお、本例では、アンテナ体11bの端部が回路基板12から外周にはみ出る構造になっているが、図5に点線で示すように、回路基板12に切込み12aなどを形成し、そこにアンテナ体11bの端部が嵌まるようにして、アンテナ体11bやスロット112の形状、大きさなどを変えることなく、アンテナ体11bを回路基板12の面内に完全に収めてもよい。また、回路基板12のスルーホールを利用して、回路基板12の表面側と裏面側とにおいて、アンテナ体11bを接続してもよい。このような構造は、実施例1および以下に説明する改良例にも適用できる。
【0024】
実施例1の改良例2
図6は、実施例1の改良例2に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体および回路基板との配置構造を示す説明図である。
【0025】
本例のアンテナ体11cは、導電板111の途中位置に2つの屈曲部113a、113bを有し、いずれの屈曲部113a、113bでも、導電板111は、面方向の内側に直角に曲がって、Y方向に向かう部分110a、X方向に向かう部分110b、および再びY方向に向かう部分110cとを有する。
【0026】
また、無線機回路が構成された回路基板12は、アンテナ体11cのスロット112に挿入されている。なお、本例でも、導電板111に端子を設けていないため、導電板111のスロット112の内周縁と、回路基板12とを直接はんだ付けしてある。
【0027】
このように構成したアンテナ体11cでは、それ自身を2か所で屈曲させているため、回路基板12を大きくすることなく、アンテナ体11cをさらに長くすることができるので、波長が比較的長い周波数帯域の電磁波を送信または受信するのに適している。また、アンテナ体11cと回路基板12とは、Y方向に向かう部分110a、110c、およびX方向に向かう部分110bのそれぞれで固定されているため、衝撃などが加わっても、回路基板12がアンテナ体11cから脱落することがない。
【0028】
なお、本例でも、アンテナ体11cを回路基板12の外周縁に沿って配置した方が、アンテナ体11cを長くすることができるので、波長が比較的長い周波数帯域の電磁波を送信または受信するのに有利である。但し、同調周波数は、スロット112の周囲長によって規定されるので、同調周波数に応じて、アンテナ体11cの長さ、回路基板12の長さ寸法および幅寸法を設定することになる。
【0029】
実施例1の改良例3
図7は、実施例1の改良例3に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構造を模式的に示す説明図である。
【0030】
本例のアンテナ体11dは、導電板111の途中位置に4箇所の屈曲部113a、113b、113c、113dを有し、いずれの屈曲部でも、導電板111は、面方向の内側に直角に曲がって略矩形の平面形状を有する。なお、本例でも、スロット112には、無線機回路が構成された回路基板12が挿入されるが、図7では、その図示を省略してある。
【0031】
このように構成したアンテナ体11dでは、それ自身を4か所で屈曲させているため、回路基板12を大きくすることなく、アンテナ体11dをさらに長くすることができる。また、アンテナ体11dを回路基板12に強固に固定できる。
【0032】
なお、アンテナ体11dは、端部111e、111f同士を接続して、リング状にしてもよい。この場合に、スロット112の長さは、送信または受信すべき電磁波の周波数、波長に合わせて決定することになる。
【0033】
実施例2
図8は、実施例2に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体および回路基板との配置構造を示す説明図である。
【0034】
本例の携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体21aは、導電板211の幅方向の中央位置に1条の溝としてのスロット212が形成されており、スロットアンテナとして機能するようになっている。導電板211には、その外周縁から張り出す4つの端子211a〜211dが形成されている。このような構成のアンテナ体21aは、それを介して、送信または受信を行うための無線機回路が構成された回路基板22(銅張ガラス−エポキシ積層板)とともに、無線機用ケース内に収納される。
【0035】
本例では、アンテナ体21aと回路基板22とを無線機用ケース内に収納するにあたって、アンテナナ体21aを回路基板22に沿うように平行に配置してある。この状態で、各端子211a〜211dを回路基板22の導体パターンに対してはんだ付けすることによって、アンテナ体21aを回路基板22に固定するとともに、回路基板22上に構成された同調用容量素子や無線機回路に電気的に接続してある。
【0036】
このように構成したアンテナ体21aでは、厚さ寸法が極めて小さいので、薄型の携帯用無線機に搭載するのに適している。また、回路基板22に形成されている導体パターンは、アンテナ体21aの裏面で反射板として機能するため、アンテナ体21aの上面側からの電磁波に対する感度が高い。
【0037】
なお、端子211a〜211dを設けない場合には、導電板211と回路基板22の導体パターンとを直接はんだ付けすることになる。この場合、同調用容量素子は、導電板211の外周側、スロット212、または導電板211の上面に配置する。
【0038】
実施例2の改良例1
なお、実施例2において、アンテナ体21aを回路基板22に密着させてもよいが、図9に示すアンテナ体21bのように、スロット212の内周縁から下方に端子211e〜211hを突出させ、これらの端子211e〜211hを回路基板22の導体パターンにはんだ付けしてもよい。この場合には、回路基板22とアンテナ体21との間に隙間を形成できるので、回路基板22とアンテナ体21bとの間に回路素子を実装することができる。すなわち、アンテナ体21bと回路基板22との隙間を部品実装用の空間として利用して、回路基板22の小型化を図ってもよい。
【0039】
実施例2の改良例2
図10に示すアンテナ体21cのように、スロット212の内周縁から下方に端子211e〜211hを突出させるとともに、導電板211自身の端部210をL字状に屈曲させ、これらの端子211e〜211h、および端部210を回路基板22の導電パターンにはんだ付けしてもよい。
【0040】
このように構成したアンテナ体21cでは、回路基板22との間に部品を実装できるとともに、それらの接着強度が向上する。また、端部210をはんだ付けした導体パターンをグランド電位にするとともに、アンテナ体21cに対する給電点の位置(端子211e〜211hの形成位置)を調整することによって、アンテナ体21cにおいて、スロットアンテナとしてのモードによる磁界成分の検出と、逆F形アンテナのモードによる電界成分の検出の双方を行うことができる。
【0041】
実施例2の改良例3
図11は、実施例2の改良例3に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体と回路基板との配置構造を示す説明図である。
【0042】
本例のアンテナ体21dも、導電板211が回路基板22に沿うように平行に配置してあり、回路基板22に形成されている導体パターンを反射板として利用するようになっている。また、アンテナ体21dには、導電板211の長さ方向の2か所に2つの屈曲部213a、213bが形成されており、いずれの屈曲部213a、213bでも、導電板211は、回路基板22の外周側で面方向に直角に曲がっている。このため、アンテナ体21dは、X方向に向かう上面部210a、Z方向に向かう側面部210b、および再びX方向に向かう下面部210cのうち、上面部210aと下面部210cとの間で回路基板22を挟んだ状態にある。なお、導電板211と回路基板22との電気的な接続は、それらを直接はんだ付けしてもよいが、所定の形状に屈曲した端子などを用いて電気的な接続を行ってもよい。
【0043】
このように構成したアンテナ体21dでは、回路基板22が占めるスペース内で、その長さ寸法を長くできる。また、アンテナ体21dは、回路基板22の表面および裏面の双方でスロット212が開口し、かつ、回路基板22に形成されている導体パターンは、その表面側および裏面側の双方において、アンテナ体21dに対する反射板として機能する。それ故、アンテナ体21dは、上面側および下面側の双方に対して感度が高い。
【0044】
実施例2の改良例4
なお、図11に示すアンテナ体21dにおいて、回路基板22との間に部品を実装する隙間を確保する場合には、図12に示すアンテナ体21eのように、屈曲部213a、213bに加えて、その両端側に屈曲部213c、213dを形成し、これらの屈曲部213c、213dによって、導電板211の端部210d、210eが回路基板22に向けて曲げておく。この場合には、アンテナ体21eと回路基板22との間に部品を実装できることに加えて、アンテナ体21e端部210d、210eを回路基板22の導体パターンにはんだ付けすることによって、アンテナ体21eを回路基板22に強固に固定するとともに、それらの間の電気的接続を行うことができる。
【0045】
実施例3
図13は、実施例3の携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体を示す説明図である。
【0046】
本例のアンテナ体21fでは、スロット212が形成された導電板211に対し、長さ方向の2か所に2つの屈曲部213a、213bが形成されており、これらの屈曲部213a、213bでは、導電板211は、面方向に直角に曲がっている。このため、アンテナ体21fは、X方向に向かう上面部210a、Z方向に向かう側面部210b、および再びX方向に向かう下面部210cを有する。本例では、導電板211の上面部210aのみにスロット212が形成されており、その他の部分には、スロットが形成されていない。
【0047】
このため、スロット212が形成されている上面部210aには、その裏面側に反射板(下面部210c)が配置された状態にあるため、上面側からの電磁波に対する感度が高い。なお、アンテナ体21fでは、無線機回路が構成された回路基板をスロット212に挿入することによって、スロット212内に誘電体を充填した効果を得ることができる。また、アンテナ体21fに対し、上面部210aと下面部210cとの間に回路基板22を配置してもよく、この場合には、下面部210cに対してグランド電位を印加することが好ましい。
【0048】
なお、アンテナ体21fは、上面部210a、側面部210bおよび下面部210cがそれぞれ別体のものをねじ止めなどの方法で連結した構造であってもよい。
【0049】
実施例3の改良例1
図14は、実施例3の改良例1に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構造を示す説明図である。
【0050】
本例のアンテナ体21gでも、スロット212が形成された導電板211の裏面側に反射板214が配置された構造になっているが、本例では、導電板211と反射板214との間に誘電体215が充填された状態にある。また、誘電体215は、導電板211のスロット212内にも充填されており、アンテナ体21gで受信した電磁波の波長を見かけ上短縮し、短いスロット212でありながら、比較的長い波長にも対応できるようになっている。また、反射板214の効果によって、上面側からの感度を高めてある。
【0051】
このようなアンテナ体21gは、所定の形状に成形した誘電体215の上面および下面に導電板211および反射板214をそれぞれ貼り付けることによって形成できる。なお、アンテナ体21gでは、導電板211と反射板214とが誘電体215の側面で電気的に接続する構造でもよい。
【0052】
実施例3の改良例2
また、図14に示すアンテナ体21gを導電板211、反射板214、および誘電体215を1枚の回路基板22から形成してもよい。すなわち、回路基板22として両面プリント基板(両面銅張ガラス−エポキシ積層板)を用い、その表面側の金属層(銅層)をパターニングして、スロット212が形成された導電板211を導体パターンとして形成する一方、回路基板22の裏面側では、この導電板211に対向する領域に反射板214を導体パターンとして残す。このように構成したアンテナ体21gでは、導電板211と反射板214との間、およびスロット212の内部に誘電体215(ガラス−エポキシ)が充填されたアンテナ体21gを簡単に製造できる。
【0053】
また、回路基板22として、両面に金属層がプリントされたフレキシブルテープを用い、その金属層を所定の形状にパターニングして、導電板211および反射板214を導体パターンとして形成してもよい。この場合には、アンテナ体21gは、自由に曲げることができるので、腕時計の内部などの狭い空間にアンテナ体21gを配置できる。
【0054】
実施例4
図15は、実施例4に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体および回路基板の構造を示す説明図である。
【0055】
本例のアンテナ体21hも、回路基板22として両面プリント基板を用い、その両面の金属層をパターニングして、スロット212が形成された導電板211と、反射板214を導体パターンとして形成してある。導電板211は、回路基板22の金属層に対するパターンで形成するため、任意の形状に形成できる。従って、本例のように、導電板211およびスロット212が屈曲部213gでL字形に曲がったものとして、一定面積の回路基板22上において、寸法を長く形成するのも容易である。なお、導電板211の形状については、L字形の他にも、途中位置で屈曲させて矩形としたもの、外周形状が円形のものなど、携帯用無線機のケースの形状などに合わせた形状に設計できる。
【0056】
本例では、回路基板22からアンテナ体21hを形成できるので、その小型化および薄型化が可能であり、特に、回路基板22および導電板211の外周形状を円形にした場合には、腕時計の円形ケース内に収納するのに適している。また、導電板211自身が導体パターンであるため、導電板211の上面に対し、スロット212を跨ぐように同調用容量素子221を実装することもできる。
【0057】
さらに、導電板211と反射板214とを電気的接続するにあたって、回路基板22に形成したスルーホールを利用することもできる。
【0058】
なお、反射板214は、導電板211に対して同等以上の面積をもって対向させ、それには、グランド電位を印加することとなる。
【0059】
なお、図16に示すアンテナ体21iのように、導電板211および反射板214のうち、いずれか一方のみを回路基板22の導体パターンで構成してもよい。すなわち、アンテナ体21iでは、回路基板22と別体の導電板211を回路基板22に対向するように固定してある一方、反射板214は、回路基板22の裏面側の金属層に施したパターンで形成してある。ここで、導電板211には、その外周側に端子211a〜211dが形成されており、これらの端子211a〜211dは、回路基板22の導体パターンにはんだ付けされている。
【0060】
また、実施例4において、4層または6層の金属層を有する多層基板を用いた場合には、これらの金属層のいずれの層を用いて、導電板または反射板を構成してもよい。
【0061】
実施例5
図17は、本発明の実施例5に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0062】
本例のアンテナ体31aでは、矩形の第1の導電板32および第2の導電板33を所定の隙間34を介して平行に配置されている。ここで、第1および第2の導電板32、33としては、金属板を用いることができる他にも、たとえば、プラスチック製の携帯用無線機のケースの内面に蒸着された導電性の薄膜を用いることもでき、導電率が高いものであれば、その材質に限定がない。
【0063】
第1および第2の導電体32、33は、その一方側の端縁において、短絡板35によって電気的に接続されており、これに隣接する端縁では、無線機回路が構成された無線機回路ブロック36が給電点37a、37bで電気的に接続している。
【0064】
このように構成したアンテナ体31aは、第1および第2の導電板32、33の外周側において、短絡板35の形成位置から第1および第2の導電板32、33との外周を回って短絡板35に戻るまでの隙間34によって、スロット342が形成されている状態にあり、スロットアンテナとして機能する。
【0065】
しかも、スロット342は、第1および第2の導電板32、33の対向距離に相当する幅をもって、全周囲に向けて開口する状態にある。このため、直線的に延びるスロットが形成されたスロットアンテナに比較して、本例のアンテナ体31aは、ループアンテナのようなモードも複合的に作用する。このため、電磁界成分が有効に受信または送信されるので、アンテナ利得が高いという効果を奏する。
【0066】
すなわち、図18には、スロット342が矩形に曲がる本例のアンテナ体31aの指向性特性を実線A1で示してあり、同様に、同寸法のスロットが直線に延びる比較例としてのスロットアンテナの指向性特性(点線A2で示す。)と比較してある。ここで、各値は、アンテナ、利得の最大値に対する相対比で示してあり、水平面における指向性である。これらの指向性特性を比較すると、本例のアンテナ体31aは、比較例に比して、アンテナ利得が数dBほど向上している。また、本例のアンテナ体31aは、比較例に比して、パターンが丸く、ヌルポイントが減少傾向にあり、無指向性に近い。それ故、本例のアンテナ体31aは、薄型化が可能であることに加えて、感度も高いので、携帯用無線機に適している。
【0067】
なお、隙間34に対しては、アンテナ体31aを補強する目的に、プラスチック材料などを挿入してもよい。特に、隙間34に対し、低損失の誘電体を挿入すると、スロット342に誘電体を充填した状態になって、受信した電磁波の波長をみかけ上短縮する効果を得ることができる。それ故、アンテナ体31aは、小型であっても、波長が比較的長い電磁波を受信することもできる。また、アンテナ体31aを大きくすることなく、アンテナ利得を高めることができる。
【0068】
なお、給電点37a、37bの位置については、アンテナ体31aと、無線機回路ブロック36とのインピーダンス・マッチングの面から最適な位置に設定することにより高い感度を得ることができる。また、短絡部35については、各導電板と一体のもの、またはねじ止めなどで導電板に固定されたものなど、いずれの構造のものでもよい。
【0069】
実施例5の改良例1
図19は、本発明に実施例5の改良例1に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0070】
本例のアンテナ体31bでは、実施例5と同様に、矩形の第1の導電板32および第2の導電板33が所定の隙間34を介して平行に配置され、それらの一方側の端縁には、第1および第2の導電板32、33を電気的接続する短絡板35が形成されている。
【0071】
本例では、第1および第2の導電板32、33に対し、短絡板35とは反対側の端縁で同調用容量素子38がスロット342を跨いで電気的に接続している。この接続位置は、同調用容量素子38がスロット342の長さ方向の中心位置でアンテナ体31bで電気的に接続する位置に相当する。
【0072】
ここで、同調用容量素子38は、第1および第2の導電板32、33の外周寸法、すなわち、スロット342の長さが使用周波数の半波長に相当する寸法よりも短くても、アンテナ体31bが同調するようにしている。しかも、同調用容量素子38をスロット342の長さ方向の中心位置に配置して、アンテナ利得を最大限に高めてある。その理由を、実施例5に係るアンテナ体と、本例のアンテナ体31bとを比較して、以下に説明する。図20(a)に示すように、同調用容量素子を用いないアンテナ体31aでは、電流の振幅Iが正弦波を描くため、半波長とスロット342の長さが一致したときにアンテナ体が共振する。これに対し、図20(b)に示すように、スロット342の長さ方向の中央位置に同調用容量素子38を設けたアンテナ体31bでは、電流の振幅Iが同調用容量素子38によって急変するため、見掛け上、波長が短くなった状態となる。また、図20(b)に示すように、スロット342の中央位置に同調用容量素子38を配置した方が、その両側で電流バランスをとることができるため、アンテナ体31bに電流を最大に流すことができるので、アンテナ利得が向上する。
【0073】
実施例5の改良例2
図21は、本発明に実施例5の改良例2に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0074】
本例のアンテナ体31cでは、実施例5の改良例1に対し、無線機回路ブロック36からの給電点371a、372bを同調用容量素子38の第1および第2の導電板32、33への接続点38a、38bと同じ端縁の側に配置したことに特徴点がある。すなわち、本例では、給電点371a、372bと接続点38a、38bが並んでいるため、同調用容量素子38も、無線機回路とともに、無線機回路ブロック36内に実装することができる。それ故、組み立て時の部品点数を削減できるとともに、構造を簡素化できるので、コストを低減できる。
【0075】
実施例5の改良例3
図22は、本発明に実施例5の改良例3に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0076】
本例のアンテナ体31dでは、実施例5の改良例1に対し、第1の導電板32の外周部を第2の導電板33に向けて折り曲げて側面部321を形成する一方、第2の導電板33の外周部を第1の導電板32に向けて折り曲げて側面部331を形成してある。ここで、側面部321の下端縁と、側面部331の上端縁との間には、隙間34を確保してあり、それがスロット342である。
【0077】
このように構成したアンテナ体31dでは、隙間34の幅(スロット342の幅)によって、アンテナ利得が変わる。使用周波数が高く(波長が短く)なる場合には、スロット342の幅を狭める必要があり、例えば使用周波数が100MHzであれば、スロット342の幅は、5〜9mm程度が適正である。これに対し、使用周波数が300MHzであれば、スロット342の幅は、3〜7mm程度が適正である。このようなスロット342の幅の調整を本例のアンテナ体31dでは、その基本的な設計条件を変えることなく行なうことができる。
【0078】
すなわち、本例では、第1および第2の導電板32、33の対向距離を変更せずに、それらに側面部321、331を設け、その幅寸法を変えることにより、スロット342の幅を同調周波数に対して適正な値に調整できる。従って、第1および第2の導電板32、33などを収容する無線機本体のケースや第1および第2の導電板32、33を固定する部材などを設計変更せずに、同調周波数を変更できる。
【0079】
実施例5の改良例4
図23は、本発明に実施例5の改良例4に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0080】
本例の携帯用無線機では、実施例5の改良例3に係るアンテナ体31dに対し、第1の導電板32と第2の導電板33との間に無線機回路ブロック36を配置して、無線機回路ブロック36をアンテナ体31dの外側には、配置していない。このため、無線機回路ブロック36が占有していたスペースを省くことができるので、携帯用無線機の小型化を実現できる。
【0081】
実施例5の改良例5
図24(a)は、本発明の実施例5の改良例5に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0082】
本例の携帯用無線機のアンテナ体31eでは、実施例5の改良例4に係るアンテナ体に対し、第1の導電板32の中央部分に矩形の開口部320を形成し、第2の導電板33の中央部分に矩形の開口部330を形成してある。また、第1の導電板32と第2の導電板33との間の中央部分に無線機回路ブロック36を配置して、携帯用無線機を小型化してある。ここで、開口部320、330の形成位置は、無線機回路ブロック36の配置位置に対応しており、開口部320、330の大きさは、無線機回路ブロック36が占める面積よりも大きく設定してあるため、無線機回路ブロック36の上方側および下方側は、開放状態にある。
【0083】
このように構成したアンテナ体31eでは、第1および第2の導電板32、33の間に無線機回路ブロック36があることに起因して、第1および第2の導電板32、33は、無線機回路ブロック36が発生するノイズを拾いやすいが、本例では、無線機回路ブロック36に対応する位置に開口部320、330を形成してあるため、第1および第2の導電板32、33の間に発生する電界が導体板32、33の外側部分に集中し、無線機回路ブロック36の近傍には、電界が発生しない。それ故、無線機回路ブロック36が発生するノイズが、第1および第2の導電板32、33の間に発生する電界を乱さないので、ノイズの影響が少なく、アンテナ利得が向上する。
【0084】
たとえば、アンテナ体31eの指向性特性を、アンテナ装置単体で測定すると、図24(b)の点線B2に示すように、アンテナ利得を示す。また、本例のアンテナ体31eを胸ポケットに入れた場合の指向性特性を実線B1で示す。ここで各値はアンテナ利得の最大値に対する相対比出示してあり、水平面における指向性である。これらの値を比較すると人体のイメージ効果によって、人体の正面(0゜方向)で数dBほどアンテナ利得が高くなるため、ポケットベルなどの携帯用無線機に適している。
【0085】
また、図24(a)に示すように、無線機回路ブロック36の上面に液晶表示パネル361を搭載して、そこで情報を表示するようにしても、第1の導電板32の開口部320から表示を見ることができる。一方、第2の導電板33の開口部330によって、無線機回路ブロック36の下面が開放状態にあるため、無線機回路ブロック36の内部に装着されている電池を交換するのも容易である。それ故、アンテナ体31eを用いて、図25に示すような腕時計型携帯用無線機を構成できる。
【0086】
図25は、腕時計型携帯用無線機を裏面側からみた分解図であり、この腕時計型携帯用無線機では、ケース39の表面側に表示部としての開口部390が形成されている。ケース39の両側には、腕装着用バンド391、392が連結されている。ここで、ケース39に対しては、第1の導電板32、無線機回路ブロック36、および第2の導電板33が順次収納された後、ケース39の裏面側が裏蓋393で閉じられて、腕時計型携帯用無線機が構成される。
【0087】
このように構成した腕時計型携帯用無線機では、第1の導電板32によって遮られることなく、ケース39の開口部390から無線機回路ブロック36の上面に形成された液晶表示パネルやLED等の表示手段に表示された情報を確認できる。また、アンテナ体31eは、ケース体39および裏蓋393によって完全に覆われるため、アンテナ体31eを構成する材料には、耐腐食性や耐磨耗性などを考慮する必要がなく、たとえば、銅などのように、耐腐食性は低いが導電性が高い金属材料でアンテナ体31eを構成して、そのアンテナ利得を高めることができる。
【0088】
実施例5の改良例6
図26は、本発明に実施例5の改良例6に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)の構成を示す説明図である。
【0089】
本例の携帯用無線機では、アンテナ体31fにおいて、スロットを介して対向し合う第1の導電板32および第2の導電板33のうち、中央部に開口部320が形成された第1の導電板32は、腕時計型携帯用無線機のケースを兼ねており、第2の導電板33は、腕時計型携帯用無線機のケース(第1の導電板32)の裏面側を閉じる裏蓋を兼ねている。このため、第2の導電板33の中央部分には、実施例5の改良例4と相違し、開口部が形成されていないが、ケース(第1の導電板32)の裏面側で簡単に取り外すことができるようになっている。
【0090】
ここで、第1の導電板32の側面部325には、その端面326に凸部としての短絡部35を残して切り欠き329を形成し、そこにプラスチック製などの絶縁材料で構成したスペーサ327を固定してある。このため、第1の導電板32の内側に無線機回路ブロック36を収納した後に、第1の導電板32の裏側を第2の導電板33で覆っても、それらの間には、スペーサ327が介在するので、スロット342が確保される。また、第1の導電板32と、第2の導電板33とは、短絡部35によって電気的に接続する。それ故、本例でも、第1の導電板32、スペーサ327および第2の導電板33を備えるアンテナ体31fは、スロットアンテナとして機能する。
【0091】
このように構成した腕時計型携帯用無線機では、第1の導電板32(ケース)の開口部から無線機回路ブロック36の上面に形成された液晶表示パネルなどの表示手段に表示された情報を確認できる。
【0092】
なお、本例では、アンテナ体31fと、無線機回路ブロック36とは、図27(a)に示す回路を構成している。すなわち、アンテナ体31fに対し、不平衡給電を行なう目的に、第1の導電板32の給電点371aは、アンテナ端子373を介して、無線機回路ブロック36の給電回路361に電気的に接続され、第2の導電板33の給電点372bは、無線機回路ブロック36のグランド端子362に電気的に接続されている。このような接続構造では、第1および第2の導電板32、33の外周部で給電点371a、372bの設定位置を変えて、給電点371a、372bと同調用容量素子38との離間距離を最適な条件に設定することによって、アンテナ体31fと、無線機回路ブロック36とのインピーダンス・マッチングを図ることができる。
【0093】
これに対して、アンテナ体31fに対し、平衡給電を行なう目的に、図27(b)に示す回路を構成する。この回路では、第1の導電板32の給電点371aは、アンテナ端子373を介して、無線機回路ブロック36の給電回路361に電気的に接続され、第2の導電板33の給電点372bも、アンテナ端子374を介して、無線機回路ブロック36の給電回路361に電気的に接続されている。このような接続構造でも、第1および第2の導電板32、33の外周部で給電点371a、372bの設定位置を変えて、給電点371a、372bと同調用容量素子38との離間距離を最適な条件に設定することによって、アンテナ体31fと、無線機回路ブロック36とのインピーダンス・マッチングを図ることができる。
【0094】
実施例6
図28は、本発明の実施例6に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0095】
本例のアンテナ体41aは、第1の導電板42および第2の導電板43を所定の隙間44を介して平行に配置されており、第1および第2の導電体42、43は、その一方側の端縁において、短絡部45によって電気的に接続されている。このため、アンテナ体41aは、第1および第2の導電板42、43との外周側において、短絡部45から第1および第2の導電板42、43の外周を回って短絡部45に至るまでの隙間44によって、スロット442が形成されている状態にある。このため、アンテナ体41aは、スロットアンテナとして機能する。
【0096】
本例では、第1および第2の導電板42、43を構成するにあたって、回路基板47(両面銅張ガラス−エポキシ積層板)の両面に形成されている金属層(銅層)をパターニングした外周側の導体パターンを用いている。従って、隙間44は、回路基板47のガラス−エポキシ自身であり、短絡部45は、回路基板47のスルーホール471の内面に形成されているめっき層である。
【0097】
さらに、本例では、第1および第2の導電板42、43の双方に同調用容量素子48を接続するにあたって、まず、回路基板47の表面側では、第1の導電板42の内側に導体パターン472を形成する一方、回路基板47の裏面側では、第2の導電板43から内側に向けて導体パターン473を延設してある。ここで、導体パターン472と導体パターン473とは、回路基板47のスルーホール474の内面に形成されためっき層を介して電気的に接続している。そして、回路基板47の表面側において、第1の導電板42および導体パターン472に対して同調用容量素子48を実装してある。この同調用容量素子48は、チップコンデンサやバラクタダイオードなどであって、隙間44(スロット442)を跨がって、第1および第2の導電板42、43に電気的に接続する状態にある。また、同調用容量素子48の接続位置は、短絡部45と対向する位置にあり、スロット442の長さ方向の中央に相当する。
【0098】
このような構成したアンテナ体41aでは、回路基板47の両面の金属層をパターニングするだけで、任意の形状の第1および第2の導電板42、43を得ることができるとともに、その隙間44(スロット442)の幅も一定である。また、回路基板47の厚さ寸法でスロット幅を正確に設計することもできる。しかも、薄型のアンテナ体41aを形成できるので、ポケットベルなどの携帯用無線機に搭載するのに適している。また、同調用容量素子48も、無線機回路を構成する電子部品と同じように実装できる。さらに、第1および第2の導電板42、43は、回路基板47の外周縁に沿ってパタニングされた導体パターンであるため、長さ寸法が長いとともに、その内側を利用して、無線機回路を配置することもできる。
【0099】
実施例6の改良例1
図29は、本発明の実施例6の改良例1に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0100】
本例のアンテナ体41bも、第1および第2の導電板42、43を構成するにあたって、回路基板47(両面プリント基板)の両面に形成されている金属層をパターニングした導体パターンを用いている。従って、スロット442としての隙間44は、回路基板47のガラス−エポキシ基板の基体自身である。また、第1および第2の導電板42、43の短絡部45は、回路基板47に形成されたスルーホール471の内面に形成されているめっき層自身である。
【0101】
本例では、第1および第2の導電板42、43は、図面に向かって、回路基板47の左半部47aに形成され、それに面方向で隣接する右半部47bは、無線機回路の形成領域になっている。右半部47bと左半部47aとの境界部分には、導体パターン475が形成されており、この導体パターン475と第1の導電板42とに対し、結合コンデンサ491が実装されている。この結合コンデンサ491は、図30に示すように、アンテナ体41bと、無線機回路の初段側で増幅回路として動作するトランジスタ490とを電気的に接続している。ここで、結合コンデンサ491とアンテナ体41bとの接続位置(給電点)は、スロット442に対し、短絡部45の形成位置と同調用容量素子48の接続位置との略中間に配置し、アンテナ体41bと無線機回路とのインピーダンス・マッチングを行なっている。
【0102】
このように構成したアンテナ体41bは、回路基板47上において、無線機回路(トランジスタ490)から離れた領域に形成されているため、無線機回路から発生するノイズの影響を受けることがない。
【0103】
実施例6の改良例2
図31は、本発明の実施例6の改良例2に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図、図32は、その導電板を分解して示す説明図である。
【0104】
本例のアンテナ体41cでは、実施例6の改良例1と同様に、回路基板47(プリント基板)の両面に形成されている金属層をパターニングして第1の導体パターン42aおよび第2の導体パターン43aを形成し、それらの間に、回路基板47のガラス−エポキシ基板の基体として存在する隙間44をスロット442として利用している。
【0105】
さらに、第1および第2の導体パターン42a、43aの上面には、矩形の第1の導電板42bおよび第2の導電板43bをはんだ付けしている。このため、アンテナ体41cは、第1の導体パターン42aと第1の導電板42bとが一体になって、1つの導体を構成し、第2の導体パターン43aと第2の導電板43bとが一体になって、1つの導体を構成している。このため、本例では、実施例6の改良例1に係るアンテナ体に比較して、第1および第2の導電板42b、43bの導電性が寄与するため、アンテナ体41cの抵抗損失が低減され、感度が向上するという効果を奏する。なお、本例では、第1および第2の導体板42b、43bは、一部が切り欠かれた形状になっているが、完全なループ形状でもよい。
【0106】
実施例7
図33は、本発明の実施例7に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図であり、本例では、回路基板と、それとは別体の導体を用いてスロットアンテナが構成されている。
【0107】
図において、本例のアンテナ体51aでは、導体としての第1および第2の金属ワイヤー52、53を回路基板54(両面基板)の両面に形成した導体パターン541、542、543にはんだ付けしてある。このため、第1および第2の金属ワイヤー52、53の間には、隙間55が形成されている。また、導体パターン543では、回路基板54のスルーホール540の内面に形成されためっき層によって、第1および第2の金属ワイヤー52、53を電気的に接続する短絡部56が形成されている。このため、図34に示すように、短絡部56から第1および第2の金属ワイヤー52、53の間を通って短絡部56に戻る経路にはスロット550が形成された状態にあるため、アンテナ体51aは、スロットアンテナとして機能する。
【0108】
なお、導体パターン541と、それに隣接する導体パターン545との間には、同調用容量素子57が実装されている。また、導体パターン542と、それに隣接する導体パターン544との間には、結合コンデンサ58が実装され、この結合コンデンサ58は、導体パターン544を介して、図34に示すように、無線機回路の増幅回路59(トランジスタ)に電気的に接続されている。
【0109】
このように、本例では、回路基板54の導体パターン541、542やスルーホール540を利用して、アンテナ体51aを構成しているため、その固定や電気的接続が容易である。
【0110】
実施例8
なお、第1および第2の金属ワイヤー52、53に代えて、図35に示す矩形の枠形の第1および第2の導電板62、63を用いて、アンテナ体61aを構成することもできる。この場合でも、第1および第2の導電板62、63を回路基板64の導体パターン641、642、643にはんだ付けしてある。また、これらの導体パターン641、642に隣接する位置に形成された導体パターン644、645を利用して、第1および第2の導電板62、63に対し、同調用キャパシタンス素子65や結合コンデンサ66を電気的に接続してある。さらに、回路基板64に形成されているスルーホール640を利用して、第1および第2の導電板62、63を電気的に接続する短絡部68を構成してある。
【0111】
ここで、第1および第2の導電板62、63には、側面部621、631をそれぞれ形成してあり、これらの側面部621、631を導体パターン641、642にはんだ付けしてある。従って、回路基板64と第1および第2の導電板62、63との間に隙間を確保してあるため、その内側に同調用容量素子65や導体パターン644を配置することができる。
【0112】
実施例8の改良例1
図36は、本発明の実施例8の改良例1に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0113】
本例では、実施例8と同様に、側面部621、631を有する第1および第2の導電板62、63を用いて、アンテナ体61bを構成してあり、さらに、側面部621、631からは、同じ長さ寸法の端子62a〜62c、63a〜63cが突出している。ここで、端子62a〜62c、63a〜63cは、それぞれ回路基板64に形成された導体パターン641、642、643にはんだ付けされる。
【0114】
従って、本例のアンテナ体61bでは、回路基板64の厚さに加えて、端子62a〜62c、63a〜63cの長さ寸法を加えた幅の隙間(スロット)が形成されることになる。それ故、スロットの幅を変更する場合には、端子62a〜62c、63a〜63cの長さ寸法を変更すればよい。
【0115】
なお、本例では、図面に向かって、回路基板64の右半部を無線機回路を構成する領域として空けてあるが、この領域を設けずに、端子62a〜62c、63a〜63cによって、第1、第2の導電板62、63と回路基板64との間の隙間が拡張されているので、この隙間を利用して、第1および第2の導電板62、63の内側に無線機回路を構成してもよい。
【0116】
また、図37に示すように、第1および第2の導電板62、63が側面部621、631に相当する部分のみで構成されて矩形の枠状になっている場合でも、端子62a〜62c、63a〜63cを利用して、回路基板64に固定するとともに、そのスロットの幅を調整してもよい。この場合にも、第1および第2の導電板62、63の内側に無線機回路ブロックを配置できるとともに、無線機回路ブロックの上面に液晶表示パネルなどを形成して、情報を表示してもよい。
【0117】
さらに、図38に示すように、略中央部に開口部620を形成した第1の導電板62のみに、側面部621および端子62a〜62cを形成し、第2の導電板63の方は、平板として形成してもよい。この場合でも、第1の導電板62の側において、端子62a〜62cの長さ寸法でスロットの幅を調整できる。
【0118】
実施例9
図39は、本発明の実施例9に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【0119】
本例のアンテナ体71aには、第1および第2の金属層72、73が両面に形成されたセラミック基板74を用いてあり、その側面741にスロット740が形成されている。セラミック基板74の側面741の長さ方向の中央位置には、第1および第2の金属層72、73を導電接続する短絡部75が形成されている。
【0120】
このような構成のアンテナ体71aでは、通常のセラミック基板74を所定のサイズに切断するとともに、その側面741に、たとえば、導電性塗料層、めっき層、または蒸着層などで短絡部75を形成すればよいので、小型化および薄型化が容易である。また、スロット740は、セラミック基板74の基体自身で充填された状態であるため、受信した波長のみかけ上の短縮効果が得られるので、小型でも、波長が比較的長い電磁波も受信できる。
【0121】
実施例9の改良例1
また、実施例9に係るアンテナ体71aに対し、図40に示すように、セラミック基板74の側面部741には、第1および第2の金属層72、73から接続するように、導電性塗料層、めっき層、または蒸着層などを用いて側面部721、731を形成し、これらの側面部721、731の隙間をスロット76として利用することができる。この場合には、スロット76の幅を調整するときには、側面部721、731の幅を調整すればよく、セラミック基板74の厚さを変える必要がない。
【0122】
実施例9の改良例2
さらに、実施例9に係るアンテナ体71aにおいて、図41に示すように、セラミック基板74の両面において、その中央部分に金属層を残さずに、セラミック基板74の端縁のみに第1の金属層72を形成してもよい。この場合には、セラミック基板74の表面に第1の金属層72に接続する導体パターン742、それに隣接する導電パターン744、およびセラミック基板74の裏面で第2の金属層73に接続する導体パターン743を形成し、この導電パターン743をスルーホール740内のめっき層を介して導電パターン744に電気的に接続しておく。そして、導体パターン741、744に対して、同調用容量素子78を実装することによって、同調用容量素子78をスロット76を跨ぐようにして、第1および第2の金属層72、73に電気的に接続させてもよい。
【0123】
このように構成したアンテナ体71cは、小型のチップ状のアンテナ体であるので、そのまま回路基板などに搭載することもでき、小型、薄型の携帯用無線機に適している。
【0124】
その他の実施例
なお、上記の実施例1ないし9、およびそれらの改良例で示した各構造については、上記の例に加えて、それぞれを組み合わせてもよい。たとえば、図2および図3に示した回路構成は、実施例1に係るアンテナ体だけでなく、その他のいずれの実施例またはその改良例とも組み合わせることができる。
【0125】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明では、スロットが開口する導電板を備えるスロットアンテナ体を有するケース内蔵型のスロットアンテナ装置において、回路基板をスロット内に挿入した構成にしてある。従って、本発明によれば、アンテナ体は、スロットアンテナであるので、磁界成分に対して感度を有し、人体に装着したときに、感度が向上することも期待できるので、ポケットベルなどの携帯用のアンテナ装置に適している。また、スロット内に回路基板を挿入してあるため、誘電体が充填された場合と同様に、受信した信号の波長を見掛け上、短縮することができるので、小型のアンテナ体でも、波長が比較的長い電磁波でも受信できる。
【0126】
ここで、導電板を面方向に屈曲させた場合には、小型化、薄型化したままで、スロットの開口方向を2方向ないし4方向とすることができ、指向性特性が向上する。
【0127】
また、スロットが開口する導電板を備えるスロットアンテナ体を有するスロットアンテナ装置において、導電板を回路基板の表面に対向する状態に配置した場合には、薄型化できる。
【0128】
さらに、スロットが開口する導電板を備えるスロットアンテナ体を有するスロットアンテナ装置において、導電板の裏面側に反射体を配置したことに特徴を有する。従って、本発明によれば、小型化、薄型化したままで、反射板によって、感度を高めることができる。
【0129】
また、本発明では、導電体を回路基板の基板面に形成された導体パターンで構成しているため、部品点数を削減して、小型化を図ることができる。
【0130】
本発明の別の形態では、外周側にスロットにされるべき隙間をもって対向する一対の導電板を利用したスロットアンテナ体を構成したことに特徴を有する。従って、本発明によれば、薄型のアンテナ体を構成できるとともに、外周に向けてスロットが開口するため、指向性の優れたアンテナ体を構成できる。
【0131】
ここで、導電板に無線機回路の形成領域に対応して開口部を形成した場合には、それをケース本体として利用した場合でも、無線機回路の上面側に形成された表示パネルでの表示を導電板の開口部から見ることができる。
【0132】
また、導電体を、無線機回路が構成された回路基板の表面および裏面にそれぞれ形成して場合には、アンテナ体を薄型化できるとともに、回路基板の厚さを基準に正確なスロット幅に設定することもできる。この場合には、導電体を回路基板の基板面に形成された導電パターンで構成して、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の実施例1に係るアンテナ装置におけるアンテナ体自身の構造を模式的に示す説明図、(b)は、それとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板との配置構造を示す説明図である。
【図2】図1に示すアンテナ装置の構成されるスーパーヘテロダイン受信回路のブロック図である。
【図3】図1に示すアンテナ装置の構成される広帯域受信回路のブロック図である。
【図4】(a)は、図1に示す携帯用無線機の構成図、(b)は、その指向性特性を説明するための図である。
【図5】実施例1の改良例1に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図6】実施例1の改良例2に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図7】実施例1の改良例3に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体の構造を示す説明図である。
【図8】実施例2に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図9】実施例2の改良例1に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図10】実施例2の改良例2に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図11】実施例2の改良例3に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図12】実施例2の改良例4に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図13】実施例3に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図14】実施例3の改良例1に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図15】実施例4に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図16】実施例4の変形例に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路基板の配置構造を示す説明図である。
【図17】実施例5に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)の要部の構成を示す説明図である。
【図18】図17に示す携帯用無線機(スロットアンテナ装置)の指向性特性を示す図である。
【図19】実施例5の改良例1に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)の要部の構成を示す説明図である。
【図20】(a)は、図17に示す携帯用無線機(スロットアンテナ装置)の動作を説明するための説明図、(b)は、図19に示す携帯用無線機(スロットアンテナ装置)の動作を説明するための説明図である。
【図21】実施例5の改良例2に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路ブロックの配置構造を示す説明図である。
【図22】実施例5の改良例3に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体の構造を示す説明図である。
【図23】実施例5の改良例4に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体およびそれとともに携帯用無線機内に搭載される回路ブロックの配置構造を示す説明図である。
【図24】(a)は、実施例5の改良例5に係る携帯用無線機(スロットアンテナ装置)におけるアンテナ体の構造を示す説明図、(b)は、その指向性特性を示す図である。
【図25】図24に示すアンテナ体を搭載した腕時計型携帯用無線機を裏面側からみた分解図である。
【図26】実施例5の改良例6に係る腕時計型携帯用無線機を裏面側からみた分解図である。
【図27】(a)は、図26に示す腕時計型携帯用無線機に構成した不平衡回路を示す説明図、(b)は、平衡回路を示す説明図である。
【図28】本発明の実施例6に係るアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図29】本発明の実施例6の改良例1に係るアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図30】図29に示すアンテナ体のアンテナ回路および無線機回路の構成図である。
【図31】本発明の実施例6の改良例2に係るアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図32】図31に示すアンテナ体の分解図である。
【図33】本発明の実施例7のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図34】図33に示すアンテナ体のアンテナ回路および無線機回路の構成図である。
【図35】本発明の実施例8のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図36】本発明の実施例8の変形例1に係るアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図37】本発明の実施例8の変形例2に係るアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図38】本発明の実施例8の変形例3に係るアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図39】本発明の実施例9のアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図40】本発明の実施例9の改良例1に係るアンテナ体の構成を示す説明図である。
【図41】本発明の実施例9の改良例2に係るアンテナ体の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
11a〜11d21a〜21i、31a〜31f、41a〜41c、51a、61a、61b、71a、71c・・・アンテナ体
12、22、47、54、64・・・回路基板
36・・・無線機回路ブロック
112、212、342、442、550、76・・・スロット
111、211、32、33、42、43、62、63、72、73・・・導電板
113、113a、113b、113c、113d・・・屈曲部
121、131、38、48、57、65、78・・・同調用容量素子
Claims (9)
- ケース内に、スロットが開口する導電板を備えるスロットアンテナ体と、前記スロットアンテナ体を介して送信または受信を行うための無線機回路が形成された回路基板とを有し、前記導電板は前記回路基板の表面に対向する位置に配置され、前記導電板には長さ方向の所定位置で屈曲させる屈曲部が形成されていることを特徴とするスロットアンテナ装置。
- 請求項1において、前記屈曲部は2つまたは4つ形成され、前記導電板と前記回路基板の間には部品が実装され、前記回路基板の表面に形成された導体パターンは反射板として機能することを特徴とするスロットアンテナ装置。
- 請求項1において、前記導電板は前記回路基板の表面に形成された導体パターンであることを特徴とするスロットアンテナ装置。
- 請求項3において、前記回路基板の裏面側には前記導電板よりも大きな反射体形成されていることを特徴とするスロットアンテナ装置。
- 請求項4において、前記反射体も、前記回路基板の基板面に形成された導体パターンであること特徴するスロットアンテナ装置。
- 請求項4において、前記回路基板は複数の導電層を備える多層基板であって、そのうちの2層の導電層から形成された導体パターンによって、前記導電体および前記反射体が構成されていることを特徴とするスロットアンテナ装置。
- 請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記スロットアンテナ体は、前記スロットの両側に、不平衡回路で構成された前記無線機回路の端子との第1の給電点、および前記無線機回路のグランド端子との第2の給電点を有することを特徴とするスロットアンテナ装置。
- 請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記スロットアンテナ体は、前記スロットの両側に、平衡回路で構成された無線機回路の2つの端子との給電点を有することを特徴とするスロットアンテナ装置。
- 請求項1ないし4のいずれかに規定するスロットアンテナ装置を用いたことを特徴とする無線機。
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